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JP6073212B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸着する吸着材を備えるキャニスタと、前記キャニスタと前記燃料タンクとをつなぐベーパ通路に設けられている封鎖弁とを備える蒸発燃料処理装置に関する。
これに関連する従来の蒸発燃料処理装置が特許文献1に記載されている。
特許文献1の蒸発燃料処理装置は、キャニスタと燃料タンクとをつなぐベーパ通路に封鎖弁(制御バルブ)を備えている。前記封鎖弁は、蒸発燃料を遮断する不感帯領域(閉弁領域)と、蒸発燃料を通過させる導通領域(開弁領域)とを備えており、閉弁状態で燃料タンクを密閉状態に保持し、開弁状態で燃料タンクの蒸発燃料をキャニスタ側に逃がし、燃料タンクの内圧を低下させられるように構成されている。
特許文献1の蒸発燃料処理装置は、封鎖弁の開度を閉弁位置から所定速度で開方向に変化させて、燃料タンクの内圧が低下し始めたときに、封鎖弁の開度を開弁開始位置として記憶する学習制御を行なっている。
特開2011−256778号
しかし、前記学習制御の途中で燃料タンクの内圧検出が不能になった場合には、燃料タンクの内圧が低下し始めたタイミングを把握することができない。したがって、封鎖弁が実際には開弁している状態であるも係わらず学習制御が完了しないことがあり、不適切な値が学習値として記憶されることがある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、 学習制御が不可能な場合、あるいは不適正に行われた場合であっても学習値が不適切な値にならないようにすることである。
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸着する吸着材を備えるキャニスタと、前記キャニスタと前記燃料タンクとをつなぐベーパ通路に設けられている封鎖弁とを備える蒸発燃料処理装置であって、前記封鎖弁は、弁座に対する弁可動部の軸方向距離であるストローク量が零から所定範囲内にあるときが閉弁状態で前記燃料タンクを密閉状態に保持可能であり、前記ストローク量を規則的なストローク制御工程により段階的に開弁方向に変化させて、前記燃料タンクの内圧が所定値以上低下したときの前記ストローク量に基づいて開弁開始位置を学習できるように構成されており、前記封鎖弁の開弁開始位置の学習では、前記ストローク制御工程が設定回数以上繰り返されても、前記燃料タンクの内圧が所定値以上低下しない場合には、前記封鎖弁の開弁開始位置のストローク量である学習値を前記封鎖弁が閉弁状態となるフェールセーフ値にすることを特徴とする。
本発明によると、封鎖弁の開弁開始位置の学習では、規則的なストローク制御工程が設定回数以上繰り返されても、燃料タンクの内圧が所定値以上低下しない場合には、封鎖弁の開弁開始位置のストローク量である学習値を前記封鎖弁が閉弁状態となるフェールセーフ値にする。このため、例えば、学習制御の途中で燃料タンクの内圧検出が不能になった場合でも、学習値は封鎖弁が閉弁状態となるフェールセーフ値となる。したがって、封鎖弁が開弁している状態のストローク量が誤って学習値として記憶されるような不具合がない。
請求項2の発明によると、ストローク制御工程とは、ストローク量を第1所定ストロークだけ開弁方向に変化させ、第1所定ストロークよりも小さい第2所定ストロークだけ閉弁方向に変化させる工程であることを特徴とする。
これにより、燃料タンクの内圧変化の応答性が速くなる。
請求項3の発明によると、封鎖弁の開弁開始位置の学習途中で燃料タンクの内圧が検出不能となった場合には、前記学習を中止して学習値をフェールセーフ値にすることを特徴とする。
このため、燃料タンクの内圧が検出不能となった場合、封鎖弁のストローク量を開弁方向、閉弁方向に変化させる工程を設定回数以上繰り返す必要がなくなり、速やかに学習制御を終了できる。
請求項4の発明によると、エンジンを起動させるイグニッションスイッチがオンしてから前記燃料タンクの内圧検出可能、あるいは内圧検出不能の判定が行なわれるまでの間は、前記封鎖弁の開弁開始位置の学習が禁止されることを特徴とする。
請求項5の発明によると、燃料タンクの内圧が検出不能と判定された場合には、前記学習値をフェールセーフ値にすることを特徴とする。
即ち、燃料タンクの内圧が検出不能と判定された場合には、封鎖弁のストローク量を開弁方向、閉弁方向に変化させる必要がなくなるため、速やかに学習制御を終了できる。
請求項6の発明によると、フェールセーフ値は、封鎖弁の機械的な全閉位置であることを特徴とする。
請求項7の発明によると、フェールセーフ値は、前記封鎖弁の開弁開始位置の学習実績がある場合には、前回行われた開弁開始位置の学習における学習値であることを特徴とする。
本発明によると、学習制御が不可能な場合、あるいは不適正に行われた場合であっても学習値が不適切な値にならない。
本発明の実施形態1に係る蒸発燃料処理装置の全体構成図である。 前記蒸発燃料処理装置で使用される封鎖弁のイニシャライズ状態を表す縦断面図である。 前記封鎖弁の閉弁状態を表す縦断面図である。 前記封鎖弁の開弁状態を表す縦断面図である。 前記封鎖弁の開弁開始位置を学習する学習制御を表すフローチャートである。 タンク内圧が検出可能な状態における学習制御を表すグラフである。 タンク内圧が検出不能になった場合の学習制御を表すグラフである。 変更例1に係る学習制御を表すフローチャートである。 変更例2に係る学習制御を表すフローチャートである。 タンク内圧異常フラグがオンしたときの学習制御を表すグラフである。 変更例3に係る学習制御を表すフローチャートである。 イグニッションスイッチがオン、及びタンク内圧異常フラグがオンしたときの学習制御を表すグラフである。 タンク内圧が検出可能な状態における学習制御を表すグラフである。
[実施形態1]
以下、図1から図12に基づいて本発明の実施形態1に係る蒸発燃料処理装置20の説明を行なう。本実施形態の蒸発燃料処理装置20は、図1に示すように、車両のエンジンシステム10に備えられており、車両の燃料タンク15で発生した蒸発燃料が外部に漏れ出ないようにするための装置である。
<蒸発燃料処理装置20の構造概要について>
蒸発燃料処理装置20は、図1に示すように、キャニスタ22と、そのキャニスタ22に接続されたベーパ通路24、パージ通路26、及び大気通路28とを備えている。
キャニスタ22内には、吸着材としての活性炭(図示省略)が装填されており、燃料タンク15内の蒸発燃料を前記吸着材により吸着できるように構成されている。
ベーパ通路24の一端部(上流側端部)は、燃料タンク15内の気層部と連通されており、ベーパ通路24の他端部(下流側端部)がキャニスタ22内と連通されている。そして、ベーパ通路24の途中にはベーパ通路24を連通・遮断する封鎖弁40(後記する)が介装されている。
また、パージ通路26の一端部(上流側端部)は、キャニスタ22内と連通されており、パージ通路26の他端部(下流側端部)がエンジン14の吸気通路16におけるスロットルバルブ17よりも下流側通路部と連通されている。そして、パージ通路26の途中にはパージ通路26を連通・遮断するパージ弁26vが介装されている。
さらに、キャニスタ22は故障検出に使用されるOBD用部品28vを介して大気通路28が連通されている。大気通路28の途中にはエアフィルタ28aが介装されており、大気通路28の他端部は大気に開放されている。
前記封鎖弁40、パージ弁26v及びOBD用部品28vは、ECU19からの信号に基づいて制御される。
さらに、ECU19には、燃料タンク15内の圧力を検出するタンク内圧センサ15p等の信号が入力される。
<蒸発燃料処理装置20の動作概要について>
次に、蒸発燃料処理装置20の基本的動作について説明する。
車両の駐車中は、封鎖弁40が閉弁状態に維持される。このため、燃料タンク15の蒸発燃料がキャニスタ22内に流入することはない。そして、駐車中に車両のイグニッションスイッチがオンされると、封鎖弁40の開弁開始位置を学習する学習制御が行われる(後記する)。
また、車両の駐車中は、パージ弁26vは閉弁状態に維持されてパージ通路26は遮断状態となり、大気通路28は連通状態に維持される。
車両の走行中は、所定のパージ条件が成立する場合に、ECU19がキャニスタ22に吸着されている蒸発燃料をパージさせる制御を実行する。この制御では、キャニスタ22を大気通路28により大気に連通させたまま、パージ弁26vが開閉制御される。パージ弁26vが開弁されると、エンジン14の吸気負圧がパージ通路26を介してキャニスタ22内に作用する。これにより、キャニスタ22内に大気通路28から空気が流入するようになる。さらに、パージ弁26vが開弁されると、封鎖弁40が開弁方向に動作して燃料タンク15の圧抜き制御が行なわれる。これにより、キャニスタ22内にベーパ通路24から燃料タンク15内の気体が流入するようになる。この結果、キャニスタ22内の吸着材がキャニスタ22に流入する空気等によりパージされ、前記吸着材から離脱した蒸発燃料が空気と共にエンジン14の吸気通路16に導かれて、エンジン14内で燃焼される。
<封鎖弁40の基本構造について>
封鎖弁40は、閉弁状態でベーパ通路24を封鎖し、開弁状態でベーパ通路24を流れる気体の流量を制御する流量制御弁であり、図2に示すように、バルブケーシング42とステッピングモータ50とバルブガイド60とバルブ体70とを備えている。
バルブケーシング42には、弁室44、流入路45及び流出路46により、一連状をなす逆L字状の流体通路47が構成されている。また、弁室44の下面すなわち流入路45の上端開口部の口縁部には、弁座48が同心状に形成されている。
前記ステッピングモータ50は、前記バルブケーシング42の上部に設置されている。前記ステッピングモータ50は、モータ本体52と、そのモータ本体52の下面から突出し、正逆回転可能に構成された出力軸54を有している。出力軸54は、バルブケーシング42の弁室44内に同心状に配置されており、その出力軸54の外周面に雄ネジ部54nが形成されている。
バルブガイド60は、円筒状の筒壁部62と筒壁部62の上端開口部を閉鎖する上壁部64とから有天円筒状に形成されている。上壁部64の中央部には筒軸部66が同心状に形成されており、その筒軸部66の内周面に雌ネジ部66wが形成されている。前記バルブガイド60は、前記バルブケーシング42に対して、回り止め手段(図示省略)により軸回り方向に回り止めされた状態で軸方向(上下方向)に移動可能に配置されている。
バルブガイド60の筒軸部66の雌ネジ部66wには、前記ステッピングモータ50の出力軸54の雄ネジ部54nが螺合されており、ステッピングモータ50の出力軸54の正逆回転に基いて、バルブガイド60が上下方向(軸方向)に昇降移動可能に構成されている。
前記バルブガイド60の周囲には、そのバルブガイド60を上方へ付勢する補助スプリング68が介装されている。
前記バルブ体70は、円筒状の筒壁部72と筒壁部72の下端開口部を閉鎖する下壁部74とから有底円筒状に形成されている。下壁部74の下面には、例えば、円板状のゴム状弾性材からなるシール部材76が装着されている。
前記バルブ体70は、前記バルブガイド60内に同心状に配置されており、そのバルブ体70のシール部材76がバルブケーシング42の弁座48の上面に対して当接可能に配置されている。バルブ体70の筒壁部72の上端外周面には、円周方向に複数個の連結凸部72tが形成されている。そして、バルブ体70の連結凸部72tがバルブガイド60の筒壁部62の内周面に形成された縦溝状の連結凹部62mと一定寸法だけ上下方向に相対移動可能な状態で嵌合している。そして、バルブガイド60の連結凹部62mの底壁部62bがバルブ体70の連結凸部72tに対して下方から当接した状態で、バルブガイド60とバルブ体70とが一体で上方(開弁方向)に移動可能となる。
また、前記バルブガイド60の上壁部64と前記バルブ体70の下壁部74との間には、バルブガイド60に対してバルブ体70を常に下方、即ち、閉弁方向へ付勢するバルブスプリング77が同心状に介装されている。
<封鎖弁40の基本動作について>
次に、封鎖弁40の基本動作について説明する。
封鎖弁40は、ECU19からの出力信号に基づいてステッピングモータ50を開弁方向、あるいは閉弁方向に予め決められたステップ数だけ回転させる。そして、ステッピングモータ50が予め決められたステップ数だけ回転することで、ステッピングモータ50の出力軸54の雄ネジ部54nとバルブガイド60の筒軸部66の雌ネジ部66wとの螺合作用により、バルブガイド60が上下方向に予め決められたストローク量だけ移動するようになる。
前記封鎖弁40では、例えば、全開位置においてステップ数が約200Step、ストローク量が約5mmとなるように設定されている。
封鎖弁40のイニシャライズ状態(初期状態)では、図2に示すように、バルブガイド60が下限位置に保持されて、そのバルブガイド60の筒壁部62の下端面がバルブケーシング42の弁座48の上面に対して当接している。また、この状態で、バルブ体70の連結凸部72tは、バルブガイド60の連結凹部62mの底壁部62bに対して上方に位置しており、バルブ体70のシール部材76はバルブスプリング77のバネ力により、バルブケーシング42の弁座48の上面に押付けられている。即ち、封鎖弁40は全閉状態に保持されている。そして、このときのステッピングモータ50のステップ数が0Stepであり、バルブガイド60の軸方向(上方向)の移動量、即ち、開弁方向のストローク量が0mmとなる。
また、車両の駐車中等では、封鎖弁40のステッピングモータ50がイニシャライズ状態から開弁方向に、例えば、4Step回転する。これにより、ステッピングモータ50の出力軸54の雄ネジ部54nとバルブガイド60の筒軸部66の雌ネジ部66wとの螺合作用でバルブガイド60が約0.1mm上方に移動し、バルブケーシング42の弁座48から浮いた状態に保持される。これにより、気温等の環境変化で封鎖弁40のバルブガイド60とバルブケーシング42の弁座48間に無理な力が加わり難くなる。
なお、この状態で、バルブ体70のシール部材76はバルブスプリング77のバネ力により、バルブケーシング42の弁座48の上面に押付けられている。
ステッピングモータ50が4Step回転した位置からさらに開弁方向に回転すると、前記雄ネジ部54nと雌ネジ部66wとの螺合作用でバルブガイド60が上方に移動し、図3に示すように、バルブガイド60の連結凹部62mの底壁部62bがバルブ体70の連結凸部72tに下方から当接する。そして、バルブガイド60がさらに上方に移動することで、図4に示すように、バルブ体70がバルブガイド60と共に上方に移動し、バルブ体70のシール部材76がバルブケーシング42の弁座48から離れるようになる。これにより、封鎖弁40が開弁される。
ここで、封鎖弁40の開弁開始位置は、バルブ体70に形成された連結凸部72tの位置公差、バルブガイド60の連結凹部62mに形成された底壁部62bの位置公差等により、封鎖弁40毎に異なるため、正確に開弁開始位置を学習する必要がある。この学習を行なうのが学習制御であり、封鎖弁40のステッピングモータ50を開弁方向に回転(ステップ数を増加)させながら燃料タンク15の内圧が所定値以上低下したタイミングに基づいて開弁開始位置のステップ数を検出する。即ち、開弁開始位置のステップ数が学習値となる。また、封鎖弁40のステップ数とストローク量とは同意語として使用する。
このように、封鎖弁40が閉弁状態のときはバルブガイド60が本発明の弁可動部に相当し、封鎖弁40が開弁状態のときはバルブガイド60とバルブ体70とが本発明の弁可動部に相当する。
<封鎖弁40の学習制御について>
次に、図5のフローチャートと図6、図7のグラフに基づいて、封鎖弁40の開弁開始位置の学習制御について説明する。
ここで、図6、図7の上図は、時間を基準(横軸)として封鎖弁40のステッピングモータ50のステップ数の変化、即ち、バルブガイド60、及びバルブ体70のストローク量(軸方向の移動量)を表している。また、図6の下図は、タンク内圧センサ15pが正常な場合の前記学習制御におけるタンク内圧の変化を表しており、図7の下図はタンク内圧センサ15pが異常な場合のタンク内圧を表している。
封鎖弁40の開弁開始位置の学習制御が開始されると、処理は、図5のステップS101からステップS107に進み、開弁方向の処理が行なわれる。即ち、図6の上図に示すように、封鎖弁40のステッピングモータ50がAStep(例えば、4Step)だけ開弁方向に回転して一定時間T1維持される。そして、一定時間T1維持されると(ステップS101 YES)、次に、処理はステップS102からステップS108に進み、閉弁方向の処理が行なわれる。即ち、封鎖弁40のステッピングモータ50がBStep(例えば、2Step)だけ閉弁方向に回転して一定時間T2維持される。そして、一定時間T2維持されている間にタンク内圧が検出される。そして、処理がステップS101、ステップS102からステップS103に進み、タンク内圧の変化ΔPがΔP1(0.3kPa)よりも大きいか否かが判定される。図6のタイミングTx1ではタンク内圧の変化がΔP1(0.3kPa)よりも小さいため(図5 ステップS103 NO)、ステップS105でステッピングモータ50が開弁方向(AStep)、閉弁方向(BStep)に回転した回数がN回以上であるか、否かが判定される。初回の処理では、ステップS105でステッピングモータ50が開弁方向(AStep)、閉弁方向(BStep)に回転した回数が1回、即ち、1工程であるため(ステップS105 NO)、処理はステップS101に戻る。
そして、上記したように、封鎖弁40のステッピングモータ50がAStep(例えば、4Step)だけ開弁方向に回転して一定時間T1維持された後、ステッピングモータ50がBStep(例えば、2Step)だけ閉弁方向に回転して一定時間T2維持され、一定時間T2維持されている間にタンク内圧が検出される工程が繰り返し実行される。このようにして、図6のタイミングTxnに示すように、タンク内圧の変化ΔPがΔP1(0.3kPa)よりも大きくなると(図5 ステップS103 YES)、前工程(図6タイミングTxn−1)における封鎖弁40のステップ数に、例えば、1Step加算した値を封鎖弁40の開弁開始位置のステップ数、即ち、学習値として記憶し、学習制御を終了する(図5 ステップS104)。
なお、学習制御が終了した後は、封鎖弁40のステップ数はスタンバイ位置のステップ数に戻される。
ここで、スタンバイ位置とは、学習値(Step数)からステッピングモータ50が閉弁方向に8Step回転した位置であり、封鎖弁40は閉弁される。このため、封鎖弁40がスタンバイ位置で開弁方向の信号を受ければ速やかに開弁が可能となる。
また、図7の下図に示すように、タンク内圧センサ15pが異常な場合には、封鎖弁40のステッピングモータ50を開弁方向に回転させて一定時間T1維持した後、閉弁方向に回転させて一定時間T2維持し、その間にタンク内圧を検出する工程を繰り返し実行しても、タンク内圧の変化ΔPがΔP1(0.3kPa)より大きくなることはない。このため、上記工程が繰り返し実行されて、その工程の実行回数が設定回数Nを超えると(図5 ステップS105 YES)、封鎖弁40の開弁開始位置の学習値を初期状態にする。即ち、封鎖弁40の開弁開始位置の学習値をイニシャライズ位置のステップ数(イニシャライズ値=0Step)に設定して学習制御を終了する(ステップS106)。
このように、学習制御においてステッピングモータ50をAStep(例えば、4Step)だけ開弁方向に回転させて一定時間T1維持し、次にステッピングモータ50をBStep(例えば、2Step)だけ閉弁方向に回転させて一定時間T2維持する工程が、本発明のストローク制御工程に相当する。
ここで、図5に示すフローチャートでは、タンク内圧センサ15pが異常な場合に、封鎖弁40の開弁開始位置の学習値をイニシャライズ位置のステップ数(0Step)に設定する例を示した。しかし、図8の変更例1に係るフローチャートのステップS209に示すように、学習実績がある場合には(ステップS209 YES)、封鎖弁40の開弁開始位置の学習値を前回の学習値にすることも可能である(ステップS210)。
したがって、封鎖弁40のイニシャライズ位置におけるステップ数(0Step)、及び前回の学習値が本発明のフェールセーフ値に相当する。
<本実施形態に係る蒸発燃料処理装置20の長所>
本実施形態に係る蒸発燃料処理装置20によると、封鎖弁40の開弁開始位置の学習では、ストローク量(ステップ数)を開弁方向(AStep)、閉弁方向(BStep)に変化させる工程が設定回数以上繰り返されても、燃料タンク15の内圧(タンク内圧)が所定値(ΔP1=0.3kPa)以上低下しない場合には、封鎖弁40の開弁開始位置のストローク量である学習値を封鎖弁が閉弁状態となるフェールセーフ値(イニシャライズ位置におけるステップ数(0Step)、前回の学習値)にする。このため、例えば、学習制御の途中で燃料タンク15の内圧検出が不能になった場合でも、学習値は封鎖弁40が閉弁状態となるフェールセーフ値となる。したがって、封鎖弁40が開弁している状態のストローク量が誤って学習値として記憶されるような不具合がない。
<変更例2>
次に、図9のフローチャートと図10のグラフに基づいて変更例2に係る封鎖弁40の開弁開始位置の学習制御について説明する。
変更例2に係る封鎖弁40の開弁開始位置の学習制御では、タンク内圧センサ15pの異常(タンク内圧異常フラグのオン)が検出された場合には、ステッピングモータ50を開弁方向、閉弁方向に回転させて、タンク内圧を検出する工程を設定回数N繰り返す前であっても学習制御を終了できるようになっている。
即ち、図10に示すように、封鎖弁40のステッピングモータ50がAStepだけ開弁方向に回転して一定時間T1維持された後、ステッピングモータ50がBStepだけ閉弁方向に回転して一定時間T2維持される工程が繰り返えされているときに、タンク内圧異常フラグがオンすると(図9 ステップS300 YES)、学習値がフェールセーフ値に設定される(ステップS311)。
ここで、フェールセーフ値は、学習実績がある場合には(ステップS309 YES)、前回の学習値であり、学習実績がない場合には(ステップS309 NO)、イニシャライズ位置におけるステップ数(イニシャライズ値=0Step)である。
<変更例3>
次に、図11のフローチャートと図12のグラフに基づいて変更例3に係る封鎖弁40の開弁開始位置の学習制御について説明する。
変更例3に係る封鎖弁40の開弁開始位置の学習制御では、エンジン14のイグニッションスイッチがオンしてから一定時間Tx内は学習制御が開始されないようにしている。ここで、前記一定時間Txは、ECU19がタンク内圧センサ15pの正常、あるいは異常を判定するのに必要な時間である。
このため、イグニッションスイッチがオンして一定時間Txが経過すると(図11 ステップS400A YES)、タンク内圧異常フラグのオン、オフがチェックされる(ステップS400)。そして、タンク内圧異常フラグがオンしている場合には(ステップS400 YES)、封鎖弁40の開弁開始位置の学習値をフェールセーフ値に設定して、学習制御を禁止する。
また、タンク内圧異常フラグがオフの場合には(ステップS400 NO)、図12に示すように、学習制御が開始される。即ち、封鎖弁40のステッピングモータ50がAStepだけ開弁方向に回転して一定時間T1維持された後、ステッピングモータ50がBStepだけ閉弁方向に回転して一定時間T2維持される工程が繰り返えされる。しかし、図12のタイミングTx2に示すように、学習制御が行われている途中でタンク内圧異常フラグがオンすると(図11 ステップS400 YES)、学習値がフェールセーフ値に設定されて学習制御が終了する(ステップS411)。
<他の変更例>
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、図6等に示すように、学習制御においてステッピングモータ50をAStep(例えば、4Step)だけ開弁方向に回転させて一定時間T1維持し、次にステッピングモータ50をBStep(例えば、2Step)だけ閉弁方向に回転させて一定時間T2維持する工程を繰り返し、封鎖弁40を段階的に開弁させる例を示した。しかし、図13に示すように、学習制御においてステッピングモータ50をBStep(例えば、2Step)だけ開弁方向に回転させて一定時間T1維持する工程を繰り返し、封鎖弁40を段階的に開弁させることも可能である。
また、本実施形態では、タンク内圧センサ15pの異常によりタンク内圧の変化を検出できない場合に、封鎖弁40を開弁方向、閉弁方向に動作させる工程の回数が設定回数Nを超えた場合に、封鎖弁40の開弁開始位置の学習値をフェールセーフ値に設定する例を示した。
しかし、タンク内圧センサ15pが正常であっても、例えば、タンク内圧が低い場合、封鎖弁40の開弁が開始されてもタンク内圧が所定値ΔP1以上低下しない場合がある。このような場合でも、封鎖弁40を開弁方向、閉弁方向に動作させる工程の回数が設定回数Nを超えた場合には、封鎖弁40の開弁開始位置の学習値をフェールセーフ値に設定するのが好ましい。
また、本実施形態では、封鎖弁40のモータにステッピングモータ50を使用する例を示したが、ステッピングモータ50の代わりにDCモータ等を使用することも可能である。
15p・・・・タンク内圧センサ
15・・・・・燃料タンク
16・・・・・吸気通路
22・・・・・キャニスタ
24・・・・・ベーパ通路
40・・・・・封鎖弁
48・・・・・弁座
50・・・・・ステッピングモータ
60・・・・・バルブガイド(弁可動部)
70・・・・・バルブ体(弁可動部)

Claims (7)

  1. 燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸着する吸着材を備えるキャニスタと、前記キャニスタと前記燃料タンクとをつなぐベーパ通路に設けられている封鎖弁とを備える蒸発燃料処理装置であって、
    前記封鎖弁は、弁座に対する弁可動部の軸方向距離であるストローク量が零から所定範囲内にあるときが閉弁状態で前記燃料タンクを密閉状態に保持可能であり、前記ストローク量を規則的なストローク制御工程により段階的に開弁方向に変化させて、前記燃料タンクの内圧が所定値以上低下したときの前記ストローク量に基づいて開弁開始位置を学習できるように構成されており、
    前記封鎖弁の開弁開始位置の学習では、前記ストローク制御工程が設定回数以上繰り返されても、前記燃料タンクの内圧が所定値以上低下しない場合には、前記封鎖弁の開弁開始位置のストローク量である学習値を前記封鎖弁が閉弁状態となるフェールセーフ値にすることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  2. 請求項1に記載された蒸発燃料処理装置であって、
    前記ストローク制御工程とは、前記ストローク量を第1所定ストロークだけ開弁方向に変化させ、第1所定ストロークよりも小さい第2所定ストロークだけ閉弁方向に変化させる工程であることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載された蒸発燃料処理装置であって、
    前記封鎖弁の開弁開始位置の学習途中で前記燃料タンクの内圧が検出不能となった場合には、前記学習を中止して前記学習値をフェールセーフ値にすることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  4. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載された蒸発燃料処理装置であって、
    エンジンを起動させるイグニッションスイッチがオンしてから前記燃料タンクの内圧検出可能、あるいは内圧検出不能の判定が行なわれるまでの間は、前記封鎖弁の開弁開始位置の学習が禁止されることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  5. 請求項4に記載された蒸発燃料処理装置であって、
    前記燃料タンクの内圧が検出不能と判定された場合には、前記学習値をフェールセーフ値にすることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載された蒸発燃料処理装置であって、
    前記フェールセーフ値は、封鎖弁の機械的な全閉位置であることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  7. 請求項1から請求項5のいずれかに記載された蒸発燃料処理装置であって、
    前記フェールセーフ値は、前記封鎖弁の開弁開始位置の学習実績がある場合には、前回行われた開弁開始位置の学習における学習値であることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
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