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JP5927038B2 - 骨形成促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、骨形成促進剤に関する。
近年、科学の進歩と生活水準のアップに伴い、人類の寿命が伸びている。高齢者人口の増加に伴って、骨粗鬆症は年々増加の一途をたどっている。現在、骨粗鬆症患者の数は400〜500万人といわれる。中でも、原発性骨粗鬆症に分類される閉経後骨粗鬆症は、50歳以上の更年期を過ぎた女性に高頻度に発症し、骨粗鬆症患者数の90%以上を占める。このことから、骨粗鬆症は、糖尿病に代表される生活習慣病と同様、現代社会において重要視されている疾患となっている。また、骨粗鬆症が原因で腰椎や大腿骨を骨折し、寝たきりの状態が長期化すると、痴呆を引き起こす危険性も有している。そのため、QOL(Quality of life)の総合的改善を目標として、骨粗鬆症の予防や治療薬或は食品の早期開発が望まれている。
骨粗鬆症は、骨(主として海綿骨)を形成するカルシウム、コラーゲンなどの成分の減少による骨量の低下と、骨組織の微細構造の退行とを引き起こす全身性の骨疾患であり、骨の疼痛が発生し、骨の脆弱性、骨折のリスクを伴うことを特徴とする。骨粗鬆症の発症においては、多くの因子が直接あるいは間接的に、また多元的に関与していると考えられている。このような因子としては、閉経によるエストロゲンの分泌低下、カルシウム代謝調節ホルモン、カルシウム摂取量などの栄養的因子、適度な運動および重力などの機械的ストレスなどが報告されている。これらの因子は互いに複雑に関与しあって骨代謝に影響を及ぼしていると考えられている。
人の骨は絶えず吸収と再形成を繰り返している。骨代謝過程で中心的な働きをしている細胞は骨形成を担当する骨芽細胞と、骨吸収を担当する破骨細胞とである。骨芽細胞は老化と共に、細胞数が減少することが確認されている。骨組織の成長、維持及び修復は、骨形成速度と骨吸収速度との間のバランスに依存しており、このバランスが崩れ石灰化能が低下すると、骨吸収が骨形成を上回り骨量が減少し、骨粗鬆症などの疾患がもたらされる。
骨粗鬆症の治療薬として、カルシウム、活性型ビタミンD3、エストロゲン、カルシトニン、イプリフラボン、ビタミンK2及びビスホスホネート関連化合物が用いられている。また、骨を強化する食品として、現在は主にカルシウムやビタミンDが利用されており、最近ではゲニスチンなどのイソフラボノイドが利用されようとしている。
L−アスコルビン酸は、骨基質の主要成分である生体内でのコラーゲンの合成に重要であることが知られている。すなわち、L−アスコルビン酸は、コラーゲンに特異的なアミノ酸であるヒドロキシプロリンやヒドロキシリジンの生合成に必須であり、例えば骨芽細胞の培養系に添加するとコラーゲン合成を促進し、骨芽細胞の分化、骨形成を促進することが知られている。
L−アスコルビン酸には、酸化分解を受け易く容易にその生理活性を失うという欠点がある。そこでL−アスコルビン酸を安定化せる方法として、糖誘導体やエステル誘導体などのL−アスコルビン酸誘導体が提案されている。非特許文献1には、L−アスコルビン酸リン酸エステルの安定性がL−アスコルビン酸と比較して高いこと、L−アスコルビン酸2−リン酸エステルが培養骨芽細胞の増殖促進効果および分化促進効果を有することが記載されている。
ソルビットは糖アルコールの一種であり、甘味料、保湿剤、増粘剤など、食品、化粧品、医薬品向けの添加剤として使用されてきた。
Cell Biol Int.2004;28(4):255−65.
しかし、骨粗鬆症の治療薬はいずれも治療効果が満足できるものではなかった。特にカルシウム剤は効果を得るために非常に大量の摂取を必要とする。そして、下記のとおり副作用も問題であった。カルシトニンは薬剤の耐性が出現しやすく、経口投与が不可能である。活性型ビタミンD3は高カルシウム血症を生じやすい。ビスホスホネートは骨形成を阻害する。エストロゲン製剤も、6ヶ月以上にわたる長期投与の間に、顔面紅潮、乳房痛、子宮や膣からの不正性器出血などの副作用が高頻度で発生する。そして、これらの治療薬は骨粗鬆症と診断されて初めて投与されるのであり、骨粗鬆症の予防策ではない。さらに、骨粗鬆症の治療薬の購入は患者に高額の医療費を負担させることにつながる。
また、従来の骨を強化する食品は骨形成を十分に促進させるものではなく、骨粗鬆症の予防効果を発揮するといったものではなかった。仮に骨粗鬆症の予防効果を発揮させようとすると、有効成分を単独で多量に食品に添加することが必要となり、食品の素材となり得ない上に食品の嗜好性の低下を招くことも問題となる。
一方、ソルビットが骨形成に関与することは、いまのところ全く知られていない。
本発明は、骨形成促進効果を顕著に発揮することができ、飲食品としても利用可能な剤または組成物の提供を目的とする。
本発明者らはL−アスコルビン酸誘導体をソルビットまたはその誘導体と組み合わせることにより、骨形成を顕著に向上させることができることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、下記の発明を提供する。
〔1〕成分(A):アスコルビン酸誘導体と、成分(B):ソルビットおよび/またはその誘導体とからなる骨形成促進剤。
〔2〕骨粗鬆症を予防および/または改善する、上記〔1〕に記載の骨形成促進剤。
〔3〕上記〔1〕または〔2〕に記載の骨形成促進剤を含有する骨形成促進組成物。
〔4〕上記〔1〕または〔2〕に記載の骨形成促進剤もしくは上記〔3〕に記載の骨形成促進組成物を含有する飲食品。
本発明の剤は、骨形成を顕著に促進することができる。よって、骨粗鬆症や骨折を未然に予防することができ、これらのリスクを軽減することができ、骨粗鬆症の発症後には症状を改善することができる。
図1は、実施例及び比較例の、アルカリフォスファターゼ遺伝子発現率の結果を示すグラフである。
成分(A)はアスコルビン酸誘導体である。アスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)フラン−2(5H)−オン、ビタミンC)の一部が他の原子または置換基で置換されて得られる化合物を意味する。アスコルビン酸誘導体の母体であるアスコルビン酸はD体、L体、DL体のいずれであってもよいが、好ましくはL体である。アスコルビン酸誘導体は、医薬品、医薬部外品、化粧品または食品の分野において用いることができれば特に限定されない。例えば、アスコルビン酸のエステル誘導体またはその塩、アスコルビン酸のエーテル誘導体またはその塩、アスコルビン酸の塩等が挙げられる。
アスコルビン酸のエステル誘導体としては例えば、アスコルビン酸と、カルボン酸、硫酸、スルホン酸、リン酸等の酸とのエステルが挙げられる。アスコルビン酸のエステル化部位としては、例えば、アスコルビン酸の2位、3位、5位及び6位の各ヒドロキシ基が挙げられる。アスコルビン酸のエステル誘導体において、アスコルビン酸のエステル化部位は1以上であればよく、上記各ヒドロキシ基から選ばれる1以上のヒドロキシ基がエステル化されていてもよい。エステル化部位が2以上の場合、エステルを形成する酸の種類は、それぞれのエステル化部位において同一でも異なっていてもよい。
カルボン酸としては例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸としては例えば、スルホン酸、アルキルスルホン酸等が挙げられる。アルキルスルホン酸は、通常、炭素原子数1〜6のアルキルスルホン酸であり、例えば、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸等が挙げられる。
リン酸としては例えば、リン酸、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルが挙げられ、詳しくは以下の通りである:リン酸;リン酸のモノアルキルエステル(例、リン酸が有する1つの水素が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基から選ばれるアルキル基で置換されているリン酸モノエステル);リン酸のジアルキルエステル(例、リン酸が有する2つの水素が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基から選ばれる2つのアルキル基で置換されているリン酸のジアルキルエステル等)等。上記リン酸のジアルキルエステルにおいて、2つのアルキル基は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
アスコルビン酸のエーテル誘導体としては例えば、アスコルビン酸グルコシド(例、アスコルビン酸−2−グルコシド)などが挙げられる。
アスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸の塩またはアスコルビン酸誘導体の塩であってもよい。塩としては例えば下記の塩が挙げられる:ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩、およびアルミニウム等の多価金属塩などの各種の金属塩;アンモニウム、トリシクロヘキシルアンモニウム等のアンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の各種のアルカノールアミン塩等。
本発明において好ましく用いられるアスコルビン酸誘導体は、L−アスコルビン酸の塩(例えば、ナトリウム塩など)、L−アスコルビン酸のリン酸エステル誘導体(例えば、L−アスコルビン酸モノリン酸エステルナトリウム塩、リン酸L−アスコルビルマグネシウム(アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩(APM))など)およびその塩、アスコルビン酸グルコシド(例えば、アスコルビン酸−2−グルコシドなど)およびその塩、テトライソパルミチン酸アスコルビル(VCIP)およびその塩、アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸エステル(APPS)およびその塩であり、より好ましく用いられるアスコルビン酸誘導体は、L−アスコルビン酸ナトリウム、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸−2−グルコシド(例えば、アスコルビン酸−2−O−α−グルコシド(A2G))である。
アスコルビン酸誘導体は、化学合成などにより人工的に合成されたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
成分(A)は、1種類のアスコルビン酸誘導体であってもよいし2種類以上のアスコルビン酸誘導体の組み合わせであってもよい。
本発明の剤における成分(A)の配合量は、本発明の効果を奏し得る配合量である限り特に制限されないが、通常は剤全体に対して0.00001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは、0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは1質量%以上である。配合量の上限は、剤全体に対して、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。
成分(B)はソルビットおよび/またはその誘導体である。ソルビット(ソルビトール、グルシトール)は糖アルコールの一種である。ソルビットの光学異性は特に限定されずD体およびL体のいずれでもよいが、通常はD体である。ソルビットの製造方法は特に限定されず、化学合成されたソルビットでもよいし、天然物から抽出されたソルビットであってもよい。
ソルビットは市販されており、本発明においては市販品を使用することができる。ソルビットの市販品としては、例えば、「ソルビットKK−N」(メーカー名:キリン協和)、「ソルビトール」(メーカー名:三菱商事フードテック)、「ソルビトール」(メーカー名:物産フードサイエンス)などがある。
ソルビットの誘導体とは、ソルビットを構成する炭素原子に結合している水素原子が水素原子以外の置換基(例えば、アルキル基など)に置換されている化合物、ソルビットの塩、および上記化合物の塩を意味する。塩の例は、アスコルビン酸誘導体の塩の例と同様である。
成分(B)は、1種類のソルビットまたはその誘導体であってもよいし、光学異性、製造方法等の異なる2種類以上のソルビットまたはその誘導体の組み合わせであってもよいし、ソルビットとその誘導体の組み合わせであってもよい。
本発明の組成物における、成分(A)と成分(B)との重量比は、本願効果を奏し得る限り特に制限されないが、通常は、成分(A)1重量部に対して成分(B)が0.001〜100000重量部であり、好ましくは0.01〜50000重量部であり、より好ましくは 0.1〜3000重量部であり、さらに好ましくは0.1〜2000重量部である。
本発明においては、成分(A)と成分(B)との組み合わせが、骨形成促進作用を発揮する。よって、本発明の剤は、骨形成促進剤と言い換えることができる。また、本発明においては成分(A)と成分(B)とを組み合わせることにより、成分(B)が成分(A)の骨形成促進作用を増強することができる。よって、本発明は、ソルビットおよび/またはその誘導体からなる、アスコルビン酸誘導体の骨形成促進機能向上剤、ならびに、ソルビットおよび/またはその誘導体からなる、アスコルビン酸誘導体を含む飲食品用の骨形成促進機能向上剤も提供する。
本発明の剤の投与量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無く、また適応される被投与生体の年齢、状態などの種々の要因により適宜変えることができる。目的の効果を得るためには、成人1人あたりの成分(A)の投与量として0.001g/日〜100g/日であることが好ましい。また、成人1人あたりの成分(B)の投与量として0.001g/日〜 10g/日であることが好ましい。
本発明の剤は、そのままの形態で、最終製品(例えば、飲食物、医薬品、医薬部外品など)として用いることもできる。また、飲食品用の添加剤、医薬用の添加剤、医薬部外品用の添加剤として用いることができる。これにより、飲食品、医薬品、医薬部外品に、骨粗鬆症予防および/または改善効果を付与することができる。
本発明は、上記成分(A)および成分(B)からなる剤を提供するとともに、本発明の剤を含有する組成物をも提供する。本発明の組成物は、成分(A)および成分(B)を有効成分としていればよく、成分(A)および(B)以外の成分(薬理学的に許容される基剤)を有している。その他の成分の一例としては、主に貯蔵および流通における安定性を確保する成分(例えば保存安定剤など)が挙げられる。その他、目的の最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品など)を構成する諸成分から選ばれる1または2以上の種類の成分(好ましくは1〜3種類程度、より好ましくは1種類程度)を含有していてもよい。
本発明の組成物に含まれる、成分(A)および(B)以外の成分は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されない。例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、発色剤、矯味剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、呈味剤、酸味剤、甘味剤、強化剤、ビタミン剤、膨張剤、増粘剤、界面活性剤などの中から、製剤に必要な諸特性(例えば、製剤安定性)を損なわないものであって、最終製品(例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品)の剤形に応じたものを1種または2種以上選択することができる。また、成分(A)および(B)以外の成分は、骨形成促進効果を有する他の成分であってもよい。
本発明の剤および組成物の投与形態は特に限定されない。例えば、経口投与(例えば、口腔内投与、舌下投与など)、非経口投与(静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与など)などが挙げられる。これらの中でも侵襲性の少ない投与形態が好ましく、本発明の剤および組成物はそれぞれ経口投与剤および経口投与組成物であることがより好ましい。本発明の剤および組成物は飲食品として経口投与されることがさらに好ましい。
本発明の剤および組成物の剤形は、飲食品、医薬品および医薬部外品のいずれとするかによって適宜決定することができ、特に限定されない。本発明の剤および組成物がそれぞれ経口投与剤および経口投与組成物である際の剤形の例としては、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、錠剤(錠剤、タブレット)、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒、細粒)、ソフトカプセル状(ソフトカプセル剤)、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、固形状、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられる。
本発明の剤および組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、剤型等に合わせて適宜選択される。一例を挙げると、成分(A)と、成分(B)と、添加される場合には任意成分とを混合した後、得られる混合物を圧縮成型する方法によってタブレットを調製する方法が挙げられる。
本発明の剤および組成物の摂取方法は剤型によって異なり、特に限定されない。例えば剤形がタブレットの場合、タブレットを水等と一緒に服用することが好ましい。
本発明の剤および組成物の投与時期は特に限定されない。食事との投与間隔も特に限定されず、食事の前、後、食間いずれにおいても摂取可能である。
本発明の剤および組成物は、骨形成促進効果を発揮することができる。すなわち、骨組織においてコラーゲン遺伝子、アルカリフォスファターゼ遺伝子などの遺伝子活性を向上させ、骨組織の生成を促進することができる。本発明の剤または組成物が骨粗鬆症の発症前に投与された場合はその発症を予防することができる。また、骨粗鬆症の発症後にはその症状を改善(緩和)することができる。そのため、本発明の剤および組成物は、それぞれ、骨粗鬆症の予防および/または改善剤、骨粗鬆症の予防および/または改善組成物と言い換えることもでき、骨粗鬆症の予防および/または改善用の飲食品もしくは医薬品として利用できる。骨粗鬆症はその原因により原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症とに大別されるが、本発明においては骨粗鬆症の原因は問わず、いずれのタイプの骨粗鬆症に対しても予防および改善効果を発揮することができる。原発性骨粗鬆症としては例えば、閉経後骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症、妊娠に伴う骨粗鬆症などが挙げられる。続発性骨粗鬆症としては例えば、糖尿病などの疾患を背景とする骨粗鬆症などが挙げられる。また、本発明の剤および組成物は、骨折の予防効果も発揮できるので、それぞれ骨折予防剤および骨折予防組成物と言い換えることができる。骨折の原因、部位、程度などは特に限定されないが、骨粗鬆症に起因する骨折が主な対象である。
本発明の剤および組成物は、骨形成促進効果を生かして、それぞれ、骨量増加剤および組成物、骨密度増加剤および組成物、骨強度増加剤および組成物としても利用できる。
本発明の剤および組成物の摂取対象者は特に限定されないが、例えば、骨粗鬆症を既に発症している対象者、骨粗鬆症および骨折のリスクがある対象者(高齢者、喫煙者、妊婦、閉経後の女性など)が挙げられる。また、特段の問題のない対象者であっても、骨粗鬆症または骨折の予防、骨量増加、骨密度増加、骨強度増加を目的として日常的に摂取することができる。
本発明の剤および組成物は、各種飲食品として利用することができる。例えば、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料など)、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム、キャンディー、タブレット、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベットなど)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺんなど)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、チーズ、マーガリン、発酵乳など)、スープ(粉末状スープ、液状スープなど)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺)、パン、シリアルなど)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆなど)が挙げられる。更に、本発明の剤および組成物は、健康食品、機能性食品、健康食品、健康補助食品(サプリメント)、栄養補助食品、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の飲食品として利用することもできる。これらのうち、健康補助食品として利用することが好ましく、タブレット状の健康補助食品として利用することがより好ましい。
実施例1〜3、比較例1〜4(骨芽細胞の分化促進(骨形成促進)試験)
本発明の剤および組成物の骨形成促進活性を、骨芽細胞培養系におけるアルカリフォスファターゼ(ALP)遺伝子発現量によって評価した。
ヒト骨肉腫由来骨芽細胞のMG−63細胞(DSファーマバイオメディカル株式会社)を、10%FBS、1%非必須アミノ酸、2mMグルタミンを含むEMEM培養液で37℃、5%CO2−95%Airでコンフルエントになるまで培養した。細胞をトリプシン処理により集め、上記と同様の培養液を用いて6ウェルプレートに1×105個/9.6cm2に播種し、6時間培養して細胞をプレートに接着させた。その後、石灰化促進培地に交換し培養した。培養期間は21日間とした。石灰化促進培地は、前記培養液に10mmol/L βグリセロリン酸と、表1に示す成分を添加して作製された。ソルビットを添加する場合、ソルビットの添加量は20000ppmとした。
培養上清を除去し、細胞をリン酸緩衝液pH7.4で洗浄後、QIAGEN社のRNeasy mini kitでRNAを抽出し、アルカリフォスファターゼ遺伝子とHPRT(ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ:ハウスキーピング遺伝子)との発現比を算出した。
各実施例および比較例について、アスコルビン酸ナトリウム(AA)添加の場合(比較例1)の発現比を1とした相対値を算出した。図1に結果を示した。
アスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸として250μM添加した。具体的には、L−アスコルビン酸ナトリウム(AA)は50μg/mL、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩(APM)は99.4μg/mL、L−アスコルビン酸2−O−α−グルコシド(A2G)は85.4μg/mLとした。
AAは、和光純薬工業の市販試薬(商品名:L(+)アスコルビン酸ナトリウム)を用いた。APMは昭和電工株式会社製の市販品を用いた。A2Gは林原生物化学研究所製の市販品を用いた。ソルビットは、和光純薬工業株式会社の市販品(商品名:D−ソルビトール)を用いた。
Figure 0005927038
図1から明らかな通り、比較例1〜4と比較して、実施例1〜3は高い遺伝子発現量を示した。これらの結果は、本発明の剤および組成物が高い骨形成促進効果を示すこと、および、骨形成促進により、骨量を増加させ、骨粗鬆症の予防および改善効果を発揮する可能性を有することを示している。

Claims (3)

  1. 成分(A):アスコルビン酸の塩、並びに、アスコルビン酸のリン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸エステル及びそれらの塩、からなる群より選ばれる少なくとも1つと
    成分(B):ソルビットとからなる骨形成促進剤。
  2. 骨粗鬆症を予防および/または改善する、請求項1に記載の骨形成促進剤。
  3. 請求項1または2に記載の骨形成促進剤を含有する骨形成促進組成物。
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