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JP6021022B2 - 測地線レドーム - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、圧密した複数の層を含む成形パネルを含み、それらの層がポリオレフィンテープを含む、測地線レドームに関する。
上記測地線レドームは、例えば国際公開第2010/122099号パンフレットにより知られており、そこには、少なくとも二方向に特異な曲げ弾性率を有する圧縮シートまたはパネルを含むレドームが開示されている。前記圧縮パネルは、また、ポリオレフィンテープを含む圧密した複数のレイヤーすなわち層を含んでもよい。国際公開第2010/122099号パンフレットの測地線レドームは高品質ではあるが、なお改良の余地があり得ることが確認された。
測地線レドームは、通常、アンテナを覆って保護するために使用する測地線構造体である。アンテナ、特にレーダー施設、測候所、衛星通信/遠距離無線通信インフラストラクチャーおよび電波望遠鏡などの大型アンテナは、気象、例えば太陽光、風、雨、雪、霰、砂、塩水飛沫、昆虫、動物、UV障害および大きな温度変動からそれらを保護するために、しばしば測地線レドームを必要とする。強風または暴風がしばしば発生する地域に設置するアンテナでは、風、ヘール(hale)、および風で飛ばされた破片などの飛翔体による衝突からアンテナを保護するために、測地線レドームの設置が特に必要である。
測地線レドームが、上述したような、例えば風、雪、雨および霰などのものの、それに作用する主に自然の力から、多様な荷重を受けることが知られている。これらの荷重は様々な特性を有するが、最も危険なものは圧縮荷重と剪断荷重である。測地線レドームが設置される環境の温度変化が望ましくない荷重を生じさせるおそれがあるため、レドームの場合の他の重要な因子は、熱安定性である。特に大型の測地線レドームでは、温度変化により引き起こされる荷重が、レドームの寿命を短縮させるおそれがある。
したがって、本発明の目的は、最適な機械的特性を有する測地線レドームを提供することとすることができる。本発明の別の目的は、成形パネルで作られた測地線レドームであって、それに作用する荷重、例えば圧縮荷重および剪断荷重などに十分に対応する測地線レドームを提供することであり得る。本発明のさらに別の目的は、最適な熱特性を有する測地線レドームを提供することであり得る。
本発明は、圧密した複数の層を含む成形パネルを含み、それらの層がポリオレフィンテープを含む測地線レドームであって、成形パネルが10MPa〜100MPaの圧縮強度、3MPa〜75MPaの層間剪断強度、および1e−6 1/K〜50e−6 1/Kの熱膨張を有する測地線レドームを提供する。
広範囲かつ長期に亘る研究の末、本発明者らは、上記範囲の機械的特性を有する成形パネルを使用することにより、最適化された測地線レドームが得られ得ることを確認した。特に、彼らは、本発明の測地線レドームが最適な組み合わせの機械的特性を有しており、そのため前記レドームはそれに作用する例えば風、雪および/または氷などにより発生する荷重に首尾よく耐え得ることを確認した。彼らはまた、本発明の測地線レドームが最適な安全率を有すること、および壊滅的な損傷、例えば崩壊が起こりにくくなり得ることを確認した。
いかなる説明にも限定されるものではないが、本発明者らはこれらの利点が上記の各種機械的特性間の相乗効果に起因するとした。例えば、風すなわち大気の流れを受けている測地線レドームは、風の方向や風の流れの種類、すなわち風の乱れの程度に応じて、前記レドームの表面に、圧力が異なる領域、例えば正圧および負圧の領域が出現し得る。圧力が異なる領域ができると、レドーム表面に特有の荷重振幅および荷重分布が生じるが、これらは測地線レドームにより最適に管理される必要がある。また、前記レドームに風が当たる場所では冷却効果が生じ得るために、測地線レドームの表面には温度変化も出現し得る。本発明者らは、例えば圧縮強度、層間強度および/または熱膨張が小さ過ぎる成形パネルを使用すると、荷重に対する測地線レドームの抵抗性および応答性に悪影響を及ぼし得ることを確認した。他方、そのような特性が大き過ぎる成形パネルを使用した場合も、それを含む測地線レドームが風圧に対処する際の効率に悪影響を及ぼし得る。
本発明の測地線レドームは成形パネルを含む。本明細書では、成形パネルは、測地線レドームの建設に使用するのに適した形状を有するパネルであると理解される。適した形状としては、三角形、長方形、正方形、六角形、八角形、および直線または曲線の辺を有するその他の多角形、例えばオレンジの皮様形状が挙げられる。また、本発明の測地線レドームは、上記形状を有する成形パネルの組み合わせを含んでもよい。
一実施形態において、本発明の測地線レドームは三角形のパネルを含み、好ましくは前記レドームは前記三角形パネルを全面に配置することができる構造体である。三角形パネルが全面に配置された測地線レドームおよびその構築方法は、例えば米国特許第4,901,483号明細書に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
別の実施形態においては、本発明の測地線レドームは、例えば米国特許第5,140,790号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているようなゴア形状のパネルを含む。
さらに別の実施形態においては、本発明の測地線レドームは、五角形のパネルおよび六角形のパネルを含み、五角形のパネルは六角形のパネルに隣にあって接している。そのような構造体は、例えば米国特許第5,873,206号明細書で開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の測地線レドームは、サイズが大きくなればなるほどより最適化されることが確認された。通常、測地線レドームは、地表面を覆うか、保護するために使用され、その形状は、高さ、球の直径および地際直径を含む一連の幾何学的特性によって特徴づけられる。本発明の測地線レドームは、好ましくは少なくとも3m、より好ましくは少なくとも5m、最も好ましくは少なくとも8mの地際直径を有する。好ましくは、前記直径は、最大でも30m、より好ましくは最大でも25m、最も好ましくは最大でも20mである。測地線レドームの地際直径は、本明細書では、前記レドームにより保護される地表面周縁上の2点間の最大距離と理解される。通常、測地線レドームにより保護される地表面は円形であり、この場合、地際直径は前記円の直径であると理解される。好ましくは、本発明の測地線レドームの高さは、少なくとも3m、より好ましくは少なくとも5m、最も好ましくは少なくとも8mである。好ましくは、前記高さは、最大でも15m、より好ましくは最大でも12.5m、最も好ましくは最大でも10mである。測地線レドームの高さは、本明細書では、地表面と測地線レドーム表面との間の最大距離と理解される。本発明の測地線レドームの地際直径/高さの比は、好ましくは0.1〜100、より好ましくは1〜50、最も好ましくは2〜10である。測地線レドームが球の1部を切り取った形状の場合には、測地線レドームの球径、すなわち球の直径は、好ましくは少なくとも3m、より好ましくは少なくとも5m、最も好ましくは少なくとも8mである。
本発明で使用する成形パネルは、圧密した複数の層を含む。圧密した複数の層とは、本明細書では、好ましくは一体化した構造体が形成されるよう、例えば熱および圧力をかけることによって互いに貼り合せた複数の層と理解される。
本発明では、層はポリオレフィンテープを含む。テープは、本明細書では、長さ寸法、幅寸法および厚さ寸法を有する物体であって、テープの長さ寸法が少なくとも幅寸法とほぼ同じ、好ましくは幅寸法より大きく、かつ前記長さ寸法が厚さ寸法よりはるかに大きい物体と理解される。また、テープは周縁を持つ断面を有しており、前記断面は幅と厚さにより特徴づけられる。幅は、本明細書では、断面の横断寸法が最も長いものであり、厚さは、本明細書では、断面の横断寸法が最も短いものであると理解される。また、テープという用語には、リボン、ストリップおよびフィルムの形態が含まれる。
適切なテープ幅は1mm〜2000mm、好ましくは15mm〜1600mm、より好ましくは30mm〜1600mmである。適切なテープ厚さは5μm〜5000μm、好ましくは10μm〜1000μm、より好ましくは10μm〜500μmである。テープ幅とテープ厚さの比は、好ましくは少なくとも10:1、より好ましくは少なくとも25:1、最も好ましくは少なくとも50:1である。テープ、特にUHMWPEテープの面密度は、好ましくは少なくとも20g/m2、より好ましくは少なくとも30g/m2、最も好ましくは少なくとも40g/m2である。前記面密度は、好ましくは最大でも55g/m2、より好ましくは最大でも50g/m2、最も好ましくは最大でも45g/m2である。
ポリオレフィンテープがポリエチレンテープであるとき、良好な結果を得ることができる。好ましいポリエチレンテープは、高分子量および超高分子量ポリエチレン([U]HMWPE)テープである。ポリオレフィンテープ、特にポリエチレンテープは、当技術分野で知られている任意の手法、例えば固相法、溶融紡糸またはゲル紡糸法により製造し得る。溶融紡糸法を使用する場合、テープの製造に使用する出発材料のポリオレフィン、特にポリエチレンの重量平均分子量は、好ましくは20,000g/mol〜600,000g/mol、より好ましくは60,000g/mol〜200,000g/molである。溶融紡糸法の例は、欧州特許第1,350,868号明細書に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。前記テープの製造にゲル紡糸法を使用する場合、好ましくは少なくとも3dl/g、より好ましくは少なくとも4dl/g、最も好ましくは少なくとも5dl/gの固有粘度(IV)を有するUHMWPEを使用することが好ましい。IVは、好ましくは最大でも40dl/g、より好ましくは最大でも25dl/g、より好ましくは最大でも15dl/gである。UHMWPEは、好ましくはC原子100個当たり1個未満の側鎖を有し、より好ましくはC原子300個当たり1個未満の側鎖を有する。UHMWPEテープは、欧州特許出願公開第0205960A号明細書、同第0213208A1号明細書、米国特許第4413110号明細書、英国特許出願公開第2042414A号明細書、同第A−2051667号明細書、欧州特許第0200547号明細書、同第0472114B1号明細書、国際公開第01/73173A1号パンフレット、欧州特許第1,699,954号明細書、および「Advanced Fibre Spinning Technology」,Ed.T.Nakajima,Woodhead Publ.Ltd(1994),ISBN 185573 182 7を含む多くの刊行物に記載されているように、ゲル紡糸法により製造することが好ましい。上記の方法では、テープを得るのに、紡糸孔の替りに紡糸スリットを有する紡糸ダイスが使用された。
本発明で使用するポリオレフィン、特にポリエチレンテープは、固相法、すなわちa)加圧手段、例えばダブルベルトプレスで挟んだポリオレフィン粉末層を、ポリオレフィン粉末の融点未満の温度で圧縮成形する工程と、b)得られた圧縮成形粉末をカレンダーロール間に通してテープを形成する工程と、c)テープを延伸する工程とを含む方法により製造することが好ましい。固相法で製造したテープは、通常、固相テープと呼ばれる。ポリオレフィン粉末は、UHMWPE粉末であることが好ましい。UHMWPE粉末は、好ましくは少なくとも3dl/g、より好ましくは少なくとも4dl/g、最も好ましくは少なくとも5dl/gのIVを有することが好ましい。前記IVは、好ましくは最大でも40dl/g、より好ましくは最大でも25dl/g、最も好ましくは最大でも15dl/gである。固相ポリオレフィン固相テープ(solid−state polyolefin solid−state tapes)、特にUHMWPE固相テープを使用すれば、改良された測地線レドームを得ることができる。
製造された固相テープの延伸、好ましくは、一軸延伸は、当技術分野で知られた手段により行うことができる。そのような手段には、適切な延伸装置による押出延伸および引張延伸が含まれる。機械的強度および剛性を高めるために、延伸を多段工程で行ってもよい。好ましいUHMWPEテープの場合、延伸は、多数の延伸工程において一軸延伸を行うことが好ましい。例えば、最初の延伸工程は、延伸倍率3まで延伸することを含み得る。温度を上昇させながら多段延伸を行い、テープの溶融が起こらない条件、例えばテープの融点未満の温度でプロセスを進ませることにより、約50以上の延伸倍率を達成し得る。これにより、高強度のテープが得られ、少なくともUHMWPEテープでは、1.5GPa以上の強度を得ることができる。
本発明で使用するポリオレフィンテープ、特にポリエチレンテープの引張強度は、好ましくは少なくとも0.5GPa、より好ましくは少なくとも1GPa、最も好ましくは少なくとも1.5GPaである。前記ポリオレフィンテープ、特にポリエチレンテープの引張弾性率は、好ましくは少なくとも30GPa、より好ましくは少なくとも50GPa、最も好ましくは少なくとも110GPaである。ポリオレフィンテープが、引張強度が少なくとも1.3GPa、より好ましくは少なくとも1.5GPaで、好ましくは引張弾性率が少なくとも100GPa、より好ましくは少なくとも105GPa、最も好ましくは少なくとも110GPaであるUHMWPEテープであるとき、良好な結果を得ることができる。
本発明では、測地線レドームは圧密した複数の層を含むパネルを含む。好ましくは、層は布、例えば織布、編布、組布、編組布または不織布、あるいはこれらの組み合わせを含み、前記布はポリオレフィンテープを含む。好ましい布は織布であり、その適切な例としては、平織、リブ織、バスケット織およびマット織、ならびに綾織の布などが挙げられるが、これらに限定されない。編布は、よこ編のもの、例えばシングルもしくはダブルジャージー布であっても、たて編のものであってもよい。不織布の例としては、フェルト、および一方向繊維布、すなわちポリマー繊維の大部分、例えば布中の全繊維の少なくとも80質量%、より好ましくは布中の全繊維が、共通の方向に沿って実質的に平行に走っている布が挙げられる。織布、編布または不織布の他の例、およびそれらの製造方法は、「Handbook of Technical Textiles」,ISBN 978−1−59124−651−0の第4,5および6章に記載されており、それらの開示は参考として本明細書に組み込まれる。編組布の説明とその例は、同ハンドブックの第11章、より詳しくは段落11.4.1に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。層が一方向繊維布を含むならば、良好な特性を有する測地線レドームを得ることができ、層が織布を含むならば、さらに良好な結果を得ることができる。最も好ましい織布は、平織およびバスケット織の布である。
好ましい実施形態においては、複数の層を形成している層は、隣接する層に対してある角度だけ回転している。前記角度は、好ましくは30°〜90°、より好ましくは35°〜70°、最も好ましくは40°〜50°である。例えば、一方向繊維布を含む層の場合、1つの層におけるポリオレフィンテープの走行方向が、隣接する層におけるポリオレフィンテープの走行方向に対し、ある角度をもっていることが好ましい。一方向繊維布の層では、前記角度は約90°が好ましい。通常、横糸方向およびたて糸方向を有している織物の場合には、1つの層の横糸方向が隣接する層の横糸方向に対してある角度だけ回転していることが好ましい。織布の層では、前記角度は約90°が好ましく、約45°がより好ましい。
本発明で使用する層はまた、バインダーまたはマトリックス材を含んでもよく、これらは、ポリオレフィンテープ間に含浸されていても、前記テープ上に被着されていてもよい。通常、バインダーまたはマトリックスは、テープを一体化するため、および/または層を含むパネルの機械的特性を改善するために使用される。各種のバインダーまたはマトリックスを使用することができ、その例として熱硬化性および熱可塑性材料が挙げられる。熱硬化性材料の群では、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、エポキシドまたはフェノール樹脂が好ましい。熱可塑性材料では、ポリウレタン、ポリビニル、ポリアクリル酸、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオレフィン、またはポリイソプロペン−ポリエチレン−ブチレン−ポリスチレンもしくはポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロックコポリマーなどの熱可塑性エラストマーブロックコポリマーが好ましい。特に、イソシアネートをマトリックスまたはバインダーとして使用すると、高周波数および極超高周波数で本発明の材料に良好な性能を付与することがわかった。
しかしながら、層には、通常、ポリオレフィンテープ間に含浸されたバインダーまたはマトリックス材、および/または前記テープに被着されたバインダーまたはマトリックス材が実質的に含まれていないことが好ましい。バインダーまたはマトリックス材が含まれていない場合、改善された測地線レドームが改善され得ることが確認された。
本発明では、測地線レドームの構築に使用する成形パネルは、機械的特性の特有の組み合わせを有する。前記パネルの圧縮強度は、好ましくは15MPa〜75MPa、より好ましくは20MPa〜50MPa、最も好ましくは30MPa〜45MPaである。前記パネルの層間剪断強度は、好ましくは5MPa〜50MPa、より好ましくは7MPa〜30MPa、最も好ましくは9MPa〜20MPaである。前記パネルの熱膨張は、好ましくは5e−6 1/K〜30e−6 1/K、より好ましくは9e−6 1/K〜25e−6 1/K、最も好ましくは13e−6 1/K〜20e−6 1/Kである。
また前記成形パネルは、好ましくは少なくとも100MPa、より好ましくは少なくとも250MPa、最も好ましくは少なくとも500MPaの引張破壊応力を有する。前記パネルはまた、好ましくは最大でも5%、より好ましくは最大でも3%、最も好ましくは最大でも1%の破断伸びを有する。前記成形パネルはまた、好ましくは少なくとも20GPa、より好ましく少なくとも40GPa、最も好ましくは少なくとも50GPaの弾性係数を有する。
前記成形パネルは、バインダー材もマトリックス材を実質的に含まないことが好ましい。
本発明で使用する成形パネルの厚さは、広い範囲で変化させ得る。前記厚さは、好ましくは少なくとも3mm、より好ましくは少なくとも10mm、最も好ましくは少なくとも50mmであることが好ましい。実用上の理由から、前記厚さは、好ましくは最大でも200mm、より好ましく最大でも175mm、最も好ましくは最大でも150mmである。本発明で使用する成形パネルの面密度は、好ましくは少なくとも20g/m2、より好ましくは少なくとも30g/m2、最も好ましくは少なくとも40g/m2である。前記面密度は、好ましくは最大でも55g/m2、より好ましくは最大でも50g/m2、最も好ましくは最大でも45g/m2である。
上記の機械的特性を有する成形パネルは、
a)ポリオレフィンテープを含む複数の層を用意する工程と、
b)少なくとも1枚の予備成形したポリマーフィルムを用意する工程と、
c)複数の層を積層して、上面と、その上面の反対側にある下面とを有する積層体を得、少なくとも1枚の予備成形したポリマーフィルムを少なくとも上面に配置して、前記積層体と前記予備成形したポリマーフィルムを含む組立体を作る工程と、
d)工程c)の組立体を、少なくとも30barの圧力と、ポリオレフィンテープの溶融温度未満の温度で、一定時間圧縮する工程と、
e)組立体を、70℃未満、好ましくは室温にまで冷却し、その後、圧力を開放する工程と、
f)組立体から予備成形したポリマーフィルムを除去する工程と
g)工程f)の組立体を成形して成形パネルを得る工程と
を含む方法にしたがって製造することができる。
本発明はさらに、上記のような方法に関する。
工程a)の層の数は、成形パネルが所望の厚さまたは面密度を有するように選択することができる。当業者であれば、通常、成形パネルが所望の厚さまたは面密度を有するように、層の数を決定することができる。
本発明の方法の工程b)においては、少なくとも1枚の予備成形したポリマーフィルムを用意する。予備成形ポリマーフィルムは、本明細書では、ポリマー材料から製造されるフィルムであって、自立性を有し、例えば前記フィルムの例えば50cm×50cmの試料を、その最大寸法の2倍の高さに懸架したとき、自重で破断しないフィルムと理解される。
本発明の方法では、各種ポリマー材料から製造された予備成形ポリマーフィルムを使用することができる。一実施形態では、前記予備成形ポリマーフィルムは、層に含まれるポリオレフィンテープの製造に使用したポリオレフィンとは異なるポリオレフィン(すなわち、それは異なるポリオレフィンの分類に属する)から製造される。本発明の方法で使用される予備成形ポリマーフィルムを製造する別の好ましいポリマー材料としては、ポリビニルベースの材料、例えばポリ塩化ビニル、およびシリコーンベースの材料が挙げられる。予備成形ポリマーフィルムが、ポリ塩化ビニルまたはシリコンゴムから製造されたフィルムである場合、良好な結果を得ることができる。
予備成形ポリマーフィルムの厚さは、好ましくは少なくとも50μm、より好ましくは少なくとも100μm、最も好ましくは少なくとも150μmである。予備成形ポリマーフィルムの厚さは、好ましくは100μm〜25mm、より好ましくは200μm〜20mm、最も好ましくは300μm〜15mmである。例えば、シリコンゴムフィルムでは、最も好ましい厚さは500μm〜15mmであり、ポリ塩化ビニルフィルムでは、最も好ましい厚さは1mm〜10mmである。広範囲の厚さを有するシリコンゴムおよびポリ塩化ビニルフィルムは商業的に入手可能であり、それぞれ、例えばArlon(US)およびWIN Plastic Extrusion(US)から得ることができる。
上記材料から製造された予備成形ポリマーフィルムは商業的に入手可能である。さらに、そのようなフィルムは、当業者であれば、当技術分野で一般に知られている手法、例えば押出、押出成形、固体圧縮成形またはフィルムブロー成形により容易に製造することができ、必要な機械的特性が得られる程度にまで、これらのフィルムを1軸方向または2軸方向に延伸させることができる。
本発明の方法の工程c)においては、層を積層して、積層体上面と積層体上面の反対側にある積層体下面とを有する積層体を得る。その後、少なくとも1枚の予備成形ポリマーフィルムを、少なくとも積層体上面に配置して、前記積層体と前記予備成形ポリマーフィルムとを含む組立体を作る。積層体上面および積層体下面と呼んでいるが、これらの命名は限定的ではなく、また交換可能であることはいうまでもない。予備成形ポリマーフィルムが積層体上面と積層体下面の両方に配置される場合に、より良好な結果を得ることができる。
本発明の方法における工程c)の組立体は、好ましくは工程d)で、少なくとも50bar、より好ましくは少なくとも100bar、最も好ましくは少なくとも150barの圧力で圧縮される。本発明の方法では、従来の任意の押圧手段、例えばWN Anlagepressを使用し得る。ダブルベルトプレス、特に等圧ダブルベルトプレスを使用した場合に、良好な結果を得られ得ることが確認された。等圧ダブルベルトプレスは当技術分野では知られており(例えば、TEIJIN CITATION)、例えばHymenn(DE)により製造されている。
圧縮中の温度は、一般に、成形型の温度により制御され、例えば層間に挿入した熱電対で測定することができる。圧縮工程の温度は、DSCで測定されるポリオレフィンテープの溶融温度(Tm)未満の温度を選択することが好ましい。例えば、ポリエチレンテープの場合、特にUHMWPEテープの場合、好ましくは135℃〜150℃、より好ましくは145℃〜150℃の圧縮温度を選択し得る。最低温度は、一般に、妥当な圧密速度が得られるよう選択する。これについては、50℃が適切な下限温度であり、好ましくは、この下限温度は少なくとも75℃、より好ましくは少なくとも95℃、最も好ましくは少なくとも115℃である。
組立体を圧縮した後、加圧下で好ましくは室温にまで冷却し、その後、圧力を開放する。その後、予備成形ポリマーフィルムを組立体から除去すれば、適切な機械的特性を有する圧縮積層体が得られる。
本発明の方法の工程g)における成形は、当技術分野で知られた方法により行うことができる。例えば、三角形、四角計、五角計、六角形のパネル、または他の多角形パネルを得るために、パネルをそのような形に切断することができる。また、パネルを一方向以上に湾曲させることができる。二方向以上に湾曲した3次元形状のパネルを作製する好ましい方法は、例えばCASE 24242に記載されている。
このように得られた成形パネルは、その後、本発明のレドームの構築に使用される。パネルは互いに結合することができ、最終的に、当技術分野で知られている手段、例えば米国特許第6,173,547号明細書(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているようなジョイントコネクターを使用してフレームに結合することができる。しかしながら、本発明で使用する成形パネルは特定の組み合わせの機械的特性を有するため、フレームレス型の測地線レドームを構築できることが確認された。例えば、米国特許第6,098,347号明細書に記載されているように、測地線レドームにおいては、通常、フレーム、例えば金属フレームがパネルを支持する。しかしながら、そのような金属フレームは測地線レドームの特性に悪影響を及ぼす。本発明の測地線レドームでは、フレームは不要であることが確認された。したがって、本発明の測地線レドームは、フレームレス型レドームであることが好ましい。
本発明はさらに、アンテナ、例えばフェイズドアレイアンテナと本発明の測地線レドームとを含むレーダーシステムに関する。
本発明はさらに、圧密した複数の層を含み、それらの層がポリオレフィンテープを含む成形パネルであって、上記機械的特性を有する、特に10MPa〜100MPaの圧縮強度、3MPa〜75MPaの層間剪断強度、および1e−6 1/K〜50e−6 1/Kの熱膨張を有するパネルに関する。本発明の成形パネルは、湾曲した構造体、例えばドーム、弓型屋根、球形または円形建築物などの構築に非常に適していることが確認された。したがって、本発明はまた、本発明の成形パネルを含む湾曲構造体に関する。
本発明はまた、圧密した複数の層を含み、それらの層がポリオレフィンテープを含む網状構造体であって、成形パネルが10MPa〜100MPaの圧縮強度、3MPa〜75MPaの層間剪断強度、および1e−6 1/K〜50e−6 1/Kの熱膨張を有する網状構造体に関する。
本発明のフレーム支持型およびフレームレス型測地線レドーム、ならびに湾曲および網状構造体は、少なくとも風による荷重に対して良好に応答することが確認された。特に、それらはハリケーンテープ(tape)の風、例えば風速200km/h前後の風に耐え得る。特に、風が引き起こす座屈、温度効果および層間応力を考慮すれば、本発明のレドームおよび構造体は極めて良好に機能することが確認された。
[測定方法]
・成形パネルの破断引張応力はASTM D638−10により測定した。
・成形パネルの破断伸びはASTM D638−10により測定した。
・成形パネルの弾性係数はASTM D638−10により測定した。
・成形パネルの圧縮強度はASTM D695−10により測定した。
・成形パネルの層間剪断強度はASTM D2344/D2344M−00 2006により測定した。
・成形パネルの熱膨張はASTM D696/DIN 53752により測定した。
・ポリオレフィンテープの引張特性:引張強度、破断伸びおよび引張弾性率は、ASTM D882に規定されるような幅2mmのテープの25℃での値と定義され、テープの公称ゲージ長さ440mm、クロスヘッド速度50mm/分を使用して測定する。
・ポリオレフィンの溶融温度(融点ともいう)は、加熱速度10℃/分でインジウムおよびスズにより校正された電力補償パーキンエルマー(PerkinElmer) DSC−7装置のDSCにより測定する。DSC−7装置の校正(2点校正)には、約5mgのインジウムと約5mgのスズを、両者とも小数点以下少なくとも2桁で秤量して使用する。インジウムは温度および熱流量の両方の校正に使用され、スズは温度の校正のみに使用される。

Claims (16)

  1. 圧密した複数の層を含む成形パネルを含み、前記層がポリオレフィンテープを含む測地線レドームであって、前記成形パネルが10MPa〜100MPaの圧縮強度、3MPa〜75MPaの層間剪断強度、および1e−6 1/K〜50e−6 1/Kの熱膨張を有する測地線レドーム。
  2. 前記成形パネルが、三角形、長方形、正方形、六角形、八角形、直線または曲線の辺を有するその他の多角形、オレンジの皮様形状、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される形状を有する請求項1に記載のレドーム。
  3. 三角形パネルを全面に配置することができる構造体である請求項1または2に記載のレドーム。
  4. ゴア形状のパネルを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のレドーム。
  5. 五角形のパネルおよび六角形のパネルを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のレドーム。
  6. 少なくとも3mの地際直径を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のレドーム。
  7. 少なくとも3mの高さを有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のレドーム。
  8. 0.1〜100の地際直径/高さ比を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のレドーム。
  9. 前記テープが、1mm〜2000mmの幅を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のレドーム。
  10. 前記ポリオレフィンテープがポリエチレンテープである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のレドーム。
  11. 前記ポリオレフィンテープが高分子量または超高分子量ポリエチレン([U]HMWPE)テープである請求項1〜10のいずれか一項に記載のレドーム。
  12. 前記ポリオレフィンテープがポリエチレン固相テープである請求項1〜11のいずれか一項に記載のレドーム。
  13. 前記ポリオレフィンテープが、少なくとも0.5GPaの引張強度を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載のレドーム。
  14. 前記ポリオレフィンテープが、少なくとも30GPaの引張弾性率を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載のレドーム。
  15. 前記層が、織布、編布、組布、編組布、不織布、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される布を含む請求項1〜14のいずれか一項に記載のレドーム。
  16. 前記成形パネルがバインダー材もマトリックス材も実質的に含まない請求項1〜15のいずれか一項に記載のレドーム。
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