JP5619528B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
近年では、軽量化や、成形の容易さ、リサイクルのしやすさから、樹脂材料、特に熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなどをタイヤ材料として用いることが検討されている。
例えば、特許文献1および特許文献2には、熱可塑性の高分子材料を用いて成形された空気入りタイヤが開示されている。
本発明のタイヤは、前記補強コード層が樹脂材料を含むように構成することができる。このように、補強コード層に樹脂材料が含まれていると、補強コード部材をクッションゴムで固定する場合と比してタイヤと補強コード層との硬さの差を小さくできるため、更に補強コード部材をタイヤ骨格体に密着・固定することができる。これにより、上述のエア入りを効果的に防止することができ、走行時に補強コード部材が動くのを効果的に抑制することができる。更に、補強コード部材がスチールコードの場合、タイヤ処分時に補強コード部材をクッションゴムから分離しようとすると、加硫ゴムは加熱だけでは補強コード部材と分離させるのが難しいのに対し、樹脂材料は加熱のみで補強コード部材と分離することが可能である。このため、タイヤのリサイクル性の点で有利である。また、樹脂材料は通常加硫ゴムに比して損失係数(Tanδ)が低い。このため、補強コード層が樹脂材料を多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
ここで、単に「樹脂」と表現した場合、「樹脂」とは、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)および熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。
前記補強コード層に樹脂材料を含めた場合、補強コードの引き抜き性(引き抜かれにくさ)を高める観点から、前記補強コード部材はその表面が20%以上樹脂材料に覆われていることが好ましく、50%以上覆われていることが更に好ましい。また、前記補強コード層中の樹脂材料の含有量は、補強コードを除いた補強コード層を構成する材料の総量に対して、補強コードの引き抜き性を高める観点から、20質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
(4)本発明のタイヤは、前記タイヤ骨格体が、外周面に粒子状の投射材を衝突させて当該外周面を粗化処理されており、前記タイヤ骨格体の粗化処理された外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材が積層されるように構成することができる。
(5)本発明のタイヤは、前記被覆補強コード部材の前記タイヤ骨格体の上面に設置した際の断面形状は、前記断面形状のタイヤ径方向外側の辺がタイヤ径方向内側の辺と同等又は前記タイヤ径方向外側の辺が前記タイヤ径方向内側の辺よりも短いように構成することができる。
このように、前記分割体の接合面を、タイヤ骨格片を構成する熱可塑性樹脂材料の融点若しくは軟化点以上に加熱すると、タイヤ骨格片同士の融着を十分に行うことができるため、タイヤの耐久性を向上させつつ、タイヤの生産性を高めることができる。
本発明のタイヤは、少なくともポリウレタン系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料で形成された環状のタイヤ骨格体を有する。
前記ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、少なくともポリウレタンが物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているハードセグメントを構成し、他のポリマーが非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している材料を意味し、例えば、JIS K6418:2007に規定されるポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)が挙げられる。
[前記式中、Pは、長鎖脂肪族ポリエーテルまたは長鎖脂肪族ポリエステルを表す。Rは、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素を表す。P’は、短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、または、芳香族炭化水素を表す。]
これらは単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
また、前記Rで表される脂環族炭化水素を含むジイソシアネート化合物としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネートおよび4,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。更に、前記Rで表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジイソシアネート化合物としては例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートが挙げられる。
これらは単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
また、前記P’で表される脂環族炭化水素を含む脂環族ジオール化合物としては、例えば、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、およびシクロヘキサン−1,4−ジメタノール等が挙げられる。
更に、前記P’で表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジオール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリン、および2,6−ジヒドロキシナフタリン等が挙げられる。
これらは単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
本発明のタイヤは、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料を用いるため、85℃〜200℃の温度範囲で融着された骨格体であってもタイヤ骨格片同士の接着強度が十分である。このため、本発明のタイヤは耐パンク性や耐摩耗性など走行時における耐久性に優れる。尚、前記加熱温度は、タイヤ骨格片を形成するポリウレタン系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料の融点もしくは軟化点よりも10〜150℃高い温度が好ましく、10℃〜100℃高い温度が更に好ましい。
本発明のタイヤは、補強コード層に樹脂材料を含めて構成することができる。このように、補強コード層に樹脂材料が含まれていると、補強コードをクッションゴムで固定する場合と比して、タイヤと補強コード層との硬さの差を小さくできるため、更に補強コード部材をタイヤ骨格体に密着・固定することができる。上述のように単に「樹脂」と表現した場合、「樹脂」とは、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)および熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。
更に、補強コード部材がスチールコードの場合、タイヤ処分時に補強コードをクッションゴムから分離しようとすると、加硫ゴムは加熱だけでは補強コードと分離させるのが難しいのに対し、樹脂材料は加熱のみで補強コードと分離することが可能である。このため、タイヤのリサイクル性の点で有利である。また、樹脂材料は通常加硫ゴムに比して損失係数(Tanδ)が低い。このため、補強コード層が樹脂材料を多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、加硫ゴムに比して相対的に弾性率の高い樹脂材料は、面内せん断剛性が大きく、タイヤ走行時の操安性や耐摩耗性にも優れるといった利点がある。本発明のタイヤにおいては、補強コード部材として被覆補強コード部材を有する。前記被覆補強コード部材はコード部材に前記タイヤ骨格体を形成する前記熱可塑性樹脂材料とは別体である被覆用樹脂材料が被覆される。
また、樹脂材料の同種とは、エステル系同士、スチレン系同士などの形態を指す。
尚、前記補強コード層が補強コード部材の少なくとも一部が埋設されるようにして構成される場合、前記補強コード層に含まれる前記樹脂材料は主として前記タイヤ骨格体のコード埋設部周辺の熱可塑性樹脂材料(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)がこれに該当するが、他の樹脂を更に被覆する態様であってもよい。また、前記補強コード層が、樹脂材料を被覆した補強コードによって構成される場合には、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーに対して熱等による融着性の高い前記樹脂材料を選択することが好ましい。このようにポリウレタン系熱可塑性エラストマーと(熱)融着性の高い樹脂材料としては、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン/共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン/共重合体)、PMMA樹脂(ポリメタクリル酸メチル)、PC樹脂(ポリカーボネート)、PBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート)エチレン系共重合体(エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニル酢酸共重合体)等が挙げられる。
また、前記補強コード層に樹脂材料を含めた場合、補強コードの引き抜き性(引き抜かれにくさ)を高める観点から、前記補強コード部材はその表面が20%以上樹脂材料に覆われていることが好ましく、50%以上覆われていることが更に好ましい。また、前記補強コード層中の樹脂材料の含有量は、補強コードを除いた補強コード層を構成する材料の総量に対して、補強コードの引き抜き性を高める観点から、20質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
以下に、図面に従って第1の実施形態に係るタイヤを説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1(A)は、第1の実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
(タイヤケース成形工程)
まず、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型はタイヤケース半体Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱・加圧されると、前記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本実施形態はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化または溶融させ、接合金型によって加圧してタイヤケース半体を接合させてもよい。
次に、補強コード巻回工程について図3を用いて説明する。図3は、コード加熱装置、およびローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。図3において、コード供給装置56は、補強コード26を巻き付けたリール58と、リール58のコード搬送方向下流側に配置されたコード加熱装置59と、補強コード26の搬送方向下流側に配置された第1のローラ60と、第1のローラ60をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第1のシリンダ装置62と、第1のローラ60の補強コード26の搬送方向下流側に配置される第2のローラ64と、および第2のローラ64をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第2のシリンダ装置66と、を備えている。第2のローラ64は、金属製の冷却用ローラとして利用することができる。また、本実施形態において、第1のローラ60または第2のローラ64の表面は、溶融または軟化したポリウレタン系熱可塑性エラストマーの付着を抑制するためにフッ素樹脂(本実施形態では、テフロン(登録商標))でコーティングされている。なお、本実施形態では、コード供給装置56は、第1のローラ60または第2のローラ64の2つのローラを有する構成としているが、本実施形態はこの構成に限定されず、何れか一方のローラのみ(即ち、ローラ1個)を有している構成でもよい。
本実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17がポリウレタン系熱可塑性エラストマーによって形成されているため、引張強度および破断ひずみに優れ、さらに従来のゴム製のタイヤに比して構造が簡易であるため重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ10は、耐摩擦性および耐久性が高い。
このように補強コード層28が、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを含んで構成されていると、補強コード26をクッションゴムで固定する場合と比してタイヤケース17と補強コード層28との硬さの差を小さくできるため、更に補強コード26をタイヤケース17に密着・固定することができる。これにより、上述のエア入りを効果的に防止することができ、走行時に補強コード部材が動くのを効果的に抑制することができる。
更に、補強コード26がスチールコードの場合に、タイヤ処分時に補強コード26を加熱によってポリウレタン系熱可塑性エラストマーから容易に分離・回収が可能であるため、タイヤ10のリサイクル性の点で有利である。また、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに比して損失係数(Tanδ)が低いため、補強コード層28がポリウレタン系熱可塑性エラストマーを多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
さらに、ビード部12には、金属材料からなる環状のビードコア18が埋設されていることから、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リム20に対してタイヤケース17、すなわちタイヤ10が強固に保持される。
以上、第1実施形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
次に、図面に従って本発明のタイヤの製造方法およびタイヤの第2実施形態について説明する。本実施形態のタイヤは、上述の第1実施形態と同様に、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。このため、以下の図において、前記第1実施形態と同様の構成については同様の番号が付される。図4(A)は、第2実施形態のタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面図であり、図4(B)は第2実施形態のタイヤにリムを嵌合させた状態のビード部のタイヤ幅方向に沿った断面の拡大図である。また、図5は、第2実施形態のタイヤの補強層の周囲を示すタイヤ幅方向に沿った断面図である。
(骨格形成工程)
まず、上述の第1実施形態と同様にして、タイヤケース半体17Aを形成し、これを接合金型によって加熱・押圧し、タイヤケース17を形成する。
本実施形態におけるタイヤの製造装置は、上述の第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態の図3に示すコード供給装置56において、リール58にコード部材26Aを被覆用樹脂材料27(本実施形態では熱可塑性材料)で被覆した断面形状が略台形状の被覆コード部材26Bを巻き付けたものが用いられる。
次に、図示を省略するブラスト装置にて、タイヤケース17の外周面17Sに向け、タイヤケース17側を回転させながら、外周面17Sへ投射材を高速度で射出する。射出された投射材は、外周面17Sに衝突し、この外周面17Sに算術平均粗さRaが0.05mm以上となる微細な粗化凹凸を形成する。
このようにして、タイヤケース17の外周面17Sに微細な粗化凹凸が形成されることで、外周面17Sが親水性となり、後述する接合剤の濡れ性が向上する。
次に、粗化処理を行なったタイヤケース17の外周面17Sに接合剤を塗布する。
なお、接合剤としては、トリアジンチオール系接着剤、塩化ゴム系接着剤、フェノール系樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤、ゴム系接着剤など、特に制限はないが、クッションゴム29が加硫できる温度(90℃〜140℃)で反応することが好ましい。
次に生タイヤケースを加硫缶やモールドに収容して加硫する。このとき、粗化処理によってタイヤケース17の外周面17Sに形成された粗化凹凸96に未加硫のクッションゴム29が流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸96に流れ込んだクッションゴム29により、アンカー効果が発揮されて、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度が向上する。すなわち、クッションゴム29を介してタイヤケース17とトレッド30との接合強度が向上する。
本実施形態のタイヤ200では、タイヤケース17がポリウレタン系熱可塑性エラストマーによって形成されているため、引張強度および破断ひずみに優れ、さらに従来のゴム製のタイヤに比して構造が簡易であるため重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ200は、耐摩擦性および耐久性が高い。また、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは被覆コード部材26Bに対する接着性(固定性能)が極めて高い。
更に、補強コード26Aがスチールコードの場合に、タイヤ処分時に被覆コード部材26Bからコード部材26Aを加熱によって容易に分離・回収が可能であるため、タイヤ200のリサイクル性の点で有利である。また、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに比して損失係数(Tanδ)が低いため、補強コード層28がポリウレタン系熱可塑性エラストマーを多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
また、タイヤケース17は、タイヤケースのクラウン部に巻回され且つ接合された被覆コード部材を被覆用熱可塑性材料で覆うようにして補強コード層を形成してもよい。この場合、溶融または軟化状態の被覆用熱可塑性材料を補強コード層28の上に吐出して被覆層を形成することができる。また、押出機を用いずに、溶着シートを加熱し溶融または軟化状態にして、補強コード層28の表面(外周面)に貼り付けて被覆層を形成してもよい。
また、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、被覆コード部材26Bを加熱せずに接着剤などを用いてクラウン部16の外周面に接着する構成としてもよい。
さらに、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、タイヤケース17を熱可塑性樹脂材料で形成する構成としてもよい。この場合には、被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の被覆コード部材26Bが配設される部位を加熱して溶融または軟化状態にして被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に溶着してもよい。
またさらに、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱可塑性材料とし、タイヤケース17を熱可塑性樹脂材料で形成する構成としてもよい。この場合には、被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の被覆コード部材26Bが配設される部位を加熱して溶融または軟化状態としつつ、被覆用樹脂材料27を加熱し溶融または軟化状態にして被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に溶着してもよい。なお、タイヤケース17および被覆コード部材26Bの両者を加熱して溶融または軟化状態にした場合、両者が良く混ざり合うため接合強度が向上する。また、タイヤケース17を形成する樹脂材料、および被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27をともに熱可塑性樹脂材料とする場合には、タイヤケース17を形成する熱可塑性エラストマーに対して熱融着性の高い樹脂材料を選択するのが好ましく、例えば、同種の熱可塑性材料、特に同一の熱可塑性材料とすることが好ましい。
また、さらに粗化処理を行ったタイヤケース17の外周面17Sにコロナ処理やプラズマ処理等を用い、外周面17Sの表面を活性化し、親水性を高めた後に接着剤を塗布してもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
(1−1)第1実施形態のタイヤは、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体の外周部に補強コード部材の少なくとも一部が埋設されるように構成することができる。
このように、補強コード部材の一部がタイヤ骨格体の外周部に埋設していると、補強コード部材巻回時にコード周辺に空気が残る現象(エア入り)を更に抑制することができる。補強コード部材周辺へのエア入りが抑制されると、走行時の入力などによって補強コード部材が動くのが抑制される。これにより、例えば、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材全体を覆うようにタイヤ構成部材が設けられた場合、補強コード部材は動きが抑制されているため、これらの部材間(タイヤ骨格体含む)に剥離などを生じるのが抑制され耐久性が向上する。
このように路面と接触するトレッドを熱可塑性樹脂材料よりも耐摩耗性のある材料で構成することでタイヤの耐摩耗性を更に向上させることができる。
このようにタイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で補強コード部材の直径の1/5以上がタイヤ骨格体の外周部に埋設されていると、補強コード部材周辺へのエア入りを効果的に抑制することができ、走行時の入力などによって補強コード部材が動くのをより抑制することができる。
このように、タイヤ骨格体にリムとの嵌合部位であるビード部を設け、さらに、このビード部に金属材料からなる環状のビードコアを埋設することで、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リムに対して、タイヤ骨格体(すなわちタイヤ)を強固に保持させることができる。
このように、タイヤ骨格体とリムとの接触部分に、熱可塑性樹脂材料よりもシール性の高い材料からなるシール部を設けることで、タイヤ(タイヤ骨格体)とリムとの間の密着性を向上させることができる。これにより、リムと熱可塑性樹脂材料とのみを用いた場合に比較して、タイヤ内の空気漏れを一層抑制することができる。また、前記シール部を設けることでタイヤのリムフィット性も向上させることができる。
このように、前記分割体の接合面を、タイヤ骨格片を構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上に加熱すると、タイヤ骨格片同士の融着を十分に行うことができるため、タイヤの耐久性を向上させつつ、タイヤの生産性を高めることができる。
このように、前記タイヤ骨格体の外周部を溶融または軟化させながら補強コード部材の少なくとも一部を埋設して前記タイヤ骨格体の外周部に前記補強コード部材を巻回することで、埋設された補強コード部材の少なくとも一部と溶融または軟化した熱可塑性樹脂材料とを溶着させることができる。これにより、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視でタイヤ骨格体の外周部と補強コード部材との間のエア入りを更に抑制することができる。また、補強コード部材を埋設した部分が冷却固化されると、タイヤ骨格体に埋設された補強コード部材の固定具合が向上する。
このように、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材を直径の1/5以上埋設すると、製造時の補強コード周辺へのエア入りを効果的に抑制することができ、更に、埋設された補強コード部材がタイヤ骨格体から抜け難くすることができる。
このように、補強コード巻回工程において、補強コード部材を加熱しながらタイヤ骨格体に埋設させると、加熱された補強コード部材がタイヤ骨格体の外周部に接触した際に接触部分が溶融または軟化するため、補強コード部材をタイヤ骨格体の外周部に埋設し易くなる。
このように、タイヤ骨格体の外周部の補強コード部材が埋設される部分を加熱することで、タイヤ骨格体の加熱された部分が溶融または軟化するため、補強コード部材を埋設し易くなる。
このように、補強コード部材を前記タイヤ骨格体の外周部に押圧しながら前記補強コード部材を螺旋状に巻回すると、補強コード部材のタイヤ骨格体の外周部への埋設量を調整することができる。
このように、補強コード部材が埋設された後で、タイヤ骨格体の外周部の溶融または軟化した部分を強制的に冷却することで、タイヤ骨格体の外周部の溶融または軟化した部分を自然冷却よりも早く迅速に冷却固化することができる。タイヤ外周部を自然冷却よりも早く冷却することで、タイヤ骨格体の外周部の変形を抑制できると共に、補強コード部材が動くのを抑制することができる。
(2−1)本発明のタイヤは、前記製造方法において、更に、タイヤ骨格体の外周面に粒子状の投射材を衝突させて、タイヤ骨格体の外周面を粗化処理する粗化処理工程と、粗化処理された前記外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材を積層する積層工程と、を備えて構成することができる。
このように、粗化処理工程を設けると、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料を用いて形成された環状のタイヤ骨格体の外周面に粒子状の投射材が衝突して、当該外周面に微細な粗化凹凸が形成される。なお、タイヤ骨格体の外周面に投射材を衝突させて微細な粗化凹凸を形成する処理を粗化処理という。その後、粗化処理された外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材が積層される。ここで、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材とを一体化するにあたり、タイヤ骨格体の外周面が粗化処理されていることから、アンカー効果により接合性(接着性)が向上する。また、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料が投射材の衝突により掘り起こされることから、外周面の濡れ性が向上する。これにより、タイヤ骨格体の外周面に接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確保することができる。
このように、タイヤ骨格体の外周面の少なくとも一部が凹凸部とされていても、凹凸部に投射材を衝突させることで凹部周囲(凹壁、凹底)の粗化処理がなされ、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確保することができる。
このように、被覆コード部材をタイヤ骨格体の周方向に巻回して構成された補強層でタイヤ骨格体の外周部を構成することで、タイヤ骨格体の周方向剛性を向上させることができる。
このように、被覆コード部材を構成する樹脂材料に熱可塑性を有する熱可塑性材料を用いることで、前記樹脂材料として熱硬化性材料を用いた場合と比べて、タイヤ製造が容易になり、リサイクルしやすくなる。
このように、粗化処理工程において、タイヤ構成ゴム部材の積層領域よりも広い領域に粗化処理を施すと、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確実に確保することができる。
このように、粗化処理工程において算術平均粗さRaが0.05mm以上となるようにタイヤ骨格体の外周面を粗化処理すると、粗化処理された外周面に接合剤を介して、例えば、未加硫または半加硫状態のタイヤ構成ゴム部材を積層し加硫した場合に、粗化処理により形成された粗化凹凸の底まで、タイヤ構成ゴム部材のゴムを流れ込ませることができる。粗化凹凸の底まで、タイヤ構成ゴム部材のゴムを流れ込ませると、外周面とタイヤ構成ゴム部材との間に十分なアンカー効果が発揮されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を向上させることができる。
このように、前記タイヤ構成ゴム部材として未加硫または半加硫状態のゴムを用いると、タイヤ構成ゴム部材を加硫した際に、粗化処理によってタイヤ骨格体の外周面に形成された粗化凹凸にゴムが流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸に流れ込んだゴム(加硫済み)により、アンカー効果が発揮されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を向上させることができる。
このように、粗化処理した環状のタイヤ骨格体を用いると、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度をアンカー効果によって向上させることができる。また、外周面が粗化処理されていることから、接合剤の濡れ性がよい。これにより、タイヤ骨格体の外周面に接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度が確保されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との剥離を抑制することができる。
まず、上述の第2実施形態に従って、実施例および比較例のタイヤを成形した。この際、タイヤケースを形成する材料については下記表1に記載の材料を用いた。また、各実施例および比較例について、材料の物性評価、接合性およびタイヤ性能の評価を下記に従っておこなった。
<引張り特性>
まず、各実施例および比較例について、タイヤケースに用いられている熱可塑性樹脂材料それぞれについて、127mm×12.7mm(長さ×幅)、1.6mm(厚さ)金型にて射出成形によってサンプルを射出成形によって作製した。この際、各実施例のサンプルについては200℃で射出成形を行い、比較例のサンプルについては225℃で射出成形をおこなった。金型温度は、実施例および比較例で50℃〜70℃であった。更に、各サンプルを打ち抜き、JISK6251−1993に規定されるダンベル状試験片(5号形試験片)を作製した。
次いで、島津製作所社製、島津オートグラフAGS−J(5KN)を用いて、引張速度を200mm/minに設定し、試料片の引張弾性率、引張強さおよび破断伸びを測定した。
結果を下記表1に示す。
−タイヤ走行性−
上述の第2実施形態に従って得られた各実施例および比較例のタイヤについて、JIS D4230:1999 (高速性能試験B)に準じて高速性能試験を行った。結果を下記表1に示す。
上述の高速性能試験において、走行前後のタイヤ幅を測定・比較し、変形率(%)を算出した。結果を下表1に示す。
実施例および比較例について、下記に従って、補強コードの引き抜き性を評価した。
また、サンプルからワイヤーの引き抜きは、5mm/minで島津製作所(株)製「AG−5KNK」を用い、引き抜きの際の引抜力(単位:N)を測定した。
結果を下記表1に示す。
※表1における略称は下記を意味する。
・TPU1:ポリウレタン系熱可塑性エラストマー
(BASF社製、エラストラン、ET680(エステル系))
・TPA:ポリアミド系熱可塑性エラストマー
(宇部興産社製、UBESTA、XPA9055X1)
また、表1の引き抜き性の評価の結果からも明らかなように、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを用いた実施例のタイヤケースは、比較例に比して補強コードに対する引き抜き性が大幅に向上していることが分かる。
12 ビード部
16 クラウン部(外周部)
18 ビードコア
20 リム
21 ビードシート
22 リムフランジ
17 タイヤケース(タイヤ骨格体)
24 シール層(シール部)
26 補強コード(補強コード部材)
26A コード部材(補強コード部材)
28 補強コード層
30 トレッド
D 補強コードの直径(補強コード部材の直径)
L 補強コードの埋設量(補強コード部材の埋設量)
Claims (5)
- 少なくとも、熱可塑性樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、
前記タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回されて補強コード層を形成する被覆補強コード部材を有し、
前記被覆補強コード部材はコード部材に前記タイヤ骨格体を形成する前記熱可塑性樹脂材料とは別体である被覆用樹脂材料が被覆されており、
前記熱可塑性樹脂材料が、少なくともポリウレタン系熱可塑性エラストマーを含むタイヤ。 - 前記補強コード層の外周面の少なくとも一部が凹凸部であり、前記外周面は粒子状の投射材を衝突させた粗化処理が施されている請求項1に記載のタイヤ。
- 前記熱可塑性樹脂材料中のポリウレタン系熱可塑性エラストマーの含有率が50〜100質量%である請求項1または2に記載のタイヤ。
- 前記タイヤ骨格体は、外周面に粒子状の投射材を衝突させて当該外周面を粗化処理されており、前記タイヤ骨格体の粗化処理された外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材が積層された請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記被覆補強コード部材の前記タイヤ骨格体の上面に設置した際の断面形状は、前記断面形状のタイヤ径方向外側の辺がタイヤ径方向内側の辺と同等又は前記タイヤ径方向外側の辺が前記タイヤ径方向内側の辺よりも短い請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ。
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