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JP5968971B2 - 車体後部構造 - Google Patents

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Description

この発明は、リヤ側のサスペンション装置の一部を支持するリヤサブフレームを備えた車体後部構造に関するものである。
車体の後部構造として、左右のリヤサイドフレームに、リヤ側のサスペンション装置の一部を支持するリヤサブフレームが取り付けられたものがある。
この種の車両は、サスペンション装置を介して後輪から大きな荷重がリヤサブフレームに入力されるため、この後輪からの荷重を確実に受け止めるためにリヤサブフレームが左右一対のブレースによって補強されることがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の車体後部構造は、左右のブレースの前端部側が左右の対応するサイドシル(車室下部側方の骨格部材)の後端部近傍に結合されるとともに、後端部側がリヤクロスメンバの中央領域に結合されている。また、ブレースの前端部と後端部の間の中間領域にはアーム部が延設され、そのアーム部の先端がリヤサブフレーム(サスペンションメンバ)に連結されている。この車体後部構造の場合、左右のサイドシルとリヤクロスメンバがブレースによって斜めに連結されているために、リヤクロスメンバの支持剛性が高まり、さらに、ブレースのアーム部がリヤサブフレームに連結されているために、リヤサブフレームの支持剛性も高まる。
特開2008−114652号公報
しかし、上記従来の車体後部構造においては、リヤサブフレームの一部がブレースのアーム部に結合されることにより、リヤサブフレームの支持剛性が高まるものの、アーム部はリヤサブフレーム上のサスペンション装置の支持部から離間した部位に結合されているため、リヤ側のサスペンション装置からの大きな入力荷重を安定的に受け止めるためには、部材の肉厚増加等の対策を施さなければならない。
そこでこの発明は、部材の肉厚増加を可及的に抑制しつつ、リヤ側のサスペンション装置から入力される大きな荷重を安定的に受け止めることができる車体後部構造を提供しようとするものである。
この発明に係る車体後部構造では、上記課題を解決するために以下の構成を採用した。
請求項1に係る発明は、車体の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のサイドシル(例えば、実施形態のサイドシル4)と、車体後部の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のリヤサイドフレーム(例えば、実施形態のリヤサイドフレーム6)と、車幅方向の両端部が前記リヤサイドフレームにそれぞれ接合され、リヤ側の左右のサスペンション装置(例えば、実施形態のサスペンション装置7)の一部を支持するリヤサブフレーム(例えば、実施形態のリヤサブフレーム8)と、前端部が前記サイドシルに結合され、後端部が前記リヤサブフレームの車幅方向の中央領域に結合される左右一対のブレース(例えば、実施形態のブレース10)と、を備え、前記リヤサブフレームは、前記サスペンション装置の第1のサスペンションアーム(例えば、実施形態のコントロールアーム14)を揺動可能に支持する第1アーム支持部(例えば、実施形態の支持凹部17)を有し、左右の各前記ブレースは、前記前端部と前記後端部の間の中間領域が、左右の対応する前記第1アーム支持部に連結されており、前記ブレースの前記中間領域には、前記ブレースの補強を兼ねる連結ブラケット(例えば、実施形態の連結ブラケット19)が取り付けられ、前記連結ブラケットは、前記ブレースに接続されるブレース接続部(例えば、実施形態のブレース接続部19a)と、ブレース接続部から車幅方向外側に延出して前記第1アーム支持部側と連結される連結部(例えば、実施形態の連結部19b)と、を備え、前記連結部は、外側端面が略円弧状の曲面形状に形成されるとともに、前記外側端面の側縁部に前記曲面形状に略沿って補強ビード(例えば、実施形態の補強ビード21)が設けられていることを特徴とするものである。
これにより、リヤサブフレームと左右のサイドシルとの間がそれぞれブレースによって補強され、リヤサブフレームの横ずれや捩れが抑制される。また、左右のブレースの中間領域が、左右の対応する第1アーム支持部に連結されているため、サスペンション装置の第1のサスペンションアームの荷重を直接受ける第1アーム支持部の剛性が効率良く高められる。このため、第1のサスペンションアームからリヤサブフレームに入力される後輪からの入力荷重がより直接的にブレースの中間領域に支持され、リヤ側のサスペンション装置の支持剛性が高まる。
また、上記の構成により、連結ブラケットの連結部の剛性と強度が外側端面の補強ビードによって高められるとともに、ブレースの中間領域の剛性と強度が連結ブラケットによって高められる。この結果、リヤサブフレームの第1アーム支持部を、ブレースの中間領域でより剛的に支持させることが可能になる。
請求項に係る発明は、車体の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のサイドシル(例えば、実施形態のサイドシル4)と、車体後部の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のリヤサイドフレーム(例えば、実施形態のリヤサイドフレーム6)と、車幅方向の両端部が前記リヤサイドフレームにそれぞれ接合され、リヤ側の左右のサスペンション装置(例えば、実施形態のサスペンション装置7)の一部を支持するリヤサブフレーム(例えば、実施形態のリヤサブフレーム8)と、前端部が前記サイドシルに結合され、後端部が前記リヤサブフレームの車幅方向の中央領域に結合される左右一対のブレース(例えば、実施形態のブレース10)と、を備え、前記リヤサブフレームは、前記サスペンション装置の第1のサスペンションアーム(例えば、実施形態のコントロールアーム14)を揺動可能に支持する第1アーム支持部(例えば、実施形態の支持凹部17)を有し、左右の各前記ブレースは、前記前端部と前記後端部の間の中間領域が、左右の対応する前記第1アーム支持部に連結されており、前記リヤサイドフレームの前縁部は、左右の対応する前記サイドシルの後縁部の車幅方向内側に配置され、前記リヤサイドフレームの前縁部の下面には、前記サスペンション装置の第2のサスペンションアーム(例えば、実施形態のトレーリングアーム16)を揺動可能に支持する第2アーム支持部(例えば、実施形態の保持ブラケット24)が設けられ、該第2アーム支持部の下部と前記サイドシルの後縁部とに跨って補強部材(例えば、実施形態の補強部材25)が連結され、前記ブレースの前端部が前記サイドシルの後縁部に前記補強部材とともに結合されていることを特徴とするものである。
これにより、第2のサスペンションアームから入力される後輪からの入力荷重がリヤサイドフレームの前縁部の下面の第2アーム支持部によって支持されるとともに、その入力荷重がさらに補強部材を介してサイドシルの後縁部に支持される。また、ブレースの前端部がサイドシルの後縁部に補強部材とともに結合されているため、ブレースの前端部の支持剛性が効率良く高められる。したがって、これによってリヤサブフレームの剛性をブレースによってより効率良く高めることができる。
請求項に係る発明は、請求項に係る車体後部構造において、前記補強部材は、前記第2アーム支持部の下面との間で車幅方向に延出する閉断面を構成するように断面略コ字状に形成されるとともに、略コ字状を成す断面の両側の側壁高さが前記第2アーム支持部の車幅方向内側から外側に向かって増大するように形成され、車幅方向外側の端部が前記サイドシルの内側側面と下面とに接合されていることを特徴とするものである。
これにより、補強部材と第2アーム支持部の下面によって形成される車幅方向に延出する閉断面によって第2アーム支持部の支持剛性が効率良く高められる。また、補強部材は、側壁高さが第2アーム支持部の車幅方向内側から外側に向かって増大する形状とされているため、周囲への張り出しを最小限に抑制しつつ充分な剛性を維持することができる。したがって、周囲スペースを大きく占有することなく第2アーム支持部とブレースの前端部の支持剛性を充分に高め、リヤ側のサスペンション装置の剛性を効率良く高めることができる。
請求項に係る発明は、車体の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のサイドシル(例えば、実施形態のサイドシル4)と、車体後部の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のリヤサイドフレーム(例えば、実施形態のリヤサイドフレーム6)と、車幅方向の両端部が前記リヤサイドフレームにそれぞれ接合され、リヤ側の左右のサスペンション装置(例えば、実施形態のサスペンション装置7)の一部を支持するリヤサブフレーム(例えば、実施形態のリヤサブフレーム8)と、前端部が前記サイドシルに結合され、後端部が前記リヤサブフレームの車幅方向の中央領域に結合される左右一対のブレース(例えば、実施形態のブレース10)と、を備え、前記リヤサブフレームは、前記サスペンション装置の第1のサスペンションアーム(例えば、実施形態のコントロールアーム14)を揺動可能に支持する第1アーム支持部(例えば、実施形態の支持凹部17)を有し、左右の各前記ブレースは、前記前端部と前記後端部の間の中間領域が、左右の対応する前記第1アーム支持部に連結されており、前記ブレースの後縁部には、前記リヤサブフレームの下面に結合される後部固定部(例えば、実施形態の後部固定部26)と、該後部固定部よりも車体後方側にあって当該後部固定部よりも下方に膨出する保護凸部(例えば、実施形態の保護凸部27)と、が設けられていることを特徴とするものである。
これにより、例えば、車両の後退時等に、車体下面側に位置されているブレースの後縁部に地面上の突起等の障害物が接触することがあっても、ブレースの後部固定部よりも車体後方側に位置されている保護凸部が先に障害物に接触することになる。この結果、ブレースの後部固定部に障害物から荷重が直接入力されにくくなり、ブレースとリヤサブフレームとの結合部の強度が高く維持される。
請求項に係る発明は、車体の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のサイドシル(例えば、実施形態のサイドシル4)と、車体後部の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のリヤサイドフレーム(例えば、実施形態のリヤサイドフレーム6)と、車幅方向の両端部が前記リヤサイドフレームにそれぞれ接合され、リヤ側の左右のサスペンション装置(例えば、実施形態のサスペンション装置7)の一部を支持するリヤサブフレーム(例えば、実施形態のリヤサブフレーム8)と、前端部が前記サイドシルに結合され、後端部が前記リヤサブフレームの車幅方向の中央領域に結合される左右一対のブレース(例えば、実施形態のブレース10)と、を備え、前記リヤサブフレームは、前記サスペンション装置の第1のサスペンションアーム(例えば、実施形態のコントロールアーム14)を揺動可能に支持する第1アーム支持部(例えば、実施形態の支持凹部17)を有し、左右の各前記ブレースは、前記前端部と前記後端部の間の中間領域が、左右の対応する前記第1アーム支持部に連結されており、前記ブレースは中空状のパイプ材によって形成され、前記ブレースの長手方向の前半領域と後半領域のいずれか一方は、前記前半領域と前記後半領域の断面中心(例えば、実施形態の断面中心Cf,Cr)がオフセットするように、押し潰されていることを特徴とするものである。
これにより、サスペンション装置等からブレースに荷重が入力され、ブレースの長手方向に対して、例えば、圧縮方向に荷重が入力されると、ブレースの前半領域と後半領域には、それぞれ断面中心の偏った側に曲がろうとするモーメントが作用する。このため、ブレースは前半領域と後半領域で相反方向に曲げ変形し、長手方向の全域が同方向に曲がるのを阻止される。したがって、ブレースの長手方向が一方向に大きく曲がりにくくなり、ブレースによるリヤサブフレームの支持剛性が高まる。
この発明によれば、左右のブレースの中間領域が、リヤサブフレーム上の左右の対応する第1アーム支持部に連結されているため、リヤ側のサスペンション装置の第1のサスペンションアームから直接荷重を受ける第1アーム支持部をブレースの中間領域によって効率良く補強することができる。このため、部材の肉厚増加を抑制しつつ、リヤ側のサスペンション装置から入力される大きな荷重を安定的に受け止めることができる。したがって、この発明によれば、車体重量の増加を抑制しながらも、リヤ側のサスペンション装置の支持剛性を高めることができる。
この発明の一実施形態の車両の後部の骨格部を下面側から見た図である。 この発明の一実施形態の車両の図1のII部分の拡大図である。 この発明の一実施形態の車両の図1のIII矢視に対応する斜視図である。 この発明の一実施形態の車両の図1のIV矢視に対応する斜視図である。 この発明の一実施形態の車両の図4のV矢視に対応する斜視図である。 この発明の他の実施形態のブレースの側面図である。 この発明の他の実施形態のブレースの断面中心を示す側面図である。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面において、矢印FRは、車両の前方を指すものとし、矢印UPは、車両の上方を、矢印LHは、車両の左側方をそれぞれ指すものとする。
図1は、この実施形態に係る車両1の後部の骨格部を下方から見た図である。
この実施形態の車両1は、エンジンが車体後部に搭載され、そのエンジンによって後輪(図示せず)を駆動する後輪駆動車両である。車両1の乗員室2の後方にはエンジンルーム3が配置され、乗員室2とエンジンルーム3の間が図示しない後部隔壁によって仕切られている。乗員室2の左右両側の側部下方には、車体前後方向に沿う骨格部材であるサイドシル4が配置されている。左右のサイドシル4の後縁部間には、車幅方向に延出するクロスメンバ5が配置され、そのクロスメンバ5によって左右のサイドシル4が相互に連結されている。また、左右のサイドシル4の後縁部の車幅方向内側には、クロスメンバ5から車体後方側に向かって延出する(車体前後方向に沿って延出する)一対のリヤサイドフレーム6が配置されている。左右の各リヤサイドフレーム6は、前端部がクロスメンバ5に接合されるとともに、前縁部の車幅方向外側部分が左右の対応するサイドシル4の後縁部に接合されている。
また、左右のリヤサイドフレーム6の後縁部には、リヤ側の左右のサスペンション装置7の一部を支持するリヤサブフレーム8の両端部が結合されている。リヤサブフレーム8は、車幅方向に沿って延出し、左右の両端部が対応するリヤサイドフレーム6の後縁部の下面に締結固定されている。リヤサブフレーム8の下面側の車幅方向の中央領域には、締結ブロック8aが下方に膨出して設けられ、その締結ブロック8aと、左右のサイドシル4の後縁部との間がそれぞれブレース10によって連結されている。ブレース10は、長円状のパイプ材の両縁部が偏平に潰され、偏平に潰された各縁部がリヤサブフレーム8上の締結ブロック8aの下面と、サイドシル4の後縁部の下面とにボルト締結されている。サイドシル4の後縁部に対するブレース10の締結については後に詳述する。
なお、図1中の符号11は、左右の各リヤサイドフレーム6の中間部とクロスメンバ5の間に掛け渡されて左右のリヤサイドフレーム6を補強する補強ブレースであり、符号12は、左右の各リヤサイドフレーム6の後端部に連結されて後突荷重を吸収する荷重吸収部材である。また、図1中の符号13は、左右の各ブレース10に取り付けられて、エンジンルーム3の下方を覆うアンダーカバーである。
図2,図3は、リヤサブフレーム8に対する左側のブレース10とサスペンション装置7の連結態様を示す下面図と斜視図である。なお、以下では、左側のブレース10とサスペンション装置7を中心として説明するが、右側のブレース10とサスペンション装置7も同様の連結態様とされている。
この実施形態のリヤ側のサスペンション装置7は、後輪Wrのハブ(図示せず)を複数のアームを介して車体フレームに支持させる所謂マルチリンク式のサスペンション装置であり、後輪Wrのハブの下縁部からは車幅方向内側に向かってコントロールアーム14(第1のサスペンションアーム)とロアアーム15(第3のサスペンションアーム)が上下揺動可能に延設され、後輪Wrのハブの前縁部からは車体前方側に向かってトレーリングアーム16(第2のサスペンションアーム)が上下揺動可能に延設されている。ロアアーム15とコントロールアーム14は、後輪Wrのハブの前部側と後部側とにそれぞれ配置され、そのハブからリヤサブフレーム8の前縁部と後縁部に向かって延出している。
図2,図3に示すように、リヤサブフレーム8の下面のうちの、締結ブロック8aの車幅方向外側位置には、サスペンション装置7のコントロールアーム14の延出端を上下揺動可能に支持する断面略コ字状の支持凹部17(第1アーム支持部)と、サスペンション装置7のロアアーム15の延出端を上下揺動可能に支持する断面略コ字状の支持凹部18(第3アーム支持部)が設けられている。コントロールアーム14を支持する支持凹部17は、リヤサブフレーム8の後縁部の締結ブロック8aに近接した位置に設けられ、ロアアーム15を支持する支持凹部18は、リヤサブフレーム8の前縁部の支持凹部17よりも車幅方向外側位置に設けられている。
また、左右のブレース10の前端部と後端部の間の中間領域、より正確には、中間領域のうちの延出方向の中央位置よりも後端部寄り位置には、ブレース10の補強を兼ねる連結ブラケット19が取り付けられている。この実施形態の連結ブラケット19は、ブレース10に溶接固定されるブレース接続部19aと、ブレース接続部19aから車幅方向外側かつ車体後方側に向かって延出して、連結ロッド20を介してリヤサブフレーム8の後縁部側の支持凹部17に連結される連結部19bと、を有している。連結部19bは、延出方向の外側端面が略円弧状の曲面形状に形成されるとともに、その外側端面を含む周縁部が延出壁と略直角となるように曲げられて補強ビード21が形成されている。また、連結部19bの延出壁には図示しないボルト挿通孔が設けられ、このボルト挿通孔に連結ブラケット19と連結ロッド20を締結固定するためのボルト22が挿通されるようになっている。
連結ブラケット19にボルト22によって結合された連結ロッド20は、その先端部が車体後方側に向かって延出し、その延出端がリヤサブフレーム8上の後縁部側の支持凹部17の開口縁部にボルト23によって締結固定されている。したがって、ブレース10の前端部と後端部の間の中間領域は、連結ブラケット19と連結ロッド20を介してリヤサブフレーム8の後縁側の支持凹部17に連結されている。
また、この実施形態の場合、連結ブラケット19の連結部19bは、前述のようにボルト22によって連結ロッド20に結合されるとともに、同じボルト22によってリヤサブフレーム8上の前縁部側の支持凹部18の開口縁部にも締結固定されている。したがって、ブレース10の中間領域は、連結ブラケット19を介してリヤサブフレーム8の支持凹部18にも連結されている。
図4,図5は、車体に対するブレース10の前端部とトレーリングアーム16の延出端の締結態様を示す斜視図である。
これらの図に示すように、リヤサイドフレーム6の前縁部の下面には、車体後方側に凹状に開口する保持ブラケット24(第2アーム支持部)が溶接固定され、その保持ブラケット24にトレーリングアーム16の延出端が揺動可能に支持されている。
ここで、リヤサイドフレーム6の前縁部の車幅方向外側にはサイドシル4の後縁部が隣接して配置されているが、サイドシル4の後縁部の下面の高さは、リヤサイドフレーム6の下部に設けられた保持ブラケット24の下面の高さよりも低くなっている。保持ブラケット24の下部領域からサイドシル4の後縁部に亘る部位には、両者に跨って金属プレート製の補強部材25が取り付けられている。
補強部材25は、車体前後方向に沿う断面が上向きに開口する略コ字状に形成され、保持ブラケット24の下面との間で矩形の閉断面を構成するようになっている。補強部材25と保持ブラケット24とによって形成される閉断面は、保持ブラケット24の車幅方向のほぼ内側端と外側端の間で車幅方向に略沿って延出している。ただし、補強部材25の略コ字状をなす断面の前後両側の側壁の高さは、車幅方向に亘って一定高さではなく、車幅方向内側から外側に向かって増大するように形成されている。このため、補強部材25を前後方向から見た形状は略直角三角形状に形成されている。したがって、補強部材25と保持ブラケット24とによって形成される閉断面の高さも車幅方向内側から外側に向かって増大している。
補強部材25の前縁部と後縁部と車幅方向内側の縁部には、保持ブラケット24の下面と車幅方向内側の側面とに接合される接合フランジ25a,25b,25cが形成されている。また、補強部材25の車幅方向外側の端縁には、左右の対応するサイドシル4の下面に接合される接合片25dが延設されるとともに、左右の対応するサイドシル4の車幅方向内側の側面に接合される接合フランジ25e,25fが延設されている。サイドシル4の下面に接合される接合片25dの後縁部側領域の上面には、前述した左右のブレース10の前端部が重ねられ、そのブレース10の前端部が接合片25dとともにサイドシル4の下面にボルト30によって締結固定されている。
ところで、左右のブレース10の各後縁部には、図2,図3に示すように、リヤサブフレーム8の締結ブロック8aの下面にボルト締結される後部固定部26が設けられ、その後部固定部26よりも車体後方側に後部固定部26よりも下方に突出する保護凸部27が設けられている。なお、図面においては、後部固定部26を締結ブロック8aに固定するためのボルトは記載が省略されており、図中の符号28は、後部固定部26に設けられたボルト挿通孔である。また、保護凸部27は、ブレース10の後端側の一部を下方側に部分的に円弧状に屈曲させて形成されている。
この実施形態に係る車体後部構造においては、基本的に、リヤサブフレーム8の中央領域と左右のサイドシル4との間がブレース10によって補強されるため、リヤサブフレーム8の支持剛性をブレース10によって高めることができる。したがって、この車体後部構造では、リヤサブフレーム8の横ずれや捩れを抑制することができる。
特に、この車体後部構造では、左右のブレース10の前端部と後端部の間の中間領域が、連結ブラケット19と連結ロッド20を介して、リヤサブフレーム8上のコントロールアーム14の支持部分(支持凹部17)に連結されているため、サスペンション装置7のコントロールアーム14の荷重を直接受ける部分の剛性を効率良く高めることができる。したがって、この車体後部構造を採用することにより、部材の肉厚増加を抑制しつつ、サスペンション装置7から入力される大きな荷重を車体後部で安定的に受け止めることが可能になる。このため、車体重量の増加を抑制しながらも、走行安定性をより高めることができる。
また、この実施形態に係る車体後部構造は、ブレース10の中間領域にブレース10の補強を兼ねる連結ブラケット19が取り付けられ、ブレース10の中間領域がその連結ブラケット19と連結ロッド20を介してリヤサブフレーム8上の支持凹部17に連結されているため、ブレース10の中間領域の剛性を連結ブラケット19によって効率良く高めることができる。特に、連結ブラケット19は、ブレースに接続されるブレース接続部19aと、ブレース接続部19aから車幅方向外側に延出して連結ロッド20に連結される連結部19bと、を備え、連結部19bの延出端が略円弧状の曲面形状に形成されるとともに、連結部19bの外側端面の側縁部に補強ビード21が設けられているために、連結部19bの全体の剛性が高くなっている。したがって、この車体後部構造を採用することにより、リヤサブフレーム8上のコントロールアーム14の支持部分(支持凹部17)を、ブレース10の中間領域でより剛的に支持させることができる。
また、この実施形態に係る車体後部構造は、左右のブレース10の中間領域が、連結ブラケット19と連結ロッド20を介して、リヤサブフレーム8上のコントロールアーム14の支持部分(支持凹部17)に連結されるだけでなく、連結ブラケット19を介してリヤサブフレーム8上のロアアーム15の支持部分(支持凹部18)にも連結されているため、ロアアーム15の荷重を直接受ける部分の剛性も効率良く高めることができる。
さらに、この実施形態に係る車体後部構造においては、左右のリヤサイドフレーム6の前縁部の下面に、サスペンション装置7のトレーリングアーム16を支持する保持ブラケット24が取り付けられ、保持ブラケット24の下面とサイドシル4の後縁部とに跨って補強部材25が連結されているため、トレーリングアーム16から入力される後輪Wrからの荷重を保持ブラケット24を介してリヤサイドフレーム6とサイドシル4とに安定的に支持させることができる。そして、車体後部構造の場合、左右のブレース10の前端部がサイドシル4の後縁部に補強部材25とともに結合されているため、ブレース10の前端部の支持剛性を効率良く高めることができる。したがって、これによってリヤサブフレーム8の剛性をブレース10によってより効率良く高めることができる。
また、この車体後部構造では、補強部材25が保持ブラケット24の下面との間で車幅方向に延出する閉断面を構成しているため、その閉断面によって保持ブラケット24の支持剛性を効率良く高めることができる。そして、補強部材25は、前後の側壁の高さが保持ブラケット24の車幅方向内側から外側に向かって増大するように形成されているため、周囲への張り出しを最小限に抑制しつつ充分な剛性を得ることができる。
したがって、この構造により、周囲スペースを大きく占有することなくブレース10の前端部の支持剛性を充分に高め、リヤサブフレーム8の剛性をブレース10によってより効率良く高めることができる。
また、この実施形態に係る車体後部構造においては、左右のブレース10の後縁部に、リヤサブフレーム8の下面にボルト結合される後部固定部26が設けられるとともに、後部固定部26よりも車体後方側に後部固定部26よりも下方に膨出する保護凸部27が設けられているため、車両の後退時等に、ブレース10の後縁部に地面上の突起等の障害物が接触することがあっても、ブレース10の後部固定部26よりも車体後方側の保護凸部27が先に障害物に接触し、ブレース10の後部固定部26に障害物から荷重が直接入力されにくくなる。このため、この実施形態の車体後部構造においては、ブレース10とリヤサブフレーム8との結合部の強度を高く維持することができる。
図6,図7は、他の実施形態を示す図である。図6は、他の実施形態に係るブレース110の側面を示す図であり、図7は、図6のブレース110の断面中心軸を示す図である。なお、この他の実施形態は、ブレース110の構造のみが上記の実施形態と異なり、他の部分は同一構造とされている。
ブレース110は、中空状のパイプ材によって形成され、前後の両縁部が偏平に潰され、偏平に潰された各縁部がサイドシル4の下面とリヤサブフレーム8の下面にそれぞれボルト締結されている。ブレース110の前半領域Afは、前端側のサイドシル4との締結部のみが断面を偏平に押し潰されている。これに対し、ブレース110の後半領域Arは、後端側のリヤサブフレーム8との締結部だけでなく、それよりも前方側も同様に断面を偏平に押し潰されている。このように形成されたブレース110は、図7に示すように、前半領域Afの断面中心Cfと後半領域Arの断面中心Crが上下方向にオフセットされている。
この実施形態で採用するブレース110は、車両走行時等にサスペンション装置から長手方向に圧縮方向の荷重が入力されると、図7中の矢印で示すように、前半領域Afと後半領域Arに、それぞれ断面中心Cf,Crの偏った側に曲がろうとするモーメントが作用する。これにより、ブレース110の前半領域Afと後半領域Arは相反方向に曲げ変形しようとし、互いの曲げ変形が長手方向の略中央領域で相殺される。したがって、この実施形態に係るブレース110を採用した場合には、ブレース110の曲げ変形が小さくなり、ブレース110によるリヤサブフレーム8の支持剛性が高まる。
ここで説明した実施形態では、ブレース110の前半領域Afに断面の押し潰されない部分が設けられているが、逆に、ブレースの後半領域に断面の押し潰されない領域を設けるようにしても良い。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
4…サイドシル
6…リヤサイドフレーム
7…サスペンション装置
8…リヤサブフレーム
10,110…ブレース
14…コントロールアーム(第1のサスペンションアーム)
16…トレーリングアーム(第2のサスペンションアーム)
17…支持凹部(第1アーム支持部)
19…連結ブラケット
19a…ブレース接続部
19b…連結部
21…補強ビード
24…保持ブラケット(第2アーム支持部)
25…補強部材
26…後部固定部
27…保護凸部
Cf,Cr…断面中心

Claims (5)

  1. 車体の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のサイドシルと、
    車体後部の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のリヤサイドフレームと、
    車幅方向の両端部が前記リヤサイドフレームにそれぞれ接合され、リヤ側の左右のサスペンション装置の一部を支持するリヤサブフレームと、
    前端部が前記サイドシルに結合され、後端部が前記リヤサブフレームの車幅方向の中央領域に結合される左右一対のブレースと、を備え、
    前記リヤサブフレームは、前記サスペンション装置の第1のサスペンションアームを揺動可能に支持する第1アーム支持部を有し、
    左右の各前記ブレースは、前記前端部と前記後端部の間の中間領域が、左右の対応する前記第1アーム支持部に連結されており、
    前記ブレースの前記中間領域には、前記ブレースの補強を兼ねる連結ブラケットが取り付けられ、
    前記連結ブラケットは、前記ブレースに接続されるブレース接続部と、ブレース接続部から車幅方向外側に延出して前記第1アーム支持部側と連結される連結部と、を備え、
    前記連結部は、外側端面が略円弧状の曲面形状に形成されるとともに、前記外側端面の側縁部に前記曲面形状に略沿って補強ビードが設けられていることを特徴とする車体後部構造。
  2. 車体の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のサイドシルと、
    車体後部の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のリヤサイドフレームと、
    車幅方向の両端部が前記リヤサイドフレームにそれぞれ接合され、リヤ側の左右のサスペンション装置の一部を支持するリヤサブフレームと、
    前端部が前記サイドシルに結合され、後端部が前記リヤサブフレームの車幅方向の中央領域に結合される左右一対のブレースと、を備え、
    前記リヤサブフレームは、前記サスペンション装置の第1のサスペンションアームを揺動可能に支持する第1アーム支持部を有し、
    左右の各前記ブレースは、前記前端部と前記後端部の間の中間領域が、左右の対応する前記第1アーム支持部に連結されており、
    前記リヤサイドフレームの前縁部は、左右の対応する前記サイドシルの後縁部の車幅方向内側に配置され、
    前記リヤサイドフレームの前縁部の下面には、前記サスペンション装置の第2のサスペンションアームを揺動可能に支持する第2アーム支持部が設けられ、
    該第2アーム支持部の下部と前記サイドシルの後縁部とに跨って補強部材が連結され、
    前記ブレースの前端部が前記サイドシルの後縁部に前記補強部材とともに結合されていることを特徴とする車体後部構造。
  3. 前記補強部材は、前記第2アーム支持部の下面との間で車幅方向に延出する閉断面を構成するように断面略コ字状に形成されるとともに、略コ字状を成す断面の両側の側壁高さが前記第2アーム支持部の車幅方向内側から外側に向かって増大するように形成され、車幅方向外側の端部が前記サイドシルの内側側面と下面とに接合されていることを特徴とする請求項に記載の車体後部構造。
  4. 車体の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のサイドシルと、
    車体後部の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のリヤサイドフレームと、
    車幅方向の両端部が前記リヤサイドフレームにそれぞれ接合され、リヤ側の左右のサスペンション装置の一部を支持するリヤサブフレームと、
    前端部が前記サイドシルに結合され、後端部が前記リヤサブフレームの車幅方向の中央領域に結合される左右一対のブレースと、を備え、
    前記リヤサブフレームは、前記サスペンション装置の第1のサスペンションアームを揺動可能に支持する第1アーム支持部を有し、
    左右の各前記ブレースは、前記前端部と前記後端部の間の中間領域が、左右の対応する前記第1アーム支持部に連結されており、
    前記ブレースの後端部には、前記リヤサブフレームの下面に結合される後部固定部と、該後部固定部よりも車体後方側にあって当該後部固定部よりも下方に突出する保護凸部と、が設けられていることを特徴とする車体後部構造。
  5. 車体の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のサイドシルと、
    車体後部の左右両側部に車体前後方向に略沿って延出する一対のリヤサイドフレームと、
    車幅方向の両端部が前記リヤサイドフレームにそれぞれ接合され、リヤ側の左右のサスペンション装置の一部を支持するリヤサブフレームと、
    前端部が前記サイドシルに結合され、後端部が前記リヤサブフレームの車幅方向の中央領域に結合される左右一対のブレースと、を備え、
    前記リヤサブフレームは、前記サスペンション装置の第1のサスペンションアームを揺動可能に支持する第1アーム支持部を有し、
    左右の各前記ブレースは、前記前端部と前記後端部の間の中間領域が、左右の対応する前記第1アーム支持部に連結されており、
    前記ブレースは中空状のパイプ材によって形成され、
    前記ブレースの長手方向の前半領域と後半領域のいずれか一方は、前記前半領域と前記後半領域の断面中心がオフセットするように、押し潰されていることを特徴とする車体後部構造。
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