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JP5800656B2 - 衛生用紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、家庭用又は業務用トイレットペーパーに柔軟剤や保湿剤を塗着させて表面性と柔軟性を改善した衛生用紙製造方法に関する。
ティシュペーパーやトイレットペーパーの柔軟性を改善するため、繊維を薬品により柔軟処理する技術として、一定範囲の繊維長及び繊維粗度を有する針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプを特定の範囲で配合し、この紙料に柔軟剤を内添した後、さらにポリエチレンオキサイド等の分散剤を内添して湿紙を形成し、その後クレープ処理をすることにより、嵩高で柔軟なクレープ紙を得る技術が開示されている(特許文献1)。
又、ティシュペーパーやトイレットペーパーのウェブの表面にスプレー等で薬液を塗布(外添)して柔軟性を改善する技術として、ヤンキードライヤー又はプレスパート上のシートに、カチオン系化合物、非イオン界面活性剤、有機酸又は無機酸、及び有機溶剤からなる自己乳化型柔軟組成物を付与する技術が開示されている(特許文献2)。
さらに、ティッシュペーパーの折り加工設備で、スプレーや印刷により柔軟剤や保湿剤からなる薬剤成分を塗布する技術が開示されている(特許文献3,4)。
特開2006−097191号公報 特開2008−223161号公報 特開2004‐218151号公報 特開2007‐61143号公報
ところで、ペーパーマシンで柔軟成分や保湿成分を含む水溶性の風合い向上剤を直接ウェブに塗付すると、ウェブ形成後の二次工程で塗付する場合に比べて工程の簡略化が図られ、設備及び製造に係るコストの改善効果が大きい。しかし、水溶性の風合い改善剤をペーパーマシンでウェブに塗付すると断紙が生じやすい問題がある。
従って本発明は、ペーパーマシンでウェブへ水溶性の風合い改善剤を付与した場合に断紙が発生しにくい衛生用紙及製造方法の提供を目的とする。
本発明の衛生用紙の製造方法は、イレットペーパー用の原紙の片面に、水溶性柔軟剤及び/又は水溶性保湿剤を含む風合い改善剤を塗着し、前記水溶性柔軟剤は、前記原紙の乾燥繊維重量比で0.2〜5wt%の炭素数8〜24の脂肪族基を含む界面活性剤と;前記原紙への合計添加量が乾燥繊維重量比で0.02〜2wt%である水溶性オルガノポリシロキサンび該水溶性オルガノポリシロキサンの水溶性誘導体と;の群から選ばれる少なくとも1つからなり、
前記水溶性保湿剤は前記原紙への添加量が乾燥繊維重量比で1〜15wt%であり、多価アルコール、糖類、及びアミノ酸系化合物の群から選ばれる少なくとも1つからなり、
前記原紙の抄紙工程で、前記原紙にポリアクリルアミド、ポリアミド・エピクロヒドリン、グリオキザール・ポリアクリルアミド共重合物、ジアルデヒドスターチ又はカチオン変性デンプンからなる一時性湿潤紙力増強剤を内添し、プレスパートのフェルトから前記原紙を転送したヤンキードライヤーの出口から前記原紙を巻き取るリールの間で、前記風合い改善剤を前記原紙の前記片面に、水分を含む液量として前記原紙の乾燥繊維重量の6wt%を超え10wt%以下の割合で噴霧する。

前記風合い改善剤の噴霧を、スプレー又はローターダンプニングを用いて行うことが好ましい。
この発明によれば、ペーパーマシンでウェブへ水溶性の風合い改善剤を付与した場合に断紙が発生しにくく、ウェブ形成後の二次工程で水系風合い改善剤を塗付する工程が省略できる。
本発明の実施形態に係る衛生用紙を製造するペーパーマシンの一例を示す図である。
以下に本発明の好ましい実施形態に基づき図面と共に説明するが、これらは例示の目的で掲げたものでこれらにより本発明を限定するものではない。本発明の実施形態に係る衛生用紙は、ティシュペーパー用又はトイレットペーパー用の原紙の片面に、風合い改善剤が塗着されてなる。
なお、後述するように、本発明の実施形態に係る衛生用紙はクレーピングされていることが好ましい。
<原紙>
ティシュペーパー用又はトイレットペーパー用の原紙は、パルプを含む抄紙原料を抄紙して製造される。パルプは、例えば針葉樹パルプ又は広葉樹パルプなどのバージンパルプや、古紙から再生した古紙パルプを用いることができる。これらパルプは衛生用紙の品質に大きく影響するので、要求品質に合わせて所定の種類及び配合割合で適宜配合される。抄紙原料は、要求品質及び操業の安定のために様々な薬品を添加(内添)してもよく、これら薬品としては、柔軟剤、嵩高剤、染料、分散剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、歩留向上剤などが挙げられる。
原紙は例えば、坪量7〜40g/m2とすることができる。
又、原紙としてトイレットペーパーを用いて後述の風合い改善剤を塗布する場合、風合い改善剤塗布時の水分の吸収によって紙力低下を招いて紙切れ等のトラブルを起こし操業性が悪化することがある。これは、通常のトイレットペーパーは湿潤紙力増強剤を含まないためであるり、風合い改善剤の塗布量(水分を含む液量)が5〜6wt%を超えると紙切れ等のトラブルが顕著となる。そこで、原紙としてトイレットペーパーを用いる場合であって、風合い改善剤の塗布量が水分を含む液量として原紙の乾燥繊維重量の6wt%を超える場合には、原紙に風合い改善剤を塗布して湿潤する一時(即ち風合い改善剤の塗布直後からウェブの巻取り工程に至るまでの数秒間)は原紙の湿潤強度を維持し、衛生用紙となった後の使用時(水洗トイレなどの大量の水分下)では一定時間経過後に湿潤強度を失うよう、一時性湿潤紙力増強剤をトイレットペーパーに内添することで、風合い改善剤を液量として10wt%まで安定して添加することができる。
具体的には、トイレットペーパー用の原紙を、JIS P8113に従い、幅25mm、つかみ間隔100mmとした短冊状の試験片での乾燥時の引張り強さと、該試験片の両掴み部の間の中央部分を含み短冊の長辺に沿って長さ10mm以上で、かつ試験片の幅方向全体にわたる領域を湿潤させた時の引張り強さと、を測定したとき、湿潤直後の強度が湿潤前の強度の10%以上であり、湿潤後60秒経過したときの強度が湿潤直後の強度に対して20%以上低下するよう、一時性湿潤紙力増強剤を添加する。一時性湿潤紙力増強剤としては、ポリアクリルアミド、ポリアミド・エピクロヒドリン、グリオキザール・ポリアクリルアミド共重合物、ジアルデヒドスターチ又はカチオン変性デンプン等が挙げられる。一時性湿潤紙力増強剤の添加によるトイレットペーパー用の原紙強度は高いほど良いが、強度が高過ぎると強度の低下にも時間を要し、トイレットペーパーに必要な水溶解性が損なわれるので、湿潤後60秒後に湿潤強度がある程度(20%以上)失われて離解し易い状態になる必要がある。
<風合い改善剤>
風合い改善剤は、水溶性柔軟剤及び/又は水溶性保湿剤を含み、水溶性である。風合い改善剤の原紙への添加量が水分を含む液量として、原紙がティシュペーパーの場合は乾燥繊維重量比で2〜15wt%であり、2〜10wt%であることが好ましい。一方、原紙がトイレットペーパーの場合は、乾燥繊維重量比で2〜10wt%である。原紙がティシュペーパーの場合、風合い改善剤の原紙への添加量が乾燥繊維重量比で2wt%未満であると、原紙の風合い改善効果が生じず、15%を超えても効果が飽和し、風合い改善剤が無駄になる。又、風合い改善剤の原紙への添加量が液量として乾燥繊維重量比で15wt%を超えると、風合い改善剤の水系成分と、原紙中のパルプの水和作用によりウェブの強度が低下し、巻シワが入りやすくなり、断紙の原因となる。又、原紙がトイレットペーパーの場合、一時性湿潤紙力増強剤をトイレットペーパーに内添した場合でも10wt%を超えると断紙が発生する。
水溶性柔軟剤は、炭素数8〜24の脂肪族基を含む界面活性剤、水溶性オルガノポリシロキサン、及び該水溶性オルガノポリシロキサンの水溶性誘導体の群から選ばれる少なくとも1つからなる。炭素数8〜24の脂肪族基を含む界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、ノニオン(非イオン)界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤があるが、カチオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤が入手し易い。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族第4級アンモニウム塩、脂肪族第1級アルキルアミン塩などの脂肪族のアンモニウム塩やアルキルアミン塩などがある。非イオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート等がある。
なお、水溶性柔軟剤として、炭素数8〜24の脂肪族基を含むHLBが低い(10以下)ノニオン(非イオン)界面活性剤を用いた場合、カチオン界面活性剤と併用又はHLBの高い(12以上)非イオン界面活性剤と併用することで、HLBが低い(10以下)ノニオン界面活性剤に自己乳化性を付与し、水溶性化することもできる。
水溶性オルガノポリシロキサンとしては、ポリエーテル変性シリコーンであるポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、エマルジョン化したアミノ変性シリコーンであるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。
水溶性柔軟剤は、「滑らかさ」や「ふんわり感」を与える。従って、風合い改善剤が水溶性柔軟剤を含み、水溶性保湿剤を含まない場合、「滑らかさ」や「ふんわり感」のみが得られる。
水溶性保湿剤は、多価アルコール、糖類、及びアミノ酸系化合物の群から選ばれる少なくとも1つからなる。多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。糖類としては、ソルビトール、キシリトール、グルコース等が挙げられる。アミノ酸系化合物としては、例えばPCAソーダ(味の素社製)が挙げられる。
水溶性保湿剤は、「しなやかさ」や「しっとり感」を与える。従って、風合い改善剤が水溶性保湿剤を含み、水溶性柔軟剤を含まない場合、「しなやかさ」や「しっとり感」のみが得られる。風合い改善剤が水溶性保湿剤と水溶性柔軟剤を共に配合する場合は、両者の特性が得られる。
上記した炭素数8〜24の脂肪族基を含む界面活性剤の原紙への添加量が、原紙の乾燥繊維重量比で0.2〜5wt%であり、水溶性オルガノポリシロキサンと該水溶性オルガノポリシロキサンの水溶性誘導体の前記原紙への合計添加量が乾燥繊維重量比で0.02〜2wt%であることが好ましい。
又、上記した水溶性保湿剤の原紙への添加量が乾燥繊維重量比で1〜15wt%であることが好ましい。
次に、図1を参照し、本発明の実施形態に係る衛生用紙の製造方法について説明する。まず、上記した抄紙原料を貯蔵する原料タンク1から抄紙原料を供給し、さらに白水により希釈して紙料を調製する。この紙料を脱気スクリーニング除塵後、ファンポンプ2でストックインレット3に送る。ストックインレット3は、抄紙機のワイヤー全幅に、均一でフロック(小さな塊)がなく、流れ縞を生じないように繊維をよく分散させた紙料を、適正な濃度、速度、角度でワイヤー上に供給する。ストックインレット3としては、高所に大気開放で設置されるヘッドボックス、加圧式、ハイドローリック式などがあるがいずれを採用しても良い。
そして、ストックインレット3からワイヤー4及びフェルト5の間に紙料をジェット吐出し、フェルト5上にシート(ウェブ、湿紙)100を形成する。なお、図1は、クレセントフォーマーを例示するが、湿紙の形成は、丸網式、長網(フォードリニアー)式、サクションブレスト式、短網式、ツインワイヤー式のいずれを採用しても良い。
ワイヤー4及びフェルト5の間に形成されたウェブ100は、プレッシャーロール7でヤンキードライヤー8に密着転送される。次に、ウェブ100はヤンキードライヤー8及びヤンキードライヤーフード9により乾燥され、さらにクレーピングドクター11によりクレーピング処理されながらヤンキードライヤー8から剥がされ、リールドラム13を介してリール14に巻き取られる。ヤンキードライヤー8は、ウェブを乾燥させるための鋳鉄又は鋳鋼製のドラムであり、外径は一般には2.4〜6mである。
ここで、クレーピングは、紙を縦方向(マシン走行方向)に機械的に圧縮してクレープと称される波状の皺を形成する方法であり、衛生用紙に嵩(バルク感)、柔らかさ、吸水性、表面の滑らかさ、美観(クレープの形状)などを付与する。そして、ヤンキードライヤー8とリール14の速度差(リールの速度がヤンキードライヤーより遅い)により、クレーピングドクター11でクレープが形成される。クレープの特性は、上記速度差にもよるが、ヤンキードライヤー8上の原紙の坪量が7〜40g/m2であれば、リール14上での坪量は概略9〜50g/m2となり、ヤンキードライヤー8上の坪量より大きくなる。
ヤンキードライヤー8とリール14の速度差に基づくクレープ率は次式により定義される。
クレープ率(%)=100×(ヤンキードライヤー速度(m/分)−リール速度(m/分))÷リール速度(m/分)
クレープの品質やクレーピングの操業性は、クレープ率によってほぼ決まり、本発明において、クレープ率は10〜50%の範囲が好適である。
又、クレーピング処理を最適に行うためにヤンキースプレー10を使用すると好ましい。ヤンキースプレーから所定の付着剤をドライヤー8表面又はウェブ100に塗着することにより、ヤンキードライヤー8にウェブが貼りつき、上述の通りクレーピングドクター11によりクレーピング処理が可能となる。
上記付着剤の成分としては、ハーキュリス社のクレプトロール190を代表例とするポリアミドポリアミン樹脂(PA樹脂)やポリアミドアミンエピクロルヒドリン(PAE樹脂)、カチオン性ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミド可塑剤付加品、ポリアミドソフナー付加品、変性ポリアミドアミン、ポリビニルアセテートなどが挙げられ、これらを単独又は混合して使用することができる。
また、ヤンキードライヤー8からのウェブ100の剥がれを良くする剥離剤として、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、植物油、動物油、高級脂肪酸、炭化水素化合物、非イオン界面活性剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール油脂のエステル化物、シリコーン系化合物、ジプロピレングリコール、トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどを単独又は2種以上混合して使用することができる。
最適なクレーピング処理を得るため、これら付着剤及び/又は剥離剤の濃度を適宜調整し、ヤンキードライヤー8表面にスプレー噴霧することができる。
上記風合改善剤を原紙に塗着する方法としては、スプレーによる噴霧又はローターダンプニング(WEKO社)による遠心噴霧が好適に適用できる。
風合改善剤を原紙に塗着する位置は、衛生用紙を巻取るリールドラム13直前が好ましく、この位置に配置されたスプレーヘッダ12(又はローターダンプニング装置)を用いて塗着を行うことができる。ここで、スプレーヘッダ12をウェブ(原紙)の進行方向に前後して千鳥状に二段配置して風合改善剤を塗付するか、又はウェブの幅方向にスプレーヘッダ12を摺動することで、より均一な塗付が可能になる。又、風合改善剤を塗付する位置のウェブの裏面側に、バックアッププレート又はバックアップロールを設けることで、風合改善剤の裏抜けを捕捉し風合い改善剤を回収できると共に、裏面側からウェブに風合い改善剤を接触させて付与することができる。
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は勿論これらの例に限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示すペーパーマシンにて、原紙1(ティッシュペーパー、坪量15.5g/m2、NBKP40wt%、LBKP60wt%の原料を配合し、湿潤紙力増強剤(アラフィックス255 荒川化学工業株式会社製)0.2wt%添加)を加えて抄紙し、リールドラム13直前で以下の風合改善剤を原紙の片面に、原紙の乾燥繊維重量あたり9.8wt%(液量)塗着し、衛生用紙を得た。
風合改善剤:ジ硬化牛脂アルキルジメチル・アンモニウムクロライド(ニッサンカチオン2ABT 日油株式会社製)10wt%、グリセリン40wt%、ジグリセリン5wt%、及び精製水45wt%からなる水溶液
風合い改善剤の塗着量は、熱水抽出及びトルエン抽出により各実施例及び比較例の塗着量を実測し、ブランクの抽出分量を差し引いて求めた。
なお、ヤンキースプレー10から以下の付着剤をウェブ100に塗着した後、クレーピングドクター11によりクレーピング処理を行った。又、ヤンキードライヤー8に以下の剥離剤を塗布してクレーピング処理後にウェブ100の剥がれを良くした。
付着剤:クレプトロールA6115(理研グリーン製)
剥離剤:サントールFT(日華化学製)
<実施例2>
風合改善剤を以下の組成に変更すると共にその塗着量を原紙1の乾燥繊維重量あたり5.4wt%(液量)に変更したこと以外は実施例1と同様にして衛生用紙を得た。
風合改善剤:アミノ変性シリコーン(X‐52-2265 信越化学社製)5 wt%、グリセリン40 wt%、ジグリセリン5 wt%、精製水45 wt%からなる水溶液
<実施例3>
風合改善剤を以下の組成に変更すると共にその塗着量を原紙2(トイレットペーパー、坪量15.5g/m2、NBKP40wt%、LBKP60wt%の原料を配合)の乾燥繊維重量あたり5.6wt%(液量)に変更したこと以外は実施例1と同様にして衛生用紙を得た。
風合改善剤:アミノ変性シリコーン(X‐52-2265 信越化学社製)5 wt%、グリセリン40 wt%、ジグリセリン5 wt%、精製水45 wt%からなる水溶液
<実施例4>
原紙3(トイレットペーパー、坪量15.5g/m2、NBKP40wt%、LBKP60wt%の原料を配合、一時性湿潤紙力増強剤(TS-4070 星光PMC製)0.1wt%添加)を抄紙し、リールドラム13直前で風合改善剤(実施例3と同一)を原紙の乾燥繊維重量あたり9.8wt%(液量)塗着したこと以外は実施例1と同様にして衛生用紙を得た。
<比較例1>
オフライン(ロールコーター設備)にて実施例1と同一の原紙1の片面に、実施例1と同一の風合改善剤を原紙の乾燥繊維重量あたり20.5wt%(液量)直接塗布した。
<比較例2>
風合改善剤の塗着量を、原紙の乾燥繊維重量あたり15.2wt%(液量)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして衛生用紙を得た。
<測定>
1.坪量
最終的な衛生用紙の坪量(g/m)をJIS P8124に準じて測定した。
2.厚み
最終的な衛生用紙の厚み(mm/10枚)を、40g/cmの荷重下でPeacockダイヤルゲージで測定した。
3.引張り強度
衛生用紙のタテ引張り強度(gf/25mm)を、JIS P8113に準じて破断までの最大荷重を測定した。
4.吸水性
衛生用紙の吸水性(sec)を以下のように測定した。まず、1滴の滴下量が0.1mlとなるように調整されたピペットを使用し、中央部に直径40mm以上の穴のある支持台に衛生用紙(2枚重ね一組)を置き、約10mmの高さから温度20±1℃の蒸留水1滴を上記ピペットで上記穴の内部に滴下した。水滴が衛生用紙に接触したときから、完全に吸収されて目視で反射光が消えるまでの時間を、0.1秒単位で測定した。試験を5回行い、その平均値を吸水性(秒)として評価した。
5.ハンドフィール
衛生用紙の風合改善剤の塗着面につき、塗着後2日経過後に5人のパネラーにより触感評価を行った。5段階(5:非常に優れている、4:優れている、3:普通、2:やや劣る、1:劣る)で評価し、5人の平均値とした。
得られた結果を表1に示す。
Figure 0005800656
表1から明らかなように、各実施例の場合、原紙(ティシュペーパー又はトイレットペーパー)に合わせて、水溶性の風合い改善剤を所定量塗着したため、風合い改善効果が十分に得られ、製造時の断紙も生じなかった。
一方、水溶性の風合い改善剤を15wt%を超えて多量に塗着した比較例1の場合、風合い改善効果は得られたが、風合い改善剤が無駄になり、コストアップとなった。
また、抄紙工程で、水溶性の風合い改善剤を15wt%を超えて多量に塗着した比較例2の場合、断紙が発生した。なお、比較例2の場合、断紙が発生したので表1の各数値は記載していない。
なお、表中のブランク1〜3は、原紙のみ(風合い改善剤を添加せず)の評価を示す。
5 フェルト
8 ヤンキードライヤー
13 リール
100 原紙

Claims (2)

  1. トイレットペーパー用の原紙の片面に、水溶性柔軟剤及び/又は水溶性保湿剤を含む風合い改善剤を塗着する衛生用紙の製造方法であって、
    前記水溶性柔軟剤は、前記原紙の乾燥繊維重量比で0.2〜5wt%の炭素数8〜24の脂肪族基を含む界面活性剤と;前記原紙への合計添加量が乾燥繊維重量比で0.02〜2wt%である水溶性オルガノポリシロキサン及び該水溶性オルガノポリシロキサンの水溶性誘導体と;の群から選ばれる少なくとも1つからなり、
    前記水溶性保湿剤は前記原紙への添加量が乾燥繊維重量比で1〜15wt%であり、多価アルコール、糖類、及びアミノ酸系化合物の群から選ばれる少なくとも1つからなり、
    前記原紙の抄紙工程で、前記原紙にポリアクリルアミド、ポリアミド・エピクロヒドリン、グリオキザール・ポリアクリルアミド共重合物、ジアルデヒドスターチ又はカチオン変性デンプンからなる一時性湿潤紙力増強剤を内添し、プレスパートのフェルトから前記原紙を転送したヤンキードライヤーの出口から前記原紙を巻き取るリールの間で、前記風合い改善剤を前記原紙の前記片面に、水分を含む液量として前記原紙の乾燥繊維重量の6wt%を超え10wt%以下の割合で噴霧する衛生用紙の製造方法。
  2. 前記風合い改善剤の噴霧を、スプレー又はローターダンプニングを用いて行う請求項1載の衛生用紙の製造方法。
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