以下、実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示す車両用熱管理システム10は、車両が備える各種機器や車室内を適切な温度に調整するために用いられる。本実施形態では、熱管理システム10を、エンジン(内燃機関)および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド自動車に適用している。
本実施形態のハイブリッド自動車は、車両停車時に外部電源(商用電源)から供給された電力を、車両に搭載された電池(車載バッテリ)に充電可能なプラグインハイブリッド自動車として構成されている。電池としては、例えばリチウムイオン電池を用いることができる。
エンジンから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるのみならず、発電機を作動させるためにも用いられる。そして、発電機にて発電された電力および外部電源から供給された電力を電池に蓄わえることができ、電池に蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、熱管理システム10を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給される。
図1に示すように、熱管理システム10は、第1ポンプ11、第2ポンプ12、ラジエータ13、冷却水冷却器14、冷却水加熱器15、クーラコア16、ヒータコア17、第1切替弁18および第2切替弁19を備えている。
第1ポンプ11および第2ポンプ12は、冷却水(熱媒体)を吸入して吐出する電動ポンプである。冷却水は、熱媒体としての流体である。本実施形態では、冷却水として、少なくともエチレングリコール、ジメチルポリシロキサンもしくはナノ流体を含む液体、または不凍液体が用いられている。
ラジエータ13、冷却水冷却器14、冷却水加熱器15、クーラコア16およびヒータコア17は、冷却水が流通する冷却水流通機器(熱媒体流通機器)である。
ラジエータ13は、冷却水と車室外空気(以下、外気と言う。)とを熱交換することによって冷却水の熱を外気に放熱させる放熱器である。ラジエータ13に外気温以下の冷却水を流すことにより、ラジエータ13にて外気から冷却水に吸熱することも可能である。換言すれば、ラジエータ13は、外気から冷却水に吸熱させる外気用吸熱器としての機能も発揮できる。
ラジエータ13の冷却水出口側は、第1ポンプ11の冷却水吸入側に接続されている。室外送風機20は、ラジエータ13へ外気を送風する電動送風機である。ラジエータ13および室外送風機20は車両の最前部に配置されている。このため、車両の走行時にはラジエータ13に走行風を当てることができる。
冷却水冷却器14は、冷凍サイクル21の低圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって冷却水から低圧側冷媒に吸熱させる低圧側熱交換器(熱媒体用吸熱器)である。冷却水冷却器14は、冷凍サイクル21の蒸発器を構成している。
冷凍サイクル21は、圧縮機22、凝縮器としての冷却水加熱器15、膨張弁23、および蒸発器としての冷却水冷却器14を備える蒸気圧縮式冷凍機である。本実施形態の冷凍サイクル21では、冷媒としてフロン系冷媒を用いており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。
圧縮機22は、電池から供給される電力によって駆動される電動圧縮機であり、冷凍サイクル21の冷媒を吸入して圧縮して吐出する。冷却水加熱器15は、圧縮機22から吐出された高圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって高圧側冷媒を凝縮させる高圧側熱交換器(熱媒体加熱器)である。
膨張弁23は、冷却水加熱器15で凝縮された液相冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。冷却水冷却器14は、膨張弁23で減圧膨張された低圧冷媒と冷却水とを熱交換させることによって低圧冷媒を蒸発させる低圧側熱交換器である。冷却水冷却器14で蒸発した気相冷媒は圧縮機22に吸入されて圧縮される。
ラジエータ13では外気によって冷却水を冷却するのに対し、冷却水冷却器14では冷凍サイクル21の低圧冷媒によって冷却水を冷却する。このため、冷却水冷却器14で冷却された冷却水の温度を、ラジエータ13で冷却された冷却水の温度に比べて低くすることができる。具体的には、ラジエータ13では冷却水を外気の温度よりも低い温度まで冷却できないのに対し、冷却水冷却器14では冷却水を外気の温度よりも低温まで冷却できる。
クーラコア16は、冷却水と車室内への送風空気とを熱交換させて車室内への送風空気を冷却する冷却用熱交換器(空気冷却器)である。クーラコア16は、内気(車室内空気)から冷却水に吸熱させる内気用吸熱器である。
ヒータコア17は、車室内への送風空気と冷却水とを熱交換させて車室内への送風空気を加熱する加熱用熱交換器(空気加熱器)である。
第1ポンプ11は、第1ポンプ用流路31に配置されている。第1ポンプ用流路31において第1ポンプ11の吸入側には、ラジエータ13が配置されている。第2ポンプ12は、第2ポンプ用流路32に配置されている。
冷却水冷却器14は、冷却水冷却器用流路34に配置されている。冷却水加熱器15は、冷却水加熱器用流路35に配置されている。クーラコア16は、クーラコア用流路36に配置されている。ヒータコア17は、ヒータコア用流路37に配置されている。
第1ポンプ用流路31、第2ポンプ用流路32、冷却水冷却器用流路34、冷却水加熱器用流路35、クーラコア用流路36およびヒータコア用流路37は、第1切替弁18および第2切替弁19に接続されている。
第1切替弁18および第2切替弁19は、冷却水の流れを切り替える冷却水流れ切替手段(熱媒体流れ切替手段)である。
第1切替弁18は、冷却水の入口として2つの入口を有し、冷却水の出口として4つの出口を有している。第2切替弁19は、冷却水の出口として3つの出口を有し、冷却水の入口として4つの入口を有している。
第1切替弁18の第1入口には、第1ポンプ用流路31の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁18の第1入口には、第1ポンプ11の冷却水吐出側が接続されている。
第1切替弁18の第2入口には、第2ポンプ用流路32の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁18の第2入口には、第2ポンプ12の冷却水吐出側が接続されている。
第1切替弁18の第1出口には、冷却水冷却器用流路34の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁18の第1出口には、冷却水冷却器14の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁18の第2出口には、冷却水加熱器用流路35の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁18の第2出口には、冷却水加熱器15の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁18の第3出口には、クーラコア用流路36の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁18の第3出口には、クーラコア16の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁18の第4出口には、ヒータコア用流路37の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁18の第4出口には、ヒータコア17の冷却水入口側が接続されている。
第2切替弁19の第1出口には、第1ポンプ用流路31の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁19の第1出口には、ラジエータ13の冷却水入口側が接続されている。
第2切替弁19の第2出口には、第2ポンプ用流路32の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁19の第2出口には、第2ポンプ12の冷却水吸入側が接続されている。
第2切替弁19の第3出口には、バイパス流路38の一端が接続されている。バイパス流路38は、冷却水がラジエータ13をバイパスして流れるバイパス手段である。バイパス流路38の他端は、第1ポンプ用流路31のうちラジエータ13と第1ポンプ11との間の部位に配置されている。
第2切替弁19の第1入口には、冷却水冷却器用流路34の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁19の第1入口には、冷却水冷却器14の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁19の第2入口には、冷却水加熱器用流路35の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁19の第2入口には、冷却水加熱器15の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁19の第3入口には、クーラコア用流路36の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁19の第3入口には、クーラコア16の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁19の第4入口には、ヒータコア用流路37の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁19の第4入口には、ヒータコア17の冷却水出口側が接続されている。
第1切替弁18および第2切替弁19は、各入口と各出口との連通状態を任意または選択的に切り替え可能な構造になっている。
具体的には、第1切替弁18は、冷却水冷却器14、冷却水加熱器15、クーラコア16およびヒータコア17のそれぞれについて、第1ポンプ11から吐出された冷却水が流入する状態と、第2ポンプ12から吐出された冷却水が流入する状態と、第1ポンプ11から吐出された冷却水および第2ポンプ12から吐出された冷却水が流入しない状態とを切り替える。
第2切替弁19は、冷却水冷却器14、冷却水加熱器15、クーラコア16およびヒータコア17のそれぞれについて、第1ポンプ11へ冷却水が流出する状態と、第2ポンプ12へ冷却水が流出する状態と、第1ポンプ11および第2ポンプ12へ冷却水が流出しない状態とを切り替える。さらに、第2切替弁19は、ラジエータ13へ冷却水が流出する状態と、バイパス流路38へ冷却水が流出する状態とを切り替える。
第1切替弁18および第2切替弁19の構造例を簡単に説明すると、第1切替弁18および第2切替弁19は、外殻をなすケースと、ケースに収容された弁体とを備え、ケースの所定の位置に冷却水の入口および出口が形成され、弁体が回転操作されることによって冷却水の入口と出口との連通状態が変化するようになっている。
第1切替弁18の弁体および第2切替弁19の弁体は、別個の電動モータによって独立して回転駆動される。第1切替弁18の弁体および第2切替弁19の弁体は、共通の電動モータによって連動して回転駆動されるようになっていてもよい。
図2に示すように、クーラコア16およびヒータコア17は、車両用空調装置の室内空調ユニット50のケース51に収容されている。
ケース51は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケース51内の空気流れ最上流側には、内外気切替箱52が配置されている。内外気切替箱52は、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気導入手段である。
内外気切替箱52には、ケース51内に内気を導入させる内気吸込口52aおよび外気を導入させる外気吸込口52bが形成されている。内外気切替箱52の内部には、内外気切替ドア53が配置されている。
内外気切替ドア53は、ケース51内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる風量割合変更手段である。具体的には、内外気切替ドア53は、内気吸込口52aおよび外気吸込口52bの開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる。内外気切替ドア53は、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
内外気切替箱52の空気流れ下流側には、室内送風機54(ブロワ)が配置されている。室内送風機54は、内外気切替箱52を介して吸入した空気(内気および外気)を車室内へ向けて送風する送風手段である。室内送風機54は、遠心多翼ファン54a(シロッコファン)を電動モータ54bにて駆動する電動送風機である。
ケース51内において室内送風機54の空気流れ下流側には、クーラコア16およびヒータコア17が配置されている。ケース51内においてクーラコア16は略上下方向に延びるように配置されている。室内送風機54からの送風空気は、クーラコア16を略水平方向に通過する。
ケース51の内部においてクーラコア16の上方側には、バイパス通路51aが形成されている。バイパス流路51aは、クーラコア16をバイパスして空気を流す空気通路である。
ケース51のうちクーラコア16の下方側部位には、ドレン水排出口51bが形成されている。ドレン水排出口51bは、クーラコア16で発生した凝縮水(ドレン水)を車外へ排出する凝縮水排出手段である。
ケース51の内部においてクーラコア16の空気流れ下流側部位には、第1ヒータコア通路51c、第2ヒータコア通路51dおよびヒータコアバイパス通路51eが形成されている。
第1ヒータコア通路51cおよび第2ヒータコア通路51dは、クーラコア16を通過した空気が流れる空気通路である。第1ヒータコア通路51cおよび第2ヒータコア通路51dにはヒータコア17が配置されている。したがって、ヒータコア17は、ケース51の内部においてクーラコア16の空気流れ下流側に配置されている。
第1ヒータコア通路51cおよび第2ヒータコア通路51dは、ケース51内に形成された仕切板55によって互いに仕切られている。第1ヒータコア通路51cは、第2ヒータコア通路51dの上方側に形成されている。
ヒータコアバイパス通路51eは、クーラコア16を通過した空気を、ヒータコア17を通過させずに流す空気通路である。ヒータコアバイパス通路51eは、第1ヒータコア通路51cの上方側に形成されている。
ケース51の内部においてクーラコア16とヒータコア17との間には、第1エアミックスドア56Aおよび第2エアミックスドア56Bが配置されている。
第1エアミックスドア56Aおよび第2エアミックスドア56Bは、第1ヒータコア通路51cおよび第2ヒータコア通路51dへ流入させる空気と、ヒータコアバイパス通路51eへ流入させる空気との風量割合を連続的に変化させる風量割合調整手段である。
第1ヒータコア通路51cおよび第2ヒータコア通路51dを通過する空気とヒータコアバイパス通路51eを通過する空気との風量割合によって、車室内へ吹き出される吹出空気の温度が変化する。したがって、第1エアミックスドア56Aおよび第2エアミックスドア56Bは、車室内へ吹き出される吹出空気の温度を調整する温度調整手段である。
第1エアミックスドア56Aおよび第2エアミックスドア56Bは、回動可能な板状ドアであり、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
第1エアミックスドア56Aは、第1ヒータコア通路51cおよびヒータコアバイパス通路51eを開閉可能になっている。第2エアミックスドア56Bは、第2ヒータコア通路51dを開閉可能になっている。
ケース51の内部においてバイパス通路51aの出口部には、バイパスドア57が配置されている。バイパスドア57は回動可能な板状ドアであり、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
バイパスドア57は、バイパス通路51aを開閉可能になっている。バイパスドア57は、クーラコア16を通過した空気が第1ヒータコア通路51cおよびヒータコアバイパス通路51eに流入する状態と、第1ヒータコア通路51cおよびヒータコアバイパス通路51eに流入しない状態とを切り替え可能になっている。
ケース51の内部において第1ヒータコア通路51cおよび第2ヒータコア通路51dの空気流れ最下流部には、連通ドア58が配置されている。連通ドア58は回動可能な板状ドアであり、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
連通ドア58は、第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとが仕切られる状態と、第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとが連通する状態とを切り替え可能になっている。
ケース51の空気流れ最下流部には、空調対象空間である車室内へ送風空気を吹き出す吹出口51f、51g、51hが配置されている。この吹出口51f、51g、51hとしては、具体的には、デフロスタ吹出口51f、フェイス吹出口51gおよびフット吹出口51hが設けられている。デフロスタ吹出口51f、フェイス吹出口51gおよびフット吹出口51hは、ケース51の上方側から下方側に向かって、この順番に配置されている。
デフロスタ吹出口51fは、車両前面窓ガラスの内側の面に向けて空調風を吹き出す。フェイス吹出口51gは、乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す。フット吹出口51hは、乗員の足元に向けて空調風を吹き出す。
これらの吹出口51f、51g、51hの空気流れ上流側には、デフロスタドア59A、フェイスドア59Bおよびフットドア59Cが配置されている。デフロスタドア59A、フェイスドア59Bおよびフットドア59Cは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段である。
デフロスタドア59Aは、デフロスタ吹出口51fの開口面積を調整する。フェイスドア59Bは、フェイス吹出口51gの開口面積を調整する。フットドア59Cは、フット吹出口51hの開口面積を調整する。
吹出口モードドア59A、59B、59Cは、共通の電動アクチュエータ(図示せず)にリンク機構を介して連結されて連動して駆動される。
吹出口モードドア59A、59B、59Cによって切り替えられる吹出口モードとしては、例えば、フェイスモード、バイレベルモード、フットモードおよびフットデフロスタモードがある。
フェイスモードは、フェイス吹出口51gを全開してフェイス吹出口51gから車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。バイレベルモードは、フェイス吹出口51gとフット吹出口51hの両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。
フットモードは、フット吹出口51hを全開するとともにデフロスタ吹出口51fを小開度だけ開口して、フット吹出口51hから主に空気を吹き出す吹出口モードである。フットデフロスタモードは、フット吹出口51hおよびデフロスタ吹出口51fを同程度開口して、フット吹出口51hおよびデフロスタ吹出口51fの双方から空気を吹き出す吹出口モードである。
次に、熱管理システム10の電気制御部を図3に基づいて説明する。制御装置60は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する制御手段である。
制御装置60によって制御される制御対象機器は、第1ポンプ11、第2ポンプ12、第1切替弁18、第2切替弁19、室外送風機20、圧縮機22、室内送風機54、ケース51の内部に配置された各種ドア(内外気切替ドア53、第1エアミックスドア56A、第2エアミックスドア56B、バイパスドア57、連通ドア58、デフロスタドア59A、フェイスドア59B、フットドア59C)を駆動する電動アクチュエータ等である。
制御装置60は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御手段を構成している。
本実施形態では、第1切替弁18および第2切替弁19の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)を回路切替制御手段60aとする。回路切替制御手段60aを制御装置60に対して別体で構成してもよい。
本実施形態では、ケース51の内部に配置された各種ドア(内外気切替ドア53、第1エアミックスドア56A、第2エアミックスドア56B、バイパスドア57、連通ドア58、デフロスタドア59A、フェイスドア59B、フットドア59C)の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)を空調切替制御手段60bとする。空調切替制御手段60bを制御装置60に対して別体で構成してもよい。
本実施形態では、第1ポンプ11および第2ポンプ12の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)をポンプ制御手段60cとする。ポンプ制御手段60cは、冷却水の流量を制御する流量制御手段である。ポンプ制御手段60cを制御装置60に対して別体で構成してもよい。
本実施形態では、室内送風機54の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)を送風機制御手段60dとする。送風機制御手段60dは、送風空気の流量を制御する流量制御手段である。送風機制御手段60dを制御装置60に対して別体で構成してもよい。
制御装置60の入力側には、内気センサ61、外気センサ62、第1水温センサ63、第2水温センサ64、クーラコア温度センサ65、冷媒温度センサ66等のセンサ群の検出信号が入力される。
内気センサ61は、内気の温度(車室内温度)を検出する検出手段(内気温度検出手段)である。外気センサ62は、外気の温度(車室外温度)を検出する検出手段(外気温度検出手段)である。
第1水温センサ63は、第1ポンプ用流路31を流れる冷却水の温度(例えば第1ポンプ11に吸入される冷却水の温度)を検出する検出手段(第1熱媒体温度検出手段)である。
第2水温センサ64は、第2ポンプ用流路32を流れる冷却水の温度(例えば第2ポンプ12に吸入される冷却水の温度)を検出する検出手段(第2熱媒体温度検出手段)である。
クーラコア温度センサ65は、クーラコア16の表面温度(例えば、熱交換フィンの温度)を検出する検出手段(クーラコア温度検出手段)である。
冷媒温度センサ66は、冷凍サイクル21の冷媒温度(例えば圧縮機22から吐出される冷媒の温度)を検出する検出手段(冷媒温度検出手段)である。
制御装置60の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル69に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル69に設けられた各種空調操作スイッチとしては、エアコンスイッチ、オートスイッチ、室内送風機52の風量設定スイッチ、車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
エアコンスイッチは、空調(冷房または暖房)の作動・停止(オン・オフ)を切り替えるスイッチである。オートスイッチは、空調の自動制御を設定または解除するスイッチである。車室内温度設定スイッチは、乗員の操作によって車室内目標温度を設定する目標温度設定手段である。
次に、上記構成における作動を説明する。制御装置60が第1ポンプ11、第2ポンプ12、第1切替弁18、第2切替弁19、圧縮機22、内外気切替ドア53、第1エアミックスドア56A、第2エアミックスドア56B、バイパスドア57、連通ドア58、デフロスタドア59A、フェイスドア59Bおよびフットドア59C等の作動を制御することによって、種々の作動モードに切り替えられる。
例えば、種々の作動モードとして、図1、図2に示す冷房モード、図4、図5に示す除湿暖房モードおよび図6、図7に示す除霜暖房モードに切り替えられる。
図1、図2に示す冷房モードは、主に夏期のような外気温度が高い場合に実施される。冷房モードでは、図1に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31を冷却水加熱器用流路35およびヒータコア用流路37と接続させ、第2ポンプ用流路32を冷却水冷却器用流路34およびクーラコア用流路36と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、ラジエータ13、冷却水加熱器15およびヒータコア17によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14およびクーラコア16によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図1の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水加熱器15、ヒータコア17およびラジエータ13を流れて第1ポンプ11に吸入される。第2冷却水回路C2では、図1の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14およびクーラコア16を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がラジエータ13を流れるので、冷却水加熱器15で加熱された冷却水の熱がラジエータ13で外気に放熱される。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がクーラコア16を流れるので、クーラコア16で冷却水が車室内への送風空気を冷却する。
冷房モードでは、図2に示すように、第1エアミックスドア56Aは第1ヒータコア通路51cを閉じてヒータコアバイパス通路51eを開け、第2エアミックスドア56Bは第2ヒータコア通路51dを閉じ、バイパスドア57はバイパス通路51aを閉じ、連通ドア58は第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを連通させ、デフロスタドア59Aはデフロスタ吹出口51fを閉じ、フェイスドア59Bはフェイス吹出口51gを開け、フットドア59Cはフット吹出口51hを閉じる。
これにより、車室内への送風空気が、クーラコア16で冷却されて、ヒータコア17で加熱されることなくフェイス吹出口51gから吹き出される。したがって、車室内を冷房することができる。
図4、図5に示す除湿暖房モードは、主に冬期のような外気温度が低い場合に実施される。除湿暖房モードでは、図4に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31を冷却水冷却器用流路34およびクーラコア用流路36と接続させ、第2ポンプ用流路32を冷却水加熱器用流路35およびヒータコア用流路37と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、ラジエータ13、冷却水冷却器14およびクーラコア16によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水加熱器15およびヒータコア17によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図4の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水冷却器14、クーラコア16およびラジエータ13を流れて第1ポンプ11に吸入される。第2冷却水回路C2では、図4の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水加熱器15およびヒータコア17を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13およびクーラコア16を流れるので、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13で外気から吸熱するとともに、クーラコア16で車室内への送風空気を冷却する。
第2冷却水回路C2では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がヒータコア17を流れるので、ヒータコア17で冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
すなわち、除湿暖房モードでは、冷凍サイクル21の冷媒は、冷却水冷却器14にて外気から吸熱して、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路C2の冷却水に放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
除湿暖房モードでは、図5に示すように、第1エアミックスドア56Aは第1ヒータコア通路51cを開けてヒータコアバイパス通路51eを閉じ、第2エアミックスドア56Bは第2ヒータコア通路51dを開け、バイパスドア57はバイパス通路51aを閉じ、連通ドア58は第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを連通させ、デフロスタドア59Aはデフロスタ吹出口51fを開け、フェイスドア59Bはフェイス吹出口51gを閉じ、フットドア59Cはフット吹出口51hを開ける。
これにより、車室内への送風空気が、クーラコア16で冷却・除湿されてからヒータコア17で加熱されてデフロスタ吹出口51fおよびフット吹出口51hから吹き出される。したがって、車室内を除湿暖房することができる。
ケース51にドレン水排出口51bが形成されているので、車室内への送風空気のごく一部がドレン水排出口51bから排出されうる。除湿暖房モードでは、ドレン水排出口51bから排出される空気は、クーラコア16で吸熱された送風空気であるので、ドレン水排出口51bから車外へ排出される空気の熱を回収して車室内の暖房に利用することができる。
図6、図7に示す除霜暖房モードは、主に冬期のような外気温度が低い場合、かつクーラコア16の表面に霜が付着している場合に実施される。除霜暖房モードでは、図6に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31を冷却水冷却器用流路34と接続させ、第2ポンプ用流路32を冷却水加熱器用流路35、クーラコア用流路36およびヒータコア用流路37と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、ラジエータ13および冷却水冷却器14によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水加熱器15、クーラコア16およびヒータコア17によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図6の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水冷却器14およびラジエータ13を流れて第1ポンプ11に吸入される。第2冷却水回路C2では、図6の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水加熱器15、クーラコア16およびヒータコア17を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13を流れるので、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13で外気から吸熱する。
第2冷却水回路C2では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がクーラコア16およびヒータコア17を流れるので、クーラコア16で冷却水が霜を融かすとともに、ヒータコア17で冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
すなわち、除霜暖房モードでは、除湿暖房モードと同様に、冷凍サイクル21の冷媒は、冷却水冷却器14にて外気から吸熱して、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路C2の冷却水に放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
除霜暖房モードでは、図7に示すように、第1エアミックスドア56Aは第1ヒータコア通路51cを開けてヒータコアバイパス通路51eを閉じ、第2エアミックスドア56Bは第2ヒータコア通路51dを開け、バイパスドア57はバイパス通路51aを開けて第1ヒータコア通路51cおよびヒータコアバイパス通路51eをクーラコア16に対して仕切り、連通ドア58は第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを仕切り、デフロスタドア59Aはデフロスタ吹出口51fを開け、フェイスドア59Bはフェイス吹出口51gを閉じ、フットドア59Cはフット吹出口51hを開ける。
これにより、車室内への送風空気の一部が、クーラコア16で加熱されてからヒータコア17で加熱されてフット吹出口51hから吹き出され、車室内への送風空気のうちクーラコア16をバイパスして流れた送風空気が、ヒータコア17で加熱されてデフロスタ吹出口51fから吹き出される。したがって、車室内を暖房することができる。
除霜暖房モードでは、クーラコア16で霜を融かすので、クーラコア16を通過した空気は、クーラコア16の表面から蒸発した水蒸気を多く含んでいる。これに対して、クーラコア16をバイパスして流れた空気は、クーラコア16の表面から蒸発した水蒸気を含まない。
クーラコア16を通過した空気はフット吹出口51hから吹き出され、クーラコア16をバイパスして流れた空気はデフロスタ吹出口51fから吹き出される。そのため、クーラコア16の表面から蒸発した水蒸気を多く含んだ空気が窓ガラスに向けて吹き出されることを防止でき、ひいては窓ガラスが曇ることを抑制できる。
制御装置60は、クーラコア16の表面に霜が付着するのを抑制するために、図8のフローチャートに示す制御処理を実施する。
ステップS100では、クーラコア温度センサ65が検出したクーラコア16の表面温度Tfinが所定値未満(例えば氷点未満)であるか否かを判定する。クーラコア16の表面温度Tfinが所定値未満であると判定された場合、クーラコア16の表面に霜が付着する可能性があると判断してステップS110へ進む。
ステップS110では、クーラコア16を流れる冷却水の流量が減少するように第1ポンプ11または第2ポンプ12の作動を制御する。ステップS110では、クーラコア16を流れる空気の流量が増加するように室内送風機54の作動を制御してもよい。
これにより、クーラコア16の表面温度が上昇するので、クーラコア16の表面に霜が付着するのを抑制できる。
ステップS100において、クーラコア16の表面温度Tfinの代わりに、クーラコア16の表面温度Tfinに関連する温度に基づいて判定を行ってもよい。
本実施形態では、クーラコア温度センサ65が、クーラコア16の表面温度に関連する温度を検出し、制御装置60(流量制御手段60c、60d)が、クーラコア温度センサ65が検出した温度に基づいて、クーラコア16の表面に霜が付着する可能性があるか否かを判定し、クーラコア16の表面に霜が付着する可能性があると判定した場合、クーラコア16の表面温度が上昇するように、クーラコア16を流れる空気および冷却水のうち少なくとも一方の流量を制御する。これにより、クーラコア16の表面に霜が付着するのを抑制できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図9に示すように、室内空調ユニット50のケース51は、内気と外気とを分けて流すことができるように構成されている。
室内送風機54の遠心多翼ファン(シロッコファン)は、第1ファン54cおよび第2ファン54dで構成されている。第1ファン54cは、第2ファン54dの上方側に配置されている。
内外気切替箱52には、ケース51内に内気を導入させる第2内気吸込口52cが形成されている。内外気切替箱52の内部には、第2内気吸込口52cを開閉する内気ドア70が配置されている。
ケース51の内部において、室内送風機54とクーラコア16との間の部位には、第1通路51iおよび第2通路51jが形成されている。第1通路51iは、第1ファン54cで送風された空気が流れる空気通路である。第2通路51jは、第2ファン54dで送風された空気が流れる空気通路である。
第1通路51iおよび第2通路51jは、ケース51内に形成された仕切板71によって互いに仕切られている。第1通路51iは、第2通路51jの上方側に配置されている。
第2エアミックスドア56Bは、クーラコア16の空気流れ下流側を第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとに仕切ることが可能になっている。
ケース51のうちクーラコア16の下方側部位には、空気排出口51kが形成されている。空気排出口51kは、クーラコア16を通過した空気を車外へ排出する空気排出手段である。
ケース51の内部において、クーラコア16と空気排出口51kとの間には、空気排出通路51lが形成されている。空気排出通路51lは、クーラコア16を通過した空気が空気排出口51kへ向かって流れる空気通路である。
空気排出通路51lには、排出開閉ドア72が配置されている。排出開閉ドア72は、空気排出通路51lを開閉する空気排出通路開閉手段である。換言すれば、排出開閉ドア72は、空気排出口51kを開閉する空気排出口開閉手段である。
排出開閉ドア72は、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。排出開閉ドア72用の電動アクチュエータの作動は、制御装置60によって制御される。
室内空調ユニット50は、上記第1実施形態と同様に、冷房モード、除湿暖房モードおよび除霜暖房モードに切り替えられる。さらに室内空調ユニット50は、換気熱回収暖房モードに切り替えられる。
冷房モードでは、図9に示すように、内気ドア70は第2内気吸込口52cを閉じ、第1エアミックスドア56Aは第1ヒータコア通路51cを閉じてヒータコアバイパス通路51eを開け、第2エアミックスドア56Bは第2ヒータコア通路51dを閉じ、バイパスドア57はバイパス通路51aを閉じ、連通ドア58は第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを連通させ、デフロスタドア59Aはデフロスタ吹出口51fを閉じ、フェイスドア59Bはフェイス吹出口51gを開け、フットドア59Cはフット吹出口51hを閉じ、排出開閉ドア72は空気排出口51kを閉じる。
これにより、室内送風機54の第1ファン54cおよび第2ファン54dで送風された空気が、クーラコア16で冷却されて、ヒータコア17で加熱されることなくフェイス吹出口51gから吹き出される。したがって、車室内を冷房することができる。
除湿暖房モードでは、図10に示すように、内外気切替ドア53は内気吸込口52aを閉じて外気吸込口52bを開け、内気ドア70は第2内気吸込口52cを開け、第1エアミックスドア56Aは第1ヒータコア通路51cを開けてヒータコアバイパス通路51eを閉じ、第2エアミックスドア56Bは第2ヒータコア通路51dを開けて第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを仕切り、バイパスドア57はバイパス通路51aを閉じ、連通ドア58は第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを仕切り、デフロスタドア59Aはデフロスタ吹出口51fを開け、フェイスドア59Bはフェイス吹出口51gを閉じ、フットドア59Cはフット吹出口51hを開け、排出開閉ドア72は空気排出口51kを閉じる。
これにより、室内送風機54の第1ファン54cで送風された外気がヒータコア17で加熱されてデフロスタ吹出口51fから吹き出されるとともに、室内送風機54の第2ファン54dで送風された内気がクーラコア16で冷却・除湿されてからヒータコア17で加熱されてフット吹出口51hから吹き出される。したがって、車室内を除湿暖房することができる。
換気熱回収暖房モードは、主に冬期のような外気温度が低い場合に実施される。換気熱回収暖房モードにおける冷却水回路の切り替え状態は、図4に示す除湿暖房モードと同様である。
換気熱回収暖房モードでは、図11に示すように、内外気切替ドア53は内気吸込口52aを閉じて外気吸込口52bを開け、内気ドア70は第2内気吸込口52cを開け、第1エアミックスドア56Aは第1ヒータコア通路51cを開けてヒータコアバイパス通路51eを閉じ、第2エアミックスドア56Bは第2ヒータコア通路51dを閉じ、バイパスドア57はバイパス通路51aを開けて第1ヒータコア通路51cおよびヒータコアバイパス通路51eをクーラコア16に対して仕切り、連通ドア58は第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを連通させ、デフロスタドア59Aはデフロスタ吹出口51fを開け、フェイスドア59Bはフェイス吹出口51gを閉じ、フットドア59Cはフット吹出口51hを開け、排出開閉ドア72は空気排出口51kを開ける。
これにより、室内送風機54の第1ファン54cで送風された外気がヒータコア17で加熱されてデフロスタ吹出口51fから吹き出されるとともに、室内送風機54の第2ファン54dで送風された内気がクーラコア16で吸熱されて空気排出口51kから車外へ排出される。したがって、換気のために車外へ排出される空気の熱を回収して車室内の暖房に利用することができる。
ケース51は、換気熱回収暖房モードにおいて、空気排出口51kを通じて車室外に排出される空気の体積が、内外気切替箱52によって導入される外気の体積以下となるような構造になっている。
具体的には、空気を排出する経路の通風抵抗が、外気を導入する経路の通風抵抗よりも大きくなるようにケース51が設計されている。
これにより、車室外に空気を排出している際に、車室内の圧力が低下することを抑制できるので、車室構成部材に存在する微少な隙間を通じて車室内に外気が侵入するのを抑制できる。
換気熱回収暖房モードにおいて、換気のために車外へ排出される空気から回収した熱だけで暖房に必要な熱が足りる場合、第2切替弁19は、冷却水がラジエータ13をバイパスしてバイパス流路38を流れるようにしてもよい。これにより、外気の熱を汲み上げることなく、換気のために車外へ排出される空気から回収した熱だけで暖房することができる。
除霜暖房モードでは、図12に示すように、内外気切替ドア53は内気吸込口52aを閉じて外気吸込口52bを開け、内気ドア70は第2内気吸込口52cを閉じ、第1エアミックスドア56Aは第1ヒータコア通路51cを開けてヒータコアバイパス通路51eを閉じ、第2エアミックスドア56Bは第2ヒータコア通路51dを閉じ、バイパスドア57はバイパス通路51aを開けて第1ヒータコア通路51cおよびヒータコアバイパス通路51eをクーラコア16に対して仕切り、連通ドア58は第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを連通させ、デフロスタドア59Aはデフロスタ吹出口51fを開け、フェイスドア59Bはフェイス吹出口51gを閉じ、フットドア59Cはフット吹出口51hを開け、排出開閉ドア72は空気排出口51kを開ける。
これにより、車室内への送風空気の一部が、クーラコア16を通過して空気排出口51kから車外へ排出され、車室内への送風空気のうちクーラコア16をバイパスして流れた送風空気が、ヒータコア17で加熱されてデフロスタ吹出口51fから吹き出される。したがって、車室内を暖房することができる。
除霜暖房モードでは、クーラコア16で霜を融かすので、クーラコア16を通過した空気は、クーラコア16の表面から蒸発した水蒸気を多く含んでいる。これに対して、クーラコア16をバイパスして流れた空気は、クーラコア16の表面から蒸発した水蒸気を含まない。
クーラコア16を通過した空気は空気排出口51kから車外へ排出され、クーラコア16をバイパスして流れた空気はデフロスタ吹出口51fから吹き出される。そのため、クーラコア16の表面から蒸発した水蒸気を多く含んだ空気が車室内に吹き出されることを防止でき、ひいては窓ガラスが曇ることを抑制できる。
本実施形態では、換気熱回収暖房モードにおいて、ラジエータ13、冷却水冷却器14およびクーラコア16は、車室外へ排出される内気から冷凍サイクル21の低圧側冷媒に吸熱させるとともに外気から低圧側冷媒に吸熱させる吸熱手段を構成し、冷却水加熱器15は、冷凍サイクル21の高圧側冷媒と冷却水とを熱交換させて冷却水を加熱する冷却水加熱手段を構成し、ヒータコア17は、冷却水加熱器15で加熱された冷却水の熱を利用して、車室内に吹き出される空気を加熱する空気加熱手段を構成している。
したがって、車室外へ排出される内気から回収した熱、および外気から吸熱した熱の両方を利用して、車室内に吹き出される空気を加熱できる。
本実施形態では、第1ポンプ11の冷却水吐出側、第2ポンプ12の冷却水吐出側、クーラコア16が第1切替弁18に接続され、第1切替弁18は、クーラコア16について第1ポンプ11から吐出された冷却水が流入する状態と第2ポンプ12から吐出された冷却水が流入する状態とを切り替え、第1ポンプ11の冷却水吐出側、第2ポンプ12の冷却水吐出側、およびクーラコア16が第2切替弁19に接続され、第2切替弁19は、クーラコア16について第1ポンプ11へ冷却水が流出する状態と第2ポンプ12へ冷却水が流出する状態とを切り替える。これにより、クーラコア16に流れる冷却水を切り替えるための構成を簡素化できる。
本実施形態では、除霜暖房モードのように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ11および第2ポンプ12のうち一方のポンプと冷却水加熱器15とクーラコア16との間で冷却水が循環する状態に切り替え可能になっている。
これによると、クーラコア16に、冷却水加熱器15で加熱された冷却水を流すことができる。このため、クーラコア16に霜が付着した場合、クーラコア16に付着した霜を、冷却水加熱器15で加熱された冷却水の熱を利用して融かすことができる。
本実施形態では、ヒータコア17は、第1切替弁18および第2切替弁19に接続されており、第1切替弁18は、ヒータコア17について第1ポンプ11から吐出された冷却水が流入する状態と第2ポンプ12から吐出された冷却水が流入する状態とを切り替え、第2切替弁19は、ヒータコア17について第1ポンプ11へ冷却水が流出する状態と第2ポンプ12へ冷却水が流出する状態とを切り替える。これにより、ヒータコア17に流れる冷却水を切り替えるための構成を簡素化できる。
本実施形態では、クーラコア16は、内外気切替箱52が導入した内気および外気が通過するようにケース51の内部に配置されており、ヒータコア17は、内外気切替箱52が導入した内気および外気を加熱するようにケース51の内部に配置されており、ケース51には、クーラコア16およびヒータコア17のうち少なくとも一方を通過した空気を車室内に吹き出すための吹出口51f、51g、51hと、クーラコア16を通過した空気を車室外に排出するための排出口51kとが形成されており、排出開閉ドア72は、クーラコア16を通過した空気が吹出口51f、51g、51hを通じて車室内に吹き出される状態と、クーラコア16を通過した空気が排出口51kを通じて車室外に排出される状態とを切り替える。
これによると、クーラコア16が、車室外に排出される空気から吸熱する機能、および車室内に吹き出される空気を冷却する機能の両方を果たすことができる。そのため、車室外に排出される空気から吸熱する熱交換器と、車室内に吹き出される空気を冷却する熱交換器とを別個に設ける場合と比較して構成を簡素化できる。
本実施形態では、ケース51は、排出口51kを通じて車室外に排出される空気の体積が、内外気切替箱52によって導入される外気の体積以下となる構造を有している。
これにより、車室外に空気を排出している際に、車室内の圧力が低下することを抑制できるので、車室構成部材に存在する微少な隙間を通じて車室内に外気が侵入するのを抑制できる。
(第3実施形態)
本実施形態では、図13、図14に示すように、室内空調ユニット50のケース51の内部においてクーラコア16の側方側には、第2バイパス通路51mが形成されている。
第2バイパス通路51mは、クーラコア16をバイパスして空気を流す空気通路(バイパス通路)である。第2バイパス通路51mの入口部は第2通路51jと連通している。第2バイパス通路51mの出口部は第2ヒータコア通路51dと連通している。
第2バイパス通路51mには、第2バイパスドア73が配置されている。第2バイパスドア73は回動可能な板状ドアであり、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。第2バイパスドア73は、第2バイパス通路51mを開閉するバイパス通路開閉手段である。第2バイパスドア73を駆動する電動アクチュエータの作動は、制御装置60によって制御される。
本実施形態では、第2バイパスドア73用の電動アクチュエータの作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)をバイパス通路開閉制御手段60e(図2に図示)とする。バイパス通路開閉制御手段60eを制御装置60に対して別体で構成してもよい。
ケース51の内部においてクーラコア16とヒータコア17との間の部位には、第2排出開閉ドア74が配置されている。第2排出開閉ドア74は、空気排出通路51lおよび第2ヒータコア通路51dを開閉可能になっている。
第2排出開閉ドア74は回動可能な板状ドアであり、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。第2排出開閉ドア74用の電動アクチュエータの作動は、制御装置60によって制御される。
室内空調ユニット50は、上記第2実施形態と同様に、冷房モード、除湿暖房モード、換気熱回収暖房モードおよび除霜暖房モードに切り替えられる。
冷房モードでは、図13に示すように、内外気切替ドア53は内気吸込口52aを開けて外気吸込口52bを閉じ、内気ドア70は第2内気吸込口52cを開け、第1エアミックスドア56Aは第1ヒータコア通路51cを閉じてヒータコアバイパス通路51eを開け、第2エアミックスドア56Bは第2ヒータコア通路51dを閉じ、バイパスドア57はバイパス通路51aを閉じ、連通ドア58は第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを連通させ、デフロスタドア59Aはデフロスタ吹出口51fを閉じ、フェイスドア59Bはフェイス吹出口51gを開け、フットドア59Cはフット吹出口51hを閉じ、排出開閉ドア72は空気排出口51kを閉じ、第2排出開閉ドア74は空気排出通路51lを閉じる。図14に示すように、第2バイパスドア73は第2バイパス通路51mを閉じる。
これにより、室内送風機54の第1ファン54cおよび第2ファン54dで送風された内気が、クーラコア16で冷却されて、ヒータコア17で加熱されることなくフェイス吹出口51gから吹き出される。したがって、車室内を冷房することができる。
除湿暖房モードでは、図15に示すように、内外気切替ドア53は内気吸込口52aを閉じて外気吸込口52bを開け、内気ドア70は第2内気吸込口52cを開け、第1エアミックスドア56Aは第1ヒータコア通路51cを開けてヒータコアバイパス通路51eを閉じ、第2エアミックスドア56Bは第2ヒータコア通路51dを開けて第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを仕切り、バイパスドア57はバイパス通路51aを閉じ、連通ドア58は第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを仕切り、デフロスタドア59Aはデフロスタ吹出口51fを開け、フェイスドア59Bはフェイス吹出口51gを閉じ、フットドア59Cはフット吹出口51hを開け、排出開閉ドア72は空気排出口51kを閉じ、第2排出開閉ドア74は空気排出通路51lを閉じる。図14に示すように、第2バイパスドア73は第2バイパス通路51mを閉じる。
これにより、室内送風機54の第1ファン54cで送風された外気がヒータコア17で加熱されてデフロスタ吹出口51fから吹き出されるとともに、室内送風機54の第2ファン54dで送風された内気がヒータコア17で加熱されてフット吹出口51hから吹き出される。したがって、車室内を暖房することができる。
除湿暖房モードにおいて、第1切替弁18および第2切替弁19のうち少なくとも一方の切替弁がクーラコア16への冷却水の流通を遮断してもよい。この場合、クーラコア16で除湿が行われないが、デフロスタ吹出口51fから吹き出される空気は、比較的乾いた外気を加熱した空気であり、比較的湿った内気を加熱した空気はフット吹出口51hから吹き出されるので、窓ガラスが曇ることを抑制できる。
換気熱回収暖房モードでは、図16に示すように、内外気切替ドア53は内気吸込口52aを閉じて外気吸込口52bを開け、内気ドア70は第2内気吸込口52cを開け、第1エアミックスドア56Aは第1ヒータコア通路51cを開けてヒータコアバイパス通路51eを閉じ、第2エアミックスドア56Bは第2ヒータコア通路51dを開けて第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを仕切り、バイパスドア57はバイパス通路51aを開けて第1ヒータコア通路51cおよびヒータコアバイパス通路51eをクーラコア16に対して仕切り、連通ドア58は第1ヒータコア通路51cと第2ヒータコア通路51dとを仕切り、デフロスタドア59Aはデフロスタ吹出口51fを開け、フェイスドア59Bはフェイス吹出口51gを閉じ、フットドア59Cはフット吹出口51hを開け、排出開閉ドア72は空気排出口51kを開け、第2排出開閉ドア74は空気排出通路51lを開けて第2ヒータコア通路51dを空気排出通路51lに対して仕切る。図17に示すように、第2バイパスドア73は第2バイパス通路51mを開ける。
これにより、室内送風機54の第1ファン54cで送風された外気がヒータコア17で加熱されてデフロスタ吹出口51fから吹き出されるとともに、室内送風機54の第2ファン54dで送風された内気がクーラコア16で吸熱されて空気排出口51kから車外へ排出される。したがって、換気のために車外へ排出される空気の熱を回収して車室内の暖房に利用することができる。
除霜暖房モードでは、室内空調ユニット50は、図16に示す換気熱回収暖房モードと同様に切り替えられる。
これにより、室内送風機54の第1ファン54cで送風された外気が、クーラコア16をバイパスして流れてヒータコア17で加熱されてデフロスタ吹出口51fから吹き出され、室内送風機54の第2ファン54dで送風された内気が、クーラコア16を通過して空気排出口51kから車外へ排出される。したがって、車室内を暖房することができる。
除霜暖房モードでは、クーラコア16で霜を融かすので、クーラコア16を通過した空気は、クーラコア16の表面から蒸発した水蒸気を多く含んでいる。これに対して、クーラコア16をバイパスして流れた空気は、クーラコア16の表面から蒸発した水蒸気を含まない。
クーラコア16を通過した空気は空気排出口51kから車外へ排出され、クーラコア16をバイパスして流れた空気はデフロスタ吹出口51fから吹き出される。そのため、クーラコア16の表面から蒸発した水蒸気を多く含んだ空気が車室内に吹き出されることを防止でき、ひいては窓ガラスが曇ることを抑制できる。
本実施形態では、ヒータコア17は、ケース51の内部において、クーラコア16よりも空気流れ下流側に配置されており、ケース51は、内外気切替箱52が導入した内気がクーラコア16をバイパスしてヒータコア17に導かれる第2バイパス通路51mを形成しており、第1切替弁18および第2切替弁19は、クーラコア16に冷却水冷却器14で吸熱された冷却水が流れる状態と、クーラコア16に冷却水加熱器15で加熱された冷却水が流れる状態とを切り替え、第2バイパスドア73は第2バイパス通路51mを開閉し、制御装置60(バイパス通路開閉制御手段60e)は、クーラコア16に冷却水加熱器15で加熱された冷却水が流れている場合、第2バイパス通路51mを開けるように第2バイパスドア73の作動を制御する。
これにより、クーラコア16に冷却水加熱器15で加熱された冷却水を流してクーラコア16の表面に付着した霜を融かしている場合、クーラコア16の表面から蒸発した水蒸気を含まない空気をヒータコア17で加熱して車室内に吹き出すことができる。
(第4実施形態)
本第実施形態では、図18に示すように、上記第1実施形態に対して、ラジエータ13、冷却水冷却器14および冷却水加熱器15の配置を変更するとともに、クーラコア用流路36およびヒータコア用流路37の接続先を変更している。
ラジエータ13は、ラジエータ用流路33に配置されている。ラジエータ用流路33は、その一端が第1切替弁18に接続され、その他端が第2切替弁19に接続されている。
冷却水冷却器14は、第2ポンプ用流路32のうち第2ポンプ12と第1切替弁18との間の部位に配置されている。冷却水加熱器15は、第1ポンプ用流路31のうち第1ポンプ11と第1切替弁18との間の部位に配置されている。
クーラコア用流路36は、その一端が第1切替弁18に接続され、その他端が第2ポンプ用流路32のうち第2切替弁19と第2ポンプ12との間の部位に接続されている。
ヒータコア用流路37は、その一端が第1ポンプ用流路31のうち第1切替弁18と第2ポンプ12との間の部位に接続され、その他端が第2切替弁19に接続されている。
温度調整対象機器40は、機器用流路41に配置されている。機器用流路41は、その一端が第1切替弁18に接続され、その他端が第2切替弁19に接続されている。
温度調整対象機器40は、具体的には、吸気冷却器、排気ガス冷却器、電池冷却器、インバータモータ冷却器、CVTウォーマ等である。
吸気冷却器は、エンジン用過給器で圧縮されて高温になった吸気と冷却水とを熱交換して吸気を冷却する熱交換器である。吸気は30℃程度まで冷却されるのが好ましい。排気ガス冷却器は、冷却水によってエンジンの排気ガスを冷却する熱交換器である。
電池冷却器は、冷却水の流路を有しており、電池の熱を冷却水に与えることによって電池を冷却する機器である。電池は、出力低下、充放電効率低下および劣化防止等の理由から10〜40℃程度の温度に維持されるのが好ましい。
インバータモータ冷却器は、冷却水の流路を有しており、インバータおよび走行用電動モータの熱を冷却水に与えることによってインバータ走行用電動モータを冷却する機器である。インバータは、電池から供給された直流電力を交流電圧に変換して走行用電動モータに出力する電力変換装置である。インバータは、劣化防止等の理由から65℃以下の温度に維持されるのが好ましい。
CVTウォーマは、CVT(無段変速機)に使用されるCVTオイル(潤滑油)と冷却水とを熱交換させてCVTオイルを加熱する熱交換器である。
冷房モードでは、図18に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31をラジエータ用流路33およびヒータコア用流路37と接続させ、第2ポンプ用流路32をクーラコア用流路36および機器用流路41と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15、ラジエータ13およびヒータコア17によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14、クーラコア16および温度調整対象機器40によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図18の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水加熱器15、ラジエータ13およびヒータコア17を流れて第1ポンプ11に吸入される。
第2冷却水回路C2では、図18の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14、クーラコア16および温度調整対象機器40を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がラジエータ13を流れるので、冷却水加熱器15で加熱された冷却水の熱がラジエータ13で外気に放熱される。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がクーラコア16および温度調整対象機器40を流れるので、クーラコア16で冷却水が車室内への送風空気を冷却するとともに、温度調整対象機器40が冷却水で冷却される。
除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードでは、図19に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31をヒータコア用流路37と接続させ、第2ポンプ用流路32をクーラコア用流路36、機器用流路41およびラジエータ用流路33と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15およびヒータコア17によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14、クーラコア16、温度調整対象機器40およびラジエータ13によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図19の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水加熱器15およびヒータコア17を流れて第1ポンプ11に吸入される。
第2冷却水回路C2では、図19の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14、クーラコア16、温度調整対象機器40およびラジエータ13を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がヒータコア17を流れるので、ヒータコア17で冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13、クーラコア16および温度調整対象機器40を流れるので、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13で外気から吸熱するとともに、クーラコア16で車室内への送風空気を冷却し、温度調整対象機器40が冷却水で冷却される。
すなわち、除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードでは、冷凍サイクル21の冷媒は、冷却水冷却器14にて外気から吸熱して、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路C2の冷却水に放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
除霜暖房モードでは、図20に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31および第2ポンプ用流路32をクーラコア用流路36およびヒータコア用流路37と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、第2ポンプ12、冷却水冷却器14、冷却水加熱器15クーラコア16およびヒータコア17によって冷却水回路C1(熱媒体回路)が構成される。
冷却水回路C1では、図20の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出されて冷却水加熱器15を流れた冷却水、および第2ポンプ12から吐出されて冷却水冷却器14を流れた冷却水は、クーラコア16およびヒータコア17を流れて第1ポンプ11および第2ポンプ12に吸入される。
冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水が冷却水冷却器14を流れて冷媒に吸熱される。これにより、圧縮機22の仕事分の熱を冷却水回路の冷却水に投入して、冷却水回路C1の冷却水の温度を上昇させることができる。
冷却水回路C1では、圧縮機22の仕事分の熱で加熱された冷却水がクーラコア16およびヒータコア17を流れるので、クーラコア16で冷却水が霜を融かすとともに、ヒータコア17で冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
(第5実施形態)
本第実施形態では、図21に示すように、上記第2実施形態に対して、バイパス冷却水流路42を追加しているとともに、クーラコア用流路36およびヒータコア用流路37の接続先を変更している。
バイパス冷却水流路42は、ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17および温度調整対象機器40をバイパスして冷却水を流すバイパス手段である。バイパス冷却水流路42は、その一端が第1切替弁18に接続され、その他端が第2切替弁19に接続されている。
クーラコア用流路36は、その一端が第1切替弁18に接続され、その他端が第2切替弁19に接続されている。ヒータコア用流路37は、その一端が第1切替弁18に接続され、その他端が第2切替弁19に接続されている。
冷房モードでは、図21に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31をラジエータ用流路33およびヒータコア用流路37と接続させ、第2ポンプ用流路32をクーラコア用流路36および機器用流路41と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15、ラジエータ13およびヒータコア17によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14、クーラコア16および温度調整対象機器40によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図21の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水加熱器15、ラジエータ13およびヒータコア17を流れて第1ポンプ11に吸入される。
第2冷却水回路C2では、図21の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14、クーラコア16および温度調整対象機器40を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がラジエータ13を流れるので、冷却水加熱器15で加熱された冷却水の熱がラジエータ13で外気に放熱される。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がクーラコア16および温度調整対象機器40を流れるので、クーラコア16で冷却水が車室内への送風空気を冷却するとともに、温度調整対象機器40が冷却水で冷却される。
除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードでは、図22に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31をヒータコア用流路37と接続させ、第2ポンプ用流路32をクーラコア用流路36、機器用流路41およびラジエータ用流路33と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15およびヒータコア17によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14、クーラコア16、温度調整対象機器40およびラジエータ13によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図22の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水加熱器15およびヒータコア17を流れて第1ポンプ11に吸入される。
第2冷却水回路C2では、図22の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14、クーラコア16、温度調整対象機器40およびラジエータ13を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がヒータコア17を流れるので、ヒータコア17で冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13、クーラコア16および温度調整対象機器40を流れるので、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13で外気から吸熱するとともに、クーラコア16で車室内への送風空気を冷却し、温度調整対象機器40が冷却水で冷却される。
すなわち、除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードでは、冷凍サイクル21の冷媒は、冷却水冷却器14にて外気から吸熱して、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路C2の冷却水に放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
換気熱回収暖房モードにおいて、換気のために車外へ排出される空気から回収した熱だけで暖房に必要な熱が足りる場合、第1切替弁18および第2切替弁19は、第2ポンプ用流路32をバイパス冷却水流路42と接続させてラジエータ用流路33と接続させないようにしてもよい。これにより、外気の熱を汲み上げることなく、換気のために車外へ排出される空気から回収した熱だけで暖房することができる。
除霜暖房モードでは、図23に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31をクーラコア用流路36、機器用流路41およびヒータコア用流路37と接続させ、第2ポンプ用流路32をラジエータ用流路33と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15、クーラコア16、温度調整対象機器40およびヒータコア17によって第1冷却水回路(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14およびラジエータ13によって第2冷却水回路(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路では、図23の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は、冷却水加熱器15、クーラコア16、温度調整対象機器40およびヒータコア17を流れて第1ポンプ11に吸入され、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14およびラジエータ13を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がクーラコア16およびヒータコア17を流れるので、クーラコア16で冷却水が霜を融かすとともに、ヒータコア17で冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13を流れるので、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13で外気から吸熱する。
すなわち、除霜暖房モードでは、除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードと同様に、冷凍サイクル21の冷媒は、冷却水冷却器14にて外気から吸熱して、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路C2の冷却水に放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
(第6実施形態)
本実施形態では、図24に示すように、上記第1実施形態に対して、ヒータコア17の代わりに冷却水冷却水熱交換器43が設けられている。冷却水冷却水熱交換器43は、冷却水冷却水熱交換器用流路44に配置されている。冷却水冷却水熱交換器用流路44は、その一端が第1切替弁18に接続され、その他端が第2切替弁19に接続されている。
冷却水冷却水熱交換器43は、第1ポンプ11または第2ポンプ12から吐出された冷却水と、エンジン用冷却回路80を循環するエンジン冷却水(第2熱媒体)とを熱交換する熱交換器(熱媒体熱媒体熱交換器)である。
エンジン用冷却回路80は、エンジン冷却水が循環する循環流路81を有している冷却水回路(熱媒体回路)である。循環流路81は、エンジン用冷却回路80の主流路を構成している。本実施形態では、エンジン冷却水として、少なくともエチレングリコール、ジメチルポリシロキサンまたはナノ流体を含む液体が用いられている。
循環流路81には、第3ポンプ82、エンジン83、冷却水冷却水熱交換器43、ヒータコア84およびCVTウォーマ85がこの順番で直列に配置されている。エンジン83は、作動に伴って発熱する発熱機器である。
第3ポンプ82は、エンジン冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。冷却水冷却水熱交換器43は、エンジン用冷却回路80を循環するエンジン冷却水と、第1ポンプ11または第2ポンプ12によって循環される冷却水とを熱交換する熱交換器(熱媒体熱媒体熱交換器)である。
ヒータコア84は、車室内への送風空気と冷却水とを熱交換させて車室内への送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。
CVTウォーマ85は、CVT(無段変速機)に使用されるCVTオイル(潤滑油)と冷却水とを熱交換させてCVTオイルを加熱する熱交換器である。
循環流路81のうちエンジン83の冷却水出口側の部位には、エンジン用ラジエータ流路86の一端が接続されている。エンジン用ラジエータ流路86の他端は、循環流路81のうち第3ポンプ82の吸入側の部位に接続されている。
エンジン用ラジエータ流路86にはエンジン用ラジエータ87が配置されている。エンジン用ラジエータ87は、冷却水と車室外空気(以下、外気と言う。)とを熱交換することによって冷却水の熱を外気に放熱させるエンジン用放熱器(エンジン用熱媒体外気熱交換器)である。
エンジン用ラジエータ87への外気の送風は室外送風機21によって行われる。図示を省略しているが、エンジン用ラジエータ87は、車両の最前部において、ラジエータ13よりも外気流れ方向下流側に配置されている。
エンジン用ラジエータ流路86の他端と循環流路81との接続部には、サーモスタット88が配置されている。サーモスタット88は、温度によって体積変化するサーモワックス(感温部材)によって弁体を変位させて冷却水流路を開閉する機械的機構で構成される冷却水温度応動弁である。
具体的には、サーモスタット88は、冷却水の温度が所定温度を下回っている場合(例えば80℃未満)、エンジン用ラジエータ流路86を閉じ、冷却水の温度が所定温度を上回っている場合(例えば80℃以上)、エンジン用ラジエータ流路86を開ける。
冷房モードでは、図24に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31を冷却水加熱器用流路35、機器用流路41および冷却水冷却水熱交換器用流路44と接続させ、第2ポンプ用流路32を冷却水冷却器用流路34およびクーラコア用流路36と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15、温度調整対象機器40、冷却水冷却水熱交換器43およびラジエータ13によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14およびクーラコア16によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図24の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水加熱器15、温度調整対象機器40、冷却水冷却水熱交換器43およびラジエータ13を流れて第1ポンプ11に吸入される。
第2冷却水回路C2では、図24の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14およびクーラコア16を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がラジエータ13を流れるので、冷却水加熱器15で加熱された冷却水の熱がラジエータ13で外気に放熱される。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がクーラコア16を流れるので、クーラコア16で冷却水が車室内への送風空気を冷却する。
除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードでは、図25に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31を冷却水冷却器用流路34、機器用流路41およびクーラコア用流路36と接続させ、第2ポンプ用流路32を冷却水加熱器用流路35および冷却水冷却水熱交換器用流路44と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水冷却器14、温度調整対象機器40、クーラコア16およびラジエータ13によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水加熱器15および冷却水冷却水熱交換器43によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図25の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水冷却器14、温度調整対象機器40、クーラコア16およびラジエータ13を流れて第1ポンプ11に吸入される。第2冷却水回路C2では、図25の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水加熱器15および冷却水冷却水熱交換器43を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がクーラコア16、温度調整対象機器40およびラジエータ13を流れるので、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がクーラコア16で車室内への送風空気を冷却し、温度調整対象機器40が冷却水で冷却されるとともに、ラジエータ13で外気から吸熱する
第2冷却水回路C2では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水が冷却水冷却水熱交換器43を流れるので、冷却水冷却水熱交換器43でエンジン冷却水が加熱され、ヒータコア84でエンジン冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
すなわち、除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードでは、冷凍サイクル21の冷媒は、冷却水冷却器14にて外気から吸熱して、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路C2の冷却水に放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
除霜暖房モードでは、図26に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31を冷却水冷却器用流路34および機器用流路41と接続させ、第2ポンプ用流路32を冷却水加熱器用流路35、クーラコア用流路36および冷却水冷却水熱交換器用流路44と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水冷却器14、温度調整対象機器40およびラジエータ13によって第1冷却水回路(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水加熱器15、クーラコア16および冷却水冷却水熱交換器43によって第2冷却水回路(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路では、図26の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は、冷却水冷却器14、温度調整対象機器40およびラジエータ13を流れて第1ポンプ11に吸入され、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水加熱器15、クーラコア16および冷却水冷却水熱交換器43を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13を流れるので、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13で外気から吸熱する。
第2冷却水回路C2では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がクーラコア16および冷却水冷却水熱交換器43を流れるので、クーラコア16で冷却水が霜を融かすとともに、冷却水冷却水熱交換器43でエンジン冷却水が加熱され、ヒータコア84でエンジン冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
すなわち、除霜暖房モードでは、除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードと同様に、冷凍サイクル21の冷媒は、冷却水冷却器14にて外気から吸熱して、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路C2の冷却水に放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
本実施形態では、冷却水冷却水熱交換器43およびヒータコア84は、冷却水加熱器15で加熱された冷却水の熱を利用して、車室内に吹き出される空気を加熱する空気加熱手段を構成している。したがって、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
本実施形態では、冷却水冷却水熱交換器43は、第1切替弁18および第2切替弁19に接続されており、第1切替弁18は、冷却水冷却水熱交換器43について第1ポンプ11から吐出された冷却水が流入する状態と第2ポンプ12から吐出された冷却水が流入する状態とを切り替え、第2切替弁19は、冷却水冷却水熱交換器43について第1ポンプ11へ冷却水が流出する状態と第2ポンプ12へ冷却水が流出する状態とを切り替える。これにより、冷却水冷却水熱交換器43に流れる冷却水を切り替えるための構成を簡素化できる。
(第7実施形態)
本第実施形態では、図27に示すように、上記第6実施形態に対して、ラジエータ13、冷却水冷却器14および冷却水加熱器15の配置が変更されている。
ラジエータ13はラジエータ用流路33に配置されている。冷却水冷却器14は第2ポンプ用流路32において第2ポンプ12の冷却水吐出側に配置されている。冷却水加熱器15は第1ポンプ用流路31において第1ポンプ11の冷却水吐出側に配置されている。
電池冷却器45は電池冷却器用流路47に配置されている。インバータモータ冷却器46は電池冷却器用流路47において電池冷却器45の冷却水流れ下流側に配置されている。
エンジンバイパス流路90は、エンジン用冷却回路80において、冷却水冷却水熱交換器43およびヒータコア84から流出したエンジン冷却水がCVTウォーマ85およびエンジン83をバイパスして流れることができるようにするための流路である。
エンジンバイパス流路90の一端は、エンジン用冷却回路80の循環流路81のうちヒータコア84とCVTウォーマ85との間に部位に接続されている。エンジンバイパス流路90の他端は、エンジン用冷却回路80の循環流路81のうちエンジン83と冷却水冷却水熱交換器43との間に部位に接続されている。
サブポンプ91は、エンジン冷却水を吸入して吐出する電動ポンプであり、エンジンバイパス流路90に配置されている。サブポンプ91は、ヒータコア84から流出したエンジン冷却水を吸入して、冷却水冷却水熱交換器43側に向けて吐出するようにエンジンバイパス流路90に配置されている。
三方弁92は、エンジン冷却水がエンジンバイパス流路90を流れずに循環流路81を循環する場合と、エンジン冷却水がCVTウォーマ85およびエンジン83をバイパスしてエンジンバイパス流路90を流れる場合とを切り替える流路切替手段であり、エンジンバイパス流路90と循環流路81との接続部に配置されている。
冷房モードでは、図27に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31をラジエータ用流路33および電池冷却器用流路47と接続させ、第2ポンプ用流路32をクーラコア用流路36と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15、ラジエータ13および電池冷却器45によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14およびクーラコア16によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図27の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水加熱器15、ラジエータ13および電池冷却器45を流れて第1ポンプ11に吸入される。第2冷却水回路C2では、図27の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14およびクーラコア16を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がラジエータ13を流れるので、冷却水加熱器15で加熱された冷却水の熱がラジエータ13で外気に放熱される。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がクーラコア16を流れるので、クーラコア16で冷却水が車室内への送風空気を冷却する。
除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードでは、図28に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31を冷却水冷却水熱交換器用流路44と接続させ、第2ポンプ用流路32をクーラコア用流路36、ラジエータ用流路33および電池冷却器用流路47と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15および冷却水冷却水熱交換器43によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14、クーラコア16、ラジエータ13、電池冷却器45およびインバータモータ冷却器46によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図28の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水加熱器15および冷却水冷却水熱交換器43を流れて第1ポンプ11に吸入される。第2冷却水回路C2では、図28の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14、クーラコア16、ラジエータ13、電池冷却器45およびインバータモータ冷却器46を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水が冷却水冷却水熱交換器43を流れるので、冷却水冷却水熱交換器43でエンジン冷却水が加熱され、ヒータコア84でエンジン冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がクーラコア16、ラジエータ13、電池冷却器45およびインバータモータ冷却器46を流れるので、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がクーラコア16で車室内への送風空気を冷却し、ラジエータ13で外気から吸熱するとともに、電池冷却器45およびインバータモータ冷却器46が冷却水で冷却される。
すなわち、除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードでは、冷凍サイクル21の冷媒は、冷却水冷却器14にて外気から吸熱して、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路C2の冷却水に放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
換気熱回収暖房モードにおいて、換気のために車外へ排出される空気から回収した熱だけで暖房に必要な熱が足りる場合、第1切替弁18および第2切替弁19は、第2ポンプ用流路32をラジエータ用流路33と接続させないようにしてもよい。これにより、外気の熱を汲み上げることなく、換気のために車外へ排出される空気から回収した熱だけで暖房することができる。
除霜暖房モードでは、図29に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31をクーラコア用流路36および冷却水冷却水熱交換器用流路44と接続させ、第2ポンプ用流路32をラジエータ用流路33および電池冷却器用流路47と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15、クーラコア16および冷却水冷却水熱交換器43によって第1冷却水回路(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14、ラジエータ13、電池冷却器45およびインバータモータ冷却器46によって第2冷却水回路(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路では、図29の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は、冷却水加熱器15、クーラコア16および冷却水冷却水熱交換器43を流れて第1ポンプ11に吸入され、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14、ラジエータ13、電池冷却器45およびインバータモータ冷却器46を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がクーラコア16および冷却水冷却水熱交換器43を流れるので、クーラコア16で冷却水が霜を融かすとともに、冷却水冷却水熱交換器43でエンジン冷却水が加熱され、ヒータコア84でエンジン冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13を流れるので、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13で外気から吸熱する。
すなわち、除霜暖房モードでは、除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードと同様に、冷凍サイクル21の冷媒は、冷却水冷却器14にて外気から吸熱して、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路C2の冷却水に放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
(第8実施形態)
本第8実施形態では、図30に示すように、上記第7実施形態に対して、クーラコア16の代わりにエバポレータ25が設けられている。
冷凍サイクル22は、エバポレータ用膨張弁26および電磁弁27を有している。エバポレータ用膨張弁26およびエバポレータ25は、冷凍サイクル22において膨張弁24および冷却水冷却器14と並列に配置されている。
電磁弁27は、冷却水加熱器15から膨張弁24に至る冷媒流路を開閉する。したがって、電磁弁27は、膨張弁24および冷却水冷却器14への冷媒の流通を断続切り替えする。
図示を省略しているが、エバポレータ25は、ケース51の内部においてヒータコア84の空気流れ上流側に配置されている。
インバータモータ冷却器46はインバータモータ冷却器流路48に配置されている。インバータモータ冷却器流路48は、その一端が第1切替弁18に接続され、その他端が第2切替弁19に接続されている。ヒータコア17は、ヒータコア用流路37に配置されている。
冷房モードでは、図30に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31をラジエータ用流路33、ヒータコア用流路37、インバータモータ冷却器流路48および冷却水冷却水熱交換器用流路44と接続させ、第2ポンプ用流路32を電池冷却器用流路47と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15、ラジエータ13、ヒータコア17、インバータモータ冷却器46および冷却水冷却水熱交換器43によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14および電池冷却器45によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図30の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水加熱器15、ラジエータ13、ヒータコア17、インバータモータ冷却器46および冷却水冷却水熱交換器43を流れて第1ポンプ11に吸入される。
第2冷却水回路C2では、図27の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14および電池冷却器45を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がラジエータ13を流れるので、冷却水加熱器15で加熱された冷却水の熱がラジエータ13で外気に放熱される。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水が電池冷却器45を流れるので、電池冷却器45が冷却水で冷却される。
エバポレータ25では、冷凍サイクル22の低圧側冷媒が車室内への送風空気を冷却する。
除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードでは、図31に示すように、第1切替弁18および第2切替弁19は、第1ポンプ用流路31をヒータコア用流路37および冷却水冷却水熱交換器用流路44と接続させ、第2ポンプ用流路32をラジエータ用流路33、電池冷却器用流路47およびインバータモータ冷却器流路48と接続させる。
これにより、第1ポンプ11、冷却水加熱器15、ヒータコア17および冷却水冷却水熱交換器43によって第1冷却水回路C1(第1熱媒体回路)が構成され、第2ポンプ12、冷却水冷却器14、ラジエータ13、インバータモータ冷却器46および電池冷却器45によって第2冷却水回路C2(第2熱媒体回路)が構成される。
第1冷却水回路C1では、図31の太実線矢印に示すように、第1ポンプ11から吐出された冷却水は冷却水加熱器15、ヒータコア17および冷却水冷却水熱交換器43を流れて第1ポンプ11に吸入される。第2冷却水回路C2では、図31の太一点鎖線矢印に示すように、第2ポンプ12から吐出された冷却水は冷却水冷却器14、ラジエータ13、インバータモータ冷却器46および電池冷却器45を流れて第2ポンプ12に吸入される。
第1冷却水回路C1では、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がヒータコア17を流れるので、ヒータコア17で冷却水が車室内への送風空気を加熱する。
第2冷却水回路C2では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13、インバータモータ冷却器46および電池冷却器45を流れるので、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13で外気から吸熱するとともに、インバータモータ冷却器46および電池冷却器45が冷却水で冷却される。
すなわち、除湿暖房モードおよび換気熱回収暖房モードでは、冷凍サイクル21の冷媒は、冷却水冷却器14にて外気から吸熱して、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路C2の冷却水に放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
エバポレータ25では、冷凍サイクル22の低圧側冷媒が車室内への送風空気を冷却する。換言すれば、エバポレータ25では、冷凍サイクル22の低圧側冷媒が車室内への送風空気から吸熱する。
本実施形態では、エバポレータ25は、車室外へ排出される内気から冷凍サイクル21の低圧側冷媒に吸熱させるとともに、外気から低圧側冷媒に吸熱させる吸熱手段を構成している。したがって、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
本実施形態では、エバポレータ25は、内外気切替箱52が導入した内気および外気が通過するようにケース51の内部に配置されており、ヒータコア17は、内外気切替箱52が導入した内気および外気を加熱するようにケース51の内部に配置されており、ケース51には、エバポレータ25およびヒータコア17のうち少なくとも一方を通過した空気を車室内に吹き出すための吹出口51f、51g、51hと、エバポレータ25を通過した空気を車室外に排出するための排出口51kとが形成されており、排出開閉ドア72は、エバポレータ25を通過した空気が吹出口51f、51g、51hを通じて車室内に吹き出される状態と、エバポレータ25を通過した空気が排出口51kを通じて車室外に排出される状態とを切り替える。
これによると、エバポレータ25が、車室外に排出される空気から吸熱する機能、および車室内に吹き出される空気を冷却する機能の両方を果たすことができる。そのため、車室外に排出される空気から吸熱する熱交換器と、車室内に吹き出される空気を冷却する熱交換器とを別個に設ける場合と比較して構成を簡素化できる。
(他の実施形態)
上記実施形態を適宜組み合わせ可能である。上記実施形態を例えば以下のように種々変形可能である。
(1)上記実施形態では、冷却水を外気の温度よりも低温まで冷却する冷却手段として、冷凍サイクル21の低圧冷媒で冷却水を冷却する冷却水冷却器14を用いているが、ペルチェ素子を冷却手段として用いてもよい。
(2)上記各実施形態において、エンジン83の代わりに、作動に伴って熱を発生する種々の発熱機器(例えば燃料電池)が設けられていてもよい。
(3)上記各実施形態では、温度調整対象機器を温度調整するための熱媒体として冷却水を用いているが、油などの各種媒体を熱媒体として用いてもよい。
熱媒体として、ナノ流体を用いてもよい。ナノ流体とは、粒子径がナノメートルオーダーのナノ粒子が混入された流体のことである。ナノ粒子を熱媒体に混入させることで、エチレングリコールを用いた冷却水(いわゆる不凍液)のように凝固点を低下させる作用効果に加えて、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、特定の温度帯での熱伝導率を向上させる作用効果、熱媒体の熱容量を増加させる作用効果、金属配管の防食効果やゴム配管の劣化を防止する作用効果、および極低温での熱媒体の流動性を高める作用効果を得ることができる。
このような作用効果は、ナノ粒子の粒子構成、粒子形状、配合比率、付加物質によって様々に変化する。
これによると、熱伝導率を向上させることができるので、エチレングリコールを用いた冷却水と比較して少ない量の熱媒体であっても同等の冷却効率を得ることが可能になる。
また、熱媒体の熱容量を増加させることができるので、熱媒体自体の蓄冷熱量(顕熱による蓄冷熱)を増加させることができる。
蓄冷熱量を増加させることにより、圧縮機22を作動させない状態であっても、ある程度の時間は蓄冷熱を利用した機器の冷却、加熱の温調が実施できるため、車両用熱管理システムの省動力化が可能になる。
ナノ粒子のアスペクト比は50以上であるのが好ましい。十分な熱伝導率を得ることができるからである。なお、アスペクト比は、ナノ粒子の縦×横の比率を表す形状指標である。
ナノ粒子としては、Au、Ag、CuおよびCのいずれかを含むものを用いることができる。具体的には、ナノ粒子の構成原子として、Auナノ粒子、Agナノワイヤー、CNT(カーボンナノチューブ)、グラフェン、グラファイトコアシェル型ナノ粒子(上記原子を囲むようにカーボンナノチューブ等の構造体があるような粒子体)、およびAuナノ粒子含有CNTなどを用いることができる。
(4)上記各実施形態の冷凍サイクル21では、冷媒としてフロン系冷媒を用いているが、冷媒の種類はこれに限定されるものではなく、二酸化炭素等の自然冷媒や炭化水素系冷媒等を用いてもよい。
また、上記各実施形態の冷凍サイクル21は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成しているが、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える超臨界冷凍サイクルを構成していてもよい。
(5)上記各実施形態では、熱管理システム10および車両用空調装置をハイブリッド自動車に適用した例を示したが、エンジンを備えず走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得る電気自動車等に熱管理システム10および車両用空調装置を適用してもよい。