JP5849566B2 - 透明層付き基板 - Google Patents
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Description
透明層の機能としては、例えば、透明電極機能や電磁波シールド機能のような電気的機能や、傷つき防止や飛散防止のような物理的ダメージ保護機能、または反射防止、色補正、紫外線カット、赤外線カットのような光学的機能がある。このような機能性を有する透明層は視認されないこと(不可視性)が重要である。
透明層付き基板の光学的な透明性の程度は、主として透明層、空間の媒質、及び透明層に付加的に設けられる機能層の屈折率や吸収率で決まる。そこで、透明性を制御するために、透明層、基板、空間の媒質、機能層等の屈折率や吸収率に基づいた光学的設計を行い、それらの構成を決定することが考えられる。
例えば、透明導電層(導電性機能を有する透明層)が光学的設計に基づく所定の屈折率や吸収特性となるように、透明導電層の成膜時の条件を変えることがなされている(例えば下記特許文献1および2を参照)。しかし、透明導電層自体の構成を変更すると、光学特性と導電特性の両者が変化するという問題がある。
なお、屈折率R1,R2は、例えば波長550nmにおける値を使用する。
本発明の一態様の透明層付き基板において、前記第1の透明層は導電性を有する透明導電層である。
本発明の一態様の透明層付き基板において、前記第1の透明層はパターニングされている。これにより、パターニングされた第1の透明層の不可視性が良好になる。
本発明の一態様の透明層付き基板において、前記基板はプラスチックフィルム又はガラス基板である。
本発明の一態様の透明層付き基板では、前記透明導電層の平均屈折率(R1)と前記第2の透明層の平均屈折率(R2)の比(R2/R1)が0.9以上1.1以下であり、前記透明導電層がパターニングされている。これにより、透明導電層とこれに隣接する第2の透明層との間の反射が抑制されるため、パターニングされている透明導電層の不可視性が良好になる。
例えば、透明導電層付き基板を、接着剤や粘着剤を介して別の透明基板と貼りあわせることにより、通常では透明導電層が形成困難な基板にも、透明導電性を付加することができる。
本発明の透明層付き基板は、タッチパネル等の電子デバイスを構成することができる。
本発明の透明層付き基板は、不可視性に優れるため、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等に好適に使用できる。特に、透明電極機能および/または電磁波シールド材として好適に使用できる。
図1に示す透明層付き基板では、透明な基板1の一方の面に、透明導電層(第1の透明層)2と、これに隣接する透明隣接層(第2の透明層)3が、基板1側から透明導電層2、透明隣接層3の順に形成されている。透明導電層2の屈折率(R1)と透明隣接層3の屈折率(R2)の比(R2/R1)は0.9以上1.1以下である。
ドライコーティングには、真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法、プラズマCVD法などの真空成膜プロセスが挙げられ、なかでも大面積に均一な膜質の薄膜を形成するために、プロセスが安定し、薄膜が緻密化するスパッタリング法が望ましい。特に好ましくは、公知のロール・ツー・ロール法を用いて該積層体を連続して形成することである。
ウエットコーティングによって第2の透明層を形成する場合、透明層の屈折率(R1)と第2の透明層の屈折率(R2)の比(R2/R1)が0.9以上1.1以下になるようにする方法としては、屈折率の異なるバインダを混合する方法、屈折率の異なる固体及び/または気体粒子を分散する方法などがあげられる。
溶剤については、上記樹脂などを溶解、分散するものであれば特に限定しない。具体的には、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
表面調整剤として通常用いられる添加剤としては、シリコーン系添加剤、フッ素系添加剤、アクリル系添加剤等が挙げられる。シリコーン系添加剤にあっては、ポリジメチルシロキサンを基本構造とする誘導体であり、ポリジメチルシロキサン構造の側鎖を変性したものが用いられる。例えば、ポリエーテル変性ジメチルシロキサンがシリコーン添加剤として用いられる。また、フッ素系添加剤としては、パーフルオロアルキル基を備える化合物が用いられる。
なお、乾燥手段としては加熱、送風、熱風などが例示される。また、自然乾燥により溶媒を除去することも可能である。
第2の透明層形成材料に熱硬化性を持たせた場合は、上記溶媒除去と同時あるいは続いて硬化のための熱を加える、及び/または別途、後工程で熱を加えることにより硬化させることができる。
第1の透明層(透明機能層)の機能は限定されないが、第1の透明層の一例として導電性を有する透明導電層が挙げられる。
第1の透明層が透明導電層である場合、透明導電層を構成する材料は、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズのいずれか、または、それらの2種類もしくは3種類の混合酸化物、さらには、その他添加物が加えられた物等が挙げられ、目的・用途により種々の材料が使用できる。特に限定されるものではないが、酸化インジウムスズ(ITO)を使用することが好ましい。
基板としては、ガラス基板やプラスチックフィルムなどを用いることができる。プラスチックフィルムとしては適度の透明性、機械強度を有していれば良い。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)等のフィルムを用いることができる。中でも、液晶表示装置の前面にハードコートフィルムを設ける場合、トリアセチルセルロース(TAC)は光学異方性がないため、好ましく用いられ、液晶表示装置の前面に用いない場合はポリエチレンテレフタレート(PET)が機械的強度、耐熱性、コスト等のバランスに優れ、好ましく用いられる。
本発明の透明層付き基板は以上により製造されるため、特許文献3に記載された発明と比較して製造コストが低くなる。
[実施例1]
基板1として、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製の「U46」)を用いた。先ず、この基板1に、ITO(屈折率2.05:酸化インジウム90%,酸化スズ10%)膜を、デュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)法により、厚さ20nmで形成した。このITO膜の表面抵抗率は450Ω/□であった。
次に、この基板1を2質量%水酸化ナトリウム水溶液に室温で5分浸して、レジストパターンを剥離した。これにより、基板1の上に、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21が形成された。
このようにして得られた透明層付き基板は、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を有するが、三波長蛍光灯で確認したところ、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を視認できなかった。
第2の透明層3として、酸化スズ(屈折率2.00)をデュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)法により、厚さ600nmで形成した。これ以外は実施例1と同様にして、透明層付き基板を得た。この例において、屈折率の比(R2/R1)は2.00/2.05=0.98である。
第2の透明層3として、酸化ニオブ(屈折率2.30)をデュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)法により、厚さ600nmで形成した。これ以外は実施例1と同様にして、透明層付き基板を得た。この例において、屈折率の比(R2/R1)は2.25/2.05=1.10である。
第2の透明層3として、酸化ジルコニウムが分散した紫外線硬化型ハードコーティング剤(JSR社製の「KZ6661」:屈折率1.65)を、スピンコーティング法により塗布し、70℃で1分乾燥した後、高圧水銀灯で硬化し、厚さ650nmで形成した。これ以外は実施例1と同様にして、透明層付き基板を得た。この例において、屈折率の比(R2/R1)は1.65/2.05=0.80である。
このようにして得られた透明層付き基板は、三波長蛍光灯で確認したところ、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を視認できた。
第2の透明層3として、酸化チタン(屈折率2.45)をデュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)法により、厚さ600nmで形成した。これ以外は実施例1と同様にして、透明層付き基板を得た。この例において、屈折率の比(R2/R1)は2.45/2.05=1.20である。
このようにして得られた透明層付き基板は、三波長蛍光灯で確認したところ、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を視認できた。
2 第1の透明層
21 パターニングされた第1の透明層
3 第2の透明層
4 反射防止層
50 ダイヘッド
52 塗液タンク
51 配管
53 送液ポンプ
52 塗液タンク
55 回転ロール
Claims (8)
- 基板の少なくとも一方の面に、互いに隣接する第1および第2の透明層が積層され、
前記第1の透明層は導電性を有する透明導電層であり、
前記第2の透明層は酸化スズまたは酸化ニオブからなる層であり、
前記第1の透明層の屈折率(R1)と第2の透明層の屈折率(R2)の比(R2/R1)が0.9以上1.1以下であることを特徴とする透明層付き基板。 - 前記第1の透明層はパターニングされている請求項1記載の透明層付き基板。
- 前記透明導電層は導電性フィラーを含有する請求項1記載の透明層付き基板。
- 前記基板はプラスチックフィルム又はガラス基板である請求項1記載の透明層付き基板。
- 前記透明導電層の平均屈折率(R1)と前記第2の透明層の平均屈折率(R2)の比(R2/R1)が0.9以上1.1以下であり、前記透明導電層がパターニングされている請求項3記載の透明層付き基板。
- 前記基板の前記透明層が形成されている面および/または前記透明層が形成されていない面に別の基板が貼り合わされている請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明層付き基板。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載された透明層付き基板を有する電子デバイス。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載された透明層付き基板を有するタッチパネル。
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