JP6005164B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
また、シートバックフレームが後傾するように変形する際、加わる衝撃エネルギーの大きさに依存して、後傾する角度が大きくなりすぎ、乗員の着座姿勢が変化して着座感が損なわれる虞があるという問題点があった。
したがって、上記のように、衝撃荷重が加わった際にシートバックフレーム(シート)が撓み変形して後傾する車両用シートにおいて、通常使用時剛性確保及び衝撃荷重付加時変形容易性のバランスを確保するとともに、撓み量を規制し、シートバックフレーム(シート)の変形量(後傾する角度)を制御することが可能な技術が求められていた。
また、本発明の他の目的は、衝突時、特に後面衝突時の衝撃エネルギーが加わった際、シートの変形量(後傾する角度)を規制してシートの撓み変形量を制御することにより、乗員の着座姿勢に与える影響が軽減される車両用シートを提供することにある。
そして、本発明における脆弱部は、第1脆弱部と第2脆弱部を有して構成され、第1脆弱部は、第2脆弱部の形成位置に向かって延出している。
このことにより、通常使用時における剛性を確保した状態で、第1脆弱部及び第2脆弱部に衝撃荷重が伝わり変形する際に、第1脆弱部と第2脆弱部との間の力の伝播を効率化することができる。
このように構成されていると、衝撃荷重が加わった際に、当該部分を効率的に変形させることができる。
このように、例えば、通常のシートであれば、車体フロアからの高さが同じとなる位置に第1脆弱部及び第2脆弱部を形成することができる。
よって、衝撃荷重が加わった際のフレーム側部の変形位置制御が容易となる。
この他部材が挿入される貫通孔としては、更に具体的には、請求項6のように、前記第2脆弱部は、前記車両用シートの組み立て時に、前記シートバックフレームを固定する固定治具が挿入される貫通孔であると好適である。
よって、第2脆弱部を形成するためのコストを軽減することが可能となるとともに、第2脆弱部を形成するための工数もまたカットすることができる。
また、通常は、サイドフレームを構成するフレーム延出部は、連結フレームの(溶接端側)端部を受けるため、内側方向に緩やかに延出し、下方に下りるに従い、その左右方向の幅が大きくなるように構成されている。
よって、第1脆弱部が形成されるこの位置は、通常、左右方向の幅が大きくなっている位置であり、このため、車両シートの通常使用状態における剛性を高く保持できる。
なお、より具体的には、変形の効率を考慮した第1脆弱部の形成位置として、連結フレームが重ね合わせられている領域の上部に近接した位置とすると好適である。
また、具体的には、請求項8のように、前記第1脆弱部である前記貫通孔は、前記車両用シートに対して後方から衝撃荷重が加わった際に上下方向に押し潰れるように変形し、前記淵部のうち、上下方向に並んで互いに対向する2つの領域は、前記貫通孔の変形量が所定量に達した際に当接して前記貫通孔の更なる変形を規制するよう構成されていると好適である。
したがって、第1脆弱部の変形量が一定値よりも大きくなることなく、その結果、シートの変形量が一定値以下になるように規制(制御)することができる。
また、上記のように、衝撃荷重が加わった際、シートの変形量が大きくなりすぎることがないように規制されるため、乗員の着座姿勢に与える影響が軽減される。
更に、特殊な規制部材を使用することなく、貫通孔の周囲を折り曲げて淵部とすることにより、規制部材の機能を果たすこととなるため、規制部材を付加するコストを削減することができる。
また、脆弱部を、第1脆弱部と第2脆弱部とに分割したことにより、通常使用時の剛性を確保することができるとともに、第1脆弱部が前記第2脆弱部の形成位置に向かって延出しているため、第1脆弱部及び第2脆弱部に衝撃荷重が伝わり変形する際に、第1脆弱部と第2脆弱部との間の力の伝播を効率化することができる。
請求項2の発明によれば、衝撃荷重が加わった際に、第1脆弱部の形成部分を効率的に変形させることができる。
請求項3の発明によれば、衝撃荷重が加わった際に、第1脆弱部及び第2脆弱部の形成部分を効率的に変形させることができる。
請求項4の発明によれば、衝撃荷重が加わった際のフレーム側部の変形位置制御が容易となる。
請求項5及び請求項6の発明によれば、第2脆弱部を形成するためのコストを軽減することが可能となるとともに、第2脆弱部を形成するための工数もまた有効に削減することができる。
請求項7の発明によれば、通常使用時における剛性を高く保持することができる。
請求項8及び請求項9の発明によれば、衝撃荷重が加わった際、シートの変形量が大きくなりすぎることがないように規制されるため、乗員の着座姿勢に与える影響が軽減される。
更に、特殊な規制部材を使用することなく、貫通孔の周囲を折り曲げて淵部とすることにより、規制部材の機能を果たすこととなるため、規制部材を付加するコストを削減することができる。
また、左右方向とは、車両前方を向いた状態での左右方向を意味し、後述するシートバックフレーム1の幅方向と一致する方向である。また、前後方向とは、乗員が着座した状態での前後方向を意味する物である。
図1乃至図4を参照して、実施形態に係る車両用シートSについて説明する。
車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1(背部)、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1(背部)及び着座部S2はシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、頭部の芯材(不図示)にクッションパッド材3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。また符号19は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーである。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部(不図示)で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
この渦巻きバネPは、シートバックフレーム1の状態がアンロック状態にあり、かつ、シートバックS1が後傾状態にあるときに、シートバックフレーム1を前方に回動させるように付勢するものであり、その一端部P1は、シートバックフレーム1側に設けられた係止部K1に係止されている。
なお、サイドフレーム15の下端側と連結フレーム18とは一体として構成されていてもよい。
なお、この上部フレーム16を構成する鋼製のパイプは、閉断面形状であればよく、例えば、断面形状が円形、矩形等のパイプが使用される。
本実施形態では、断面形状が円形のパイプを使用する。
更に、上部フレーム16の上方には、ヘッドレストS3が配設されている。ヘッドレストS3は、前述のように芯材(不図示)の外周部にクッションパッド3aを設け、クッションパッド3aの外周に表皮材3bを被覆して構成している。
この側板15aが、特許請求の範囲の「フレーム側部」に相当し、後縁部15cが、特許請求の範囲の「フレーム延出部」に相当する。
連結フレーム18(メンバーセンター)は、左右方向に離間して配設された一対のサイドフレーム15の下方(側板15a下方)を架橋連結するように形成されている。
連結フレーム18の両端部は、同方向に略90°各々屈曲している(この屈曲して延在する部分を「屈曲溶接部18A」と記す)。
この連結フレーム18は、両端に形成された屈曲部分が、側板15a(下部)と後縁部15c(下部)とで形成される内隅に沿うように配設され、この状態で、屈曲溶接部18A,18Aが側板15a,15a下部の内壁(シート内側を向く面)に溶接固定される。
なお、本実施形態における後縁部15cは、連結フレーム18の溶接側端部を受けるため(補強するため)、内側方向に緩やかに延出している。
つまり、後縁部15cは、下方に下りるに従い、その左右方向の幅が大きくなるように構成されている。
このように構成されているため、連結フレーム18の接合剛性が高まる。
なお、本実施形態においては、サイドフレーム15の側板15aを一枚の板で構成した。
この構成に限らず、シートバックフレームの側方をサイドフレームと、サイドフレーム下端部に連結された下部フレーム基礎部とに分けた構成としてもよいが、本例のようにこれらを一体とした構成とすることによって、部品点数を削減することができ、コストを低減することができる。
なお、この脆弱部150とは、孔部、凹部等により形成されたものである。
本実施形態において、脆弱部150,150は、水平面を基準に同じ高さとなる位置に形成されている。
以下、脆弱部150の構成と機能について説明する。
本発明の車両用シートSには、衝撃荷重が加わったときに変形する脆弱部(以下で説明する脆弱部150)が備えられている。
以下では、サイドフレーム15,15の下方に脆弱部150,150が各々形成された構成を説明する。
なお、本明細書中において、「脆弱部」とは、後面衝突時等の所定以上の大きさの衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱性を備えた部分を示すものであり、孔部、凹部等により形成されたものである。
つまり、本実施形態においては、一方のサイドフレーム15とリクライニングシャフト11aとの連結部(サイドフレーム側シャフト貫通孔17cの位置)と一方のサイドフレーム15下部に形成された脆弱部150の位置との距離が、他方のサイドフレーム15とリクライニングシャフト11aとの連結部(サイドフレーム側シャフト貫通孔17cの位置)と他方のサイドフレーム15下部に形成された脆弱部150の位置との距離と、同じになるように構成されている。
換言すると、本実施系形態においては、脆弱部150,150は、シートバックフレーム1の上下方向に延びる中心線Nに対して対照となる位置に各々形成されている(図3参照)。
ただし、これに限られることはなく、サイドフレーム15,15の下部に形成されていれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、どのような位置に形成することも可能である。
まず、脆弱部150の形成位置を説明する。
つまり、脆弱部150は、屈曲溶接部18Aと側板15aとの溶接連結地点の上方に沿って形成される。
また、脆弱部150は、渦巻きバネPの一端部P1を係止する係止部K1が配設される位置よりも上方に形成される。
つまり、脆弱部150は、屈曲溶接部18Aと側板15aとの溶接連結地点及び係止部K1よりも上方であって、これらの位置と近接する位置(沿う位置)に形成される。
よって、脆弱部150が形成されるこの位置は、後縁部15cの左右方向の幅が大きくなっている位置であり、このため、車両用シートSの通常使用状態における剛性を高く保持できる。
第1脆弱部150Aは、側板15a(下部)と後縁部15c(下部)とで形成される内隅部分を切り欠いて形成される長孔である。
つまり、第1脆弱部150Aは、側板15a(下部)と後縁部15c(下部)との境界部(以下、「境界部L」と記す)を跨ぐように形成され(切り欠かれ)た、左右方向に長軸を有する略楕円形状の長孔として形成されている。
そして、この第1脆弱部150Aの淵部分は、内側に向けて折り曲げられて、フランジ状の部分が形成されている。
すなわち、下側規制部150c及び上側規制部150dのうち少なくとも一方に備えられた当接面は、平面状に形成されている。
この場合、凹部内壁自体が、各規制部(側方規制部150e・上側規制部150d・下側規制部150c)の機能を果たし得る。
また、第1脆弱部150Aを凹部(溝)として形成した場合、境界部Lを跨ぐ位置のみ貫通孔を形成し、荷重付加時の力の伝達の効率化を図ってもよい。
第2脆弱部150Bは、側板15aにおいて第1脆弱部150Aから離れた位置(つまり、第1脆弱部150Aとは連続していない)に形成されているが、この位置は、第1脆弱部150Aを構成する側面側延出部150aの延長上に形成される。
これは、第1脆弱部150Aと第2脆弱部150Bとの間の力の伝播を効率化するためである。
具体的には、この第2脆弱部150Bは、車両用シートSの組み立て時に、シートバックフレーム1を固定する固定治具が挿入される貫通孔である。
このように、本実施形態においては、特別に加工を施すことなく、第2脆弱部150Bが形成される。
よって、特別な加工を最小限に抑えてコストを低減させることができるとともに、作業性もまた向上する。
後面衝突時の衝撃荷重が加わった際にサイドフレーム15が変形する様子について、図を参照して、以下説明する。
図6は通常時であり、図7は後面衝突時の衝撃荷重がサイドフレーム15にかかった場合の変形の様子である。後面衝突時、シートバックフレーム1に対して、主として後傾する方向の荷重が加わる。
つまり、図8の白抜矢印に示すように、後面衝突時の衝撃荷重が加わった際、脆弱部150が上下方向に押しつぶされるように屈曲してサイドフレーム15(さらには、シートバックフレーム1)が後傾するが、脆弱部150(第1脆弱部150A)が一定の範囲まで屈曲すると、上側規制部150dと下側規制部150cとが互いに接触し、脆弱部150(第1脆弱部150A)の屈曲量を規制する。したがって、上側規制部150d及び下側規制部150cを備えることにより、シートバックフレーム1の後傾量が大きくなりすぎることなく、後傾量を適当な大きさに設定することができる。
よって、この側方規制部150eもまた、脆弱部150の屈曲量が大きくなりすぎることがないように規制するために寄与するものとなる。
また、通常使用時においても、第1脆弱部150A付近の剛性を高める役割を果たす。
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
1a,2a,3a クッションパッド
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
11a リクライニングシャフト
11c シャフト挿通孔
K1 係止部
K2 着座側係止部
P 渦巻きバネ
P1 一端部
P2 他端部
15 サイドフレーム
15a 側板(フレーム側部)
15b 前縁部
15c 後縁部(フレーム延出部)
15d 突起部
150 脆弱部
150A 第1脆弱部
150a 側面側延出部
150b 後面側延出部
150c 下側規制部
150d 上側規制部
150e 側方規制部
150B 第2脆弱部
16 上部フレーム
16A 上部フレーム立上部
16B ピラー取付部
17c サイドフレーム側シャフト貫通孔
18 連結フレーム
18A 屈曲溶接部
18a リクライニングシャフト貫通孔
19 ヘッドレストピラー
19a ピラー支持部
35 引張りコイルばね
2 着座フレーム
N 中心線
L 境界部
Claims (8)
- シートバックフレームの左右側方に位置して上下方向に延びるフレーム側部を備える車両シートであって、
該フレーム側部には、衝撃荷重が加わった際に変形する脆弱部が形成されており、
該脆弱部は、前記フレーム側部の後端から前方に延出するように形成された第1脆弱部と、前記フレーム側部において前記第1脆弱部から離れた位置に形成された第2脆弱部と、を有して構成され、
前記第1脆弱部は、前記第2脆弱部の形成位置に向かって延出している貫通孔であり、該貫通孔を囲う淵部が折り曲げられていることを特徴とする車両用シート。 - 前記シートバックフレームには、前記フレーム側部から左右方向の内側に向かって延出するフレーム延出部が備えられており、
前記第1脆弱部は、前記フレーム側部と前記フレーム延出部との境界部を跨ぐように形成されており、
前記第1脆弱部のうち、前記フレーム側部に形成された部分は、前記境界部から前方に延出し、前記フレーム延出部に形成された部分は、前記境界部から左右方向の内側に延出することを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。 - 前記第1脆弱部及び前記第2脆弱部の双方は、貫通孔であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シート。
- 前記第1脆弱部及び前記第2脆弱部の双方は、該双方が上下方向において同じ位置に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用シート。
- 前記第2脆弱部は、前記車両用シートの組み立て時に、他部材が挿入される貫通孔であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用シート。
- 前記第2脆弱部は、前記車両用シートの組み立て時に、前記シートバックフレームを固定する固定治具が挿入される貫通孔であることを特徴とする請求項5に記載の車両用シート。
- 前記シートバックフレームの左右方向の両端部に備えられた一対のサイドフレームには、それぞれ、前記フレーム側部と、前記フレーム側部から左右方向の内側に向かって延出するフレーム延出部とが設けられ、
前記シートバックフレームには、前記サイドフレーム間を連結する連結フレームが備えられ、
該連結フレームの左右方向の各端部は、各前記サイドフレームに設けられた前記フレーム側部及び前記フレーム延出部のいずれとも重ね合わせられており、
前記第1脆弱部は、前記サイドフレームのうち、前記連結フレームが重ね合わせられている領域と沿うように形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両用シート。 - 前記第1脆弱部である前記貫通孔は、前記車両用シートに対して後方から衝撃荷重が加わった際に上下方向に押し潰れるように変形し、
前記淵部のうち、上下方向に並んで互いに対向する2つの領域は、前記貫通孔の変形量が所定量に達した際に当接して前記貫通孔の更なる変形を規制することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の車両用シート。
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