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JP5942589B2 - インクジェット記録装置用洗浄液兼充填液、該洗浄兼充填液を収容したカートリッジ及びインクジェット記録装置の洗浄方法 - Google Patents

インクジェット記録装置用洗浄液兼充填液、該洗浄兼充填液を収容したカートリッジ及びインクジェット記録装置の洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録装置の洗浄液兼充填液、該洗浄兼充填液を収容したカートリッジ及び該洗浄液兼充填液を用いたインクジェット記録装置の洗浄方法に関する。
インクジェット記録装置は、通常、検査インク等での印字確認(吐出確認)を行った上で出荷されるため、印字検査後の洗浄に残存したインクを洗浄する必要があり、このような洗浄に使用される洗浄液としては、インク経路への濡れ性・洗浄力が必要とされ、濡れ性・洗浄性を確保する目的で、従来から界面活性剤を添加した洗浄液が用いられてきた。
しかし、従来の界面活性剤を含有する洗浄液では、界面活性剤を含有するために泡立ちやすく、洗浄時に泡によるトラブルが発生したり、出荷後の装置内に微量に残る洗浄液により、インクの初期充填不良が発生するという問題があった。また界面活性剤の種類によっては、インク流路中の部材を劣化させたり、金属部材を腐食させたり、更には、装置内に微量に残る印字検査インクとの相溶性が悪く、吐出不良を起こすこともあった。またインクを吐出するヘッドには通常撥インク処理がほどこされているが、これらの撥インク性を低下させる不具合もあった。
泡によるトラブルに関しては、起泡性の低い界面活性剤を使用する洗浄液も提案されており、特許文献1では、特定の構造のポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルを含有する洗浄液を用いることで、かなり起泡性を抑えることができ、また検査インク等との相溶性も確保できるものであるが、洗浄効率という点ではまだ不十分である。また、再充填されるインクによっては、抑泡性が不十分であるため、再充填性という観点では問題は解消できていない。しかも、この洗浄液組成では金属部に微小な腐食が進行することがあり、ヘッドなどの耐久性の低下という問題が発生する場合がある。
また、特許文献2では、25℃おける水への溶解度が1%未満であるエチンジオール系非イオン性界面活性剤を使用することで、泡立ちにくく、耐凍結性を確保できるものであるが、洗浄効率、顔料との相溶性の点でまだ不十分であり、しかも、洗浄液自身の表面張力が28〜40nN/mであり、より表面張力の低いインクに対する洗浄性を十分確保できない場合がある。
本発明は、上記従来技術に鑑みなされたもので、泡立ちが少なく、濡れ性と洗浄性に優れるとともに、印字検査に顔料インクが使用された場合においても、該インクとの相溶性に優れ、インクを再充填した際に吐出不良を起こさないインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液を提供することを目的とする。また、該洗浄液兼充填液を用いて高い洗浄効率と再充填性を両立できる洗浄方法および該洗浄方法に使用する洗浄液兼充填液を収容したカートリッジを提供することを目的とする。
本発明は、特定の構造を持つフッ素系界面活性剤と、特定の構造を持つアセチレングリコール系界面活性剤を併用することで、洗浄液の表面張力を下げ、インク流路部材への濡れ性を向上させて洗浄性を高めるとともに、低起泡性・抑泡性となり洗浄効率が向上し、さらに、インク中の色材との相溶性が向上し、インクの再充填後の吐出安定性が向上することを見出し、上記課題を解決したものである。
したがって、上記課題は、本発明の
(1)「少なくとも水溶性有機溶剤、界面活性剤および水を含むインクジェット記録用洗浄液兼充填液であって、前記界面活性剤が少なくともフッ素系界面活性剤及びアセチレングリコール系界面活性剤を含み、前記フッ素系界面活性剤が下記一般式(1)で示される化合物の少なくとも1種類であり、アセチレングリコール系界面活性剤が下記一般式(2)で示される化合物の少なくとも1種類であることを特徴とするインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
(式中、nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。Yは−C2b+1または−CHCH(OH)CH−C2d+1を示し、bは11〜19の整数を示し、dは2〜6の整数を示す)
(式中、m及びn互いに独立し、m+nは0〜30の数を表す。)
(2)「前記一般式(2)の化合物のm+nが0〜10であることを特徴とする前記第(1)項に記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液」、
(3)「前記一般式(1)で表される界面活性剤が、
前記一般式(1)で表される界面活性剤が、
−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)21−C1225
−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)25−C1225
−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)35−CHCH(OH)CH−C
および
−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)45−CHCH(OH)CH−C
の少なくとも1種であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液」、
(4)「水溶性有機溶剤が、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上の水溶性有機溶剤の少なくとも1種であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液」、
(5)「前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載のインクジェット記録用洗浄液を容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ」、
(6)「インク供給路にインクが充填されたインクジェット記録装置に対し、前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液を通液して洗浄するインクジェット記録装置の洗浄方法」、
により達成される。
本発明は、少なくとも水溶性有機溶剤、界面活性剤および水を含むインクジェット記録用洗浄液兼充填液において、界面活性剤として、特定のフッ素系界面活性剤と特定のアセチレングリコール系界面活性剤を併用することにより、インク流路部材への濡れ性を改善するとともに、低起包性・抑包性となって洗浄性及び洗浄効率を向上させ、さらに、インク中の色材成分との相溶性を向上させて、インクの再充填後の吐出安定性を向上できるものである。
インクジェット記録装置の洗浄液としての必要な特性は、インク流路内の異物を剥離し押し流す洗浄能力が高いこと、インク流路内の洗浄にはインクと混合置換しながらインク成分をインク流路から剥離する必要があり、この時洗浄液によってインク流路部材を劣化させないことが求められる。
本発明は、洗浄液中にフッ素系界面活性剤を単独で用いた場合には、泡の問題や検査インクあるいは再充填インク等との相溶性に問題が生じ、また、洗浄液中にアセチレングリコール系界面活性剤を単独で使用した場合には、洗浄性が不十分である場合があり、インク流路の金属部材を腐食させる可能性があるが、特定のフッ素系界面活性剤とアセチレングリコール系界面活性剤を同時に含有させることで、両者の欠点を補うことができるだけでなく、各々単独で使用していた場合には不十分であった装置内に残る微量のインク中の色材成分との相溶性が確保され、上記の洗浄液として機能を十分に満足できることを見出したものである。
また、インクジェット記録装置のインク流路内に充填して、インクジェットヘッドやインク流路系を保存する充填液も、洗浄液と同様の機能を必要とするものであるから、充填液としても使用できるものである。
以下、本発明の洗浄液兼充填液(以下、洗浄液ともいう)を構成する成分について説明する。
<フッ素系界面活性剤>
本発明におけるフッ素系界面活性剤は、パーフルオロアルキル基を有する下記一般式(1)で表されるフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種である。
(式中、nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示し、Yは−C2b+1又は−CHCH(OH)CH−C2d+1を示し、bは11〜19の整数であり、dは2〜6の整数である。)
前記一般式(1)の化合物の好ましい具体例としては、
a) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)21−C1225
b) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)25−C1225
c) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)30−C1225
d) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)20−C1429
e) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)30−C1429
f) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)23−C1633
g) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)20−C1633
h) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)25−C1633
i) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)30−C1633
j) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)40−C1633
k) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)20−C1837
l) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)30−C1837
m) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)40−C1837
n) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
o) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)35−CHCH(OH)CH−C
p) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)45−CHCH(OH)CH−C
が挙げられる。
より好ましくは、
a) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)21−C1225
b) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)25−C1225
n) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
o) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)35−CHCH(OH)CH−C
p) C−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)45−CHCH(OH)CH−C
である。
上記フッ素系界面活性剤の洗浄液に対する含有量は、0.01〜10質量%未満が好ましく、より好ましくは、0.03〜5質量%未満である。含有量が0.001質量%未満では濡れ性が確保できず、また色材成分との相溶性も劣る。また、10質量%以上だと、溶解安定性が悪くなり、発泡性などによる問題が生じてくる。
<アセチレングリコール系界面活性剤>
本発明のアセチレングリコール系界面活性剤としては、下記一般式(2)で表される化合物から選択される少なくとも1種である。
(式中、m及びn互いに独立し、m+nは0〜30の数を示す)
上記一般式(2)の化合物としは、m+nが0〜30が好ましく、より好ましくは、m+nが0〜10である。m+nがこの範囲であれば、泡を抑える効果が得られる。このような化合物としては、エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノール104(m+n=0)、サーフィノール420(m+n=1.3)、サーフィノール440(m+n=3.5)、サーフィノール465(m+n=10.0)、サーフィノール485(m+n=30.0)が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤の洗浄液における含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは、0.1〜5質量%である。含有量が0.01質量%未満であると、泡を抑える効果が得られないことがあり、10質量%を超えると、抑泡性効果が頭打ちになる上に、粘度、粒径等のインク物性に悪影響が出ることがある。
さらに、上記フッ素系界面活性剤とアセチレングリコール系界面活性剤との併用による効果を妨げなければ、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を加えることもできる。
<水溶性有機溶剤>
本発明の水溶性有機溶剤は、流路内での洗浄液の乾燥を防ぐとともに、インクを再充填する際、洗浄液が残留していても容易にインクと混合し易くすることを目的とするものである。そのため、出荷前の吐出確認を行うための検査インクや通常印刷に使用されるインクと相溶性が高いことが好ましく、インクジェット用インクで使用される水溶性有機溶剤と同様のものを用いることができる。
このような水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンが挙げられるが、中でも平衡水分量の高い水溶性有機溶剤を用いることが好ましく、このような平衡水分量の高い水溶性有機溶剤は、多量の水分を保持することができるため、流動性を付与できる。
ここで、平衡水分量の高い水溶性有機溶剤(以下、水溶性有機溶剤Aという。)は、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上、好ましくは40wt%以上である。このような水溶性有機溶剤Aを用いることで、洗浄液の水分が蒸発して水分平衡に達した場合においても、水溶性有機溶剤Aが多量の水分を保持して粘度上昇を防ぎ、洗浄液の流動性を保持することができる。
なお、平衡水分量とは、水溶性有機溶剤と水との混合物を一定温度、湿度の空気中に開放して、溶液中の水の蒸発と空気中の水のインクへの吸収が平衡状態になったときの水分量を言う。具体的には、平衡水分量は、塩化カリウム飽和水溶液を用いデシケーター内の温湿度を温度23±1℃、湿度80±3%に保ち、このデシケーター内に各水溶性有機溶剤を1gずつ秤量したシャーレを質量変化がなくなるまでの期間保管し、次の式により求めることができる。
また、前記水溶性有機溶剤Aの沸点は、好ましくは140℃以上であり、より好ましく250℃以上である。水溶性有機溶媒Aの沸点が140℃以上であれば、使用環境下において気化が生じないため、水溶性有機溶媒の気化により保持できる水分が減少することを防ぐことができる。
このような平衡水分量が高い水溶性有機溶剤Aの具体例としては、1,2,3−ブタントリオール(bp175℃/33hPa、38wt%)、1,2,4−ブタントリオール(bp190−191℃/24hPa、41wt%)、グリセリン(bp290℃、49wt%)、ジグリセリン(bp270℃/20hPa、38wt%)、トリエチレングリコール(bp285℃、39wt%)、テトラエチレングリコール(bp324−330℃、37wt%)、ジエチレングリコール(bp245℃、43wt%)、1,3-ブタンジオール(bp203−204℃、35wt%)等が挙げられる。
この中でもグリセリン、1,3−ブタンジオールは水分を含んだ場合に低粘度化するため、洗浄液の流動性を向上できる。
上記水溶性有機溶剤Aを水溶性有機溶剤剤全体の50wt%以上用いた場合、吐出安定性確保やインク流路内での廃インク固着防止に優れるため好ましい。
水溶性有機溶剤A以外にも、必要に応じて前記の水溶性有機溶剤Aの一部に代えて、または前記の水溶性有機溶剤Aに加えて、23℃、80%での平衡水分量が30wt%未満の水溶性有機溶剤(以下、水溶性有機溶剤Bという。)を併用することができる。このような水溶性有機溶剤Bとしては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。
水溶性有機溶剤Bの多価アルコール類の具体例としては、例えば、ジプロピレングリコール(bp232℃)、1,5−ペンタンジオール(bp242℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、プロピレングリコール(bp187℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(bp197℃)、エチレングリコール(bp196−198℃)、トリプロピレングリコール(bp267℃)、ヘキシレングリコール(bp197℃)、ポリエチレングリコール(粘調液体〜固体)、ポリプロピレングリコール(bp187℃)、1,6−ヘキサンジオール(bp253−260℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(bp178℃)、トリメチロールエタン(固体、mp199−201℃)、トリメチロールプロパン(固体、mp61℃)などが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(bp135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(bp197℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(bp231℃)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(bp229℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(bp132℃)などが挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル(bp237℃)、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン(bp250℃、mp25.5℃、47-48wt%)、N−メチル−2−ピロリドン(bp202℃)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(bp226℃)、ε−カプロラクタム(bp270℃)、γ−ブチロラクトン(bp204−205℃)などが挙げられる。
アミド類としては、例えば、ホルムアミド(bp210℃)、N−メチルホルムアミド(bp199−201℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(bp153℃)、N,N−ジエチルホルムアミド(bp176−177℃)などが挙げられる。
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン(bp170℃)、ジエタノールアミン(bp268℃)、トリエタノールアミン(bp360℃)、N,N−ジメチルモノエタノールアミン(bp139℃)、N-メチルジエタノールアミン(bp243℃)、N−メチルエタノールアミン(bp159℃)、N-フェニルエタノールアミン(bp282−287℃)、3−アミノプロピルジエチルアミン(bp169℃)などが挙げられる。
含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(bp139℃)、スルホラン(bp285℃)、チオジグリコール(bp282℃)などが挙げられる。
本発明の洗浄液兼充填液は、必要に応じて、防腐防黴剤、キレート剤、防錆剤、pH調整剤、浸透剤等の他の添加剤を加えることができ、これらは、インクに用いているものと同様の成分が好ましい。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジクロロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
pH調整剤としては、調合される洗浄液兼充填液に悪影響を及ぼさず、インクジェット記録装置のインク流路にダメージを与えあければ、いずれの物質も使用できる。
例えば、塩基性に調節するときは、ジエタノールアミンやトリエタノールアミン等のアミン類、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、第四級アンモニウム水酸化物等の第四級化合物水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩が挙げられ、酸性に調整するときは、塩酸や硫酸等に無機酸、酢酸や蓚酸等の有機酸が挙げられる。
湿潤剤は、界面活性剤や水溶性有機溶剤による浸透性を補うもので、20℃の水に対する溶解度が0.2〜5.0質量%のポリオールが望ましく、このようなポリオールとしては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等の脂肪族ジオールが挙げられる。
さらに、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類を併用してもよい。
また、糖類糖の固体湿潤剤を添加してもよく、糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類、などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式:HOCH(CHOH)nCHOH(ただし、nは2〜5の整数を表す)で表わされる。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
本発明のインクジェット記録装置の洗浄方法は、上記洗浄液兼充填液をインク流路内に供給し、排出する工程を繰り返せば良く、例えば、インクジェット記録装置本体の供給、吸引機構を用いて、洗浄液兼充填液の入ったカートリッジから洗浄液兼充填液をインク流路内に供給、排出を繰り返す方法、インクジェット記録装置本体に設けているインク容器に洗浄液兼充填液を入れ、外部からインク容器を加圧してインク流路内に供給、排出する方法、ヘッド側から外部のポンプを用い、洗浄液兼充填液をインク流路内へ供給し、吸引により排出する方法等が挙げられるが、特に、上記の洗浄液兼充填液の入ったカートリッジを用いると、洗浄が簡単に行えるため好ましい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
<洗浄液兼充填液の調整>
実施例1
(処方)
一般式(1)−a)の化合物 0.1質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)21−C1225
サーフィノール440(m+n=3.5) 0.4質量%
グリセリン 15質量%
1,3−ブタンジオール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例1の洗浄液兼充填液を得た。
実施例2
(処方)
一般式(1)−b)の化合物 0.1質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)25−C1225
サーフィノール440(m+n=3.5) 0.4質量%
グリセリン 15質量%
ジエチレングリコール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例2の洗浄液兼充填液を得た。
実施例3
(処方)
一般式(1)−n)の化合物 0.1質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
サーフィノール465(m+n=10.0) 5質量%
グリセリン 15質量%
3−メチル−1,3ブタンジオール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例3の洗浄液兼充填液を得た。
実施例4
一般式(1)−b)の化合物 0.05質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)25−C1225
一般式(1)−n)の化合物 0.05質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
サーフィノール440(m+n=3.5) 0.1質量%
グリセリン 15質量%
1,3−ブタンジオール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例4の洗浄液兼充填液を得た。
実施例5
一般式(1)−o)の化合物 0.03質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)35−CHCH(OH)CH−C
サーフィノール104(m+n=0) 0.2質量%
サーフィノール485(m+n=30.0) 0.2質量%
1,3−ブタンジオール 30質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例5の洗浄液兼充填液を得た。
実施例6
(処方)
一般式(1)−p)の化合物 5質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)45−CHCH(OH)CH−C
サーフィノール485(m+n=30.0) 0.4質量%
グリセリン 30質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例6の洗浄液兼充填液を得た。
実施例7
(処方)
一般式(1)−o)の化合物 0.02質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)35−CHCH(OH)CH−C
サーフィノール440(m+n=3.5) 0.4質量%
ジエチレングリコール 30質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例7の洗浄液兼充填液を得た。
実施例8
(処方)
一般式(1)−n)の化合物 6質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
サーフィノール465(m+n=10.0) 6質量%
1,3−ブタンジオール 15質量%
3−メチル−1,3−ブタンジオール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例8の洗浄液兼充填液を得た。
実施例9
(処方)
一般式(1)−n)の化合物 0.1質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
サーフィノール440(m+n=3.5) 0.09質量%
グリセリン 15質量%
1,3−ブタンジオール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例9の洗浄液兼充填液を得た。
比較例1
(処方)
一般式(1)−a)の化合物 0.1質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)21−C1225)
グリセリン 15質量%
1,3−ブタンジオール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、比較例1の洗浄液兼充填液を得た。
比較例2
(処方)
サーフィノール465(m+n=10.0) 0.4質量%
グリセリン 15質量%
ジエチレングリコール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、比較例2の洗浄液兼充填液を得た。
比較例3
(処方)
一般式(1)−b)の化合物 0.1質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)25−C1225
ソフタノールEP−7025 0.4質量%
(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(日本触媒社製、有効成分100質量%))
グリセリン 15質量%
3−メチル−1,3ブタンジオール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、比較例3の洗浄液兼充填液を得た。
比較例4
(処方)
サーフィノール485(m+n=30.0) 0.4質量%
ソフタノールEP−7025 0.4質量%
(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(日本触媒社製、有効成分100質量%))
グリセリン 15質量%
3−メチル−1,3−ブタンジオール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、比較例4の洗浄液兼充填液を得た。
比較例5
(処方)
一般式(1)−o)の化合物 0.009質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)35−CHCH(OH)CH−C
サーフィノール440(m+n=3.5 ) 0.008質量%
エチレングリコール 15質量%
3−メチル−1,3ブタンジオール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、比較例5の洗浄液兼充填液を得た。
比較例6
(処方)
一般式(1)−p)の化合物 10質量%
(C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)45−CHCH(OH)CH−C
サーフィノール465(m+n=10.0) 10質量%
ジエチレグリコール 15質量%
3−メチル−1,3ブタンジオール 15質量%
イオン交換水 残部
上記処方の成分を室温にて充分に攪拌、混合した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、比較例5の洗浄液兼充填液を得た。
次に、本発明の洗浄液兼充填液を評価する評価インクについて説明する。
<評価インクの調整>
下記に示す方法で評価インクを調整した。
−ポリマー溶液の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g及びメルカプトエタノール0.4g、メチルエチルケトン40gを混合し、65℃に昇温した。 次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン342gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。 反応終了後、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。
−イエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製−
前記ポリマー溶液28gとC.I.ピグメントイエロー74を26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料15質量%含有、固形分20質量%のイエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
−イエロー顔料インクの調製−
イエロー顔料インクの調製は以下の手順で行った。まず1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、OMNOVA製ポリフォックスPF−151N 1質量%、オクタンジオール2質量%を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して前記イエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、一時間撹拌した。その後0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し評価インクとした。
−マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製−
前記ポリマー溶液17.5gとC.I.ピグメントレッド122を32.5g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液8.5g、メチルエチルケトン13g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料15質量%含有、固形分20質量%のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
−マゼンタ顔料インクの調製−
マゼンタ顔料インクの調製は以下の手順で行った。まず3−メチル−1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、Dupont製Zonyl FSO−100 0.5質量%、1,2−ヘキサンジオール1質量%を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して前記マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、一時間撹拌した。その後0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し評価インクとした。
−シアン顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製−
色材をC.I.ピグメントブルー15:3に変えたほかはイエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調整と同様にして、シアン顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
−シアン顔料インクの調製−
シアン顔料インクの調製は以下の手順で行った。まず1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、OMNOVA製ポリフォックスPF−151N 1質量%、オクタンジオール2質量%を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して前記イエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、一時間撹拌した。その後0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し評価インクとした。
―ブラック顔料インクの調整−
KM−9036(東洋インキ、自己分散型顔料) 50質量%
グリセリン 10質量%
1,3−ブタンジオール 15質量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2質量%
2−ピロリドン 2質量%
日信化学工業社製 オルフィン1010 1質量%
シリコーン消泡剤KS508(信越化学) 0.1質量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、評価インクとした。
実施例および比較例の洗浄液兼充填液を用いて下記の評価1〜4を行った。
なお、評価1は、実施例および比較例の洗浄液についての評価である。また、評価2〜4は、実施例および比較例の洗浄液兼充填液と上記評価インクを用いて評価したもので、上記4色全てのインクについて評価を行い、評価結果が最も悪い色に基づくものである。
評価1:洗浄液兼充填液の起泡性・消泡性評価
作製した洗浄液兼充填液を100mlのメスシリンダーに10ml入れ、10℃の環境下で該洗浄液に空気を注入した。そして、該インクと起泡の体積合計が100mlになった時点、もしくは60秒経過した時点で空気の注入を停止した。
空気の注入から空気の注入停止までの時間を起泡時間とし、空気の注入を停止した時点から該インクと気泡の合計体積が20mlになるまでの時間を計測して、消泡時間として以下の基準で評価した。
起泡性・消泡性の結果の悪い方を泡立ちの評価結果とした。
(起泡性)
◎:起泡時間が60秒以上(泡がたたない場合も含む)
○:起泡時間が40秒以上、60秒未満
△:起泡時間が20秒以上、40秒未満
×:起泡時間が20秒未満
(消泡性)
◎:消泡時間が100秒未満
○:消泡時間が100秒以上、200秒未満
△:消泡時間が200秒以上、400秒未満
×:消泡時間が400秒以上
評価2:洗浄液兼充填液の洗浄性評価
インクジェットプリンター(IPSIO GX3000、株式会社リコー製)に上記各色評価インクを充填したカートリッジを取り付け、上記充填を行い、ノズルチェックパターンを印字し、ノズル抜けが無いことを確認した。
その後、洗浄液兼充填液を充填したカートリッジを全カートリッジの代わりに取り付け、ヘッドリフレッシング動作を6回実施した。その後プリンターの維持ユニットを動作させ、各ヘッドから4.5cc吸引しては再び充填する動作を3回繰り返して実施し、最後に各ヘッドから吸引した液について、吸光度の測定を行った。各色のλMaxの波長における吸光度から顔料濃度を算出し、それを下記基準にしたがって判断した。
◎:インクの吸光度の0.5%未満
○:インクの吸光度の0.5%以上、1%未満
△:インクの吸光度の1%以上、2%未満
×:インクの吸光度の2%以上
評価3:相溶性評価
洗浄液兼充填液97gとインク3gをそれぞれ混合し、90℃の恒温槽中に8時間放置した。
その後取り出し、2時間静置し、液の状態を目視で観察した。判断は下記基準にて行った。
◎:分離が全く見られない
○:わずかに濃淡が観察される
△:色材の沈殿がわずかに認められる
×:色材が沈殿している
評価4:再充填性評価
評価2で洗浄した後のインクジェットプリンター(IPSIO GX3000、株式会社リコー製)を40℃の恒温槽中に24時間放置し、上記評価インクを充填したインクカートリッジを取り付け、初期充填動作を実施させた。その後ノズルチェックパターンを印字し、充填動作後にヘッドリフレッシング動作を繰り返し、ノズルチェックにて吐出不良(ノズルの不吐出や吐出曲がり=画像に対する白筋や黒筋が目立つ状態)が無くなるまでのヘッドリフレッシング回数にて評価を行った。(最大8回まで)
◎:ヘッドリフレッシング1回以下
○:ヘッドリフレッシング2回〜3回
△:ヘッドリフレッシング3回〜4回
×:ヘッドリフレッシング5回以上必要、もしくは回復不能
評価1〜4について下記表に示す。(評価2〜4について、各色の評価結果で悪い色を評価結果とした)
表1に示すように、実施例1〜5は一般式(1)、(2)で表される界面活性剤の添加量が最適な範囲内にあり、評価1〜4の全てにおいて優れた結果を得られた。実施例6〜9は一般式(1)、(2)で表される界面活性剤の添加量が最適な範囲を超えているため、泡立ち性、洗浄性、相溶性、再充填性のいずれか若干劣る結果となった。
一方、表2に示すように、比較例1〜2は一般式(1)、(2)で表される化合物のどちらかを欠如しているため、それぞれ良好でない結果となった。比較例3〜4は一般式(1)、(2)で表される化合物のどちらかを本発明とは異なる界面活性剤を使用した場合で、それぞれ良好でない結果となった。また、比較例5〜6は一般式(1)、(2)で表される化合物の添加量が好ましい範囲を超えた場合で、それぞれ良好でない結果となった。
特許4397220号公報 特開2007−091846号公報

Claims (6)

  1. 少なくとも水溶性有機溶剤、界面活性剤および水を含むインクジェット記録用洗浄液兼充填液であって、
    前記界面活性剤が少なくともフッ素系界面活性剤とアセチレングリコール系界面活性剤とを含み、該フッ素系界面活性剤が、下記一般式(1)で示される化合物の少なくとも1種類であり、該アセチレングリコール系界面活性剤が下記一般式(2)で示される化合物の少なくとも1種類であり、
    前記フッ素系界面活性剤の含有量が、0.02質量%以上6質量%以下であり、
    前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が、0.09質量%以上6質量%以下であることを特徴とするインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
    (式中、nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。Yは−C2b+1または−CHCH(OH)CH−C2d+1を示し、bは11〜19の整数を示し、dは2〜6の整数を示す)
    (式中、m及びn互いに独立し、m+nは0〜30の数を表す。)
  2. 前記一般式(2)の化合物のm+nが0〜10であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
  3. 前記一般式(1)で表される界面活性剤が、
    −CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)21−C1225
    −CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)25−C1225
    −CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
    −CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)35−CHCH(OH)CH−C
    および
    −CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)45−CHCH(OH)CH−C
    の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液兼充填液。
  4. 前記水溶性有機溶剤が、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上の水溶性有機溶剤の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録用洗浄液兼充填液を容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  6. インク供給路にインクが充填されたインクジェット記録装置に対し、請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液を通液して洗浄することを特徴とするインクジェット記録装置の洗浄方法。
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