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JP5720609B2 - 圧着端子付き保護キャップおよび該保護キャップを用いた端末スプライス部の形成方法 - Google Patents

圧着端子付き保護キャップおよび該保護キャップを用いた端末スプライス部の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は圧着端子付き保護キャップおよび該保護キャップを用いた端末スプライス部の形成方法に関し、特に、車両に配索する電線端末にスプライス部を設けると共に該スプライス部を保護するものである。
従来、電線を接続して回路接続および回路分岐する方法として、第一に、特開平11−74005号公報に記載のように、電線の中間位置で絶縁被覆を皮剥ぎして芯線を露出し、該芯線をジョイント用圧着端子に通した後、該ジョイント端子を加締め圧着し、該圧着部に絶縁シートを巻き付けて被覆保護する方法がある。
第二に、各電線端末に端子を接続し、該端子をジョイントコネクタに挿入して該ジョイントコネクタ内のジョイントバスバーと接続する方法がある。
第三に、電線端末で絶縁被覆を皮剥して芯線を露出し、複数の芯線露出部を重ねて超音波溶接または抵抗溶接を行って端末集中スプライスを形成し、該端末集中スプライスを有底の樹脂キャップに挿入して保護する方法がある。
該端末集中スプライス部をアース接続すると共に防水する構造として、特開平11−67287号公報で図9(A)(B)に示す構造が提供されている。該電線100の端末の芯線露出部101をアース端子付き圧着端子110の圧着部111に圧着接続し、該圧着部111を保護キャップ120に挿入し、アース固定部112を保護キャップ120の開口端から外方に突出させ、かつ、保護キャップ120内にシール材130を充填している。
特開平11−74005号公報 特開平11−67287号公報
前記第一のジョイント用圧着端子を用いて芯線同士をスプライスする方法では、スプライスの外周に樹脂シートを巻き付けて絶縁保護する手作業が必要で、作業の熟練度によって仕上げ精度にバラツキが発生しやすい問題がある。
前記第二のジョイントコネクタを用いる方法では、部品点数および作業手数が増加してコスト高になりやすい問題がある。
前記第三の端末の端末集中スプライスを形成して保護キャップに収容する方法では、超音波溶接または抵抗溶接のために設備コストがかかり、かつ、保護キャップへの収容作業と連続してインラインで行えない問題がある。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、簡単確実かつ安価にスプライスを形成できると共に形成したスプライスを絶縁保護できるようにすることを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、筒部の一端側に底部を有すると共に他端側は開口とされ、電線端末スプライス部を収容する樹脂またはゴムの成形品からなる保護キャップと、
複数本の電線端末の絶縁被覆を剥離した芯線露出部を挿入して加締め圧着する圧着端子とからなり、
前記圧着端子の一端側を前記底部にインサートモールドして固定し、該一端側の固定部を除いて前記筒部内に予め取り付けており、
前記筒部を裏返して露出させた前記圧着端子に前記電線端末の芯線露出部を挿入して圧着し、圧着後に折り返した筒部を元に戻して圧着端子を被覆する構成としていることを特徴とする圧着端子付き保護キャップを提供している。
前記のように、本発明では、複数の電線に設けた芯線露出部を圧着端子で圧着してスプライスし、このスプライスを保護キャップで絶縁保護するものとし、圧着端子によるスプライス接続と保護キャップによる絶縁保護との両方の機能を備えた圧着端子付き保護キャップを提供している。
該圧着端子付き保護キャップを用いると、圧着端子により電線を圧着してスプライスを形成するため、接続信頼性を高めることができるとともに、絶縁処理は保護キャップの筒部を元に戻すだけであるため、作業工数がすくなくなる利点がある。
前記端末スプライスをアース接続する必要がある場合、前記圧着端子は、前記保護キャップの底部にインサートモールドする長さ方向の一端から更にボルト穴を設けたアース固定部を突設させたアース圧着端子とし、前記アース固定部を前記保護キャップの底部より外方に突設している。
多数の電線を端末集中スプライスする場合、該端末集中スプライスする電線がアース回路の電線であり、該端末集中スプライス部分をアース端子と接続し、該アース端子を車体パネルにボルト締結してアース処理する場合が多い。そのため、保護キャップに予め固定して取り付けている圧着端子にアース固定部を一体的に設けておくと、別にアース端子と接続する必要がなくなり、アース接続作業が簡単に行える利点がある。
前記圧着端子の圧着される部分は断面真円状の無端の筒状とし、該筒状の部分の長さ方向両側に挟まれた中央部が加締め圧着されて偏平化される部分としていることが好ましい。
なお、圧着される部分は中間圧着端子と同様なバレル状としてもよいが、バレル状とすると、加締め圧着時における圧着端子の向きが指定されることとなるため、作業手数がかかる。そのため、前記のように断面真円状の無端の筒状とすると、加締め圧着時における圧着端子の向きが指定されず、方向性がないため、作業が簡単になる利点がある。
該円筒状とする場合、円筒部の長さ方向の一端を保護キャップの底部にインサートモールドしている。圧着部分をバレルとする場合、バレルの長さ方向の一端より偏平なインサートモールド部分を突設することが好ましい。
また、本発明は、前記圧着端子付き保護キャップを用いた端末スプライスの形成方法を提供している。該方法は、
前記保護キャップの筒部を裏返して前記圧着端子を外部に露出させておき、
複数本の電線端末の絶縁被覆を皮剥ぎして露出させた芯線を集束して前記圧着端子内に挿入し、
ついで、前記圧着端子を治具で加締めて前記芯線同士および該芯線と圧着端子を圧着して電気接続して端末スプライスを形成し、
その後、前記裏返した保護キャップの筒部を元に戻して前記圧着端子を覆って端末スプライスを絶縁保護することを特徴とする端末スプライスの形成方法からなる。
防水仕様とする必要がある場合、前記裏返した保護キャップの筒部を元に戻して前記圧着端子を覆った後に、前記保護キャップ内に止水剤を充填している。
止水剤を充填して防水仕様とする場合には、保護キャップ内に収容する圧着端子は、加締め部分とインサートモールドされる部分の間に止水剤用の通孔を設けておくことが好ましい。
さらに、本発明は前記保護キャップで保護された端末スプライスの保護構造を提供している。
前記のように、本発明に係わる圧着端子付き保護キャップは、圧着端子をインサートモールドして保護キャップを成形し、電線の芯線露出部に圧着してスプライスを形成する圧着端子と、形成したスプライスを絶縁保護する保護キャップを予め一体的に設けているため、圧着工程と絶縁保護工程とを1部品で連続的に行うことができ、作業工程および部品点数を削減でき、かつ、電気接続精度及び絶縁保護精度を高めることができる。
本発明の第1実施形態の圧着端子付き保護キャップを示し、(A)は断面図、(B)は分解斜視図である。 前記第1実施形態の圧着端子付き保護キャップを用いて形成した電線端末スプライスを示す説明図である。 (A)〜(D)は前記圧着端子付き保護キャップを用いた電線のスプライス形成工程を示す図面である。 第2実施形態の圧着端子付き保護キャップを示し、(A)は断面図、(B)はアース圧着端子の斜視図である。 前記第2実施形態の圧着端子付き保護キャップを用いて形成した電線端末スプライスを示す説明図である。 第2実施形態のスプライス形成工程を示す図面である。 第3実施形態を示す断面図である。 第3実施形態の変形例を示す図面である。 (A)(B)は従来例を示す図面である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3に第1実施形態を示す。
第1実施形態の圧着端子付き保護キャップ1は、図1(A)(B)に示すように、可撓性を有する樹脂成形品からなる保護キャップ2の内部に予め導電性金属板を曲げ加工して形成した圧着端子3を固定している。
前記保護キャップ2は円筒状の筒部5の一端側に底部6を有すると共に他端側は開口7としている。なお、他端から電線とのテープ巻き舌片は突設していない。
保護キャップ2の底部6は比較的厚肉とし、圧着端子3の長さ方向の一端部の埋設固定部3aを底部6にインサートモールドして埋込み固定している。該底部6から突出する筒部5は薄肉として可撓性に優れたものとし、筒部5を容易に裏返しできるようにしている。
該保護キャップ2は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等で成形してもよいし、弾性を有するエラストマーで成形してもよい。さらに、ゴムで成形してもよい。
前記圧着端子3は、長さ方向両端が開口した断面真円状で無端の筒状とし、加締め方向を特定する形状としていない。該圧着端子3の軸線方向の一端は前記のように保護キャップ2の底部6に埋設固定している。該底部6の埋設固定部3aから筒部5内に突出する突出部分3bの長さは保護キャップ2の筒部5の長さよりも短くし、保護キャップ2の開口7から圧着端子3が突出しないようにしている。また、保護キャップ2の筒部5の内周面と圧着端子3の突出部分3bの外周面との間に環状の隙間Cを設けている。
前記圧着端子3をインサートモールドして保護キャップ2を成形して設けた圧着端子付き保護キャップ1を用いたスプライス形成方法を図3(A)〜(D)を参照して、以下に説明する。
図3(A)に示すように、圧着端子付き保護キャップ1の筒部5を裏返し、底部6より反対側へと延在させ、圧着端子3の突出部分3bを外部に露出させる。
ついで、図3(B)に示すように、複数本(図示では3本)の電線10(10ー1〜10ー3)の端末の絶縁被覆10aを皮剥して露出させた芯線10bを束ねて、圧着端子3の先端開口3hから突出部分3bに挿入し、芯線10bの先端を底部6に突き当てる。この状態で、電線10の芯線10bは完全に圧着端子3の突出部分3bに挿入され、絶縁被覆10aで被覆された電線が圧着端子3から突出する。
ついで、図3(C)に示すように、圧着端子3の突出部分3bの中央部を図中矢印で示すように、上下より加締め治具(図示せず)で加締める。これにより、複数の電線の芯線10b同士を圧着するとともに圧着端子3と芯線10bとを圧着して電線端末集中スプライスSを形成する。該加締め作業時に圧着端子3の底部埋設固定部3aは底部6にしっかりと固定されているため底部6から外れることはなく、突出部分3bの中央部が偏平化されて芯線10bに圧着される。該加締め時に圧着端子3は断面真円状として方向性を無くしているため、加締め治具に対する圧着端子3の方向が指定されず、簡単に加締め作業が行える。
ついで、図3(D)に示すように、裏返しておいた筒部5を元に戻し、芯線10bに圧着した圧着端子3を筒部5の内部に収容する。この状態で、芯線10bに圧着した圧着端子3は、その一端側が底部6に埋設固定された状態で筒部5内に収容され、電線10(10−1〜10−3)の絶縁被覆10a部分が保護キャップ2から外部に引き出された状態となる。電線10は圧着端子3と固定し、該圧着端子3は保護キャップ2と固定しているため、従来行われている電線10を保護キャップにテープ巻き固着する必要はない。
即ち、保護キャップ2の裏返した筒部5を元に戻すことで、スプライス形成作業は終了し、図2に示す状態となる。該筒部5の戻し作業は単純作業であり、加締め圧着作業と連続して戻し作業が自動で行える設備を設けることが好ましい。
なお、図2は保護キャップを破断し、内部のスプライスSを圧着している圧着端子3を斜視図で示している。
前記のように、複数の電線端末のスプライスを形成するため、芯線露出部を圧着部に挿入して加締め治具で加締め圧着し、超音波溶接や抵抗溶接の溶接を用いないため、コスト高となる溶接設備を不要にできる。かつ、芯線露出部を圧着部に圧着した後に保護キャップの筒部を元に戻すだけでよく、電線と保護キャップとの固定作業を不要として作業手数を低減して作業コストを低下できる。
図4乃至図6に第2実施形態を示す。
第2実施形態の圧着端子付き保護キャップ20は、圧着端子を第1実施形態の圧着端子3と相違させて、アース圧着端子21としている。保護キャップ2を含め他の構成は第1実施形態と同様で、同一符号を付して説明を省略する。
アース圧着端子21は、第1実施形態の圧着端子3と同一形状とした円筒形状の圧着部22と、該圧着部22の先端の下側部から平板状に突設したアース固定部23を備えた形状としている。保護キャップ2の底部6に圧着部22の一端部22aおよびアース固定部23の長さ方向一端側の基部23aをインサートモールドして固定している。保護キャップ2の底部6の外面から外方へ突出した部分のアース固定部23の略中央位置にボルト穴23hを設けている。
前記アース圧着端子21を収容固定した圧着端子付き保護キャップ20は、第1実施形態と同様で、図6に示すように、保護キャップ2の筒部5を裏返してアース固定部23に被せ、圧着部22は露出させる。該圧着部22に複数の電線端末の芯線露出部を挿入した後、圧着部22を加締め圧着する。その後、筒部5を元に戻して、端末スプライスの形成と保護キャップ2による絶縁保護作業を終了し、図5に示す状態とする。
第2実施形態では、圧着部の先端にアース固定部23を延在させて一体に形成したアース圧着端子21を保護キャップ2にインサートモールドして予め一体成形しているため、スプライス接続した電線に別のアース端子を接続することなく、車体パネル等に簡単にアース接続できる。
図7に第3実施形態を示す。
エンジンルーム内で電線群を集結して端末スプライスを形成し、該端末スプライスをアース接続する場合、エンジンルーム内は浸水領域であるため防水仕様とする必要があり、前記第2実施形態の圧着端子付き保護キャップ20を用い、保護キャップ2内に止水剤30を充填して防水仕様としている。
即ち、前記第2実施形態の図6で示す工程において、電線端末の芯線露出部を圧着して端末スプライスSを形成し、保護キャップ2の筒部5を元に戻した後に、図7に示すように、保護キャップ2の底部6を下面に位置させ、開口7を上端に配置し、該開口7より止水剤30を充填している。該止水剤30として例えばシリコーンを用いている。該シリコーンは底部6を有する保護キャップ2内に充填するため、比較的低粘度とすることができる。よって、アース圧着端子21の内部およびアース圧着端子と保護キャップ2の筒部5の隙間にシリコーンを確実に浸透させて、止水精度を高めることができる。
なお、第3実施形態はアース固定部を設けた圧着端子付き保護キャップを用いた例であるが、第1実施形態の圧着端子付きの保護キャップが浸水領域内に配置される場合は、保護キャップ内に止水剤を充填してもよい。
図8に第3実施形態の変形例を示す。
該変形例ではアース圧着端子21の圧着部22には、加締め部分22pとインサートモールドされる一端部22aとの間に止水剤が流入する通孔22hを設けている。該通孔22hを通して加締め部分22pと底部6との間の空間に止水剤30を確実に流入させることができ、止水性能を高めることができる。
1 圧着端子付き保護キャップ
2 保護キャップ
3 圧着端子
5 筒部
6 底部
10 電線
10b 芯線
S スプライス

Claims (6)

  1. 筒部の一端側に底部を有すると共に他端側は開口とされ、電線端末スプライス部を収容する樹脂またはゴムの成形品からなる保護キャップと、
    複数本の電線端末の絶縁被覆を剥離した芯線露出部を挿入して加締め圧着する圧着端子とからなり、
    前記圧着端子の一端側を前記底部にインサートモールドして固定し、該一端側の固定部を除いて前記筒部内周面に隙間をあけて筒部内部に予め取り付けており、
    前記筒部を裏返して露出させた前記圧着端子に前記電線端末の芯線露出部を挿入して圧着し、圧着後に折り返した筒部を元に戻して圧着端子を被覆する構成としていることを特徴とする圧着端子付き保護キャップ。
  2. 前記圧着端子は、前記保護キャップの底部にインサートモールドする長さ方向の一端から更にボルト穴を設けたアース固定部を突設させたアース圧着端子とし、前記アース固定部を前記保護キャップの底部より外方に突設している請求項1に記載の圧着端子付き保護キャップ。
  3. 前記圧着端子の圧着される部分は断面真円状の筒状とし、該筒状の部分の長さ方向両側に挟まれた中央部が加締め圧着されて偏平化される部分としている請求項1または請求項2に記載の圧着端子付き保護キャップ。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の圧着端子付き保護キャップを用いた端末スプライスの形成方法であり、
    前記保護キャップの筒部を裏返して前記圧着端子を外部に露出させておき、
    複数本の電線端末の絶縁被覆を皮剥ぎして露出させた芯線を集束して前記圧着端子内に挿入し、
    ついで、前記圧着端子を治具で加締めて前記芯線同士および該芯線と圧着端子を圧着して電気接続して端末スプライスを形成し、
    その後、前記裏返した保護キャップの筒部を元に戻して前記圧着端子を覆って端末スプライスを絶縁保護することを特徴とする端末スプライスの形成方法。
  5. 前記裏返した保護キャップの筒部を元に戻して前記圧着端子を覆った後に、前記保護キャップ内に止水剤を充填する請求項4に記載の端末スプライスの形成方法。
  6. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の保護キャップで保護された端末スプライスの保護構造。
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