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JP6005256B2 - 羽根車及びこれを用いた軸流送風機 - Google Patents

羽根車及びこれを用いた軸流送風機 Download PDF

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JP6005256B2 JP2015505544A JP2015505544A JP6005256B2 JP 6005256 B2 JP6005256 B2 JP 6005256B2 JP 2015505544 A JP2015505544 A JP 2015505544A JP 2015505544 A JP2015505544 A JP 2015505544A JP 6005256 B2 JP6005256 B2 JP 6005256B2
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Description

本発明は、換気扇や空気調和装置に用いられる羽根車及びこれを用いた軸流送風機に関するものである。
従来、換気扇や空気調和装置等に用いられる軸流送風機は、筐体に周縁がベルマウス形状を有する開口を形成し、開口に回転翼を有する羽根車を配置した構成を有している。この軸流送風機において、主に低騒音化のために回転翼の一部がベルマウスの高さよりも高い位置に突出するように配置されている。また、回転翼がベルマウス端部から突出しないように配置された場合、ベルマウスの吸い込み側の曲率を大きく形成することにより低騒音化が図られている。
また、羽根車の回転翼の形状を所定の3次元曲面形状にすることにより低騒音化及び高効率化を図ることが提案されている(例えば特許文献1−3参照)。特許文献1には、羽根がボス部との接続位置と周縁部とを結ぶ直線を所定の角度に形成されるとともに、所定の食違い角に形成されることにより騒音を抑制することが開示されている。特許文献2には、吸い込み方向の前傾角を小さくし、回転方向前進角を大きくして騒音を抑制することが開示されている。特許文献3には、ボス部から所定の位置までの第1領域の第1前傾角を一定にするとともに、第1領域よりも外周側の第2領域の第2前傾角を第1前傾角よりも大きく形成した羽根を有する軸流送風機が開示されている。
特公平2−2000号公報 特開平11−303794号公報 特許第3203994号公報
上記の特許文献1−3のように、翼形状を所定の3次元立体形状にすることにより、低騒音化及び高効率化を図っているが、前縁外周付近での翼側面からの吸い込みに対しては十分な考慮がされていない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、横吸い込みを考慮し低騒音化及び高効率化を図ることができる軸流送風機を提供することを目的とするものである。
本発明に係る羽根車は、円柱状の外形を有するボス部と、ボス部に放射状に取付けられた複数の回転翼とを備え、回転翼は、ボス部に接続された内周縁から所定の半径位置まで第1食違い角分布を有する第1領域と、第1領域に隣接する所定の半径位置から外周縁まで、第1食違い角分布とは異なる第2食違い角分布を有する第2領域とを有し、第2食違い角分布は、第2領域内において食違い角が極大になる極大半径位置から外周縁に向かって食違い角が減少する分布を有し、第1食違い角分布は、ボス部から外周に向かって食違い角が直線的に増加する分布を有するものである。
本発明の回転翼によれば、横吸い込みがある回転翼の第2領域の食違い角を横吸い込み分の流量増加に適合した角度を有するような第2食違い角分布にすることにより、翼外周付近での流れの剥離を防ぐことができるため、横吸い込みに起因する騒音の低減及び高効率化を達成することができる。
本発明の軸流送風機の実施形態1を示す斜視図である。 本発明の軸流送風機の実施形態1を示す斜視図である。 本発明の羽根車の実施形態1を示す上面模式図である。 本発明の羽根車の実施形態1を示す側面模式図である。 図2の羽根車における回転翼の所定の半径位置における円筒断面展開図である。 図2の回転翼の食違い角度分布を示すグラフである。 図2の回転翼の第1領域の半径位置R1における円筒断面展開図である。 図2の回転翼の第2領域の半径位置R2における円筒断面展開図である。 比較例の羽根車の一例を示す側面模式図である。 横吸い込みを考慮しない場合の相対速度ベクトルを示す模式図である。 横吸い込みを考慮した場合の相対速度ベクトルを示す模式図である。 図2の羽根車における相対速度ベクトルと気流との関係を示す模式図である。 図8の比較例の羽根車における相対速度ベクトルと気流との関係を示す模式図である。 図2の羽根車及び図8の比較例の羽根車を用いた場合の比騒音特性を示すグラフである。 図2の羽根車及び図8の比較例の羽根車を用いた場合のファン効率特性を示すグラフである。 図2の羽根車及び図8の比較例の羽根車を用いた場合の最小比騒音の差を示すグラフである。 図2の羽根車及び図8の比較例の羽根車を用いた場合の最高ファン効率の差を示すグラフである。 図2の羽根車及び図8の比較例の羽根車を用いた場合の外周縁における異なる食違い角毎の展開断面図を用いて高さの比較をしたグラフである。 本発明の羽根車の実施形態2における回転翼の食違い角度分布を示すグラフである。 図18の回転翼の第1領域の半径位置R1における円筒断面展開図である。 図2の羽根車、図8の比較例の羽根車及び図18の羽根車を用いた場合のファン効率特性を示すグラフである。 図2の羽根車、図8の比較例の羽根車及び図18の羽根車を用いた場合のファン効率特性を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明の羽根車及びこれを用いた軸流送風機の実施形態について説明する。図1は本発明の軸流送風機の実施形態1を示す斜視図であり、図1を参照して軸流送風機1について説明する。なお、図1Aは軸流送風機を正面から見た斜視図、図1Bは軸流送風機1を背面から見た斜視図をそれぞれ示している。図1の軸流送風機1は、筐体2と、吸込口に回転自在に配置された羽根車10と、羽根車を回転駆動させるモータMとを備えている。筐体2は、羽根車10を回転自在に収納し羽根車によって発生する気流が通る風路である開口3が形成されたものであって、開口3の縁部には空気流の上流側に向かって径が広がるようなベルマウス4が形成されている。
羽根車10は、外形略円柱状のボス部11と、ボス部11の外周に放射状に取り付けられた設けられた複数の回転翼12とを備えている。ボス部11は、回転軸CLにおいて筐体2に保持されたモータMに接続されており、モータMが駆動することによりボス部11が回転軸CLを中心に矢印RR方向に回転して、矢印A方向(図3参照)の気流が発生する。なお、図1の羽根車10は5枚の回転翼12を有する場合について例示しているが、回転翼12の枚数は3枚または他の複数の枚数であってもよい。
図2は本発明の羽根車の実施形態1を示す平面模式図、図3は本発明の羽根車の実施形態1を示す側面模式図であり、図2及び図3を参照して羽根車10における回転翼12について説明する。なお、図2及び図3において1枚の回転翼12について例示しているが、ボス部11に取り付けられた他の回転翼12も同一の形状を有している。図2の回転翼12は、所定の3次元立体形状を有するものであって、回転方向RRの正方向側に位置する前縁12aと、回転方向RRの逆方向側に位置する後縁12bと、ボス部11に接続された内周縁12cと、筐体2側に位置する外周縁12dとの4つの辺が形成されている。
回転翼12は、ボス部11から所定の半径位置(境界位置)Rdまでの第1食違い角分布Dξ1を有する第1領域AR1と、境界位置Rdから外周縁12dまでの第1食違い角分布Dξ1とは異なる第2食違い角分布Dξ2を有する第2領域AR2とを有している。この境界位置Rdは、例えば内周縁12c上の位置Rbから外周縁12d上の位置Rtまでの径方向の長さに対し、境界位置Rd=0.7×(Rt−Rb)に設定されている。ここで、図4は、前縁12aと後縁12bとの中点をつないだ線上の任意の点における回転翼12の展開断面図である。図4に示すように、食違い角ξとは、前縁12aと後縁12bとを結ぶ翼弦線SLと、回転翼12の前縁12aから回転軸CLと並行に延びる垂線HLとのなす角ξを意味する。
図5は図2の回転翼12における食違い角分布の一例を示すグラフである。なお、図5の食違い角ξの分布を表す線分において、線分の左端がボス部11に接続された内周縁12cの半径位置Rbにおける食違い角ξbであり、右端が外周縁12dの半径位置Rtにおける食違い角ξtを表している。図5において、第1領域AR1の第1食違い角分布Dξ1は、食違い角ξが滑らかに連続するように徐々に大きくなるような分布を有しており、特に、第1食違い角分布Dξ1は食違い角ξが一定の増加率で直線的(一次関数的)に増加する分布になっている。第1食違い角分布Dξ1は、例えば内周縁12cの半径位置Rbの食違い角ξb=58°に設定され、境界位置Rdでの食違い角ξd=64.46°に設定され、その間の第1領域AR1においては直線的に食違い角ξが増加する分布になっている。
第2領域AR2の第2食違い角分布Dξ2は、境界位置Rdから食違い角ξの増加率が徐々に減少するように食違い角ξが大きくなり、極大半径位置R2maxにおいて極大食違い角ξ2maxになり、極大半径位置Rmaxから外周縁12dに向かって徐々に食違い角ξが減少していき、第2領域AR2の外周縁12dの食違い角ξtが極大食違い角ξ2maxより小さくなるような分布を有している(ξt<ξ2max)。言い換えれば、第2領域AR2の第2食違い角分布Dξ2は、第2領域AR2内において食違い角ξが極大になる極大半径位置R2maxから外周縁12dに向かって食違い角ξが減少するような2次関数の分布を有している。なお、第2領域AR2の極大となる食違い角ξ2maxは、回転翼12全体の食違い角ξの最大値にもなっている。第2食違い角分布Dξ2は、例えば境界位置Rdの食違い角ξd=64.46°から極大半径位置R2maxの極大食違い角ξ2maxまで増加していき、極大半径位置R2maxから外周縁12dに向かって食違い角ξが減少し、外周縁12dの食違い角ξt=63.5°となる。なお、第1領域AR1と第2領域AR2と境界位置Rd上において、食違い角分布は連続した曲線もしくは直線になるような分布を有している。
このように、回転翼12の外周側にある第2領域AR2において、極大半径位置R2maxよりも外周縁12dの食い違い角ξtが小さくなるような第2食違い角分布Dξ2を有しているため、外周縁12dにおいて発生する横吸い込み分の流量増加に適合した角度に設定し、外周縁12dでの流れの剥離を防ぐことができるため、乱れに起因する騒音の低減及びファン効率の高効率化を達成することができる。
以下に、羽根車10について比較例と比較しながら説明する。なお、以下に示す実施形態1として上述した食違い角分布(図5参照)を有する回転翼12を用いる。一方、図8は比較例である回転翼112の一例を示す模式図であり、図8を参照して比較例の回転翼112について説明する。比較例の回転翼112も、図2及び図3の回転翼12と同様、所定の3次元立体形状を有するものであって、回転方向RRの正方向側に位置する前縁112aと、回転方向RRの逆方向側に位置する後縁112bと、ボス部111に接続された内周縁112cと、筐体2側に位置する外周縁112dとを有している。回転翼112は、図5の点線で示すような内周縁112cの位置から外周縁112dの位置まで直線的(一次関数)に食違い角ξが増加する食違い分布を有している。具体的には、回転翼112は、直径Rt=260(mm)、外周縁112d側の食違い角ξt=67.5°、ボス部111側の食違い角ξb=58°に設定されており、その間の食違い角ξは羽根径に応じて直線的に増加する食違い角分布を有している。
ここで、図5において、実施形態1と比較例との内周縁12cの位置Rbにおける食違い角ξbは一致している。そして、実施形態1の回転翼12の方が、内周縁12cから外周側に向かうにつれて、比較例の回転翼112よりも大きい増加率で食違い角ξが増加していく。図6は、第1領域AR1の任意の半径位置R1における実施形態1の回転翼12及び比較例の回転翼112を示す翼断面展開図である。図6に示すように、第1領域AR1において、実施形態1の回転翼12の食違い角ξ1は比較例の回転翼112の食違い角ξc1に比べて大きくなっており(ξ1>ξc1)、回転方向RRに対して寝ている。
図5の第2領域AR2において、実施形態1の回転翼12の食違い角ξの増加率が徐々に減少していき、比較例の回転翼112の食違い角ξに徐々に近づいていき、極大半径位置R2maxよりも外周側(外周縁12d)において、実施形態1の回転翼12の食違い角ξが比較例の回転翼112の食違い角ξよりも小さくなる。図7は、第2領域AR2の極大半径位置R2maxよりも外周側の半径位置R2における実施形態1の回転翼12及び比較例の回転翼112を示す翼断面展開図である。図7に示すように、極大半径位置R2maxよりも外周側の半径位置R2では、実施形態1の回転翼12の食違い角ξ2は比較例の回転翼112の食違い角ξc2に比べて小さくなっており(ξ2<ξc2)、回転方向RRに対して立っている。
図9及び図10は、外周縁12d近傍の翼円筒断面図と速度三角形との関係を示す模式図である。なお、図9は横吸い込みを考慮しない場合を示しており、図10は横吸い込みを考慮した場合をそれぞれ示しており、図中において回転軸方向(図3の矢印A方向参照)の流速ベクトルをV、V10、回転翼12の回転速度に対応する横ベクトルをU、流速ベクトルV、V10と横ベクトルUとを合成した相対流速ベクトルをW、W10で表す。図8に示すように、比較例の回転翼112において、気流が翼面の同一半径上の線素である翼素に沿って流れると仮定した場合の横吸い込みを考慮しない流速ベクトルV及び横ベクトルUに基づき2次元的な最適設計がされている。したがって、設計された流量では回転翼112への流入流れを示す相対流速ベクトルWの方向は前縁112aにほぼ適合する。
しかしながら、実際には外周縁112d側からの空気流があるため、前縁112aからの流入に翼側面からの横吸い込みの流れが加わることにより流量が多くなり、流速ベクトルV10(>V)になる。このため、図10に示すように相対流速ベクトルW10の方向と回転翼112の前縁112a側の角度とが適合しなくなってしまう。
図11は相対流速ベクトルW10の方向と回転翼112の前縁112aの角度が適合しない場合の空気流の状態を示す模式図である。図11に示すように、回転翼112の前面(図3の矢印A方向)からの流入以外に、前縁112a側においてベルマウス4側から横吸い込みがある。このため、翼負圧面112fの前縁112a側において空気剥離AC1等が起こり、回転翼112の形状に気流の流れが適合せず、乱れながら後縁112b側へ移流し、後流渦AC2の規模も大きくなる。これらの流れの損失が大きくなるため、送風−騒音特性が悪化する。
図12は相対流速ベクトルW10の方向と回転翼12の前縁12aの角度が適合した場合の空気流の状態を示す模式図である。回転翼12は所定の食違い角分布を有しているため(図6参照)、横吸い込みの影響が大きい外周縁12d近傍の食違い角ξが流量増加分に対応した分布を有している。このため、横吸い込みがある場合であっても相対流速ベクトルW10の方向と前縁12aの角度とが適合する方向となる。よって気流が翼形状に沿って流れ、剥離が小さくなるため流れの損失が小さくなり、送風−騒音特性の悪化も小さくなる。
図13は実施形態1の食違い角分布Dξを有する回転翼12と比較例の食違い角分布を有する回転翼112における比騒音特性とファン効率特性を比較したグラフである。なお、比騒音K[dB]は、風量をQ[m/min]、静圧をP[Pa]、騒音特性(A補正後)をSPL[dB]としたとき、下記式(1)で表すことができる。
[数1]
=SPL−10Log(Q・P 2.5) ・・・(1)
図13に示すように、比騒音Kが直線的な食違い角特性を有する翼に比べて広い範囲の風量帯で低騒音化が図られており、最大−5(dB)の低騒音化を図ることができる。
図14は実施形態1の食違い角分布Dξを有する回転翼12と比較例の食違い角分布を有する回転翼112におけるファン効率特性を比較したグラフである。なお、ファン効率E[%]は、軸動力をP[W]としたとき、下記式(2)で表すことができる。
[数2]
=(P・Q)/(60・P) ・・・(2)
図14に示すように、ファン効率についても最大+1(ポイント)の高効率化を図ることができる。
図15は図4の食違い角分布Dξを有する回転翼12において、外周縁12dの食違い角ξtを57.5〜66.5°まで変化させたときの最小比騒音Kとの関係を示したグラフである。図15において、57.5°≦ξt≦66.5°の範囲内において、いずれも低騒音化を図ることが可能となる。図16は図4の食違い角分布Dξを有する回転翼12において、外周縁12dの食違い角57.5°≦ξt≦66.5°の範囲内において変化させたときのファン効率の最高点との関係を示したグラフである。図16に示すように、本発明の食違い角分布を有する翼では今回検討した範囲ではいずれも高効率化を図ることが可能となる。より好ましくは、図15及び図16のグラフからわかるように、60°≦ξt≦63°のとき、騒音の発生を最小限に抑えながら効率よく軸流送風機1を運転させることができる。また、回転翼12の外周側において回転翼12の高さを比較例の食違い角分布を有する羽根に比べ低くでき、モータMとの接合などが容易となる。
図17は、外周縁12dにおける異なる食違い角ξt毎の展開断面図を用いて高さの比較をしたグラフである。なお、図17において所定の位置(たとえば前縁12a側)で位置合わせした際の高さの比較を示している。食違い角ξtが小さくなればなるほど前縁12a側と後縁12b側との高低差が生じて回転翼12の高さが高くなり、実施形態1においては比較例よりも高くなる。回転翼12の高さは製品の高さ制約やモータサポート等の隙間の関係などの制限を受ける。この高さの制限は、それぞれの製品形態や他の部品との関係から一品一様となるため、一般的に決めることができない。一方、食違い角ξtが57.5〜66.5°の範囲内であれば上述の高さ制約の範囲内に収めることができるとともに、上述した低騒音で高効率な回転翼12を提供することができる。特に60°≦ξt≦63°であれば、騒音の発生を最小限に抑えながら効率よく軸流送風機1を運転させることができる。
実施形態2.
図18は本発明の羽根車における回転翼の食違い角分布の実施形態2を示すグラフである。なお、図18の食違い角分布を有する羽根車も図1〜図3に示すようなボス部11及び複数の回転翼12を有する構成になっている。また、図18の食違い角分布が図5の食違い角分布と異なる点は、第1領域AR1の第1食違い角分布Dξ11である。なお、図18においても、図5と同様、境界位置RdはRd=0.7×(Rt−Rb)の位置に設定されており、境界位置Rdにより第1食違い角分布Dξ11を有する第1領域AR1と第2食違い角分布Dξ2を有する第2領域AR2とに区分されている。また、外周縁12dの食い違い角ξtは57.5°≦ξt≦66.5°の範囲内に設定されている。
図18の第1領域AR1において、食違い角ξは内周縁12cの半径位置Rbの食違い角ξ2bから徐々に減少し、極小半径位置R1minにおいて極小食違い角ξ1minになり、極小半径位置R1minから境界位置Rdの食違い角ξdに向かうにつれて徐々に増加していく。なお、半径位置Rbにおける食い違い角ξ2bは、回転翼12全体の食違い角ξにおける最大値となっている。具体的には、第1食違い角分布Dξ1は、例えば内周縁12cの半径位置Rbの食違い角ξ2b=72°に設定され、外周縁12dの半径位置Rtの食違い角ξt=63.5°に設定されている。
図19は図18の実施形態2の食違い角分布を有する回転翼において、第1領域AR1の任意の半径位置R1の断面展開図である。図19に示すように、半径位置R1において、従来の食違い角分布を有する翼に比べ、回転翼12が寝ている状態になる。
図20は実施形態2の食違い角分布Dξを有する回転翼12と比較例の食違い角分布を有する回転翼112における比騒音特性とファン効率特性を比較したグラフであり、図21は実施形態2の食違い角分布Dξを有する回転翼12と比較例の食違い角分布を有する回転翼112におけるファン効率特性を比較したグラフである。図20及び図21において、大風量側の特性は悪化する部分が存在するが、実使用領域である中間風量のポイントで、さらに低騒音・高効率化を図ることが可能となり、従来の食違い角分布を有する翼に比べ、最大−6(dB)の低騒音化を図ることが可能となる。ファン効率についても最大+2.4(ポイント)の高効率化を図ることが可能となる。
このように、図18に示すような第1領域AR1の食違い角分布Dξ1を有する場合であっても、実施形態1と同様、極大半径位置R2maxよりも外周縁12dの食い違い角ξtが小さくなるような第2食違い角分布Dξ2を有しているため、外周縁12dにおいて発生する横吸い込み分の流量増加に適合した角度に設定し、外周縁12dでの流れの剥離を防ぐことができるため、乱れに起因する騒音の低減及びファン効率の高効率化を達成することができる。また、回転翼12の外周側において回転翼12の高さを比較例の食違い角分布を有する羽根に比べ低くでき、モータMとの接合などが容易となる。さらに、第1領域AR1について図18に示す第1食違い角分布Dξ11にすることにより、滑らかに第2領域AR2の食違い角ξと接続することができ、薄型化を達成することも可能となる。
本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されない。たとえば上記実施形態1、2において、第1領域AR1が所定の第1食違い角分布Dξ1、Dξ11を有する場合について例示しているが、第2領域AR2の第2食違い角分布Dξ2は、第2領域AR2内において食違い角ξが極大になる極大半径位置R2maxから外周縁12dに向かって食違い角ξが減少するような分布を有しているものであれば、どのような第1食違い角分布を採用してもよい。
また、上記実施形態1において内周縁12cの食違い角ξb=58°の場合について例示し、実施形態2において内周縁12cの食違い角ξ20b=72°の場合について例示しているが、内周縁12cの食違い角ξb、ξ20bは、58°〜72°の範囲であることが好ましい。これは、回転翼12において、送風性能に最も寄与する範囲は半径の0.7〜1.0倍に位置する外周側の領域であって内周縁12cの寄与度は外周側に比べて低いものの、内周側はボス部11との関係で回転翼12が寝ていることが構造上有利になるためである。
1 軸流送風機、2 筐体、3 開口、4 ベルマウス、10 羽根車、11、111 ボス部、12、112 回転翼、12a、112a 前縁、12b、112b 後縁、12c、112c 内周縁、12d、112d 外周縁、112f 翼負圧面、AC1 空気剥離、AC2 後流渦、AR1 第1領域、AR2 第2領域、CL 回転軸、Dξ、Dξ1、Dξ11 第1食違い角分布、Dξ2 第1食違い角分布、HL 垂線、M モータ、R1 第1領域の半径位置、R2 第2領域の半径位置、RR 回転方向、Rb 内周縁の半径位置、Rd 境界位置(所定の半径位置)、Rt 外周縁の半径位置、SL 翼弦線、U 横ベクトル、V、V10 流速ベクトル、W、W10 相対流速ベクトル、ξ 食違い角、ξb、ξ20b 内周縁の食違い角、ξd 境界位置の食違い角、ξt 外周縁の食違い角。

Claims (10)

  1. 円柱状の外形を有するボス部と、
    前記ボス部に放射状に取付けられた複数の回転翼と
    を備え、
    前記回転翼は、
    前記ボス部に接続された内周縁から所定の半径位置まで第1食違い角分布を有する第1領域と、
    前記第1領域に隣接する所定の半径位置から外周縁まで、前記第1食違い角分布とは異なる第2食違い角分布を有する第2領域と
    を有し、
    前記第2食違い角分布は、前記第2領域内において食違い角が極大になる極大半径位置から前記外周縁に向かって食違い角が減少する分布を有し、
    前記第1食違い角分布は、前記ボス部から外周に向かって食違い角が直線的に増加する分布を有することを特徴とする羽根車。
  2. 前記第2食違い角分布は、前記所定の半径位置から前記極大半径位置まで食違い角の増加率が減少しながら食違い角が大きくなる分布を有することを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
  3. 前記第2食違い角分布は、2次関数の曲線状に変化する食違い角度分布を有することを特徴とする請求項2に記載の羽根車。
  4. 前記外周縁の食違い角は、57.5°〜66.5°の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の羽根車。
  5. 前記第1食違い角分布は、前記回転翼のうち最も小さい最小食違い角を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の羽根車。
  6. 円柱状の外形を有するボス部と、
    前記ボス部に放射状に取付けられた複数の回転翼と
    を備え、
    前記回転翼は、
    前記ボス部に接続された内周縁から所定の半径位置まで第1食違い角分布を有する第1領域と、
    前記第1領域に隣接する所定の半径位置から外周縁まで、前記第1食違い角分布とは異なる第2食違い角分布を有する第2領域と
    を有し、
    前記第2食違い角分布は、前記第2領域内において食違い角が極大になる極大半径位置から前記外周縁に向かって食違い角が減少する分布を有し、
    前記第1食違い角分布は、前記内周縁から前記第1領域における極小半径位置まで食違い角の減少率が減少するように小さくなり、前記第1領域における極小半径位置から前記所定の半径位置では徐々に食違い角が増加する分布を有することを特徴とする羽根車。
  7. 前記回転翼は、前記内周縁の食違い角が前記回転翼の食違い角のうち最大になることを特徴とする請求項に記載の羽根車。
  8. 前記第1食違い角分布は、2次関数の曲線状に変化する食違い角度分布を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の羽根車。
  9. 前記内周縁の食違い角は、58°〜72°の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の羽根車。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の羽根車と、
    前記羽根車の前記ボス部を回転駆動させるモータと、
    前記羽根車を回転自在に収納し前記羽根車によって発生する気流が通る筐体と
    を備えたことを特徴とする軸流送風機。
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