JP6088888B2 - 容器本体、容器、包装容器、シール方法、および、容器本体の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の蓋付き容器は、容器本体の層間接着力がフランジ部と蓋材との接着力より小さくなるように形成されている。容器本体は、表面層にポリプロピン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂の混合物と、低密度ポリエチレンとを共押出して得られた表面層および基材層の多層シートから形成され、蓋材の直鎖状低密度ポリエチレンからなる層の面がヒートシールされる。
本発明では、表面層に積層する基材層を構成する材料として、165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とするので、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止でき、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに高い密閉性が得られるヒートシールの接着強度を好適に設定できる。
ここで、層間剥離とは、多層構造体を構成する層の間で剥離する状態で、例えば表面層とこの表面層に直接隣接する基材層との間で剥離する状態である。
そして、基材層を構成する材料の165℃における損失正接tanδの値が0.18以上になると、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜りが発生して開封性が悪化するという不都合を生じる。このことから、165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とする。
なお、損失正接tanδの測定方法および測定装置は、動的粘弾性測定装置(DMS)である。そして、構成材料である樹脂の損失正接tanδは、使用する原料の配合によって制御す
ることができる。
この発明では、165℃における損失正接tanδの値を0.01以上0.18未満とすることで、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止でき、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに高い密閉性が得られるヒートシールの接着強度を好適に設定できる。
なお、165℃における損失正接tanδの値は0.18未満であれば特に問題はないが、例えば0.01以上であれば好適に用いることができる。
この発明では、表面層と基材層とを直接隣接して積層する構造としているので、基材層による樹脂溜まりの形成を防止して、表面層と基材層との適切な層間剥離を実施するとともに高い密閉性を得るための設定が容易に得られる。
この発明では、PP:PE=30質量%以上99質量%以下:1質量%以上70質量%以下で配合された樹脂組成物を用いて基材層を構成することにより、基材層を構成する材料の165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とすることが容易にできる。
ここで、質量比PP/PEが0.429より少なくなると剛性不足を生じるおそれがあり、質量比PP/PEが99より多くなると柔軟性不足を生じるおそれがある。
この発明では、基材層に、第二基材層と、第一接着剤層と、バリア層と、第二接着剤層と、第三基材層と、第四基材層とが積層されていることで、例えば食品類や医薬品、工業用品などの各種物品を良好に収納する容器や袋として好適に利用できる。
この発明では、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止できる本発明の容器本体を用いるので、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに高い密閉性が得られる容器を提供できる。
この発明では、フランジ部の表面層に開口部を囲んで切欠溝を設けることにより、例えばフランジ部にシールされた蓋体を開封する際、表面層と基材層との間で良好に層間剥離された後、切欠溝により蓋体と表面層との間で剥離して開口部を良好に開封できる。
この発明では、表面層の厚さ寸法以上の深さに切欠溝を設けているので、例えばシールされた蓋体を開封する際、表面層が第一基材層との間で層間剥離された後、確実に切欠溝により開口部側で表面層の層間剥離が解除されて蓋体と表面層との間で剥離し、確実に開口部を開封できる。
この発明では、容器本体の形状をカップ状あるいはトレー状とすることで、一般的な装置を用いてヒートシールを行うことができる。
この発明では、蓋体がフランジ部において接着される容器本体に、本発明の容器本体を用いることで、表面層と基材層との間で良好に層間剥離できるとともに、高い密封性が得られる包装容器を提供できる。
この発明では、本発明の容器本体に蓋体をヒートシールする際、環状形状の外周縁側に離間面を有し、離間面より内周縁側に平面を有するシール部を有したシール盤を用いるので、平面で融着性の高いヒートシールが得られるとともに、離間面の外周縁側に従って押圧力が小さくなることで、樹脂が緩やかに移動し、ヒートシールした部分の内周縁側に樹脂溜まりが形成されることを防ぐことができる。このため、表面層と基材層との間で良好に層間剥離できるとともに、高い密封性が得られる。
この発明では、本発明の容器本体を製造する製造方法に展開したもので、本発明の容器本体と同様の作用効果を奏する。
本実施形態では、本発明の多層シートとして包装容器の容器本体に成形する構成を例示するが、この限りではない。
図1において、10は多層シートで、多層シート10は、表面層11と、この表面層に隣接した基材層12との2層が順次積層された積層体である。
表面層11としては、例えば蓋体とヒートシールされる材料、好ましくはポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。具体的には、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、ブロックポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂や、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン系樹脂、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体などが用いられる。
基材層12は、165℃における損失正接tanδの値が0.18未満、好ましくは0.10以下、特に好ましくは0.07以下の材料が用いられる。
ここで、基材層12を構成する材料の165℃における損失正接tanδの値が0.18以上になると、例えばヒートシールした際に基材層が流動してヒートシールの縁に樹脂溜りが発生して開封性が悪化するという不都合を生じる。これらのことから、165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とする。なお、損失正接tanδの値は0.18未満であれば特に問題はないが、例えば0.01以上であれば、好適に用いることができる。
そして、損失正接tanδの測定方法および測定装置は、動的粘弾性測定装置(DMS)である。そして、構成材料である樹脂の損失正接tanδは、使用する原料の配合によって制御することができる。
そして、オレフィン系樹脂としては、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレンなどが用いられ、特にポリプロピレンが広く流通されて容易に入手でき安価であるとともに高強度である点から好適に用いられる。
ポリスチレン系樹脂としては、具体的には汎用の透明で剛性のあるGPグレードのポリスチレンや、耐衝撃性のHIグレードのポリスチレンなどが用いられ、特にHIグレードのポリスチレンが容器などとして利用する際に要求される耐衝撃性の点から好適に用いられる。
ポリエステル系樹脂としては、具体的には非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステルなどが用いられ、特に非晶性ポリエステルが加工性の理由から好適に用いられる。
ここで、質量比PP/PEが0.67より小さくなるとヒートシール時に樹脂溜りが発生して開封不良を発生するという不都合を生じるおそれがある。特に、質量比PP/PEが0.429より少なくなると剛性不足を生じるおそれがあり、質量比PP/PEが99より多くなると柔軟性不足を生じるおそれがある。
そして、ポリプロピレン系樹脂とは、具体的には、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、およびこれらの混合物の4種類のうちのいずれかから選択されたものである。そして、耐熱性を考慮する場合には、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンの順で好ましい。また、他の層とのシール性を考慮する場合には、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ホモポリプロピレンの順で好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂とは、具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどが用いられ、特に低密度ポリエチレンが成形加工安定性の理由から好適に用いられる。
また、基材層12は、表面層11に直接隣接して積層形成されているが、表面層11と基材層12との間に、接着層などのヒートシールにより流動しない、もしくは流動しにくい比較的に薄膜な層が設けられていてもよい。
次に、上記多層シート10を用いた易開封性容器の構成について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の易開封性容器1の一態様を示した概略図であり、図3は易開封性容器1の図2のIX-IXの位置における断面図であって、(A)は開封前の状態、(B)は開封後の状態を示す図である。
容器本体2は、所定の深さを有する略長方形のトレー形状であって、略長方形状の開口部24を有し、当該開口部24の周縁には、外側に張り出すようにフランジ部25が配設されている。易開封性容器1は、フランジ部25と、開口部24に対してフランジ部25に載置された蓋体3とがヒートシールされて環状のヒートシール部26(図3参照)が形成され、易開封性容器1の内部が密封状態とされる。さらに、容器本体2には、ヒートシール部26の内側に対して周状の切欠溝としてのノッチ27が、剥離層21を切り込む状態に設けられている。
そして、密封状態の易開封性容器1を開封するには、図3(A)に示すように、易開封性容器1の隅角に設けられた開封開始部4において蓋体3を上部に引き上げるようにすれば、図3(B)に示すように、易開封性容器1が簡便に開封される。
ここで、フランジ部25の厚さ寸法が200μmより薄くなると容器としての剛性が下がるという不都合を生じるおそれがあり、2000μmより厚くなると、多くの材料が必要となって製造コスト(原料費)が上がるという不都合を生じるおそれがあることから、上記範囲に設定される。
蓋体3を構成する外層32は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ナイロンフィルム(O−Ny)などを使用することができる。また、シール層31は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などの樹脂組成物を使用することができる。
そして、容器本体2と蓋体3とをヒートシールすることで、剥離層21とシール層31とが融着してヒートシール部26が形成され、開封の際には、応力に対して弱い容器本体2の剥離層21がノッチ27から外周側で表下層22と層間剥離される。
すなわち、容器本体2のフランジ部25と蓋体3とのヒートシールは、図4に示すように、容器本体2のフランジ部25に蓋体3を重ね合わせ、当該蓋体3の上部から、加熱状態の環状シール盤7を図4中の矢印方向に押圧することにより実施され、これにより、容器本体2のフランジ部25に現れた剥離層21と蓋体3のシール層31が融着される。
シール部7Aには、フランジ部25の上面に対して平行な平面である平面部7A1が内周側に設けられ、平面部7A1の外周側には平面部7A1に連続して、外周側に向かってフランジ部25の上面から離間する方向に傾斜した離間部7A2が設けられている。なお、平面部7A1の内周縁には、面取り用のR加工された凸曲面7A3が設けられているが、設けなくてもよい。
この離間部7A2の角度が2°より小さいと、ヒートシール時にシール部7Aを押圧した場合であっても、被ヒートシール面26Aと離間部7A2との間隔が十分でなくなり、平面部7A1に遅れることなく、ほぼ同時に離間部7A2が被ヒートシール面26Aを押圧し、離間部7A2に対応するヒートシール部26に樹脂を流動させることができないおそれがある。一方、離間部7A2の角度が20°を超えると、平面部7A1との境界の周辺がなだらかでなく尖ってしまい、シール時もしくは開封時に蓋体3が切断されてしまうおそれがあり、易開封性が損なわれるおそれがある。
なお、幅Hは、特に限定されないが、例えば0.8mm以上3.0mm以下、さらに好ましくは0.9mm以上2.5mm以下、特に好ましくは1mm以上2mm以下を好適に用いている。
上記実施形態によれば、表面層11(剥離層21)に積層する基材層12(表下層22)を構成する材料として、165℃における損失正接tanδの値を0.18未満としている。
このため、例えばヒートシールした際に基材層12(表下層22)が流動してヒートシールの縁に樹脂溜まりが形成されることを防止でき、樹脂溜まりにより層間剥離ができなくなることを防止でき、適切に層間剥離できるとともに、表面層11(剥離層21)と基材層12(表下層22)との接着力を低下させる必要がなく、高い密閉性が得られるヒートシールの接着強度を好適に設定できる。
このため、基材層12(表下層22)による樹脂溜まりの形成を防止して、表面層11(剥離層21)と基材層12(表下層22)との適切な層間剥離を実施するとともに高い密閉性を得るための設定が容易にできる。
ことため、樹脂溜まりを形成せずに適切な層間剥離を得るための層形成が容易にできる。
このため、基材層12(表下層22)を構成する材料の165℃における損失正接tanδの値を0.18未満とすることが容易にできる。
このため、良好な層間剥離が得られるとともに高い密封性が得られる易開封性容器1を提供できる。
このため、フランジ部25上で例えばシールされた蓋体3を開封する際、表面層11(剥離層21)と基材層12(表下層22)との間で良好に層間剥離できるとともに、高い密封性が得られる易開封性容器1を提供できる。
このため、例えばフランジ部25にシールされた蓋体3を開封する際、表面層11(剥離層21)と基材層12(表下層22)との間で良好に層間剥離された後、ノッチ27により蓋体3と表面層11(剥離層21)との間で剥離して開口部24を良好に開封できる。
このため、シールされた蓋体3を開封する際、剥離層21が表下層22との間で層間剥離された後、ノッチ27により開口部24側で剥離層21の層間剥離が確実に解除されて蓋体3と剥離層21との間で剥離し、確実に開口部24を良好に開封できる。
このため、一般的な装置を用いてヒートシールを行うことができる。
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
すなわち、多層シート10(容器本体2)の層構成としては、例えば以下に示す層構成としてもよい。
(a)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/バリア層
(b)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/第二基材層/バリア層
(c)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/バリア層/基材層12(表下層22)
(d)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/バリア層/基材層12(表下層22)/外表層(表面層11)
(e)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/第二基材層/バリア層/第二基材層
(f)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/第二基材層/バリア層/第二基材層/基材層12(表下層22)
(g)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/第二基材層/バリア層/第二基材層/基材層12(表下層22)/外表層(表面層11)
(h)表面層11(剥離層21)/基材層12(表下層22)/第二基材層/第一接着剤層/バリア層/第二接着剤層/第二基材層/基材層12(表下層22)/外表層(表面層11)
などの構造を挙げることができる。
また、基材層12は、表面層11の下層を構成し、例えば本発明の多層構造体を用いて成形された容器本体2を蓋体3とヒートシールして、蓋体3を開封する際に、表面層11との間で層間剥離する層で、多層構造体(多層シート10)の主要となる層であり、発明の多層構造体を用いて成形された容器本体2の表下層22を構成する層である。なお、基材層12は、以下の第二基材層が積層される場合には、主要となる層として機能しなくてもよい。
さらに、第二基材層は、多層構造体(多層シート10)の主要となる層として設けられ、例えば本発明の多層構造体を用いて成形された容器本体2の主要構成となる層である。
なお、上記(h)とする積層構造では、例えば食品類や医薬品、工業用品などの各種物品を良好に収納する容器や袋として利用できる。
同様に、蓋体3の層構成(外層32/シール層31)に限らず、外層32/バリア層/シール層31、あるいは第一外層32/第二外層32/シール層31の構成などが挙げられる。
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
なお、本発明は、以下の実施例、参考例および比較例により制限されるものではない。
下記に示すように、以下の層構成を示す多層シート10を用いて易開封性容器1の容器本体2を成形し、全体形状が図2、また、開封開始部4の断面構成が図3に示される易開封性容器1を製造した。
共押出成形により、以下の表面層/第一基材層(基材層)/第二基材層/第一接着層/バリア層/第二接着層/第三基材層/第四基材層(外表層)からなる、厚さが400μmの多層シート10を成形した。
表面層:ポリプロピレン(100質量%) (80μm)
第一基材層:ポリプロピレン(80質量%)+低密度ポリエチレン(16質量%)+高密度ポリエチレン(4質量%) (120μm)(tanδ=0.10)
第二基材層:ポリプロピレン(80質量%)+ポリエチレン(10質量%)+無水マレイン酸変性ポリプロピレン共重合体(10質量%) (205μm)
第一接着層:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(20μm)
バリア層:エチレン−ビニルアルコール共重合体(30μm)
第二接着層:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(20μm)
第三基材層:ポリプロピレン(80質量%)+ポリエチレン(10質量%)+無水マレイン酸変性ポリプロピレン共重合体(10質量%) (205μm)
第四基材層:ポリプロピレン(80質量%)+低密度ポリエチレン(16質量%)+高密度ポリエチレン(4質量%) (120μm)の積層体
次に、上記多層シート10を用いて、プラグアシスト真空成形により、45mm×60mm×25mmのフランジ付の容器本体2を成形した。なお、この容器本体2は、開口部24に対して幅5mmのフランジ部25を有し、略長方形のトレー状となるように形成されている。さらに、フランジ部25には、表下層22に達する深さのノッチ27を設けた。
このようにして得られた容器本体2の開口部24周縁のフランジ部25に対して、下記構成からなる多層フィルムを蓋体3として載置して、下記のシール条件を用い、また、環状シール盤7として、図4に示した、離間部7A2と平面部7A1と凸曲面7A3とが全周に形成された環状シール盤(シールリング)7を使用して、蓋体3を容器本体2のフランジ部25に対してヒートシールして、上記実施形態の易開封性容器1と同様の形状に製造した。
なお、この構成の容器本体2と蓋体3を使用すると、開封時は、容器本体2の表面層11と基材層12との間の層間剥離が行われる。
シール層31:ポリエチレン(60μm)
外層32:ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ポリアミド(ナイロン)(15μm)(PET/Ny/PEの順)
シール温度: 200℃
シール圧力: 1960N(200kgf/個)
時間: 1.1秒
ヒートシールの回数: 1回
シール幅H: 3mm
傾斜角度θ(離間部7A2):6°
離間部7A2の下端からのR加工:0.9mmR
実施例1において、多層シート10(容器本体2)の第一基材層(基材層12)の構成を下記のようにした以外は、実施例1と同様な方法を用いて、易開封性容器1を製造した。
なお、この構成の容器本体2と蓋体3を使用すると、実施例1と同様、開封時は、容器本体2の層間剥離が行われる。
(第一基材層の構成)
ポリプロピレン(80質量%)+ポリエチレン(20質量%)(100μm)(tanδ=0.17)
実施例1において、多層シート10(容器本体2)の第一基材層(基材層12)の構成を下記のようにした以外は、実施例1と同様な方法を用いて、易開封性容器1を製造した。
なお、この構成の容器本体2と蓋体3を使用すると、実施例1と同様、開封時は、容器本体2の層間剥離が行われる。
(第一基材層の構成)
ポリプロピレン(100質量%) (100μm)(tanδ=0.15)
実施例1において、多層シート10(容器本体2)の第一基材層(基材層12)の構成を下記のようにした以外は、実施例1と同様な方法を用いて容器を製造した。
(第一基材層の構成)
ポリプロピレン(ブロックPP85質量%)+ポリエチレン(15質量%) (100μm)(tanδ=0.32)
実施例1において、多層シート10(容器本体2)の第一基材層(基材層12)の構成を下記のようにした以外は、実施例1と同様な方法を用いて容器を製造した。
(第一基材層の構成)
ポリプロピレン(ブロックPP100質量%) (100μm)(tanδ=0.24)
前記のようにして得られた実施例1,2、参考例および比較例1,2の開封強度、開封時の開封感、および、内圧強度を下記の基準にて比較・評価した。結果を表1に示す。
上記形状の易開封性容器1の蓋体3の角部をチャックで掴み、蓋体3の天面とチャックの角度を45°にして引っ張った際の開封強度を測定した。開封強度の測定には、株式会社イマダ製のデジタルフォースゲージを用いた。測定は、5回実施して平均値を演算し、以下の2段階で評価した。
◎:開封強度が4.9N以上9.8N未満(0.5kgf/開封口以上1.0kgf/開封口以下)
○:開封強度が9.8N以上14.7N以下(1.0kgf/開封口以上1.5kgf/開封口以下)
×:開封強度が14.7Nより大きい
易開封性容器に加圧空気を1.0±0.2リットル/minで注入し、当該容器が破裂したときの圧力(MPa)を測定した。試験は、破裂強度試験機(株式会社サン科学製)を用い、n=5で行った。内圧強度の評価は、以下の4段階で評価した。
◎:内圧強度が非常に高い。(0.100MPa以上)
○:内圧強度が高い。(0.060MPa以上0.099MPa以下)
△:内圧強度がやや低い。(0.030以上0.059MPa以下)
×:内圧強度が低い。(0.03MPa未満)
2………加工物である容器としての容器本体
3………蓋体
7………シール盤である環状シール盤
7A……シール部
7A1…平面である平面部
7A2…離間面である離間部
7B……基盤部
10……多層構造体としての多層シート
11………表面層
12………基材層
24………開口部
25……フランジ部
27……切欠溝としてのノッチ
Claims (10)
- 蓋材がヒートシールされるフランジ部を有した容器本体であって、
前記蓋材のシール層がヒートシールされる表面層と、この表面層に層間剥離可能に直接隣接して積層される基材層とを含み、
前記表面層を構成する材料は、ポリオレフィン系樹脂であり、
前記基材層を構成する材料は、プロピレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリプロピレン系樹脂といい、適宜PPと表す)と、エチレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリエチレン系樹脂といい、適宜PEと表す)とを、PP:PE=30質量%以上99質量%以下:1質量%以上70質量%以下で配合され、165℃における損失正接tanδの値が0.18未満の樹脂組成物である
ことを特徴とする容器本体。 - 請求項1に記載の容器本体であって、
前記165℃における損失正接tanδの値は、0.01以上0.18未満である
ことを特徴とする容器本体。 - 請求項1または請求項2に記載の容器本体であって、
前記基材層には、第二基材層と、第一接着剤層と、バリア層と、第二接着剤層と、第三基材層と、第四基材層とが積層されている
ことを特徴とする容器本体。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の容器本体であって、
前記フランジ部の前記表面層には、前記開口部を囲んで切欠溝が設けられている
ことを特徴とする容器本体。 - 請求項4に記載の容器本体であって、
前記切欠溝は、前記表面層の厚さ寸法以上の深さに設けられた
ことを特徴とする容器本体。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の容器本体であって、
前記容器本体の形状は、カップ状あるいはトレー状である
ことを特徴とする容器本体。 - 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の容器本体を備えている
ことを特徴とする容器。 - 蓋材が容器本体のフランジ部において接着された包装容器であって、
前記容器本体が請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の容器本体である
ことを特徴とする包装容器。 - 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の容器本体と、蓋材とを、シール盤を用いて前記フランジ部でヒートシールするシール方法であって、
前記シール盤は、
基盤部とその一方の面に環状形状のシール部を有し、
前記シール部は、前記環状形状の外周縁側に外周縁に従って被ヒートシール面から離間する離間面と、当該離間面より前記環状形状の内周縁側に設けられ前記被ヒートシール面に平行な平面と、を備え、
前記シール盤を、前記蓋材を介して前記フランジ部に押圧してヒートシールする
ことを特徴とするシール方法。 - 表面層と、基材層とを含む多層構造体を用いて、蓋材がヒートシールされるフランジ部を有した容器本体を製造する製造方法であって、
ポリオレフィン系樹脂を用いて前記表面層を形成し、
プロピレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリプロピレン系樹脂といい、適宜PPと表す)と、エチレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリエチレン系樹脂といい、適宜PEと表す)とを、PP:PE=30質量%以上99質量%以下:1質量%以上70質量%以下で配合され、165℃における損失正接tanδの値が0.18未満の樹脂組成物を用いて前記基材層を形成し、
前記表面層と前記基材層とを層間剥離可能に直接隣接して積層形成する
ことを特徴とする容器本体の製造方法。
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