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JP5870107B2 - 官能基化液体ポリブタジエンを用いて改良された耐磨耗性を有するトレッド用ゴム化合物 - Google Patents

官能基化液体ポリブタジエンを用いて改良された耐磨耗性を有するトレッド用ゴム化合物 Download PDF

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Description

本出願は、米国特許仮出願第61/394,008(2010年10月18日出願、表題「官能基化液体ポリブタジエンを用いて改良された耐磨耗性を有するトレッド用ゴム化合物」)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に対する優先権ならびにその任意の他の利益を主張する。
本明細書中に開示される1つ以上の実施形態は、他の有用な特性を有意に減損することなく、当該化合物の耐磨耗特性を改良する架橋剤成分を有するトレッド用ゴム化合物に関する。
ある用途においては、トレッド用ゴム化合物は、有益には、改良された耐磨耗性を示す。さらに、トレッド用ゴム化合物の他の有用な特性、例えば硬化、マトリックスポリマーの機能性、ならびに当該化合物の弾性係数に有意に影響を及ぼすことなく、耐摩耗性を改良することが望ましい。
トレッド用ゴム化合物の有用な特性、例えば加工適性に負の影響を及ぼすことなく、トレッド用ゴム処方物中に用いられるプロセス油の量を低減することも、一般的に有益である。
本出願は、官能基化液体ポリブタジエンを利用して、改良された耐磨耗性を提供するトレッド用ゴム化合物を記載する。
一実施形態では、改良された耐磨耗性を有し、共役ジエンポリマーまたはコポリマー、少なくとも1つの充填剤、2〜10重量百分率(phr)の液体ポリブタジエン、0.2〜5phrの酸化亜鉛および1〜100phrのプロセス油を含むトレッド用ゴム化合物が開示される。液体ポリブタジエンは、不飽和酸無水物との反応により官能基化され、3〜8kg/molの数平均分子量、ならびに40〜80の酸価を有する。特に、別記しない限り、本明細書中の分子量はすべて、単分散ポリスチレン標準を用いるユニバーサルキャリブレーションとともに、Waters GPC系を用いるゲル浸透/サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により確定され、そしてマーク・ホーウィンク定数を用いて算定される。
別の実施形態では、トレッド用ゴム組成物の耐摩耗性を改良する方法が開示される。共役ジエンポリマーまたはコポリマー、少なくとも1つの充填剤、2〜10phrの液体ポリブタジエン、0〜5phrの酸化亜鉛、および1〜100phrのプロセス油を含むマスターバッチが、混合される(上記液体ポリブタジエンは、不飽和酸無水物との反応により予め官能基化されており、3〜8kg/molの数平均分子量、ならびに40〜180の酸価を有する)。その後のステップにおいて、上記マスターバッチ、少なくとも1つの硬化剤、0〜5phrの酸化亜鉛を含む最終バッチが、混合される。最終的には、上記最終バッチは加硫される。全体的に、酸化亜鉛の総量(すなわち、マスターバッチに用いられる任意量と、最終バッチに用いられる任意量の和)は、0.2〜5phrである。
この開示の他の態様は、以下の種々の実施形態の記述から、当業者に明らかになる。その記述において、以下の定義は、前後の本文がそうではないことを明白に示さない限り、全体を通して当てはまる。
「酸価」は、1gの当該物質を中和するのに必要とされる水酸化カリウムの質量(mg)を意味する。
「改良された耐磨耗性」および「改良された摩滅特性」および「改良された耐摩滅性」は、本明細書中では互換的に用いられ、以下の実施例に記載されるランボーン試験プロトコールに関して、ランボーン磨耗指数の少なくとも5%増を示すことを意味する。
「液体ポリマー」は、室温で(すなわち、25℃または70°F)液体であるポリマーである。
「ポリマー」は、1つ以上の重合生成物を意味し、ホモ−およびインターポリマー、ならびにランダム、ブロック、セグメント化、グラフトなどのポリマー等を含む。
本文書全体を通して、パーセンテージの形で示される値はすべて、そうでないことが前後の本文中で明白に示されない限り、重量パーセンテージである。記述される任意の特許または特許公開の関連部分は、参照により本明細書中で援用される
一般的に、本明細書中に記載される1つ以上の実施形態によれば、改良された耐磨耗性を有するトレッド用ゴム組成物が開示される。本明細書中に記載されるトレッド用ゴム組成物は、共役ジエンポリマーまたはコポリマー、少なくとも1つの充填剤、0.2〜5phrの酸化亜鉛、不飽和酸無水物で官能基化されている2〜10phrの液体ポリブタジエン、および1〜100phrのプロセス油を含む。理論に縛られずに考えると、官能基化液体ポリブタジエンは、酸化亜鉛と会合して、長い安定した架橋を提供する。1つ以上の実施形態において、官能基化液体ポリブタジエンは、プロセス油の部分的代替物としても役立つ。有益には、ある量で官能化液体ポリブタジエンおよび酸化亜鉛を付加すると、トレッド用ゴム組成物の他の特性、例えば以下の実施例で考察される物理学的特性(これに限定されない)にわずかに影響を及ぼすことが見出されている。
一般的に、トレッド用ゴム化合物に用いるのに適している任意のゴム様共役ジエンポリマーまたはコポリマーおよびその混合物は、本明細書中に開示されるトレッド用ゴム組成物中に用いられ得る。一つ以上の実施形態では、適切な共役ジエンポリマーは、4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーを重合することにより得られるポリマーである。非限定例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、オクタジエン等が挙げられる。共役ジエンモノマーは、単独で、あるいは2つ以上の型の混合物として用いられ得る。これらのモノマーの中で、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
一つ以上の実施形態では、適切なコポリマーは、前記の共役ジエンモノマーおよび1つ以上のビニル芳香族炭化水素モノマーのうちの1つ以上の重合により得られるコポリマーである。ビニル芳香族炭化水素モノマーの非限定例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−ブチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらのビニル芳香族炭化水素の中で、スチレンが好ましい。
一つ以上の実施形態では、共役ジエンポリマーまたはコポリマーは、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、シス−1,4−ポリブタジエン、ブタジエン−イソプレンゴム、天然ゴム、合成シス−1,4−ポリイソプレン、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴムおよびブチルゴム、その末端および主鎖官能基化誘導体、ならびにその混合物である。非限定的一実施形態では、共役ジエンポリマーは、45/55〜95/5の共役ジエン単位対ビニル芳香族単位の重量比を有するスチレンブタジエンゴムである;別の実施形態では、その比は55/45〜85/15である;別の実施形態では、65/35〜75/25である。コポリマーにおける前記単位の分布は、無作為配分、ブロック配分または中間配分であり得る。無作為配分および中間配分が、一般的に好ましい。
共役ジエンポリマーまたはコポリマーのジエン部分の微細構造(シス−1,4、トランス−1,4および1,2ビニル)は特に限定されるわけではなく、当業者は、必要に応じてその微細構造を調整する方法を知っている。例えば、ジエンポリマーは、一般的に、有機アルカリ金属開始剤、例えばブチルリチウムおよび適切な極性修飾剤、例えばエーテルまたはアミンの存在下で、炭化水素溶媒、例えばヘキサン中でジエンモノマーを重合することにより調製され得る。特に有用な極性修飾剤は、エーテル、例えばジグリム、トリグリム、テトラグリム、テトラヒドロフラン等、ならびにジアミン、例えばN,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン、ジピペリジノエタン等である。得られる特定の1,2−微細構造含量は、開始剤の特定の型、修飾剤の型、修飾剤対開始剤比、および重合温度を含めたいくつかの要因によって決まる。10〜90%またはそれ以上の範囲の1,2−微細構造含量を有するジエンポリマーの例証的製造方法は、多数の特許および印刷物、例えば米国特許第4,264,753号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。別の例証的例では、共役ジエンポリマーまたはコポリマーとしては、超高シス−ポリブタジエンゴムが挙げられる。このような物質を得るのに適した触媒系としては、当該技術分野で既知の遷移金属またはランタニド金属触媒系、例えば、米国特許第6,437,205号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示された触媒系が挙げられる。
共役ジエンポリマーの重量平均分子量は、100〜3,000kg/molである。一つ以上の実施形態では、共役ジエンポリマーは、200〜2,000kg/molの重量平均分子量を有する;他の実施形態では、220〜1,750kg/molである。
本明細書中に記載されるトレッド用ゴム組成物は、さらにまた、2〜10phrの官能基化液体ポリブタジエンポリマーを含む。官能基化液体ポリブタジエンは、有益には、柔軟剤として作用し、それによりトレッド用ゴム組成物中で、下記のように、プロセス油の一部分に取って代わって作用する。一つ以上の実施形態では、トレッド用ゴム組成物は、2〜9phrの官能基化液体ポリブタジエンを含む;他の実施形態では、2〜8phrを含む。
概して、官能基化液体ポリブタジエンの微細構造(すなわち、シス、トランスおよびビニル含量)は、限定されない。官能基化液体ポリブタジエンの数平均分子量は、2〜10kg/molである。一つ以上の実施形態では、数平均分子量は3〜8kg/molである;他の実施形態では、3〜6kg/molである。
液体ポリブタジエンは、不飽和酸無水物との反応により官能基化される。不飽和酸無水物を用いて液体ポリマーを官能基化することは、一般的に、当業者に既知であり、本明細書中に記載される実施形態で有用な液体ポリブタジエンは、このような反応の方法により限定されない。酸無水物がポリブタジエン鎖の主鎖に沿って組入れられるよう、液体ポリブタジエンは、不飽和酸無水物の存在下でブタジエンを重合することにより官能基化され得る。代替的には、酸無水物部分がポリブタジエン鎖の主鎖上にグラフトされるよう、液体ポリブタジエンを、高温で不飽和酸無水物と反応させ得る。本明細書中に記載される一実施形態では、不飽和酸無水物は、液体ポリブタジエン鎖を無作為に官能基化する。
一般的に、任意の適切な不飽和酸無水物は、本明細書中に開示される組成物中に利用され得る。ある実施形態では、不飽和酸無水物はイタコン酸、シトラコン酸または無水マレイン酸、あるいはその混合物である。好ましくは、不飽和酸無水物は無水マレイン酸である。
官能基化液体ポリブタジエンの酸価は、液体ポリブタジエンと不飽和酸無水物との反応により提供される官能基化の相対的程度を示す。概して、相対的に高い酸価(すなわち、高レベルの官能性)は、官能基化液体ポリブタジエンを組入れるゴム組成物における相対的に高度の架橋を生じるが、但し、無水物部分と配位結合するために十分な酸化亜鉛が利用可能な上においてである。しかしながら、官能基化液体ポリブタジエンの酸価が増大されると、ゴム組成物の加工適性は低減する、ということに留意されたい。
本明細書中に開示されるトレッド用組成物中に用いられる官能基化液体ポリブタジエンは、40〜80の酸価を有する。ある実施形態では、官能基化液体ポリブタジエンは60〜160の酸価を有する;他の実施形態では、80〜140の酸価を有する;さらに別の実施形態では、90〜120の酸価を有する。
本明細書中に記載されるように、本出願のトレッド用ゴム組成物への酸化亜鉛の付加は、官能基化液体ポリブタジエン中に存在する無水物部分の一部分との会合により、架橋の形成を生じると考えられる。一般的に、トレッド用ゴム組成物中には0.2〜5phrの酸化亜鉛が存在する。ある実施形態では、2〜5phrの酸化亜鉛が存在する;他の実施形態では、3〜5phrの酸化亜鉛が存在し、さらに他の実施形態では、4phrの酸化亜鉛が存在する。さらに、本明細書中に記載されるトレッド用ゴム組成物中に存在する官能基化液体ポリブタジエン対酸化亜鉛の重量比は、10/3未満である。ある実施形態では、比は8/3〜1/2である;他の実施形態では、2.5/1〜1/1である。
一般的に、トレッド用ゴム組成物を調製するために慣用的に用いられる任意の充填剤(単数または複数)が、本明細書中に記載される組成物中で用いられ得る。潜在的に有用な充填剤は当業者によく知られており、例としては、カーボンブラック、ヒュームドまたは沈降シリカ、粘土、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属ケイ酸塩、金属炭酸塩、二相または多相複合材料粒子、あるいはその組合せが挙げられる。他の潜在的に有用な充填剤は、例えばWO 2009086490に開示されている。
充填剤粒子の用途によって、ならびにその密度によって、本明細書中に記載されるトレッド用ゴム組成物は、一般的に、2〜300phrの併合量の充填剤に充填される。一つ以上の実施形態では、トレッド用ゴム化合物は、5〜200phrの充填剤(単数または複数)で充填され得る;他の実施形態では、30〜160phrである;さらに他の実施形態では、40〜120phrである。
他の慣用的ゴム添加物も付加され得る。これらの例としては、例えばプロセス油、可塑剤、劣化防止剤、例えば酸化防止剤およびオゾン化防止剤、硬化剤等が挙げられる。
典型的には、プロセス油は、柔軟剤としてトレッド用ゴム組成物に付加される。本明細書中に開示されるトレッド用ゴム組成物中に用いられるプロセス油の非限定例としては、パラフィン系、ナフテン系および芳香族プロセス油等が挙げられる。一つ以上の実施形態では、プロセス油は芳香族系プロセス油である。他の実施形態では、プロセス油は、2%未満を含有する低多環芳香族含量(「低PCA」)油である。他の有用な油としては、3重量%未満、2重量%未満または1重量%未満の多環芳香族化合物を含有するもの(IP346により測定)(「低PCA油」)が挙げられる。このような低PCA油は、タイヤに用いられるゴム中に存在する多環芳香族化合物の量を低減しようという努力の中で益々用いられるようになっている。市販の低PCA油としては、種々のナフテン系油、軽度抽出溶媒和物(MES)および処理済み分留芳香族抽出物(TDAE)が挙げられる。
一般的に、本明細書中に開示されるトレッド用ゴム組成物は、1〜100phrのプロセス油を含有する。一つ以上の実施形態では、プロセス油の量は2〜100phrである;他の実施形態では、1〜50phrである;他の実施形態では、2〜50phrである。さらに他の実施形態では、プロセス油の量は1〜20phrである;他の実施形態では、2〜20phrである;他の実施形態では、1〜10phrである;さらに他の実施形態では、2〜10phrである。
トレッド用ゴム組成物を生成する場合、一般的にすべての成分が、標準設備、例えばBanburyまたはBrabenderミキサーで混合され得る。典型的には、混合は2回以上の段階で起こる。第一段階(マスターバッチ段階としても知られている)中、混合は、典型的には、約100℃〜約130℃の温度で開始され、いわゆる降下温度、典型的には約165℃が達成されるまで、増大する。
処方物がカーボンブラック以外の(またはそれに加えて)充填剤を含む場合、他の充填剤の別個の付加のために、別個の再粉砕段階がしばしば用いられる。この段階は、しばしば、マスターバッチ段階で用いられるものと同様の(しかししばしばそれよりわずかに低い)温度で、すなわち約90℃から約150℃Cの降下温度までの勾配を有する温度で実施される。この出願の目的のために、「マスターバッチ」という用語は、マスターバッチ段階中に存在する組成物、あるいはそれが任意の再粉砕段階中に存在するような組成物、あるいはその両方を意味する。
強化ゴム化合物は、慣用的には、約0.2〜約5phrの1つ以上の既知の加硫剤または硬化剤、例えばイオウまたは過酸化物ベースの硬化剤系で硬化される。適切な硬化剤についての一般的開示に関しては、Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chem. Tech., 3d ed., (Wiley Interscience, New York, 1982), vol 20, pp.365-468を参照されたい。硬化剤、促進剤等は、一般的に、最終混合段階で付加される。望ましくないスコーチおよび/または早発性加硫の発生を回避するために、この混合段階はしばしば、より低い温度で実行され、例えば約60℃〜約65℃で開始し、約105℃〜約110℃より高くはならない。本出願の目的のために、「最終バッチ」という用語は、最終混合段階中に存在する組成物を意味する。
その後、合成混合物はシートに加工された(例えば粉砕)後、種々の構成成分のいずれかに生成され、次いで、加硫されるが、これは典型的には、混合段階中に用いられる最高温度より約5℃〜15℃高い温度で、最も一般的には約170℃で起こる。
トレッド用ゴム組成物の耐摩耗性を改良する方法が、本明細書中に開示される。最初に、共役ジエンポリマーまたはコポリマー、充填剤、官能基化液体ポリブタジエンおよびプロセス油を含むマスターバッチが、混合される(前記のすべてが、前記の量で)。その後、マスターバッチおよび少なくとも1つの硬化剤(前記)を含む最終バッチが混合される。さらに、酸化亜鉛が、処理加工中(すなわち、マスターバッチ段階中および/または最終バッチ段階中)の1つ以上の混合段階で、総量で2〜5phrの酸化亜鉛が組成物に付加されるよう、付加される。一つ以上の実施形態では、総量で3〜5phrの酸化亜鉛が付加される;他の実施形態では、4phrが付加される。その後、最終バッチは加硫される。
本明細書中に開示される実施形態は、以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されるであろう。もちろん、当業者に明らかになるであろう多数の他の実施形態または図解が存在する。したがって、これらの実施例は例証のためにのみ示され、如何なる点でも特許請求の範囲を限定するものではない、と理解される。
実施例
1分間のウォームアップ時間(これにより、試料は1分間で130℃で予熱される)および4分間の実行時間(これにより、ローターが130℃で4分間回転した後のトルクとして、測定値が記録される)を用いて、Alpha Technologiesムーニー粘度計(大型ローターを伴う)で、ムーニー粘度(ML1+4)値を確定した。
TA Instruments社製のAdvanced Rheometric Expansion System(ARES)で、硬化ゴム化合物の粘弾性特性を測定する。直径7.8mm、高さ6.0mmのゴムボタンを有する平行平板形状で、動的歪み依存性測定を実行する。10Hzで60℃で、0.25〜14%γo(歪み振幅)の変形全体に亘って、損失弾性率 G”、貯蔵弾性率 G’およびヒステリシス tanδを測定する。
微小ダンベル型試料を用いて、ASTM−D412に記載された標準手順(これに限定されない)の指針に従って引張り強さの機械的特性を確定する。検体を一定速度で歪ませて、その結果生じる力を拡張(歪み)の一関数として記録する。試験小片の元の横断面積を参照することにより、公称応力として力の読取値を表す。
Alpha Technologies 社製のMonsanto流量計 MDR 2000を用いて171℃で、硬化を試験する。この試験は、ASTM−D 2084(これに限定されない)に従う。
Zwick反発弾性テスターで反発弾性を測定する。衝撃後に自由に反発できる圧子で試験片に衝撃を与えることにより、検体を歪ませる。反発弾性は、器械の振り子型アームによる試料への衝撃の前後の蓄積エネルギーの比率と定義される。
ゴムに適用された場合の硬度測定値は、特定負荷下での規定寸法の圧子による出入りに対する表面の相対的抵抗と定義される。Shore A 硬度試験は、ASTM D 2240標準(これに限定されない)に従う。(1)Duro作業台、(2)Durotronic 2000デジタル・デュロメーターおよび(3)RS232 PCインターフェースからなるInstron モデル902/2000試験系を用いる。
タイヤ摩滅性能指標としてのゴム化合物の耐摩耗性を、Lambourn 磨耗試験装置を用いて測定する。環状試験検体を回転軸上に置いて、駆動磨耗表面に対して種々のスリップ角度および速度で実行する。タルク粉末を滑剤として用いる。試験の前後に試験検体を計量して、物質損失の量を確定し、物質損失の平均比率を用いて(典型的には3〜5データポイントを用いて)摩滅指数を算定する。
実施例1〜12
油の部分的代替物としてマレイン酸処理液体ポリブタジエンを選択的に付加することにより、そして酸化亜鉛の量を変えることにより、下記の表1に示す処方に従ってゴム組成物を調製した。官能基化液体ポリブタジエンは、Ricobond(商標)1731(Sartomer Companyから市販されている)であったが、これは、91.6〜103の酸価および18〜33%(モル)の1,2ビニル微細構造、ならびに5.5kg/molの数平均分子量を有すると報告されている。本明細書中の各実施例において、用いられるマトリックスゴムは、それぞれ、360kg/molおよび260kg/molの重量平均分子量、20%スチレンおよび63%ビニル、ならびに24%スチレンおよび13%ビニルの微細構造を有するSBR1またはSBR2−スチレンブタジエンゴムであった。
各試料において、下記の表2に列挙した方法により、成分の配合物を混合した。最終ストックをシート状にして、表1に列挙した温度および時間に従って硬化した。対照試料(比較例)は、SBR1に関しては実施例1〜3、SBR2に関しては実施例7〜9であった。対照試料は10phrの油を用い、種々の量の硬化剤を含んだ。実験試料における改良が硬化条件の差のためではないことを確証するために、酸化亜鉛、イオウおよび促進剤量を変えた対照試料において、3つの硬化状態が認められた。
表3に示すように、結合ゴムの量は各ポリマーに関して対照および実験試料間で一致しており、これは、マレイン酸処理液体ポリブタジエンの付加が充填剤とのSBR相互作用を妨げなかった、ということを示していて、このことは、SBR1のような機能性ポリマーを用いる場合に重要である。さらにまた、硬化前に抽出されるパーセントは、対照および実験試料間で一致しており、これは、油およびマレイン酸処理液体ポリブタジエンのほとんどが除去されたことを示しており、このことは、硬化前に油およびマレイン酸処理ポリブタジエンがそれ以上抽出され得ることを示している。しかしながら、硬化後、抽出パーセントは実験試料のほとんどに関して減少し、これは、マレイン酸処理液体ポリブタジエンがゴム化合物に硬化されている、ということを示している。
加硫ゴム化合物の物理学的特性、例えば引張り強さ、ムーニー、硬化時間およびヒステリシス損失(60℃で)を、以下の表4に示す。
表4で分かるように、ほとんどの注目に値する改良は、対照検体と比較して、試験化合物が改良された耐磨耗性を示すというものである。処方物に6phrのRicobond(商標)1731を付加することにより、13%という大きな改良が認められた。さらに、耐摩耗性は、100℃で2日間、試料を老化させた後に存続した。
実施例13〜24
油の部分的代替物としてマレイン酸処理液体ポリブタジエンを選択的に付加することにより、そして相対的に高量の酸化亜鉛を用いることにより、下記の表5に示す処方に従ってゴム組成物を調製した。マレイン酸処理液体ポリブタジエンは、Ricobond(商標)2031(Sartomer Companyから市販されている)であったが、これは、108.5〜120の酸価および18〜33%(モル)の1,2ビニル微細構造、ならびに7.5kg/molの数平均分子量を有すると報告されている。
前記と同様に、各試料に関して、上記の表2に列挙した方法により、成分の配合物を混合した。最終ストックをシート状にして、表5に列挙した温度および時間に従って硬化した。対照試料は、SBR1に関しては実施例13〜15、SBR2に関しては実施例19〜21であった。対照試料は10phrの油を用いた。
以下の表6に示すように、結合ゴムの量は各ポリマーに関して対照および実験試料間で一致しており、これは、Ricobond(商標)2031の付加が充填剤とのSBR相互作用を妨げなかった、ということを示していて、このことは、SBR1のような機能性ポリマーを用いる場合に重要である。硬化後、抽出されたRicobond(商標)パーセントは、実験試料のほとんどに関して減少し、これは、Ricobond(商標)2031がゴム化合物に硬化されている、ということを示している。
加硫物の物理学的特性を、以下の表7に示す。
表7に示したように、ほとんどの注目に値する改良は、特に、100℃で2日間、試料を老化させた後、試験化合物が対照検体に匹敵する改良された耐磨耗性を示すというものである。処方物に6phrのRicobond(商標)を付加することにより、18%という大きな改良が認められた。
実施例25〜33
下記の表8に示す処方に従ってゴム組成物を調製した。これらの実施例では、マレイン酸処理液体ポリブタジエン(Ricobond(商標)1731)を、マレイン酸処理液体イソプレン(LIR 403、日本のクラレ社から市販されている)と比較し、相対的に高レベルの酸化亜鉛を用いる。マレイン酸処理液体ポリイソプレンは、約0.24の酸価および25kg/molの分子量を有する。
前記と同様に、各試料に関して、上記の表2に列挙した方法により、成分の配合物を混合した。最終ストックをシート状にして、表8に列挙した温度および時間に従って硬化した。対照試料は実施例25〜27で、これは10phrの油を用いた。
加硫物の物理学的特性を、以下の表9に示す。
これらの結果は、LIR 403のような製品を上回る改良された性能を示し、酸化亜鉛が重要な構成成分であることを示している。しかしながら、酸化亜鉛の量を7phrに増大することにより得られる付加的利益はない。粒子サイズおよび分布を画像処理するために透過型電子顕微鏡を用いて、充填剤のマクロ分散をこれらの物質において評価し、Ricobond 1731含有ストック(実施例28〜30)が最高評価を示した。これは、対照およびLIR−403含有ストックを上回る充填剤の最良分布に対応する。
さらに、表9で分かるように、ほとんどの注目に値する改良は、特に、100℃で2日間、試料を老化させた後、対照検体と比較して試験化合物が改良された耐磨耗性を示すというものである。処方物に6phrのRicobond(商標)を付加することにより、摩滅指数における17%という大きな改良が認められた。これらの結果は、非老化ストックにおいて全く改良を示さなかったLIR 403物質より有意に良好である。
「〜を含む」または「〜を含めて」という用語が当該明細書または特許請求の範囲で用いられる範囲で、それは、特許請求の範囲において転換語として用いられる場合に、その用語が解釈されるように「〜からなる」という用語と同様のやり方で包括的であるよう意図される。さらに、「または」という用語が用いられる(例えば、AまたはB)範囲で、それは、「AまたはBあるいは両方」を意味するよう意図される。当該出願人等が「AまたはBのみで、両方ではない」ことを示すよう意図する場合には、「AまたはBのみであるが両方ではない」という用語が用いられる。したがって、本明細書中での「または」という用語の使用は包括的であり、排他的使用でない。Bryan A. Garner, A Dictionary of Modern Legal Usage 624 (2d. Ed. 1995)を参照。さらにまた、「中で」または「中に」という用語が当該明細書または特許請求の範囲で用いられる範囲で、付加的に「〜の上」または「〜の上に」を意味するよう意図される。さらに、「連結する」という用語が当該明細書または特許請求の範囲で用いられる範囲で、「〜と直接的に連結される」だけでなく、別の単数または複数の構成成分を介して連結されるといったように、「〜と間接的に連結される」ことを意味するよう意図される。
本出願を、その実施形態の記述により例証してきたが、そして実施形態をかなり詳細に記載してきたが、それは添付の特許請求の範囲の範囲を制限したり、如何なる点でもこのような詳細に限定するものではない。付加的利点および修正は、当業者に容易に明らかになる。したがって、当該出願は、そのより広範な態様において、示され記載された特定の詳細、代表的装置および例証的実施例に限定されない。したがって、当該出願人の一般的発明概念の精神または範囲を逸脱しない限り、このような詳細にこだわらなくてもよい。

Claims (14)

  1. 改良された耐磨耗性を有するトレッド用ゴム組成物であって、以下の:
    (a)重量平均分子量が100〜3,000kg/molである共役ジエンポリマーまたはコポリマー;
    (b)少なくとも1つの充填剤であって、粘土を含まない充填剤
    (c)2〜10phrの液体ポリブタジエン;
    (d)0.2〜5phrの酸化亜鉛;
    (e)1〜100phrのプロセス油
    を含む組成物であり、前記液体ポリブタジエンが不飽和酸無水物との反応により官能基化され、3〜8kg/molの数平均分子量、ならびに40〜180の酸価を有する組成物。
  2. 前記共役ジエンポリマーまたはコポリマーが200〜2,000kg/molの重量平均分子量、ならびに10〜90%の1,2ビニル微細構造含量を有する請求項1記載のトレッド用ゴム組成物。
  3. 2〜8phrの液体ポリブタジエンを含む請求項1又は2に記載のトレッド用ゴム組成物。
  4. 前記液体ポリブタジエン対酸化亜鉛の重量比が10/3未満である請求項1〜3のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  5. 前記液体ポリブタジエン対酸化亜鉛の重量比が8/3〜1/2である請求項1〜4のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  6. 前記液体ポリブタジエン対酸化亜鉛の重量比が2.5/1〜1/1である請求項1〜5のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  7. 前記少なくとも1つの充填剤が、カーボンブラック、ヒュームドまたは沈降シリカ、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属ケイ酸塩、金属炭酸塩、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜6のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  8. 前記不飽和酸無水物がイタコン酸、シトラコン酸およびマレイン酸無水物ならびにその組合せからなる群から選択される請求項1〜7のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  9. 前記液体ポリブタジエンが前記共役ジエンポリマーまたはコポリマーと混和性である請求項1〜8のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  10. 前記共役ジエンポリマーまたはコポリマーが水素化されない請求項1〜9のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物。
  11. 前記トレッド用ゴム組成物の前記耐摩耗性がそれにより改良される請求項1〜10のいずれかに記載のトレッド用ゴム組成物の製造方法であって、以下の:
    (a)以下の:
    (i)重量平均分子量が100〜3,000kg/molである共役ジエンポリマーまたはコポリマー、
    (ii)少なくとも1つの充填剤であって、粘土を含まない充填剤
    (iii)2〜10phrの液体ポリブタジエン、
    (iv)0〜5phrの酸化亜鉛、
    (v)1〜100phrのプロセス油
    を含むマスターバッチを混合すること、
    (b)以下の:
    (i)前記マスターバッチ、
    (ii)少なくとも1つの硬化剤、
    (iii)0〜5phrの酸化亜鉛
    を含む最終バッチを混合すること、そして
    (c)前記最終バッチを加硫すること
    を包含する方法であり、前記酸化亜鉛の総量が0.2〜5phrであり、前記液体ポリブタジエンが不飽和酸無水物との反応により官能基化され、3〜8kg/molの数平均分子量、ならびに40〜180の酸価を有する方法。
  12. 前記マスターバッチが2〜8phrの液体ポリブタジエンを含む請求項11記載の方法。
  13. 0.2〜5phrの酸化亜鉛のすべてがマスターバッチ中に付加される請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記マスターバッチが1〜10phrのプロセス油を含む請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
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