JP5790149B2 - 回転電機のステータおよびステータの保持リング - Google Patents
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Description
特に、フランジとボスとの間の相対移動によって、ハウジングの表面に摩耗(フレッティング)が発生した後は、取付ボルトによる締付力が急激に低下する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステータをハウジングに取り付けている取付ネジの緩みを防止することのできる回転電機のステータおよびステータの保持リングを提供することにある。
また、1本当たりの取付ネジの剪断方向荷重を低減できることにより、取付ネジのネジ径をサイズアップする必要がないため、保持リングの取付フランジおよびハウジングの大型化を防ぎ、回転電機全体が大型化することを防止することができる。
また、取付フランジ上には、同一の取付穴群に属する隣接した取付穴同士の間を切り欠くように形成された溝が形成されたことにより、回転電機の温度が変化して、保持リングに対してハウジングが半径方向内方に相対移動したとしても、溝によって取付フランジ上の隣接した取付穴同士が接近可能であるため、取付フランジに発生する応力を低減し、延いては取付ネジに働く剪断方向荷重を低減することができる。
また、それぞれ異なる取付穴群に属する互いに隣接した取付穴同士の間の円周方向の間隔は、同一の取付穴群に属する互いに隣接した取付穴同士の間の円周方向の間隔より大きく形成されているため、取付フランジに対するハウジングの相対移動は、隣接した取付穴群の間の部位と対向するハウジングの部分によって吸収することができる。
また、1本当たりの取付ネジの剪断方向荷重を低減できることにより、取付ネジのネジ径をサイズアップする必要がないため、保持リングの取付フランジおよびハウジングの大型化を防ぎ、回転電機全体が大型化することを防止することができる。
また、取付フランジ上には、同一の取付穴群に属する隣接した取付穴の間を切り欠くように、外周縁から半径方向内方に進入する溝が形成されたことにより、回転電機の温度が変化して、保持リングに対してハウジングが半径方向内方に相対移動したとしても、溝によって取付フランジ上の隣接した取付穴同士が接近可能であるため、取付フランジに発生する応力を低減し、延いては取付ネジに働く剪断方向荷重を低減することができる。
尚、説明中において回転軸方向または軸方向という場合、特に断らなければ、電動モータ1に含まれたロータ13の回転軸Cに沿った方向、すなわち図1における左右方向を意味する。また、図1において、左方を電動モータ1およびクラッチ装置3の前方といい、右方を後方ということがあるが、実際の車両上における方向とは無関係である。
また、電動モータ1を構成するロータ13とエンジンとの間には、湿式多板クラッチであるノーマリクローズタイプのクラッチ装置3が介装されている。さらに、電動モータ1は、トランスミッションを介して図示しない車両の駆動輪と接続されており、電動モータ1による駆動力が駆動輪に入力される。
また、インプットシャフト32は、クラッチ装置3の係合部33を介して、クラッチアウタ34と接続されている。係合部33が係脱することにより、インプットシャフト32とクラッチアウタ34との間が断続される。
クラッチアウタ34は、電動モータ1のロータ13に連結されるとともに、半径方向内方へと延びて、内端においてタービンシャフト2とスプライン嵌合している。また、クラッチアウタ34とモータハウジング11の固定壁111との間には、双方の間の相対回転が可能なように、ベアリング装置35が介装されている。
上述した構成を備えた電動モータ1において、コイル164に例えば三相の交流電流が供給されることによりステータ14において回転磁界が発生し、回転磁界に起因する吸引力または反発力によって、ステータ14に対しロータ13が回転される。
ここで、取付穴154aと取付穴154b、取付穴154cと取付穴154d、取付穴154eと取付穴154f、取付穴154gと取付穴154h、取付穴154iと取付穴154jは、各々取付穴群を形成する。
ここで、例えば、互いに隣接した固定フランジ152aと固定フランジ152b(固定フランジ152bと固定フランジ152c、または固定フランジ152cと固定フランジ152d、もしくは固定フランジ152dと固定フランジ152eでもよい)のそれぞれの円周方向の中心(それぞれ、取付穴154aと取付穴154bとの間の中央、取付穴154cと取付穴154dとの間の中央となる)から、回転軸Cに対してそれぞれ直線L1、L2を垂直に下ろし、一対の直線L1、L2によって形成される角度(以下、フランジ間ピッチという)をα(本実施形態においてはα=72°)とする。
さらに、図2および図3に示したように、各々の固定フランジ152a〜152e上には、同一の取付穴群に属する隣接した取付穴154a〜154j同士の間を切り欠くように、固定フランジ152a〜152eの外周縁から半径方向内方に進入するスリット155(溝に該当する)が形成されている。
また、円筒部151の固定フランジ152a〜152eが形成された側と反対側の端部には、リインフォース156が全周において半径方向内方に向けて延びている。
また、コア体16をステータリング15内に取り付ける方法として、常温における圧入を適用してもよい。さらに、圧入によりコア体16をステータリング15内に保持させる場合、コア体16と円筒部151との間に接着剤を介在させ、その保持力を増大させてもよい。
また、モータハウジング11の半径方向外方への伸長の大部分は、互いに異なる固定フランジ152a〜152e(互いに異なる取付穴群)の間の部位と対向するモータハウジング11の部分によって吸収する。
尚、図4、図5および後述する図6において、その特性が示されたステータリング15の各固定フランジ152a〜152eには、前述したスリット155が形成されている。
同様に図6は、固定フランジを4個にした場合の、高温時における取付ボルト17に働く剪断方向荷重と固定フランジに発生する応力を示している。これからも、高温時において関係式β<α/Nを満足するように、β<22.5°(図6において、β=22.5°の位置を一点鎖線にて示す)とすることにより、取付ボルト17に働く剪断方向荷重と固定フランジに発生する応力の増大を、ともに防ぐことができることが分かる。
固定フランジ152a〜152e上の隣接した取付穴154a〜154jの間を切り欠くようにスリット155を設けない場合、スリット155を設けた場合に比べ、低温時に固定フランジ152a〜152e上に発生する応力が増大し、延いては、図7において示したように、取付ボルト17に働く剪断方向荷重が著しく増大する。
また、1本当たりの取付ボルト17の剪断方向荷重を低減できることにより、取付ボルト17のネジ径をサイズアップする必要がないため、ステータリング15の固定フランジ152a〜152eおよびモータハウジング11の大型化を防ぎ、電動モータ1全体が大型化することを防止することができる。
これにより、ステータ14の温度変化によって、ステータリング15に対してモータハウジング11が相対移動したとしても、取付ボルト17への剪断方向荷重を低減して取付ボルト17の緩みを防止することができるとともに、固定フランジ152a〜152eに発生する応力を低減することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
ステータリング15上の固定フランジ152a〜152eの形成個数は、モータハウジング11に対するステータ14の取付強度を考慮して、最適な数に決めればよい。また、各々の固定フランジ152a〜152e上に、3個以上の取付穴154a〜154jを設けることにより、取付ボルト17のネジ径を低減してもよい。
また、ステータリング15が取り付けられるモータハウジング11の材質は、マグネシウム合金またはチタン合金等の軽金属材料であってもよい。
また、本発明による電動モータ1は、同期モータ、誘導モータ、直流モータあるいはそれ以外のあらゆる回転電機に適用可能である。
Claims (3)
- 円筒部の軸方向端部において、取付ネジによってハウジングに固定される取付フランジが半径方向外方に延びるように形成された保持リングと、
各々コイルが巻回されるとともに、円環状に並んだ状態で前記円筒部の内周面に取り付けられた複数のコアと、
を備え、
前記ハウジングに回転可能に取り付けられたロータに対し、半径方向外方に対向するように設けられた回転電機のステータであって、
前記取付フランジ上には、円周上において互いに所定の間隔を有するように複数の取付穴群が配置され、各々の前記取付穴群は、前記取付ネジが挿入されるように、前記取付フランジを貫通する互いに近接した複数の取付穴によって形成されており、
同一の前記取付穴群に属する互いに隣接した前記取付穴同士の間の円周方向の間隔は、それぞれ異なる前記取付穴群に属する互いに隣接した前記取付穴同士の間の円周方向の間隔より小さく形成され、
前記取付フランジ上には、同一の前記取付穴群に属する隣接した前記取付穴同士の間を切り欠くように形成された溝が形成された回転電機のステータ。 - 円筒部の軸方向端部において、取付ネジによってハウジングに固定される取付フランジが半径方向外方に延びるように形成された保持リングと、
各々コイルが巻回されるとともに、円環状に並んだ状態で前記円筒部の内周面に取り付けられた複数のコアと、
を備え、
前記ハウジングに回転可能に取り付けられたロータに対し、半径方向外方に対向するように設けられた回転電機のステータであって、
前記取付フランジ上には、円周上において互いに所定の間隔を有するように複数の取付穴群が配置され、各々の前記取付穴群は、前記取付ネジが挿入されるように、前記取付フランジを貫通する互いに近接した複数の取付穴によって形成されており、
同一の前記取付穴群に属する互いに隣接した前記取付穴同士の間の円周方向の間隔は、それぞれ異なる前記取付穴群に属する互いに隣接した前記取付穴同士の間の円周方向の間隔より小さく形成され、
前記取付フランジ上には、同一の前記取付穴群に属する隣接した前記取付穴同士の間を切り欠くように、外周縁から半径方向内方に進入する溝が形成された回転電機のステータ。 - 複数の前記取付穴群は、前記円筒部の軸方向端部において円周上に均等に配置されるとともに、各々の前記取付穴群は、一対の前記取付穴により形成されており、
同一の前記取付穴群に属する双方の前記取付穴から、前記ロータの回転軸に対してそれぞれ垂直に下ろされた一対の直線によって形成される角度をβとし、隣り合った前記取付穴群のそれぞれの円周方向の中心から、前記回転軸に対してそれぞれ垂直に下ろされた一対の直線によって形成される角度をαとし、前記円筒部の軸方向端部に設けられた前記取付穴群の数をNとした場合、
関係式β<α/Nが成り立つ請求項1または2に記載の回転電機のステータ。
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