目次 A.第1実施形態 A−1.印刷材供給システムの全体構成: A−2.カートリッジをホルダーに装着した構成 A−3.カートリッジの詳細構成 A−4.他のカートリッジの詳細構成 A−5.効果 A−6.第1実施形態の変形例 B.第2実施形態 C.第3実施形態 D.第4実施形態 E.変形例 E−1.カートリッジの外観の変形例 E−2.アダプターを使用した第1のカートリッジ E−3.アダプターを使用した第2のカートリッジ E−4.アダプターを使用した第3のカートリッジ E−5.回路基板および端子配列の変形例 E−6.ホルダーの変形例 E−7.内圧調整機構および負圧発生部材の変形例 F.他の実施形態
A.第1実施形態:
A−1.印刷材供給システムの全体構成:
図1は、印刷材供給システム10の構成を示す斜視図である。図1には、互いに直交するXYZ軸が描かれている。図1のXYZ軸は、他の図のXYZ軸に対応している。本実施形態では、Z軸方向が鉛直方向である。
印刷材供給システム10は、カートリッジ20と、プリンター(印刷装置)50とを備える。印刷材供給システム10では、プリンター50のホルダー(カートリッジ装着部)60にカートリッジ20が装着され、カートリッジ20は、プリンター50にインク(印刷材)を供給し、プリンター50は、そのインクを用いて印刷を実行する。
印刷材供給システム10のカートリッジ20は、インクを収容する機能を有する装置であり、インクカートリッジとも呼ばれる。カートリッジ20は、ユーザーがプリンター50のホルダー60に対して着脱することが可能に構成されている。カートリッジ20のインクは、カートリッジ20に設けられた後述する印刷材供給口から、ホルダー60に設けられた後述する印刷材供給管を経て、プリンター50のヘッド540に供給される。カートリッジ20およびホルダー60の詳細構成については後述する。
本実施形態では、プリンター50のホルダー60は、3つのカートリッジ20を装着可能に構成されている。ホルダー60に装着されるカートリッジ20の数は、3つに限るものではなく、任意の個数に変更可能であり、3つより少なくてもよいし、3つより多くてもよい。
本実施形態では、カートリッジ20のインクは、黒色(ブラック)のインクである。他の実施形態では、カートリッジ20のインクは、ブラックの他、黄色(イエロー)、マゼンタ、ライトマゼンタ、シアンおよびライトシアン等の各色のインクや、こられの色に特殊光沢色(金属光沢、パールホワイト等)を加えたインクであってもよい。他の実施形態では、ホルダー60に装着される複数のカートリッジ20の各インクは、それぞれ異なる種類であってもよい。
印刷材供給システム10のプリンター50は、インクを用いて印刷する装置の1つであるインクジェットプリンターである。プリンター50は、カートリッジ20を保持するホルダー60の他、制御部510と、キャリッジ520と、ヘッド540とを備える。プリンター50は、ホルダー60に装着されたカートリッジ20からヘッド540にインクを供給する構成を有し、紙やラベルなどの印刷媒体90に対してヘッド540からインクを吐出することによって、文字、図形および画像などの情報を印刷媒体90に印刷する。
プリンター50の制御部510は、プリンター50の各部を制御する。プリンター50のキャリッジ520は、ヘッド540を印刷媒体90に対して相対的に移動可能に構成されている。プリンター50のヘッド540は、ホルダー60に装着されたカートリッジ20からインクの供給を受け、そのインクを印刷媒体90に吐出する。制御部510とキャリッジ520との間はフレキシブルケーブル517を介して電気的に接続されており、ヘッド540は、制御部510からの制御信号に基づいてインクの吐出を実行する。
本実施形態では、ホルダー600は、キャリッジ520に設けられ、キャリッジ520上にカートリッジ20が装着される。このようなプリンターは、オンキャリッジタイプとも呼ばれる。他の実施形態では、ホルダー600は、キャリッジ520とは異なる部位に設けられ、カートリッジ20からフレキシブルチューブを介してキャリッジ520上のヘッド540にインクを供給するとしてもよい。このようなプリンターは、オフキャリッジタイプとも呼ばれる。
本実施形態では、プリンター50は、キャリッジ520と印刷媒体90とを相対的に移動させて印刷媒体90に対する印刷を実現するために、主走査送り機構および副走査送り機構を備える。プリンター50の主走査送り機構は、キャリッジモーター522および駆動ベルト524を備え、駆動ベルト524を介してキャリッジモーター522の動力をキャリッジ520に伝達することによって、キャリッジ520を主走査方向に往復移動させる。プリンター50の副走査送り機構は、搬送モーター532およびプラテン534を備え、搬送モーター532の動力をプラテン534に伝達することによって、主走査方向に直交する副走査方向に印刷媒体90を搬送する。主走査送り機構のキャリッジモーター522、および副走査送り機構の搬送モーター532は、制御部510からの制御信号に基づいて動作する。
本実施形態では、印刷材供給システム10の使用状態において、印刷媒体90を搬送する副走査方向に沿った軸をX軸とし、キャリッジ520を往復移動させる主走査方向に沿った軸をY軸とし、重力方向に沿った軸をZ軸とする。これらX軸、Y軸およびZ軸は相互に直交する。なお、印刷材供給システム10の使用状態とは、水平な面に設置された印刷材供給システム10の状態であり、本実施形態では、水平な面はX軸およびY軸に平行な面である。
本実施形態では、副走査方向に向かって+X軸方向、その逆を−X軸方向とし、重力方向の下方から上方に向かって+Z軸方向、その逆を−Z軸方向とする。本実施形態では、+X軸方向側が印刷材供給システム10の正面となる。本実施形態では、印刷材供給システム10の右側面から左側面に向かって+Y軸方向、その逆を−Y軸方向とする。本実施形態では、ホルダー60に装着された複数のカートリッジ20の配列方向は、Y軸に沿った方向である。
A−2.カートリッジをホルダーに装着した構成:
図2および図3は、カートリッジ20が装着されたホルダー60を示す斜視図である。図4は、カートリッジ20が装着されたホルダー60を示す上面図である。図5は、カートリッジ20が装着されたホルダー60を図4の矢視F5−F5で切断して示す断面図である。図6は、他のカートリッジ20Sが装着されたホルダー60を示す上面図である。図2〜図5には、1つのカートリッジ20がホルダー60における設計された装着位置に正しく装着された状態を図示した。図6には、1つのカートリッジ20Sがホルダー60における設計された装着位置に正しく装着された状態を図示した。
プリンター50のホルダー60は、壁部601と、壁部603と、壁部604と、壁部605と、壁部606を有し、これら5つの壁部は、カートリッジ20を受け入れる空間であるカートリッジ装着空間608を形成する。壁部601は、カートリッジ装着空間608の−Z軸方向側を画定する。壁部603は、カートリッジ装着空間608の+X軸方向側を画定する。壁部604は、カートリッジ装着空間608の−X軸方向側を画定する。壁部605は、カートリッジ装着空間608の+Y軸方向側を画定する。壁部606は、カートリッジ装着空間608の−Y軸方向側を画定する。
プリンター50は、ホルダー60のカートリッジ装着空間608に、複数のインク供給管(印刷材供給管)640を備える。複数のインク供給管640は、壁部601から+Z軸方向に向けて突設されている。
複数のインク供給管640のうち相互に隣り合う2つのインク供給管640の間には、仕切板607が突設されている。本実施形態では、相互に隣り合う2つのインク供給管640の間の他、複数のインク供給管640の並びの両端(すなわち、+Y軸方向側および−Y軸方向側)にも、それぞれ仕切板607が設けられている。本実施形態では、仕切板607は、Z軸およびX軸を通るZX平面に平行な板状の部材である。本実施形態では、仕切板607は、壁部601から+Z軸方向に突出している。本実施形態では、仕切板607は、インク供給管640の先端部642よりも+Z軸方向側に突出している。本実施形態では、仕切板607のX軸に沿った長さは、インク供給管640のX軸に沿った長さよりも大きい。
図4および図6に示すように、カートリッジ装着空間608は、仕切板607によって、インク供給管640毎に複数のスロットSLに分割される。図4に示すように、本実施形態では、相互に隣り合う2つのスロットSLに、1つのカートリッジ20を装着することが可能である。図6に示すように、本実施形態では、ホルダー60は、カートリッジ20の他、カートリッジ20のY軸方向の幅を約半分にしたカートリッジ20Sを装着可能に構成されており、1つのカートリッジ20Sを各スロットSLに装着することも可能である。図2〜図5に示すように、プリンター50は、ホルダー60の各スロットSLに、インク供給管640の他、端子台70と、レバー80と、端子台側係止部810と、供給管側係止部620と、係合部662,664,665,666,668とを備える。
図4および図5に示すように、カートリッジ20は、ホルダー60における相互に隣り合う2つのスロットSLに合わせて、回路基板40と、基板側係止部210と、供給口側係止部220,230と、2つのインク供給口(印刷材供給口)280と、インク収容部(印刷材収容部)300とを備える。図5には、インク収容部300を模式的に図示した。インク収容部300の詳細については後述する。
本実施形態では、カートリッジ20における2つのインク供給口280の各々には、共通のインク収容部300に連通するインク流路282が形成されており、インク流路282を通じてインク収容部300からカートリッジ20の外部へとインクを供給することが可能である。本実施形態では、各インク供給口280におけるインク流路282の出口側には、インク流路282からの不用意なインクの漏出を防止する漏出防止部材284が設けられている。
プリンター50のインク供給管640は、カートリッジ20のインク供給口280に接続することによって、カートリッジ20のインク収容部300からのインクをヘッド540へと供給可能に構成されている。インク供給管640は、カートリッジ側に接続される先端部642を有する。インク供給管640の基端部645は、ホルダー60の底面である壁部601に設けられている。本実施形態では、図5に示すように、インク供給管640の中心軸CはZ軸と平行であり、中心軸Cに沿ってインク供給管640の基端部645から先端部642に向かう方向は+Z軸方向となる。
本実施形態では、インク供給管640の先端部642には、カートリッジ20からのインクを濾過する多孔体フィルター644が設けられている。多孔体フィルター644としては、例えば、ステンレスメッシュ、ステンレス不織布などを用いることができる。他の実施形態では、インク供給管640の先端部642から多孔体フィルターを省略してもよい。
本実施形態では、図2〜図5に示すように、インク供給管640の周囲には、カートリッジ20のインク供給口280を密閉することによってインク供給口280から周囲へのインクの漏出を防止する弾性部材648が設けられている。ホルダー60に装着された状態のカートリッジ20には、弾性部材648からインク供給口280に対して、+Z軸方向の成分を含む付勢力Psが付与される。
図5に示すように、プリンター50の端子台70は、インク供給管640よりも+X軸方向側に設けられている。端子台70には、カートリッジ20の回路基板40に設けられたカートリッジ側端子430と電気的に接続可能な装置側端子730が設けられている。ホルダー60に装着された状態のカートリッジ20には、端子台70から回路基板40に対して、+Z軸方向の成分を含む付勢力Ptが付与される。
プリンター50の端子台側係止部810は、ホルダー60の壁部603にレバー80の一部として設けられ、第1係止位置810Lで基板側係止部210を係止する。第1係止位置810Lは、回路基板40と端子台70とが接触する位置よりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に位置する。端子台側係止部810は、基板側係止部210を係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への移動を制限する。
プリンター50の供給管側係止部620は、ホルダー60の壁部604に設けられ、供給口側係止部220,230を第2係止位置620Lで係止可能に構成されている。第2係止位置620Lは、インク供給管640よりも+Z軸方向側かつ−X軸方向側に位置する。供給管側係止部620は、供給口側係止部220,230を係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への移動を制限する。
ホルダー60対するカートリッジ20の着脱時には、供給口側係止部220と供給管側係止部620の付近を回転支点として、Z軸およびX軸に平行な平面に沿ってカートリッジ20を回転させながら、カートリッジ20の着脱が行われる。
プリンター50のレバー80は、端子台側係止部810が基板側係止部210を係止する第1係止位置810Lよりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に回動中心800cを有する。そのため、カートリッジ20が+Z軸方向に移動しようとするとき、レバー80には、図5に示す方向に回転モーメントMが発生する。その結果、端子台側係止部810による基板側係止部210の係止が不用意に解除されることを防止できる。
レバー80は、端子台側係止部810が第1係止位置810Lから+X軸方向に移動するように回動することによって、端子台側係止部810による基板側係止部210の係止および係止解除を可能に構成されている。本実施形態では、レバー80には、ユーザーによる−X軸方向側に向かう操作力Prを受け付け可能に構成された操作部830が、回動中心800cよりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に形成されている。ユーザーによる操作力Prが操作部830に付与されると、端子台側係止部810が第1係止位置810Lから+X軸方向に移動するようにレバー80が回動することによって、端子台側係止部810による基板側係止部210の係止が解除される。これによって、ホルダー60からカートリッジ20を取り外すことが可能になる。
図5に示すように、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態では、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも距離Dzを置いて−Z軸方向側に位置する。そのため、ホルダー60からカートリッジ20に対する付勢力Ps,Ptは、第2係止位置620Lをカートリッジ20の回転支点とするモーメントの釣り合いの関係上、基板側係止部210と端子台側係止部810との係止を強くする方向(+X軸成分および+Z軸成分を含む方向)に作用する。これによって、設計された装着位置にカートリッジ20を安定して保持することができる。
プリンター50の係合部662,664,665,666,668は、カートリッジ20の各部に係合する。これによって、ホルダー60に対する回路基板40のY軸方向の位置ズレを防止することができ、装置側端子730に対してカートリッジ側端子430を正しい位置で接触させることができる。
A−3.カートリッジの詳細構成:
図7および図8は、カートリッジ20の構成を示す斜視図である。図9は、カートリッジ20の構成を示す底面図である。図10は、カートリッジ20の構成を示す上面図である。図11は、カートリッジ20の構成を示す正面図である。図12は、カートリッジ20の構成を示す背面図である。図13は、カートリッジ20の構成を示す左側面図である。図14は、カートリッジ20の構成を示す右側面図である。図15および図16は、カートリッジ20の構成を示す分解斜視図である。
カートリッジ20の説明では、ホルダー60に装着された装着状態にあるカートリッジ20に対するX軸、Y軸およびZ軸をカートリッジ上の軸とする。本実施形態では、カートリッジ20がホルダー60に装着された装着状態で、+X軸方向側がカートリッジ20の正面となる。本実施形態では、カートリッジ20をホルダー60に装着する際の装着方向SDは、−Z軸方向である。
本実施形態の説明では、カートリッジ20における2つのインク供給口280の各々を総称する場合には符号「280」を使用し、+Y軸方向側のインク供給口を示す場合には符号「280a」を使用し、−Y軸方向側のインク供給口を示す場合には符号「280b」を使用する。
図9および図13に示す中心軸Caは、カートリッジ20がホルダー60に装着された装着状態で、インク供給口280aに接続されるインク供給管640の中心軸Cに対応し、本実施形態では、インク供給口280aの中心軸でもある。図9〜図12に示す平面CXaは、中心軸Caを通り、かつ、Z軸およびX軸に平行な平面である。すなわち、平面CXaは、インク供給口280aのY軸に沿った長さの中央を通りY軸に直交する平面でもある。
図9および図14に示す中心軸Cbは、インク供給口280bに接続されるインク供給管640の中心軸Cに対応し、本実施形態では、インク供給口280bの中心軸でもある。図9〜図12に示す平面CXbは、中心軸Cbを通り、かつ、Z軸およびX軸に平行な平面である。すなわち、平面CXbは、インク供給口280bのY軸に沿った長さの中央を通りY軸に直交する平面でもある。本実施形態の説明では、平面CXaおよび平面CXbの各々を総称する場合には符号「CX」を使用する。
図7〜図14に示すように、カートリッジ20は、直方体を基調とした外殻200を備える。カートリッジ20は、外殻200を構成する6つの壁部として、第1面201と、第2面202と、第3面203と、第4面204と、第5面205と、第6面206とを有する。本実施形態では、カートリッジ20は、これら6つの第1面201〜第6面206の他、第7面207と、第8面208とを有する。図15に示すように、これら第1面201〜第8面208の内側にはインク収容部300が形成されている。
第1面201〜第8面208は、概形として平面を形成しており、面の全域が完全に平坦である必要はなく、面の一部に凹凸を有していてもよい。本実施形態では、第1面201〜第8面208は、複数の部材を組み立てた組立体の外表面である。
本実施形態では、カートリッジ20の長さ(X軸方向の長さ)、幅(Y軸方向の長さ)、高さ(Z軸方向の長さ)は、大きいものから並べると、長さ、高さ、幅の順となる。カートリッジ20の長さ、幅、高さの大小関係は任意に変更可能であり、例えば、高さ、長さ、幅の順であってもよいし、高さ、長さ、幅がそれぞれ等しくてもよい。
カートリッジ20の第1面201および第2面202は、X軸およびY軸に平行な面であり、Z軸方向において相互に対向する位置関係にある。第1面201が−Z軸方向側、第2面202が+Z軸方向側に位置する。第1面201および第2面202は、第3面203、第4面204、第5面205および第6面206と交わる位置関係にある。なお、本明細書では、2つの面が「交わる」とは、2つの面が相互に繋がって交わる状態と、一方の面の延長面が他方の面に交わる状態と、相互の延長面が交わる状態と、のいずれかの状態であることを意図する。本実施形態では、カートリッジ20がホルダー60に装着された装着状態で、第1面201はカートリッジ20の底面を構成し、第2面202はカートリッジ20の上面を構成する。
図7および図9に示すように、第1面201には、2つのインク供給口280が設けられている。2つのインク供給口280の各々は、第1面201から−Z軸方向に突出しており、X軸およびY軸に平行な面に開口を有する開口端288を−Z軸方向の端部に有する。本実施形態の説明では、インク供給口280の開口端を総称する場合には符号「288」を使用し、インク供給口280aの開口端を示す場合には符号「288a」を使用し、インク供給口280bの開口端を示す場合には符号「288b」を使用する。
本実施形態では、カートリッジ20の工場出荷時に、インク供給口280の開口端288は、キャップまたはフィルムなどの封止部材(図示しない)で封止される。その後、ホルダー60に対するカートリッジ20の装着時には、開口端288を封止する封止部材(図示しない)は、カートリッジ20から取り外される。
本実施形態では、図9に示すように、インク供給口280の内側には、開口端288から+Z軸方向側の内側に漏出防止部材284が設けられている。本実施形態では、図15に示すように、漏出防止部材284は、合成樹脂製(例えば、ポリエチレンテレフタレート)の多孔質部材284fおよびシート部材284sを含む。本実施形態の説明では、インク供給口280の漏出防止部材を総称する場合には符号「284」を使用し、インク供給口280aの漏出防止部材を示す場合には符号「284a」を使用し、インク供給口280bの漏出防止部材を示す場合には符号「284b」を使用する。
本実施形態では、カートリッジ20のインク供給口280は、ホルダー60におけるインク供給管640の中心軸Cを中心として−Z軸方向に突出しているが、他の実施形態では、インク供給口280の中心は、インク供給管640の中心軸Cから外れていてもよい。本実施形態では、−Z軸方向から+Z軸方向に向って見たインク供給口280の開口端288は、X軸およびY軸にそれぞれ平行な軸に対して線対称の外郭を有するが、他の実施形態では、非対称の外郭であってもよい。図9に示すように、本実施形態では、Z軸方向から見た開口端288の形状は、長方形の角を丸めた形状であるが、他の実施形態において、正円、楕円、長円、正方形、長方形などの形状であってもよい。
図7、図9、図13および図14に示すように、第1面201における2つのインク供給口280の間には、ホルダー60における仕切板607に対応する位置に、溝部240が設けられている。図13および図14に破線で示すように、溝部240は、第1面201よりも+Z軸方向側へと凹設され、インク供給口280がインク供給管640に接続した状態で仕切板607の挿入を受け入れ可能に構成されている。溝部240のX軸に沿った長さは、仕切板607のX軸に沿った長さよりも大きい。溝部240のY軸に沿った長さは、仕切板607のY軸に沿った長さよりも大きい。
図7および図9に示すように、第1面201には、平面CXaを横切る位置に、光学的な検出要素270が設けられている。検出要素270は、インク収容部300におけるインクをカートリッジ20の外部から光学的に検知可能に構成された構造である。図15に示すように、本実施形態では、検出要素270は、インク収容部300に収容されているインクと接触可能に配置されたプリズム275を含む。
プリズム275の周囲がインクで満たされているときには、カートリッジ20の外部からプリズム275に向けて射出された光がプリズム275を透過する。一方、プリズム275の周囲にインクが存在しないときには、カートリッジ20の外部からプリズム275に向けて射出された光がプリズム275で反射される。本実施形態では、プリンター50は、プリズム275で反射された光を光学センサー(図示しない)で受け取る。このように、プリズム275からの反射光の有無に基づいて、インク収容部300におけるインクの有無を検知することができる。なお、「インク無し」とは、インクが残り少ない状態を含む。本実施形態では、プリンター50は、検出要素270を用いて「インク無し」を検知してからのヘッド540で消費されるインクの量に基づいて、各インク供給口280から供給可能なインクの残量を検知することができる。
カートリッジ20の第3面203および第4面204は、Y軸およびZ軸に平行な面であり、X軸方向おいて相互に対向する位置関係にある。第3面203が+X軸方向側、第4面204が−X軸方向側に位置する。第3面203および第4面204は、第1面201、第2面202、第5面205および第6面206と交わる位置関係にある。本実施形態では、カートリッジ20がホルダー60に装着された装着状態で、第3面203はカートリッジ20の正面を構成し、第4面204はカートリッジ20の背面を構成する。
図7および図11に示すように、第3面203には、平面CXaを横切る位置に、基板側係止部210が設けられている。基板側係止部210は、インク供給口280および回路基板40よりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に設けられている。基板側係止部210は、+Z軸方向を向いた係止面211を有し、レバー80の回動により第1係止位置810Lに位置決めされた端子台側係止部810が係止面211を係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への移動を制限可能に構成されている。
本実施形態では、基板側係止部210は、+Z軸方向を向いた係止面211に加え、+X軸方向を向いた係止面212を有し、レバー80の回動により第1係止位置810Lに位置決めされた端子台側係止部810が係止面211および係止面212に係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向および+X軸方向への移動を制限可能に構成されている。これによって、設計された装着位置にカートリッジ20をより安定した状態で保持することができる。
本実施形態では、基板側係止部210は、第3面203から+X軸方向に突出した凸部である。これによって、基板側係止部210を第3面203に容易に形成することができる。また、カートリッジ20の装着時にユーザーが基板側係止部210を容易に確認することができる。
本実施形態では、基板側係止部210は、第3面203における+Z軸方向側の端203pzよりも、第3面203における−Z軸方向側の端203mz寄りに設けられている。本実施形態では、基板側係止部210の−Z軸方向側は、第3面203における−Z軸方向側の端203mzに隣接することによって、第8面に設けられた回路基板40に対しても隣接した位置関係にある。他の実施形態では、基板側係止部210は、第3面203における−Z軸方向側の端203mzから離れていてもよいし、第3面203における−Z軸方向側の端203pz寄りであってもよい。
図7および図11に示すように、本実施形態では、基板側係止部210は、部位215と、部位217と、部位219とを有する。部位215は、部位217の−Z軸方向側に繋がり、第3面203から部位217へと、+Z軸方向に向かうに連れて+X軸方向へと隆起した形状をなす。部位217は、平面CXaに交差し、第3面203から+X軸方向に隆起した凸状をなす。部位219は、部位217の+Z軸方向側に繋がり、第3面203から+X軸方向に隆起した凸状をなす。本実施形態では、基板側係止部210は、二つの辺がそれぞれY軸およびZ軸に平行なL字状に第3面203から突出したL字状凸部をなし、部位217は、L字状凸部のY軸に平行な部位を構成し、部位217は、L字状凸部のZ軸に平行な部位を構成する。
本実施形態では、基板側係止部210の係止面211は、部位217における+Z軸方向を向いた平面として形成されている。すなわち、係止面211は、X軸およびY軸に平行な平面である。本実施形態では、基板側係止部210の係止面212は、部位217における+X軸方向を向いた平面として形成されている。すなわち、係止面212は、Y軸およびZ軸に平行な平面である。
本実施形態では、基板側係止部210は、係止面211が形成された部位217の−Z軸方向側に隣接して部位215を有することから、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、ホルダー60における端子台側係止部810を、基板側係止部210の係止面211へと円滑に誘導することができる。
本実施形態では、基板側係止部210は、係止面211が形成された部位217の+Z軸方向側に隣接して部位219を有することから、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、レバー80が係止面211の+Z軸方向側に乗り上がってしまうことを防止することができる。
本実施形態では、第3面203には、突出部260が形成されている。突出部260は、第2面202を+X軸方向に延長した形状をなし、第3面203から+X軸方向に突出している。カートリッジ20に突出部260が形成されているため、カートリッジ20をホルダー60から取り外す際には、ユーザーは、−X軸方向側に向けてレバー80の操作部830を押した指を、そのまま突出部260に引っ掛けることによって、供給口側係止部220を回転支点とした+Z軸方向へのカートリッジ20の持ち上げを容易に行うことが可能である。他の実施形態では、第3面203から突出部260を省略してもよい。
図8、図9および図12に示すように、第4面204には、平面CXaを横切る位置に、供給口側係止部220が設けられている。供給口側係止部220は、インク供給口280および回路基板40よりも+Z軸方向側かつ−X軸方向側に設けられている。供給口側係止部220は、+Z軸方向を向いた係止面222を有し、ホルダー60における供給管側係止部620が係止面222を係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への移動を制限可能に構成されている。
図8、図9および図12に示すように、第4面204には、平面CXbを横切る位置に、供給口側係止部230が設けられている。供給口側係止部230は、インク供給口280および回路基板40よりも+Z軸方向側かつ−X軸方向側に設けられている。供給口側係止部230は、+Z軸方向を向いた係止面232を有し、ホルダー60における供給管側係止部620が係止面222を係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への移動を制限可能に構成されている。
本実施形態では、供給口側係止部220,230は、ホルダー60に対するカートリッジ20の着脱時に供給管側係止部620と係合することによって、ホルダー60に対するカートリッジ20の回転支点としても機能するように構成されている。これによって、ホルダー60に対するカートリッジ20の脱着を容易に行うことができる。
本実施形態では、供給口側係止部220,230は、第4面204から−X軸方向に突出した凸部である。これによって、供給口側係止部220,230を第4面204に容易に形成することができる。また、カートリッジ20の装着時にユーザーが供給口側係止部220,230を容易に確認することができる。
本実施形態では、供給口側係止部220の係止面222は、第4面204から−X軸方向に突出した凸部を構成する+Z軸方向を向いた平面として形成され、供給口側係止部230の係止面232は、第4面204から−X軸方向に突出した凸部を構成する+Z軸方向を向いた平面として形成されている。すなわち、係止面222,232は、X軸およびY軸に平行な平面である。
本実施形態では、供給口側係止部220は、係止面222の−X軸方向側に隣接する傾斜面227を有し、供給口側係止部230は、係止面232の−X軸方向側に隣接する傾斜面237を有する。これらの傾斜面227,237は、+Z軸方向および−X軸方向を向いて傾斜している。これによって、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、係止面222,232を、ホルダー60における供給管側係止部620へと円滑に誘導することができる。他の実施形態では、傾斜面227,237を省略してもよい。
カートリッジ20の第5面205および第6面206は、Z軸およびX軸に平行な面であり、Y軸方向において相互に対向する位置関係にある。第5面205が+Y軸方向側、第6面206が−Y軸方向側に位置する。第5面205および第6面206は、第1面201、第2面202、第3面203および第4面204と交わる位置関係にある。本実施形態では、カートリッジ20がホルダー60に装着された装着状態で、第5面205はカートリッジ20の左側面を構成し、第6面206はカートリッジ20の右側面を構成する。
図8および図13に示すように、第5面205には、大気導入口209が設けられている。大気導入口209は、外殻200の内部の空間へと連通する。本実施形態では、インク収容部300におけるインクの消費状態に応じて、所定のタイミングで、大気導入口209から導入された大気が、インク収容部300へと導入される。他の実施形態では、インク収容部300におけるインクの減少に伴い、随時、大気導入口209から導入された大気がインク収容部300へ導入されるようにしても良い。さらに他の実施形態では、インク収容部300を、大気が導入されない密閉空間としてもよい。
図7に示すように、カートリッジ20の第7面207は、第8面208と共に、第1面201と第3面203との間を繋ぐ角部(コーナー部)として構成されている。第7面207は、+Y軸方向寄りに設けられた第7面207aと、−Y軸方向寄りに設けられた第7面207bとを含む。本実施形態の説明では、これらの第7面207a,207bを総称する場合には符号「207」を使用する。
第7面207は、第1面201から+Z軸方向側に延びるように形成された面であり、+Z軸方向側で第8面208と繋がり、−Z軸方向側で第1面201と繋がる。本実施形態では、第7面207は、Y軸およびZ軸に平行な面であり、第4面204に対向する位置関係にある。
図7に示すように、カートリッジ20の第8面208は、第8面208と共に、第1面201と第3面203との間を繋ぐ角部(コーナー部)として構成されている。第8面208は、+Y軸方向寄りに設けられた第8面208aと、−Y軸方向寄りに設けられた第8面208bとを含む。本実施形態の説明では、これらの第8面208a,208bを総称する場合には符号「208」を使用する。
第8面208は、第7面207よりも+Z軸方向側に形成された面であり、+Z軸方向側で第3面203と繋がり、−Z軸方向側で第7面207と繋がる。本実施形態では、図7、図13および図14に示すように、第8面208は、−Z軸方向および+X軸方向を向いて傾斜している。すなわち、第8面は、第1面201および第3面203に対して傾斜して第1面201と第3面203との間を繋ぐ傾斜面である。
図9に示すように、第8面208aには、平面CXaを横切る位置に、回路基板40が設けられている。図7および図13に示すように、回路基板40は、カートリッジ側斜面408を有する。カートリッジ側斜面408は、第8面208に設置された状態で、第1面201および第3面203に対して、−Z軸方向および+X軸方向を向いて傾斜する。カートリッジ側斜面408には、カートリッジ側端子430が設けられており、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態で、カートリッジ20における回路基板40のカートリッジ側端子430は、ホルダー60における端子台70の装置側端子730と接触する。
図13に示すように、カートリッジ側斜面408がX軸およびY軸に平行な平面(例えば、インク供給口280の開口端288が位置する平面)に対して傾斜する角度φは、25°〜40°が好ましい。カートリッジ側斜面408の角度を25°以上とすることでワイピング量を十分に確保することができる。ワイピングとは、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、カートリッジ側斜面408のカートリッジ側端子430を、端子台70の装置側端子730によって擦ることである。ワイピング量とは、カートリッジ側端子430を装置側端子730が擦ることができる長さである。ワイピングによって、カートリッジ側端子430上に付着したゴミや埃を除去し、カートリッジ側端子430と装置側端子730との接続不良を低減することが可能となる。カートリッジ側斜面408の角度を40°以下とすることで、端子台70の装置側端子730から回路基板40に対する付勢力Ptに含まれる+Z軸方向の成分を十分に確保することができる。
図7、図9および図11に示すように、本実施形態では、カートリッジ20の第7面には、基板側係合部252,254が設けられている。カートリッジ20の基板側係合部252は、第7面207の+Y軸方向寄りに+X軸方向に向けて突設され、カートリッジ20の基板側係合部254は、第7面207の−Y軸方向寄りに+X軸方向に向けて突設されている。基板側係合部252,254は、回路基板40よりも−Z軸方向側においてY軸に平行な軸上で相互に対峙しており、図4に示したホルダー60における係合部665を基板側係合部252と基板側係合部254との間に挟んだ状態で、係合部665と係合可能に構成されている。これによって、ホルダー60に対する回路基板40のX軸方向およびY軸方向の位置ズレを防止することができ、装置側端子730に対してカートリッジ側端子430を正しい位置で接触させることができる。本実施形態では、ホルダー60に対するカートリッジ20の誤装着を防止するために、基板側係合部252のY軸に沿った長さは、基板側係合部254のY軸に沿った長さと異なる。
図7、図9および図12に示すように、本実施形態では、カートリッジ20の第1面には、供給口側係合部256,258が設けられている。供給口側係合部256は、インク供給口280の−X軸方向側の+Y軸方向寄りに隣接して、第1面から−Z軸方向に向けて突設され、供給口側係合部258は、インク供給口280の−X軸方向側の−Y軸方向寄りに隣接して、第1面から−Z軸方向に向けて突設されている。供給口側係合部256,258は、ホルダー60における係合部(図示しない)と係合可能に構成されている。これによって、ホルダー60に対するインク供給口280のX軸方向およびY軸方向の位置ズレを防止することができ、インク供給管640に対してインク供給口280を正しい位置で接続させることができる。本実施形態では、ホルダー60に対するカートリッジ20の誤装着を防止するために、供給口側係合部256のY軸に沿った長さは、供給口側係合部258のY軸に沿った長さと異なる。本実施形態の説明では、供給口側係合部を総称する場合には符号「256,258」を使用し、インク供給口280aに隣接する供給口側係合部を示す場合には符号「256a,258a」を使用し、インク供給口280bに隣接する供給口側係合部を示す場合には符号「256b,258b」を使用する。
図7および図11に示すように、本実施形態では、カートリッジ20における回路基板40の+Y軸方向側の近傍には、+Y軸方向を向いたZ軸およびY軸に平行な平面を有する基板側面係合部262が設けられ、回路基板40の−Y軸方向側の近傍には、−Y軸方向を向いたZ軸およびY軸に平行な平面を有する基板側面係合部264が設けられている。基板側面係合部262,264は、図4に示したホルダー60における係合部662,664と係合可能に構成されている。これによって、ホルダー60に対する回路基板40のX軸方向およびY軸方向の位置ズレを防止することができ、装置側端子730に対してカートリッジ側端子430を正しい位置で接触させることができる。
図7および図11に示すように、本実施形態では、基板側面係合部262の+Y軸方向側には、更に、+Y軸方向を向いたZ軸およびY軸に平行な平面を有する基板側面係合部266が設けられ、基板側面係合部264の−Y軸方向側には、更に、−Y軸方向を向いたZ軸およびY軸に平行な平面を有する基板側面係合部268が設けられている。基板側面係合部266,268は、図4に示したホルダー60における係合部666,668と係合可能に構成されている。これによって、ホルダー60に対する回路基板40のX軸方向およびY軸方向の位置ズレを防止することができ、装置側端子730に対してカートリッジ側端子430を正しい位置で接触させることができる。
図15および図16に示すように、カートリッジ20は、外殻200を構成する部材として、本体部材301と、左側面部材305と、右側面部材306とを備える。カートリッジ20は、インク収容部300を画定する部材として、本体部材301の他、更に、フィルム部材335,361,386を備える。カートリッジ20は、インク収容部300の内圧を調整する部材として、更に、弁部材322,324と、板部材325と、弾性部材326,328とを備える。
図17は、カートリッジ20の本体部材301の構成を示す左側面図である。図18は、カートリッジ20の本体部材301の構成を示す右側面図である。図19は、図17の矢視F19−F19に対応する位置で切断したカートリッジ20を示す断面図である。図20は、図17の矢視F20−F20に対応する位置で切断したカートリッジ20を示す断面図である。図17〜図20に示すように、カートリッジ20は、インク収容部300を構成する部位として、主インク室340と、副インク室380とを備える。主インク室340と副インク室380とは、接続路360によって接続され、接続路360にも微量のインクが収容される。
カートリッジ20の本体部材301は、本実施形態では、図15〜図20に示すように、第1面201、第2面202、第3面203、第4面204、基板側係止部210、供給口側係止部220,230、突出部260およびインク供給口280などの構造を一体成形した部材である。本体部材301は、これらの構造の他、弁収容部332と、中間壁336と、周縁凸部335ad,386adとを有する。本実施形態では、本体部材301は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM))で形成されている。
本体部材301の弁収容部332は、図17に示すように、主インク室340に設けられ、弁部材322,324および弾性部材326を収容する。本実施形態では、弁収容部332は、主インク室340における+Z軸方向側かつ−X軸方向側に設けられている。
本体部材301の中間壁336は、図15に示すように、Z軸およびX軸に沿ってインク収容部300の−Y軸方向側を画定する壁部である。本実施形態では、中間壁336は、その一部が−Y軸方向に向けて突出した突出部336pを有する。本実施形態では、中間壁336は、弾性部材328を保持する保持部338を有する。図16に示すように、本実施形態では、中間壁336の−Y軸方向側には、本体部材301を補強する補強板337が形成されている。
本体部材301の周縁凸部335adは、図15に示すように、本体部材301においてインク収容部300が+Y軸方向に向けて開口する部位の周縁に設けられ、+Y軸方向に凸状をなす。図17には、クロスハッチングを施して周縁凸部335adを図示した。周縁凸部335adには、フィルム部材335が密閉状態に接合される。
本体部材301の周縁凸部386adは、図16に示すように、本体部材301においてインク収容部300が−Y軸方向に向けて開口する部位の周縁に設けられ、−Y軸方向に凸状をなす。図18には、クロスハッチングを施して周縁凸部386adを図示した。周縁凸部386adには、フィルム部材386が密閉状態に接合される。
カートリッジ20の左側面部材305は、本実施形態では、図15に示すように、第5面205および大気導入口209などの構造が一体成形された部材である。本実施形態では、左側面部材305は、本体部材301と同様に、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリアセタール)で形成されている。本実施形態では、左側面部材305は、本体部材301の+Y軸方向側に熱溶着によって取り付けられる。
カートリッジ20の右側面部材306は、本実施形態では、図16に示すように、第6面206などの構造が一体成形された部材である。本実施形態では、右側面部材306は、本体部材301と同様に、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリアセタール)で形成されている。本実施形態では、右側面部材306は、本体部材301の−Y軸方向側に熱溶着によって取り付けられる。
カートリッジ20のフィルム部材335は、インク不透過性、気密性および可撓性を有する薄膜である。フィルム部材335は、図15および図17に示すように、本体部材301の周縁凸部335adに対して密閉状態に接合され、主インク室340および副インク室380の各インク収容室における+Y軸方向側を画定する。本実施形態では、フィルム部材335は、合成樹脂(例えば、ナイロンおよびポリプロピレンの複合材料)で形成されている。
カートリッジ20の弁部材322は、貫通孔322Hを有する弁体である。弁部材322は、+Y軸方向側がフィルム部材335に接合された状態で、本体部材301の弁収容部332に取り付けられる。弁部材322の貫通孔322Hは、フィルム部材335の貫通孔335Hを通じて大気導入口209に連通する。本実施形態では、弁部材322は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)で形成されている。
カートリッジ20の弁部材324は、弾性部材326によって弁部材322に押し付けられ、弁部材322の貫通孔322Hを閉鎖する。弁部材324は、主インク室340における板部材325の位置に応じて、弁部材322の貫通孔322Hを開放する。本実施形態では、弁部材324は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)で形成されている。本実施形態では、弾性部材326は、金属製のコイルバネである。
カートリッジ20の板部材325は、図19に示すように、主インク室340の内側において、主インク室340の容積を拡大する方向に弾性部材328によって付勢された状態で、フィルム部材335に当接する板状の部材である。板部材325は、主インク室340の内圧に応じて、フィルム部材335と共に変位し、本実施形態では、Y軸に沿って変位する。本実施形態では、板部材325は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)や金属(例えば、ステンレス)で形成されている。
カートリッジ20の弾性部材328は、図19に示すように、主インク室340の内側で板部材325をフィルム部材335に押し付ける。すなわち、弾性部材328は、主インク室340の容積を拡大する方向に板部材325を付勢する。このように、弾性部材328は、板部材325と協働して、主インク室340に負圧を発生させる負圧発生部材を構成する。弾性部材328は、主インク室340の内圧に応じて伸縮し、本実施形態では、Y軸に沿って伸縮する。本実施形態では、弾性部材328は、板部材325に連結された状態で、本体部材301の保持部338に取り付けられる。
本実施形態では、弾性部材328は、金属製のコイルバネである。図15および図19には、コイルバネである弾性部材328を模式的に図示した。弾性部材328は、金属製のコイルバネに限るものではなく、主インク室340に負圧を発生させることが可能な部材であればよく、例えば、金属製の他の形式のバネ、合成樹脂製のバネ、ゴム部材、流体バネ、連続多孔質部材(例えば、ポリウレタンフォーム)等でもよい。
カートリッジ20のフィルム部材361は、インク不透過性および気密性を有する薄膜である。フィルム部材361は、図9および図17に示すように、本体部材301の−Z軸方向側に対して密閉状態に接合され、接続路360における−Z軸方向側を画定する。本実施形態では、フィルム部材361は、合成樹脂(例えば、ナイロンおよびポリプロピレンの複合材料)で形成されている。
カートリッジ20のフィルム部材386は、インク不透過性および気密性を有する薄膜である。フィルム部材386は、図16および図18に示すように、本体部材301の周縁凸部386adに対して密閉状態に接合され、副インク室380における−Y軸方向側を画定する。本実施形態では、フィルム部材386は、合成樹脂(例えば、ナイロンおよびポリプロピレンの複合材料)で形成されている。
カートリッジ20における主インク室340は、図17、図19および図20に示すように、インクを収容可能な空間を形成する。本実施形態では、主インク室340は、本体部材301およびフィルム部材335によって構成される。主インク室340は、第1の領域341と、第2の領域342と、検知領域346と、連通路348とを有する。
主インク室340における第1の領域341は、図17および図19に示すように、第5面205と第6面206との間の+Y軸方向寄りに、+X軸方向側から−X軸方向側にわたって形成される。第1の領域341には、前述したように、負圧発生部材として、板部材325および弾性部材328が配置されている。
図19に示すように、第5面205から第6面206までのY軸に沿ったカートリッジ20の長さW1と、第1の領域341に配置された板部材325および弾性部材328のY軸に沿った長さW2との関係は、W2<W1/Nを満たす(Nは、インク供給口280の個数)。すなわち、インク供給口280の個数が2つであるカートリッジ20では、W2<W1/2を満たす。長さW2は、本体部材301の保持部338と、フィルム部材335との間のY軸に沿った長さでもある。
本実施形態では、第1の領域341のY軸に沿った長さCw1は、W1/N、すなわち、W1/2よりも小さい。他の実施形態では、第1の領域341の長さCw1は、W1/N以上であってもよいが、W1/Nと同程度にすることが好ましい。すなわち、CW1≦W1/2を満たすことが好ましい。特に、第1の領域341のうち、検知領域346に近い領域(本実施形態では+X軸方向側の領域)については、CW1≦W1/2を満たすことが好ましい。これは、検知領域346におけるインクの誤検知を抑制するためである。
先に説明したとおり、検知領域346では、検出要素270を利用して、インクの有無の検出が行われる。検出要素270の周囲のインクが不安定な状態では、インクの有無を正確に検出できない可能性がある。このような状況は、検出要素270の周囲のインクに気泡が混入した場合や、検出要素270の周囲でインクの液面が揺れている場合、検知領域346の手前でインクが滞留して検出要素270の方へインクが流れなくなった場合などに生じやすい。このような現象を防ぐには、インクを検出要素270へと円滑に送ることや、検出要素270付近におけるインクの流れを安定させることなどが必要となる。そのためには、検出要素270のY軸に沿った長さPw(図20)と、第1の領域341のY軸に沿った長さ、特に検知領域346に近い領域(本実施形態では+X軸方向側の領域)のY軸に沿った長さCw1とが、大きく異ならないことが好ましい。図20に示すように、本実施形態では、検出要素270のY軸方向に沿った長さPwは、第1の領域341のY軸に沿った長さCw1よりも僅かに小さい。
これらのことから、第1の領域341のY軸方向に沿った長さCw1は、W1/N以上(本実施形態ではN=2)であってもよいが、Cw1≦W1/Nを満たすことが好ましく、Pw≦Cw1≦W1/Nを満たすことがより好ましい。本実施形態では、第1の領域341のY軸方向に沿った長さCw1は、第1の領域341に配置された板部材325および弾性部材328のY軸に沿った長さW2よりも大きい。
主インク室340における第2の領域342は、図17および図19に示すように、保持部338よりも第4面204寄りに、突出部336pによって形成される。図19に示すように、第2の領域342は、第1の領域341に隣接し、第1の領域341の一部を−Y軸方向に拡張した形状を有する。第2の領域342のY軸に沿った長さCw2は、第1の領域341の長さCw1よりも大きく、更に、W1/N、すなわち、W1/2よりも大きい。本実施形態では、第2の領域342のY軸に沿った長さCw2は、第1の領域341のY軸に沿った長さCw1の約2倍となっている。
本実施形態では、第1の領域341の長さCw1がW1/Nに近いのに対し、第2の領域342の長さCw2はW1に近い。すなわち、Cw1<W1/N≪Cw2<W1となっている。このようにY軸に沿った長さCw2がW1/Nよりもかなり大きい第2の領域342は、主インク室340における第4面204寄り(−X軸方向側)に位置し、主インク室340における第3面寄り(+X軸方向側)に位置する検知領域346とは反対側に位置することになる。つまり、第2の領域342と検知領域346とがX軸方向に離れて位置するため、先に述べた様に、検知領域346におけるインクの誤検知を抑制することができる。
本実施形態では、カートリッジ20の仕様変更に応じて、主インク室340の容積を変更する場合には、本体部材301の一体成形に用いる金型(図示しない)における第2の領域342を形成する入れ子(図示しない)の有無や、その位置をY軸に沿って調整することによって対応することができる。例えば、本実施形態のカートリッジ20は、後に説明する第2実施形態のカートリッジ22(図29〜31)と比べて、インク収容部300における第1の領域341のY軸方向に沿った長さが部分的に異なっている。そこで、本実施形態のカートリッジ20と第2実施形態のカートリッジ22とで共通の基本金型を準備しておき、本実施形態のカートリッジ20を製造する際には、基本金型の第1の領域341の部分に対応する箇所に入れ子を追加することで、対応することができる。
図19に示すように、フィルム部材335は、第1の領域341および第2の領域342における第5面205側を画定する第1の画定面であり、第1の領域341および第2の領域342にわたって第5面205に沿った形状をなす。中間壁336は、第1の領域341および第2の領域342における第6面206側を画定する第2の画定面であり、第2の領域342に対応する部位が第6面206に向けて突出した形状をなす。
主インク室340における検知領域346は、主インク室340におけるインクを検知可能に構成されている。図17および図20に示すように、本実施形態では、検知領域346には、検出要素270のプリズム275が配置されており、前述したように、検出要素270を用いて主インク室340におけるインクを検知することが可能である。検知領域346は、保持部338よりも第3面203寄りに形成されている。検知領域346は、第1の領域341の−Z軸方向側に隣接し、第1の領域341の一部を−Z軸方向に拡張した形状を有する。
主インク室340における連通路348は、検知領域346と接続路360との間を連通する。図17および図20に示すように、本実施形態では、連通路348は、検知領域346の−X軸方向側に隣接する。本実施形態では、連通路348は、検知領域346から−X軸方向に進んだ後、検知領域346よりも+Z軸方向に一段高くなって−Y軸方向に進み、貫通孔364を通じて−Z軸方向側の接続路360に連通する。
カートリッジ20における接続路360は、図9、図17および図20に示すように、微量のインクを収容可能な空間を形成し、主インク室340と副インク室380との間を連通する。本実施形態では、接続路360は、本体部材301およびフィルム部材361によって構成される。接続路360は、主インク室340および副インク室380よりも−Z軸方向側に設けられている。接続路360は、貫通孔364を通じて+Z軸方向側の主インク室340に連通し、貫通孔368を通じて+Z軸方向側の副インク室380に連通する。これによって、接続路360は、副インク室380から主インク室340における検知領域346へのインクの逆流を防止する逆流防止部として機能する。
カートリッジ20における副インク室380は、図17、図18および図20に示すように、インクを収容可能な空間を形成する。図20に示すように、副インク室380は、複数のインク流路282の各々へと分岐して主インク室340と複数のインク流路282との間を連通し、複数のインク流路282の各々へとインクを流通可能に構成された分岐連通部として機能する。本実施形態の説明では、複数のインク流路282の各々を総称する場合には、符号「282」を使用する。複数のインク流路282のうちインク供給口280aに連通するインク流路を示す場合には、符号「282a」を使用し、複数のインク流路282のうちインク供給口280bに連通するインク流路を示す場合には、符号「282b」を使用する。
本実施形態では、副インク室380は、本体部材301、フィルム部材335およびフィルム部材386によって構成される。図17に示すように、副インク室380は、主インク室340における第1の領域341よりも−Z軸方向側かつ検知領域346よりも−X軸方向側であって、接続路360よりも+Z軸方向側に設けられている。
図20に示すように、副インク室380は、領域382と、領域383aと、領域383bと、領域384aと、領域384bとを有する。領域382には、貫通孔368が設けられている。領域384aには、インク流路282aが設けられ、領域384bには、インク流路282bが設けられている。領域383aは、領域382および領域384aよりも狭い流路を形成し、領域382と領域384aとの間を連通する。領域383bは、領域382および領域384bよりも狭い流路を形成し、領域382と領域384bとの間を連通する。
本実施形態では、副インク室380における領域384aの−X軸方向側は、本体部材301の隔壁部388aによって画定され、副インク室380における領域384bの−X軸方向側は、本体部材301の隔壁部388bによって画定されている。本実施形態では、カートリッジ20の仕様変更に応じて、領域384aおよび領域384bの容積を変更する場合には、本体部材301の一体成形に用いる金型(図示しない)における領域384aおよび領域384bを形成する入れ子(図示しない)の有無や、その位置をX軸に沿って調整することによって対応することができる。
例えば、図17および図18に示すように、本実施形態のカートリッジ20は、副インク室380における領域384a,384bの−X軸方向側は、本体部材301の隔壁部388a,388bによって画定されている。これに対し、隔壁部388a,388bを取り除いて副インク室380の容量を拡大した別のカートリッジをラインナップに加える場合を想定する。この場合、隔壁部388a,388bが無いカートリッジと、本実施形態のカートリッジ20とで、共通の基本金型を準備しておき、隔壁部388a,388bの無いカートリッジを製造する際には、基本金型の隔壁部388a,388bに対応する箇所に入れ子を追加することで、対応することができる。
カートリッジ20にインクを充填する場合には、まず、後工程でカートリッジ20の内部を減圧するために、本体部材301から左側面部材305を取り外した状態で、弁部材322の貫通孔322Hを外部から塞ぐ。その後、インク供給口280からカートリッジ20の内部を減圧する。この減圧は、2つのインク供給口280のうち一方を塞いだ状態で他方から減圧してもよいし、2つのインク供給口280の両方から減圧してもよい。カートリッジ20の内部を減圧した後、インク供給口280にインクを供給し、インク供給口280からカートリッジ20の内部へとインクを吸引させる。これによって、カートリッジ20における主インク室340、接続路360および副インク室380にインクが充填される。
主インク室340におけるインクは、図17および図20に矢印で示すように、検知領域346から連通路348を経て貫通孔364を通過し、接続路360へと流通する。接続路360におけるインクは、図17に矢印で示すように、貫通孔368を通過し、副インク室380へと流通する。副インク室380におけるインクは、図17、図18および図20に矢印で示すように、領域382から領域384aおよび領域384bへと分流する。領域384aにおけるインクは、インク流路282aを通過し、インク供給口280aからカートリッジ20の外部へと供給され、領域384bにおけるインクは、インク流路282bを通過し、インク供給口280bからカートリッジ20の外部へと供給される。
図21、図22および図23は、カートリッジ20の内圧を調整する様子を模式的に示す説明図である。図21に示すように、主インク室340がインクで十分に満たされた状態では、弁部材324の弁部324Vは、弾性部材326によって弁部材322に付勢され、弁部材322の貫通孔322Hを閉塞する。この状態で、弾性部材328は、主インク室340の容積を拡大する方向(+Y軸方向)に板部材325を付勢する。これによって、主インク室340の内圧は、大気圧よりも低い圧力(負圧)に維持される。
図22に示すように、主インク室340におけるインクが消費され、主インク室340の内圧が、図21の状態よりも低い圧力になると、板部材325は、フィルム部材335と共に−Y軸方向に変位し、弁部材324の梃子部324Lを−Y軸方向に押圧する。これに応じて、弁部材324の弁部324Vは、弁部材322の貫通孔322Hを開放し、主インク室340は、大気導入口209を通じて空気で満たされた空気領域310と一時的に連通する。これによって、主インク室340に空気が流入し、図23に示すように、主インク室340の容積は、図22の状態よりも大きくなり、主インク室340の内圧は、図22の状態よりも大気圧に近付く。図23に示すように、主インク室340にある程度の空気が流入すると、板部材325は、弁部材324の梃子部324Lから離間し、弁部材324の弁部324Vは、再び、弁部材322の貫通孔322Hを閉塞する。このように、カートリッジ20の内圧は、適切な圧力範囲に維持される。
A−4.他のカートリッジの詳細構成:
図24および図25は、他のカートリッジ20Sの構成を示す斜視図である。カートリッジ20Sの説明では、カートリッジ20の構成と同一または対応する構成については、カートリッジ20の構成を示す符号に「S」を付した符号を使用すると共に、説明を省略する。
カートリッジ20Sの構成は、カートリッジ20における+Y軸方向側の平面CXaを中心とする構成に対応する。カートリッジ20Sは、直方体を基調とした外殻200Sを備える。カートリッジ20Sは、外殻200Sを構成する6つの壁部として、第1面201Sと、第2面202Sと、第3面203Sと、第4面204Sと、第5面205Sと、第6面206Sとを有する。カートリッジ20Sは、第1面201Sと第3面203Sとの間に、第7面207Sおよび第8面208Sとを有する。
カートリッジ20Sの第1面201Sには、検出要素270Sと、インク供給口280Sと、供給口側係合部256S,258Sが設けられている。検出要素270Sの構成は、カートリッジ20の検出要素270と同様である。
カートリッジ20Sの第3面203Sには、基板側係止部210Sが設けられている。カートリッジ20Sの第4面204Sには、供給口側係止部220Sが設けられている。カートリッジ20Sの第5面205Sには、大気導入口209Sが設けられている。
カートリッジ20Sの第6面206Sには、ホルダー60における仕切板607に対応する位置に、陥没部240Sが設けられている。陥没部240Sは、第6面206Sにおける−Z軸方向側の外縁のうち−X軸方向寄りの部位を+Y軸方向へと陥没させた形状をなし、インク供給口280Sがインク供給管640に接続した状態で、仕切板607の+Y軸方向側の部位を受け入れ可能に構成されている。
カートリッジ20Sの第7面207Sには、基板側係合部252S,254Sが設けられている。カートリッジ20Sの第8面208Sには、回路基板40Sが設けられている。回路基板40Sの構成は、カートリッジ20の回路基板40と同様である。
図26は、他のカートリッジ20Sの構成を示す分解斜視図である。カートリッジ20Sは、外殻200Sを構成する部材として、本体部材301Sと、左側面部材305Sとを備える。本実施形態では、左側面部材305Sの構成は、カートリッジ20の左側面部材305と同様である。
カートリッジ20Sは、インク収容部300Sを画定する部材として、本体部材301Sの他、更に、フィルム部材335Sと、フィルム部材361Sとを備える。本実施形態では、フィルム部材335Sの構成は、カートリッジ20のフィルム部材335と同様である。本実施形態では、フィルム部材361Sの構成は、カートリッジ20のフィルム部材361と同様である。
カートリッジ20Sは、インク収容部300Sの内圧を調整する部材として、更に、弁部材322S,324Sと、板部材325Sと、弾性部材326S,328Sとを備える。本実施形態では、弁部材322Sは、カートリッジ20の弁部材322と同様である。本実施形態では、弁部材324Sは、カートリッジ20の弁部材324と同様である。本実施形態では、板部材325Sは、カートリッジ20の板部材325と同様である。本実施形態では、弾性部材326Sは、カートリッジ20の弾性部材326と同様である。本実施形態では、弾性部材328Sは、カートリッジ20の弾性部材328と同様である。
図27は、カートリッジ20Sの本体部材301Sの構成を示す左側面図である。図28は、図27の矢視F28−F28に対応する位置で切断したカートリッジ20Sを示す断面図である。図27および図28に示すように、カートリッジ20Sは、インク収容部300Sを構成する部位として、主インク室340Sと、接続路360Sと、副インク室380Sとを備える。
カートリッジ20Sの本体部材301Sは、本実施形態では、図26〜図28に示すように、第1面201S、第2面202S、第3面203S、第4面204S、第6面206S、基板側係止部210S、供給口側係止部220S、突出部260Sおよびインク供給口280Sなどの構造が一体成形された部材である。本体部材301Sは、これらの構造の他、弁収容部332Sと、中間壁336Sと、周縁凸部335adSとを有する。本実施形態では、本体部材301Sは、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリアセタール)で形成されている。
本体部材301の中間壁336Sは、図28に示すように、第6面206Sを構成すると共に、Z軸およびX軸に沿ってインク収容部300Sの−Y軸方向側を画定する壁部である。本実施形態では、中間壁336Sは、弾性部材328Sを保持する保持部338Sを有する。
本体部材301Sの周縁凸部335adSは、図27に示すように、本体部材301Sにおいてインク収容部300Sが+Y軸方向に向けて開口する部位の周縁に設けられ、+Y軸方向に凸状をなす。図27には、クロスハッチングを施して周縁凸部335adSを図示した。周縁凸部335adSには、フィルム部材335Sが密閉状態に接合される。
カートリッジ20Sにおける主インク室340Sは、図26〜図28に示すように、インクを収容可能な空間を形成する。本実施形態では、主インク室340Sは、本体部材301Sおよびフィルム部材335Sによって構成される。主インク室340Sは、収容領域341Sと、検知領域346Sと、連通路348Sとを有する。
主インク室340Sにおける収容領域341Sは、図27および図28に示すように、第5面205Sと第6面206Sとの間における+X軸方向側から−X軸方向側にわたって形成される。収容領域341Sには、負圧発生部材を協働して構成する板部材325Sおよび弾性部材328Sが配置されている。
図28に示すように、第5面205Sから第6面206SまでのY軸に沿ったカートリッジ20Sの長さW1Sと、収容領域341Sに配置された板部材325Sおよび弾性部材328SのY軸に沿った長さW2Sとの関係は、W2S<W1Sである。長さW2Sは、本体部材301Sの保持部338Sと、フィルム部材335Sとの間のY軸に沿った長さでもある。本実施形態では、長さW2Sは、収容領域341SのY軸に沿った長さでもある。本実施形態では、カートリッジ20Sにおける長さW2Sは、カートリッジ20における長さW2と同様である。
主インク室340Sにおける検知領域346Sは、主インク室340Sにおけるインクを検知可能に構成されている。図27に示すように、本実施形態では、検知領域346Sには、検出要素270Sのプリズム275Sが配置されており、検出要素270Sを用いて主インク室340Sにおけるインクを検知することが可能である。検知領域346Sは、保持部338Sよりも第3面203S寄りに形成されている。検知領域346Sは、収容領域341Sの−Z軸方向側に隣接し、収容領域341Sの一部を−Z軸方向に拡張した形状を有する。
主インク室340Sにおける連通路348Sは、検知領域346Sと接続路360Sとの間を連通する。図27に示すように、本実施形態では、連通路348Sは、検知領域346Sの−X軸方向側に隣接する。本実施形態では、連通路348Sは、貫通孔364Sを通じて−Z軸方向側の接続路360Sに連通する。
カートリッジ20Sにおける接続路360Sは、図27に示すように、インクを収容可能な空間を形成し、主インク室340Sと副インク室380Sとの間を連通する。本実施形態では、接続路360Sは、本体部材301Sおよびフィルム部材361Sによって構成される。接続路360Sは、主インク室340Sおよび副インク室380Sよりも−Z軸方向側に設けられている。接続路360Sは、貫通孔364Sを通じて+Z軸方向側の主インク室340Sに連通し、貫通孔368Sを通じて+Z軸方向側の副インク室380Sに連通する。これによって、接続路360Sは、副インク室380Sから主インク室340Sへのインクの逆流を防止する逆流防止部として機能する。
カートリッジ20Sにおける副インク室380Sは、図27に示すように、インクを収容可能な空間を形成し、主インク室340Sとインク流路282Sとの間を連通する。本実施形態では、副インク室380Sは、本体部材301S、フィルム部材335Sによって構成される。図27に示すように、副インク室380Sは、主インク室340Sにおける収容領域341Sよりも−Z軸方向側かつ検知領域346Sよりも−X軸方向側であって、接続路360Sよりも+Z軸方向側に設けられている。
カートリッジ20Sにインクを充填する場合には、カートリッジ20と同様に、弁部材322Sの貫通孔322HSを外部から塞いだ後、インク供給口280Sからカートリッジ20Sの内部を減圧する。その後、インク供給口280Sにインクを供給し、インク供給口280Sからカートリッジ20Sの内部へとインクを吸引させる。これによって、カートリッジ20Sにおける主インク室340S、接続路360Sおよび副インク室380Sにインクが充填される。
主インク室340Sにおけるインクは、図27に矢印で示すように、検知領域346Sから連通路348Sを経て貫通孔364Sを通過し、接続路360Sへと流通する。接続路360Sにおけるインクは、図27に矢印で示すように、貫通孔368Sを通過し、副インク室380Sへと流通する。副インク室380Sにおけるインクは、図27に矢印で示すように、インク流路282Sを通過し、インク供給口280Sからカートリッジ20Sの外部へと供給される。図21〜図23を用いて説明したように、カートリッジ20Sの内圧は、カートリッジ20と同様に、適切な圧力範囲に維持される。
A−5.効果:
以上説明した第1実施形態によれば、N個(N=2)のインク供給口280を備えるカートリッジ20では、図19に示すように、第5面205から第6面206までのY軸に沿った長さW1と、第5面205と第6面206との間に設けられた状態の負圧発生部材である弾性部材328のY軸に沿った長さW2との関係は、W2<W1/Nを満たすため、1つのインク供給口280に対応するY軸に沿った長さを有する他のカートリッジ20Sと、負圧発生部材である弾性部材328を共用化することができる。その結果、2つのインク供給口280を設けたカートリッジ20の低コスト化を図ることができる。
また、カートリッジ20では、図19に示すように、主インク室340は、負圧発生部材である弾性部材328が配置された第1の領域341と、Y軸に沿った長さがW1/Nよりも大きい第2の領域342とを含むため、主インク室340に配置される負圧発生部材である弾性部材328の共用化を図りつつ、主インク室340の容量を変更することができる。
また、カートリッジ20では、図19に示すように、第1の画定面であるフィルム部材335は、第1の領域341および第2の領域342にわたって第5面205に沿った形状をなし、第2の画定面である中間壁336は、第2の領域342に対応する部位が第6面206に向けて突出した形状をなす。そのため、第1の画定面であるフィルム部材335の共用化を図りつつ、主インク室340の容量を変更することができる。また、第2の画定面である中間壁336を金型で一体成形する場合には、第2の領域342に対応する金型の入れ子を変更することによって、金型の共用化を図ることができる。
また、カートリッジ20では、図17に示すように、第2の領域342は、主インク室340における第4面204寄り(−X軸方向側)に位置し、検知領域346は、主インク室340における第3面寄り(+X軸方向側)に位置する。すなわち、第2の領域342と検知領域346とがX軸方向に離れて位置するため、検知領域346におけるインクの検知への影響を抑制することができる。
また、カートリッジ20では、検知領域346が第1の領域341と隣接し、検知領域346に設けられた検出要素270のY軸に沿った長さPwと、第1の領域341のY軸に沿った長さCw1と、Y軸に沿ったカートリッジ20の長さW1との関係は、Pw≦Cw1≦W1/Nを満たす。そのため、Y軸に沿った長さがW1/Nよりも大きい第2の領域342に対して検知領域346が隣接する場合と比較して、検知領域346におけるインクの安定化を図ることができる。その結果、検知領域346におけるインクの誤検知を抑制することができる。特に、本実施形態では、検出要素270の長さPwと、第1の領域341の長さCw1とが大きく異ならないため、検知領域346におけるインクの誤検知を一層抑制することができる。
また、以上説明した第1実施形態によれば、カートリッジ20では、図20に示すように、主インク室340における検知領域346を通過した後のインクを、分岐連通部として機能する副インク室380によって各インク供給口280へと分流させるため、検知領域346におけるインクの状態と、各インク供給口280から供給可能なインクの残量との間の相関を確保することができる。その結果、検知領域346におけるインクの状態に応じて、各インク供給口280から供給可能なインクの残量検知の精度を向上させることができる。また、カートリッジ20では、逆流防止部として機能する接続路360によって、副インク室380から検知領域346に逆流したインクに起因するインクの残量の誤検知を防止することができる。
A−6.第1実施形態の変形例:
上述の実施形態のカートリッジ20では、インク収容部300における第1の領域341のY軸に沿った長さCw1が、弾性部材328のY軸に沿った長さW2よりも大きいが、長さCw1を長さW2と同じにしても良い。これによって、他のカートリッジ20Sとの基本金型の共通化を図ることが可能となる。
上述の実施形態のカートリッジ20では、検出要素270および接続路360を、平面CXaを横切る位置に設けたが、平面CXbを横切る位置に設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ20では、検知領域346におけるインクの検知に光学的な検出要素270を利用するが、機械的、電磁気的、熱的、音響的または化学的に検知する検出要素(センサーを含む)を利用してもよい。
上述の実施形態のカートリッジ20では、主インク室340と副インク室380との間に、逆流防止部として接続路360を設けたが、接続路360に加えて、または、接続路360に代えて、各種の逆止弁を逆流防止部として設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ20では、図19に示すように、主インク室340を第5面205寄りに設けたが、第6面206寄りに設けてもよいし、第5面205と第6面206との中間に設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ20では、図17に示すように、主インク室340における第2の領域342を第4面204寄りに、検知領域346を第3面203寄りにそれぞれ設けたが、第2の領域342を第3面203寄りに、検知領域346を第4面204寄りにそれぞれ設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ20では、第3面203における平面CXaを横切る位置に基板側係止部210を設けたが、第3面203における平面CXbを横切る位置に基板側係止部210を設けてもよいし、第3面203における平面CXaおよび平面CXbを横切る各位置に基板側係止部210をそれぞれ設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ20では、第8面208における平面CXaを横切る位置に回路基板40を設けたが、第8面208における平面CXbを横切る位置に回路基板40を設けてもよいし、第8面208における平面CXaおよび平面CXbを横切る各位置に回路基板40をそれぞれ設けてもよい。
B.第2実施形態:
図29は、第2実施形態におけるカートリッジ22の本体部材301を示す斜視図である。図30は、第2実施形態におけるカートリッジ22の本体部材301の構成を示す左側面図である。図31は、図30の矢視F31−F31に対応する位置で切断したカートリッジ22を示す断面図である。第2実施形態は、主インク室340に第2の領域342が設けられていないカートリッジ22を利用する点を除き、第1実施形態と同様である。また、第2実施形態には、第2の領域342が設けられていない点を除き、変形例も含め、第1実施形態と同様の構成を適用できる。第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
第2実施形態のカートリッジ22は、図29〜図31に示すように、中間壁336に突出部336pが形成されておらず、主インク室340に第2の領域342が設けられていない点を除き、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。図30の矢視F20−F20に対応する位置で切断したカートリッジ22の断面形状は、図20に示した第1実施形態のカートリッジ20の断面形状と同様である。
図31に示すように、第5面205から第6面206までのY軸に沿ったカートリッジ22の長さW1と、第1の領域341に配置された板部材325および弾性部材328のY軸に沿った長さW2との関係は、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、W2<W1/Nを満たす(Nは、インク供給口280の個数)。すなわち、インク供給口280の個数が2つであるカートリッジ22では、W2<W1/2を満たす。
本実施形態では、第1の領域341のY軸に沿った長さCw1は、W1/N、すなわち、W1/2よりも小さい。他の実施形態では、第1の領域341の長さCw1は、W1/N以上であってもよい。本実施形態では、長さCw1は、長さW2よりも大きい。
以上説明した第2実施形態によれば、N個(N=2)のインク供給口280を備えるカートリッジ22では、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、図31に示すように、1つのインク供給口280に対応するY軸に沿った長さを有する他のカートリッジ20Sと、負圧発生部材である弾性部材328を共用化することができる。その結果、2つのインク供給口280を設けたカートリッジ22の低コスト化を図ることができる。また、これ以外にも、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、変形例を適用した場合は第1実施形態に変形例を適用した場合と同様の効果を得ることが可能である。
C.第3実施形態:
図32は、第3実施形態におけるカートリッジ23の構成を示す底面図である。第3実施形態は、3つのインク供給口280を備えるカートリッジ23を利用する点を除き、第1実施形態と同様である。第3実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
第3実施形態のカートリッジ23は、3つのインク供給口280を備える。第3実施形態では、ホルダー60における相互に隣り合う3つのスロットSLに対して、1つのカートリッジ23を装着することが可能である。図32に示すように、第3実施形態におけるカートリッジ23の第1面201には、3つのインク供給口280が設けられている。
本実施形態の説明では、カートリッジ23における3つのインク供給口280の各々を総称する場合には、符号「280」を使用する。3つのインク供給口280の並びの+Y軸方向側の端に位置するインク供給口を示す場合には、符号「280a」を使用する。3つのインク供給口280の並びの中央に位置するインク供給口を示す場合には、符号「280b」を使用する。3つのインク供給口280の並びの−Y軸方向側の端に位置するインク供給口を示す場合には、符号「280c」を使用する。
図32に示す中心軸Caは、カートリッジ23がホルダー60に装着された装着状態で、インク供給口280aに接続されるインク供給管640の中心軸Cに対応し、本実施形態では、インク供給口280aの中心軸でもある。図32に示す平面CXaは、中心軸Caを通り、かつ、Z軸およびX軸に平行な平面である。すなわち、平面CXaは、インク供給口280aのY軸に沿った長さの中央を通りY軸に直交する平面でもある。
図32に示す中心軸Cbは、カートリッジ23がホルダー60に装着された装着状態で、インク供給口280bに接続されるインク供給管640の中心軸Cに対応し、本実施形態では、インク供給口280bの中心軸でもある。図32に示す平面CXbは、中心軸Cbを通り、かつ、Z軸およびX軸に平行な平面である。すなわち、平面CXbは、インク供給口280bのY軸に沿った長さの中央を通りY軸に直交する平面でもある。
図32に示す中心軸Ccは、カートリッジ23がホルダー60に装着された装着状態で、インク供給口280cに接続されるインク供給管640の中心軸Cに対応し、本実施形態では、インク供給口280cの中心軸でもある。図32に示す平面CXcは、中心軸Ccを通り、かつ、Z軸およびX軸に平行な平面である。すなわち、平面CXcは、インク供給口280bのY軸に沿った長さの中央を通りY軸に直交する平面でもある。
第3実施形態では、カートリッジ23の第1面201には、インク供給口280aとインク供給口280bとの間に溝部240abが設けられ、インク供給口280bとインク供給口280cとの間に溝部240bcが設けられている。溝部240abおよび溝部240bcは、第1実施形態の溝部240と同様に、ホルダー60における仕切板607に対応する位置に設けられ、第1面201よりも+Z軸方向側へと凹設され、インク供給口280がインク供給管640に接続した状態で仕切板607の挿入を受け入れ可能に構成されている。
第3実施形態では、カートリッジ23の第1面201には、平面CXaを横切る位置に検出要素270aが設けられている。第3実施形態における検出要素270aの構成は、配置が異なる点を除き、第1実施形態の検出要素270と同様である。第3実施形態では、検出要素270aに対応して、平面CXaを横切る位置に接続路360が設けられている。
第3実施形態では、カートリッジ23の第3面203には、平面CXaを横切る位置に基板側係止部210aが設けられている。第3実施形態における基板側係止部210aの構成は、配置が異なる点を除き、第1実施形態の基板側係止部210と同様である。
第3実施形態では、カートリッジ23の第4面204には、平面CXaを横切る位置に供給口側係止部220aが設けられ、平面CXcを横切る位置に供給口側係止部230cが設けられている。第3実施形態における供給口側係止部220aの構成は、配置が異なる点を除き、第1実施形態の供給口側係止部220と同様である。第3実施形態における供給口側係止部230cの構成は、配置が異なる点を除き、第1実施形態の供給口側係止部230と同様である。
第3実施形態では、カートリッジ23の第8面208には、平面CXaを横切る位置に回路基板40aが設けられている。第5実施形態における回路基板40aの構成は、配置が異なる点を除き、第1実施形態の回路基板40と同様である。
第3実施形態におけるカートリッジ23の内部構成は、副インク室380が、3つのインク供給口280に対応する複数のインク流路282の各々へと分岐して主インク室340と複数のインク流路282との間を連通する分岐連通部として機能する点を除き、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。第3実施形態におけるカートリッジ23は、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、副インク室380から主インク室340へのインクの逆流を防止する逆流防止部として機能する接続路360を備える。
以上説明した第3実施形態によれば、N個(N=3)のインク供給口280を備えるカートリッジ23では、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、1つのインク供給口280に対応するY軸に沿った長さを有する他のカートリッジ20Sと、負圧発生部材である弾性部材328を共用化することができる。その結果、3つのインク供給口280を設けたカートリッジ23の低コスト化を図ることができる。また、これ以外にも、第1実施形態と同様の構成が採用されている部分については、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
第3実施形態の変形例として、インク供給口280aとインク供給口280cとの間に、インク供給口280bと同様に、2つ以上のインク供給口280を溝部240と共に設け、4つ以上のインク供給口280を備えるカートリッジを構成してもよい。また、インク供給口280aの+Y軸方向側、およびインク供給口280cの−Y軸方向側、の少なくとも一方に、1つ以上のインク供給口280を溝部240と共に設け、4つ以上のインク供給口280を備えるカートリッジを構成してもよい。
上述の実施形態のカートリッジ23では、第1面201における平面CXaを横切る位置に検出要素270aを設けたが、第1面201における平面CXbを横切る位置に検出要素270を設けてもよいし、第1面201における平面CXcを横切る位置に検出要素270を設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ23では、第3面203における平面CXaを横切る位置に基板側係止部210aを設けたが、第3面203における平面CXbを横切る位置に基板側係止部210を設けてもよいし、第3面203における平面CXcを横切る位置に基板側係止部210を設けてもよいし、第3面203における平面CXa、平面CXbおよび平面CXcを横切る各位置に基板側係止部210をそれぞれ設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ23では、第4面204における平面CXbを横切る位置には供給口側係止部230を設けていないが、第4面204における平面CXbを横切る位置に供給口側係止部230を設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ23では、第8面208における平面CXaを横切る位置に回路基板40aを設けたが、第8面208における平面CXbを横切る位置に回路基板40を設けてもよいし、第8面208における平面CXcを横切る位置に回路基板40を設けてもよいし、第8面208における平面CXa、平面CXbおよび平面CXcを横切る各位置に回路基板40をそれぞれ設けてもよい。
D.第4実施形態:
図33は、第4実施形態におけるカートリッジ24の構成を示す底面図である。第4実施形態は、3つのインク供給口280を備えるカートリッジ24を利用する点を除き、第1実施形態と同様である。第4実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
第4実施形態のカートリッジ24は、3つのインク供給口280を備える。第4実施形態では、ホルダー60における相互に隣り合う3つのスロットSLに対して、1つのカートリッジ24を装着することが可能である。図33に示すように、第4実施形態におけるカートリッジ24の第1面201には、3つのインク供給口280が設けられている。
本実施形態の説明では、カートリッジ24における3つのインク供給口280の各々を総称する場合には、符号「280」を使用する。3つのインク供給口280の並びの+Y軸方向側の端に位置するインク供給口を示す場合には、符号「280a」を使用する。3つのインク供給口280の並びの中央に位置するインク供給口を示す場合には、符号「280b」を使用する。3つのインク供給口280の並びの−Y軸方向側の端に位置するインク供給口を示す場合には、符号「280c」を使用する。図32に示す中心軸Ca,Cb,Ccおよび平面CXa,CXb、Cxcは、第4実施形態と同様である。
第4実施形態では、第3実施形態と同様に、カートリッジ24の第1面201には、インク供給口280aとインク供給口280bとの間に溝部240abが設けられ、インク供給口280bとインク供給口280cとの間に溝部240bcが設けられている。溝部240abおよび溝部240bcは、第1実施形態の溝部240と同様に、ホルダー60における仕切板607に対応する位置に設けられ、第1面201よりも+Z軸方向側へと凹設され、インク供給口280がインク供給管640に接続した状態で仕切板607の挿入を受け入れ可能に構成されている。
第4実施形態では、カートリッジ24の第1面201には、平面CXbを横切る位置に検出要素270bが設けられている。第4実施形態における検出要素270bの構成は、配置が異なる点を除き、第1実施形態の検出要素270と同様である。第4実施形態では、検出要素270bに対応して、平面CXbを横切る位置に接続路360が設けられている。
第4実施形態では、カートリッジ24の第3面203には、平面CXbを横切る位置に基板側係止部210bが設けられている。第4実施形態における基板側係止部210bの構成は、配置が異なる点を除き、第1実施形態の基板側係止部210と同様である。
第4実施形態では、カートリッジ24の第4面204には、平面CXaを横切る位置に供給口側係止部230aが設けられ、平面CXcを横切る位置に供給口側係止部230cが設けられている。第4実施形態における供給口側係止部230aおよび供給口側係止部230cの構成は、配置が異なる点を除き、第1実施形態の供給口側係止部230と同様である。
第4実施形態では、カートリッジ24の第8面208には、平面CXbを横切る位置に回路基板40bが設けられている。第4実施形態における回路基板40bの構成は、配置が異なる点を除き、第1実施形態の回路基板40と同様である。
第4実施形態におけるカートリッジ24の内部構成は、副インク室380が、3つのインク供給口280に対応する複数のインク流路282の各々へと分岐して主インク室340と複数のインク流路282との間を連通する分岐連通部として機能する点を除き、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。第4実施形態におけるカートリッジ24は、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、副インク室380から主インク室340へのインクの逆流を防止する逆流防止部として機能する接続路360を備える。
以上説明した第4実施形態によれば、N個(N=3)のインク供給口280を備えるカートリッジ24では、第1実施形態のカートリッジ20と同様に、1つのインク供給口280に対応するY軸に沿った長さを有する他のカートリッジ20Sと、負圧発生部材である弾性部材328を共用化することができる。その結果、3つのインク供給口280を設けたカートリッジ24の低コスト化を図ることができる。また、これ以外にも、第1実施形態と同様の構成が採用されている部分については、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
第4実施形態の変形例として、インク供給口280aとインク供給口280bとの間、およびインク供給口280bとインク供給口280cとの間、の少なくとも一方に、1つ以上のインク供給口280を溝部240と共に設け、4つ以上のインク供給口280を備えるカートリッジを構成してもよい。また、インク供給口280aの+Y軸方向側、およびインク供給口280cの−Y軸方向側、の少なくとも一方に、1つ以上のインク供給口280を溝部240と共に設け、4つ以上のインク供給口280を備えるカートリッジを構成してもよい。
上述の実施形態のカートリッジ24では、第1面201における平面CXbを横切る位置に検出要素270bを設けたが、第1面201における平面CXaを横切る位置に検出要素270を設けてもよいし、第1面201における平面CXcを横切る位置に検出要素270を設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ24では、第3面203における平面CXbを横切る位置に基板側係止部210bを設けたが、第3面203における平面CXaを横切る位置に基板側係止部210を設けてもよいし、第3面203における平面CXcを横切る位置に基板側係止部210を設けてもよいし、第3面203における平面CXa、平面CXbおよび平面CXcを横切る各位置に基板側係止部210をそれぞれ設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ24では、第4面204における平面CXbを横切る位置には供給口側係止部220を設けていないが、第4面204における平面CXbを横切る位置に供給口側係止部220を設けてもよい。
上述の実施形態のカートリッジ24では、第8面208における平面CXbを横切る位置に回路基板40bを設けたが、第8面208における平面CXaを横切る位置に回路基板40を設けてもよいし、第8面208における平面CXcを横切る位置に回路基板40を設けてもよいし、第8面208における平面CXa、平面CXbおよび平面CXcを横切る各位置に回路基板40をそれぞれ設けてもよい。
E.変形例:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
E−1.カートリッジの外観の変形例:
図34Aおよび図34Bは、カートリッジの外観の変形例を示す説明図である。図34Aおよび図34Bには、カートリッジの外観についての2つの異なる変形例を図示した。これらの変形例の説明では、第1実施形態のカートリッジ20と同様の構成については、同一符号を付すと共に、説明を省略する。
図34Aのカートリッジ20aの外殻は、楕円形または長円形の側面を有している。カートリッジ20aの正面側には、基板側係止部210および回路基板40が設けられている。カートリッジ20aの底面側には、インク供給口280が形成されている。カートリッジ20aの背面側には、供給口側係止部220,230が形成されている。カートリッジ20aを正面側から見ると、カートリッジ20aは一定の幅を有している。
図34Bのカートリッジ20bは、第2面202と第3面203との交わる部位を切り欠いた形状を有する点、および、第1面201を第8面208へと傾斜させて第7面207を省略した点を除き、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。
図34Aおよび図34Bの各変形例のカートリッジ20a,20bにはいずれも、基板側係止部210、供給口側係止部220,230、インク供給口280および回路基板40の各々が、第1実施形態のカートリッジ20に対応する位置に設けられている。これによって、各変形例のカートリッジ20a,20bはいずれも、第1実施形態のカートリッジ20との互換性を有する。
図34Aおよび図34Bの各変形例から理解できるように、カートリッジの外形の形状には、種々の変形例が考えられる。カートリッジの外形の形状が略直方体以外の形状を有している場合にも、例えば、図34Aおよび図34Bに点線で示したように、略直方体の6つの面、すなわち、図7および図8に示した第1面(底面)201、第2面(上面)202、第3面(正面)203、第4面(背面)204、第5面(左側面)205および第6面(右側面)206を、仮想的に考えることが可能である。本明細書では、「面」(プレーン)という用語を、このような仮想的な面(仮想面、非実在面とも呼ぶ)と、図7や図8に記載したような実在面と、の両方を包含した意味で使用する。また、本明細書では、「面」という用語を、平面と曲面の両方を包含した意味で使用する。
E−2.アダプターを使用した第1のカートリッジ:
図35は、アダプターを使用したカートリッジ20iの構成を示す斜視図である。カートリッジ20iは、アダプター20iaと収容部材20ibとに分離可能に構成されている。収容部材20ibは、印刷材を収容するインク収容部300を有する。インク収容部300から印刷材が無くなった場合、収容部材20ibを新しいものに交換するか、インク収容部300に印刷材を補給することが可能である。収容部材20ibの交換や、印刷材の補給を行う際には、アダプター20iaを再利用することが可能である。図35のカートリッジ20iは、図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と互換性を有する。
カートリッジ20iの外殻200iは、アダプター20iaの外殻と、収容部材20ibの外殻との組み合わせによって構成される。収容部材20ibは、インク収容部300に加え、インク流路282および漏出防止部材284を有する。
カートリッジ20iの収容部材20ibは、カートリッジ20iの第2面202に相当する第2面202iを備える。収容部材20ibは、カートリッジ20iの第1面201、第3〜第8面203〜208にそれぞれ対応する第1面201i、第3面203i、第4面204i、第5面205i、第6面206i、第7面207iおよび第8面208iを備える。
第1面201iおよび第2面202iは、相互にZ軸方向において対向しており、第1面201iが−Z軸方向側、第2面202iが+Z軸方向側に位置する。第3面203iおよび第4面204は、相互にX軸方向において対向しており、第3面203iが+X軸方向側、第4面204iが−X軸方向側に位置する。第5面205iおよび第6面206iは、相互にY軸方向において対向しており、第5面205iが+Y軸方向側、第6面206iが−Y軸方向側に位置する。第7面207iおよび第8面208iは、第1面201iと第3面203iとを繋ぐ接続面を形成する。
第1面201iには、アダプター20iaに設けられた2つのインク供給口280にインクを供給するための2つの収容部材側供給口280iが設けられている。2つの収容部材側供給口280iには、それぞれ漏出防止部材284が設けられている。2つの収容部材側供給口280iの間には、溝部240を構成するための凹部240ibが設けられている。凹部240ibは、第1面201iよりも+Z軸方向側へ凹設されている。
第7面207iは、第1面201iと直角に交わる面である。第7面207iは、Y軸およびZ軸に平行な面(YZ平面)である。段差面としての第7面207iは、第1面201iに対し立設された面である。すなわち、第7面207iは、第1面201iから+Z軸方向に延びる面である。第7面207iは、第8面208iに対して−X軸方向側かつ−Z軸方向側に位置する。
第8面208iは、第7面207iと第3面203iとを繋ぐ面である。第8面208iは、+X軸方向と−Z軸方向の成分を含む方向を向いて傾斜した斜面である。第8面208iは、第1面201iおよび第3面203iに対して傾斜した面である。第8面208iは、第5面205iおよび第6面206iと直角に交わる面である。第8面208iは、XY平面およびYZ平面に対して傾斜しており、XZ平面に対して直角に交わる。
カートリッジ20iのアダプター20iaは、カートリッジ20iの第1面201、第3面203、第4面204、第5面205、第6面206、第7面207および第8面208にそれぞれ相当する面を備える。アダプター20iaの面のうち、カートリッジ20iの第2面202に相当する面は、開口となっている。アダプター20iaの内部には、収容部材20ibを受け入れる空間が形成されている。アダプター20iaの第1面201には、インク供給口280が設けられている。
第1面201における2つのインク供給口280の間には、溝部240を構成するためのスリット240iaが設けられている。アダプター20iaの第1面201に設けられたスリット240iaと、収容部材20ibに設けられた凹部240ibは、いずれも、ホルダー60における仕切板607に対応する位置に設けられている。そして、アダプター20iaの第1面201に設けられたスリット240iaと、収容部材20ibに設けられた凹部240ibとの組み合わせによって、溝部240が形成される。よって、インク供給口280がインク供給管640に接続した状態で、仕切板607を溝部240に受け入れることができる。
図35のカートリッジ20iの構成は、上述したように、アダプター20iaと収容部材20ibとに分離可能である点を除き、変形例を含め図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と同様である。すなわち、インク供給口280がアダプター20ia側に設けられている点を除き、収容部材20ib内のインク収容部の構成は、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。なお、他の実施形態や他の変形例において、図35のカートリッジ20iのように、収容部材とアダプターとに分離可能な構成を適用してもよい。なお、図35のカートリッジ20iにおける各部の寸法や比率は、第1実施形態と異なる部位もあるが、第1実施形態と同様の寸法や比率にしてもよい。
E−3.アダプターを使用した第2のカートリッジ:
図36は、アダプターを使用したカートリッジ20kの構成を示す斜視図である。カートリッジ20kは、アダプター20kaと収容部材20kbとに分離可能に構成されている。収容部材20kbは、印刷材を収容するインク収容部300を有する。インク収容部300から印刷材が無くなった場合、収容部材20kbを新しいものに交換するか、インク収容部300に印刷材を補給することが可能である。収容部材20kbの交換や、印刷材の補給を行う際には、アダプター20kaを再利用することが可能である。図36のカートリッジ20kは、図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と互換性を有する。
カートリッジ20kの外殻200kは、アダプター20kaの外殻と、収容部材20kbの外殻との組み合わせによって構成される。収容部材20kbは、インク収容部300およびインク供給口280を有する。
カートリッジ20kの収容部材20kbは、カートリッジ20kの第2面202および第6面206にそれぞれ相当する第2面202kおよび第6面206kを備える。収容部材20kbは、カートリッジ20kの第1面201、第3面203、第4面204、第5面205、第7面207および第8面208にそれぞれ対応する第1面201k、第3面203k、第4面204k、第5面205k、第7面207kおよび第8面208kを備える。
第1面201kおよび第2面202kは、相互にZ軸方向において対向しており、第1面201kが−Z軸方向側、第2面202kが+Z軸方向側に位置する。第3面203kおよび第4面204kは、相互にX軸方向において対向しており、第3面203kが+X軸方向側、第4面204kが−X軸方向側に位置する。第5面205kおよび第6面206kは、相互にY軸方向において対向しており、第5面205kが+Y軸方向側、第6面206kが−Y軸方向側に位置する。第7面207kおよび第8面208kは、第1面201kと第3面203kとを繋ぐ接続面を形成する。
第1面201kにおける2つのインク供給口280の間には、溝部240を構成するための凹部240kbが設けられている。凹部240kbは、第1面201kよりも+Z軸方向側へ凹設されている。
第7面207kは、第1面201kと直角に交わる面である。第7面207kは、Y軸およびZ軸に平行な面(YZ平面)である。段差面としての第7面207kは、第1面201kに対し立設された面である。すなわち、第7面207kは第1面201kから+Z軸方向に延びる面である。第7面207kは第8面208kに対して−X軸方向側かつ−Z軸方向側に位置する。
第8面208kは、第7面207kと第3面203kとを繋ぐ面である。第8面208kは、+X軸方向と−Z軸方向の成分を含む方向を向いて傾斜した斜面である。第8面208kは、第1面201kおよび第3面203kに対して傾斜した面である。第8面208kは、第5面205kおよび第6面206kと直角に交わる面である。第8面208kは、XY平面およびYZ平面に対して傾斜しており、XZ平面に対して直角に交わる。
カートリッジ20kのアダプター20kaは、カートリッジ20kの第1面201、第3面203、第4面204および第5面205に相当する面を備えている。アダプター20kaの面のうち、カートリッジ20kの第2面202および第6面206に相当する面は、開口となっている。アダプター20kaの内部には、収容部材20kbを受け入れる空間が形成されている。アダプター20kaは、第1面201の一部に開口を有し、その開口を通して、収容部材20kbのインク供給口280を露出させてインク供給管640に接続させる。
第1面201における2つのインク供給口280の間に相当する位置、すなわち、収容部材20kbの第1面201kに設けられた凹部240kbに対応する位置には、溝部240を構成するためのスリット240kaが設けられている。アダプター20kaの第1面201に設けられたスリット240kaと、収容部材20kbに設けられた凹部240kbは、いずれも、ホルダー60における仕切板607に対応する位置に設けられている。そして、アダプター20kaの第1面201に設けられたスリット240kaと、収容部材20kbに設けられた凹部240kbとの組み合わせによって、溝部240が形成される。よって、インク供給口280がインク供給管640に接続した状態で、仕切板607を溝部240に受け入れることができる。
図36のカートリッジ20kの構成は、上述したように、アダプター20kaと収容部材20kbとに分離可能である点を除き、変形例を含め図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と同様である。すなわち、収容部材20kb内のインク収容部の構成は、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。なお、他の実施形態や他の変形例において、図36のカートリッジ20kのように、収容部材とアダプターとに分離可能な構成を適用してもよい。なお、図36のカートリッジ20kにおける各部の寸法や比率は、第1実施形態と異なる部位もあるが、第1実施形態と同様の寸法や比率にしてもよい。
E−4.アダプターを使用した第3のカートリッジ:
図37は、アダプターを使用したカートリッジ20mの構成を示す斜視図である。カートリッジ20mは、アダプター20maと、収容部材20mbと、外部タンク20mTと、チューブ20mLとを備える。カートリッジ20mのアダプター20maは、変形例も含め、図34のアダプター20kaと同様の構成である。カートリッジ20mの収容部材20mbは、インク収容部300にチューブ20mLが接続されている点を除き、変形例も含め、図34の収容部材20kbと同様の構成である。
カートリッジ20mの外部タンク20mTは、印刷材(インク)を内部に収容する。本実施形態では、外部タンク20mTは、図1に示すプリンター50の外部に設置される。外部タンク20mTの印刷材は、チューブ20mLを介して収容部材20mbのインク収容部300に供給される。外部タンク20mTから印刷材が無くなった場合、外部タンク20mTを新しいものに交換するか、外部タンク20mTに印刷材を補給することが可能である。外部タンク20mTの交換や、印刷材の補給を行う際には、アダプター20maおよび収容部材20mbを再利用することが可能である。図37のカートリッジ20mは、図7に示した第1実施形態のカートリッジ20と互換性を有する。すなわち、収容部材20mb内のインク収容部の構成は、第1実施形態のカートリッジ20と同様である。なお、他の実施形態や他の変形例において、図37のカートリッジ20mのように、外部タンクから印刷材を供給可能な構成を適用してもよい。
E−5.回路基板および端子配列の変形例:
上述した実施形態では、カートリッジ20に回路基板40が設けられているが、他の実施形態では、カートリッジ20に回路基板40が設けられていなくてもよい。すなわち、第8面208上に直接的にカートリッジ側端子430を形成してもよい。この場合、カートリッジ側斜面408は、第8面208の一部となる。
また、回路基板40に形成されていた回路構成の少なくとも一部を、第8面208以外の面に設けてもよい。例えば、回路基板40よりも面積が大きいフレキシブルプリント基板上に、回路基板40に形成されていたカートリッジ側端子430を含む回路構成を設け、フレキシブルプリント基板を折り曲げて、第8面上にカートリッジ側端子430が配置されるようにし、第8面と隣接する第5面205上に他の回路構成が配置されるようにしてもよい。また、カートリッジ側端子および装置側端子の配列は、2列ではなく、1列であってもよいし、3列以上であってもよい。
E−6.ホルダーの変形例:
図38は、変形例におけるホルダー60Aの構成を示す斜視図である。ホルダー60Aは、端子台70およびレバー80が設けられたスロットSLと、端子台70およびレバー80が省略されたスロットSLとが交互に配置されている点を除き、第1実施形態のホルダー60と同様である。ホルダー60Aには、第1実施形態のホルダー60と同様に、6つのスロットSLが構成され、各スロットSLに1つのインク供給管640が設けられている。
ホルダー60Aには、第1実施形態のカートリッジ20(図7)、第2実施形態のカートリッジ22(図29〜図31)を装着可能に構成されている。ホルダー60Aでは、端子台70およびレバー80が省略されたスロットSLには、第1実施形態のカートリッジ20S(図24)をホルダー60Aに装着することができない。
図38のホルダー60Aはホルダーの一例であり、他の実施形態や他の変形例のホルダーにおいて、図38のホルダー60Aのように、カートリッジとの関係で必要とされない端子台70およびレバー80の少なくとも一方を省略した構成を適用してもよい。また、同様の観点から、他の実施形態や他の変形例のホルダーにおいて、カートリッジとの関係で必要とされない供給管側係止部620を省略した構成を適用してもよい。
E−7.内圧調整機構および負圧発生部材の変形例:
上記実施形態では、所定のタイミングでインク収容部300に大気を導入する弁機構(弁部材322,324,弾性部材326)と負圧発生部材(板部材325,弾性部材328)との組み合わせによって、インク収容部300の内圧を調節していたが、内圧調整機構ならびに負圧発生部材の構成は、このような形態に限られない。たとえば、上記実施形態で説明したような弁機構および負圧発生部材の代わりに、特許文献 特開平10−95129号公報に開示されているような連続多孔質部材による負圧発生部材をインク収容部300内に収容することで、インク収容部の内圧を調整するようにしても良い。また、上記実施形態で説明したような弁機構の代わりに、特許文献 特開2005−170027号公報に開示されているような大気流路開閉弁を採用しても構わない。
F.他の実施形態:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
例えば、記憶装置に代えて、他の電気デバイスをカートリッジに搭載してもよい。また、上述した実施形態における各種の部材は、それぞれ独立した部材として構成する必要はなく、必要に応じて複数の部材を一体の部材として構成してもよい。また、上述した実施形態における一体の部材を、複数の部材の組み合わせによって構成してもよい。
本発明は、インクジェットプリンターおよびそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の液体噴射装置およびその液体収容容器にも適用することができる。例えば、以下のような各種の液体噴射装置およびその液体収容容器に適用可能である。
・ファクシミリ装置等の画像記録装置
・液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射装置
・有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置
・バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置
・精密ピペットとしての試料噴射装置
・潤滑油の噴射装置
・樹脂液の噴射装置
・時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置
・光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置
・基板などをエッチングするために酸性またはアルカリ性のエッチング液を噴射する液体噴射装置
・他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置
なお、「液滴」とは、液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状の液体、涙状の液体の他、糸状に尾を引く液体も含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であればよく、粘性の高いまたは低い液状態の材料、および、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶などが挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク、ならびにジェルインク、ホットメルトインクなどの各種の液体状組成物を包含するものとする。