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JP5837251B1 - 保孔管の引抜き防止具及びそれを用いた保孔管の設置工法 - Google Patents

保孔管の引抜き防止具及びそれを用いた保孔管の設置工法 Download PDF

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【課題】 削孔管に保孔管を挿入する際の抵抗を抑えながら、削孔管から外れたときには確実に拡径して削孔内面に食い込ませることができる保孔管の引抜き防止具及びそれを用いた保孔管の設置工法を提供する。【解決手段】 保孔管の先端に取り付けられる本体部と、前記本体部に周方向で間隔をおいて複数配置され、前記本体部から後方外側に向けて広がるように連結される可撓性のアンカー部と、を備えてなり、前記アンカー部が、前記本体部との連結部分から後方に向かって曲げ剛性が小さくなるように形成されるようにした。【選択図】図2

Description

本発明は、削孔管で地山に横孔(削孔)を形成して、保孔管(集水管等)を挿入した後で削孔管を引き抜く際に、保孔管が削孔管と共に引き抜かれないようにするため、保孔管の先端に予め取り付けておく保孔管の引抜き防止具及びそれを用いた保孔管の設置工法に関する。
従来、保孔管の先端に取り付ける引抜き防止具として、載頭円錐形に形成したコーンに、基端を折り曲げた平坦状の板バネを放射状に溶接固着した座板をボルトで固定した器具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この引抜き防止具Tは、図3に実線で示すように、削孔管Dに挿入されているときは、板バネSが後端側で削孔管Dの内面に当接して湾曲形状に窄められているが、削孔管Dを横孔から引き抜いたときに、図3に一点鎖線で示すように、削孔管Dから外れた板バネSが復元して拡径することで、その先端を削孔Hの内面に食い込ませて保孔管Pが同時に引き抜かれる不都合を防止しようとするものである。
特許第4092287号公報
ところで、上記従来の保孔管の引抜き防止具の板バネは、削孔管に挿入され、その内面に当接して窄められることにより生じる曲げモーメントは、載頭円錐形の円錐面で受止支持される根元部分で最も大きくなる。結果として、図4に実線で示すように、板バネSが円錐面の後端縁Eを支点として折り曲げられるようになり、その際に生じる折り癖により、図4に一点鎖線で示すように、削孔管Dから外れても十分に拡径することができずに、板バネの先端を削孔Hの内面に食い込ませることができないという不都合を生じ得る。
これに対し、板バネSの弾性係数を大きく設定して、折れ曲がりが生じにくいようにすることも考えられるが、削孔管D内に保孔管Pを挿入する際、あるいは挿入後に前方へ押し進める際の抵抗が相当大きくなり、逆に、板バネSを円錐面の後端縁Eに対応する部分で予め強制的に折り曲げなければ必要な窄み量を確保できないという事態が生じ得る。
また、上記従来の引抜き防止具は、パーツ点数が多く、これらを溶接したり、組立てたりする手間もかかり、コスト高になり易いという問題がある。
本発明は、斯かる実情に鑑み、削孔管に保孔管を挿入する際の抵抗を抑えながら、削孔管から外れたときには確実に拡径して削孔内面に食い込ませることができる保孔管の引抜き防止具及びそれを用いた保孔管の設置工法を提供しようとするものである。
請求項1の発明は、保孔管の先端に取り付けられる本体部と、前記本体部に周方向で間隔をおいて複数配置され、前記本体部から後方外側に向けて広がるように連結される可撓性のアンカー部と、を備えてなり、前記本体部及び前記アンカー部は、可撓性を有する硬質合成樹脂で一体成形されており、前記アンカー部は、前記本体部との連結部分から後方に向かって曲げ剛性が小さくなるように形成されていることを特徴とする保孔管の引抜き防止具を提供する。
請求項の発明は、前記連結部分において前記本体部と前記アンカー部で挟まれるV字状の空間に、前記本体部と前記アンカー部が対向する面をつなぐ余肉部が設けられていることを特徴とする請求項記載の保孔管の引抜き防止具を提供する。
請求項の発明は、前記アンカー部は、可撓性を有する硬質合成樹脂を一定の横幅を有するブレード状に形成したものであり、前記連結部分から後方に向かって厚みが薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保孔管の引抜き防止具を提供する。
請求項の発明は、前記連結部分が、前記本体部が取り付けられる保孔管の外径より径方向の内側に位置することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の保孔管の引抜き防止具を提供する。
請求項の発明は、請求項1乃至の何れかに記載の保孔管の引抜き防止具を保孔管の先端に取り付け、削孔を形成した削孔管内に前記保孔管を挿入し、前記削孔管を引き抜くことを特徴とする保孔管の設置工法を提供する。
本発明によれば、保孔管の先端に取り付けられる保孔管の引抜き防止具において、本体部から後方外側に向けて延びる可撓性のアンカー部の曲げ剛性を、本体部との連結部分では大きくして、そこから後方に向けて小さくなるようにしたので、保孔管が削孔管に挿入されたときに、連結部分では塑性変形しないように小さく撓んで折れ癖を防止しながら、その後方では大きく撓んでアンカー部全体として削孔管内に収容されるために必要な窄み量を確保することができる。その結果、削孔管に保孔管を挿入する際の抵抗を小さくして挿入性を確保しながら、削孔管から外れたときには、アンカー部が確実に拡径し削孔内面に食い込んで、確実な引抜き防止効果が得られるものである。
本発明では、本体部及びアンカー部を、可撓性を有する硬質合成樹脂で一体成形することにより、上記従来の引抜き防止具のようなパーツの溶接作業や組立作業を不要としている。特に本体部とアンカー部の連結部分において両者の対向面をつなぐ余肉部を一体形成することにより、アンカー部の倒れを防止するストッパとして機能し、折れ曲がりを一層確実に防止して、アンカー部が拡径する際の削孔面に対する食い込み効果を担保している。アンカー部をブレード状に形成しておけば、削孔面に対する引っ掛かり面積が大きくなるため、引抜き防止効果を更に向上させることができる。
さらに、本発明では、連結部分を本体部が取り付けられる保孔管の外径より径方向の内側に位置させることで、アンカー部の付け根からアンカー部が当設する削孔管の内面までの距離を大きく取ることで、アンカー部を窄める際の撓みを軽減することにより、アンカー部の折れ癖防止を図るものである。
本発明の実施形態に係る保孔管の引抜き防止具を(a)前方から見た図、(b)側方から見た図、及び(c)後方から見た図。 本発明の実施形態に係る保孔管の引抜き防止具を保孔管に取り付けて、削孔管内に挿入した使用状態を示す断面図。 従来の保孔管の引抜き防止具について説明する断面図。 従来の保孔管の引抜き防止具の問題点を説明する断面図。
以下、本発明の実施形態に係る保孔管の引抜き防止具について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る保孔管の引抜き防止具1の(a)前面図、(b)側面図及び(c)後面図であり、図2は、引抜き防止具1の使用状態を示す断面図である。保孔管の引抜き防止具1は、図1及び図2に示すように、保孔管Pの先端に後端側を挿し込むことにより取り付けられる概ね筒状の本体部2と、本体部2に周方向に間隔をおいて複数配置されており、本体部2から後方外側に向けて広がるように延びるアンカー部3を備える器具である。本体部2及びアンカー部3は、可撓性を有する硬質合成樹脂(例えば硬質ポリエチレン、硬質塩化ビニールなど)を金型で一体成形してなる。
保孔管Pを設置する場合には、保孔管の引抜き防止具1を先端に取り付けた保孔管Pを、地山に削孔した削孔管に挿入すると、アンカー部2は、削孔管の内面に当接して、図2に示すように、その可撓性により窄められて削孔管内に収容され、後方から押されて前進することが可能になる。そして、保孔管Pを削孔(削孔管)の一番奥まで挿入した後、保孔管Pを前方に押し付けながら削孔管Dを後方に引き抜くと、アンカー部2は、後退した削孔管から外れて、削孔管Dの外径よりも大きく拡径して、削孔管Dの外径と略同径に形成された削孔の内面に食い込むことになる。そして、これ以後は、保孔管Pは押し付けていなくても引き抜かれなくなり、削孔管のみを容易に引き抜けるようになる。
本体部2は、図1に示すように、概ね円筒状の胴部21と、胴部21の前側を塞ぐように設けられる中空のコーン部22を一体的に形成してなる。胴部21の外周面は、前端の外径φ21が挿し込み対象となる保孔管Pの外径φPよりも小径に形成されており、更に前端から後端まで後方に向けて外径が徐々に小さくなるテーパがつけられており、本体部2を保孔管Pに挿し込むと、図1(b)に示すように、胴部21のテーパの中途部が保孔管Pの内周縁に嵌合した状態で固定される。なお、胴部21の抜けが懸念される場合には、保孔管P及び胴部21をドリル等で貫通する孔を設けてビスなどで締結しても良いし、両者を接着、溶着、螺合等させることにより固定しても良い。
アンカー部3は、図1に示すように、本体部2に対し周方向に等間隔で5本配置されており、それらの一端が胴部21の前端の外周面に連結されて、当該連結部分からコーン部22の円錐傾斜面と連続するように、後方外側に向けて放射状に真直ぐ延びるように設けられている。アンカー部3は、図1(a)又は(c)に示すように、放射方向と直交する周方向において一定の広い横幅Wを有するブレード状であり、図1(b)に示すように、厚みが胴部21との連結部分(前端)から後方(後端)に向かって略一定の割合で薄くなるように形成されている。
アンカー部3と胴部21が斜めに交差することで、V字状の空間A(図1(b))が形成される連結部分の後方には、胴部21とアンカー部3が対向する面をつなぐ余肉部4が設けられている。アンカー部3の前端は厚みが大きく、当然、連結部分も曲げ剛性が大きいため、削孔管D挿入のために窄められることで大きな曲げモーメントを受けたとしても、容易に塑性変形することはない。しかし、アンカー部3の付け根に折れ癖が付くことを一層確実に防止するため、余肉部4を、アンカー部3の付け根と胴部21に挟まれてアンカー部3を支持するためのストッパとして設けたものである。
また、アンカー部3が連結される胴部21の前端は、その外周面の外径φ21が保孔管Pの外径φPよりも小径に形成したが、これは連結部分を少しでも径方向の内側に位置させておくことで、アンカー部3の連結部分からアンカー部3が当接する削孔管Dの内面までの距離を大きく取って、アンカー部3を窄める際に付け根部にかかる負担の軽減を図ったものである。
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態では、アンカー部3を一定の横幅Wを有するブレード状として、そのブレードの厚みを前端から後端に向かって一定の割合で薄くなっていくようにしたが、前端から後端に向かって曲げ剛性が小さくなるように形成されていれば、他の形状を採用しても良い。例えば、アンカー部の前端から後端まで厚みを一定とする一方、前端から後端に向かって横幅が小さくなるように形成しても良く、あるいは、アンカー部の前端から後端に向かって厚み及び横幅の両方が小さくなるように形成しても良い。
上記実施形態では、アンカー部3は、前端から後端までの全長に亘って曲げ剛性が小さくなるように形成したが、曲げ剛性の変化をアンカー部の全長に亘って設ける必要はない。例えば、図2に示されるように削孔管内に挿入された場合において、アンカー部3が実際に撓むように変形させられるのは、胴部21との連結部分から、削孔管D内面と当接するまでの区間のみであるから、アンカー部の前端から後方に向けて、当該区間内でのみ曲げ剛性が小さくなっていくように変化をつけても良い。
具体的には、連結部分から後方に向かって当該区間内では、上記実施形態のように、アンカー部の厚みを徐々に薄くしていくが、当該区間外、すなわち削孔管の内面に当接するポイントよりも後方部分では厚み(曲げ剛性)を一定としても良い。アンカー部の全長に亘って曲げ剛性を小さくしていくと、アンカー部の後端が撓み易くなりすぎて、削孔に対する食い込み力の低下が懸念されるためである。
1 保孔管の引抜き防止具
2 本体部
3 アンカー部
4 余肉部
P 保孔管
D 削孔管

Claims (5)

  1. 保孔管の先端に取り付けられる本体部と、前記本体部に周方向で間隔をおいて複数配置され、前記本体部から後方外側に向けて広がるように連結される可撓性のアンカー部と、を備えてなり、
    前記本体部及び前記アンカー部は、可撓性を有する硬質合成樹脂で一体成形されており、
    前記アンカー部は、前記本体部との連結部分から後方に向かって曲げ剛性が小さくなるように形成されていることを特徴とする保孔管の引抜き防止具。
  2. 前記連結部分において前記本体部と前記アンカー部で挟まれるV字状の空間に、前記本体部と前記アンカー部が対向する面をつなぐ余肉部が設けられていることを特徴とする請求項記載の保孔管の引抜き防止具。
  3. 前記アンカー部は、可撓性を有する硬質合成樹脂を一定の横幅を有するブレード状に形成したものであり、前記連結部分から後方に向かって厚みが薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保孔管の引抜き防止具。
  4. 前記連結部分が、前記本体部が取り付けられる保孔管の外径より径方向の内側に位置することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の保孔管の引抜き防止具。
  5. 請求項1乃至の何れかに記載の保孔管の引抜き防止具を保孔管の先端に取り付け、削孔を形成した削孔管内に前記保孔管を挿入し、前記削孔管を引き抜くことを特徴とする保孔管の設置工法。
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