JP5800656B2 - 衛生用紙の製造方法 - Google Patents
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Description
又、ティシュペーパーやトイレットペーパーのウェブの表面にスプレー等で薬液を塗布(外添)して柔軟性を改善する技術として、ヤンキードライヤー又はプレスパート上のシートに、カチオン系化合物、非イオン界面活性剤、有機酸又は無機酸、及び有機溶剤からなる自己乳化型柔軟組成物を付与する技術が開示されている(特許文献2)。
さらに、ティッシュペーパーの折り加工設備で、スプレーや印刷により柔軟剤や保湿剤からなる薬剤成分を塗布する技術が開示されている(特許文献3,4)。
従って本発明は、ペーパーマシンでウェブへ水溶性の風合い改善剤を付与した場合に断紙が発生しにくい衛生用紙及の製造方法の提供を目的とする。
前記水溶性保湿剤は前記原紙への添加量が乾燥繊維重量比で1〜15wt%であり、多価アルコール、糖類、及びアミノ酸系化合物の群から選ばれる少なくとも1つからなり、
前記原紙の抄紙工程で、前記原紙にポリアクリルアミド、ポリアミド・エピクロヒドリン、グリオキザール・ポリアクリルアミド共重合物、ジアルデヒドスターチ又はカチオン変性デンプンからなる一時性湿潤紙力増強剤を内添し、プレスパートのフェルトから前記原紙を転送したヤンキードライヤーの出口から前記原紙を巻き取るリールの間で、前記風合い改善剤を前記原紙の前記片面に、水分を含む液量として前記原紙の乾燥繊維重量の6wt%を超え10wt%以下の割合で噴霧する。
なお、後述するように、本発明の実施形態に係る衛生用紙はクレーピングされていることが好ましい。
ティシュペーパー用又はトイレットペーパー用の原紙は、パルプを含む抄紙原料を抄紙して製造される。パルプは、例えば針葉樹パルプ又は広葉樹パルプなどのバージンパルプや、古紙から再生した古紙パルプを用いることができる。これらパルプは衛生用紙の品質に大きく影響するので、要求品質に合わせて所定の種類及び配合割合で適宜配合される。抄紙原料は、要求品質及び操業の安定のために様々な薬品を添加(内添)してもよく、これら薬品としては、柔軟剤、嵩高剤、染料、分散剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、歩留向上剤などが挙げられる。
原紙は例えば、坪量7〜40g/m2とすることができる。
風合い改善剤は、水溶性柔軟剤及び/又は水溶性保湿剤を含み、水溶性である。風合い改善剤の原紙への添加量が水分を含む液量として、原紙がティシュペーパーの場合は乾燥繊維重量比で2〜15wt%であり、2〜10wt%であることが好ましい。一方、原紙がトイレットペーパーの場合は、乾燥繊維重量比で2〜10wt%である。原紙がティシュペーパーの場合、風合い改善剤の原紙への添加量が乾燥繊維重量比で2wt%未満であると、原紙の風合い改善効果が生じず、15%を超えても効果が飽和し、風合い改善剤が無駄になる。又、風合い改善剤の原紙への添加量が液量として乾燥繊維重量比で15wt%を超えると、風合い改善剤の水系成分と、原紙中のパルプの水和作用によりウェブの強度が低下し、巻シワが入りやすくなり、断紙の原因となる。又、原紙がトイレットペーパーの場合、一時性湿潤紙力増強剤をトイレットペーパーに内添した場合でも10wt%を超えると断紙が発生する。
なお、水溶性柔軟剤として、炭素数8〜24の脂肪族基を含むHLBが低い(10以下)ノニオン(非イオン)界面活性剤を用いた場合、カチオン界面活性剤と併用又はHLBの高い(12以上)非イオン界面活性剤と併用することで、HLBが低い(10以下)ノニオン界面活性剤に自己乳化性を付与し、水溶性化することもできる。
水溶性オルガノポリシロキサンとしては、ポリエーテル変性シリコーンであるポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、エマルジョン化したアミノ変性シリコーンであるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。
水溶性柔軟剤は、「滑らかさ」や「ふんわり感」を与える。従って、風合い改善剤が水溶性柔軟剤を含み、水溶性保湿剤を含まない場合、「滑らかさ」や「ふんわり感」のみが得られる。
水溶性保湿剤は、「しなやかさ」や「しっとり感」を与える。従って、風合い改善剤が水溶性保湿剤を含み、水溶性柔軟剤を含まない場合、「しなやかさ」や「しっとり感」のみが得られる。風合い改善剤が水溶性保湿剤と水溶性柔軟剤を共に配合する場合は、両者の特性が得られる。
又、上記した水溶性保湿剤の原紙への添加量が乾燥繊維重量比で1〜15wt%であることが好ましい。
そして、ストックインレット3からワイヤー4及びフェルト5の間に紙料をジェット吐出し、フェルト5上にシート(ウェブ、湿紙)100を形成する。なお、図1は、クレセントフォーマーを例示するが、湿紙の形成は、丸網式、長網(フォードリニアー)式、サクションブレスト式、短網式、ツインワイヤー式のいずれを採用しても良い。
ここで、クレーピングは、紙を縦方向(マシン走行方向)に機械的に圧縮してクレープと称される波状の皺を形成する方法であり、衛生用紙に嵩(バルク感)、柔らかさ、吸水性、表面の滑らかさ、美観(クレープの形状)などを付与する。そして、ヤンキードライヤー8とリール14の速度差(リールの速度がヤンキードライヤーより遅い)により、クレーピングドクター11でクレープが形成される。クレープの特性は、上記速度差にもよるが、ヤンキードライヤー8上の原紙の坪量が7〜40g/m2であれば、リール14上での坪量は概略9〜50g/m2となり、ヤンキードライヤー8上の坪量より大きくなる。
クレープ率(%)=100×(ヤンキードライヤー速度(m/分)−リール速度(m/分))÷リール速度(m/分)
クレープの品質やクレーピングの操業性は、クレープ率によってほぼ決まり、本発明において、クレープ率は10〜50%の範囲が好適である。
上記付着剤の成分としては、ハーキュリス社のクレプトロール190を代表例とするポリアミドポリアミン樹脂(PA樹脂)やポリアミドアミンエピクロルヒドリン(PAE樹脂)、カチオン性ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミド可塑剤付加品、ポリアミドソフナー付加品、変性ポリアミドアミン、ポリビニルアセテートなどが挙げられ、これらを単独又は混合して使用することができる。
また、ヤンキードライヤー8からのウェブ100の剥がれを良くする剥離剤として、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、植物油、動物油、高級脂肪酸、炭化水素化合物、非イオン界面活性剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール油脂のエステル化物、シリコーン系化合物、ジプロピレングリコール、トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどを単独又は2種以上混合して使用することができる。
最適なクレーピング処理を得るため、これら付着剤及び/又は剥離剤の濃度を適宜調整し、ヤンキードライヤー8表面にスプレー噴霧することができる。
風合改善剤を原紙に塗着する位置は、衛生用紙を巻取るリールドラム13直前が好ましく、この位置に配置されたスプレーヘッダ12(又はローターダンプニング装置)を用いて塗着を行うことができる。ここで、スプレーヘッダ12をウェブ(原紙)の進行方向に前後して千鳥状に二段配置して風合改善剤を塗付するか、又はウェブの幅方向にスプレーヘッダ12を摺動することで、より均一な塗付が可能になる。又、風合改善剤を塗付する位置のウェブの裏面側に、バックアッププレート又はバックアップロールを設けることで、風合改善剤の裏抜けを捕捉し風合い改善剤を回収できると共に、裏面側からウェブに風合い改善剤を接触させて付与することができる。
図1に示すペーパーマシンにて、原紙1(ティッシュペーパー、坪量15.5g/m2、NBKP40wt%、LBKP60wt%の原料を配合し、湿潤紙力増強剤(アラフィックス255 荒川化学工業株式会社製)0.2wt%添加)を加えて抄紙し、リールドラム13直前で以下の風合改善剤を原紙の片面に、原紙の乾燥繊維重量あたり9.8wt%(液量)塗着し、衛生用紙を得た。
風合改善剤:ジ硬化牛脂アルキルジメチル・アンモニウムクロライド(ニッサンカチオン2ABT 日油株式会社製)10wt%、グリセリン40wt%、ジグリセリン5wt%、及び精製水45wt%からなる水溶液
風合い改善剤の塗着量は、熱水抽出及びトルエン抽出により各実施例及び比較例の塗着量を実測し、ブランクの抽出分量を差し引いて求めた。
なお、ヤンキースプレー10から以下の付着剤をウェブ100に塗着した後、クレーピングドクター11によりクレーピング処理を行った。又、ヤンキードライヤー8に以下の剥離剤を塗布してクレーピング処理後にウェブ100の剥がれを良くした。
付着剤:クレプトロールA6115(理研グリーン製)
剥離剤:サントールFT(日華化学製)
風合改善剤を以下の組成に変更すると共にその塗着量を原紙1の乾燥繊維重量あたり5.4wt%(液量)に変更したこと以外は実施例1と同様にして衛生用紙を得た。
風合改善剤:アミノ変性シリコーン(X‐52-2265 信越化学社製)5 wt%、グリセリン40 wt%、ジグリセリン5 wt%、精製水45 wt%からなる水溶液
風合改善剤を以下の組成に変更すると共にその塗着量を原紙2(トイレットペーパー、坪量15.5g/m2、NBKP40wt%、LBKP60wt%の原料を配合)の乾燥繊維重量あたり5.6wt%(液量)に変更したこと以外は実施例1と同様にして衛生用紙を得た。
風合改善剤:アミノ変性シリコーン(X‐52-2265 信越化学社製)5 wt%、グリセリン40 wt%、ジグリセリン5 wt%、精製水45 wt%からなる水溶液
原紙3(トイレットペーパー、坪量15.5g/m2、NBKP40wt%、LBKP60wt%の原料を配合、一時性湿潤紙力増強剤(TS-4070 星光PMC製)0.1wt%添加)を抄紙し、リールドラム13直前で風合改善剤(実施例3と同一)を原紙の乾燥繊維重量あたり9.8wt%(液量)塗着したこと以外は実施例1と同様にして衛生用紙を得た。
オフライン(ロールコーター設備)にて実施例1と同一の原紙1の片面に、実施例1と同一の風合改善剤を原紙の乾燥繊維重量あたり20.5wt%(液量)直接塗布した。
<比較例2>
風合改善剤の塗着量を、原紙の乾燥繊維重量あたり15.2wt%(液量)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして衛生用紙を得た。
1.坪量
最終的な衛生用紙の坪量(g/m2)をJIS P8124に準じて測定した。
2.厚み
最終的な衛生用紙の厚み(mm/10枚)を、40g/cm2の荷重下でPeacockダイヤルゲージで測定した。
3.引張り強度
衛生用紙のタテ引張り強度(gf/25mm)を、JIS P8113に準じて破断までの最大荷重を測定した。
4.吸水性
衛生用紙の吸水性(sec)を以下のように測定した。まず、1滴の滴下量が0.1mlとなるように調整されたピペットを使用し、中央部に直径40mm以上の穴のある支持台に衛生用紙(2枚重ね一組)を置き、約10mmの高さから温度20±1℃の蒸留水1滴を上記ピペットで上記穴の内部に滴下した。水滴が衛生用紙に接触したときから、完全に吸収されて目視で反射光が消えるまでの時間を、0.1秒単位で測定した。試験を5回行い、その平均値を吸水性(秒)として評価した。
衛生用紙の風合改善剤の塗着面につき、塗着後2日経過後に5人のパネラーにより触感評価を行った。5段階(5:非常に優れている、4:優れている、3:普通、2:やや劣る、1:劣る)で評価し、5人の平均値とした。
一方、水溶性の風合い改善剤を15wt%を超えて多量に塗着した比較例1の場合、風合い改善効果は得られたが、風合い改善剤が無駄になり、コストアップとなった。
また、抄紙工程で、水溶性の風合い改善剤を15wt%を超えて多量に塗着した比較例2の場合、断紙が発生した。なお、比較例2の場合、断紙が発生したので表1の各数値は記載していない。
なお、表中のブランク1〜3は、原紙のみ(風合い改善剤を添加せず)の評価を示す。
8 ヤンキードライヤー
13 リール
100 原紙
Claims (2)
- トイレットペーパー用の原紙の片面に、水溶性柔軟剤及び/又は水溶性保湿剤を含む風合い改善剤を塗着する衛生用紙の製造方法であって、
前記水溶性柔軟剤は、前記原紙の乾燥繊維重量比で0.2〜5wt%の炭素数8〜24の脂肪族基を含む界面活性剤と;前記原紙への合計添加量が乾燥繊維重量比で0.02〜2wt%である水溶性オルガノポリシロキサン及び該水溶性オルガノポリシロキサンの水溶性誘導体と;の群から選ばれる少なくとも1つからなり、
前記水溶性保湿剤は前記原紙への添加量が乾燥繊維重量比で1〜15wt%であり、多価アルコール、糖類、及びアミノ酸系化合物の群から選ばれる少なくとも1つからなり、
前記原紙の抄紙工程で、前記原紙にポリアクリルアミド、ポリアミド・エピクロヒドリン、グリオキザール・ポリアクリルアミド共重合物、ジアルデヒドスターチ又はカチオン変性デンプンからなる一時性湿潤紙力増強剤を内添し、プレスパートのフェルトから前記原紙を転送したヤンキードライヤーの出口から前記原紙を巻き取るリールの間で、前記風合い改善剤を前記原紙の前記片面に、水分を含む液量として前記原紙の乾燥繊維重量の6wt%を超え10wt%以下の割合で噴霧する衛生用紙の製造方法。 - 前記風合い改善剤の噴霧を、スプレー又はローターダンプニングを用いて行う請求項1載の衛生用紙の製造方法。
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