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JP5890209B2 - 音響発生装置 - Google Patents

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JP5890209B2 JP2012058803A JP2012058803A JP5890209B2 JP 5890209 B2 JP5890209 B2 JP 5890209B2 JP 2012058803 A JP2012058803 A JP 2012058803A JP 2012058803 A JP2012058803 A JP 2012058803A JP 5890209 B2 JP5890209 B2 JP 5890209B2
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Description

本発明は、音響発生装置に関するものである。
従来、振動板に圧電振動素子を取り付けたスピーカーが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2004−23436号公報
しかしながら、上述した従来のスピーカーは、特定の周波数において音圧が急激に変化して、音圧の周波数特性上に大きなピーク・ディップが生じやすいという問題があった。
本発明はこのような従来の技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、特定の周波数における音圧の急激な変化が低減された音響発生装置を提供することにある。
本発明の音響発生装置は、平面状の振動体と、該振動体に接合された、該振動体を振動させる圧電振動素子と、内側の表面が前記振動体の一方主面と対向する第1の壁を含む複数の壁で構成されており、該複数の壁で囲まれた第1空間内に前記振動体および前記圧電振動素子を収容する筐体と、前記第1の壁における、前記振動体の前記一方主面から見通せる部分であり、且つ前記振動体の前記一方主面の中央部と結ぶ線分と前記振動体の前記一方主面とのなす角度が鋭角である部分に形成された貫通孔とを少なくとも有しており、前記振動体の前記一方主面は、前記第1の壁の前記内側の表面に対して傾いており、前
記筐体は、前記第1の壁に隣接する第2の壁を有しており、前記第1の壁の前記内側の表面と前記第2の壁の内側の表面との両方に前記一方主面が対向するように前記振動体が配置されており、前記振動体の前記一方主面と、前記第1の壁の前記内側の表面と、前記第2の壁の前記内側の表面とで囲まれているとともに、前記振動体の前記一方主面、前記第1の壁の前記内側の表面および前記第2の壁の前記内側の表面に平行な方向が開放された第2空間が、前記第1空間内に形成されていることを特徴とする。
本発明の音響発生装置によれば、特定の周波数における音圧の急激な変化が低減された音響発生装置を得ることができる。
本発明の実施の形態の第1の例の音響発生装置を模式的に示す斜視図である。 図1に示す音響発生装置の壁11を透視した状態を模式的に示す平面図である。 図1におけるA−A’線断面図である。 音響発生部34を模式的に示す平面図である。 図4におけるB−B’線断面図である。 本発明の実施の形態の第2の例の音響発生装置を模式的に示す斜視図である。 図6に示す音響発生装置の表示装置39および壁11を透視した状態を模式的に示す平面図である。 図6におけるC−C’線断面図である。 本発明の実施の形態の第2の例の音響発生装置の音圧の周波数特性を示すグラフである。 比較例の音響発生装置の音圧の周波数特性を示すグラフである。
以下、本発明の音響発生装置を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態の第1の例)
図1は、本発明の実施の形態の第1の例の音響発生装置を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す音響発生装置の壁11を透視した状態を模式的に示す平面図である。図3は、図1におけるA−A’線断面図である。本例の音響発生装置は、図1〜3に示すように、筐体10と、音響発生部34と、支持体35とを有している。
筐体10は、直方体の箱状の形状を有しており、壁11,12,13,14,15,16によって構成されている。また、筐体10の内部には壁11〜16によって囲まれた空間37が形成されており、空間37の中に音響発生部34および支持体35が収容されている。そして、壁11には、矩形状の貫通孔33が形成されており、壁11と対向する壁16の内側の表面には、直方体状の支持体35が取り付けられている。筐体10は、筐体として適当な剛性を有していれば良く、例えば、各種金属や樹脂材料等の種々の材料を用いて構成することができる。支持体35は、音響発生部34を筐体10の内側の表面に対して斜めに取り付けるためのスペーサーとして機能するものであり、例えば、筐体10と同様の材料を用いて構成することができる。
図4は、音響発生部34の構造を模式的に示す平面図であり、図5は、図4におけるB−B’線断面図である。なお、構造を理解しやすくするために、図4においては樹脂層20および接着剤層21の図示を省略しており、図5においては、圧電振動素子32の構造の図示を省略している。
音響発生部34は、図4,図5に示すように、圧電振動素子32と、フィルム3と、枠部材5と、樹脂層20と、導線22a,22bと、接着剤層21とを有している。そして、フィルム3と、フィルム3の上に配置された接着剤層21,圧電振動素子32および樹脂層20と、導線22a,22bの一部分とによって振動体31が構成されている。
枠部材5は、同一の形状を有する2つの枠部材5a,5bが接合されて構成されている。枠部材5a,5bは、それぞれ矩形の枠状の形状を有している。枠部材5a,5b間にはフィルム3の外周部が挟み込まれており、フィルム3に張力を加えた状態で固定している。枠部材5a,5bは、例えば、厚み100〜1000μmのステンレス製のものを好適に用いることができるが、材質および厚みは特に限定されるものではなく、振動体31を構成するフィルム3および樹脂層20よりも変形し難いものであれば良い。例えば、金属、硬質樹脂、プラスチック、エンジニアリングプラスチック、セラミックス等を用いて枠部材5a,5bを形成することができる。また、枠部材5a,5bの形状も、矩形状に限定されるものではなく、円形や菱形であってもよい。
フィルム3は、面方向に張力をかけられた状態で、矩形状の周縁部を全体的に枠部材5a,5bで挟持されて固定されており、枠部材5a,5bによって振動可能に支持されている。フィルム3の厚みは、例えば、10〜200μmとされる。フィルム3は、例えば、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂、あるいはパルプや繊維等からなる紙を用いて形成することができる。
圧電振動素子32は、上下の主面が矩形状の板状の形状を有している。また、圧電振動素子32は、セラミックスからなる複数の圧電体層(図示せず)と複数の内部電極層(図
示せず)とが厚み方向(図のz軸方向)に交互に積層されて形成された積層体23と、この積層体23の上下面(図のz軸方向の両端面)に形成された表面電極25a,25b,25cと、積層体23の長手方向(図のx軸方向)の両端面(両側面)にそれぞれ設けられた接続電極(図示せず)とで構成されている。
内部電極(図示せず)は、第1の内部電極,第2の内部電極,第3の内部電極の3種類がある。そして、積層体23の厚み方向(図のz軸方向)における一方側では、第1の内部電極(図示せず)と第2の内部電極(図示せず)とが交互に配置されており、積層体23の厚み方向(図のz軸方向)における他方側では、第1の内部電極(図示せず)と第3の内部電極(図示せず)とが交互に配置されている。
そして、第1の内部電極(図示せず)は、積層体23の長さ方向における一端側(図の−x側)の側面に露出しており、第1の接続電極(図示せず)を介して第1の表面電極25aに接続されている。また、第2の内部電極(図示せず)は、積層体23の長さ方向における他端側(図の+x側)の側面に露出しており、第2の接続電極(図示せず)を介して第2の表面電極25bに接続されている。また、第3の内部電極(図示せず)は、積層体23の長さ方向における他端側(図の+x側)の側面に露出しており、第3の接続電極(図示せず)を介して第3の表面電極25cに接続されている。
そして、例えば、第1の表面電極25aを基準電位に接続し、第2の表面電極25bを基準電位よりも高い電位に接続し、第3の表面電極25cを基準電位よりも低い電位に接続して直流電圧を加えて各々の圧電体層(図示せず)を分極した後に、第1の表面電極25aに導線22aが接続され、第2の表面電極25bおよび第3の表面電極25cに導線22bが接続されている。よって、導線22a,22bを介して電圧が加えられたときに、各々の圧電体層(図示せず)における分極の向きと加えられる電界の向きとの関係が、積層体23の厚み方向(図のz軸方向)における一方側と他方側とで逆になるようにされている。
よって、導線22a,22bを介して交流電圧が加えられると、各々の時点で積層体23の厚み方向(図のz軸方向)における一方側と他方側とで伸縮が逆になる。例えば、積層体23の厚み方向(図のz軸方向)における一方側が長さ方向(図のx軸方向)に伸びるときには、厚み方向(図のz軸方向)における他方側が長さ方向(図のx軸方向)に縮む。よって、圧電振動素子32は、長さ方向(図のx軸方向)に振幅が変化するように、厚み方向(図のz軸方向)に屈曲振動する。このように、圧電振動素子32は、よく知られた圧電バイモルフ素子としての構造および機能を有している。
圧電振動素子32を構成する圧電体層としては、ジルコン酸鉛(PZ)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、Bi層状化合物、タングステンブロンズ構造化合物等の非鉛系圧電体材料等、従来用いられている圧電セラミックスを用いることができる。圧電体層の1層の厚みは、低電圧駆動という観点から、10〜100μmとするのが望ましい。大きな屈曲撓み振動を誘起させ音圧を高めるために、圧電体層の圧電d31定数が180pm/V以上であることが望ましい。
圧電振動素子32を構成する内部電極層としては、例えば、銀とパラジウムとからなる金属成分と圧電体層を構成するセラミック成分とを含有することが望ましい。ただし、セラミック成分を含まなくても良く、金属成分も銀やパラジウム以外の金属であっても構わない。表面電極25a,25b,25cおよび接続電極(図示せず)は、例えば、銀からなる金属成分およびガラス成分を含有することが望ましいが、銀以外の金属であっても構わない。
圧電振動素子32のフィルム3側の主面とフィルム3とは接着剤層21で接合されている。接着剤層21の厚みは20μm以下が望ましく、10μm以下がさらに望ましい。接着剤層21の厚みが20μm以下とすることにより、圧電振動素子32の振動をフィルム3に伝えやすくなる。接着剤層21を形成するための接着剤としては、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂等公知のものを使用することができる。
樹脂層20は、圧電振動素子32を埋設するように、枠部材5aの内側の全体に渡って充填されている。導線22a,22aの一部も樹脂層20中に埋設されている。樹脂層20は、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂等の樹脂や、あるいはゴム等を用いることができ、ヤング率が1MPa〜1GPaの範囲にあるものが望ましく、特には、1MPa〜850MPaであるものが望ましい。また、樹脂層20の厚みは、スプリアスを抑制するという点から、圧電振動素子32を完全に覆う程度の厚みであることが望ましい。
そして、フィルム3と、フィルム3の上に配置された接着剤層21および圧電振動素子32と、導線22a,22aの一部分とが、樹脂層20によって被覆されて一体化しており、これら全体で振動体31が構成されている。すなわち、振動体31は、矩形の平面状(板状)であり、その周囲(周縁部)が全体的に枠部材5a,5bによって支持されている。また、圧電振動素子32は、振動体31に接合されて、振動体31と一体化している。そして、圧電振動素子32は、導線22a,22bを介して電気信号が入力されて、自身が屈曲振動することによって振動体31を屈曲振動させる。そして、振動体31の屈曲振動によって音が発生する。このようにして、音響発生部34は、電気信号が入力されることによって音を発生する。
音響発生部34は、図1〜3に示すように、枠部材5の一端が支持体35を介して壁16の内側の表面に取り付けられているとともに、枠部材5の他端が直接的に壁16の内側の表面に取り付けられており、壁16の内側の表面に対して斜めに取り付けられている。これにより、壁16と対向する壁11の内側の表面11aと、壁11および壁16に隣接する壁12の内側の表面12aとの両方に対して、振動体31の一方主面31aが斜めに対向するように音響発生部34が取り付けられている。すなわち、振動体31の一方主面31aは、壁11の内側の表面11aおよび壁12の内側の表面12aの両方に対向しているとともに、壁11の内側の表面11aおよび壁12の内側の表面12aの両方に対して傾いている。
なお、本明細書において、『A面とB面とが対向する』とは、A面とB面との位置関係が、B面と反対側からA面に対して垂直に光を当てたときにA面の影の少なくとも一部がB面に投影される位置関係か、または、A面と反対側からB面に対して垂直に光を当てたときにB面の影の少なくとも一部がA面に投影される位置関係の少なくとも一方に該当することを意味する。
また、振動体31の一方主面31aと、壁11の内側の表面11aと、壁12の内側の表面12aとで囲まれているとともに、振動体31の一方主面31a,壁11の内側の表面11aおよび壁12の内側の表面12aに平行な方向(図のβ方向)が開放された空間38が空間37内に形成されている。
そして、貫通孔33は、壁11における振動体31の一方主面31aから見通せる部分、すなわち、壁11における空間38に面した部分であり、且つこの部分と振動体31の一方主面31aの中央部31bとを結ぶ線分と振動体31の一方主面31aとのなす角度θが鋭角である部分に形成されている。なお、壁11の内側の表面11aへの貫通孔33の開口部の全ての部分において、その部分と振動体31の一方主面31aの中央部31bとを結ぶ線分と振動体31の一方主面31aとのなす角度θが鋭角になるように、貫通孔
33の位置および形状が設定される。
貫通孔33の大きさは、大きすぎると本発明の効果が小さくなり、小さすぎると発生する音響の音圧が小さくなるため、例えば、貫通孔33の断面積が、振動体31の一方主面31aの面積の0.1倍〜0.5倍程度に設定される。また、貫通孔33の位置としては、例えば、貫通孔33が形成された部分と振動体31の一方主面31aの中央部31bとを結ぶ線分と振動体31の一方主面31aとのなす角度θが、0°≦θ≦70°を満たすように設定される。
本例の音響発生装置は、振動体31が筐体10の内部の空間37に収容されており、振動体31から発生する音響が、振動体31の一方主面31aから見通せる部分であり、且つ振動体31の一方主面31aの中央部と結ぶ線分と振動体31の一方主面31aとのなす角度が鋭角である部分に形成された貫通孔33を介して筐体10の外部へ放出される。これにより、貫通孔33から筐体10の外部へ放出される音響、すなわち、音響発生装置が発生する音響を、特定の周波数における音圧の急激な変化が低減されたものにすることができる。
すなわち、振動体31を圧電振動素子32により屈曲振動させて音響を発生させる音響発生装置は、指向性が小さいという利点と共に、特定の周波数における音圧の急激な変化があるという問題を有している。本例の音響発生装置は、この問題を低減することができる。この効果が得られるメカニズムは解明できていないが、振動体31から発生する音響が、そのまま直接的に筐体10の外部へ放出され難くなることが関係していると考えられる。なお、振動体31から発生する音響の指向性が小さいことにより、貫通孔33から外部へ放出される音響の音圧の低下が低減されていると考えられる。
また、本例の音響発生装置は、振動体31の一方主面31aが壁11の内側の表面11aに対して傾いていることから、特定の周波数における音圧の急激な変化をさらに低減することができる。これは、振動体31の一方主面31aと壁11の内側の表面11aとの間で音響の多重反射が生じ難くなることが関係しているのではないかと推測される。
また、本例の音響発生装置は、振動体31の一方主面31aと、壁11の内側の表面11aと、壁12の内側の表面12aとで囲まれているとともに、振動体31の一方主面31a,壁11の内側の表面11aおよび壁12の内側の表面12aに平行な方向(図のβ方向)が開放された空間38が空間37内に形成されている。これにより、特定の周波数における音圧の急激な変化をさらに低減することができる。なお、壁11の内側の表面11aおよび壁12の内側の表面12aの両方に対して振動体31の一方主面31aが斜めに傾いていることも、特定の周波数における音圧の急激な変化の低減に役立っている。なお、高周波数領域に存在する音圧のピークを低減することができることから、低周波数領域の音が聞こえやすくなる効果も得ることができる。
本例の音響発生装置における音響発生部34は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、圧電材料の粉末にバインダー、分散剤、可塑剤、溶剤を添加して掻き混ぜて、スラリーを作製する。圧電材料としては、鉛系、非鉛系のうちいずれでも使用することができる。次に、得られたスラリーをシート状に成形し、グリーンシートを作製する。このグリーンシートに導体ペーストを印刷して図示せぬ内部電極となる導体パターンを形成し、この導体パターンが形成されたグリーンシートを積層して、積層成形体を作製する。
次に、この積層成形体を脱脂、焼成し、所定寸法にカットすることにより積層体23を
得ることができる。次に、必要に応じて、積層体23の外周部を加工する。次に、積層体23の積層方向の主面に、導体ペーストを印刷して表面電極25a,25b,25cとなる導体パターンを形成し、積層体23の長手方向(図のx軸方向)の両側面に、導体ペーストを印刷して図示せぬ接続電極となる導体パターンを形成する。そして、所定の温度で電極の焼付けを行うことにより、圧電振動素子32となる構造体を得ることができる。その後に、圧電振動素子32に圧電性を付与するために表面電極25a,25b,25cまたは接続電極を通じて直流電圧を印加して、圧電振動素子32の図示せぬ圧電体層の分極を行う。このようにして、図4,5に示す圧電振動素子32を得ることができる。
次に、フィルム3を準備し、このフィルム3の外周部を枠部材5a,5b間に挟み、フィルム3に張力をかけた状態で固定する。次に、フィルム3の一方主面に接着剤を塗布して圧電振動素子32を押し当て、接着剤を熱や紫外線照射により硬化させる。そして、導線20a,20bを接続した後に、枠部材5aの内側に樹脂を流し込んで硬化させることにより樹脂層20を形成する。このようにして、本例の音響発生装置における音響発生部34を得ることができる。
(実施の形態の第2の例)
図6は、本発明の実施の形態の第2の例の音響発生装置を模式的に示す斜視図である。図7は、図6に示す音響発生装置の表示装置39および壁11を透視した状態を模式的に示す平面図である。図8は、図6におけるC−C’線断面図である。なお、本例においては、前述した実施の形態の第1の例の音響発生装置と異なる点のみについて説明し、同様の構成要素には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。
本例の音響発生装置は、図6〜8に示すように、筐体10の壁11ではなく壁12に2つの貫通孔33が形成されており、2つの貫通孔33に対応するように配置された、2つの音響発生部34および2つの支持体35を有している。また、2つの支持体35は、両方とも壁12に取り付けられている。そして、2つの音響発生部34の各々は、対応する支持体35に枠部材5の一方端が取り付けられているとともに、枠部材5の他方端が壁16にとりつけられている。
すわなち、2つの音響発生部34の各々は、壁12の内側の表面12aおよび壁16の内側の表面16aの両方に対して、振動体31の一方主面31aが斜めに対向するように取り付けられている。すなわち、振動体31の一方主面31aは、壁12の内側の表面12aおよび壁16の内側の表面16aの両方に対向しているとともに、壁12の内側の表面12aおよび壁16の内側の表面16aの両方に対して傾いている。
また、振動体31の一方主面31aと、壁12の内側の表面12aと、壁16の内側の表面16aとで囲まれているとともに、振動体31の一方主面31a,壁12の内側の表面12aおよび壁16の内側の表面16aに平行な方向(図のβ方向)が開放された空間38が、2つの音響発生部34の各々において空間37内に形成されている。
そして、2つの貫通孔33の各々は、対応する音響発生部34に対して、壁12における振動体31の一方主面31aから見通せる部分、すなわち、壁12における空間38に面した部分であり、且つこの部分と振動体31の一方主面31aの中央部31bとを結ぶ線分と振動体31の一方主面31aとのなす角度θが鋭角である部分に形成されている。
また、壁11には表示装置39が取り付けられており、壁16の壁12から遠い側には電子回路36が搭載されている。電子回路36は、図示せぬ配線によって音響発生部34や表示装置39に接続されており、音響発生部34や表示装置39を駆動させる。なお、電子回路36は、音響発生部34のみを駆動させるものであってもよく、他の回路を含ん
でいても良く、電源を含んでいても構わない。
このような構成を有する本例の音響発生装置も、前述した実施形態の第1の例の音響発生装置と同様の効果を得ることができる。また、本例の音響発生装置は、貫通孔33が壁12に形成されていることから、壁11の全面に渡って表示装置39を配置することができる。なお、本例の音響発生装置は、上述した構成を備えているとともに、圧電振動素子32によって振動体31を屈曲振動させることによって音響を発生させているので、発生する音響の指向性が小さい。このため、表示装置39が取り付けられた壁11に対して垂直な壁12に垂直に形成した貫通孔33を介して音響を筐体10の外部へ放出しても、表示装置39の表面に対して垂直な方向に対して大きな音圧を有する音響を伝達させることができる。これにより、大きな表示装置39を有するとともに、表示装置を見る人に充分な音量の音響を伝達することが可能な、小型の音響発生装置を得ることができる。
(変形例)
本発明は前述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更,改良が可能である。
例えば、前述した実施の形態の例においては、横断面が矩形状の貫通孔33が形成された例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、横断面が円形や楕円形等の他の形状である貫通孔33であっても構わない。
また、前述した実施の形態の例においては、貫通孔33の数と音響発生部34の数とが等しく、それぞれ1個または2個である例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、貫通孔33および音響発生部34の数が3つ以上でも良く、音響発生部34の数と貫通孔33の数とが異なっていても構わない。
また、前述した実施の形態の例においては、振動体31の一方主面31aが、貫通孔33が形成された壁の内面に対して斜めに傾いている場合を示したが、これに限定されるものではない。場合によっては、振動体31の一方主面31aが、貫通孔33が形成された壁の内面に対して平行であっても構わない。
また、前述した実施の形態の例においては、電気信号が入力されて単独で屈曲振動するバイモルフ形の圧電振動素子32がフィルム3に取り付けられた例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、電気信号が入力されて伸縮振動する2つのモノモルフ型の圧電振動素子を、厚み方向(図のz軸方向)にフィルム3を挟むように配置して、2つのモノモルフ型の圧電振動素子の一方が伸びるときに他方が縮むようにしても構わない。周知のように、このような構成の音響発生装置であっても、振動体31を屈曲振動させることができる。
また、前述した実施の形態の例においては、フィルム3の一方主面に1つの圧電振動素子32が取り付けられた例を示したが、これに限定されるものではない。フィルム3の一方主面に多数の圧電振動素子32が取り付けられるようにしても構わない。
また、前述した実施の形態の例においては、フィルム3と、フィルム3の上に配置された接着剤層21,圧電振動素子32および樹脂層20と、導線22a,22bの一部分とによって振動体31が構成された例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、樹脂20を有していなくても良く、フィルム3またはこれに代わる板状の物体によって振動体31が構成されるようにしても構わない。
次に、本発明の音響発生装置の具体例について説明する。図6〜8に示した本発明の実施の形態の第2の例の音響発生装置を作製して、その電気特性を測定した。
まず、Zrの一部をSbで置換したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含有する圧電粉末と、バインダーと、分散剤と、可塑剤と、溶剤とをボールミル混合により24時間混練してスラリーを作製した。そして、得られたスラリーを用いてドクターブレード法によりグリーンシートを作製した。このグリーンシートにAgおよびPdを含有する導体ペーストをスクリーン印刷法により所定形状に塗布して、内部電極層となる導体パターンを形成した。そして、導体パターンが形成されたグリーンシートおよびその他のグリーンシートを積層して加圧し、積層成形体を作製した。そして、この積層成形体を500℃で1時間、大気中で脱脂し、その後、1100℃で3時間、大気中で焼成して、積層体23を得た。
次に、得られた積層体23の長手方向の両端面部をダイシング加工によりカットし、内部電極の一端を積層体23の側面に露出させた。そして、積層体23の両主面にAgとガラスを含有する導体ペーストをスクリーン印刷法により塗布して、表面電極25a,25b,25cを形成した。その後、積層体23の長手方向の両側面に、Agとガラスを含有する導体ペーストをディップ法により塗布し、700℃で10分間、大気中で焼き付けて接続電極を形成した。これによって、圧電振動素子32の本体となる構造体を作製した。構造体の寸法は、幅を18mm、長さを46mmとし、厚みを100μmとした。そして、表面電極25a,25b,25cを通して100Vの電圧を2分間加えて分極を行って圧電振動素子32を得た。
次に、厚み25μmのポリイミド樹脂からなるフィルム3を準備し、張力を与えた状態で枠部材5a,5bに固定した。枠部材5a,5bは、それぞれ厚さ0.5mmのステンレス製のものを用いた。枠部材5a,5b内のフィルム3の寸法は、長さが24mm、幅が15mmとした。そして、固定されたフィルム3の一方主面にアクリル樹脂からなる接着剤にて圧電振動素子32を接着した。この後、圧電振動素子32に導線22a,22bを接合して配線を行った。そして、枠部材5aの内側に、枠部材5aと同じ高さとなるように、固化後のヤング率が17MPaとなるアクリル系樹脂を充填して固化させて、樹脂層20を形成した。このようにして、図4,5に示す音響発生部34を作製した。
次に、支持体35および貫通孔33が形成された筐体10を用意した。筐体10の材質はABS樹脂とし、筐体10の形状は、長さが200mmで、幅が120mmで、高さが10mmの直方体の箱状とした。2つの貫通孔33の各々は、長さが20mmで、幅が3mmの矩形状の横断面を持つものとし、壁12に形成した。
そして、2つの音響発生部34の各々について、枠部材5の一方端を、支持体35を介して筐体10の壁12に取り付けるとともに、枠部材5の他方端を筐体10の壁16にそのまま取り付けた。なお、支持体35は、ABS樹脂からなる長さが10mmで、幅が30mmで、厚みが1mmの板状とした。そして、壁12の内側の表面12aへの貫通孔33の開口部の中央部と振動体31の一方主面31aの中央部31bとを結ぶ線分と振動体31の一方主面31aとのなす角度θを15°とした。
そして、作製した音響発生装置の音圧の周波数特性を、JEITA(電子情報技術産業協会規格)EIJA RC−8124Aに準じて測定した。測定においては、2つのうちの一方の音響発生部34の導線22a,22b間に、実効値5Vの正弦波信号を入力し、正弦波信号を入力した音響発生部34に対応する貫通孔33から100mm離れた位置にマイクを設置して音圧を測定した。その結果を図9のグラフに示す。また、音響発生部34のみからなる比較例の音響発生装置を作製して、振動体31の中央から100mm離れ
た位置にマイクを設置して音圧を測定した。なお、比較例の音響発生装置の音圧の測定においては、振動体31の裏面(他方主面)から発生する逆位相の音響による影響を低減するために、アクリル樹脂からなる一辺が20cmで厚みが2mmの正方形の板状のバッフルボードを用意し、その中央部に形状を合わせて形成した貫通孔に音響発生部34を固定して測定した。その結果を図10のグラフに示す。なお、図9,10のグラフにおいて、横軸は周波数を示し、縦軸は音圧を示す。
図10に示す比較例の音響発生装置の音圧の周波数特性と比較すると、図9に示す実施の形態の第2の例の音響発生装置の音圧の周波数特性では、特定の周波数における音圧の急激な変化(ピーク・ディップ)が低減されていることがわかる。これにより本発明の有効性が確認できた。
10:筐体
11,12,13,14,15,16:壁
31:振動体
32:圧電振動素子
37,38:空間

Claims (1)

  1. 平面状の振動体と、
    該振動体に接合された、該振動体を振動させる圧電振動素子と、
    内側の表面が前記振動体の一方主面と対向する第1の壁を含む複数の壁で構成されており、該複数の壁で囲まれた第1空間内に前記振動体および前記圧電振動素子を収容する筐体と、
    前記第1の壁における、前記振動体の前記一方主面から見通せる部分であり、且つ前記振動体の前記一方主面の中央部と結ぶ線分と前記振動体の前記一方主面とのなす角度が鋭角である部分に形成された貫通孔と
    を少なくとも有しており、
    前記振動体の前記一方主面は、前記第1の壁の前記内側の表面に対して傾いており、
    前記筐体は、前記第1の壁に隣接する第2の壁を有しており、
    前記第1の壁の前記内側の表面と前記第2の壁の内側の表面との両方に前記一方主面が対向するように前記振動体が配置されており、
    前記振動体の前記一方主面と、前記第1の壁の前記内側の表面と、前記第2の壁の前記内側の表面とで囲まれているとともに、前記振動体の前記一方主面、前記第1の壁の前記内側の表面および前記第2の壁の前記内側の表面に平行な方向が開放された第2空間が、前記第1空間内に形成されている
    ことを特徴とする音響発生装置。
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