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JP5689322B2 - 乳化組成物 - Google Patents

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本発明は、水中油型乳化組成物の技術分野に関する。
メトキシポリエチレングリコールメタクリレートの共重合物は、毛髪固定用高分子として使われることが知られている(特許文献1:特開2002−201116号公報)。
出願人は、化粧水などの粘度がほとんど出ない製品において油性成分を乳化する場合に、界面活性剤を配合しなくても油性成分を乳化できる高分子乳化剤であるポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール、及びポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを含有することを特徴とする高分子乳化剤について、特許出願した(特許文献2:特願2010−171291号)。
その後も高分子乳化剤の技術開発について鋭意研究を継続している。
ところで、HLBの微妙な調整が不要で、極性油の乳化も容易ということでD相乳化法が化粧品のエマルション作製に広く利用されている。
D相乳化法とは、界面活性剤連続相を用いて、O/D(Oil-in-Surfactant)エマルションを作製しておき、その系を希釈することでO/Wエマルションにしていく方法であるが、この方法を利用した乳化方法或いは薬物の分散方法が開発されている(特許文献3:特開平06−279254号公報、特許文献4:特表2003−511235号公報、特許文献5:特表2001−510150号公報、特許文献6:特開昭58−106532号公報、特許文献7:特表平03−502661号公報、特許文献8:特開2005−187355号公報)。
希釈したO/Wエマルションの乳化粒子径は、O/D(Oil-in-Surfactant)エマルションの乳化粒子径が維持されるので、O/D(Oil-in-Surfactant)エマルションの乳化粒子径が微細であるほど希釈したO/Wエマルションの安定性は高まり、結果として希釈したO/Wエマルションの安定性を補うために添加する増粘剤の配合量を減らすことができる。
O/D(Oil-in-Surfactant)エマルションの乳化粒子径をより微細化する技術が求められている。
特開2002−201116号公報 特願2010−171291号 特開平06−279254号公報 特表2003−511235号公報 特表2001−510150号公報 特開昭58−106532号公報 特表平03−502661号公報 特開2005−187355号公報
本発明は、D相乳化法ゲル組成物を用いた化粧料調製において、乳化安定性の向上及び増粘剤の配合量を減少した乳化粒子径の小さな乳化組成物を製造することを課題とする。
本発明は、末端置換基がメチル基であるポリエチレングリコール側鎖構造を有するメタクリル酸系化合物をモノマーとする単独重合体を、ポリグリセリン脂肪酸エステルと共にD相乳化法によりゲル組成物を調製すると、該ゲル組成物を水に分散したときの乳化粒子径が界面活性剤(ポリグリセリン脂肪酸エステル)単独で乳化した場合よりも細かくなることを知見したことに基づいて、ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールとポリグリセリン脂肪酸エステルとグリセリンと油性成分とを含ませてD相乳化法により乳化した乳化組成物である。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと、
ポリグリセリン脂肪酸エステルと、
グリセリンと、
油性成分と
を含み、乳化粒子径が1.25μm未満である乳化組成物。
(2)油性成分がスクワラン又は/及びトリエチルヘキサノインであることを特徴とする(1)に記載の乳化組成物。
(3)1,3-ブチレングリコールを添加したことを特徴とする(1)又は(2)記載の乳化組成物。
(4)D相乳化法により乳化したことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の乳化組成物。
本発明のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールとポリグリセリン脂肪酸エステルとグリセリンと油性成分とを含ませてD相乳化法により調製したゲル組成物は、水に分散したときの乳化粒子径が細かいので、D相乳化法において得られたゲル組成物を用いて化粧水や乳液などの化粧料とするときに、化粧料の安定性向上を目的として添加する増粘剤の配合量を減らすことができ、結果として増粘剤に起因する特有のべたつきがない乳化組成物(化粧料)を提供することができた。
本発明の乳化組成物は、水分蒸散を抑制する効果があった。したがって、高い保湿効果が求められるシワ防止化粧料や老化防止化粧料を提供することができる。
実施例1、比較例1,3の粒子径分布図 実施例2、3、比較例2の粒子径分布図 実施例4、比較例3の粒子径分布図 実施例4、比較例3の水分蒸散量を示す図
本発明に適用されるポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを単独重合させて得られるものである。
メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールメチルエーテルとメタクリル酸クロリドとを反応させて得ることができる。また、一部は試薬として市販されているものもある。例えば、新中村化学工業株式会社から市販されたNKエステルM−230G(n≒23)、NKエステルM−90G(n≒9)、日油株式会社から市販されたブレンマーPME-1000(n≒23)、ブレンマーPME−400(n≒9)、ブレンマーPME-200(n≒4)をモノマーとして用いることができる。次に、重合体の製造方法については常法に従えば良く、モノマーを溶媒中で重合開始剤の存在下、反応させて得られる。
以下に、本発明に係るポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの合成例を示す。
合成例1 ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール (ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が4.5)
100mlナスフラスコに重合開始剤AIBNを0.0306g量り、フラスコ内をアルゴンガスで3回置換した後、30mlの蒸留ベンゼンを加えてAIBNが溶解するまで室温下で攪拌した。これにポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGの平均重合度は4.5)を5ml加え、60℃で48時間、続いて70℃で24時間加熱し、重合を行なった。その後、重合を停止し目的物を回収した。
合成例2 ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9)
100mlナスフラスコに重合開始剤AIBNを0.0403g量り、フラスコ内をアルゴンガスで3回置換した後、30mlの蒸留ベンゼンを加えてAIBNが溶解するまで室温下で攪拌した。これにポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGの平均重合度は9)を5ml加え、60℃で48時間、続いて70℃で24時間加熱し、重合を行なった。その後、重合を停止し目的物を回収した。
合成例3 ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が22.7)
100mlナスフラスコに重合開始剤AIBNを0.00753g量り、フラスコ内をアルゴンガスで3回置換した後、30mlの蒸留ベンゼンを加えてAIBNが溶解するまで室温下で攪拌した。これにポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGの平均重合度は22.7)を5ml加え、60℃で48時間、続いて70℃で24時間加熱し、重合を行なった。その後、重合を停止し目的物を回収した。
得られたポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの分子量をGPCを用いて測定した。その結果、合成例1の分子量はポリスチレン換算で数平均分子量Mn=13800、質量平均分子量Mw=40400であった。合成例2の分子量はポリスチレン換算で数平均分子量Mn=15363、質量平均分子量Mw=35680であった。合成例3の分子量はポリスチレン換算で数平均分子量Mn=8300、質量平均分子量Mw=10000であった。
上記の如くして得られる本発明に係るポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの分子量は、その使用目的に応じて種々調整することができるが、乳化性能、感触面、ゲル組成物化能、皮膜形成能等を勘案した場合、通常はポリスチレン換算で1000以上、100000以下であり、好ましくは2500以上、100000以下である。本発明の化粧料では、上記重合体が化粧料全体に対して、通常0.05〜20質量%の範囲で含有される。
0.05質量%に満たないと、D相乳化法において界面活性剤と併用しても乳化粒子径を細かくする作用が得られない場合があり、20質量%を超えると使用感が悪くなるので好ましくない。
本発明において、ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールはD相乳化法に於いて乳化助剤として作用する。該重合体を含ませるとD相乳化法において調製されるゲル組成物を水に分散したときの乳化粒子径を細かくすることができる。
本発明は、ポリグリセリン脂肪酸エステルが必須成分である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンが2〜20個重合したポリグリセリンに炭素数8〜22の脂肪酸が1〜5個エステル結合したものを用いることができ、具体的にはモノステアリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタヒドロキシステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは6.0以上15.0以下が好ましく、HLBが6.0未満、15.0以上であると乳化組成物の安定性が悪い。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は0.05質量%以上10.0質量%以下が好ましい。0.05質量%に満たないと乳化安定性が悪く、10.0質量%を超えると皮膚に刺激を生じ、安全性に問題が生じる場合がある。
本発明はグリセリンが必須成分である。グリセリンの配合量は0.5質量%以上30.0質量%以下が好ましい。0.5質量%に満たないとD相乳化がうまく行えない恐れがあり、30.0質量%を超えるとべたつきを生じる場合があり好ましくない。
本発明に用いる油剤としては、例えば、スクワラン、シリコーン、流動パラフィン、トリ2−エチルへキサン酸グリセリル、イソステアリン酸、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、胚芽油、小麦胚芽油、トリオクタン酸グリセリン、等の液体油脂、ステアリン酸、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ、モクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ホホバ油等のロウ類が挙げられる。
油剤の配合量は0.1質量%以上40.0以下が好ましい。40.0質量%を超えるとべたつき、ぎらつき等が生じ、感触的に好ましくない場合がある。
本発明には、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外に界面活性剤として、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、天然由来の界面活性剤等を配合することができる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
天然由来の界面活性剤としては、例えば、サポニン、胆汁酸、糖セラミド等が挙げられる。
本発明にはグリセリン以外に多価アルコールを配合することができる。多価アルコールとしては、例えば、エリスリトール、ペンタエリトリット、ソルビトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
本発明の乳化組成物は、皮膚外用医薬、皮膚外用医薬部外品、化粧料に適する。
本発明の高分子乳化剤、乳化組成物、皮膚外用剤(医薬、医薬部外品、化粧料)には、任意成分として発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられている成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、保香剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤その他の美容成分、薬効成分などを配合することができる。
増粘剤を含ませると、乳化組成物の安定性を向上させる。
増粘剤としては、水溶性高分子が好ましい。水溶性高分子としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子のいずれでもよい。たとえば、天然高分子としては、トラガントガム、カラヤガム、キサンタンガム、グアガム、カチオン化グアガム、アニオン化グアガム、タラガム、アラビアガム、タマリンドガム、ジュランガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、クインスシード、デキストラン、等が例示できる。半合成高分子としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸ナトリウム、ベントナイト等が例示できる。合成高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ジアルキルポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、合成スメクタイト、等が例示できる。これらの配合量は、好ましくは0.01〜0.5質量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.2質量%である。配合量が0.01質量%に満たないと、増粘させ安定性を高める効果が十分でなく、0.5質量%を超えるとぬるつきが生じたり、べたついたりして本発明の効果を損なうので好ましくない。
本発明の乳化組成物は、化粧水、美容液、乳液、クリーム、パックなどの化粧料にすることができる。
本発明の構成をとる実施例1〜4、および比較例1〜3の乳化組成物を調製し、乳化状態、使用感を評価した。
〔調製方法〕
本発明の乳化組成物は、D相乳化法を用いて調製するのでマイクロフルイダイザーといった特別な装置を必要としない。まずゲル組成物を調製しそれを用いて乳化組成物を調製する。
(D相乳化法によるゲル組成物の調製)
ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールとポリグリセリン脂肪酸エステルをグリセリンに加温溶解し、精製水と1,3-ブチレングリコールも加えて溶解攪拌した。これに、油性成分をゆっくりと少しずつ添加してゲル組成物を調製した。ここでは、油性成分の添加前に精製水と1,3-ブチレングリコールを添加しているが、これはポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールとポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンによってできた液晶をわずかに崩し、油性成分を取り込みやすくする目的で配合した。ディスパーなどで機械力を用いて攪拌するときには必須ではなく、精製水と1,3-ブチレングリコールは本発明における必須成分ではない。
(乳化組成物の調製)
得られたゲル組成物0.5質量%を99.5質量%の精製水に分散して乳化組成物を調製した。
〔乳化組成物の乳化状態の評価〕
実施例1〜3、比較例1〜3のゲル組成物を精製水に分散した乳化組成物の乳化安定性を下記基準により目視評価した。乳化粒子径(体積平均)はレーザー回折式粒度分布計により測定した。
○;40℃の保存で7日以上クリーミングが生じない
△;40℃の保存で1日以降7日より前にクリーミングが生じた
×;40℃の保存で1日より前にクリーミングが生じた
〔使用感評価〕
女子被験者(23〜55歳)10名に、実施例及び比較例のゲル組成物を精製水に 分散した乳化組成物を顔面全体に塗布し、塗布後の使用感を評価した。
(評価基準)
○;なめらかな感触である
×;なめらかな感触でない
(判定)
○;評価基準で8名〜10名が○と評価した
△;評価基準で7名〜5名が○と評価した
×;評価基準で4名〜1名が○と評価した
ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを含む実施例1〜3の乳化組成物、比較例1〜3のゲル組成物を精製水に分散した乳化組成物の乳化状態、使用感を評価した結果を表1に示す。
表1(実施例1〜4)に示すとおり、ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールとポリグリセリン脂肪酸エステルとグリセリンと油性成分とを含ませてD相乳化法により調製したゲル組成物は、水に分散したときの乳化粒子径がポリグリセリン脂肪酸エステル単独の比較例1、2と比べて、細かくなることがわかった。ポリグリセリン脂肪酸エステルを倍量(比較例3)にしても、乳化粒子径は小さくならないばかりか、界面活性剤によるべたつきが生じてしまい、使用感が好ましくなかった。
実施例2、3は、比較例2より粒子径が約半分になっていることがわかる。
実施例4、比較例3のゲル組成物を精製水に分散した乳化組成物を塗布した時の閉塞性をIN VITRO水分蒸散量測定試験にて評価した。
〔濾紙を使用したIN VITRO水分蒸散量測定試験〕
実施例4のゲル組成物0.5質量%を95.5質量%の精製水に分散した乳化組成物を用いて、濾紙を使用したIN VITRO水分蒸散量測定試験を行った。比較としては、ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを含まずに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを2倍量にした比較例3のゲル組成物0.5質量%を95.5質量%の精製水に分散した乳化組成物を用いた。
クリーム瓶の上に濾紙(No.2)を置き、0.5gの試料をのせて乾燥機(60℃設定)で一晩乾した。更に試料0.5gを滴下して60℃で2時間以上乾燥させ、実験に用いる濾紙を調製した。各試料ごとに濾紙を5枚調製した。
次に、クリーム瓶に10gの精製水を入れて、それぞれの濾紙で蓋をし、恒温室(約23℃、37〜40%)にて保管、定期的に重量を測定することで精製水の蒸発量を確認した。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを2倍量にした比較例3の乳化組成物の水分蒸散量が0.51gであるのに対し、ポリグリセリン脂肪酸エステルとポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを組み合わせた乳化組成物の水分蒸散量は0.23gである事から、実施例4の乳化組成物は比較例3の乳化組成物よりも約2倍水分蒸散を抑えていることがわかる。したがって、本発明の乳化組成物は、保湿効果が高いことが求められる化粧料、例えば、シワ防止化粧料や老化防止化粧料にすることができる。
処方例1 エモリエント化粧水
(配合成分) (質量%)
1.ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール 0.5
2.グリセリン 0.5
3.ジステアリン酸ポリグリセリル-10 0.2
4.ステアリン酸ポリグリセリル-10 0.4
5.精製水 0.05
6.オリーブ油 3
7.ソルビトール 4
8.キサンタンガム 0.1
9.グリセリン 5
10.1,2−ペンタンジオール 1
11.クエン酸三ナトリウム 0.04
12.クエン酸 0.01
13.フェノキシエタノール 0.2
14.精製水 85

(製法)
成分14に、成分7に分散させた成分8を加え、成分9〜成分13も加えて攪拌溶解する(水相)。成分1〜5を溶解した中に成分6をゆっくりと添加してD相ゲルを調製し、先に調製した水相に加えて乳化組成物(エモリエント化粧水)を調製した。
処方例1のエモリエント化粧水は、べたつかず、肌がなめらかになり心地よい使用感であり、保湿効果に優れていた。保存安定性も良好であった。
処方例2 老化防止美容液
(配合成分) (質量%)
1.ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール 2
2.グリセリン 2
3.ジステアリン酸ポリグリセリル-10 0.6
4.ステアリン酸ポリグリセリル-10 1.4
5.精製水 0.2
6.オリーブ油 4
7.ホホバ油 4
8.ジプロピレングリコール 4
9.カルボキシビニルポリマー 0.1
10.グリセリン 8
11.1,2−ペンタンジオール 1
12.エラスチン 0.1
13.ヒアルロン酸 0.1
14.コラーゲン 0.1
15.水酸化カリウム 0.03
16.精製水 72.37

(製法)
成分16に、成分8に分散させた成分9を加え、成分10〜成分15も加えて攪拌溶解する(水相)。成分1〜5を溶解した中に、別に混合した成分6と成分7をゆっくりと添加してD相ゲルを調製し、先に調製した水相に加えて乳化組成物(老化防止美容液)を調製した。
処方例2の乳化組成物(老化防止美容液)は、保存安定性に優れていた。べたつかず、肌がなめらかになり心地よい使用感であった。保湿感が持続した。

Claims (4)

  1. ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと、
    ポリグリセリン脂肪酸エステルと、
    グリセリンと、
    油性成分と
    を含み、乳化粒子径が1.25μm未満である乳化組成物。
  2. 油性成分がスクワラン又は/及びトリエチルヘキサノインであることを特徴とする請求項1に記載の乳化組成物。
  3. 1,3-ブチレングリコールを添加したことを特徴とする請求項1又は2記載の乳化組成物。
  4. D相乳化法により乳化したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乳化組成物。
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