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JP5903869B2 - 熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法 - Google Patents

熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法に関するものである。
図2は、熱間圧延ラインの一例を示す図である。図2中、100は熱間圧延ライン全体を示し、10は加熱炉、12は粗圧延機、18は仕上圧延機であり、加熱炉10内で千数百℃に加熱された厚さ150〜300mmの金属片である被圧延材8は、粗圧延機12により厚み20〜60mmまで延ばされ、仕上圧延機18(F1〜F7の全7スタンドで構成)により更に0.9〜25mmの厚さの金属板に圧延され、巻取装置(コイラー)24にて巻き取られる。
粗圧延機12は、図2の場合、R2、R4の2基であるが、必ずしも基数はこれに限られない。粗圧延機12のすぐ上流に幅プレス9を設置したものもある。
これらのほか、14はクロップシャー、16はデスケーリング装置、15は仕上圧延機入側温度計、21は仕上圧延機出側温度計、22は仕上圧延機出側板厚計、23はランナウトテーブル、25は巻取温度計、26は冷却設備をそれぞれ示す。また、50は制御装置、70はプロセスコンピュータ、90はビジネスコンピュータであり、熱間圧延ライン100の全体をコントロールしている。さらに、熱間圧延ライン100には、仕上圧延機18の各スタンド間を除いて、その他の圧延機(スタンド)間には、多数の(全部で百以上)テーブルローラ7が設置されており、被圧延材8を搬送するようになっている。
ところで、一般的に、熱間圧延ラインは、加熱炉から仕上圧延機入側までが300メートル内外あり、一方、被圧延材の長さは、加熱炉内では高々十数メートル、粗圧延後においても高々100メートル内外であり、熱間圧延ライン上には同時に複数の被圧延材が存在できる。
そこで、生産能率の向上を図るために、粗圧延においては、ある被圧延材が複数ある粗圧延機のうちの最終圧延機(図2の例ではR4)における圧延を完了してから次の被圧延材を加熱炉から抽出するのではなく、最終圧延機における圧延の完了を待たずに、次々と被圧延材を抽出し、複数の被圧延材を流れ作業的に圧延する方法が一般的にとられる。
その際、加熱炉から被圧延材を抽出する時間的な間隔を、被圧延材同士が熱間圧延ライン上のどこでも衝突せず、しかも、ある被圧延材を圧延後に次の被圧延材を圧延開始するまでの各種の設定替が、熱間圧延ライン上の各設備(幅プレス、粗圧延機、仕上圧延機、ランナウトテーブル、コイラー、その他)において行えるだけの時間的な間隔を確保しうる、最短の時間的な間隔に調整するための方法として、ミルペーシング制御方法がとられることが多い。
ミルペーシング制御方法とは、熱間圧延ライン上の各設備と、その各設備間にあるテーブルローラと、による被圧延材の搬送速度が、予め定めてある搬送速度パターンに従って処理されると仮定し、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間や、あるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点を、各被圧延材について予測し、熱間圧延ライン上のある区間を、先行する被圧延材の尾端が通過後、熱間圧延ライン上のある区間に、後続する被圧延材の先端が到達するまでに、熱間圧延ライン上のある区間に設置されている設備の設定変更所要時間の理論値を確保できるような予定時点で、後続する被圧延材を熱間圧延ラインの加熱炉から抽出できるようにするための予測計算を、熱間圧延ラインの操業中、プロセスコンピュータ内で時々刻々に行い、次々と被圧延材を予定時点で加熱炉から抽出することで、最大の生産能率で操業を行えるようにしようとするものである。
より具体的に説明すると、被圧延材の搬送速度が、予め定めてある搬送速度パターンに従って処理されると仮定し、例えば、ある被圧延材を仕上圧延機の第1圧延機(以下、スタンドともいう)であるF1で圧延終了後、次の被圧延材を前記F1で圧延開始するまでの、仕上圧延機各スタンドの設定替に必要な時間的な間隔を確保しうる、最短の時間的な間隔に、実際の、そのある被圧延材を仕上圧延機の第1圧延機F1で圧延終了後、次の被圧延材を同F1で圧延開始するまでの所要時間を、調整すべく、次の被圧延材を加熱炉から抽出する時点を、予めプロセスコンピュータ内にて、各被圧延材ごとに計算により決定しておき、その時点がきたら、実際に前記した次の被圧延材を加熱炉から抽出するように制御する。
ここで、上述の例は、あくまで一例であり、これに替えて、幅プレスの設定替のほか、粗圧延機のうちのどれかの圧延機、ランナウトテーブル、コイラー、等の設定替に必要な時間的な間隔を確保しうる、最短の時間的な間隔に、実際の、そのある設備を被圧延材が通過終了後、次の被圧延材がそのある設備に到達するまでの所要時間を調整すべく、次の被圧延材を加熱炉から抽出する時点を決定する場合もある。
熱間圧延ラインの操業中においては、プロセスコンピュータの中で、前述のミルペーシング制御にともない、幅プレス、各粗圧延機、仕上圧延機、ランナウトテーブル、コイラーなどの、主要な設備の入側と出側、あるいは、それら主要な設備そのものへの、各被圧延材の到達時点と通過終了時点が、時々刻々計算により求められる処理が繰り返される。
以上のような、設備の設定変更所要時間の理論値を確保できるような時点で、後続する被圧延材を熱間圧延ラインの加熱炉から抽出する、熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法に関する先行技術文献としては、特許文献1などがある。
図3は、特許文献1に示された抽出ピッチ制御動作を示す図である。図中、横軸の1〜10は、熱間圧延ライン上のある区間に設置されている設備の機械位置(例えば1はプレス、2は第1粗圧延機、3は第2粗圧延機、4〜9は第1〜第6仕上圧延機、10は巻取装置)を示し、11は先行する被圧延材(先行材)の先端の位置が時間とともにどのように移動するかの軌跡を示し、12は同先行する被圧延材(先行材)の尾端、13は同後続する被圧延材(次行材)の先端、14は同後続する被圧延材(次行材)の尾端の軌跡をそれぞれ示す。
しかしながら、ミルペーシング制御による、これらの予測に対し、実操業では、どうしても誤差が生じてしまう。図4は、従来技術における誤差を説明する図である。
誤差の内、被圧延材の先端についてのものとしては、例えば、図4に示す、圧延機に被圧延材が進入する際の圧下(上下ワークロールの間隙)の設定未完や、サイドガイドの設定未完に伴って、進入が一時禁止される制御インターロックがはたらき、被圧延材をオシレーションさせる制御が行われる結果、進入が許可されるまでのオシレーションした時間の分、被圧延材の搬送が遅れてしまう、という要因によるものが最も大きい。
また、誤差の内で被圧延材の尾端についてのものとしては、被圧延材長の予測に対する実績のずれ、という要因によるものが最も大きい。被圧延材を秤量するための秤量計の測定誤差のほか、熱間圧延ライン上の各位置における被圧延材の温度予測に対する実績の違いなどからくる熱膨張の予測に対する実績の違いなどが、さらにその要因のうちの大きなものとなっている。
さらにこれらの他、各設備の設定替えに要する時間も、予測に対して実績が違ってくる場合がある。アナログ制御の機械の動作時間は、油、空圧系流体の温度変化や設備自身の経年劣化により変動する場合があることが、その要因として大きい。なお、以上説明したものの他にも、種々の要因による誤差がある。
いずれにしても、ミルペーシング制御による、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の予測や、熱間圧延ライン上のあるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点の予測に対して、実操業では、どうしても誤差を生じてしまうというのが実情であった。
そこで、熱間圧延ライン上のある区間や、熱間圧延ライン上のあるポイントについて、誤差を実績解析した統計値を用いた値を、安全のための余裕値として先述の理論値に加算し、しかも、熱間圧延ライン上の各設備について、この余裕値を加算したものどうしを、全設備について、比較した場合に、加熱炉から抽出する時点が最も遅くなる時点を選び、該時点にて、後続する被圧延材を、加熱炉から抽出する、という方法が多くとられてきた。
この様子を、図5を用いて説明する。図5は、従来技術を説明する図である。前述した図3のときとは異なり、図5では、横軸が時間、縦軸が熱間圧延ライン上のある区間に設置されている設備の機械位置(例えばFCSはクロップシャー、HR1〜HR4はランナウトテーブルの第1〜第4セクション、PR1、PR2はそれぞれ第1、第2コイラー付設のピンチロール、DC1、DC2は第1、第2コイラー)を示す。図2にて示したクロップシャー14から被圧延材8の搬送方向にみて下流側だけを対象としている。
左側の太い破線で描いているのが、先行する被圧延材(先行材)の尾端の理論上の軌跡である。右側の太い破線で描いているのが、後続する被圧延材(次行材)の先端の理論上の軌跡である。
熱間圧延ライン上の各ポイントに、先行材の尾端の到達が遅れて、尾端誤差として示す誤差が生じ、同時に、次行材の先端の到達が早まって、先端誤差として示す誤差が生じた場合を想定したときに、クロップシャー14の下流側の全設備について、先行材の尾端が通過後、次行材の先端が到達するまでに、設定変更所要時間の理論値が確保できるようにしなければならない。
そのため、ある区間の被圧延材搬送所要時間の予測や、あるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点の予測に対する、実績との誤差を解析した統計値を用いた値、従来、多くは、後述する(1)式を用いて計算した値を、安全のための余裕値として、前記理論値に対して加算する。
図5の例では、クロップシャー14よりも下流側にある各設備について、先述の余裕値を加算したものどうしを、クロップシャー14の下流側にある全設備について、比較した場合に、クロップシャー14に進入を開始してもよくなる時点が最も遅くなる時点を選び、該時点にて、クロップシャー14への進入インターロックが解除され、後続する被圧延材の進入が開始できるようにしている。特許文献2や特許文献3などには、余裕値の加算と進入インターロックの解除については明言していないものの、進入タイミングの調整を行うことについて記載している。
なお、図5の例では、コイラーの設定変更に要する時間の理論値に対して余裕値を加算した結果が最も遅くなるため、次行材が、クロップシャー14に進入開始できるようにしている。
ここで、先述した余裕値の計算の仕方について述べる。従来は、例えば、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の予測に対する実績のずれ(Xi)、熱間圧延ライン上のある(区間の入側の)ポイントへの被圧延材の先端の到達時点の予測に対する実績のずれ(X先i)、熱間圧延ライン上のある(区間の出側の)ポイントへの被圧延材の尾端の到達時点の予測に対する実績のずれ(X尾i)の平均値と標準偏差を、それぞれ、Xim,σi,X先im,σ先i,X尾im,σ尾iとした場合に、余裕値iは、以下の(1)式で求められる。ここで、i=1,2,3,・・・は各設備を意味する。
余裕値i=Xim+X先im+X尾im+3×(σi+σ先i+σ尾i1/2 ・・・(1)
また、特許文献4には余裕値として、上記した方法ではなく、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の予測や、熱間圧延ライン上のあるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点の予測に対し、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の実績や、熱間圧延ライン上のあるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点の実績が、どれだけ違うかの誤差を、熱間圧延ライン上のある区間や、熱間圧延ライン上のあるポイントについて、実績解析し、逐次形最小自乗法により最適化した値を用いることが記載されている。
特開昭61−259818号公報 特開昭62−289308号公報 特開2003−225702号公報 特開昭61−262414号公報
しかしながら、先述の(1)式で計算される余裕値は10秒内外に達する場合があり、熱間圧延ラインにおける生産能率向上を図る上で、そのような誤差を生む要因の解明や、予測計算の適正化とあわせ、本当に標準偏差σの3倍というのが余裕値として適正かという点も見直しと改善の余地があった。
本発明は、従来技術のかような問題を解決するためになされたものであり、熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法において、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の予測や、熱間圧延ライン上のあるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点の予測に対し、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の実績や、熱間圧延ライン上のあるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点の実績が、どれだけ違うかの誤差を、熱間圧延ライン上のある区間や、熱間圧延ライン上のあるポイントについて、実績解析した統計値を用いた値を、安全のための余裕値として用いるに際し、その余裕値の計算のしかたを見直し、従来よりも、熱間圧延ラインの生産能率を向上できる、熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の発明によって解決できる。
[1] 熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御中の、前記熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の予測や、前記熱間圧延ライン上のあるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点の予測に対して、前記熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の実績や、前記熱間圧延ライン上のあるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点の実績が、どれだけ違うかの誤差を、
前記熱間圧延ライン上のある区間や、前記熱間圧延ライン上のあるポイントについて、実績解析した統計値を用いた値を、安全のための余裕値として加算し、
前記熱間圧延ライン上の各設備について、前記余裕値を加算したものどうしを、前記熱間圧延ライン上の全設備について、比較した場合に、前記熱間圧延ラインの加熱炉から抽出する時点が最も遅くなる時点を選び、該時点にて、後続する被圧延材を、前記熱間圧延ラインの前記加熱炉から抽出する、前記熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法において、
前記余裕値を、実績解析した統計値のうちの、中央値と尖度を用いて定めることを特徴とする熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法。
[2] 上記[1]に記載の熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法において、
前記熱間圧延ライン上のある特定の設備よりも前記被圧延材の搬送方向にみて下流側にある各設備と該各設備間にある前記テーブルローラと、による前記被圧延材の搬送速度が、予め定めてある前記搬送速度パターンに従って処理されると仮定し、前記特定の設備よりも前記被圧延材の搬送方向にみて下流側にある、前記熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間や、前記熱間圧延ライン上のあるポイントへの前記被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点を、前記各被圧延材について予測し、前記熱間圧延ライン上の前記ある区間を、先行する被圧延材の尾端が通過後、前記熱間圧延ライン上の前記ある区間に、後続する被圧延材の先端が到達するまでに、前記熱間圧延ライン上の前記ある区間に設置されている設備の設定変更所要時間の理論値に、
前記余裕値を、加算した値を確保できるような時点で、前記特定の設備への進入インターロックが解除され、前記被圧延材の進入が開始できるようにすることを特徴とする熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法。
[3] 上記[1]または[2]に記載の熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法を用いた熱延金属帯の製造方法。
本発明によれば、余裕値の計算の仕方を見直し、中央値と尖度を用いて定めて搬送予測精度を高めるようにしたので、熱間圧延ラインの生産能率を向上できるようになった。
本発明の実施形態の一例を説明する図である。 熱間圧延ラインの一例を示す図である。 特許文献1に示された抽出ピッチ制御動作を示す図である。 従来技術における誤差を説明する図である。 従来技術を説明する図である。
後続する被圧延材を、加熱炉から抽出するところまでは従来技術と同じである。本発明に係るミルペーシング制御方法について以下説明するが、各設備について、余裕値を加算したものどうしを、例えば、クロップシャー14から被圧延材8の搬送方向にみて下流側にある熱間圧延ライン上の全設備について、比較した場合に、クロップシャー14に進入を開始してもよくなる時点が最も遅くなる時点を選び、該時点にて、後続する被圧延材を、クロップシャー14に進入開始させるような制御を行う方が好ましい。
このことは、言い換えると、熱間圧延ライン上の特定の設備よりも被圧延材の搬送方向にみて下流側にある各設備と該各設備間にあるテーブルローラと、による被圧延材の搬送速度が、予め定めてある搬送速度パターンに従って処理されると仮定し、その特定の設備よりも被圧延材の搬送方向にみて下流側にある、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間や、熱間圧延ライン上のあるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点を、各被圧延材について予測し、そのある区間を、先行する被圧延材の尾端が通過後、そのある区間に、後続する被圧延材の先端が到達するまでに、そのある区間に設置されている設備の設定変更所要時間の理論値を確保できるような時点で、その特定の設備への進入インターロックが解除され、被圧延材の進入が開始できるようにする制御ということができる。
このような制御においては、後続する被圧延材がクロップシャー14に進入を開始してもよくなる時点までオシレーションさせるなどして待機した場合、その待機した時間の分だけ、次に加熱炉から抽出される被圧延材を抽出開始するのを遅らせるようにするのが好ましい。すなわち、後続する被圧延材と、それに続く被圧延材とが接近し、それにさらに続く被圧延材も接近して、後続する被圧延材や、それに続く被圧延材や、それにさらに続く被圧延材などがオシレーションし、その後に続く被圧延材とまた接近する、という悪循環が解消しなくなり、ついには被圧延材どうしが衝突してしまうのを防止するためである。
本発明は、余裕値を、前記した、実績解析した統計値のうちの、中央値と尖度を用いて定めることで、従来よりも、熱間圧延ラインの生産能率を向上できることを見出したことにより考えだされたものである。
図1は、本発明の実施形態の一例を説明する図である。図1(a)は、熱間圧延ライン100におけるミルペーシング制御による、熱間圧延ライン100上の第2粗圧延機R2における第1パスと第2パスの間、同第2パスと第3パスの間、同第3パスと第4パスの間、同第4パスと第5パスの間、の被圧延材搬送所要時間の予測に対し、実績が、どれだけ違うかの誤差を、実績解析した結果を示している。
また図1(b)は、図1(a)の誤差を実績解析した結果を用いて、先述の(1)式中の、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の予測に対する実績のずれ(Xi)、熱間圧延ライン上のある(区間の入側の)ポイントへの被圧延材の先端の到達時点の予測に対する実績のずれ(X先i)、熱間圧延ライン上のある(区間の出側の)ポイントへの被圧延材の尾端の到達時点の予測に対する実績のずれ(X尾i)の各平均値を補償した場合にどうなるかを、Xi、X先i、X尾iの各平均値にて補償するように計算してグラフに描いたものである。従来のσが最小となるような学習を行ってパラメータを求めた結果の精度分布である。
図1(c)は、図1(a)の誤差を実績解析した結果を用いて、先述の(1)式中の、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の予測に対する実績のずれ(Xi)、熱間圧延ライン上のある(区間の入側の)ポイントへの被圧延材の先端の到達時点の予測に対する実績のずれ(X先i)、熱間圧延ライン上のある(区間の出側の)ポイントへの被圧延材の尾端の到達時点の予測に対する実績のずれ(X尾i)の各中央値を補償した場合にどうなるかを、Xi、X先i、X尾iの各中央値にて補償するように計算してグラフに描いたものである。中央値が0となるような学習を行ってパラメータを求めた結果の精度分布である。
本発明では、例えば、熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の予測に対する実績のずれ(Xi)、熱間圧延ライン上のある(区間の入側の)ポイントへの被圧延材の先端の到達時点の予測に対する実績のずれ(X先i)、熱間圧延ライン上のある(区間の出側の)ポイントへの被圧延材の尾端の到達時点の予測に対する実績のずれ(X尾i)の中央値と尖度を、それぞれ、Xi中,β2i、X先i中,β2先i、X尾i中,β2尾iとした場合に、余裕値Piを、中央値と尖度を用いて、下記式(2)のように定める。なお、中央値とはデータに順位をつけたとき真中に来る値のことであり、平均値よりも分布の頂点の位置の値に近い。また、尖度とはデータにおける分布の尖り具合を表す値であり、大きいほうが尖っている、すなわちピークが高い。
余裕値Pi=Xi中+X先i中+X尾i中+3×(β2i+β2先i+β2尾i1/2 ・・・・・・(2)
ここで、尖度の定義は、式(3)によるものとし、正規分布の尖度を3とする定義によるものとする。
図1(b)と図1(c)どちらも、図1(a)に示す分布のピークが2〜5秒であったのが0秒付近へと改善されている。さらに、図1(b)と図1(c)を比べると、図1(c)の方が若干ピークの位置が0秒に近くなっており、ピークの頻度も高いことがわかる。
特に4-5パス間時間ではこの違いが明確に見てとれる。σや平均値が同じ値であっても、ピークの位置が0秒に近く、なおかつ頻度が高いほうが、より予測誤差が少ないといえる。予測誤差が少ないということは、求める抽出ピッチの精度が上がることになり、早く抽出したり遅く抽出することが減ることになる。つまり、搬送予測の精度を上げることで圧延能率の向上を図ることができる。
余裕値を従来の(1)式によるものから(2)式によるものに変更することで、仕上圧延機の設定変更が生産を律速する被圧延材についての第1仕上圧延機インターバルは、従来の27秒から19秒に短縮できるようになった。さらに、生産能率は、1.4T/hr向上した。
7 テーブルローラ
8 被圧延材
9 幅プレス
10 加熱炉
12 粗圧延機
14 クロップシャー
15 仕上圧延機入側温度計
16 デスケーリング装置
18 仕上圧延機
21 仕上圧延機出側温度計
22 仕上圧延機出側板厚計
23 ランナウトテーブル
24 巻取装置(コイラー)
25 巻取温度計
26 冷却設備
50 制御装置
70 プロセスコンピュータ
90 ビジネスコンピュータ
100 熱間圧延ライン
A 搬送方向

Claims (4)

  1. 熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御中の、前記熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の予測や、前記熱間圧延ライン上のあるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点の予測に対して、前記熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間の実績や、前記熱間圧延ライン上のあるポイントへの被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点の実績の誤差を求め、
    該誤差を実績解析した統計値を用いて、安全のための余裕値Piを以下の(2)式で定めることを特徴とする熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法。
  2. 請求項1に記載の熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法において、
    前記熱間圧延ライン上のある特定の設備よりも前記被圧延材の搬送方向にみて下流側にある各設備と該各設備間にある前記テーブルローラと、による前記被圧延材の搬送速度が、予め定めてある前記搬送速度パターンに従って処理されると仮定し、前記特定の設備よりも前記被圧延材の搬送方向にみて下流側にある、前記熱間圧延ライン上のある区間の被圧延材搬送所要時間や、前記熱間圧延ライン上のあるポイントへの前記被圧延材の先端あるいは尾端の到達時点を、前記各被圧延材について予測し、前記熱間圧延ライン上の前記ある区間を、先行する被圧延材の尾端が通過後、前記熱間圧延ライン上の前記ある区間に、後続する被圧延材の先端が到達するまでに、前記熱間圧延ライン上の前記ある区間に設置されている設備の設定変更所要時間の理論値に、
    前記余裕値を、加算した時点で、前記特定の設備への進入インターロックが解除され、後続する被圧延材の進入が開始できるようにすることを特徴とする熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法。
  3. 請求項2に記載の熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法において、
    前記熱間圧延ライン上の各設備について、前記余裕値を前記予測または前記理論値に加算したものどうしを、前記熱間圧延ライン上の全設備について、比較した場合に、前記熱間圧延ラインの加熱炉から抽出する時点が最も遅くなる時点を選び、該時点にて、後続する被圧延材を、前記熱間圧延ラインの前記加熱炉から抽出することを特徴とする熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおけるミルペーシング制御方法を用いた熱延金属帯の製造方法。
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