JP6091297B2 - 脱進機、ムーブメント、および時計 - Google Patents
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Description
かかる構成により、停止解除の期間中、がんぎ歯車の逆回転の加速度が抑制され、ジャンプの時間が減少するため、がんぎ歯車からアンクルに伝わるエネルギーの損失を抑制することができる。
かかる構成により、がんぎ歯と入爪の係合面に摩擦がない場合において、停止解除の期間中にがんぎ歯車の逆回転の加速度が抑制され、ジャンプの時間が減少するため、がんぎ歯車からアンクルに伝わるエネルギーの損失を抑制することができる。
かかる構成により、がんぎ歯と入爪の係合面に摩擦がある場合において、停止解除の期間中にがんぎ歯車の逆回転の加速度が抑制され、ジャンプの時間が減少するため、がんぎ歯車からアンクルに伝わるエネルギーの損失を抑制することができる。
かかる構成により、アンクルおよびがんぎ歯車が停止している期間中、がんぎ歯車がアンクルに伝える力は、アンクルを反時計回りに回転させるように働くため、外部から衝撃が加わった場合に、アンクルが容易にどてから離れててんぷの振動を阻害することを防ぐことができる。
かかる構成により、精度の高いムーブメントを提供することができる。
かかる構成により、精度の高い時計を提供することができる
本発明の第1実施形態について図1〜図5および図8、図9、図10に基づいて説明する。最初に、図1、図2、図8に基づき、本実施形態の脱進機の構成について説明する。図1は、本実施形態の脱進機の構造図であり、図2は、がんぎ車とアンクルとの係合部分の拡大図であり、図8(a)は、本実施形態の脱進機を備えるムーブメントの構成図であり、図8(b)は、かかるムーブメントを備える時計の図である。
図8(a)および図8(b)に示すように、本実施形態の機械式時計1は、例えば腕時計であって、ムーブメント(時計用ムーブメント)10と、このムーブメント10を収納するケーシング2と、により構成されている。
このムーブメント10は、基板を構成する地板11を有している。この地板11の裏側には図示しない文字板が配されている。なお、ムーブメント10の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント10の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。
二番車25は、香箱車22に噛合う歯車とされている。三番車26は、二番車25に噛合う歯車とされている。四番車27は、三番車26に噛合う歯車とされている。
図1に示すように、本実施形態における脱進機30は、アンクル105の揺動周期を調整するてんぷ40の振り座101と、振り座101に固定される振り石102と、振り石102が内部で動くことで振り石102からハコ内周面106に回転力が伝達されるアンクル105と、アンクル105に相対位置を調整可能に固定される入爪110および出爪114と、入爪110と出爪114とに断続的に係合するがんぎ歯123を有するがんぎ歯車122と、がんぎ歯車122とがんぎかな125とにより構成されるがんぎ車121と、アンクルのサオ109と係合してアンクル105の揺動角度を規制するどて103aおよび103bとを有している。がんぎかなは、前記四番車27と噛合っている。
アンクル105の入爪110は、がんぎ歯のロッキングコーナー124と係合する係合面としての停止面111と、がんぎ歯のロッキングコーナー124によって衝撃を受ける衝撃面113と、停止面111と衝撃面113が交わる入爪のロッキングコーナー112を有する。
次に、図1から図5に基づき、本実施形態の動作について説明する。図2は、本実施形態の入爪停止面111ががんぎ歯のロッキングコーナー124に接触した状態で、アンクル105が揺動軸C1を中心として時計回りに回り、入爪停止面111ががんぎ歯のロッキングコーナー124を反時計回りに押し戻す動作(停止解除)が開始される瞬間の図である。図3は、停止解除が終了する瞬間の図である。図4は、入爪停止面111に反時計回りに押し戻されたがんぎ歯のロッキングコーナー124が、入爪のロッキングコーナー112を離れた(ジャンプ)後、香箱22からの動力を受けて再び時計回りに回転を開始した瞬間の図である。図5はがんぎ歯のロッキングコーナー124がジャンプを終えて入爪の衝撃面113に衝突した瞬間の図である。
次に、図1から図3に基づいて本実施形態の入爪の停止面111の形状について説明する。ここでは、アンクルの揺動軸C1を原点とし、中心線VをY軸、アンクルの揺動軸C1を通り中心線Vに直交する水平線HをX軸とする座標系を考える。
なお、本実施形態においては、がんぎが鉄を材料とし、入爪はアルミナにより構成される人工ルビーを材料としている。
以上のような停止面111の形状を有する入爪110により、本実施形態は、以下のような作用効果を有している。
すなわち、停止解除の期間中に、上述の交点Tの位置が変動しないこと、および停止解除期間中のアンクルの揺動速度はてんぷの回動中心付近における力の伝達を受けてアンクルが動作しておりほぼ一定とみなすことができることから、がんぎ車の逆回転加速度が抑制され、停止解除の終了時におけるがんぎ車121の逆回転速度が抑えられる。よって、停止解除後のがんぎ車121(がんぎ歯123)のジャンプが抑えられる。その結果、トルクの伝わらない空転区間を小さくすることができるので、がんぎ車121からアンクル105に伝わるエネルギーの損失を抑制することができる。
ここで、上述のように交点Tが停止解除期間中に変動しないということは、アンクル105とがんぎ車121のトルク比が停止解除の期間中一定ということになる。
次に、本発明の第2実施形態について図6〜図7に基づいて説明する。本実施形態の第1実施形態との違いは、がんぎ歯のロッキングコーナーと入爪停止面の間の摩擦が微小であり、がんぎ歯のロッキングコーナーから入爪停止面への力の伝達方向が、がんぎ歯のロッキングコーナーから入爪停止面へ引いた法線とほぼ一致する点である。
まず、図6から図7に基づいて本実施形態の停止面211の形状について説明する。ここでは、アンクルの揺動軸C1を原点とし、中心線VをY軸、アンクルの揺動軸C1を通り中心線Vに直交する水平線HをX軸とする座標系を考える。
なお、本実施形態においては、がんぎおよび入爪を、シリコン、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素から適宜選択する構成としている。
以上のような停止面211の形状を有する入爪210により、本実施形態は、以下のような作用効果を有している。なお、以下に説明しない点については、上述の実施形態と同様である。
ここで、上述の交点Tが停止解除期間中に変動しないということは、アンクル205とがんぎ車221のトルク比が停止解除の期間中一定ということになる。
10 ムーブメント
30 脱進機
40 てんぷ
105 アンクル
110 入爪
111 停止面(係合面)
121 がんぎ車
122 がんぎ歯車
115 法線
116 直線(トルク伝達方向)
C1 アンクル揺動軸(揺動軸)
C2 がんぎ車回転軸(回転軸)
V 中心線(回転軸と揺動軸とを通る直線)
λ 摩擦角
T 回転軸と揺動軸とを通る直線とトルク伝達方向との交点(交点)
Claims (6)
- 回転軸回りに回転可能ながんぎ歯車と、
前記がんぎ歯車に係脱可能な入爪と、
揺動軸回りに揺動し、前記入爪が設けられるアンクルとを有する脱進機において、
停止解除の期間中に前記入爪における前記がんぎ歯車と係合する係合面は、前記回転軸と前記揺動軸とを通る直線と前記係合面におけるトルク伝達方向とが交わる交点が前記がんぎ歯車の回転角度によらず一定となる形状に形成されていることを特徴とする脱進機。 - 前記トルク伝達方向が、前記係合面における法線から、前記係合面における前記入爪と前記がんぎ歯車との接触による生じる摩擦角だけ偏角した方向となるように、前記係合面の形状が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の脱進機。
- 前記トルク伝達方向が前記係合面における法線となるように前記係合面の形状が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の脱進機。
- 前記交点が、前記がんぎ歯車の回転角度にかかわらず、前記回転軸と前記揺動軸とを結ぶ線分内に位置するように、前記係合面の形状が形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の脱進機。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の脱進機と、前記アンクルの揺動周期を調整するてんぷと、前記がんぎ歯車に動力を伝える輪列とを有するムーブメント。
- 請求項5に記載のムーブメントと、前記脱進機と前記てんぷとを含む脱進調速機構により調速された回転速度で回転する時針とを有する時計。
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