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JP5709589B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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JP5709589B2
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Description

本発明は、電子写真方式により画像を形成する画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式を利用した複写機やプリンターなどの画像形成装置として、中間転写体を使用した方式のものがある。中間転写体方式の画像形成装置では、一次転写工程と二次転写工程を経て、転写材上にカラー画像を形成することができる。
一次転写工程では、電子写真感光体(感光体)の表面に形成されたトナー像が中間転写体上に転写される。この一次転写工程が複数色のトナー像に関して繰り返し実行されることにより、中間転写体の表面に複数色のトナーから成る多重トナー像が形成される。二次転写工程では、その中間転写体上に形成された多重トナー像が紙などの転写材の表面に一括して転写される。その後、転写材上に転写されたトナー像は、定着手段により転写材に定着される。このようにして、フルカラー画像を形成することができる。
二次転写工程で転写材上に転写されず、中間転写体上に残留したトナー(転写残トナー、残留トナー)は、中間転写体上から除去する必要がある。この転写残トナーを中間転写体上から除去する方法として、特許文献1には、静電的に転写残トナーを除去する静電クリーニング方式が提案されている。即ち、クリーニング部材としてブラシ部材を設け、このブラシ部材に電圧を印加することで、中間転写体上の転写残トナーを所望の極性に帯電させる。そして、この帯電させたトナーを中間転写体から感光体に逆転写させることで、中間転写体上から回収する。又、中間転写体上の転写残トナーの一部は、ブラシ部材の内部にも一時的に回収される。このブラシ部材の内部に回収されたトナーは、ページ間(紙間)や画像形成完了後(後回転)などにブラシ部材から中間転写体上に排出され、中間転写体から感光体に逆転写されて回収される。
一方、転写残トナーを中間転写体上から除去する方法として、弾性ゴムで形成されるブレード部材などを中間転写体に当接させ、せん断力を働かせて中間転写体からトナーを掻き取って回収するクリーニング方式がある。上述の静電クリーニング方式は、このブレード部材などで掻き取るクリーニング方式に比べて、中間転写体やクリーニング部材に与えられる機械的負荷が小さく、耐久性能に優れるというメリットを有する。
特開2009−205012号公報
ところで、電子写真方式の画像形成装置で印字(プリント)動作を行う際、中間転写体上に形成されたトナー像のサイズよりも小さなサイズの転写材を用いて印字が行われる場合がある。この場合、二次転写部において中間転写体上のトナー像の一部が転写材からはみ出すような配置で二次転写工程が行われる。このような状況が生じる場合として、以下のような場合が考えられる。
近年、電子写真方式の画像形成装置においても、インクジェット方式の画像形成装置と同様に、転写材の周縁部に余白マージンがなく、転写材の全面に画像が形成される、所謂、縁無し印字が提案されている。縁無し印字では、中間転写体上に転写材よりも一回り大きなサイズのトナー像が形成され、これが転写材の周縁部にまたがるような配置で二次転写工程が行われる。
又、縁無し印字を行う場合ではなくても、上述のように二次転写部においてトナー像の一部が転写材からはみ出す状況となることがある。例えば、ユーザーがプリンタードライバー上で設定した転写材のサイズが、画像形成装置のカセット内にセットされた転写材のサイズとミスマッチする場合である。通常、画像形成装置は、このような場合でも直ちにはミスプリント処理動作を行わず、印字動作を完了した後にこれを行って、プリンタードライバー上でミスマッチが生じた旨の警告メッセージを表示するなどする。
以上のような、二次転写部において中間転写体上のトナー像の一部が転写材からはみ出すような配置で二次転写工程が行われると、中間転写体上に多量のトナーが残留する。これは、詳しくは後述するが、中間転写体上の転写材からはみ出す領域(以下「はみ出し領域」ともいう。)のトナーに十分な転写電界が作用しないことや、このトナーが転写電界と同極性に帯電させられることなどによる。このように中間転写体上に多量のトナーが残留すると、前述のような静電クリーニング方式を採用した画像形成装置では、次のような問題が発生することがある。
即ち、中間転写体上に多量に発生した転写残トナーが、中間転写体の表面の移動方向において二次転写部より下流に設けられたクリーニング部材に侵入することになる。そして、この転写残トナーが、クリーニング部材の入り口部付近で滞留したり、中間転写体上から離れて飛散したりする現象が生じることがある。この滞留したり飛散したりしたトナーは、画像形成装置の内部や転写材上に落下し、装置の汚れや画像不良を発生させる原因となる。
尚、以上では像担持体としての中間転写体上の転写残トナーを静電的にクリーニングする場合を例に従来の問題について説明したが、像担持体としての感光体を静電的にクリーニングする場合も同様の問題が発生するおそれがある。
従って、本発明の目的は、像担持体上のトナー像が転写材からはみ出すような配置で転写工程が行われた場合でも、像担持体上に発生した残留トナーを良好にクリーニング部材を用いて静電的に除去することのできる画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、転写電圧が印加されて転写部において前記像担持体から転写材にトナー像を転写させる転写手段と、クリーニング電圧が印加されて前記像担持体上の残留トナーを帯電させるか又は一時的に回収するクリーニング部材と、前記クリーニング部材に電圧を印加するクリーニング電圧印加手段と、前記転写部において転写材からはみ出す前記像担持体上のはみ出し領域の残留トナーの発生の有無を判断するはみ出し発生判断手段と、前記はみ出し発生判断手段により前記はみ出し領域に残留トナーが発生したと判断された際に、前記転写電圧が所定値より大きい場合は前記トナー像を形成するトナーの帯電極性と同極性のクリーニング電圧を前記クリーニング部材に印加させ、前記転写電圧が前記所定値以下の場合は前記トナー像を形成するトナーの帯電極性と逆極性のクリーニング電圧を前記クリーニング部材に印加させる制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、像担持体上のトナー像が転写材からはみ出すような配置で転写工程が行われた場合でも、像担持体上に発生した残留トナーを良好にクリーニング部材を用いて静電的に除去することができる。
本発明の一実施例に係る画像形成装置の模式的断面図である。 本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略制御態様を示すブロック図である。 本発明の一実施例に係る画像形成装置におけるクリーニングブラシの近傍の模式図である。 二次転写前後の二次転写部におけるトナーの様子を示す模式図である。 二次転写前後の二次転写部におけるトナーの様子を示す模式図である。 本発明の一実施例に係る画像形成装置におけるクリーニングブラシの近傍の模式図である。 クリーニングブラシの近傍で発生することのあるトナーの滞留、飛散を説明するためのクリーニングブラシの近傍の模式図である。 本発明の一実施例に係る画像形成装置におけるクリーニングブラシの近傍の模式図である。 二次転写電圧と、はみ出し領域の転写残トナーの電荷量との関係の一例を示すグラフ図である。 本発明の一実施例に係る画像形成装置における通常印字モードでの印字動作のタイミングチャート図である。 本発明の一実施例に係る画像形成装置における縁無し印字モードでの印字動作のタイミングチャート図である。 本発明の他の実施例に係る画像形成装置における縁無し印字モードでの印字動作を示すタイミングチャート図である。 本発明を適用し得る他の画像形成装置の要部の模式的な断面図である。
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.画像形成装置の全体構成
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を用いたタンデム型のレーザービームプリンターである。
画像形成装置100は、複数の色成分ごとに分解された画像情報に従って形成した複数色のトナー像を中間転写体上に重ね合わせて一次転写した後、このトナー像を転写材に一括して二次転写することで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施例では、画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部(ステーション)Sa、Sb、Sc、Sdを有する。
尚、本実施例では、第1〜第4の画像形成部Sa〜Sdの構成及び動作は共通する部分が多い。従って、以下、区別を要しない場合には、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために図中の符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して、各色用のものに共通して適用されるものとして総括的に説明する。
画像形成部Sは、第1の像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、駆動手段としての駆動モータによって図示矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配置されている。先ず、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2である。次に、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)3である。次に、現像手段としての現像装置4である。次に、一次転写手段としてのローラ型の一転写部材である一次転写ローラ5である。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーナ7である。
又、各画像形成部Sa〜Sdの各感光ドラム1a〜1dに対向するように、第2の像担持体としての無端ベルト状の中間転写体である中間転写ベルト6が配置されている。中間転写ベルト6は、無端ベルト状のフィルムで構成される。中間転写ベルト6は、複数の支持部材としての駆動ローラ61、二次転写対向ローラ62及びテンションローラ63の3個のローラに張架されている。中間転写ベルト6は、駆動ローラ61が図示矢印R2方向(時計回り)に回転駆動されることによって、感光ドラム1の表面の移動速度と略同じ速度で、図示矢印R3方向(時計回り)に回転(周回移動)する。各一次転写ローラ5は、中間転写ベルト6の内周面側において、中間転写ベルト6を挟んで各感光ドラム1と対向する位置に配置されている。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト6を介して感光ドラム1に押圧され、感光ドラム1と中間転写ベルト6とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1を形成する。又、中間転写ベルト6の外周面側において、中間転写ベルト6を挟んで二次転写対向ローラ62と対向する位置には、二次転写手段としてのローラ型の二次転写部材である二次転写ローラ8が配置されている。二次転写ローラ8は中間転写ベルト6を介して二次転写対向ローラ62に押圧され、中間転写ベルト6と二次転写ローラ8とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成する。又、中間転写ベルト6の外周面側において、中間転写ベルト6を挟んで駆動ローラ61と対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーナ10が配置されている。ベルトクリーナ10は、残留トナー回収手段としての、ブラシ型のクリーニング部材(静電クリーニング部材)であるクリーニングブラシ11を有する。クリーニングブラシ11は、中間転写ベルト6を介して駆動ローラ61と対向する位置において、中間転写ベルト6の外周面に接触し、クリーニング部N3を形成する。
更に、画像形成装置100は、転写材供給手段としての転写材供給部20、両面印刷手段としての自動両面印字機構30、定着手段としての定着装置40などを有する。
画像形成時には、回転する感光ドラム1の表面は、帯電ローラ2により所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電される。帯電した感光ドラム1の表面には、露光装置3から画像情報に従うレーザ光Lが照射される。これにより、感光ドラム1上に静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像装置4によりトナー像として現像される。本実施例では、現像装置4は、反転現像方式にて、感光ドラム1上の静電潜像の現像を行う。即ち、現像装置4は、一様に帯電された後に露光されることによって電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(明部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させることで現像を行う。
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ5の作用により、中間転写ベルト6上に一次転写される。このとき、一次転写ローラ5には、トナーの正規の帯電極性(本実施例では負極性)とは逆極性(本実施例では正極性)の一次転写電圧(一次転写バイアス)が、一次転写電圧印加手段としての一次転写電源50から印加される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、以上のような帯電、露光、現像、一次転写の各工程が第1、第2、第3、第4の画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdにおいてこの順番で順次に行われる。これにより、中間転写ベルト6上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたフルカラー画像用の多重トナー像が形成される。
中間転写ベルト6上に形成されたトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ8の作用により、転写材P上に二次転写される。このとき、二次転写ローラ8には、トナーの正規の帯電極性(本実施例では負極性)とは逆極性(本実施例では正極性)の二次転写電圧(二次転写バイアス)が、二次転写電圧印加手段としての二次転写電源80から印加される。
転写材Pは、転写材供給部20において、中間転写ベルト6上のトナー像が二次転写部N2に搬送されるタイミングと同期するようにして、二次転写部N2まで搬送される。転写材供給部20では、カセット21に収容されている転写材Pは、供給ローラ22により送り出された後、レジストローラ23により二次転写部N2に所定のタイミングで供給される。
二次転写部N2でトナー像が転写された転写材Pは、定着装置40に搬送される。定着装置40は、熱源を有する加熱ローラ41と、加熱ローラ41に圧接される加圧ローラ42とを有し、これらローラ対の接触部(定着ニップ)で転写材Pを挟持して搬送することで、未定着トナー像を担持した転写材Pを加熱及び加圧する。これにより、転写材P上のトナーが溶融し、その後固着することで、転写材P上に定着される。
トナー像が定着された転写材Pは、排出ローラ80、81などにより、画像形成装置100の外部に排出される。
尚、本実施例の画像形成装置100は、転写材Pの両面に自動的に画像を形成することを可能とする自動両面印字機構30を有する。両面印字を行う際には、一面目にトナー像が定着され転写材Pは、自動両面印字機構30により再び二次転写部N2に向けて搬送される。両面印字の動作については後述して更に説明する。
一次転写工程において中間転写ベルト6に転写されずに感光ドラム1上に残留したトナー(転写残トナー、残留トナー)は、ドラムクリーナ7により感光ドラム1上から除去されて回収される。ドラムクリーナ7は、感光ドラム1の表面に当接する板状の弾性体であるクリーニングブレード71を有する。又、ドラムクリーナ7は、クリーニングブレード71により感光ドラム1の表面から除去されたトナーを回収する回収容器72を有する。クリーニングブレード71は、回転する感光ドラム1の表面からトナーを掻き取り、回収容器72に回収する。
又、二次転写工程において転写材Pに転写されずに中間転写ベルト6上に残留したトナー(転写残トナー、残留トナー)は、クリーニングブラシ11により所定の極性の電荷が付与されて、中間転写ベルト6の移動に伴ってクリーニング部N3を通過する。このとき、クリーニングブラシ11には、クリーニング電圧印加手段としてのクリーニング電源12によりクリーニング電圧(クリーニングバイアス)が印加される。この所定の極性の電荷が付与されたトナーは、後続ページの一次転写工程と同時、又はページ間(紙間)や画像形成完了後(後回転)のタイミングで、いずれかの画像形成部S(本実施例では第1の画像形成部Sa)の一次転写部N1で感光ドラム1に逆転写される。このとき、その画像形成部Sの一次転写ローラ5には、逆転写電圧として、一次転写電源50から、上記付与された電荷と同極性の電圧が印加される。そして、中間転写ベルト6から感光ドラム1に逆転写されたトナーは、ドラムクリーナ7によって感光ドラム1上から除去されて回収される。
又、二次転写工程において転写材Pに転写されずに中間転写ベルト6上に残留したトナーの一部が、中間転写ベルト6の移動に伴ってクリーニング部N3でクリーニングブラシ11の内部に回収されることがある。このクリーニングブラシ11内に回収されたトナーは、ページ間(紙間)や画像形成完了後(後回転)などのタイミングで、中間転写ベルト6上に排出された後に、いずれかの画像形成部Sの一次転写部N1で感光ドラム1に逆転写される。このとき、その画像形成部Sの一次転写ローラ5には、逆転写電圧として、一次転写電源50から、中間転写ベルト6上に排出されたトナーと同極性の電圧が印加される。そして、中間転写ベルト6から感光ドラム1に逆転写されたトナーは、ドラムクリーナ7によって感光ドラム1上から除去されて回収される。本実施例では、この逆転写、回収は、第1の画像形成部Saで行われる。ベルトクリーナ10による中間転写ベルト6のクリーニング動作については、後述して更に説明する。
尚、本実施例の画像形成装置100は、プロセススピードが116mm/sであり、最大A4サイズの転写材Pに画像を形成することができる。
又、本実施例では、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びドラムクリーナ7とは、プロセスカートリッジ30として一体的に画像形成装置100の装置本体に対して着脱可能とされている。
2.一次転写ローラ
本実施例では、一次転写ローラ5として、体積抵抗率が104〜106Ωcm、ゴム硬度が30°(アスカーC硬度計)の弾性ローラを用いた。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト6を介して感光ドラム1に対し総圧約9.8Nで押圧される。又、一次転写ローラ5は、中間転写ベルト6の回転に対して従動して回転する。
一次転写ローラ5には、一次転写電源50から、−1.0〜+1.0kVの一次転写電圧の印加が可能となっている。即ち、本実施例では、一次転写電源50は、定電圧制御にて、一次転写ローラ5に対して正負両極性の電圧を印加することができる。一次転写電源50から一次転写ローラ5に正極性の電圧を印加すると、負極性のトナーが感光ドラム1から中間転写ベルト6に向かう方向(即ち、正極性のトナーが中間転写ベルト6から感光ドラム1に向かう方向)の電界が一次転写部N1に形成される。一次転写電源50から一次転写ローラ5に負極性の電圧を印加すると、負極性のトナーが中間転写ベルト6から感光ドラム1に向かう方向の電界が一次転写部N1に形成される。
3.中間転写ベルト
本実施例では、中間転写ベルト6として、厚さが60μmで、導電剤を混合することにより体積抵抗率を109Ωcmに調整した、ポリイミド樹脂のフィルムを用いた。又、中間転写ベルト6は、駆動ローラ61、二次転写対向ローラ62及びテンションローラ63の3軸に張架され、テンションローラ63により総圧約20Nの張力が付与されている。
4.二次転写ローラ
本実施例では、二次転写ローラ8として、弾性体上に樹脂層を設け、体積抵抗率が107〜109Ωcm、硬度が60°とされたローラを用いた。二次転写ローラ8は、中間転写ベルト6を介して二次転写対向ローラ62に対し、総圧約39.2Nで押圧される。又、二次転写ローラ8は、中間転写ベルト6の回転に対して従動して回転する。
二次転写ローラ8には、二次転写電源80から、0〜+4.0kVの二次転写電圧の印加が可能となっている。即ち、本実施例では、二次転写電源80は、定電圧制御にて、二次転写ローラ8に対して正極性の電圧を印加することができる。二次転写電源80から二次転写ローラ8に正極性の電圧を印加すると、負極性のトナーが中間転写ベルト6から二次転写ローラ8に向かう方向の電界が二次転写部N2に形成される。
本実施例では、二次転写電源80は、電流検知回路を有し、画像形成装置100のコントローラ(図2)110により、定電圧制御に加え、所望の電流をターゲットとしたソフトウェア的な定電流制御を実施することも可能となっている。
又、本実施例では、画像形成装置100は、二次転写ローラ8の表面に付着したトナーを除去するための二次転写部材クリーニング手段としてのローラクリーナ9を有する。ローラクリーナ9は、クリーニング部材として、板状の弾性体であるクリーニングブレード91と、クリーニングブレード91によって二次転写ローラ8の表面から除去されたトナーを回収する回収容器92と、を有する。クリーニングブレード91は、回転する二次転写ローラ8の表面からトナーを掻き取って、回収容器92に回収する。
5.クリーニングブラシ
本実施例では、クリーニングブラシ11として、106〜1010Ωcmの導電性を有するナイロン製の繊維が密に配列されたブラシを用いた。この繊維の単糸繊度は5dtex、長さは5mm、配列密度は65F/m2であった。又、本実施例では、クリーニングブラシ11は、画像形成装置100に固定して配置され、その先端位置が中間転写ベルト6の表面に対して侵入量が1.0mmとなるように設定されている。クリーニングブラシ11は、中間転写ベルト6を介して駆動ローラ61に対し押圧される。そして、クリーニングブラシ11は、中間転写ベルト6の移動に伴って中間転写ベルト6の表面を摺擦する。
クリーニングブラシ11には、クリーニング電源12から、−2.0〜+2.0kVのクリーニング電圧の印加が可能となっている。即ち、本実施例では、クリーニング電源12は、定電圧制御にて、クリーニングブラシ11に対して正負両極性の電圧を印加することができる。
6.通常印字モードと縁無し印字モード
本実施例の画像形成装置100の印字モードについて説明する。
本実施例の画像形成装置100は、転写材P上の周囲四辺部に余白領域を設け、同領域を除く領域内にのみ画像を形成する通常印字モードと、その余白領域も含め転写材P上の全域に画像を形成する縁無し印字モードとを実行可能である。
本実施例においては、通常印字モードでは、矩形の転写材Pの周囲四辺部に対して各辺5mmだけ転写材Pの内側に収まるサイズのトナー像を感光ドラム1上に形成し、中間転写ベルト6上に一次転写した後に、転写材P上に二次転写する。
一方、縁無し印字モードでは、矩形の転写材Pの周囲四辺部に対して各辺2mmだけ転写材Pに対してはみ出して配置されるサイズのトナー像を感光ドラム1上に形成し、中間転写ベルト6上に一次転写した後に、転写材P上に二次転写する。二次転写工程において、中間転写ベルト6上のトナー像と転写材Pとの間の位置関係に多少のずれが生じたとしても、上記サイズのトナー像を形成することで、転写材P上に確実に縁無し画像(余白無し画像)を得ることができる。
尚、縁無し印字モードでは、二次転写工程において、トナー像の一部が二次転写ローラ8上に付着することがある。このトナーは、ローラクリーナ9で除去される。
このように、本実施例では、画像形成装置100は、少なくとも次の2種類の印字モード(画像形成モード)を有する。一つは、二次転写部N2を通過する転写材Pの搬送方向及びそれに直交する方向における各端部よりも転写材Pの内側に収まるように中間転写ベルト6上にトナー像が形成される印字モードである。この印字モードは、転写材Pの画像転写面上において、転写材Pの搬送方向の先端部、後端部、左端部及び右端部のそれぞれから内側に、画像を形成することのできない所定の領域(余白)が設定された、所謂、「縁有り画像」を形成する印字モードである。もう一つは、二次転写部N2を通過する転写材Pの上記各端部のうち少なくとも1つよりも転写材Pの外側にはみ出すように中間転写ベルト6上にトナー像が形成されるモードである。このモードは、典型的には、転写材Pの画像転写面上において、転写材Pの移動方向の先端部から後端部、及び左端部から右端部の全域に、所謂、「縁無し画像」を形成することのできる印字モードである。尚、縁無し画像は、一般に、転写材Pの画像転写面上において、転写材Pの移動方向の先端部、後端部、左端部、及び右端部に関して余白が無い画像であるが、縁無し画像として、このうち少なくとも1つの余白がない無い画像も形成することができる。
本実施例の画像形成装置100では、縁無し印字モードで印字が行われる際に、はみ出し発生判断手段としてのコントローラ110(図2)により、二次転写部N2における転写材Pからのトナー像のはみ出しが発生すると判断される。そして、この判断結果に基づいて、後述のクリーニング電圧制御が実施される。
7.両面印字機能
本実施例の画像形成装置100は、自動両面搬送機構30を有し、転写材Pの両面に対して自動的に画像形成を行うことが可能である。つまり、一面目の印字を終え定着装置40から排出された転写材Pを、自動両面搬送機構30により再び二次転写部N2へと供給し、同一の転写材Pの二面目に対して続けて印字を行うことができる。
自動両面搬送機構30は、経路切替手段としてのフラッパ31、転写材Pの搬送路としての反転パス32及び再供給パス33、搬送手段としての搬送ローラ34、スイッチバックローラ35、再供給ローラ36などを有して構成される。両面印字を行う際には、フラッパ31により、転写材Pが反転パス32に向かうように搬送経路を切り替えられる。一面目の印字を終えて定着装置40から排出された転写材Pは、搬送ローラ34、スイッチバックローラ35によって反転パス32内を搬送される。その後、スイッチバックローラ35が反転されて、転写材Pは再供給パス35に導入され、再供給ローラ36によって、中間転写ベルト6上への二面目の画像の形成動作と同期するようにして、二次転写部N2に供給される。二面目の画像が転写された転写材Pは、定着装置40で定着処理を施された後に、フラッパ31によって画像形成装置100の外部へ排出される方向に導かれる。
8.制御態様
図2は、本実施例の画像形成装置100における、主に本実施例における後述するクリーニング電圧制御に係る概略制御態様を示す。画像形成装置100は、制御部であるコントローラ(DCコントローラ)110を有する。コントローラ110は、画像形成装置100の動作全般を統括的に制御する。特に、本実施例における後述するクリーニング電圧制御と関連して、コントローラ110は、一次転写電源50、二次転写電源80、クリーニング電源50からの電圧の出力のON/OFF、出力する電圧の極性や値の変更などの制御を行う。コントローラ110には、画像形成装置100に設けられた操作部120、画像形成装置100と通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部装置200からの入力が接続されている。そして、コントローラ110には、これらからの印刷モードや転写材Pの選択指示などが入力される。コントローラ110には、制御手段としてのCPU111、記憶手段としてのROM112、RAM113などが設けられており、CPU111が、ROM112やRAM113に記憶されたプログラムやデータに従って制御を実行する。
9.中間転写ベルトの基本的なクリーニング方法
次に、中間転写ベルト6のクリーニング方法について更に説明する。本実施例では、中間転写ベルト6上の転写残トナーは、ベルトクリーナ10のクリーニングブラシ11の作用により中間転写ベルト6から除去される。
ここでは、先ず、ベルトクリーナ10による中間転写ベルト6のクリーニング動作の基本動作として、通常印字モードにおいて転写材Pの一面目に対する二次転写工程後の中間転写ベルト6をクリーニングする場合について説明する。
図3は、クリーニング部N3の近傍におけるクリーニングブラシ11やトナーの様子を模式的に示す。本実施例の画像形成装置100では、正規の帯電極性が負極性のトナーが使用され、一次転写工程と二次転写工程では、それぞれ正極性の一次転写電圧と正極性の二次転写電圧が印加される。この場合、図3に示すように、二次転写工程後の中間転写ベルト6上には、正極性の二次転写電圧の影響を受けて、正負両極性に帯電した転写残トナーが生じる。この転写残トナーを処理するため、クリーニングブラシ11には、トナーの正規の帯電極性(本実施例では負極性)とは逆極性である正極性のクリーニング電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト6上の転写残トナーは、中間転写ベルト6の移動に伴ってクリーニング部N3を通過するときに、正極性に帯電される(正電荷が付与される)。このトナーは、中間転写ベルト6の移動に伴って搬送される。そして、このトナーは、後続ページの一次転写工程と同時、又はページ間(紙間)や画像形成完了後(後回転)のタイミングで、いずれかの画像形成部S(本実施例では第1の画像形成部Sa)の一次転写部N1で感光ドラム1に逆転写される。このとき、その画像形成部Sの一次転写ローラ5には、逆転写電圧として、一次転写電源50から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の電圧が印加される。そして、中間転写ベルト6から感光ドラム1に逆転写されたトナーは、ドラムクリーナ7によって感光ドラム1上から除去されて回収される。
以上のクリーニング電圧の制御は、通常印字モードにおけるものである。しかし、前述のように、二次転写部において中間転写体上のトナー像の一部が転写材からはみ出すような配置で二次転写工程が行われると、中間転写体上に多量のトナーが残留する。そして、この転写残トナーが、中間転写体の表面の移動方向において二次転写部より下流に設けられたクリーニング部材に侵入することで、クリーニング部材の入り口部付近で滞留したり、中間転写体上から離れて飛散したりする現象が生じることがある。この滞留したり飛散したりしたトナーは、画像形成装置の内部や転写材上に落下し、装置の汚れや画像不良を発生させる原因となる。
従って、本実施例の目的の一つは、中間転写体上のトナー像が転写材からはみ出すような配置で二次転写工程が行われた場合でも、中間転写体上に発生した転写残トナーを良好にクリーニング部材により静電的に除去できるようにすることである。又、これにより、装置の汚れや画像不良の発生を抑制できるようにすることも、本実施例の目的の一つである。
10.クリーニング電圧
本実施例の画像形成装置100では、上述の目的のために、中間転写ベルト6のクリーニングのためのクリーニング電圧の極性を、印字モードと印字面に応じて変更する。
各印字モード、印字面で印字を行う際に使用されるクリーニング電圧の極性を表1に示す。
Figure 0005709589
通常印字モードでは、転写材Pの一面目の二次転写工程で生じた転写残トナーのクリーニング動作において、正極性のクリーニング電圧が印加される。又、通常印字モードでは、転写材Pの二面目の二次転写工程で生じた転写残トナーのクリーニング動作においても、正極性のクリーニング電圧が印加される。
一方、縁無し印字モードでは、転写材Pの一面目の二次転写工程で生じた転写残トナーのクリーニング動作において、正極性のクリーニング電圧が印加される。しかし、縁無し印字モードでは、転写材Pの二面目の二次転写工程で生じた転写残トナーのクリーニング動作においては、負極性のクリーニング電圧が印加される。
ここで、このような極性のクリーニング電圧を選択的に印加する理由について説明する。
図4は、通常印字モードにおける二次転写前後の二次転写部N2でのトナーの様子を模式的に示す。又、図5は、縁無し印字モードにおける二次転写前後の二次転写部N2でのトナーの様子を模式的に示す。尚、図4及び図5は、転写材Pの周囲四辺部のうちの何れか一辺の近傍を示す。
尚、本実施例の説明内で挙げる二次転写電圧、クリーニング電圧、トナーの平均電荷量に関する数値は、本実施例の画像形成装置100を用いて、キヤノン製CLC用紙(坪量80g/m2)に印字を行った際の代表値とした。
・通常印字モード
図4(a)は、通常印字モードにおける転写前の状態を示す。中間転写ベルト6上には、転写前の負極性のトナー(転写前トナー)が載っている。この転写前トナーの平均電荷量は約−30μC/gである。
図4(b)は、通常印字モードにおける転写後の状態を示す。二次転写電圧(約+2.0kV)により、中間転写ベルト6上のトナーのほとんどが転写材P上に転写され、中間転写ベルト6上には少量のトナー(転写残トナー)が残留している。残留率は10%程度である。この転写残トナーには、正負両極性のトナーが混在している。この転写残トナーの平均電荷量は約±0μC/gである。
この転写残トナーは、中間転写ベルト6の移動によりクリーニング部N3に搬送された後、正極性のクリーニング電圧(+1.0kV)により、正極性に帯電される(図3)。この帯電された転写残トナーの平均電荷量は約+50μC/gである。その後、この帯電された転写残トナーは、第1の画像形成部Saの一次転写部N1aに搬送され、感光ドラム1aに逆転写される。このとき、第1の画像形成部Saの一次転写ローラ5aには、一次転写電源50aから正極性の逆転写電圧(+0.5kV)が印加される。そして、感光ドラム1aに逆転写されたトナーは、ドラムクリーナ7aによって感光ドラム1a上から除去されて回収される。
尚、通常印字モードでは、クリーニング電圧として、正極性ではなく、負極性のクリーニング電圧を用いることも可能である。この場合、中間転写ベルト6上の転写残トナーは、負極性のクリーニング電圧によって負極性に帯電され、いずれかの画像形成部Sの一次転写部N1で、負極性の逆転写電圧によって感光ドラム1に逆転写させることができる。しかし、本実施例の画像形成装置100で連続的な印字動作を行う場合には、クリーニング工程の直後に後続ページ画像の一次転写を、正極性の一次転写電圧により行うことが望ましい。従って、このような動作まで想定すると、クリーニング電圧は、負極性ではなく、正極性とすることが望ましい。
以上のように、通常印字モードでは、一面目、二面目のいずれの二次転写工程後のクリーニング動作においても、正極性のクリーニング電圧により、良好に中間転写ベルト6をクリーニングすることができる。
・縁無し印字モード
図5(a)は、縁無し印字モードにおける転写前の状態を示す。中間転写ベルト6上には、転写前の負極性のトナー(転写前トナー)が、転写材P上に対応する領域と、転写材Pからはみ出す領域(はみ出し領域)と、の両者にまたがる形で載っている。この転写前トナーの平均電荷量は約−30μC/gである。
図5(b)、(c)は、縁無し印字モードにおける転写後の状態を示す。転写材P上に対応する領域では、図4(b)の場合と同様、二次転写電圧(約+2.0kV)により、中間転写ベルト6上のトナーのほとんどが転写材P上に転写され、中間転写ベルト6上には少量のトナー(転写残トナー)が残留している。残留率は10%程度である。この領域の転写残トナーには、正負両極性のトナーが混在している。この転写残トナーの平均電荷量は約±0μC/gである。これに対し、はみ出し領域では、中間転写ベルト6上に多量のトナー(転写残トナー)が残留している。残留率は50%以上である。又、この領域の転写残トナーは、印字面によって極性が異なる。
図5(b)は、縁無し印字モードにおける一面目の転写後の状態を示す。二次転写ローラ8には、二次転写電源80から正極性の転写電圧(約+2.0kV)が印加される。この転写電圧により、転写材P上に対応する領域では、中間転写ベルト6上のトナーが高効率で転写材P上に転写される。ところが、はみ出し領域では、中間転写ベルト6と二次転写ローラ8との間に転写材Pの厚み分に相当するエアギャップ(約150μm)が形成されている。そのため、中間転写ベルト6と二次転写ローラ8との間の転写電界が弱まり、少量のトナーが二次転写ローラ8上に移動するものの、50%以上のトナーが中間転写ベルト6上に残留する。この領域の転写残トナーの極性は、負極性(平均電荷量は約−30μC/g)のままである。
転写材P上に対応する領域の転写残トナーは、中間転写ベルト6の移動によりクリーニング部N3に搬送された後、正極性のクリーニング電圧(+1.0kV)により、正極性に帯電される(図3参照)。この帯電された転写残トナーの平均電荷量は約+50μC/gである。その後、この帯電された転写残トナーは、第1の画像形成部Saの一次転写部N1aにおいて、正極性の逆転写電圧(+0.5kV)により感光ドラム1aに逆転写される。そして、感光ドラム1aに逆転写されたトナーは、ドラムクリーナ7aによって感光ドラム1a上から除去されて回収される。
一方、はみ出し領域の転写残トナーは、転写材P上に対応する領域の転写残トナーに比べて量が多い。この領域の転写残トナーのうち一部は、転写材P上に対応する領域の転写残トナーと同様に、クリーニング部N3に搬送された後、正極性のクリーニング電圧(+1.0kV)により正極性に帯電され、その後感光ドラム1aに逆転写される。そして、感光ドラム1aに逆転写されたトナーは、ドラムクリーナ7aによって感光ドラム1a上から除去されて回収される。しかし、はみ出し領域の転写残トナーのうち上記以外の大部分は、クリーニング部N3で正極性に帯電されず、負極性のままとなり、正極性の電圧が印加されたクリーニングブラシ11内部に電気的に回収される。この様子を図6に示す。
尚、クリーニングブラシ11内に回収されたトナーは、ページ間(紙間)や画像形成完了後(後回転)などのタイミングで、負極性に切り替えられたクリーニング電圧(−1.0kV)によりクリーニングブラシ11から中間転写ベルト6上に排出される。即ち、クリーニングブラシ11内に回収されたトナーは、画像形成時以外の所定のタイミングで、中間転写ベルト6上に排出される。その後、この中間転写ベルト6上に排出されたトナーは、第1の画像形成部Saの一次転写部N1aに搬送され、感光ドラム1aに逆転写される。このとき、第1の画像形成部Saの一次転写ローラ5aに一次転写電源50aから印加される逆転写電圧も負極性に切り替えられる(−0.5kV)。そして、感光ドラム1aに逆転写されたトナーは、ドラムクリーナ7aによって感光ドラム1a上から除去されて回収される。
以上のように、縁無し印字モードでは、一面目の二次転写工程後のクリーニング動作においては、正極性のクリーニング電圧により、良好に中間転写ベルト6をクリーニングすることができる。
図5(c)は、縁無し印字モードにおける二面目の転写後の状態を示す。二次転写ローラ8には、一面目の二次転写工程より絶対値の高い、正極性の転写電圧(約+2.7kV)が印加される。一面目の二次転写工程後に定着装置40を通過することにより含有水分が蒸発して電気抵抗の上昇した転写材Pに対して、良好な転写効率(一面目同等)を確保するためである。この転写電圧により、転写材P上に対応する領域では、中間転写ベルト6上のトナーが高効率で転写材P上に転写される。
ところが、はみ出し領域では、中間転写ベルト6上に多量のトナーが残留する。この領域の転写残トナーの極性の傾向は、図5(b)に示す一面目の場合とは逆に、正極性(平均電荷量:約+10μC/g)である。これは、高い転写電圧により中間転写ベルト9と二次転写ローラ8との間の電界が強まり、二次転写ローラ8から中間転写ベルト6の方向に正放電が生じて、トナーの帯電極性が正極性に反転するためである。従って、この領域では、少量のトナーが二次転写ローラ8上に移動するものの、50%以上のトナーが中間転写ベルト6上に残留する。
このように、はみ出し領域の転写残トナーは、量が多く且つ正極性である。このトナーに対し、正極性のクリーニング電圧を印加してしまうと、このトナーはクリーニング部N3でクリーニングブラシ11と電気的に反発する。そして、このトナーが、クリーニング部N3の入り口付近でせき止められて滞留してしまったり、中間転写ベルト6上から離れて空気中を飛散してしまったりする。この様子を図7に示す。このように滞留したり、飛散したりしたトナーは、画像形成装置100の内部(特に、二次転写部N2から定着装置40にかけての部分)や転写材P上に落下し、画像形成装置100の汚れや画像不良を引き起こす原因となる。
そこで、本実施例の画像形成装置100では、縁無し印字モードにおける二面目の二次転写工程後のクリーニング動作においては、クリーニング電圧を負極性とする(−1.0kV)。このクリーニング電圧により、はみ出し領域の正極性の転写残トナーの多くが、クリーニング部N3内に侵入した際に、クリーニングブラシ11の内部に回収される。この様子を図8に示す。従って、クリーニングブラシ11とトナーとの間の電気的反発を抑え、クリーニング部N3の入り口付近でトナーがせき止められて滞留してしまったり、飛散してしまったりする現象を抑制することができる。
尚、上記負極性のクリーニング電圧の印加により、転写材P上に対応する領域の転写残トナー、及びはみ出し領域の転写残トナーの一部は、負極性に帯電され、クリーニング部N3を通過する。このトナーは、第1の画像形成部Saにおいて一次転写ローラ5aに印加された負極性の逆転写電圧(−0.5kV)により感光ドラム1aに逆転写される。そして、感光ドラム1aに逆転写されたトナーは、ドラムクリーナ7aによって感光ドラム1a上から除去されて回収される。又、クリーニングブラシ11内に回収された正極性のトナーは、ページ間(紙間)や画像形成完了後(後回転)などのタイミングで、正極性に切り替えられたクリーニング電圧(+1.0kV)によりクリーニングブラシ11から中間転写ベルト6上に排出される。その後、この中間転写ベルト6上に排出されたトナーは、第1の画像形成部Saにおいて一次転写ローラ5aに印加された正極性の逆転写電圧(+0.5kV)により感光ドラム1aに逆転写される。そして、感光ドラム1aに逆転写されたトナーは、ドラムクリーナ7aによって感光ドラム1a上から除去されて回収される。
以上のように、縁無し印字モードでは、二面目の二次転写工程後のクリーニング動作においては、負極性のクリーニング電圧により、良好に中間転写ベルト6をクリーニングすることができる。
尚、本実施例の画像形成装置100では、二次転写電圧と、はみ出し領域の転写残トナーの平均電荷量との関係は、図9に示す通りとなる。つまり、二次転写電圧が低い場合、はみ出し領域の転写残トナーの電荷量は、転写前のトナーと同様に負極性のままである。二次転写電圧が上昇すると、上述のような放電の影響により、負極性の電荷量が次第に減少し、遂にVt2th(約+2.45kV)において±0μC/gとなる。二次転写電圧がこれよりも上昇すると、更に放電の影響が強まり、正極性の電荷量が増していく。ここで上記Vt2thは、はみ出し領域の転写残トナーの極性が、負極性から正極性に変わる閾値電圧である。この閾値電圧は、二次転写部N2の構成部材(対向ローラ62、中間転写ベルト6、二次転写ローラ8)の電気抵抗、プロセススピードなどによって決まる。
このように、本実施例によれば、画像形成装置100は、トナー像を担持する像担持体6と、転写電圧が印加されて転写部N2において像担持体6から転写材Pにトナー像を転写させる転写手段8と、を有する。又、画像形成装置100は、クリーニング電圧が印加されて像担持体上の残留トナーを帯電させるか又は一時的に回収するクリーニング部材11と、クリーニング部材に電圧を印加するクリーニング電圧印加手段12と、を有する。又、画像形成装置は、転写部N2において転写材Pからはみ出す像担持体上のはみ出し領域の残留トナーの発生の有無を判断するはみ出し発生判断手段110と、制御手段111と、を有する。そして、制御手段111は、はみ出し発生判断手段110によりはみ出し領域に残留トナーが発生したと判断された際に、転写電圧が所定値より大きい場合はトナー像を形成するトナーの帯電極性と同極性のクリーニング電圧をクリーニング部材11に印加させる。又、制御手段111は、はみ出し発生判断手段110によりはみ出し領域に残留トナーが発生したと判断された際に、転写電圧が前記所定値以下の場合はトナー像を形成するトナーの帯電極性と逆極性のクリーニング電圧をクリーニング部材11に印加させる。
特に、本実施例では、画像形成装置100は、転写材Pの両面に対して画像形成を行うことが可能であり、転写電圧は像担持体6からトナー像を転写させる面が転写材Pの一面目であるか二面目であるかによって決定される。そして、制御手段111は、像担持体6からトナー像を転写させる面が転写材Pの一面目であるか二面目であるかによってはみ出し発生判断手段110によりはみ出し領域に残留トナーが発生したと判断された際のクリーニング電圧を制御する。これは、転写材Pの両面に対して画像形成を行う際の二面目の転写工程における転写電圧が前記所定値を超えるからである。
11.印字動作の詳細
上述のクリーニング電圧を本実施例の画像形成装置100で実際に使用して印字を行う際の動作を、図10及び図11のタイミングチャートを用いて更に詳細に説明する。
・通常印字モード
図10(a)は、通常印字モードの片面印字ジョブに関するものである。一例として、2ページ印字の場合を示している。尚、ジョブとは、一の印字動作開始指示により開始される単数又は複数の転写材Pに対する一連の印字動作である。
画像形成装置100に印字ジョブが送信され、印字動作が開始されると、画像形成前の準備工程として前回転が開始される(時刻s1)。このとき、待機用の二次転写電圧Vt2w(+0.5kV)と、待機用のクリーニング電圧Vclw(+0.5kV)が印加される。続いて、第一ページ画像(P1画像)の二次転写が開始される(時刻s2)。ここでは、二次転写電源80により所望の転写電流(20μA)をターゲットとした定電流制御が行われ、好適な二次転写電圧Vt2(約+2.0kV)が印加される。又、二次転写部N2からクリーニング部N3まで中間転写ベルト6が移動する時間(時刻s3−時刻s2)を置き、P1画像の転写残トナーをクリーニングするための正極性のクリーニング電圧Vclp(+1.0kV)が印加される(時刻s3)。そして、P1画像の二次転写が完了すると、P1画像を転写する転写材Pと第二ページ画像(P2画像)を転写する転写材Pとの間(紙間と言う)では、再び待機用の二次転写電圧Vt2wが印加される(時刻s4)。次に、P2画像の二次転写が開始されると(時刻s5)、P1画像の場合と同様、再び定電流制御により二次転写電圧Vt2が印加される。クリーニング電圧についても、P1画像の転写残クリーニングが完了すると、紙間に対応する期間では、再び待機用のクリーニング電圧Vclwが印加される(時刻s5)。又、次に、P2画像の転写残トナーをクリーニングするための正極性のクリーニング電圧Vclpが印加される(時刻s6)。P2画像の二次転写が完了すると、二次転写電圧はOFFされ、画像形成後の処理工程である後回転が行われる(時刻s7)。クリーニング電圧も、P2画像の転写残クリーニングが終わり次第OFFされる(時刻s8)。そして、後回転の終了に伴い、印字動作が完了する(時刻s9)。
図10(b)は、通常印字モードの両面印字ジョブに関するものである。一例として、一枚の転写材Pの一面目にP1画像、二面目にP2画像を印字する場合を示している。尚、以下の説明で、図10(a)と同様の部分に関する説明は省略する。
印字動作が開始されると、前回転が開始され、次いで転写材Pの一面目に対してP1画像の印字が行われる。二次転写電圧としては、Vt2s(約+2.0kV)が印加される。その後、自動両面印字機構30により転写材Pを反転、再給紙し、転写材Pの二面目に対してP2画像の印字が行われる。二次転写電圧としては、一面目と同様、所望の転写電流(20μA)をターゲットとした定電流制御により、Vt2d(約+2.7kV)が印加される。この通常印字モードの両面印字ジョブにおいても、P1画像、P2画像の両方の転写残トナーのクリーニングのために、正極性のクリーニング電圧Vclpが印加される。
・縁無し印字モード
図11(a)は、縁無し印字モードの片面印字ジョブに関するものである。一例として、2ページ印字の場合を示している。
印字動作が開始されると、前回転が開始され、次いでP1画像、P2画像の印字が行われる。縁無し印字モードの片面印字ジョブにおいても、P1画像、P2画像の両方の転写残トナーのクリーニングのために、正極性のクリーニング電圧Vclpが印加される。
尚、縁無し印字モードの片面印字ジョブでは、クリーニングブラシ11内に回収されたトナーを負極性のクリーニング電圧Vclnにより排出される処理が後回転時に行われる(時刻s8から時刻s9)。
図11(b)は、縁無し印字モードの両面印字ジョブに関するものである。一例として、一枚の転写材Pの一面目にP1画像、二面目にP2画像を印字する場合を示している。
印字動作が開始されると、前回転が開始され、次いで転写材Pの一面目に対してP1画像の印字が行われる。その後、自動両面印字機構30により転写材Pを反転、再給紙し、転写材Pの二面目に対してP2画像の印字が行われる。縁無し印字モードの両面印字ジョブにおいては、P1画像の転写残トナーのクリーニングのためには、正極性のクリーニング電圧Vclpが印加され、P2画像の転写残トナーのクリーニングのためには負極性のクリーニング電圧Vclnが印加される。
尚、縁無し印字モードの両面印字ジョブでは、クリーニングブラシ11内に回収されたトナーを負極性のクリーニング電圧Vclnにより排出させる処理が両面搬送時に行われる(時刻s5から時刻s6)。又、同様に、クリーニングブラシ11内に回収されたトナーを正極性のクリーニング電圧Vclpにより排出させる処理が後回転時に行われる(時刻s10から時刻s11)。
以上説明したように、本実施例の画像形成装置100では、縁無し印字モードによる印字が行われる際、クリーニング電圧の極性が、印字面に応じて自動的に変更される。これにより、クリーニング部材とトナーとの間の電気的反発を抑え、クリーニング部材の入り口付近でトナーがせき止められて滞留してしまったり、飛散してしまったりすることを抑制し、画像形成装置100の汚れや画像不良の発生を良好に防止することができる。
実施例2
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、クリーニング電圧極性の決定方法が実施例1とは異なる。
実施例1では、縁無し印字モード時の中間転写ベルト6のクリーニング動作において、転写材Pの印字面に応じて自動的に異なる極性のクリーニング電圧を印加する制御を行った。これは、両面印字の二面目の二次転写工程における二次転写電圧が閾値電圧Vt2th(図9)を超えることによるものであった。
これに対し、本実施例の画像形成装置100では、転写電圧検知手段としてのコントローラ110により、二次転写電圧の定電流制御を実施中の二次転写電源80から二次転写ローラ8に出力される電圧値をリアルタイムでモニターする。又、本実施例では、所定期間中にモニターした上記電圧値を平均化する処理を行い電圧値の検知結果とする。そして、この検知結果に応じてクリーニング電圧の極性を随時変更しながら印字動作を行う。
これにより、転写材Pの種類、ロット、保管条件などの違いにより、様々な異なる電気抵抗を有する転写材Pに対しても、常に最適な極性のクリーニング電圧を印加して印字を行うことができる。
図12は、本実施例の画像形成装置100の印字動作を説明するためのタイミングチャートである。尚、本実施例の説明内で挙げる二次転写電圧の数値は、本実施例の画像形成装置100を用いて、次のような低抵抗の転写材Pと高抵抗の転写材Pを使用して印字を行った際の代表値とした。低抵抗の転写材Pとしては、キヤノン製CLC用紙(坪量80g/m2)の未開封パックを開封した直後にパックから取り出した紙(開直紙)を使用した。又、高抵抗の転写材Pとしては、同用紙の低温低湿環境下で約1週間放置し含有水分を蒸発させた紙(放置紙)を使用した。
・低抵抗の転写材
図12(a)は、低抵抗の転写材Pを用いた縁無し印字モードの片面印字ジョブに関するものである。一例として、2ページ印字の場合を示している。画像形成装置100に印字ジョブが送信され、印字動作が開始されると、画像形成前の準備工程として前回転が開始される(時刻s1)。このとき、待機用の二次転写電圧Vt2w(+0.5kV)、待機用のクリーニング電圧Vclw(+0.5kV)が印加される。
続いて、第一ページ画像(P1画像)の二次転写が開始される(時刻s2)。ここでは、二次転写電源80により、所望の転写電流(20μA)をターゲットとした定電流制御が行われる。この定電流制御の最中、コントローラ110により、二次転写電源80の電圧出力がリアルタイムに検知される。そして、二次転写部N2からクリーニング部N3まで中間転写ベルト6が移動する時間内(時刻s3−時刻s2)における平均電圧Vt2aが算出される。
本例では、平均電圧値Vt2a=+2.0kVである。このとき、中間転写ベルト6上のはみ出し領域の転写残トナーの極性は負極性(平均電荷量:約−30μC/g)である。
ここで、本実施例の画像形成装置100では、実施例1で説明した閾値電圧Vt2th(+2.45kV)を基準とする。
そして、次式、
Vt2a≦Vt2th
を満たす場合には、正極性のクリーニング電圧Vclp(+1.0kV)を印加するように設定されている。
一方、次式、
Vt2a>Vt2th
を満たす場合には、負極性のクリーニング電圧Vclp(−1.0kV)を印加するよう設定されている。
これは、実施例1で説明した通り、中間転写ベルト6上のはみ出し領域の転写残トナーが、次式、
Vt2a≦Vt2th
を満たす場合には負極性となり、次式、
Vt2a>Vt2th
を満たす場合には正極性となるためである。
本例では、次式、
Vt2a≦Vt2th
を満たす。従って、本例では、正極性のクリーニング電圧Vclp(+1.0kV)が印加される(時刻s3から時刻s5)。これにより、中間転写ベルト6上に負極性のまま残留する多量の転写残トナーを、良好にクリーニングすることができる。
第二ページ画像(P2画像)についても同様の制御が行われる。即ち、時刻s5から時刻s6における平均電圧値Vt2aが算出され、閾値電圧値Vt2thと比較され、時刻s6から時刻s8で正極性のクリーニング電圧Vclpが印加される。
又、実施例1にて説明した図11(a)の場合と同様に、クリーニングブラシ11内に回収されたトナーが、後回転時に負極性のクリーニング電圧Vclnにより排出される処理が行われる(時刻s8から時刻s9)。
・高抵抗の転写材
図12(b)は、高抵抗の転写材Pを用いた縁無し印字モードの片面ジョブに関するものである。以下、上記低抵抗の転写材Pを用いた場合と同様の部分に関する説明は省略する。
本例では、平均電圧値Vt2a=+2.6kVとなる。このとき、中間転写ベルト6上のはみ出し領域の転写残トナーの極性は正極性(平均電荷量:約+10μC/g)である。
本例では、次式、
Vt2a>Vt2th
を満たす。従って、本例では、負極性のクリーニング電圧Vcln(−1.0kV)が印加される(時刻s3から時刻s5)。これにより、中間転写ベルト6上に正極性となって残留する多量の転写残トナーを、良好にクリーニングすることができる。
第二ページ画像(P2画像)についても同様の制御が行われる。即ち、時刻s5から時刻s6における平均電圧値Vt2aが算出され、閾値電圧値Vt2thと比較され、時刻s6から時刻s8で負極性のクリーニング電圧Vclpが印加される。
又、実施例1にて説明した図11(b)の場合と同様に、クリーニングブラシ11内に回収されたトナーが、後回転時に正極性のクリーニング電圧Vclpにより排出される処理が行われる(時刻s8から時刻s9)。
以上説明したように、本実施例の画像形成装置100では、縁無し印字モードにおけるクリーニング電圧の極性が、転写電圧をリアルタイムに検知した結果に応じて随時変更される。これにより、転写材Pの種類、ロット、保管条件などによらず、画像形成装置100の汚れや画像不良の発生を良好に防止することができる。
実施例3
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1、2のものと同じである。従って、実施例1、2のものと同一又はそれに相当する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、転写材Pに対するトナー像のはみ出しの発生の判断方法が実施例1、2とは異なる。
本実施例の画像形成装置100では、ユーザーが、画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部装置200のプリンタードライバー上で、カセット21にセットされた転写材Pのサイズを設定できる。この転写材Pのサイズ情報は、画像形成装置100の転写材サイズ検知手段としてのコントローラ110により検知される。本実施例では、設定可能な転写材Pの幅(搬送方向と略直交する方向の寸法)は100mm〜216mm、長さ(搬送方向の寸法)は148mm〜297mmの範囲である。
尚、他の構成として、画像形成装置00が、カセット21内にセットされている転写材Pのサイズを自動的に検知するための機械的或いは光学的な機構を備え、その検知結果がコントローラ110により検知されるような構成をとることも可能である。
本実施例の画像形成装置100では、通常印字モードで印字が行われる際、はみ出し発生判断手段としてのコントローラ110によって、中間転写ベルト6上のトナー像のサイズと、使用される転写材Pのサイズと、が比較する処理が行われる。ここで、コントローラ110は、使用される転写材Pのサイズが中間転写ベルト6上に形成するトナー像のサイズよりも小さいと判断した場合、二次転写部N2における転写材Pからのトナー像のはみ出しが発生すると判断する。そして、この判断結果に基づいて、クリーニング電圧制御として、実施例1、2にて説明した縁無し印字モードの場合と同様の制御が実施される。即ち、本実施例では、トナー像のサイズと転写材Pのサイズのミスマッチにより、二次転写部N2において転写材Pからはみ出す領域の中間転写ベルト6上に存在するトナーが、はみ出し領域の転写残トナーとなる。そして、本実施例におけるこのはみ出し領域の転写残トナーは、中間転写ベルト6のクリーニング動作において、実施例1、2におけるはみ出し領域の転写残トナーと同様に考えることができる。
このとき、印字動作自体は最後まで行われるものの、印字動作完了後に、プリンタードライバーを介して外部装置200の画面上に転写材Pのサイズのミスマッチが生じた旨の警告メッセージが表示される。画像形成装置100に設けられた画面に同様の表示を行うこともできる。
以上説明したように、本実施例の画像形成装置100では、転写材Pのサイズのミスマッチが生じた場合でも、画像形成装置100の汚れや画像不良の発生を良好に防止することができる。
尚、本実施例では、転写材サイズ検知手段によって転写材Pのサイズが中間転写ベルト6上のトナー像のサイズよりも小さいことが検知された場合に、はみ出し発生判断手段が、二次転写部N2における転写材Pからのトナー像のはみ出しが発生すると判断した。しかし、転写材Pのサイズが中間転写ベルト6上のトナー像のサイズと同じか又は大きい場合でも、転写材Pが画像形成装置100のカセット21内に正しくセットされない場合が想定される。二次転写部N2で、中間転写ベルト6上のトナー像と転写材Pの位置が、二次転写ローラ8の長手方向(プロセス方向と垂直な方向)で大きくずれてしまえば、このような場合でも、二次転写部N2における転写材Pからのトナー像のはみ出しの発生はあり得る。このような場合に対応するために、画像形成装置100のカセット21内にセットされている転写材Pのサイズに加え、その位置をも自動的に検知するための機構を設け、その検知結果を元にクリーニング電圧の制御を行うことができる。即ち、この場合、画像形成装置100は、上記転写材サイズ検知手段の代わりに、二次転写部N2における中間転写ベルト6上のトナー像に対する転写材Pの搬送位置ずれを検知する搬送位置ずれ検知手段を有する。搬送位置ずれ検知手段としては、カセット21や搬送経路中に設けられた、転写材Pの搬送方向と略直交する方向の位置ずれを検知するセンサ、二次転写部N2におけるトナー像に対する転写材Pの搬送遅れを検知するセンサなどであってよい。例えば、転写材Pの画像形成装置内における装着位置などを検知することで、搬送位置ずれを検知することができる。そして、はみ出し発生判断手段は、この搬送位置ずれ検知手段の検知結果に基づいて、二次転写部N2における中間転写ベルト6上のトナー像の転写材Pからのはみ出しが発生することを判断する。このように、通常モードにおいて、二次転写部N2において転写材Pの縁の少なくとも一部からはみ出す領域の中間転写ベルト6上にトナー像が形成される場合に、本実施例の原理を適用することができる。
その他
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、上述の実施例では、中間転写体の静電クリーニング方式として、固定して配置されたブラシ状部材を用いた構成を例に説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、ファーブラシローラなど、他のクリーニング部材を用いた構成にも適用可能であり、同様の効果を得ることが可能である。ファーブラシローラを用いた構成では、ファーブラシに電圧を印加し、中間転写体上の転写残トナーを一旦内部に回収する。そして、ファーブラシに回収したトナーは、電圧が印加されてファーブラシからトナーを静電的に回収する回収部材としての金属ローラなどのバイアスローラなどに転移させることができる。この回収部材によって回収したトナーは、更にシート部材で掻き取って回収容器に回収することができる。こうして、ファーブラシローラにより中間転写体を静電的にクリーニングすることができる。この場合も、上述の実施例において、はみ出し領域の転写残トナーを正負いずれかの極性のクリーニング電圧を印加して一旦クリーニングブラシに回収する場合と同様に考えることができる。従って、ファーブラシローラに対して、上述の実施例における当該場合と同様のクリーニング電圧制御を適用することができる。
又、上述の実施例では、中間転写ベルトを用いた構成の画像形成装置を例に説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、中間転写ドラム方式、多重現像方式などで静電クリーニング方式を採用した構成の画像形成装置にも適用可能であり、同様の効果を得ることが可能である。又、感光体から直接転写材にトナー像を転写する画像形成装置における感光体のクリーニングに対しても本発明を適用することができ、同様の効果が得ることが可能である。
例えば、図13は、感光ドラム1から直接転写材Pにトナー像を転写するモノカラー画像形成装置200に本発明を適用した場合の一例を示す。尚、図13の画像形成装置において図1の画像形成装置におけるものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。通常印字モードにおける転写残トナーのクリーニング動作の概略について説明する。図13の画像形成装置200は、感光ドラム1の回転方向において転写部Nの下流側且つ帯電ローラ2の上流側に、感光ドラム1に接触するように第1のクリーニングブラシ(残留トナー均一化手段)11Aを有する。又、画像形成装置200は、感光ドラム1の回転方向においてこの第1のクリーニングブラシ1の下流側且つ帯電ローラ2の上流側に、感光ドラム1に接触するように第2のクリーニングブラシ(トナー帯電量制御手段)11Bを有する。そして、第1のクリーニングブラシ11Aに正極性(トナーの正規の帯電極性とは逆極性)の電圧を印加する。又、第2のクリーニングブラシ11Bに負極性(トナーの正規の帯電極性と同極性)の電圧を印加する。これにより、転写残トナーは、第1のクリーニングブラシ11Aで感光ドラム1上で均一化されると共に、除電されたり正極性に帯電されたりして第1のクリーニングブラシ11Aを通過する。その後、このトナーは、第2のクリーニングブラシ11Bによって、負極性に帯電させられる。このトナーは、帯電ローラ2によって更に帯電されるなどした後、現像装置4との対向部に至る。そして、このトナーは、現像同時クリーニングによって、現像装置4に回収される。即ち、現像装置4が備える現像ローラなどの現像剤担持体と感光ドラム1との間のかぶり取りバイアス(感光ドラム1上の非画像部の電位と現像剤担持体に印加される現像電圧(現像バイアス)との電位差)によって現像剤担持体に転移して回収される。尚、転写残トナーの一部が第1のクリーニングブラシ11Aに回収されることがある。このトナーは、所定のタイミングで感光ドラム1上に排出し、所定の極性に帯電させた後、現像装置4で回収することができる。
このような画像形成装置において、縁無し印字時や転写材のサイズのミスマッチや搬送位置ずれによって生じた感光ドラム1上のはみ出し領域の転写残トナーは、上述の実施例における中間転写ベルト上の転写残トナーと同様の性質を有することとなる。従って、このような画像形成装置においても、縁無し印字時や転写材のサイズのミスマッチや搬送位置ずれによって生じた感光ドラム1上のはみ出し領域の転写残トナーは、上述と同様の滞留や飛散による問題を引き起こすおそれがある。従って、このような画像形成装置においても、第1のクリーニングブラシ11に対する電圧の制御として、上述の実施例におけるクリーニング電圧の制御を適用することができ、同様の効果を得ることができる。
1 感光ドラム(第1の像担持体)
6 中間転写ベルト(第2の像担持体)
8 二次転写ローラ(転写手段)
10 ベルトクリーナ
11 クリーニングブラシ(クリーニング部材)
12 クリーニング電源(電圧印加手段)
P 転写材

Claims (7)

  1. トナー像を担持する像担持体と、
    転写電圧が印加されて転写部において前記像担持体から転写材にトナー像を転写させる転写手段と、
    クリーニング電圧が印加されて前記像担持体上の残留トナーを帯電させるか又は一時的に回収するクリーニング部材と、
    前記クリーニング部材に電圧を印加するクリーニング電圧印加手段と、
    前記転写部において転写材からはみ出す前記像担持体上のはみ出し領域の残留トナーの発生の有無を判断するはみ出し発生判断手段と、
    前記はみ出し発生判断手段により前記はみ出し領域に残留トナーが発生したと判断された際に、前記転写電圧が所定値より大きい場合は前記トナー像を形成するトナーの帯電極性と同極性のクリーニング電圧を前記クリーニング部材に印加させ、前記転写電圧が前記所定値以下の場合は前記トナー像を形成するトナーの帯電極性と逆極性のクリーニング電圧を前記クリーニング部材に印加させる制御手段と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 転写材の両面に対して画像形成を行うことが可能であり、前記転写電圧は前記像担持体からトナー像を転写させる面が転写材の一面目であるか二面目であるかによって決定され、前記制御手段は、前記像担持体からトナー像を転写させる面が転写材の一面目であるか二面目であるかによって、前記はみ出し発生判断手段により前記はみ出し領域に残留トナーが発生したと判断された際の前記クリーニング電圧を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記像担持体から転写材にトナー像を転写する際の前記転写電圧を検知する転写電圧検知手段を有し、前記制御手段は、前記転写電圧検知手段の検知結果によって、前記はみ出し発生判断手段により前記はみ出し領域に残留トナーが発生したと判断された際の前記クリーニング電圧を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御手段は、前記クリーニング部材に一時的に回収された残留トナーを画像形成時以外のタイミングで排出する動作を行わせることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 転写材の全域にトナー像を形成する画像形成モードを有し、前記はみ出し発生判断手段は、該画像形成モードで画像形成を行う際に前記はみ出し領域に残留トナーが発生したと判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 転写材のサイズを検知する転写材サイズ検知手段を有し、前記はみ出し発生判断手段は、前記像担持体上のトナー像のサイズと転写材のサイズとを比較して、前記はみ出し領域の残留トナーの発生の有無を判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記転写部における前記像担持体上のトナー像に対する転写材の搬送位置ずれを検知する搬送位置ずれ検知手段を有し、前記はみ出し発生判断手段は前記搬送位置ずれ検知手段の検知結果により、前記はみ出し領域の残留トナーの発生の有無を判断するすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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