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JP5824828B2 - 画像形成装置、画像補正方法および画像補正プログラム - Google Patents

画像形成装置、画像補正方法および画像補正プログラム Download PDF

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Description

本発明は、画像形成装置、画像補正方法および画像補正プログラムに関する。さらに詳述すると、インクジェット方式による画像形成における印字ムラの低減に好適な画像形成装置、画像補正方法および画像補正プログラムに関する。
プリンタ(印刷装置)、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、記録液(以下、インクともいう)の液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッド(以下、ヘッドともいう)を含む装置を用いて、被記録媒体(以下、用紙ともいうが材質を限定するものではなく、また、記録媒体、媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する)を搬送しながら、液体としての記録液を用紙に付着させて画像形成(以下、記録、印刷、印写、印字も同義で使用する)を行なう、いわゆるインクジェット方式の画像形成装置がある。
インクジェット方式の画像形成装置は、高速記録可能で、いわゆる普通紙に特別の定着処理を要せずに記録でき、また、記録時の動作音が非常に小さい等の利点があり、オフィス用等として注目され、従来から種々の方式が提案され、実用化されている。
インクジェット方式による画像形成は、インク液室と、それに連通したノズルが形成された記録ヘッドを用いて、インク液室内のインクに画像情報に応じて、圧力を加えることにより、インク小滴をノズルから吐出させ、紙やフィルムなどの被記録媒体に付着させることにより実現される。非接触で画像形成するため、さまざまな被記録媒体に記録が行えるという特徴がある。
ところで、インクジェット方式の画像形成装置の抱える課題として、印字のムラ(以下、印字ムラ、色ムラ、ムラともいう)についての問題が知られている。印字ムラの原因としては種々のものが知られているが、特に、インクジェットヘッドのインク吐出特性のばらつきが問題となることが知られている。
インクジェットヘッドは、複数のノズルを有し、ノズルに連通する液室に圧力を加えてインクを吐出させるが、個々のノズル性能について、製造上、多少のばらつきが生じ得ることは不可避であるため、インクの吐出特性は必ずしも同じになるとは限らない。ここで、「吐出特性(単に、特性ともいう)」とは、例えば、インク液滴の大きさ、速さ、着弾位置、形状等をいい、これらによって記録用紙上でのインクの被覆の仕方が変わるため、印字ムラを生じてしまう。
また、近年、画像形成装置は、さらに高速化高画質化が要求されており、この要求を満たすため、1ヘッドあたりのノズル数(ヘッドの長尺化、ノズル形成密度)は、ますます増加する傾向にある。ノズル数やノズル形成密度が増加すれば、それに連れて不良ノズルの発生数も増加するため、上記の吐出特性のバラツキについての問題は、益々重要となっている。
上記問題について、例えば、特許文献1には、濃度ムラによるバンディング現象(用紙の送り誤差やヘッドのガタツキ等の種々の要因からスキャンのつなぎ部のドット着弾位置がずれてスジ状の画像障害が生じる現象)を軽減することを目的として、ノズルごとに入出力の補正をかける(吐出するドットの数を補正する)ことにより、ヘッドの特性を補正する印刷装置が開示されている。
しかしながら、上述のように、インクジェットヘッドのノズル数は、ヘッドの長尺化および高密度化に伴い、増大傾向にある。また、色域向上、高速化、解像度向上等のために多くのヘッドを搭載する画像形成装置も開発されており、管理しなければならないノズル数は膨大となる。
さらに、例えば、ベタ付近では、もともとほとんど紙面がインクで埋まっているために多少ドット径が変わっても色味は変化しにくいが、ハイライトからミドル(ベタとハイライトの中間をいう)では、紙面が埋まりきっていないため、色味が変わりやすいなどの問題がある。すなわち、同じノズルであっても、階調によって補正係数(補正パラメータ、色の補正量)が異なる場合があり、一律な係数では補正できない場合がある。特に、複数の滴種(大滴、中滴、小滴等)を扱う多値のインクジェットプリンタでは、滴種によって特性が異なる場合、例えば、中滴は同じだが、大滴は大きさが異なるなどの場合もあるため、この問題が顕著になる。
以上をすべて考慮すると、「ヘッド数(複数のヘッドを有する場合)×ノズル数×階調数」の数だけ補正パラメータを用意し、これを適用することが必要となる。しかしながら、このような制御を行うようにすると、全てのノズルの吐出特性を取得するための構成や、多量のパラメータを記憶、適用するための構成を必要とし、製品の高コスト化、処理速度の低下等に繋がることとなる。
この問題に対し、補正する単位(補正単位)を広くすること、すなわち、複数のノズルを一単位(領域)として捉え、ノズル領域ごとにまとめて補正パラメータを適用して、補正を行うことが考えられる。
これにより、パラメータ生成のための測定点や、補正パラメータ数を大幅に低減することが可能となる。しかしながら、単に、補正単位を大きくすることは、補正効果の減少に繋がることとなってしまう。例えば、補正領域の境界部において色変化のギャップ(差)が生じたり、印字パターンの切り替えが目立ったりすることが考えられ、印字ムラを十分に解消できないこととなる。
そこで本発明は、印字ムラの低減のための補正処理に際して、補正処理を所定の条件を満たす領域単位で行う単位で行うことにより、補正処理に係る処理量の増大を抑えつつ、良好な補正効果を得ることができる画像形成装置、画像補正方法および画像補正プログラムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の画像形成装置は、記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを複数有し、該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置において、記録ヘッドを複数の補正領域に分割する際、互いに隣接する補正領域の境界部において、互いに隣接する補正領域のそれぞれが入り組んだ形状を有するように分割し、分割された補正領域ごとに記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに記録ヘッドの補正パラメータを作成し、該補正パラメータに基づいて補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段を備え、補正手段は、複数の記録ヘッドのそれぞれについて、補正パラメータを作成し、補正領域ごとに入出力特性を補正するものであって、かつ、互いに隣接する補正領域について、双方の補正領域での入出力特性差に応じて、境界部における入り組んだ形状部分の大きさを変化させるものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、互いに隣接する補正領域について、境界部における入り組んだ形状部分においては、互いに相手方の補正領域に向かうに連れて、該相手方の補正領域の占める割合が増加する形状であるものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、補正領域の大きさに応じて、境界部における入り組んだ形状部分の大きさを変化させるものである。
また、請求項に記載の発明は、請求項1からまでのいずれかに記載の画像形成装置において、補正手段は、少なくとも境界部における入り組んだ形状部分についての領域の振り分け方を示すマスクパターンを画像データに適用して、補正領域に分割するものである。
また、請求項に記載の発明は、請求項1からまでのいずれかに記載の画像形成装置において、画像パッチを印字出力するパッチ出力手段と、画像パッチの測色結果を取得するパッチ読取手段と、を備え、補正パラメータは、パッチ読取手段による画像パッチの測色結果に基づいて算出されるものである。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像形成装置において、互いに隣接する補正領域について、双方の補正領域での測色結果の差が所定範囲内となるように、境界部における入り組んだ形状部分の大きさを変化させるものである。
また、請求項に記載の発明は、請求項1からまでのいずれかに記載の画像形成装置において、補正手段は、記録ヘッドのノズルが吐出するドットの大きさ、および/または、ドット数を変えることにより補正領域ごとの入出力特性を補正するものである。
また、請求項に記載の発明は、請求項1からまでのいずれかに記載の画像形成装置において、補正パラメータ、および/または、補正領域の形状は、当該装置の印刷モードに応じて変更するものである。
また、請求項に記載の発明は、請求項1からまでのいずれかに記載の画像形成装置において、当該装置の温湿度環境を検知する温湿度センサを備え、補正パラメータ、および/または、補正領域の形状は、温湿度センサによる検知結果に応じて変更するものである。
また、請求項10に記載の発明は、請求項1からまでのいずれかに記載の画像形成装置において、補正手段は、画像データのオブジェクトに応じて、入出力特性の補正の実行の可否、および/または、補正パラメータの変更を行うものである。
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、補正手段は、オブジェクトが、文字、および/または所定ポイント以下で描画されるオブジェクトである場合に、入出力特性の補正を行わないものである。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1から11までのいずれかに記載の画像形成装置において、記録ヘッドを2以上ノズル列方向に並べた繋ぎ記録ヘッドを備え、該繋ぎ記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直行方向に相対移動することによって画像形成するものである。
また、請求項13に記載の発明は、請求項1から11までのいずれかに記載の画像形成装置において、記録ヘッドを2以上ノズル列方向に並べた記録ヘッドユニットを備え、該記録ヘッドユニットのノズル列と直行方向に記録媒体を搬送することで画像形成するものである。
また、請求項14に記載の発明は、請求項12または13に記載の画像形成装置において、補正パラメータおよび補正領域の形状は、記録ヘッドごとに異なるものである。
また、請求項15に記載の画像補正方法は、記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを複数有し、該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置における画像補正方法において、記録ヘッドを複数の補正領域に分割する際、互いに隣接する補正領域の境界部において、互いに隣接する補正領域のそれぞれが入り組んだ形状を有するように分割し、分割された補正領域ごとに記録ヘッドの補正パラメータを作成し、該補正パラメータに基づいて補正領域ごとに入出力特性を補正する補正処理を行うものであって、補正処理は、複数の記録ヘッドのそれぞれについて、補正パラメータを作成し、補正領域ごとに入出力特性を補正するものであって、かつ、互いに隣接する補正領域について、双方の補正領域での入出力特性差に応じて、境界部における入り組んだ形状部分の大きさを変化させるようにしている。
また、請求項16に記載の画像補正プログラムは、記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを複数有する画像形成装置が、記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う際に用いられる画像補正プログラムにおいて、コンピュータに、記録ヘッドを複数の補正領域に分割する際、互いに隣接する補正領域の境界部において、互いに隣接する補正領域のそれぞれが入り組んだ形状を有するように分割する処理と、分割された補正領域ごとに記録ヘッドを複数の補正領域に分割する際に、隣接する補正領域との境界部において、補正領域と該補正領域に隣接する補正領域が2次元的に混在配置する混在領域を有するように分割して、該補正領域ごとに記録ヘッドの補正パラメータを作成し、該補正パラメータに基づいて補正領域ごとに入出力特性を補正する補正処理と、を実行させるものであって、補正処理は、複数の記録ヘッドのそれぞれについて、補正パラメータを作成し、補正領域ごとに入出力特性を補正するものであって、かつ、互いに隣接する補正領域について、双方の補正領域での入出力特性差に応じて、境界部における入り組んだ形状部分の大きさを変化させるものである。
本発明によれば、印字ムラの低減のための補正処理に際して、補正処理に係る処理量の増大を抑えつつ、良好な補正効果を得ることができる。
本発明に係る画像形成装置の一実施形態における構成の一例を示す側面図である。 画像形成装置の構成の一例を示す平面図である。 記録ヘッドの一例を示す断面図(液室長手方向)である。 記録ヘッドの一例を示す断面図(液室短手方向)である。 制御部の概要を示すブロック図である。 印刷制御部の一例を示すブロック図である。 印刷制御部の駆動波形生成部で生成出力される駆動波形の一例を示す説明図である。 印刷制御部の駆動波形生成部で生成出力される駆動波形のうち、小滴、中滴、大滴を形成する場合、及び微駆動の場合に選択される駆動パルスをそれぞれ示す説明図である。 記録液の粘度による駆動波形の違いを示す説明図である。 画像形成装置が構成する画像形成システムの一例を示すブロック説明図である。 画像形成装置が構成する画像形成システムにおける、画像処理装置の一例を示すブロック説明図である。 画像処理部を概略的に示すブロック図である。 色ムラのないヘッドによる画像形成例を示す説明図である。 色ムラのあるヘッドによる画像形成例を示す説明図である。 色ムラの発生例を示す説明図であって、(a)均一な着弾、(b)ドット径や着弾形状のばらつき、(c)着弾位置のばらつき、(d)サテライトばらつき、の例である。 出力階調による着弾変化を示す説明図であって、(a)高階調、(b)中階調、(c)低階調、の例である。 記録周波数による着弾変化を示す説明図であって、(a)高記録周波数、(b)中記録周波数、(c)低記録周波数、の例である。 滴種による着弾変化を示す説明図であって、(a)大滴、(b)中滴、(c)小滴、の例である。 (a)ヘッド位置と明度との関係を示すグラフ、(b)領域分割して補正を行った場合のヘッド位置と明度との関係を示すグラフである。 領域分割して補正を行った場合に発生するパターンの違いを示す説明図である。 補正領域の分割例を示す説明図であって、(a)通常(直線状)、(b)短冊状、(c)波状、(d)ブロック調、(e)グラデーション状、の例である。 混在領域を作成して領域分割して補正を行った場合のヘッド位置と明度との関係を示すグラフである。 補正処理の一例を示すフローチャートである。 出力される階調パッチの一例を示す模式図である。 補正パラメータ適用処理の一例を示すフローチャートである。 領域分割マスクの一例を示す模式図である。 ヘッドをノズル列方向に複数個繋いだヘッドの説明図である。 ヘッドをノズル列方向に複数個繋いだラインヘッドの説明図である。
以下、本発明に係る構成を図1から図28に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
(画像形成装置の構成)
図1及び図2は、本実施形態に係る画像形成装置を示す図であり、図1は機構部の全体構成の側面説明図、図2は同機構部の平面説明図である。
画像形成装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1とガイドレール2とでキャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持し、記録ヘッド走査手段として、主走査モータ4で駆動プーリ6Aと従動プーリ6Bとの間に張架したタイミングベルト5を介して図2で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。キャリッジ3には、例えば、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる4個の記録ヘッド7y、7c、7m、7k(色を区別しないときは「記録ヘッド7」という)を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。キャリッジ3には、記録ヘッド7に各色のインクを供給するための各色のサブタンク8を搭載している。このサブタンク8にはインク供給チューブ9を介して図示しないメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
記録ヘッド7を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、各色毎に独立したヘッド構成に限るものではなく、複数の色の液滴を吐出する複数のノズルで構成されるノズル列を有する1又は複数の液体吐出ヘッドで構成することもできる。
一方、給紙カセット10などの用紙積載部(圧板)11上に積載した用紙12を給紙するための給紙部として、用紙積載部11から用紙12を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙ローラ)13及び給紙ローラ13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備え、この分離パッド14は給紙ローラ13側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙12を記録ヘッド7の下方側で搬送する搬送手段として、用紙12を静電吸着して搬送するための搬送ベルト21と、給紙部からガイド15を介して送られる用紙12を搬送ベルト21との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ22と、略鉛直上方に送られる用紙12を略90°方向転換させて搬送ベルト21上に倣わせるための搬送ガイド23と、押さえ部材24で搬送ベルト21側に付勢された押さえコロ25とを備えている。また、搬送ベルト21表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ26を備えている。
ここで、搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されて、副走査モータ31からタイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して搬送ローラ27が回転されることで、図2のベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト21の裏面側には記録ヘッド7による画像形成領域に対応してガイド部材29を配置している。また、帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表層に接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置されている。
また、図2に示すように、搬送ローラ27の軸には、スリット円板34を取り付け、このスリット円板34のスリットを検知するセンサ35を設けて、これらのスリット円板34及びセンサ35によってロータリエンコーダ36を構成している。
さらに、記録ヘッド7で記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト21から用紙12を分離するための分離爪51と、排紙ローラ52及び排紙コロ53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とを備えている。
また、背部には両面給紙ユニット61が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット61は搬送ベルト21の逆方向回転で戻される用紙12を取り込んで反転させて再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙する。
さらに、図2に示すように、キャリッジ3の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド7のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構56を配置している。この維持回復機56は、記録ヘッド7の各ノズル面をキャピングするための各キャップ57と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード58と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行なうときの液滴を受ける空吐出受け59などを備えている。
このように構成した画像形成装置においては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙12はガイド15で案内され、搬送ベルト21とカウンタローラ22との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド23で案内されて押さえコロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、図示しない制御部によってACバイアス供給部から帯電ローラ26に対して正負が交互に繰り返す交番電圧を印加して、搬送ベルト21を交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが交互に所定の幅で繰り返されるパターンで帯電させる。この帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に静電力で吸着され、搬送ベルト21の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ3を往路及び復路方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド7を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行なう。記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト21を逆回転させることで、記録済みの用紙12を両面給紙ユニット61内に送り込み、用紙12を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベルト21上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ54に排紙する。
また、印字待機中にはキャリッジ3は維持回復機構56側に移動されて、キャップ57で記録ヘッド7のノズル面がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ57で記録ヘッド7をキャッピングした状態でノズルから記録液を吸引し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行い、この回復動作によって記録ヘッド7のノズル面に付着したインクを清掃除去するためにワイパーブレード58でワイピングを行なう。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行なう。これによって、記録ヘッド7の安定した吐出性能を維持する。
また、画像形成装置は、後述するように、センサ、スキャナ、測色計等の画像光学特性を取得可能な手段(パッチ読取手段230)備えることが好ましい。さらに、画像形成装置は、画像形成装置の装置環境(温湿度)を検知するための温湿度センサ(不図示)を備えることが好ましい。
(記録ヘッドの構成)
次に、記録ヘッド7を構成している液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板101と、この流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び圧力発生室である液室106、液室106に流体抵抗部(供給路)107を通じてインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列の積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。なお、圧電素子121の間には支柱部123を設けている。この支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
さらに、圧電素子121には図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル126を接続している。
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、このフレーム部材130には、圧電素子121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給穴132を形成している。このフレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板102に圧電素子121及び支柱部123を接着剤接合し、更にフレーム部材130を接着剤接合している。
ノズル板103は各液室106に対応して直径10〜30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。このノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
このように構成した液体吐出ヘッドヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121が収縮し、振動板102が下降して液室106の容積が膨張することで、液室106内にインクが流入し、その後圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させることにより、液室106内の記録液が加圧され、ノズル104から記録液の滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から液室106内に記録液が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
(制御部の構成)
次に、画像形成装置の制御手段としての制御部の概要について図5のブロック図を参照して説明する。この制御部200は、この装置全体の制御を司るCPU201と、CPU201が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)204と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行なう画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205とを備えている。
また、この制御部200は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行なうためのホストI/F206と、記録ヘッド7を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動波形を生成する駆動波形生成手段を含む印刷制御部207と、キャリッジ3側に設けた記録ヘッド7を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)208と、主走査モータ4及び副走査モータ31を駆動するためのモータ駆動部210と、帯電ローラ26にACバイアスを供給するACバイアス供給部212と、エンコーダセンサ35からの各検出信号、環境温度を検出する温度センサ215などの各種センサからの検出信号を入力するためのI/O213などを備えている。また、この制御部200には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル214が接続されている。
ここで、制御部200は、パーソナルコンピュータ等の画像(情報)処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの画像データ等をケーブル或いはネットを介してホストI/F206で受信する。
そして、制御部200のCPU201は、ホストI/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ない、この画像データをヘッド駆動制御部207からヘッドドライバ208に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は後述するようにホスト側のプリンタドライバで行なっても良い。
また、CPU201は、リニアエンコーダを構成するエンコーダセンサ35からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ4に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ4を駆動する。同様に、ロータリエンコーダ36を構成するエンコーダセンサ35からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ31に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介しモータドライバを介して副走査モータ31を駆動する。また、CPU201は、後述するように、画像形成装置の各ブロックと協働して、補正手段240として機能する。
印刷制御部207は、上述した画像データをシリアルデータでヘッドドライバ208に転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、滴制御信号(マスク信号)などをヘッドドライバ208に出力する。
また、印刷制御部207は、ROM202に格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部及びヘッドドライバ208に与える駆動波形選択手段を含み、1の駆動パルス(駆動信号)或いは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ208に対して出力する。
ヘッドドライバ208は、シリアルに入力される記録ヘッド7の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部207から与えられる駆動波形を構成する駆動信号を選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば前述したような圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動波形を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴(大ドット)、中滴(中ドット)、小滴(小ドット)など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
(印刷制御部・ヘッドドライバの構成)
次に、印刷制御部207及びヘッドドライバ208の一例について、図6を参照して説明する。印刷制御部207は、上述したように、1印刷周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成して出力する駆動波形生成部301と、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、滴制御信号M0〜M3を出力するデータ転送部302とを備えている。
なお、滴制御信号は、ヘッドドライバ208の後述するスイッチ手段であるアナログスイッチ315の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号であり、共通駆動波形の印刷周期に合わせて選択すべき波形でHレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
ヘッドドライバ208は、データ転送部302からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/CH)を入力するシフトレジスタ311と、シフトレジスタ311の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路312と、階調データと制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ313と、デコーダ313のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ315が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ314と、レベルシフタ314を介して与えられるデコーダ313の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ315と、を備えている。
アナログスイッチ315は、各圧電素子121の選択電極(個別電極)154に接続され、駆動波形生成部301からの共通駆動波形が入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と制御信号MN0〜MN3をデコーダ313でデコードした結果に応じてアナログスイッチ315がオンにすることにより、共通駆動波形を構成する所要の駆動信号が通過して(選択されて)圧電素子121に印加される。
(記録液)
次に、この画像形成装置において使用する記録液であるインクについて説明する。本実施形態に係る画像形成装置では、例えば、顔料、水溶性有機溶剤、炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル、および水を少なくとも含んでなるインク構成を用いることにより、普通紙上へ印字した場合でも,(1)良好な色調(十分な発色性,色再現性を有する)、(2)高い画像濃度、(3)文字・画像にフェザリング現象やカラーブリード現象のない鮮明な画質、(4)両面印刷にも耐え得るインク裏抜け現象の少ない画像、(5)高速印刷に適した高いインク乾燥性(定着性)、(6)耐光性,耐水性などの高い堅牢性を有した高画質画像を達成することができ、画像濃度、発色性、色再現性、文字にじみ、色境界にじみ、両面印刷性、定着性等を大幅に改善することができる。
このようなインクを使用する場合に好ましい駆動波形の一例について、図7及び図8を参照して説明する。
駆動波形生成部301からは1印刷周期(1駆動周期)内に、図7に示すように、基準電位Veから立ち下がる波形要素と、立下り後の状態から立ち上がる波形要素などで公正される、8個の駆動パルスP1ないしP8からなる駆動信号(駆動波形)を生成して出力する。一方、データ転送部302からの滴制御信号M0〜M3によって使用する駆動パルスを選択する。
ここで、駆動パルスの電位Vが基準電位Veから立ち下がる波形要素は、これによって圧電素子121が収縮して加圧液室106の容積が膨張する引き込み波形要素である。また、立下り後の状態から立ち上がる波形要素は、これによって圧電素子121が伸長して加圧液室106の容積が収縮する加圧波形要素である。
そして、データ転送部302からの滴制御信号M0〜M3によって、小滴(小ドット)を形成するときには図8(a)に示すように駆動パルスP1を選択し、中滴(中ドット)を形成するときには図8(b)に示すように駆動パルスP4ないしP6を選択し、大滴(大ドット)を形成するときには図8(c)に示すように駆動パルスP2ないしP8を選択し、微駆動の(滴吐出を伴わないでメニスカスを振動させる)ときには図8(d)に示すように微駆動パルスP2を選択して、それぞれ記録ヘッド7の圧電素子121に印加させるようにする。
中滴を形成する場合、駆動パルスP4にて1滴目、駆動パルスP5にて2滴目、駆動パルスP6にて3滴目を吐出させ、飛翔中に合体させて一滴として着弾させる。このとき、圧力室(液室106)の固有振動周期をTcとすると、駆動パルスP4とP5の吐出タイミングの間隔は2Tc±0.5μsが好ましい。駆動パルスP4とP5は、単純引き打ち波形要素で構成されているため、駆動パルスP6も同様の単純引き打ち波形要素にするとインク滴速度が大きくなりすぎてしまい、他の滴種の着弾位置からずれてしまうおそれがある。そこで、駆動パルスP6は、引き込み電圧を小さくする(立下りの電位を少なくする)ことでメニスカスの引き込みを小さくし、3滴目のインク滴速度を抑えている。ただし、必要なインク滴体積をかせぐために立ち上げ電圧は小さくしない。
つまり、複数の駆動パルスのうちの最終駆動パルスの引き込み波形要素では引き込み電圧を相対的に小さくすることによって、当該最終駆動パルスによる滴吐出速度を相対的に小さくして、着弾位置を他の滴種と極力合わせるようにすることができる。
また、微駆動パルスP2とは、ノズルのメニスカスの乾燥を防ぐため、インク滴を吐出させずにメニスカスを振動させる駆動波形である。非印字領域ではこの微駆動パルスP2が記録ヘッド7に印加される。また、この微駆動波形である駆動パルスP2を、大滴を構成する駆動パルスの一つとして利用することにより、駆動周期の短縮化(高速化)を達成することができる。
さらに、微駆動パルスP2と駆動パルスP3の吐出タイミングの間隔を、固有振動周期Tc±0.5μsの範囲内に設定することにより、駆動パルスP3によって吐出するインク滴の体積をかせぐことができる。つまり、微駆動パルスP2によって生じた振動周期によって加圧液室106の圧力振動に駆動パルスP3による加圧液室6の膨張を重畳させることによって駆動パルスP3で吐出できる滴の滴体積を駆動パルスP3単独で印加する場合よりも大きくすることができる。
なお、インクの粘度によって必要な駆動波形が異なることから、この画像形成装置においては、図9に示すように、インク粘度が5mPa・sのときの駆動波形、同じく粘度が10mPa・sのときの駆動波形、同じく20mPa・sのときの駆動波形をそれぞれ用意し、温度センサからの検出温度からインク粘度を判定して、使用する駆動波形を選択するようにしている。
つまり、インク粘度が小さいときは駆動パルスの電圧を相対的に小さく、インク粘度が大きいときは駆動パルスの電圧を相対的に大きくすることにより、インク粘度(温度)によらずインク滴の速度及び体積を略一定に吐出させることができる。また、駆動パルスは、インク粘度に合わせて波高値を選択することにより、インク滴を吐出させることなくメニスカスを振動させることができる。
このような駆動パルスから構成される駆動波形を使用することによって、大中小の各滴が用紙に着弾するまでの時間を制御することができ、吐出開始の時間が大中小の各滴で異なっても、各滴をほぼ同じ位置に着弾させることが可能となる。
(画像形成システムの構成)
次に、画像形成装置に接続された画像処理装置に記憶された画像形成プログラムを実行して、画像形成装置により印刷画像を出力する画像形成システムの一実施形態について図10を参照して説明する。画像形成システムは、パーソナルコンピュータ(PC)などからなる1又は複数台の画像処理装置400と、インクジェットプリンタ(画像形成装置)500とが、所定のインタフェース又はネットワークで接続されて構成されている。
画像処理装置400は、図11に示すように、CPU401と、メモリ手段である各種のROM402やRAM403とが、バスラインで接続されている。このバスラインには、所定のインタフェースを介して、ハードディスクなどの磁気記憶装置を用いた記憶装置406と、マウスやキーボードなどの入力装置404と、LCDやCRTなどのモニタ405と、図示しないが、光ディスクなどの記憶媒体を読み取る記憶媒体読取装置が接続され、また、インターネットなどのネットワークやUSBなどの外部機器と通信を行なう所定のインタフェース(外部I/F)407が接続されている。
画像処理装置400の記憶装置406には、本発明に係る画像補正プログラムを含む画像処理プログラムが記憶されている。画像処理プログラムは、記憶媒体から記憶媒体読取装置により読み取って、あるいは、インターネットなどのネットワークからダウンロードするなどして、記憶装置406にインストールしたものである。このインストールにより画像処理装置400は、以下のような画像処理を行なうために動作可能な状態となる。なお、画像処理プログラムは、所定のOS上で動作するものであってもよい。また、特定のアプリケーションソフトの一部をなすものであってもよい。
なお、以下に説明する画像形成はインクジェットプリンタ側で実施することができるが、この例では、インクジェットプリンタ500側では、装置内に画像の描画又は文字のプリント命令を受けて実際に記録するドットパターンを発生する機能を持たない例で説明する。すなわち、ホストとなる画像処理装置400で実行されるアプリケーションソフトなどからのプリント命令は、画像処理装置400内にソフトウェアとして組み込まれたプリンタドライバで画像処理されてインクジェットプリンタ500が出力可能な多値のドットパターンのデータ(印刷画像データ)が生成され、それがラスタライズされてインクジェットプリンタ500に転送され、インクジェットプリンタ500が印刷出力される例で説明する。
具体的には、画像処理装置400内では、アプリケーションやオペレーティングシステムからの画像の描画又は文字の記録命令(例えば記録する線の位置と太さと形などを記述したものや、記録する文字の書体と大きさと位置などを記述したもの)は描画データメモリに一時的に保存される。なお、これらの命令は、特定のプリント言語で記述されたものである。
そして、描画データメモリに記憶された命令は、ラスタライザによって解釈され、線の記録命令であれば、指定された位置や太さ等に応じた記録ドットパターン(印字データ)に変換され、また、文字の記録命令であれば画像処理装置400内に保存されているフォントアウトラインデータから対応する文字の輪郭情報を呼びだし指定された位置や大きさに応じた記録ドットパターンに変換され、イメージデータであれば、そのまま記録ドットパターンに変換される。
その後、これらの記録ドットパターンに対して画像処理を施してラスタデータメモリに記憶する。このとき、画像処理装置400は、直交格子を基本記録位置として、記録ドットパターンのデータにラスタライズする。画像処理としては、例えば色を調整するためのカラーマネージメント処理(CMM)やγ補正処理、ディザ法や誤差拡散法などの中間調処理、さらには下地除去処理、インク総量規制処理などがある。そして、ラスタデータメモリに記憶された記録ドットパターンがインタフェースを経由してインクジェットプリンタ500へ転送されるものである。
なお、インクジェットプリンタ500を用いてコピーする場合は、インクジェットプリンタ500で記録ドットパターンに中間調処理などを施す必要があり、その場合、印刷制御部207が、スキャンされた画像データに対し、前述したような処理を行って中間調処理などが行われた記録ドットパターンを生成する。
(画像処理部)
本実施形態では、画像形成方法として、記録媒体に対して1回の主走査で画像を形成する、いわゆる1パス印字を用いても良いし、記録媒体の同一領域に対して同一のノズル群あるいは異なるノズル群によって複数回の主走査を行うことで画像を形成する、いわゆるマルチパス印字を用いても良い。また、主走査方向にヘッドを並べて、同一領域を異なるノズルで打ち分けても良い。これらの記録方法は適宜組み合わせて用いることができる。
以下、マルチパス印字について説明する。図12は、本実施形態の画像処理部600を概略的に示すブロック図である。図中、601は入力端子、602は記録バッファ、603はパス数設定部、604はマスク処理部、605はマスクパターンテーブルを示している。
画像処理装置400から送信されたビットマップデータ(印字データ)は、入力端子601から入力され、記録バッファ制御部により、記録バッファ602の所定のアドレスに格納される。記録バッファ602は1スキャンと紙送り量分のビットマップデータを格納できる容量を有し、FIFOメモリのような紙送り量単位のリングバッファを構成している。
記録バッファ制御部は、記録バッファ602を制御し、1スキャン分のビットマップデータが記録バッファ602に格納されるとプリンタエンジンを起動し、記録ヘッドの各ノズルの位置に応じて記録バッファ602よりビットマップデータを読み出し、パス数設定部603に入力する。また、記録バッファ制御部は、入力端子601から次回のスキャンのビットマップデータが入力されると、記録バッファ602の空き領域(記録が完了した紙送り量に相当する領域)に格納するように記録バッファ602を制御する。
次に、画像形成装置におけるパス数設定部603のより具体的構成例を説明する。パス数設定部603では分割パス数を決定し、そのパス数をマスク処理部604へ出力する。マスクパターンテーブル605では予め格納されているマスクパターンテーブル、例えば、1パス記録、2パス記録、4パス記録、8パス記録のマスクパターンから、必要なマスクパターンを決定された分割パス数に応じて選択し、マスク処理部604に出力する。
マスク処理部604は記録バッファ602に格納されているビットマップデータを、マスクパターンを用いてパス記録毎にマスクしてヘッドドライバ208に出力すると、ヘッドドライバ208ではそのマスクされたビットマップデータを記録ヘッド7が用いる順に並び替え、記録ヘッド7に転送する。
なお、記録バッファ602は、例えばRAM203で実現され、マスクパターンテーブルは例えばROM202に記憶される。パス数設定部603及びマスク処理部604は、印刷制御部207、印刷制御部207及びCPU201の組み合わせ、又はCPU201のいずれかで実現されうる。記録バッファ制御部はCPU201で実現されうる。
(色ムラ発生のメカニズム)
以下、本実施形態に係る画像形成装置による印字ムラ(色ムラ)制御について説明するが、先ず、色ムラ発生のメカニズムについて説明する。なお、本実施形態では、色ムラを表現する特性として明度を用いて説明するが、色ムラとは色の不均一性をいうものであり、例えば、濃度や彩度のような明度以外の特性についても同義である。
画像形成装置を用いて印字をする場合、仮にヘッド7内のすべてのノズルの吐出特性が均一(色ムラのないヘッド)であれば、図13に示すような色ムラのない均一な画像が形成可能である。しかしながら、ヘッド7内の各ノズルの吐出特性が不均一(色ムラのあるヘッド)である場合、図14に示すように、ヘッド幅の領域内で色ムラが目立ってしまう。なお、図13および図14は、3回の走査(スキャン)を実行することによって、図中右側に示す完成画像700を完成させる場合を模式的に示した説明図である。
また、図14に示す色ムラのあるヘッド7を用いた画像形成結果について、1スキャン内での色変化が許容範囲であったとしても、次のスキャンとの境界部分700a,700bでは、色変化のギャップが発生し、画像不具合となってしまう。
また、解像度や吐出安定性を高めるためにマルチスキャンにて画像形成をすることがあるが、色ムラのあるヘッド7を用いて、複数回同じ領域をスキャンして画像形成を行うと、色変化を、さらに強調してしまうことに繋がる。
次に、色ムラを生じる要因について説明する。例えば、図15(a)に示すように、核ノズルが吐出するドットの大きさおよびその着弾位置が均一の場合は、色ムラは発生しない。一方で、ノズルごとの製造ばらつき等によって、吐出するドットの大きさ、形状、着弾位置等が異なる場合は、図15(b),(c)に示すように、紙面のインク被覆にムラができ、これが色ムラとなる。
また、インクジェット方式の画像形成装置では、滴を吐出する際に、吐出中の滴の尾引きなどによって本来吐出したいドットとは別に意図しないドットを形成してしまうことがある(サテライトと呼ばれる)。サテライトの発生を完全に無くすことは難しく、着弾位置も制御不可能なことが多いため、ノズルによって、サテライトの有無や着弾位置にばらつきが出る(図15(d))ことによっても、色ムラを生じることがある。
このため、ヘッド7の吐出特性を補正して、各ノズルの吐出特性を均一にし、色ムラを低減することが重要となる。ヘッド7の吐出特性の補正方法としては、例えば、ヘッド7に印加する駆動電圧を調整することで、ドット径を制御し、色ムラを補正する方法が考えられるが、ヘッド内部のような細かい単位について電圧を補正することは難しく、装置の構成を複雑化し、装置のコストアップに繋がってしまう。
また、電圧によりドット径を制御する場合、そのノズルの吐出の強さを一律に変えることになるが、色ムラの問題は、出力する階調によって影響の出方が異なる。例えば、図16に示すヘッド7における一部のノズル(図中の領域7aにおけるノズル)が、所望のドット径よりも大きくなってしまうノズルであった場合、図16(a)に示すように、ベタ付近(階調高)においては、すでに紙面がほぼ埋まった状態であるので、紙面のインク被覆量に差は出にくく色ムラは生じにくいが、図16(b),(c)に示すように、ドット形成量の少ない階調(階調中、階調低)においては、ドットの大きさが紙面のインク被覆量につながりやすく色ムラが顕著になりやすい。
また、記録周波数(記録密度)が異なることによりばらつき方が異なることがある。インクジェット方式の画像形成装置では、ヘッド7の液室に圧力を加えることでインクを吐出しているため、同じ大きさの液滴を飛ばすように制御していても、滴の吐出周期によって滴面の振動や液室へのインク供給速度が異なることになり、結果としてドットの吐出特性が吐出周期によって異なるというものである。
これにより、例えば、図17(a)〜(c)に示すように、印字データ上は同じドットを形成したとしても、記録周波数が高い場合と、低い場合とで実際の紙面上に着弾するドットには差が出てしまうことがある。
また、本実施形態の画像形成装置は、上述のように、例えば、大きさの異なるドット(大滴/中滴/小滴)を打ち分けて、複数種類の多値の液滴を吐出する(図8参照)ため、滴種によってノズル液面の振動の仕方が異なり、滴種によってばらつき方が異なる場合もある。このような場合に、特定の滴だけばらつきやすかったりすることも考えられる。図18(a)〜(c)は、滴種によって特性が異なる場合の印字結果の例であって、(b)中滴のみ特性が一部異なる例を示している。
このような特性のばらつきがある場合、上記の電圧による補正のように吐出の強さを一律に制御するような補正方法では、階調ごとに異なる特性の差を補正しきれず、補正結果が、逆に色ムラを悪化させることにも繋がる。
このため、ノズルだけでなく、各ノズルが出力する階調についても色補正をする必要があり(階調補正)、これはγ補正(入出力機器のガンマ値に応じた最適のカーブに画像の階調を補正する)のように入出力特性を補正することが好ましい。
しかしながら、上述のように、ノズルごとのような細かい単位で補正を行なうためには、「ヘッド数×ノズル数×階調数」と膨大な数の補正パラメータが必要になる。また、印字モードや装置環境変化によっても、色ムラの出方が異なる場合もあるため、これらも補正するとなるとさらに膨大な数のパラメータが必要になり、装置上に各種の測定器を搭載して、リアルタイムで補正を行なう場合などにおいては、測定用の画像出力枚数や、測定点数や、パラメータの作成数等、補正に要する工数が膨大なものとなってしまう。そこで、全てのノズルについて異なる補正を行うことは現実的ではなく、ある程度大きな領域単位で補正を行なうことが、画像形成装置の補正制御としては現実的な補正制御であるといえる。
しかしながら、上述のように、補正領域の境界部分において、明度差やパターン変化等の問題が起きることとなる。すなわち、例えば、図19(a)に示すようにヘッド7の上から下に向かって明度傾斜のあるヘッド(図中、ヘッド上側の明度が高く、ヘッド下側に向かうに連れて明度が低くなる特性を有するヘッド)があったとすると、これを2つの領域に分割して補正を行う場合、例えば、図19(b)に示すように、それぞれの領域の平均値を合わせることが考えられる。
図19(b)に示すように、平均値を求めて補正を行う場合、ヘッド内の明度の最大値と最小値との差は減少する。また、ヘッド上端とヘッド下端との明度差も減るため、ヘッドを改行した際(次の領域でのスキャン)における改行の繋ぎ目での明度差も減少する。しかしながら、補正領域の切り替え部分(すなわち、ヘッド7の中間部分)701では、新たな明度差が生じることになり、これが色ムラに繋がることとなる。
さらに、階調補正は、ドットの大きさや着弾位置の差を、形成するドットの数と配置で補正するものであるため、図20に示すように、マクロでの明度が合っていても、ドット配置の違いにより、補正領域1と補正領域2とのパターンの差が目立つこともある。なお、本明細書では、このドット配置の違いによるパターンの差についても色ムラに含めて捉えるものとする。
(色ムラ低減制御)
そこで、本実施形態に係る画像形成装置は、記録液(インク)を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッド(ヘッド7)を有し、ヘッド7から記録液を記録媒体(用紙12)に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置であって、ヘッド7を複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとにヘッド7の補正パラメータを作成し、該補正パラメータに基づいて補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段240を備え、補正領域は、図21に示すように、隣接する補正領域(領域1、領域2)との境界部において、補正領域と該補正領域に隣接する補正領域が2次元的に混在配置する混在領域(混在領域702、図22)を有するように分割するものである。
すなわち、ヘッド7を複数の補正領域に区切った上で補正を行う際に、その補正領域の区切り方について、その境界を直線的に区切るのではなく、境界近辺の領域(境界領域)において、互いの領域が2次元的に入り組む形状を有するように領域分割するものである。換言すれば、隣接する2つの補正領域について、適用する補正パラメータの異なる領域を直線的には形成せず、その境界周辺において、両方の補正領域についての補正パラメータが混在するように領域を区切るものである。以下、両方の補正領域についての補正パラメータが混在する領域を混在領域という。
補正手段240による補正領域の区切り方について図21を参照して説明する。先ず、図21(a)は、図19で説明したように、通常(直線状)の補正領域の区切りを示している(比較例)。これに対し、図21(b)〜(e)は、それぞれ、境界領域が(b)短冊状、(c)波状、(d)ブロック状、(e)グラデーション状であって、2次元的に、隣接する領域に入り組むように領域分割がなされている。
このような処理を施すことで、いずれも補正パラメータは2つ(領域数)であるが、図22に示されるように、混在領域702では、明度についても互いの領域の補正パターンが混在するため、明度差を滑らかに変化させることが可能となり、かつ、双方のドット配置が2次元的に混在するため、パターンの切り替えが目立ちにくくなる。
なお、補正領域の区切り方は、図21に示すような、短冊状のものや山切り、三角関数など波形状で区切るもの、チェッカーフラッグのようにブロック状に区切るもの、相手側領域に向かってグラデーションするような区切りに限られるものではなく、例えば、誤差拡散処理やブルーノイズマスクなどの配置をベースにして領域を区切ることも、境界領域において双方の特性がより細かい単位で入り混じるため好ましい。
なお、図21に示す例では、ヘッド7を2つの補正領域に区切る例について説明したが、3以上の補正領域に区切るようにしても良いのは勿論である。
ここで、混在領域は、ヘッド長手方向に広くとったほうが隣接する補正領域の混じり合う領域が増え補正効果が高くなるため好ましい。
したがって、形成する補正領域の大きさ(広さ)に応じて、混在領域の大きさを変化させることが好ましい。例えば、ヘッド7のノズル数が多く、1つの補正領域を大きくとる場合には、混在領域も広くとることで、領域間の明度差、パターン差をより平滑化することができる。
また、補正領域間の明度差、パターン差を平滑化するために、隣接する双方の補正領域の明度差、傾き等に応じて、混在領域の大きさを変化させることが好ましい。また、隣接する双方の補正領域の測色結果の差が所定範囲内となるように、混在領域の大きさを決定することが好ましい。さらに、混在領域は、互いに隣接する相手方の補正領域に入っていくに連れて、相手方の補正領域の占める割合が増加する形状であること(例えば、図21(c)参照)であることが好ましい。
なお、上記の補正手段240による領域を区切る処理は、例えば、適用する補正領域の形状を示したマスクパターン(領域分割マスクと呼ぶ)を、ROM202に予め記憶させておき、入力データにマスク処理をかけて領域分割し、それぞれの領域に割り当てた補正パラメータで補正するものである(後述する)。
以下、本実施形態に係る画像形成装置が実行する補正処理(本発明の画像補正方法)について説明する。図23は、画像形成装置が実行する補正処理を示すフローチャートである。
先ず、パッチ出力手段220は、図24に示すように複数(1,2,・・・n)の測定領域(測定点)からなる階調パッチ703を印刷し(S101:パッチ出力処理)、パッチ読取手段230によって、画像情報を測定する(S102:パッチ読取処理)。ここで、画像情報とは、例えば、明度、濃度、彩度、または画像輝度などをいい、これらがヘッド内で補正の必要がないほどにばらつきのない状態(フラット)になるように入出力特性を補正するものである。なお、本実施形態では、画像情報として明度を例に説明する。
次に、補正手段240が実行する補正処理について説明する。まず、パッチ読取手段230の測定結果のうち、階調パッチ703の各領域のうちで、ベタ部703aの明度がもっとも低い領域を検索する(S103)。当該領域をベタの狙い値(所望値)とし、ベタの狙い値と紙面を結び補正の狙いとする階調特性を作成する(S104)。これは、階調補正がドットを増減することで色調整するものであって、ベタのようにそれ以上ドットを増やせない領域においてはそれ以上明度を下げることはできず、明度の高い場所に合わせて補正する必要があるからである。
そして、各領域の階調データから明度特性が狙いの値となるように各領域の補正曲線を作成する、例えば、製品の階調特性の狙いが明度リニア(焼き込み)の場合は、紙面とベタ狙い値を明度リニアにつないだ特性を補正の狙いとするものである(S105)。なお、当該処理は、実際の製品としての画像形成装置がどのような階調特性を狙いとして設計されるかによるため、適宜決め方を設定しておけばよい。本実施形態では、ベタと紙面とを明度リニアで繋いだ特性を狙いとする例について説明する。
また、ベタの狙い値については、上述のように、原則として明度の高い領域に他の領域を合わることとなるため、この値が所定値を満たしていない場合、ヘッドに印加する電圧を上げるなどしてベタの明度が基準を満たすような工程を入れた上で上記の補正手順を実施してもよい。狙いの特性が決まったら、各測定領域について測定データより、出力値が狙いの特性に最も近づく入出力補正曲線を作成すればよい。
また、階調の測定点については、例えば、256階調であれば256点全てを測定し、補正を行うようにしてもよいが、測定する階調数を減らし、それをスプライン等の近似曲線にて階調特性を作成して、その階調特性に基づいて補正を行なうことも好ましい。
階調数が多い場合、印字のムラなどによって画像パッチに階調逆転が発生していた場合に逆補正をかけてしまうことも生じ得るため、製品の出力画像のダイナミックレンジや印刷ばらつきに応じて適宜増減させることが好ましい。
また、上記の補正処理の実行前に、画像形成装置は、所定のメンテナンス動作や、ノズルチェックチャートを印字して吐出不良がないことを確認する処理を実行した後に、上記補正処理を実行することがより好ましい。
なお、上記補正処理は、製品出荷前の製造工程で行うようにしても良いし、画像形成装置に、センサ、スキャナ、測色器等のパッチ読取手段を搭載して、出荷後に、パッチ読取、補正パラメータ作成を行うようにしても良い。すなわち、階調パッチ703を印字するパッチ出力手段(印刷制御部207等で構成される)220と、センサ等のパッチ読取手段230を必ずしも備える必要はない。なお、出荷後に、パッチ読取、補正パラメータ作成を行う場合は、補正パラメータの作成に要する時間や手間が重要となるため、上述のように、測定階調数を減らし、近似式にて階調特性を作成し補正をする等により、補正処理の工数を減らすことが好適である。
図25は、補正パラメータの適用について説明するフローチャートである。補正パラメータの反映は、先ず、入力された画像データについて(S201)、モニタ表示用の色空間から記録装置用の色空間への変換(RGB表色系→CMY表色系)処理(CMM(Color Management Module),S202)によりCMYKデータに変換した後に、黒生成/下色除去を行なうBG/UCR(black generation/Under Color Removal)処理(S203)、総量規制処理(S204)を行い、図26に示すような補正領域の分割形状を記録した領域分割マスク704によってデータを複数の領域に分割し(S205)、分割領域にそれぞれ求めた補正パラメータを適用して入出力補正をかけたのち(S206)、中間調処理(S207)にて多値化し(S208)、出力する(S209)ものである。なお、図26に示す例では、「1」を領域1、「2」を領域2に振り分けられる領域分割マスク704を示している。このように、補正パラメータの適用に際しては、記録ヘッド7に応じた補正パラメータをROM202に保存しておき、印刷条件に応じて、該当する補正パラメータを適用して印字すればよい。
以上の処理により、適用する補正パラメータの数を大幅に削減しつつ、境界部の色、パターンを平滑化して、良好な補正を行なうことができる。
なお、ヘッド7の特性変化はヘッドごとに異なることもあるため、以上の補正は各ヘッド7について行うことが好ましい。
また、画像形成装置の印字モードの設定により、同じヘッド7を用いていてもドットの埋め方が変わるため、入出力の補正曲線も変える必要がある。また、装置を使用する温湿度環境(温湿度センサで検出される)によっても、インクの粘度特性等がふられるため、補正曲線が変わる場合もある。
したがって、印刷モードや、温湿度に応じた補正パラメータをROM202に保存しておき、印刷条件に応じて、該当する補正パラメータを適用して印字することも好ましい。これにより、印刷モード、装置環境それぞれに最適な補正を実施することが可能になる。
また、上述したように、入出力階調を制御する補正は、基本的には明度の低い特性を明度の高い特性に合わせこむものである(ドットの数を増やせる中間階調においてはこの限りではない)。すなわち、大きなドットを吐出している部分については、ドットを間引いていくことになるため、画像情報の欠落が生じないようにすることが必要となる。特に、文字や細線などの画像は、その細さから色ムラは認識されにくく、ドットの欠落や明度の低さなど画像のディティールや視認性が品質を左右することとなる。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置は、印刷データの画像オブジェクトに応じて、選択的に補正を実施する手段を備えることが好ましい。例えば、文字や細線オブジェクト(所定ポイント以下で描画されるオブジェクトをいう)については、補正を実施しない、または、引加電圧によるベタ濃度の補正のみ実施することで文字、細線品質を保ちながら色ムラを軽減することが可能になる。
[第2の実施形態]
以下、本発明に係る画像形成装置のその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。
本実施形態に係る画像形成装置は、図27に示すような記録ヘッド7をノズル列方向に複数個繋いだヘッド(繋ぎヘッド7tという)を備え、繋ぎヘッド7tを用紙搬送方向と直交する方向に往復移動することで画像形成を行うシリアル方式の画像形成装置であって、上記の補正処理を実行するものである。
基本となる構成(4ヘッド)は、上記第1の実施形態で説明した画像形成装置と同様であるが、ヘッド7を長尺方向に複数並んで有するため、ヘッド内部に加えて、繋ぎ合わせている隣接ヘッドとの明度差も問題となる。
繋ぎヘッド7tを構成する各ヘッド7の内部特性がフラットであれば、各ヘッド7をヘッド単位で補正すれば良いが、ヘッド内部に明度差を持っている場合、明度差が1回のスキャン内においても生じえる(図14参照)。
このため、本実施形態では、まず、上述の補正処理によって各ヘッド内での特性をフラットに補正し、さらに、ヘッド間での特性差について補正するものである。なお、ヘッド間での補正も、ヘッド内の領域間の補正と同様に実行可能である。
なお、ヘッド間での補正の場合、上述のように階調補正は、ベタ部についてはそれ以上明度を低くすることはできないため、補正する複数のヘッドで一番明度の高い部分がベタの目標値として補正曲線を形成すればよい。また、ベタの目標値が所定値を満たさない場合は、電圧の補正によってベタの明度が基準を満たすように調整した後に、階調補正を実施することがより好ましい。
ここまで、繋ぎヘッドを有する画像形成装置を例に説明したが、ライン方式の画像形成装置についても、以上述べた印字制御を行うことにより同様の効果を得ることができる。図28は、ライン方式の画像形成装置による印字の様子を示している。
この画像形成装置は、用紙12の用紙幅に渡って、記録ヘッドがつなぎ合わされたラインヘッドユニット7lが配置され、ノズル列と直交する方向に用紙を搬送させて画像形成を行うものである。このようなライン方式の画像形成装置では、原則として1パスで画像を形成するため、ヘッドの特性ムラがそのまま画像品質を左右してしまう。よって、色ムラの補正は特に重要となる。
ライン方式の画像形成装置では、制御対象となるヘッド数は、シリアル機の数倍〜数十倍と大幅に増大する。したがって、上述の補正処理を行うことで、1ヘッドごとの補正処理量を低減することで、全体の処理量を大幅に削減することが可能となるため、上述の補正処理を適用することが非常に効果的である。
以上説明したように、複数のヘッドを繋げた繋ぎヘッドを備えた画像形成装置、およびライン方式の画像形成装置においても、簡易な構成により、補正プロセスを大幅に提言して、ヘッドの出力特性を補正することが可能となる。よって、色ムラの発生を抑えたインクジェット記録装置とすることができ、色ムラのない良好な記録物を得ることができる。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
1 ガイドロッド
2 ガイドレール
3 キャリッジ
4 主走査モータ
5 タイミングベルト
6A 駆動プーリ
6B 従動プーリ
7,7y,7c,7m,7k 記録ヘッド(ヘッド)
7l ラインヘッド
7t 繋ぎヘッド
8 サブタンク
9 インク供給チューブ
10 給紙カセット
11 用紙積載部(圧板)
12 用紙(記録媒体)
13 半月コロ(給紙ローラ)
14 分離パッド
15 ガイド
21 搬送ベルト
22 カウンタローラ
23 搬送ガイド
24 押さえ部材
25 押さえコロ
26 帯電ローラ
27 搬送ローラ
28 テンションローラ
29 ガイド部材
31 副走査モータ
32 タイミングベルト
33 タイミングローラ
34 スリット円板
35 エンコーダセンサ
36 ロータリエンコーダ
51 分離爪
52 排紙ローラ
53 排紙コロ
54 排紙トレイ
56 維持回復機構
57 キャップ
58 ワイパーブレード
59 空吐出受け
61 両面給紙ユニット
101 流路板
102 振動板
103 ノズル板
104 ノズル
105 ノズル連通路
106 液室
107 流体抵抗部(供給路)
108 共通液室
109 インク供給口
121 圧電素子
122 ベース基板
123 支柱部
126 FPCケーブル
130 フレーム部材
131 貫通部
132 インク供給穴
151 圧電材料
152 内部電極
153 個別電極
154 共通電極
200 制御部
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 不揮発性メモリ(NVRAM)
205 ASIC
206 ホストI/F
207 印刷制御部
208 ヘッドドライバ(ドライバIC)
210 モータ駆動部
212 ACバイアス供給部
213 I/O
214 操作パネル
220 パッチ出力手段
230 パッチ読取手段
240 補正手段
301 駆動波形生成部
302 データ転送部
311 シフトレジスタ
312 ラッチ回路
313 デコーダ
314 レベルシフタ
315 アナログスイッチ
400 画像処理装置
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 入力装置
405 モニタ
406 記憶装置
407 外部I/F
500 インクジェットプリンタ
600 画像処理部
601 入力端子
602 記録バッファ
603 パス数設定部
604 マスク処理部
605 マスクパターンテーブル
700 完成画像
701 補正領域の切り替え部
702 混在領域
703 階調パッチ
704 領域分割マスク
特開2006−224419号公報

Claims (16)

  1. 記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを複数有し、
    該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置において、
    前記記録ヘッドを複数の補正領域に分割する際、互いに隣接する補正領域の境界部において、互いに隣接する補正領域のそれぞれが入り組んだ形状を有するように分割し、
    分割された補正領域ごとに前記記録ヘッドの補正パラメータを作成し、該補正パラメータに基づいて前記補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段を備え、
    前記補正手段は、複数の前記記録ヘッドのそれぞれについて、前記補正パラメータを作成し、前記補正領域ごとに入出力特性を補正するものであって、かつ、互いに隣接する補正領域について、双方の補正領域での入出力特性差に応じて、前記境界部における入り組んだ形状部分の大きさを変化させることを特徴とする画像形成装置。
  2. 互いに隣接する補正領域について、前記境界部における入り組んだ形状部分においては、互いに相手方の補正領域に向かうに連れて、該相手方の補正領域の占める割合が増加する形状であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記補正領域の大きさに応じて、前記境界部における入り組んだ形状部分の大きさを変
    化させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記補正手段は、少なくとも前記境界部における入り組んだ形状部分についての領域の振り分け方を示すマスクパターンを画像データに適用して、前記補正領域に分割することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 画像パッチを印字出力するパッチ出力手段と、
    前記画像パッチの測色結果を取得するパッチ読取手段と、を備え、
    前記補正パラメータは、前記パッチ読取手段による前記画像パッチの測色結果に基づいて算出されることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 互いに隣接する補正領域について、双方の補正領域での測色結果の差が所定範囲内となるように、前記境界部における入り組んだ形状部分の大きさを変化させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記補正手段は、前記記録ヘッドの前記ノズルが吐出するドットの大きさ、および/または、ドット数を変えることにより前記補正領域ごとの入出力特性を補正することを特徴と請求項1から6までのいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 前記補正パラメータ、および/または、前記補正領域の形状は、当該装置の印刷モードに応じて変更することを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 当該装置の温湿度環境を検知する温湿度センサを備え、
    前記補正パラメータ、および/または、前記補正領域の形状は、前記温湿度センサによる検知結果に応じて変更することを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 前記補正手段は、画像データのオブジェクトに応じて、入出力特性の補正の実行の可否、および/または、前記補正パラメータの変更を行うことを特徴とする請求項1から9までのいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 前記補正手段は、前記オブジェクトが、文字、および/または所定ポイント以下で描画されるオブジェクトである場合に、入出力特性の補正を行わないことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記記録ヘッドを2以上ノズル列方向に並べた繋ぎ記録ヘッドを備え、
    該繋ぎ記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直行方向に相対移動することによって画像形成することを特徴とする請求項1から11までのいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 前記記録ヘッドを2以上ノズル列方向に並べた記録ヘッドユニットを備え、
    該記録ヘッドユニットのノズル列と直行方向に記録媒体を搬送することで画像形成することを特徴とする請求項1から11までのいずれかに記載の画像形成装置。
  14. 前記補正パラメータおよび補正領域の形状は、前記記録ヘッドごとに異なることを特徴とする請求項12または13に記載の画像形成装置。
  15. 記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを複数有し、
    該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置における画像補正方法において、
    前記記録ヘッドを複数の補正領域に分割する際、互いに隣接する補正領域の境界部において、互いに隣接する補正領域のそれぞれが入り組んだ形状を有するように分割し、
    分割された補正領域ごとに前記記録ヘッドの補正パラメータを作成し、該補正パラメータに基づいて前記補正領域ごとに入出力特性を補正する補正処理を行うものであって、
    前記補正処理は、複数の前記記録ヘッドのそれぞれについて、前記補正パラメータを作成し、前記補正領域ごとに入出力特性を補正するものであって、かつ、互いに隣接する補正領域について、双方の補正領域での入出力特性差に応じて、前記境界部における入り組んだ形状部分の大きさを変化させることを特徴とする画像補正方法。
  16. 記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを複数有する画像形成装置が、前記記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う際に用いられる画像補正プログラムにおいて、
    コンピュータに、
    前記記録ヘッドを複数の補正領域に分割する際、互いに隣接する補正領域の境界部において、互いに隣接する補正領域のそれぞれが入り組んだ形状を有するように分割する処理と、
    分割された補正領域ごとに前記記録ヘッドの補正パラメータを作成し、該補正パラメータに基づいて前記補正領域ごとに入出力特性を補正する補正処理と、を実行させるものであって、
    前記補正処理は、複数の前記記録ヘッドのそれぞれについて、前記補正パラメータを作成し、前記補正領域ごとに入出力特性を補正するものであって、かつ、互いに隣接する補正領域について、双方の補正領域での入出力特性差に応じて、前記境界部における入り組んだ形状部分の大きさを変化させることを特徴とする画像補正プログラム。
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