(A)第1の実施形態
以下では、本発明の画像形成装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1の実施形態では、本発明に係る画像形成装置が電子写真方式を採用したプリンタである場合を想定して説明する。しかし、本発明は、電子写真方式を採用したプリンタに限定されるものではない。本発明は、画像形成装置に広く適用でき、例えば、電子写真方式を採用した複合機、ファクシミリ装置等に適用し得るものである。
なお、「常温常湿」とは、環境水分量aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲内にあることをいい、例えば、温度25℃、湿度40%の環境をいう。「高温高湿(以下、HH環境ともいう。)」とは、環境水分量aが15.0g/m3<aにあることをいい、例えば、温度28℃、湿度70%の環境をいう。「低温低湿(以下、LL環境ともいう。)」とは、環境水分量aがa<4.6g/m3にあることをいい、例えば、温度10℃、湿度30%の環境をいう。
(A−1)第1の実施形態の構成
(A−1−1)画像形成装置の内部構成
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置の内部における要部構成を説明する概略構成図である。
図1において、第1の実施形態に係る画像形成装置10は、記録紙カセット16、画像形成ユニット11、転写装置としての転写部12、定着部24を有している。さらに、画像形成装置10は、印刷媒体としての記録紙13を上記各構成要素に搬送するための用紙搬送ローラ17〜23を有している。
なお、図1の画像形成装置10は、1個の画像形成ユニット11を備えて単色の現像剤(トナー)で画像形成を行う場合を例示する。しかし、画像形成装置10は、それぞれ異なる色のトナーを収容する複数の画像形成ユニット11を備えて、カラーのトナー画像を形成するものであっても良い。
記録紙カセット16は、内部に記録紙13を積層した状態で収納するものである。記録紙カセット16は、例えば、画像形成装置10内の下部に着脱自在に装着されている。
用紙搬送ローラ17は、記録紙カセット16に収納されている最上部の記録紙13を1枚ずつ取り出し、図1に示す矢印f方向に記録紙13を繰り出すものである。これにより、記録紙13を用紙搬送路に繰り出すことができる。用紙搬送ローラ18及び19は、図1に示す矢印g方向に沿って、記録紙13を搬送して画像形成部14側へ搬送するものである。なお、図1に示す矢印f、g、m、nのそれぞれは、記録紙13の搬送路を概略的に示すものである。
画像形成ユニット11は、現像剤収容体としてのトナーカートリッジ120、用紙搬送路に沿って着脱自在に配置された現像装置としての画像形成部14、露光装置としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド15、画像形成部14により形成された現像剤画像(以下、トナー画像ともいう。)を、記録紙13の上面にクーロンカにより転写する転写部12を有する。
トナーカートリッジ120は、現像剤であるトナーを収容するものであり、画像形成部14にトナーを供給するものである。トナーカートリッジ120は、画像形成ユニット11に対して着脱自在に装着可能となっている。なお、画像形成ユニット11は画像形成装置10の所定位置に着脱自在に装着されている。
転写部12は、画像形成ユニット11の感光ドラム101(図2参照)に対向する位置で圧接するよう配置されており、電圧が印加されることにより感光ドラム101表面上のトナー画像を記録紙13に転写するものである。
図2は、第1の実施形態に係る画像形成部14の構成を示す構成図である。図2では、画像形成部14の付近に配置されるLEDヘッド15も記載している。
図2において、第1の実施形態に係る画像形成部14は、現像剤担持体としての現像ローラ104、供給部材としての供給ローラ106、層規制部材としての現像ブレード107、トナーカートリッジ120、像担持体としての感光ドラム101、帯電部材としての帯電ローラ102、感光ドラム101の表面に圧接される除去装置(クリーニング部材)としてのクリーニングブレード105を有している。
感光ドラム101は、帯電ローラ102により表面が帯電された後、LEDヘッド15により露光されて静電潜像を形成し、静電潜像にトナーが移されてトナー像を形成するものである。感光ドラム101は、図2の矢印r方向に回動する。感光ドラム101は、例えばアルミニウム等の導電性基体ローラ上に、例えばセレン、非晶質シリコン等の感光層を設けた無機感光ドラムや、又上記導電性基体ローラ上に、バインダー樹脂中に電荷発生剤や電荷輸送剤を分散させた有機感光層を設けた有機感光ドラムなどを用いることができる。この実施形態では、感光ドラム101が、導電性基体ローラと光導電層によって構成され、導電性基体ローラとしてのアルミニウムの金属パイプに、光導電層として電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した構成の有機感光ドラムを適用する場合を例示する。より具体的には、感光ドラム101は、直径30mmのアルミニウムパイプに、22μmの光導電層で構成したものとする。
帯電ローラ102は、感光ドラム101の周面に接して設けられており、感光ドラム101の表面を帯電するものである。帯電ローラ102は、図2の矢印s方向に回動する。帯電ローラ102は、例えば、金属シャフトと半導電性エピクロロヒドリンゴムとを有して構成されている。
LEDヘッド15は、印刷データに基づいて感光ドラム101の表面上を露光するものである。LEDヘッド15は、例えばLED素子とレンズアレイとを有し、LED素子から出力される照射光が感光ドラム101の表面に結像する位置に配置されている。
現像ローラ104は、感光ドラム101の周面に接して配置され、供給ローラ106から移されたトナーを感光ドラム101の表面上の静電潜像に移して現像するものである。現像ローラ104は、矢印k方向に回動する。現像ローラ104は、例えばステンレス等の導電性基体シャフトに、例えばシリコーンゴムやウレタンゴム等の半導電層を有してカーボン等で電気抵抗を調節するなどの従来の現像ローラに用いる部材で構成されるものである。この実施形態では、現像ローラ104が、導電性基体シャフトに半導電性ウレタンゴム層を有して構成される場合を例示する。
供給ローラ106は、現像ローラ104に摺接して配置されており、トナーを現像ローラ104に供給するものである。供給ローラ106は、図2の矢印h方向に回動する。供給ローラ106は、例えばステンレス等の導電性基体シャフトと、弾性層としての半導電性発泡シリコンスポンジ層又は半導電性発泡ウレタンスポンジ層などのように既存技術の供給ローラに用いる部材を有して構成される。この実施形態では、供給ローラ106が、導電性基体シャフト、弾性層としての半導電性発泡シリコンスポンジ層を有して構成される場合を例示する。
現像ブレード107は、現像ローラ104の表面に圧接されて配置されており、現像ローラ104の表面上に付着しているトナー量を規制するものである。現像ブレード107は、例えば、ステンレス、リン青銅等の金属やシリコーンゴム等のゴム材等のように既存技術の現像ブレードに用いられる材料が用いられる。また、現像ブレード107は、適宜電圧が印加されるものであっても良い。
クリーニングブレード105は、例えば、ウレタンゴム、エポキシゴム、アウリルゴム、フッ素樹脂ゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ポリプタジエンゴム等の弾性体から成るものである。この実施形態では、クリーニングブレード105がウレタンゴムでなる場合を例示する。
図1において、画像形成部14によりトナー画像が転写された記録紙13は、図1の矢印m方向に搬送されて定着部24に送られる。
定着部24は、記録紙13の一方の面上に転写されたトナー画像を定着させるものである。定着部24は、発熱ローラ36、加圧ローラ37を有する。
発熱ローラ36は、例えば、アルミニウムからなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その耐熱弾性層の上にPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被覆することによって形成されている。発熱ローラ36は、上記芯金内に例えばハロゲンランプなどの加熱ヒータが配設され、発熱する。
加圧ローラ37は、例えば、アルミニウムの芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その耐熱弾性層の上にPFAチューブを被覆した構成で、発熱ローラ36との間に圧接部が形成されるように配置されている。
(A−1−2)現像剤としてのトナーについて
次に、第1の実施形態で使用される現像剤としてのトナーについて説明する。
現像剤としてのトナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー母粒子に、無機微粉体や有機微粉体などの外部添加剤(以下、外添剤という。)が添加されたものである。トナーは、現像剤収容体としてのトナーカートリッジ120に収容されている。
結着樹脂は、特に限定するものではないが、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、又は、スチレン−ブタジエン系樹脂が好ましい。また、結着樹脂には、離型剤、着色剤等が添加され、その他に帯電制御剤、導電性調整剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜添加されていてもよい。
結着樹脂に含まれる離型剤は、特に限定するものではないが、例えば、パラフィンワックス、カルナバワックス等の公知のものが挙げられる。結着樹脂に含まれる離型剤の含有量は、結着樹脂100(重量部)に対して0.1〜20(重量部)とすることができ、好ましくは0.5〜12(重量部)とすることが効果的である。また、離型剤は、単独の種類又は複数種類のワックスを併用しても良い。
着色剤は、特に限定するものではないが、例えば、既存のブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができる。着色剤は、単独種類又は複数種類の染料、顔料を併用しても良い。より具体的に、着色剤は、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ピグメントブルー15:3、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられる。着色剤の含有量は、結着樹脂100(重量部)に対して2〜25(重量部)とすることができ、好ましくは2〜15(重量部)とする。
帯電制御剤は、既存のものを用いることができる。帯電制御剤は、例えば、アゾ系錯体帯電制御剤、サリチル酸系錯体帯電制御剤、カリックスアレン系帯電制御剤、4級アンモニウム塩系帯電制御剤などが挙げられる。帯電制御剤の含有量は、結着樹脂100(重量部)に対して0.05〜15(重量部)とすることができ、好ましくは0.1〜10(重量部)とする。また、帯電制御剤は、単独種類又は複数種類を併用したものを使用することができる。
外添剤は、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上のために添加されるものであり、既存のものを用いることができる。外添剤は、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、樹脂微粒子等を用いることができる。外添剤の含有量は、結着樹脂100(重量部)に対して0.01〜10(重量部)とすることができ、好ましくは0.05〜8(重量部)とする。また、外添剤は、単独種類又は複数種類のものを併用して使用することができる。また、外添剤は、印刷中に後述する帯電装置に印加されるバイアスとは逆極性もつものとなる。
トナーの製造方法は、特に限定されず種々の製法を適用することができる。この実施形態に係るトナーの製造方法は、概ね以下の方法を適用する。
まず、結着樹脂(ポリエステル樹脂、数平均分子量Mn=3700、ガラス転移温度Tg=62(℃)、軟化温度T1/2=115(℃))を100(重量部)として、帯電制御剤としてボントロンE84(オリエント化学社製)を0.5(重量部)、着色剤としてカーボンブラックを5.0(重量部)、離型剤としてカルナバワックス(加藤洋行社製、カルナウバワックス1号粉末)を4.0(重量部)を加える。これらをヘンシェルミキサーを用いて混合した後、二軸押出機により溶融混練する。冷却後、直径2(mm)のスクリーンを有するカッターミルで粗砕化した後、衝突版式粉砕機「ディスパージョンセパレーター」(日本ニューマチックエ業株式会社製)を用いて粉砕する。更に風力分級機を用いて分級を行い、平均粒径6.0(μm)のトナー母粒子を得る。
次に、外添工程は、得られたトナー母粒子を1(kg)(これを100(重量部)とする。)に、疎水性シリカR972(日本アエロジル社製、平均粒径16(nm))を3.0(重量部)と、メラミン樹脂微粒子エポスターS(株式会社日本触媒製、平均粒径0.2(μm)、帯電量+212(μC/g))を0.3(重量部)を加え、ヘンシェルミキサーで3分間撹拌を行うことで、負帯電用トナーを得る。
(A−1−3)画像形成装置の制御系の構成
図3は、第1の実施形態に係る画像形成装置10の制御系の構成を示すブロック図である。なお、図3に示す構成要素のうち、図1及び図2に示す構成要素と同一又は対応するものには同一符号を付している。
図3において、第1の実施形態に係る画像形成装置10は、主として、制御部551、帯電ローラ電源制御部502、帯電ローラ電圧電源(CHB)522、帯電ローラ102、LEDヘッド制御部507、LEDヘッド15、現像ローラ電源制御部503、現像ローラ電圧電源(DB)523、現像ローラ104、供給ローラ電源制御部504、供給ローラ電圧電源(SB)524、供給ローラ106、転写ローラ電源制御部505、転写ローラ電圧電源(TRB)525、転写ローラ12、モータ501、センサ部508を有する。
ここで、「帯電装置」は、帯電ローラ電源制御部502、帯電ローラ電圧電源(CHB)522、帯電ローラ102を含むものである。「現像装置」は、現像ローラ電源制御部503、現像ローラ電圧電源(DB)523、現像ローラ104を含むものである。「転写装置」は、転写ローラ電源制御部505、転写ローラ電圧電源(TRB)525、転写ローラ12を含むものである。
制御部551は、画像形成装置10全体の機能を司るものである。制御部551は、例えば、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力インタフェース部、タイマ等を有して構成され、上位装置から印刷データ及び制御コマンドを取得して画像形成装置10全体をシーケンス制御して、印刷動作を行う。
モータ501は、制御部551の指示により、感光ドラム101、帯電ローラ102、現像ローラ104、供給ローラ106、転写ローラ12を駆動させる駆動手段である。モータ501は、制御部551の指示によりON/OFFする。
センサ部508は、画像形成装置10が置かれている環境温度や環境湿度をセンシングするものであり、センシングデータを制御部551に与えるものである。センサ部508は、温度センサ509及び湿度センサ510を有する。
帯電ローラ電源制御部502は、制御部551の指示により、帯電ローラ電圧電源(CHB)522に対して印加電圧制御するものである。つまり、帯電ローラ電源制御部502は、帯電ローラ102に電圧を印加して感光ドラム101(図2参照)の表面を帯電させるための印加電圧制御を行う。
LEDヘッド制御部507は、制御部551の指示により、印刷データに従って、LEDヘッド15の露光制御を行うものである。つまり、LEDヘッド制御部507は、印刷データに従って、帯電された感光ドラム101(図2参照)表面に、LEDヘッド15(図1、図2参照)が光を照射して露光し、静電潜像を生成するための制御を行う。
現像ローラ電源制御部503は、制御部551の指示により、現像ローラ電圧電源(DB)523に対して印加電圧制御するものである。つまり、現像ローラ電源制御部503は、感光ドラム101(図2参照)の表面にLEDヘッド15により生成された静電潜像にトナーを付着させるため、現像ローラ104に対して電圧を印加するための印加電圧制御を行う。
供給ローラ電源制御部504は、制御部551の指示により、供給ローラ電圧電源(SB)524に対して印加電圧制御を行うものである。つまり、供給ローラ電源制御部504は、現像ローラ104(図2参照)にトナーを供給するため、供給ローラ106に対し電圧を印加するための印加電圧制御を行う。
転写ローラ電源制御部505は、制御部551の指示により、転写ローラ電圧電源(TRB)525に対して印加電圧制御を行うものである。つまり、転写ローラ電源制御部505は、感光ドラム101の表面に生成されたトナー画像を記録紙13に転写するため、転写ローラ12(図1、図2参照)に対して電圧を印加するための印加電圧制御を行う。
帯電ローラ電圧電源(CHB)522は、帯電ローラ電源制御部502の印加電圧制御により帯電ローラ102に直流電圧を印加する。
現像ローラ電圧電源(DB)523は、現像ローラ電源制御部503の印加電圧制御により現像ローラ104に直流電圧を印加して、LEDヘッド15で露光された感光ドラム101にトナー像を形成する。
供給ローラ電圧電源(SB)524は、供給ローラ電源制御部504の印加電圧制御により供給ローラ106に直流電圧を印加する。
転写ローラ電圧電源(TRB)525は、転写ローラ電源制御部505の印加電圧制御により転写ローラ12に直流電圧を印加して各々の画像形成ユニット11で形成されたトナー像を記録紙13に転写する。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る画像形成装置10における動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(A−2−1)印刷モード時の動作
まず、画像形成装置10における印刷モード時の動作を説明する。
図2において、感光ドラム101は、駆動手段であるモータ501により図2の矢印r方向に所定の外周速度で回転する。
感光ドラム101の表面に接触して設けられた帯電ローラ102は、図2の矢印s方向に回転しながら、帯電ローラ電圧電源(CHB)522(図3参照)によって供給される直流電圧「−1000V」程度が感光ドラム101の表面に印加され、感光ドラム101の表面を均一に「−500V」程度に帯電させる。帯電ローラ102は感光ドラム101と逆方向に回転し、帯電ローラ102の表面の周速度比は、感光ドラム101に対して同速度である。
次に、感光ドラム101に対向して設けられたLEDヘッド15によって、印刷データに対応した光が感光ドラム101の均一に帯電された表面に照射され、光照射部分の電位を「−100V」程度に光減衰して静電潜像を形成する。
トナーカートリッジ120からトナーが画像形成部14に供給される。供給ローラ電圧電源(SB)524(図3参照)によって直流電圧が印加された供給ローラ106が図2の矢印h方向に回転し、供給ローラ106がトナーを搬送して、現像ローラ104にトナーが供給される。供給ローラ106は、現像ローラ104と同じ方向に回転し、現像ローラ104に対する表面の周速度比は0.66倍に設定される。
現像ローラ104は、感光ドラム101に接触して配置され、現像ローラ電圧電源(DB)523(図3参照)によって直流電圧が印加されている。現像ローラ104は、供給ローラ106により搬送されたトナー110を吸着し、図2の矢印k方向に回転してトナーを搬送する。
この回転搬送過程で、供給ローラ106より下流側にあって現像ローラ104に圧接して配置された現像ブレード107は、現像ローラ104に吸着したトナー110を均一な厚さにならしたトナー層を現像ローラ104上に形成する。印刷時におけるトナー層のトナー量は0.30〜0.50mg/cm2に設定される。なぜなら、これより少ないと濃度が薄すぎてしまい、これより多いと感光ドラム101表面上の潜像に対してトナー現像が多くなり、いわゆるドットチリ等が発生してしまい、画像解像度が悪くなるからである。このとき、現像ローラ104表面上のトナー層のトナーは、現像ローラ104と供給ローラ106との摺動や、現像ブレード107による圧接等による摩擦により帯電する。現像ローラ104は感光ドラム101と逆方向に回転し、現像ローラ104の表面の周速比は感光ドラム101に対して1.26倍の速度で回転している。
そして、感光ドラム101表面上に形成された静電潜像は、現像ローラ104上に担持するトナー110によって反転現像する。感光ドラム101と現像ローラ104との間には高圧電源によってバイアス電圧が印加されている。そのため、現像ローラ104と感光ドラム101との間には、感光ドラム101に形成された静電潜像に伴う電気力線が発生する。このため、現像ローラ104表面上の帯電したトナーは、クーロン力により感光ドラム101表面上の静電潜像部分に付着し、この部分を現像してトナー画像を形成する。
一方で図1に示すように、記録紙カセット16に収納されている記録紙13は、用紙搬送ローラ17によって記録紙カセット16から図1の矢印f方向に1枚ずつ取り出される。その後、記録紙13は、図示しない記録紙ガイドに沿って斜行が矯正されながら、用紙搬送ローラ18及び19によって図1の矢印g方向に搬送され、記録紙13は画像形成部14に送られる。
画像形成部14では、図2に示すように、感光ドラム101に対向して圧接状態で転写ローラ12が配置されている。転写ローラ電圧電源(TRB)525(図3参照)によって電流電圧が転写ローラ12に印加されている。転写ローラ12によって、記録紙13上に形成されたトナー画像を記録紙13に転写する転写プロセスが行われる。これら現像プロセス、転写プロセスは、後述する所定のタイミングで行われる。
トナー画像が転写された記録紙13は、図1の矢印m方向に搬送されて定着部24に送られる。トナー画像が転写された記録紙13は、図示しない温度制御手段の制御により所定の表面温度に保たれながら図1の矢印p方向に回転する発熱ローラ36と、図1の矢印q方向に回転する加圧ローラ37との間を進む。定着部24では、発熱ローラ36の熱が記録紙13上のトナー画像を溶融し、更に同時に記録紙13上で溶融したトナー画像を発熱ローラ36と加圧ローラ37との圧接部で加圧することによりトナー画像が記録紙13に定着する。
トナー画像が定着した記録紙13は、用紙搬送ローラ20及び21及び用紙搬送ローラ22及び23によって図1の矢印n方向に搬送され、画像形成装置10の外部へと送出される。
ここで、現像ローラ104による感光ドラム101の表面上の現像後、現像ローラ104の表面上に現像に使用されずに残ったトナーは、現像ローラ104の回転と共に、現像ローラ104と供給ローラ106との当接部に送られ、供給ローラ106によりトナーは回収され、トナーは供給ローラ106の回転下流側に送られる。
回収されたトナーは、新たにトナーカートリッジ120から供給されたトナーと混ざり、現像ローラ104に送られ、繰り返し現像プロセスが行われる。
転写ローラ12通過後の感光ドラム101の表面には、転写されなかったトナーがわずかに残留する場合がある。
この感光ドラム101表面上に残留したトナー110は、クリーニングブレード105によって除去される。図2に示すように、クリーニングブレード105は、感光ドラム101の回転軸方向に沿って平行に配置されている。クリーニングブレード105の先端部が感光ドラム101の表面に当接するように、クリーニングブレード105の根元部(先端部と逆側の端部)が剛性の支持基板に取り付けられて固定されている。クリーニングブレード105が感光ドラム101の周面に当接した状態で感光ドラム101が回転軸中心に矢印r方向に回転することによって、感光ドラム101表面上に残留したトナーがクリーニングブレード105により除去される。クリーニングされた感光ドラム101は回転し繰り返し使用される。
(A−2−2)印刷モード時及びクリーニングモード時の印加電圧及びタイミングについて
次に、クリーニングモード時の動作を説明する。ここで、クリーニングモードとは、印刷モード時等で感光ドラム101に接触する帯電ローラ102の表面に付着した付着物を、印刷モード時以外の所定のタイミングで、帯電ローラ102から除去する動作モードを指す。
なお、クリーニングモードは、印刷時とは異なる所定の電圧を所定のタイミングで各構成部材に印加することにより行う。帯電ローラ102の表面に付着している付着物の極性は、印刷モード時の帯電ローラ102に印加される電圧に対して逆極性となる。そのため、以下では、帯電ローラ102の表面に付着している付着物を逆帯電付着物と表現して説明する。
クリーニングモードの動作を設けている理由は、上記印刷モード時において、クリーニングブレード105で除去し切れなかった残留物が感光ドラム101の回転下流に配置される帯電ローラ102に付着し帯電不良を招くことがある。そのため、帯電ローラに付着した付着物を除去するクリーニングモードを設けている。
クリーニングモード時は、印刷時と異なり記録紙13は搬送されない。また、クリーニングモード時は、現像プロセス及び転写プロセスと、各種ローラの回転方向とは同じであるが、各構成部材(LEDヘッド15、帯電ローラ102、現像ローラ104、転写ローラ12、モータ501)に印加するバイアス値、タイミング等が印刷モード時と異なる。
図4は、第1の実施形態に係る画像形成装置10における印刷モード時とクリーニングモード時に各構成部材へのバイアス印加を示すタイミングチャートである。
まず、印刷モード時に、各構成部材(LEDヘッド15、帯電ローラ102、現像ローラ104、転写ローラ12、モータ501)に印加するバイアス値、タイミングを説明する。
印刷実行する際、時刻t0にて、制御部551がモータ501をONして印刷モードが開始する。また、感光ドラム101、帯電ローラ102、現像ローラ104、供給ローラ106、転写ローラ12は、駆動手段であるモータ501により回転駆動する。
時刻t1にて、制御部551の指示を受けて、帯電ローラ電源制御部502は、感光ドラム101の表面を帯電するために、帯電ローラ電圧電源522を「0V」から「−1000V」に切り替え、現像ローラ電源制御部503は、現像ローラ電圧電源523を「0V」から「+400V」に切り替える。
時刻t2で、制御部551の指示を受けて、転写ローラ電源制御部505は、転写ローラ電圧電源525を「0V」から「+2000V」に切り替える。
時刻t3にて、供給ローラ106からトナーを現像ローラ104に移すために、制御部551の指示を受けて、現像ローラ電源制御部503は、現像ローラ電圧電源523を「+400V」から「−200V」に切り替え、供給ローラ電源制御部504は、供給ローラ電圧電源524を「−300V」に切り替える。
時刻t3から時刻t4までの期間で印刷が実行される。すなわち、制御部551の指示によって、LEDヘッド制御部507は、取得した印刷データに基づいてLEDヘッド15に選択的に露光させて、感光ドラム101の表面上に静電潜像の書き込みを行う。感光ドラム101の表面における、静電潜像の書き込みが行われた部分(すなわち、露光部分)の表面電位は非露光部分の表面電位よりも「0V」側に近い値となる。現像ローラ104の表面上の薄層化されたトナーは、感光ドラム101の表面上の静電潜像に移り、トナー画像として感光ドラム101の表面上に現像する。その後、転写ローラ12によって記録紙13にトナー画像が転写され、時刻t4で印刷が終了する。
次に、クリーニングモード時の動作を説明する。
クリーニングモード時は、時刻t10にて、制御部551の指示によって、転写ローラ電源制御部505は、転写ローラ電圧電源525を「0V」に切り替える。
転写ローラ12に接する前の感光ドラム101の表面領域の表面電位は帯電ローラ102によって「−500V」に帯電しているが、現像ローラ104及び転写ローラ12が「0V」なので、転写ローラ12通過後の感光ドラム101の表面領域の表面電位は帯電電位が下がり「−300V」程度となる。
転写ローラ12を通過した後の感光ドラム101の表面領域は、クリーニングブレード105に接する。クリーニングブレード105は絶縁体であり、電流が流れないため、感光ドラム101の表面電位は変わらない。さらに、時刻t11にて、感光ドラム101が回転して、感光ドラム101の表面領域が帯電ローラ102に接する。
時刻t11で、制御部551の指示によって、帯電ローラ電源制御部502は、帯電ローラ電圧電源522の出力を「−1000V」から「0V」に切り替える。この結果、帯電ローラ102に付着している付着物(印刷時の帯電ローラ102とは逆極性の付着物)は、「0V」の帯電ローラ102の表面から負極性に帯電している感光ドラム101側にクーロンカを受けて、付着物は感光ドラム101の表面側へ付着する。
ここで、帯電ローラ102に「0V」を印加している印加時間Tは逆帯電付着物を感光ドラム101側に移動させるため、少なくとも帯電ローラ102の1周分(帯電ローラ102の1回転に相当する時間)が必要である。
また、帯電ローラ102に付着している逆帯電付着物が多いときは、帯電ローラ102に「0V」を印加する印加時間Tを帯電ローラ102の2周分、3周分の時間と増やすようにしても良い。しかし、転写ローラ12に電圧を印加している転写ローラ電圧電源525が時間(T+β)の間、「0V」を印加している。そのため、時刻t11に帯電ローラ102と接触した感光ドラム101の表面領域が転写ローラ12に接するまでに、転写ローラ12に「0V」を印加している転写ローラ電圧電源525は正電圧の印加に切り替わらなくてはならないので、印加時間Tは感光ドラム101の周長による限界がある。
逆帯電付着物が付着した感光ドラム101の表面領域は、矢印r方向の回転により、やがて現像ローラ104に接する。
時刻t12で制御部551は、現像ローラ電圧電源523の出力を「−200V」から「0V」の印加に切り替える。これにより、感光ドラム101上の逆帯電付着物は、感光ドラム101側にクーロンカを受け、感光ドラム101に付着し続ける。
時刻t12から時間(T+β)経過した後、時刻t13で転写ローラ電源制御部505は転写ローラ電圧電源525の出力電圧を「0V」から正電圧に切り替える。ここで、βの値は、帯電ローラ電圧電源522が帯電ローラ102に「0V」を印加している間、通過する感光ドラム101の領域が、確実に転写ローラ12に転写ローラ電圧電源525が「0V」を印加している間に通過していた感光ドラム101の領域であるためのマージン値である。
時刻t11から時間T経過した後、時刻t14で帯電ローラ電源制御部502は帯電ローラ電圧電源522の出力電圧を「0V」から「−1000V」に切り替える。この間、帯電ローラ102は少なくとも1周回転している。
時刻t12から時間(T+α)経過した後、時刻t15で現像ローラ電源制御部503は現像ローラ電圧電源523の出力電圧を「0V」から「−200V」に切り替える。ここで、αの値は、帯電ローラ電圧電源522が帯電ローラ102に「0V」を印加している間に通過する感光ドラム101の領域が現像ローラ104と接する部分を通過している間、確実に現像ローラ電圧電源523が現像ローラ104に「0V」を印加し得るマージン値である。
現像ローラ104を通過した感光ドラム101上の逆帯電付着物は矢印r方向への回転に伴い、転写ローラ12に接する。このとき、既に転写ローラ電圧電源525は転写ローラ12に正電圧を印加しているので、感光ドラム101上の逆帯電付着物は感光ドラム101に付着したまま、転写ローラ12を通過する。
さらに、感光ドラム101の矢印r方向への回転により、感光ドラム101の表面上の逆帯電付着物はクリーニングブレード105に接し、クリーニングブレード105により感光ドラム101の表面上の逆帯電付着物は掻き取られる。
感光ドラム101の表面上の逆帯電付着物の付着部がクリーニングブレード105を全て通過し終えた後、時刻t16で制御部551はクリーニングモードを終了し、時刻t17でモータ501を停止させ、感光ドラム101及び感光ドラム101に接する各種ローラの回転を停止させる。
(A−2−3)印刷モード及びクリーニングモード時の試験結果
次に、上述した印刷モード及びクリーニングモード時の動作を、以下の条件で行ない、帯電ローラ102の帯電不良による画像影響、スループットを確認した。
(試験1の試験結果)
条件は、図1の画像形成装置10を用いて、印刷の通紙速度=313mm/sec、連続印刷時の紙間距離=60mmとした。試験に用いた記録紙は、A4サイズのOKIエクセレントホワイト紙(株式会社沖データ、坪量=80g/m2)を用い、印刷パターンは、ハーフトーン印刷画像(紙面の上下左右5mm幅を除いた全面に面積率25%の印刷)で、タテ方向送りで通紙した。
図5は、第1の実施形態に係るクリーニングブレード105の取り付け設定を説明する説明図である。
図5に示すように、試験に使用したクリーニングブレード105は、ゴム材をヤング率E=70kgf/cm2、ゴム厚T=1.8mm、自由端長L=7.7mmを用いる。また、クリーニングブレード105の感光ドラム101に対する食い込み量y=0.45mmと設定する。これにより、クリーニングブレード105の感光ドラム101への圧接力Wは、W=10.1gf/cmとなる。圧接力Wは、以下式(1)に基づいて算出された値とした。
W=(E×T3×y)/(4×L3) …(1)
図6は、第1の実施形態に係る画像形成装置10を用いて環境変化に応じた試験結果を示す図である。図6では、試験の環境変化と、印刷ジョブ数と、帯電ローラ102への異物付着状態とをまとめている。
試験1の試験環境は、温度25℃、湿度50%とする。このとき、水蒸気量は11.53g/m3になる。水蒸気量は、以下式(2)、式(3)に基づいて算出された値とした。
a=217×e/(t+273.15)×h/100 …(2)
e=6.11×10^(7.5t/(t+237.3)) …(3)
ここで、aは水蒸気量(g/m3)、eは飽和水蒸気圧(hPa)、tは環境温度(℃)、hは環境湿度(%)とする。「^」は累乗を示している。
印刷枚数は、記録紙カセット16に500枚の記録紙13をセットし、1ジョブあたり500枚の連続印刷を10回行い、合計5000枚印刷した。
クリーニングモードは、60枚連続印刷毎に1回実施した。
5000枚印刷後、帯電ローラ102の表面の表面電位測定を測定した。また、帯電ローラ102の表面を目視すると共に、ハーフトーン印刷画像(紙面の上下左右5mm幅を除いた全面に面積率25%の印刷)を目視確認した。なお、図6の画像目視結果は、画像の状態を3段階で評価し、「二重丸」は画像状態が最も良好な状態とし、「丸」は画像状態が良好な状態とし、「バツ」は画像不良とする。
図6に示すように、試験1の試験結果は、帯電ローラ102の表面に付着物はほとんど見られなかった。また、表面電位は、表面電位計(トレック社、Model 344)にて帯電ローラ102の金属シャフトをGNDとして帯電ローラ102に電圧を印加していない状態で表面電位を測定したところ、「+1V」であった。画像目視結果は、ハーフトーン画像も均一に印刷されており、画像不良は見られなかった。
(試験2の試験結果)
試験2は、試験1においてクリーニングモードを行わないで通紙試験を行った。その他の条件は、試験1と同一の条件である。
試験2の試験結果は、帯電ローラ102の表面上に白い付着物が見られた。表面電位は「+20V」であり、正帯電性であった。FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)で分析したところ、帯電ローラ102の表面上の付着物はトナー外添剤に使用されているメラミン微粒子であり、トナー母材の付着は見られなかった。
また、画像目視結果は、画像上に紙面の白色がタテスジ状に現れて濃度ムラとなり画像不良が見られた。
(試験3の試験結果)
試験3は、温度25℃、湿度25%とし、このときの水蒸気量は、水蒸気量=5.77g/m3とした。それ以外の条件は試験1と同一の条件で行なった。
試験3の試験結果は、帯電ローラ102の表面上に白い付着物がほとんど見られなかった。表面電位は「+2V」であった。画像目視結果は、ハーフトーン画像も均一に印刷され画像不良は見られなかった。
(試験4の試験結果)
試験4は、温度25℃、湿度60%とし、このときの水蒸気量は、水蒸気量=13.84g/m3とした。それ以外の条件は、試験1と同一の条件で行なった。
試験4の試験結果は、帯電ローラ102の表面上に白い付着物がほとんど見られなかった。表面電位は「+1V」であった。画像目視結果は、ハーフトーン画像も均一に印刷され画像不良は見られなかった。
(試験5の試験結果)
試験5は、温度25℃、湿度20%とし、このときの水蒸気量は、水蒸気量=4.61g/m3とした。それ以外の条件は、試験1と同一条件で行なった。
試験5の試験結果は、帯電ローラ102の表面上に白い付着物がやや見られた。表面電位は「+10V」であった。画像目視結果は、ハーフトーン画像では画像不良は見られなかった。
(試験6の試験結果)
試験6は、温度25℃、湿度65%とし、このときの水蒸気量は、水蒸気量=15.0g/m3とした。それ以外の条件は、試験1と同一条件で行なった。
試験6の試験結果は、帯電ローラ102の表面上に白い付着物がやや見られた。表面電位は「+8V」であった。画像目視結果は、ハーフトーン画像に画像不良は見られなかった。
(試験7の試験結果)
試験7は、温度25℃、湿度70%とし、このときの水蒸気量は、水蒸気量=16.14g/m3とした。それ以外の条件は、試験1と同一条件で行なった。
試験7の試験結果は、帯電ローラ102の表面上に白い付着物が多く見られた。表面電位は「+12V」であった。画像目視結果は、ハーフトーン画像においてタテスジ状に紙面の白地を確認でき、濃度ムラ状態を確認でき、画像不良であった。
(試験8の試験結果)
試験8は、試験7と同一の環境条件とした。試験8は、クリーニングモードの実行頻度を、60枚連続印刷毎に1回の実行から、12枚連続印刷毎に1回の実行とした。
試験8の試験結果は、表面電位が「+2V」であった。画像目視結果は、ハーフトーン画像に画像不良は見られなかった。
(試験9及び試験10の試験結果)
試験9及び試験10は、温度30℃、湿度20%とし、水蒸気量は水蒸気量=6.08g/m3とした。
試験9は、クリーニングモードの実行頻度を60枚連続印刷毎に1回実行し、試験10は、クリーニングモードの実行頻度を12枚連続印刷毎に1回実行した。
試験9の試験結果は、表面電位が「+18V」であり、画像目視結果は、ハーフトーン画像に画像不良が見られた。
これに対して、試験10の試験結果は、表面電位が「+3V」であり、画像目視結果は、ハーフトーン画像に画像不良が見られなかった。
(試験11及び試験12の試験結果)
試験11及び試験12は、温度30℃、湿度50%とし、水蒸気量は水蒸気量=15.19g/m3とした。
試験11は、クリーニングモードの実行頻度を60枚連続印刷毎に1回実行し、試験12は、クリーニングモードの実行頻度を12枚連続印刷毎に1回実行した。
試験11の試験結果は、表面電位が「+18V」であり、画像目視結果は、ハーフトーン画像に画像不良が見られた。
これに対して、試験12の試験結果は、表面電位が「+3V」であり、画像目視結果は、ハーフトーン画像に画像不良が見られなかった。
(試験13及び試験14の試験結果)
試験13及び試験14は、温度30℃、湿度80%とし、水蒸気量は水蒸気量=24.30g/m3とした。
試験13は、クリーニングモードの実行頻度を60枚連続印刷毎に1回実行し、試験14は、クリーニングモードの実行頻度を12枚連続印刷毎に1回実行した。
試験13の試験結果は、表面電位が「+18V」であり、画像目視結果は、ハーフトーン画像に画像不良が見られた。
これに対して、試験14の試験結果は、表面電位が「+3V」であり、画像目視結果は、ハーフトーン画像に画像不良が見られなかった。
(試験15及び試験16の試験結果)
試験15及び試験16は、温度10℃、湿度20%とし、水蒸気量は水蒸気量=1.88g/m3とした。
試験15は、クリーニングモードの実行頻度を60枚連続印刷毎に1回実行し、試験16は、クリーニングモードの実行頻度を12枚連続印刷毎に1回実行した。
試験15の試験結果は、表面電位が「+15V」であり、画像目視結果は、ハーフトーン画像に画像不良が見られた。
これに対して、試験16の試験結果は、表面電位が「+2V」であり、画像目視結果は、ハーフトーン画像に画像不良が見られなかった。
以上の試験1〜試験16の試験結果より、高温環境のとき(すなわち、環境温度が30℃以上のとき)、水蒸気量の影響によらず、クリーニングモードを60枚連続印刷毎に1回の頻度で実行しても、連続印刷300枚程度を超えたあたりから画像不良が発生してしまう。これに対して、クリーニングモードを12枚連続印刷毎に1回の頻度で実行することで、画像不良をなくすことができることが分かった。
また、低湿環境のとき(すなわち、環境温度が30℃未満であって、水蒸気量が4.6以上15.0以下のとき)、クリーニングモードを60枚連続印刷毎に1回の頻度で実行しても画像不良は発生せず、環境温度及び水蒸気量が上記範囲以外の場合、クリーニングモードを12枚連続印刷毎に1回の頻度で実行しても画像不良は発生しない。
(試験17の試験結果)
試験17は、試験9の条件において、帯電ローラ102の表面上に外添剤が付着した状態のままで、クリーニングモードを12枚連続印刷毎に1回の頻度で実行した。
試験17による画像目視結果は、240枚連続印刷程度の時点で、画像不良がなくなった。また、帯電ローラ102の表面を目視したところ、帯電ローラ102の表面に付着物がなくなっていた。このことから、帯電ローラ102の表面に外添剤が付着した状態で連続印刷を開始しても、クリーニングモードの実行頻度を上げることで、帯電ローラ102の表面から外添剤を除去する効果を確認できた。
また、試験17において、画像不良が発生しないときの帯電ローラ102の表面電位が外添剤付着状態で「+10V以下」であった。
次に、クリーニングブレード105の感光ドラム101への圧接力Wを変更し、帯電ローラ102の表面に外添剤を付着させた状態でクリーニングモードを開始した場合の印刷画像を評価した。
ここで、食い込み量yを変更することで圧接力Wを変更した。また、それ以外の条件は試験3の同一条件とした。
(試験18〜試験20の試験結果)
試験18は、食い込み量yを、y=1.30mmとし、圧接力Wは、圧接力W=29.1gf/cmとした。試験18において、帯電ローラ102の表面電位は「+2V」であり、画像不良は見られなかった。
試験19は、食い込み量yを、y=1.40mmとし、圧接力Wは、圧接力W=31.3gf/cmとした。試験19において、連続印刷中にクリーニングブレード105がめくれてしまい、中断した。このことから、圧接力Wは29.1gf/cm以下にする必要があることが分かった。
試験20は、食い込み量yをy=0.42mmとし、圧接力Wは、圧接力W=8.9gf/cmとした。試験20において、帯電ローラ102の表面に付着物が見られた。画像目視結果は、クリーニングモードの実行で回復するものの、すぐにまた帯電ローラ102の表面に付着物が付着してしまい、画像不良は発生しつづける状態のため画像不良とした。
試験18〜試験20の試験結果から、圧接力Wは、10.1gf/cm以上29.1gf/cm以下である必要がある。
以上のように、環境条件に応じたクリーニングモードの実行頻度を適用することができれば、画像品質の良い効率的な印刷を実現できる。
(A−2−4)クリーニングモードの動作
次に、第1の実施形態に係る画像形成装置10における動作処理を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図7は、第1の実施形態に係る画像形成装置10において、環境条件によってクリーニングモードの実行頻度を変える場合の動作フローチャートである。
図7において、印刷が開始されると、制御部551は、環境温度を検出する(S1)。このとき、画像形成装置10において、温度センサ509や湿度センサ510等を有するセンサ部508が搭載されており、制御部551は、温度センサ509から通知される情報に基づいて、環境温度を検出する。
S1において、環境温度が30℃未満の場合S2に移行し、環境温度が30℃以上の場合S4に移行する。
S2において、制御部551は、湿度センサ510からのデータに基づいて湿度を検出して、式(2)及び式(3)に従って、環境水分量(水蒸気量)aを算出する。環境水分量(水蒸気量)aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲にあるか否かを判断し(S2)、環境水分量aの値に応じて、係数Xを選択する(S3、S4)。
すなわち、環境水分量aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲にあるとき、係数Xを「1.0」とする(S3)。一方、環境水分量aが上記範囲にない場合、クリーニングモードの実行頻度を高くするために、係数Xを「0.2」とする(S4)。
上記の通り、S1及びS2の処理により、環境温度及び環境湿度に基づいて、係数Xの値を決定する。
その後、制御部551は、印刷枚数Aをカウントする(S5)。カウンタ値Aは、1ジョブ内におけるジョブ開始からの印刷枚数である。
S6では、制御部551がジョブ印刷中か又は印刷ジョブ終了であるかを判断し(S6)、ジョブ印刷中であればS9へと進む。
S9では、クリーニングモードの実行頻度が60枚連続印刷毎に1回実行することを基準としている。制御部551は、印刷枚数のカウンタ値Aと、クリーニングモードの実行頻度を示す「60×X」とを比較し(S9)、カウンタ値A≧「60×X」の場合、S10に進んでクリーニングモードを実施する(S10)。一方、カウンタ値A<「60×X」の場合、S5に進んで処理を繰り返す。
ここで、S9では、制御部551が印刷枚数のカウンタ値Aに基づいて、環境条件によって決定された係数Xを用いてクリーニングモードの実行頻度を決定している。
具体的には、環境条件がクリーニングモードの実行頻度が少なくて良い場合、係数XはX=1.0となっているため、60枚連続印刷毎に1回の頻度でクリーニングモードが実施される。一方、環境条件がクリーニングモードの実行頻度が高くする場合、係数XはX=0.2となっているため、12枚連続印刷毎に1回の頻度でクリーニングモードが実施される。
S10において、クリーニングモードが実施されると(S10)、カウンタ値Aはクリアされて、S5に戻り、再度カウンタ値Aは「1」からカウントされる(S11)。
S6において、印刷ジョブが終了するとき、クリーニングモードが実行されて(S7)、カウンタ値Aはクリアされて(S8)、処理は終了する。
図7の動作処理により、画像形成装置10が置かれている環境に基づいて、クリーニングモードの実行頻度を増減することができ、通常環境の場合、クリーニングモードの実行頻度を初期設定で行なうことができるため、スループット低下を抑えることができる。
図8は、第1の実施形態に係る画像形成装置10が置かれている環境条件と比較的短い印刷ジョブが連続するか否かに応じて、クリーニングモードの実行頻度を変える場合の動作フローチャートである。
図8において、印刷が開始されると、制御部551は、環境温度を検出する(S51)。
S51において、環境温度が30℃未満の場合S52に移行し、環境温度が30℃以上の場合S54に移行する。
S52において、制御部551は、湿度を検出して、式(2)及び式(3)に従って、環境水分量(水蒸気量)aを算出する。環境水分量(水蒸気量)aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲にあるか否かを判断し(S52)、環境水分量aの値に応じて、係数Xを選択する(S53、S54)。
すなわち、環境水分量aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲にあるとき、係数Xを「1.0」とする(S53)。一方、環境水分量aが上記範囲にない場合、クリーニングモードの実行頻度を高くするために、係数Xを「0.2」とする(S54)。
上記の通り、S51及びS52の処理により、環境温度及び環境湿度に基づいて、係数Xの値を決定する。
その後、S55では、印刷枚数カウンタ値A、印刷枚数カウンタ値B、印刷枚数カウンタ値Cをカウントする。
ここで、カウントタ値Aは、1ジョブ内におけるジョブ開始からの枚数である。カウンタ値Bは連続印刷枚数である。カウンタ値Cは、1ジョブの連続印刷枚数が12枚以下(1ジョブの印刷枚数が比較的小さい場合)のジョブ数である。
そして、S56で連続印刷枚数の大きさで係数Fを決定する(S56)。S56では、制御部551は、連続印刷枚数を示すカウンタ値Bが200枚以下であるか否かを判断する。
カウンタ値Bが200以下の場合、制御部551は係数FをF=1.0とする(S57)。一方、カウンタ値Bが200を超える場合、制御部551は係数FをF=Xとする(S58)。
ここで、係数FをF=Xとする場合、画像形成装置10の置かれている環境条件が通常条件である場合、S53でX=1.0が選択されている。そのため、通常の環境条件の場合には、カウンタ値Bが200を超える場合でも、係数F=1.0となっている。クリーニングモードの実行頻度を上げる環境条件の場合、S54でX=0.2が選択される。そのため、クリーニングモードの実行頻度を上げる環境条件の場合にはS58でX=0.2が選択される。
S59で、制御部551は、印刷ジョブが終了か否かを判断する(S59)。印刷ジョブが終了しない場合、S64に進む。
S64では、クリーニングモードの実行頻度が60枚連続印刷毎に1回実行することを基準としている。制御部551は、印刷枚数のカウンタ値Aと、クリーニングモードの実行頻度を示す「60×F」とを比較し(S64)、カウンタ値A≧「60×F」の場合、S65に進んでクリーニングモードを実施する(S65)。一方、カウンタ値A<「60×F」の場合、S55に進んで処理を繰り返す。
ここで、S64では、制御部551が印刷枚数のカウンタ値Aに基づいて、環境条件によって決定された係数Fを用いてクリーニングモードの実行頻度を決定している。
具体的には、環境条件が通常環境条件である場合、及び、連続印刷枚数が200枚以下の場合、クリーニングモードの実行頻度が少なくて良いときであり、係数FはF=1.0となっているため、60枚連続印刷毎に1回の頻度でクリーニングモードが実施される。
一方、環境条件がクリーニングモードの実行頻度が高くする条件であって、連続印刷枚数が200枚を超える場合、クリーニングモードの実行頻度を高くするときであり、係数XはX=0.2となっているため、12枚連続印刷毎に1回の頻度でクリーニングモードが実施される。
S65において、クリーニングモードが実施されると(S65)、カウンタ値Aはクリアされて、S55に戻り、再度カウンタ値Aは「1」からカウントされる(S66)。
S59において、印刷ジョブが終了した場合、S60に進む。
S60、S61、S63では、1度の印刷ジョブが比較的短いか又は比較的大きいかに応じて、カウンタ値Cの値を変更する。
まず、制御部551は、カウンタ値Aが12を超えるか否か、すなわち1度の印刷ジョブでの印刷枚数が12枚未満か否かを判断する(S61)。
カウンタ値Aが12以下であり、1度の印刷ジョブでの印刷枚数が比較的小さいとき、制御部551はカウンタ値Cの値に「1」を加える(S63)。
一方、カウンタ値Aが12を超えており、1度の印刷ジョブでの印刷枚数が比較的大きいとき、制御部551はカウンタ値Cをクリアにする(S61)。
そして、カウンタ値Cが50以上の場合(S67)、つまり連続印刷12枚未満のジョブが多いときにはカウントBをクリアする(S68)。
カウンタ値Sが50カウントに達していないとき(S67)、カウンタ値Bをクリアしないで、次のジョブが開始するときには200枚以内でもクリーニングモードの実行頻度を上げたままにする。
そして、最後にS69でクリーニングモードを実施し(S69)、S70でカウンタAをクリアして終了する(S70)。
カウンタ値Aは印刷ジョブ終了又はクリーニングモードの実行によりクリアされるが、カウンタ値B及びカウンタ値CはそれぞれS68、S61でしかクリアされず、印刷ジョブ終了やクリーニングモード実施でクリアされない。
このため、次の印刷ジョブに、クリーニングモードの実行頻度に関する情報は引き継がれる。
図8によれば、環境条件でクリーニングモードの実行頻度を変え、また同時にクリーニングモードの頻度履歴によって、次のジョブにおけるクリーニングモードの実行頻度を変えることができる。
(A−2−5)クリーニングモードの動作の変形実施形態
次に、図7及び図8で説明した画像形成装置10における環境条件に応じたクリーニングモードの実行頻度を変える動作の変形実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図12は、図7で例示した環境条件に応じてクリーニングモードの実行頻度を変える動作の変形実施形態を示すフローチャートである。
図12に例示するフローチャートにおいて、図7に例示するフローチャートと異なる点は、図7のS1〜S4のステップが、図12のS21〜S27のステップとなっている点である。
図12に例示するフローチャートでは、環境水分量aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲内にない場合、すなわち、画像形成装置10が高温高湿環境下又は低温低湿環境下に置かれている場合にも、適切なクリーニングモードの実行頻度を変更できるようにしている。
つまり、画像形成装置10が高温高湿環境下又は低温低湿環境下にあるときは、常温常湿環境下のときと比べて、クリーニングモードの実行頻度を高くするように、係数Xを設定するようにしている。
図12において、印刷が開始されると、制御部551は、図7のS1と同様に、温度センサ509や湿度センサ510から通知される情報に基づいて、環境温度を検出する(S21)。
S21において、環境温度が30℃未満の場合S22に移行し、環境温度が30℃以上の場合S24に移行する。
S24では、制御部551は、係数Xを「1.0」とする(S24)。
S22において、制御部551は、湿度センサ510からのデータに基づいて湿度を検出して、式(2)及び式(3)に従って、環境水分量(水蒸気量)aを算出する。環境水分量(水蒸気量)aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲にあるか否かを判断する(S22)。
S25において、環境水分量aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲にあるとき、制御部551は、係数Xを「1.0」とする(S25)。
S25では、環境水分量aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲内、すなわち常温常湿環境下に画像形成装置10が置かれている場合である。この場合は、図7のS3と同様にして、係数Xを設定してクリーニングモードの実行頻度を決定する。
S23において、制御部551は、環境水分量aが環境水分量a<4.6g/m3であるか又は環境水分量a>1.5g/m3であるかを判断する(S23)。
環境水分量aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲内でなく、かつ、環境水分量a<4.6g/m3のとき、すなわち、画像形成装置10が低温低湿環境下に置かれているとき、制御部551は係数Xを「0.2」に設定する(S26)。
一方、環境水分量aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲内でなく、かつ、環境水分量a>1.5g/m3のとき、すなわち、画像形成装置10が高温高湿環境下に置かれているとき、制御部551は係数Xを「0.5」に設定する(S27)。
ここで、図7のS2〜S4では、環境水分量aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲内にない場合、すなわち画像形成装置10が高温高湿環境下又は低温低湿環境下にあるときは、常温常湿環境下のときと比べて、クリーニングモードの実行頻度を高くするようにしている。さらに、画像形成装置10が高温高湿環境下又は低温低湿環境下にあるときは、係数Xと同一の値に設定している。すなわち、高温高湿環境下又は低温低湿環境下のときには、クリーニングモードの実行頻度を同一とする場合を例示した。
しかしながら、低温低湿環境下においては、高温高湿環境下に比べて現像剤の帯電量が上昇するため、外添剤が現像ローラに付着しやすい環境下になるため、低温低湿環境下におけるクリーニングモードの実行頻度を、高温高湿環境下におけるクリーニングモードの実行頻度よりも高く設定する方がより好ましい。
そこで、例えば、図12に示すように、S22において、環境水分量aが4.6g/m3≦a≦15.0g/m3の範囲内である常温常湿環境下に画像形成装置10がないとき、すなわち、高温高湿環境下又は低温低湿環境下にあるとき、高温高湿環境下にあるのか、又は低温低湿環境下にあるのかをS23において切り分けて、その結果に応じた係数Xの値をS26又はS27で定めるようにしても良い。
S26において制御部551は係数Xを「0.2」と設定し、S27において制御部551は係数Xを「0.5」と設定して、制御部551が、低温低湿環境下のときの計数Xの値を、高温高湿環境下のときの係数Xの値よりも小さく設定する。これにより、低温低湿環境下におけるクリーニングモードの実行頻度を、高温高湿環境下におけるクリーニングモードの実行頻度よりも高く設定することができる。
ここで、低温低湿環境下においても、高温高湿の環境下においても常温常湿環境下と比べてクリーニングモードの実行頻度を高い。具体的には、常温常湿環境下のときに、例えば60枚連続印刷毎に1回の頻度でクリーニングモードを実施するとき、高温高湿環境下では、例えば30枚連続印刷毎に1回の頻度で、低温低湿環境下では、例えば12枚連続印刷毎に1回の頻度でクリーニングモードを実施することができる。
なお、図12のS28〜S34の処理は、図7のS5〜S11の処理と同一又は対応するものであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、図12のフローチャートは、図7のフローチャートの変形実施形態として説明した。
しかし、図12のS28〜S34の処理が意図する技術的思想は、図8で例示した処理にも適用可能である。つまり、図8のフローチャートのS51〜S54の処理を、図12のフローチャートのS21〜S27の処理に代えるようにしても良い。
また、図12の図12のS28〜S34の処理が意図する技術的思想は、後述する第2の実施形態における処理にも適用可能である。
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、画像形成装置が置かれている環境条件(印刷条件)、クリーニングモード実行頻度履歴に基づいて、最適なクリーニングモードの実行頻度を決定することができる。そのため、帯電ローラの表面の外添剤付着を防止することができ、画像不良を防止し、かつ、スループットの低下を抑えることができる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明の画像形成装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
クリーニングブレードのゴム材は、環境によって物性が変わるため、例えばLL環境下ではゴム材が硬くなりやすい。クリーニングブレードのゴム材が硬くなると、その分感光ドラム表面上のトナーを掻き落とす能力が弱くなってしまい、トナーがクリーニングブレードをすり抜け、帯電ローラにより多くの付着物(外添剤)が付着しやすく傾向にある。
そのため、LL環境下は、HH環境下と比べて、付着物である外添剤が早く帯電ローラの表面に堆積してしまうので、その部分の濃度が薄くなり、印刷結果に縦白スジが出やすくなるという課題がある。
LL環境下に最適に合わせて制御すると、今度はHH環境下では必要以上にクリーニングモードが実行されることになり、印刷スループットが落ちるという課題がある。
また、連続印刷中に待機状態が入る間欠印刷の場合、通常の連続印刷よりもトナーの飛散が減るので、外添剤が帯電ローラの表面に堆積していくスピードは通常より遅くなる。
そのため、通常印刷時と同等の制御を行うと、やはり必要以上にクリーニングモードが実行されると、印刷スループットが落ちるという課題がある。
第2の実施形態は、上記課題に鑑み、LL環境下、間欠印刷か否かに応じて、最適な頻度でクリーニングモードの実行できるようにするものである。
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態に係る画像形成装置10Aは、第1の実施形態に係る図1及び図2の画像形成装置10と同一又は対応する構成部材を有して構成される。
そのため、第2の実施形態においても、第1の実施形態に係る図1及び図2を用いて説明する。
(B−2)第2の実施形態の動作
図9は、第2の実施形態に係る画像形成装置10におけるクリーニングモードの動作を示すフローチャートである。
図9において、S71〜S81は、1ページ印刷する毎に実行される処理フローである。印刷ジョブが終了するか、途中で印刷動作が中断されるまでループする。印刷ジョブ終了もしくは印刷動作が中断された場合は(S77)、次にS82〜S89の処理に移り、その処理を終えたらフローを終了する。
なお、間欠印刷の場合に画像形成装置10Aの制御部551が受信する印刷ジョブは、数ページ毎に、複数のジョブに分割されて受信される。
例えば、20ページの間欠印刷の場合は、5ページ毎で印刷するジョブが4個に分割されて制御部551に受信される。そのため、間欠印刷の場合は、以下のS82〜S89のルートに通常時の印刷より多く遷移する。
まず、図9において、制御部551が印刷ジョブを受信すると、印刷が開始される。まず、制御部551は、画像形成装置10が置かれている環境条件を示す環境値を認識するため、センサ部508の環境値eを検出する(S71)。
ここで、環境値eは、温度センサ509及び湿度センサ510により検出されたセンシングデータに基づいて決定される値である。
図10は、第2の実施形態に係る環境値eを説明する説明図である。図10において、縦方向は温度センサ509が読み取った値に基づく温度範囲を示し、横方向は湿度センサ510が読み取った値に基づく湿度範囲である。
環境値eは、「1」〜「8」の8段階で評価される値である。環境値eは、「8」に近づくにつれてLL環境とし、「1」に近づくにつれてHH環境とする。なお、第2の実施形態では、環境値eの値を8段階で評価する場合を例示したが、8段階に限定されるものではなく、LL環境とHH環境とを区別することができれるのであれば他の複数段階で環境値eを評価するようにしても良い。
制御部551は、温度センサ509からの温度と湿度センサ510からの湿度とに基づき、図10においてクロスする箇所の値を環境値eとして検出する。
その後、制御部551は、1ページ分の印刷動作(画像形成動作)を行う(S72)。1ページの印刷後、制御部551は、下記のカウンタ値A、カウンタ値G、カウンタ値Hを管理して更新する(S73)。
ここで、カウンタ値Aは、ジョブ開始からの印刷枚数を示す。カウンタ値Gは、前回クリーニングモード終了時からの印刷枚数を示す。カウンタ値Hは、電源ON又はスリープ復帰からの総印刷枚数を示す。
つまり、カウンタ値Aは、ジョブ開始からの印刷枚数であり、ジョブ終了時にクリアされるカウンタ値である(S79)。カウンタ値Gは、ジョブとは無関係で前回のクリーニングモード終了時からの印刷枚数であり、クリーニングモードが実行されるとクリアされるカウンタ値である。カウンタ値Hは、ジョブとは無関係で電源ON又はスリープ復帰からの総印刷枚数であり、電源ON又はスリープ復帰時にクリアされるカウンタ値である。
S74で、制御部551は、カウンタ値Hとパラメータdとを比較し(S74)、カウンタ値H≦パラメータdの場合にS75に進み、カウンタ値H>パラメータdの場合にS76に進む。つまり、制御部551は、送印刷枚数に基づいてクリーニングモードの実行頻度を変化させるための判定条件を判断する。
図11は、第2の実施形態に係る各種パラメータを説明する説明図である。図11において、パラメータx、パラメータy、パラメータz、パラメータa、パラメータb、パラメータh、パラメータi、パラメータd、パラメータsは、環境値eの値に応じて決定されるものである。
パラメータx、y、zは、クリーニングモードの実行頻度の基準値である。例えば、図11に示すように、パラメータx=75の場合、75枚連続印刷毎に1回実行することを基準としている。パラメータx、y、zは、環境値eの値に応じて変更される。つまり、環境値eの値が所定値より小さい場合、又は、環境値eが所定値より大きい場合、パラメータx、y、zの値は小さく、それ以外の場合には、パラメータx、y、zの値は大きい。
換言すると、パラメータx、y、zは、所定の低温度(10℃)未満かつ所定の低湿度(25%)未満、又は、所定の高温度(30℃)以上かつ所定の高湿度(60%)以上のときよりも、前記低温度及び前記高温度の間でありかつ前記低湿度及び前記高湿度の間のときの方が大きい。
パラメータa、b、h、iは、印刷環境に応じて決定される変数であり、パラメータx、y、zに乗算されることで、クリーニングモードの実行頻度を変更する変数である。
パラメータa、bは、電源ON又はスリープ復帰からの総印刷枚数を示すカウンタ値Hの値に応じて決定されるものである。なお、パラメータa、bは、後述するクリーニングモードの実行頻度変数Nとして代入される。
パラメータh、iは、間欠印刷か否かに応じて決定される変数である。つまり、1個のジョブ開始からの印刷枚数であるカウンタ値Aの値に応じて決定されるものである。なお、パラメータh、iは、後述するクリーニングモードの実行頻度変数Mとして代入される。
パラメータdは、ジョブとは無関係で電源ON又はスリープ復帰からの総印刷枚数に対する閾値である。パラメータdは、クリーニングモードの実行頻度変数Nとしてパラメータa又はbのいずれかに決定するために、カウンタ値Hと比較される際に用いられる。パラメータdは、例えば、図11において「200(枚)」と設定されているが、これに限定されるものではない。また、パラメータdを「200」とした理由は、連続印刷枚数が200枚程度のときに、帯電ローラ102の表面に付着物が付着する傾向があるためである。そのため、パラメータdの値は、適宜設定するようにしてもよい。
パラメータsは、間欠印刷であるか否かを判定するための閾値である。パラメータsは、クリーニングモードの実行頻度変数Mとしてパラメータh又はiのいずれかに決定するために、カウンタ値Aと比較される際に用いられる。パラメータsは、例えば、図11において「10(枚)」と設定されているが、これに限定されるものではない。また、パラメータdを「10」とした理由は、間欠印刷か否かを判定するために、1個の印刷ジョブでの印刷枚数が「10(枚)」を以下の場合に間欠印刷と判定するためである。そのため、パラメータsの値は、適宜設定するようにしてもよい。
S74におけるパラメータdは、総印刷枚数がある閾値を超えたか否かによるパラメータであり、パラメータNを決定する際に用いられるものである。
なお、パラメータd、パラメータa、パラメータbは、図11に基づき環境値eに基づいて決定されるパラメータである。
カウンタ値Hがパラメータd以下の場合、クリーニングモードの実行頻度変数N=aが設定される(S75)。このとき、図11に示すように、a>bであるため、総印刷枚数を示すカウンタ値Hがパラメータd以下の場合には、クリーニングモードの実行頻度が少なくなるように制御される。
一方、カウンタ値Hがパラメータdを超えた場合、クリーニングモードの実行頻度変数N=bが設定される(S76)。つまり、図11に示すように、a>bであるため、総印刷枚数を示すカウンタ値Hがパラメータdを超えた場合には、クリーニングモードの実行頻度が多くなるように制御される。
このような制御をしているのは、印刷枚数が増えてくると、帯電ローラ102にトナーの外添剤が徐々に堆積していくため、より早い段階でクリーニングモードの実行が必要となるからである。
S77では、制御部551が印刷ジョブ終了か又は印刷動作中断かを判定する(S77)。印刷動作が継続される場合、S78に進む。一方、印刷ジョブ終了又は印刷動作中断の場合、S82に進む。
S78では、制御部551が、カウンタ値Aと「N×x」とを比較し(S78)、カウンタ値A≧「N×x」の場合、S79に進み、カウンタ値A<「N×x」の場合、S71に戻り処理を繰り返す。S78では、制御部551が、クリーニングモードを実行するか否かの判定を行っている。つまり、S78では、初回のクリーニングモードの実行までの印刷枚数に基づいてクリーニングモードを実行するか否かを判定している。
ここで、「第3の実行頻度値」は、「N×x」のうち「a×x」の場合を示す。「第4の実行頻度値」は、「N×x」のうち「b×x」の場合を示す。「第5の実行頻度値」は、「N×z」に関して「b×x」又は「a×x」を示す。
S79では、制御部551が、カウンタ値Gと「N×z」とを比較し(S79)、カウンタ値A≧「N×z」の場合、S80に進み、カウンタ値A<「N×z」の場合、S71に戻り処理を繰り返す。つまり、S79においても、制御部551は、クリーニングモードを実行するか否かの判定を行っている。つまり、S79では、2回目以降のクリーニングモードの実行までの印刷枚数に基づいてクリーニングモードを実行するか否かを判定している。
S78及びS79のように、初回と2回目以降とに分けて、クリーニングモードを実行するか否かを判定している理由は、初回のクリーニングモードまでの印刷スループットをなるべく速くするためである。
S80において、クリーニングモードが実施されると(S80)、カウンタ値Bはクリアされて(S81)、S71に戻り、再度カウンタ値Bは「1」からカウントされる。
S77において、印刷ジョブ終了又は印刷動作中断の場合、S82に進む。
S82では、制御部551が、間欠印刷か否かを判定するため、カウンタ値Aとパラメータsとを比較する(S82)。そして、カウンタ値Aがパラメータsを超える場合、S83に進み、カウンタ値Aがパラメータs以下の場合、S84に進む。
つまり、パラメータsは、図11に示すように、印刷ジョブにおける印刷枚数が間欠印刷であるか否かを判定するための閾値である。
間欠印刷の場合、数ページの印刷ジョブに分割されて印刷を受信するため、印刷ジョブ開始からの印刷枚数であるカウンタ値Aは小さい。そこで、カウンタ値A≦sの場合は、制御部551は間欠印刷中と判断する。一方、カウンタ値A>sの場合は、制御部551は間欠印刷ではないと判断する。
S84では、制御部551は、総印刷枚数を示すカウンタ値Hからカウンタ値Aを引き算し、その結果を新たなカウンタ値Hの値とする(S84)。つまり、S84は、S71〜S81の印刷ジョブの処理で加えられた(カウントされた)カウンタ値Hの値を取り消す処理である。これは、間欠印刷の場合、次に受信した印刷ジョブにおいて、S74のクリーニングモードの実行頻度の判定処理で、S75のルートに遷移させ、クリーニングモードの実行頻度を増やさないようにするためである。
S85では、制御部551が、間欠印刷か否かに応じて決定されるクリーニングモード実行頻度変数Mとして、M=パラメータhを決定する(S85)。
また、S82でカウンタ値Aがパラメータsを超える場合、制御部551は、クリーニングモード実行頻度変数M=パラメータiと決定する(S83)。つまり、図11に示すように、パラメータh>パラメータiである。そのため、間欠印刷の場合(すなわち、カウンタ値A>パラメータsの場合)、クリーニングモードの実行頻度を少なくするように、クリーニングモード実行頻度としてパラメータiが決定される。これにより、間欠印刷であるか否かに応じて、クリーニングモード実行頻度を変更することができる。
ここで、「第1の実行頻度値」は、「M×y」のうち「h×y」の場合を示す。「第4の実行頻度値」は、「M×x」のうち「i×y」の場合を示す。
S86では、制御部551が、カウンタ値Gと「M×y」とを比較し(S86)、カウンタ値G≧「M×y」の場合、S87に進み、カウンタ値G<「M×y」の場合、S89に進む。
S87では、カウンタ値G≧「M×y」の場合、クリーニングモードが実施されると(S87)、カウンタ値Gをクリアし(S88)、更にカウンタ値Aをクリアして(S89)、処理が終了する。
一方、S86では、カウンタ値G<「M×y」の場合、クリーニングモードの実行がなされず、カウンタ値Aはクリアされて(S89)、処理が終了する。
従来、LL環境下での画像形成装置において定期的なクリーニングモードを行う場合には、クリーニングモードの実行頻度が充分でなく、帯電ローラ102の表面に付着物(外添剤)が付着し、縦白スジが発生していることを確認できた。
しかし、第2の実施形態に係る画像形成装置10Aにおいて、図9に例示する動作フローによれば、LL環境下の場合でも、クリーニングモードの実行頻度を高くすることができ、帯電ローラ102の表面上の付着物の低減を確認できた。その結果、画像品質を向上させることができる。
また、第2の実施形態に係る画像形成装置10Aにおいて、図9に例示する動作フローによれば、間欠印刷を行う場合でも、クリーニングモードの実行頻度を高くすることができ、帯電ローラ102の表面上の付着物の低減を確認できた。その結果、画像品質を向上させることができる。
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、クリーニングモードを実行することによって、従来とハードウェアの構成を変更しなくても、環境に応じてクリーニングモードの実行頻度と、間欠印刷か否かによるクリーニングモードの実行頻度を最適化することができる。
その結果、画像形成装置の状況に応じた最適なチャージクリーニングの実行頻度を決定することができ、帯電ローラの表面に付着している付着物の影響による画像結果の劣化を防止することができる。
(C)他の実施形態
上述した各実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態も適用することができる。
(C−1)上述した各実施形態では、電子写真方式のプリンタとして使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電子写真方式のMFPやファクシミリ装置等にも広く適用することができる。
(C−2)第1の実施形態において、クリーニングモードの実行頻度を、60枚の連続印刷毎に1回、又は、12枚の連続印刷毎に1回とする場合を例示したが、クリーニングモードの実行頻度はこれに限定されるものではない。
(C−3)第2の実施形態において、図10の環境値を決定するテーブルは一例である。また、図11のパラメータテーブルも一例であり、図10及び図11は、これらに限定されるものではない。