JP5630087B2 - 車両挙動制御装置及びその方法 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、車両挙動制御により車両挙動が安定せず、オーバーシュートしてしまうのを抑制することである。
これにより、車両挙動制御により車両挙動が安定せず、オーバーシュートしてしまうのを抑制できる。
(構成)
本実施形態は、車両挙動制御装置である。
図1は、車両に搭載された車両挙動制御装置の構成を示す。
図1に示すように、車両挙動制御装置は、車輪速センサ1FL、1FR、1RL、1RR、操舵角センサ2、VDC(Vehicle Dynamics Control)コントローラ3、及び車両制御コントローラ10を有する。
操舵角センサ2は、ステアリングホイール101の操舵角を検出する。操舵角センサ2は、その検出信号を車両制御コントローラ10に出力する。
図2に示すように、車両制御コントローラ10は、信号処理部11、操舵角比例目標ヨーレイト算出部12、推定ヨーレイト算出部13、ヨーレイト偏差算出部14、ヨーレイト偏差変化量算出部15、目標ヨーモーメント算出部16、及びブレーキ液圧算出部17を有する。
以上のような車両制御コントローラ10の各構成部をさらに詳述する。
図3に示すように、信号処理部11は、加算部21、乗算部22、及びローパスフィルタ(LPF)23を有する。
加算部21は、従動輪100RL、100RRの車輪速センサ1RL、1RRの検出信号を加算し、その加算値を乗算部22に出力する。乗算部22は、入力された加算値に0.5を乗じて、その乗算値をローパスフィルタ23に出力する。ローパスフィルタ23は、入力された乗算値に対して、ノイズ除去のために予め設定されたカットオフ周波数でノイズ除去を行う。
γref=v/(1+A・v2)・δ/(N・L)
A=m/(2・l2)・((lf・Kf−lr・Kr)/(Kf・Kr))
Kf=Cf/2
Kr=Cr/2
・・・(1)
推定ヨーレイト算出部13は、下記(2)式を基に、推定ヨーレイト(ヨーレイト推定値)γestを算出する。
a12=(lf・Cf+lr・Cr)/(m・v2)−1
a21=(lf・Cf+lr・Cr)/I
a22=(lf 2・Cf+lr 2・Cr)/(I・v)
b1=−Cf/(m・v)
b2=−lf・Cf/I
・・・(2)
ここで、Iはヨー慣性モーメントである。
なお、推定ヨーレイトではなく、実ヨーレイトを用いることもできる。
図4に示すように、ヨーレイト偏差算出部14は減算部31を有する。減算部31は、操舵角比例目標ヨーレイトγrefから推定ヨーレイトγestを減算する。
このように、ヨーレイト偏差算出部14は、操舵角比例目標ヨーレイトγrefから推定ヨーレイトγestを減算してヨーレイト偏差△γ(=γref−γest)を算出する。そして、ヨーレイト偏差算出部14は、算出したヨーレイト偏差△γをヨーレイト偏差変化量算出部15に出力する。
図5に示すように、ヨーレイト偏差変化量算出部15は、予め設定した時間(例えば50msec)前のヨーレイト偏差△γ(前回値)と現在のヨーレイト偏差△γ(現在値)との差分値を算出する。ヨーレイト偏差変化量算出部15は、そのような時間間隔で発生した差分値をヨーレイト偏差変化量d/dt(△γ)とする。そして、ヨーレイト偏差変化量算出部15は、算出したヨーレイト偏差変化量d/dt(△γ)を目標ヨーモーメント算出部16に出力する。
目標ヨーモーメント算出部16は、入力されたヨーレイト偏差変化量を基に、目標ヨーモーメントを算出する。具体的には、目標ヨーモーメント算出部16は、ヨーレイト偏差変化量d/dt(△γ)が正値の場合、すなわち偏差が増加傾向にある場合、自車両の回頭側(操舵側)にヨーモーメントを付与するための第1目標ヨーモーメントを算出する。また、目標ヨーモーメント算出部16は、ヨーレイト偏差変化量d/dt(△γ)が零の場合、すなわち偏差が一定になっている場合、ヨーモーメントを付与するのを休止するために目標ヨーモーメントを零にする。そして、目標ヨーモーメント算出部16は、ヨーレイト偏差変化量d/dt(△γ)が負値の場合、すなわち偏差が減少傾向にある場合、自車両の復元側(操舵方向とは反対側)にヨーモーメントを付与するための第2目標ヨーモーメントを算出する。
図6は、その大きさを算出するための目標ヨーモーメント算出部16の構成例を示す。
図6に示すように、目標ヨーモーメント算出部16は乗算部41を有する。目標ヨーモーメント算出部16は、この乗算部41により、予め設定した所定のゲインKをヨーレイト偏差変化量d/dt(△γ)に乗じて目標ヨーモーメント(第1目標ヨーモーメント又は第2目標ヨーモーメント)を算出する。
図7に示すように、目標ヨーモーメント算出部16は、第1目標ヨーモーメントの積分値ΣMt1が小さくかつ休止帯時間tが小さい(短い)場合、第2ゲインK2を第1ゲインK1よりも小さい値に設定する(K1>K2)。例えば、第1目標ヨーモーメントの積分値ΣMt1が小さい場合とは、積分値ΣMt1の大きさの判定のために予め設定したしきい値よりも小さい場合である。また、休止帯時間tが小さい場合とは、休止帯時間tの大きさの判定のために予め設定したしきい値よりも小さい場合である。
また、目標ヨーモーメント算出部16は、第1目標ヨーモーメントの積分値ΣMt1が大きくかつ休止帯時間tが小さい場合、第2ゲインK2を第1ゲインK1よりも大きい値に設定する(K1<K2)。
図8を用いて、車両挙動制御装置の動作を説明する。
図8(a)は操舵角センサ値(操舵角センサ3の検出値)、図8(b)はヨーレイト(操舵角比例目標ヨーレイト、推定ヨーレイト)、図8(c)はヨーレイト偏差、図8(d)はヨーレイト偏差変化量、図8(e)は目標ヨーモーメントの時間変化を示す。
例えば、図8に示す結果は、ある車速(例えば60km/h)で運転者がステアリングホイール101を操作したようなときに得られる結果である。
(1)目標ヨーレイト算出手段は、運転者の操舵操作に車両挙動を追従させるための自車両の目標ヨーレイトを算出する。また、ヨーレイト推定手段は、自車両のヨーレイトを推定する。また、ヨーレイト偏差手段は、目標ヨーレイト算出手段が算出した目標ヨーレイトとヨーレイト推定手段が推定した推定ヨーレイトとの偏差を算出する。
そして、目標ヨーモーメント算出手段は、偏差の変化の推移に応じて、第1目標ヨーモーメント、第1目標ヨーモーメントよりも小さい付与抑制目標ヨーモーメント、及び第1目標ヨーモーメントとはヨーモーメントの方向が反対方向となる第2目標ヨーモーメントの順序で目標ヨーモーメントを算出する。
その結果、車両挙動制御装置は、車両挙動制御により車両挙動が安定せず、オーバーシュートしてしまうのを抑制できる。さらに、車両挙動制御装置は、自車両のヨーレイト変化量を滑らかに繋げて、制御のリニアリティを向上させることができる。
これにより、車両挙動制御装置は、操舵初期、操舵中期及び操舵終期等の操舵状態に応じた適切な目標ヨーモーメントを算出することができる。
これにより、車両挙動制御装置は、第2目標ヨーモーメントの大きさを車両挙動のオーバーシュートの抑制等に適切な値にできる。
(1)第1の実施形態の変形例として、休止帯時間におけるヨーモーメントを抑制するための付与抑制目標ヨーモーメントの値を零以外の値にすることもできる。例えば、第1目標ヨーモーメントを予め設定された減少割合で零に向かうように減少させた値にすることもできる。例えば、これにより、第1目標ヨーモーメントによるヨーモーメントと第2目標ヨーモーメントによるヨーモーメントとを連続的に繋げることが可能になる。
第2の実施形態では、駆動力を制御することで自車両にヨーモーメントを発生させている。
図9は、第2の実施形態の車両挙動制御装置の構成を示す。
図9に示すように、車両挙動制御装置は、さらにエンジンコントローラ(ENGコントローラ)51を有する。
エンジンコントローラ51は、車両制御コントローラ10とCAN等の通信手段により情報の送受信を行う。第2の実施形態では、車両制御コントローラ10は、エンジントルクの差分量をエンジンコントローラ51に送信する。
図10に示すように、車両制御コントローラ10は、さらにヨーモーメント分配部61及びエンジントルク差分量算出部62を有する。さらに、車両制御コントローラ10では、目標ヨーモーメント算出部16は、ヨーレイト偏差変化量及びヨーレイト偏差を基に目標ヨーモーメントを算出する。ここで、第2の実施形態では、後述のように駆動力の指令も行うため、目標ヨーモーメントには方向がある。そのため、マイナス側への出力を決定できるようにするために、ヨーレイト偏差を基に、目標ヨーモーメントを算出している。目標ヨーモーメント算出部16は、算出した目標ヨーモーメントをヨーモーメント分配部61に出力する。
図11に示すように、先ずステップS1において、ヨーモーメント分配部61は、ヨーレイト偏差が零よりも大きいか否かを判定する。ヨーモーメント分配部61は、ヨーレイト偏差が零よりも大きいと判定すると(ヨーレイト偏差>0)、ステップS2に進む。また、ヨーモーメント分配部61は、それ以外であると判定すると(ヨーレイト偏差≦0)、ステップS3に進む。
ヨーモーメント分配部61は、以上のようにして目標駆動ヨーモーメント及び目標ブレーキヨーモーメントを算出する。
エンジントルク差分量算出部62は、目標駆動ヨーモーメントを基にエンジントルク差分量を算出する。
図12に示すように、エンジントルク差分量算出部62は、絶対値演算器71及び乗算部72を有する。絶対値演算器71は、入力された目標駆動ヨーモーメントの絶対値を乗算部72に出力する。乗算部72は、その絶対値にゲインG(<0)を乗じたものをエンジントルク差分量としている。
エンジンコントローラ51は、運転者のアクセル操作に応じたアクセル開度等から算出したエンジントルク指令値(現在エンジントルク指令値)にエンジントルク差分量(負値)を加える。このとき、エンジントルク差分量は、エンジントルク指令値に対して、その値を低下させるように作用するものとなる。
図13を用いて、車両挙動制御装置の動作を説明する。
図13(a)は操舵角センサ値(操舵角センサ2の検出値)、図13(b)はヨーレイト(操舵角比例目標ヨーレイト、推定ヨーレイト)、図13(c)はヨーレイト偏差、図7(d)はヨーレイト偏差変化量、図13(e)は目標ヨーモーメント、図13(f)は目標駆動ヨーモーメント、図13(g)は目標ブレーキヨーモーメントの時間変化を示す。
(1)ヨーモーメント付与手段は、駆動力制御又は制動力制御により自車両にヨーモーメントを付与している。そして、ヨーモーメント付与手段は、第1目標ヨーモーメントの場合、駆動力制御及び制動力制御の何れか一方により自車両にヨーモーメントを付与し、第2目標ヨーモーメントの場合、駆動力制御及び制動力制御の何れか他方により自車両にヨーモーメントを付与する。
(1)第2の実施形態の変形例として、場合によっては、操舵初期に制動制御により自車両にヨーモーメントを付与し、操舵後期に駆動制御により自車両にヨーモーメントを付与することもできる。すなわち、第1目標ヨーモーメントの場合、制動力制御により自車両にヨーモーメントを付与し、第2目標ヨーモーメントの場合、駆動力制御により自車両にヨーモーメントを付与することもできる。
Claims (6)
- 運転者の操舵操作に車両挙動を追従させるための自車両の目標ヨーレイトを算出する目標ヨーレイト算出手段と、
自車両のヨーレイトを推定するヨーレイト推定手段と、
前記目標ヨーレイト算出手段が算出した目標ヨーレイトと前記ヨーレイト推定手段が推定した推定ヨーレイトとの偏差を算出するヨーレイト偏差手段と、
前記ヨーレイト偏差手段が算出した偏差の変化を基に、自車両にヨーモーメントを付与するための目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、
前記目標ヨーモーメント算出手段が算出した目標ヨーモーメントを基に、前記ヨーモーメントを付与するヨーモーメント付与手段と、を備え、
前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記偏差の微分値に第1ゲインを乗じて算出される第1目標ヨーモーメント、零である或いは第1目標ヨーモーメントを予め設定された減少割合で零に向かうように減少する値である付与抑制目標ヨーモーメント、及び前記偏差の微分値に第2ゲインを乗じて算出され且つ前記第1目標ヨーモーメントとはヨーモーメントの方向が反対方向となる第2目標ヨーモーメントのいずれかを前記目標ヨーモーメントとして算出するものであり、
前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記偏差の微分値が正であると、前記第1目標ヨーモーメントを算出し、前記偏差の微分値が零であると、前記付与抑制目標ヨーモーメントを算出し、前記偏差の微分値が負であると、前記第2目標ヨーモーメントを算出することを特徴とする車両挙動制御装置。 - 前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記第1目標ヨーモーメント及び前記付与抑制目標ヨーモーメントの大きさを基に、前記第2ゲインを設定することを特徴とする請求項1に記載の車両挙動制御装置。
- 前記付与抑制目標ヨーモーメントは零であり、
前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記第1目標ヨーモーメントの大きさ及び前記目標ヨーモーメントが零である前記付与抑制目標ヨーモーメントとなっている時間を基に、前記第2ゲインを設定することを特徴とする請求項1に記載の車両挙動制御装置。 - 前記目標ヨーモーメント算出手段は、
前記第1目標ヨーモーメントの積分値が予め設定したしきい値よりも小さくかつ前記付与抑制目標ヨーモーメントとなっている時間である休止帯時間が予め設定したしきい値よりも短い場合、第2ゲインを第1ゲインよりも小さい値に設定し、
前記積分値が予め設定したしきい値よりも小さくかつ前記休止帯時間が予め設定したしきい値よりも長い場合、第2ゲインを第1ゲインよりも大きい値に設定し、
前記積分値が予め設定したしきい値よりも大きくかつ前記休止帯時間が予め設定したしきい値よりも短い場合、第2ゲインを第1ゲインよりも大きい値に設定し、
前記積分値が予め設定したしきい値よりも大きくかつ前記休止帯時間が予め設定したしきい値よりも長い場合、第2ゲインを第1ゲインよりも大きい値に設定することを特徴とする請求項3に記載の車両挙動制御装置。 - 前記ヨーモーメント付与手段は、駆動力制御又は制動力制御により自車両にヨーモーメントを付与しており、
前記ヨーモーメント付与手段は、前記第1目標ヨーモーメントの場合、前記駆動力制御及び制動力制御の何れか一方により自車両にヨーモーメントを付与し、前記第2目標ヨーモーメントの場合、前記駆動力制御及び制動力制御の何れか他方により自車両にヨーモーメントを付与することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両挙動制御装置。 - 運転者の操舵操作に車両挙動を追従させるための自車両の目標ヨーレイトを算出するとともに自車両のヨーレイトを推定し、
前記目標ヨーレイトと推定したヨーレイトとの偏差の変化を基に、自車両にヨーモーメントを付与するための目標ヨーモーメントを算出し、
前記目標ヨーモーメントを基に、自車両にヨーモーメントを付与しており、
前記目標ヨーモーメントは、前記偏差の微分値に第1ゲインを乗じて算出される第1目標ヨーモーメント、零である或いは第1目標ヨーモーメントを予め設定された減少割合で零に向かうように減少する値である付与抑制目標ヨーモーメント、及び前記偏差の微分値に第2ゲインを乗じて算出され且つ前記第1目標ヨーモーメントとはヨーモーメントの方向が反対方向となる第2目標ヨーモーメントのいずれかであって、前記偏差の微分値が正であると、前記第1目標ヨーモーメントを算出し、前記偏差の微分値が零であると、前記付与抑制目標ヨーモーメントを算出し、前記偏差の微分値が負であると、前記第2目標ヨーモーメントを算出することを特徴とする車両挙動制御方法。
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