JP5639029B2 - 癌及び乾癬等の血管依存性疾患を処置するための医薬の製造における2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の使用 - Google Patents
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Description
2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の抗増殖能を示す試験
この生体外の検討はラットのグリオミック細胞(C6系)を用いた、異なる3つの3重の実験において行った。該細胞は、DMEM Dulbecco改変Eagle培地(Gibco,Paisley UK)、7.5%の胎児血清(Gibco)10単位/mlのペニシリン(Gibco)及び10μg/mlのストレプトマイシン(Gibco)よりなる培地中で培養した。培養は湿潤雰囲気中で37℃に維持した。細胞増殖に対する2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の作用を評価するために、ウェル当たり2×104個のC6細胞を24ウェル(直径15mm)プレートに播種した。実験培養物は該化合物(2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のカルシウム又はカリウム塩)の種々のマイクロモル濃度(μM)により48時間処理した。対照の培養物は、該化合物を添加することなしに48時間存続した。培養物の写真は倒立顕微鏡を用い48時間後に撮影し、次に培養物をクリスタルバイオレット(Merk Farma y Quimica SA.Mollet del Valles,Barcelona)により着色し、及びスペクトル測光法を用い、ウェル当たりの細胞数を測定した。図1に示すように、種々の濃度の該化合物による処理は細胞増殖の用量依存的抑制を示し、濃度100μMの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のカルシウム塩により88%抑制される(A)。同濃度の2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のカリウム塩により74%抑制された(B)。IC50はカルシウム塩について25μM付近及びカリウム塩について40から50μMの間である。図1Aと図1Bを比較すると、該化合物のカルシウム塩による処理後と同じパーセントの細胞増殖を抑制することが観察され、同じ効果を得るためには2倍濃度のカリウム塩が必要である。このことは該化合物のカルシウム塩が水溶液中で塩から分離する2個の活性原理分子(2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸)を含有するという事実による。図2は、処理を行わない48時間後のC6細胞の培養物の画像(A)、濃度50μMの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のカルシウム塩により48時間処理したC6細胞の培養物に相当する別の画像(B)、及び3番目は濃度100μMの該酸のカリウム塩により48時間処理したC6細胞の培養物に相当する画像(C)を示す。この検討は該化合物による処理が新生物細胞における増殖を抑制することを示し、マイトジェン因子により生体外で刺激された正常な血管平滑筋細胞において観察される該化合物の抗増殖作用を裏付ける(Pares−Herbute Nら Int J Angiol 8:S5〜S10,1999)。2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の抗増殖活性が細胞毒性又はアポトーシス促進作用のいずれにより媒介されるかを識別するために、本発明者等は以下の例において詳述する、種々の実験を行った。
2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のアポトーシス促進能を示す試験
この分析は例1に記載された操作に従いC6細胞を用いて行った。分析した化合物のアポトーシス促進作用を示すために、本発明者等はDNAの細胞内分解及びin situのアポトーシス核を検出する2つの異なる方法を用いた。
ヒストンに関連するDNA断片を定量する酵素免疫測定法は、アポトーシスの発現を測定するのに適していると考えることができる(Aragane Yら J Cell Biol 1998;140:171〜182)。この方法は、壊死においては細胞質膜が分解し、培養媒体中にDNAが出現するのに対し、アポトーシスでは細胞膜が無傷で残るため分解されたDNAが細胞内に残ることから、壊死による死とアポトーシスによる死を区別することができる(Aragane Yら J Cell Biol 140:171〜182,1998)。
3つの独立した実験を3回繰り返した。対照の培養物からのC6細胞及び(それぞれ50μM及び100μMのカルシウム及びカリウム塩)により24時間処理した培養物からのC6細胞をガラススライドに付着させ、4%のパラホルムアルデヒドの緩衝溶液(pH7.4)により実験室の温度で1時間固定し、その後細胞を洗浄し、0.1%のトリトンX−100溶液により透過性とした。次にTUNEL法[(末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)−媒介dUTPニック及びラベリング(Gavrieli Y,Sherman Y,Bensasson SA.J Cell Biol 119:493〜501,1992))を適用する前に細胞を洗浄した。アポトーシス核のin situ検出のためのキット(In situ Cell Death Detection Kit Boehringer Mannheim,Mannheim,Germany)を使用した。該方法の種々の段階はキットの製造元の指示に従った。最終的に細胞を緑色光(green light)により染色した(Fluka,AG,Switzerland)。TUNEL反応はアポトーシス核においてのみ起こる。
処理細胞の総数は該化合物の抗増殖作用により対照細胞の総数より少ない。
化学療法の増強作用における2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の能力を示す試験
本発明者等はこの検討のために、例1に記載の条件と同じ条件で生体外で培養したC6細胞を用いた。ウェル当たり1×103個のC6細胞を24ウェルプレートで培養した。3タイプの処理を行った:a)播種後24時間、細胞を以下の医薬;シスプラチン(5μg/ml)、ビンクリスチン(0.1μg/ml)、パクリタキセル(5μg/ml)及び5−フルオロウラシル(100μg/ml)の1つでそれぞれ処理する;b)播種後24時間、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸(カリウム塩、100μM)及び以下の医薬;シスプラチン(5μg/ml)、ビンクリスチン(0.1μg/ml)、パクリタキセル(5μg/ml)及び5−フルオロウラシル(100μg/ml)の1つで一緒に処理する;c)播種時(0日)に、細胞を2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸(カリウム塩、100μM)により前処理した。翌日、培養物を以下の医薬;シスプラチン(5μg/ml)、ビンクリスチン(0.1μg/ml)、パクリタキセル(5μg/ml)及び5−フルオロウラシル(100μg/ml)の1つによってさらに処理した。対照の培養物は2日間の処理を施さなかった。48時間(2日)後、例1に使用された細胞と同一の形態の細胞をすべての培養物において評価した。この検討は3重の独立した実験において3回繰り返した。
2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の抗移動能を示す試験
分析は3つの異なる3重の実験において行った。細胞移動の抑制についての2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の能力を評価するために、20mmのプレートにおいて生体外で培養した2×105個のC6細胞を用いた。対照の培養物に対し及び100μMの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のカリウム塩を用いて処理した培養物において無菌マイクロピペットを用い、長手方向に傷害した(0日)。蛍光顕微鏡(luminaous microscope)に接続した写真システムを用いてデジタル写真を撮影し、傷害領域をコンピュータ形態プログラム(Moticam.Motic.Barcelona)を用いて画定した。24時間後再度写真を撮影し、傷害の境界を最初の2枚の写真(0日)とそれらの24時間後に得られた写真とを重ねて記録し、細胞の移動により被覆された傷害領域のパーセントを計算した。これらの値を処理により得られた再生のパーセントとして表した。図6は対照実験(A)及び細胞を本発明の対象である化合物により24時間処理した他の実験(B)の代表例を示す。この図において観察されるように、非処理細胞は傷害を完全に再生する(図6A)が、該化合物により処理した細胞は移動して傷害のすべての領域を被覆することができない(図6B)。すべての実験のパーセントデータを示す図7は、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸が腫瘍細胞の移動を64%まで抑制することを示す。
2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の抗血管再生能を示す試験
この分析のために、本発明者等は生体内の抗血管再生物質の活性試験用に胎児の絨毛尿膜を用いた(Zilberberg L.ら J Biol Chem 2003;278:35564〜35573)。本発明者等は線維芽細胞成長因子(bFGF)の基本的形態である、血管再生促進化合物を用いた(Meghna Uら Blood 2003;102:2108〜2114)。
乾癬性傷害における試験
本発明者等はこの検討のために、皮膚疾患の局所的処置として通常の手段であるこの型の製剤用のクリーム中に2.5及び5%で処方した2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のカリウム塩を用いた。2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の塩の選択された濃度は、糖尿病性網膜症の処置に用いる濃度範囲内:1日当たり6錠の500mgの2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カルシウム塩である(Benakis Aら Therapie 1974;29:211〜219)。本発明者等はクリームの水相として蒸留水を用いた。脂肪相はセチルアルコール、ステアリックアルコール又はワセリンにより構成することができる。スパンはクリームの調製において効果的な乳化剤である。製品の両方の製剤(2.5及び5%)は臨床的に効果的であることを示すが、最も大きい治療上の利点は5%の濃度により得られる。したがって、本発明者等はクリーム中に5%で処方された該酸により得られた結果を示す。以下の例は乾癬の局所的処置のための効果的なクリームを示すが、この例によって本発明の範囲を限定するものではない。
I.活性部分(5.6%の2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のカリウム塩)、
II.不活性部分(賦形剤としてセチルアルコール(2.5%)、ステアリルアルコール(2.5%)、液体ワセリン(30%)、白色ソフトパラフィン(20%)、ソルビタンオレアート(5%)及び蒸留水(c.s.p.100g))。
Claims (4)
- 2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその薬学上許容されるいずれかの塩を含有する、血管新生の局所的抑制のための局所的医薬組成物。
- 薬学上許容される塩が、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のカリウム塩であることを特徴とする、請求項1に記載の局所的医薬組成物。
- 薬学上許容される塩が、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のカルシウム塩であることを特徴とする、請求項1に記載の局所的医薬組成物。
- 適切な量の少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の局所的医薬組成物。
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