JP5643488B2 - 低応力膜を備えたsoiウェーハの製造方法 - Google Patents
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また、低応力膜の有する応力を簡単に調整することが可能であるSOIウェーハの製造方法を提供することを目的としている。
また、本発明においては、絶対値が75MPa以下の応力を有する低応力膜を備えるシリコン基板であるハンドル基板を準備する工程と、シリコン基板であるドナー基板の表面から水素イオンを注入して水素イオン注入層を形成する工程と、前記ハンドル基板の前記低応力膜が形成された表面と、前記ドナー基板の水素イオンが注入された表面とを貼り合わせる工程と、前記水素イオン注入層に機械的衝撃を加えて前記水素イオン注入層を剥離し、前記貼り合わせたハンドル基板にシリコン薄膜が転写される剥離転写工程と、を含むSOIウェーハの製造方法を提供する。
また、低応力膜の有する応力を簡単に調整することが可能であるSOIウェーハの製造方法を提供することが出来る。
SiON(SixOyNz)の組成は、特に限定されるものではなく、x=0.3〜0.6、y=0.3〜0.5、z=0.05〜0.2が好ましい。また、SiリッチなSiN(SiuNv)の組成についても、特に限定されるものではなく、N/Si組成比で、0.8〜1.3のものが好ましい。これらの組成範囲において、低応力膜の有する応力が絶対値で75MPa以下となり、SOIウェーハの反りが観察されないからである。
なお、低応力膜の有する応力の測定方法は、ウェーハの反りから膜の応力を算出する曲率半径測定法を用いる。
低応力膜の膜厚は、厚くなると応力が高くなるため、好ましくは0.1〜2.0μm、より好ましくは、0.2〜1.0μmである。
シリコン薄膜の膜厚は、例えば、水素イオン注入された単結晶シリコンウェーハの表面から水素イオン注入層までの深さによって変化させることができ、特に限定されないが、好ましくは300〜500nm、さらに好ましくは400nm程度である。
熱酸化膜の膜厚は、好ましくは50〜500nm、さらに好ましくは、50〜300nm程度である。これはあまり薄いと、膜厚の制御が難しく、またあまり厚いと成長に時間が掛かりすぎるためとドナー基板側の酸化膜の応力が増大するためである。
図1(A)に示すように、絶対値が75MPa以下の応力を有する低応力膜11を備えるシリコン基板であるハンドル基板10を準備する。ハンドル基板10の片面に低応力膜11として、好ましくはPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法により、例えば酸窒化シリコン膜(SiON)を形成する。PECVD法では、原料ガスとして、SiH4、N2O及びNH3を使用し、300〜500℃下で、高周波(High Frequency:HF 通常13.56MHz)プラズマにより、原料ガスからイオン種、ラジカルを生成し、低周波(Low Frequency:LF 通常数百Hz)でそのプラズマを基板に当てることで、目的の膜を形成する方法である。この手法では、プラズマ発生させる電極間のバイアスを変化させることで酸窒化シリコン膜の密度、組成を変化させることが可能である。また、原料ガス等の組成を変えることで酸窒化シリコン膜の組成や応力を調整することが可能である。
酸窒化シリコン膜の内部応力は、SiH4ガスの流量を固定し、NH3ガスに対するN2Oガスの比を増やすと、酸窒化シリコン膜中の窒素比が増加し、内部応力が引っ張り応力から圧縮応力側に変化するので、N2Oガス流量を調整することで低応力の酸窒化シリコン膜が得られる。好ましい原料ガスの組成は、一例であるが、SiH4:N2O:NH3=1:20:5程度である。なお、雰囲気ガスとして、窒素を加えることも可能である。ガスの組成に関しては、装置の構造、構成等に大きく依存するので、あくまで参考値である。
注入される水素イオンとしては、2×1016〜1×1017(atoms/cm2)のドーズ量の水素イオン(H+)、又は1×1016〜5×1016(atoms/cm2)のドーズ量の水素分子イオン(H2 +)が好ましい。特に好ましくは、8.0×1016(atoms/cm2)のドーズ量の水素イオン(H+)、又は4.0×1016(atoms/cm2)のドーズ量の水素分子イオン(H2 +)である。このドーズ量で作製したものが、後の剥離転写工程での好適な脆弱性を有するからである。
水素イオン注入されたドナー基板の表面から水素イオン注入層までの深さは、ハンドル基板(シリコン基板)上に設けるシリコン薄膜の所望の厚さに依存するが、好ましくは300〜500nm、さらに好ましくは400nm程度である。また、水素イオン注入層の厚さは、機械衝撃によって容易に剥離できる厚さがよく、好ましくは200〜400nm、さらに好ましくは300nm程度である。
プラズマ活性化処理を行う場合、例えば、真空チャンバ中にハンドル基板及び/又はドナー基板を載置し、プラズマ用ガスを導入した後、100W程度の高周波プラズマに5〜10秒程度さらし、表面をプラズマ処理する。プラズマ用ガスとしては、ドナー基板を処理する場合、表面を酸化する場合には酸素ガスのプラズマ、酸化しない場合には水素ガス、アルゴンガス、又はこれらの混合ガスあるいは水素ガスとヘリウムガスの混合ガス等を挙げることができる。ハンドル基板を処理する場合は、いずれのガスでもよい。
オゾンで処理をする場合は、大気を導入したチャンバ中にハンドル基板及び/又はドナー基板を載置し、窒素ガス、アルゴンガス等のプラズマ用ガスを導入した後、高周波プラズマを発生させ、大気中の酸素をオゾンに変換することで、表面をオゾン処理する。プラズマ処理とオゾン処理とはどちらか一方又は両方行うことができる。
水素イオン注入層に衝撃を与えて機械的剥離を行うので、加熱に伴う熱歪、ひび割れ、貼り合わせた面の剥離等が発生するおそれがない。剥離は、一端部から他端部に向かうへき開によるものが好ましい。
水素イオン注入層に衝撃を与えるためには、例えば、ガスや液体等の流体のジェットを貼り合わせたウェーハの側面から連続的又は断続的に吹き付ければよいが、衝撃により機械的剥離が生じる方法であれば特に限定はされない。
図2(A)に示すように、絶対値が75MPa以下の応力を有する低応力膜21を備えるシリコン基板であるハンドル基板20を準備する。ハンドル基板20の両面に低応力膜21として、好ましくはLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法によりSiリッチなシリコン窒化膜を形成する。LPCVD法では、原料ガスとして、SiH2Cl2、NH3を使用し、770〜800℃で加熱する。この手法では、SiH2Cl2やNH3の組成を増減することでシリコン窒化膜の密度を変化させることが可能である。また、NH3の流量を変化させることでシリコン窒化膜の応力を調整することが可能である。ここではNH3の流量が好ましくは15〜35sccm、より好ましくは20〜30sccm、特に好ましくは25sccm付近のとき、応力が0に近くなる(図5)。原料ガスであるSiH2Cl2及びNH3の好ましい流量は、それぞれ300、30sccm程度である。
<PECVD法における電極の周波数の調整による酸窒化シリコン膜のアニール前後での応力の変化>
厚さが625μmであるシリコン基板にSiONをPECVD法により350℃、2.6Torr下で堆積した。原料ガスはSiH4、N2O、NH3を使用し、それぞれの流量は、500、8500、2500sccmであった。原料ガスの組成は、マスフローコントローラーを用いて行った。組成分析はWDS(Wavelength Dispersive Spectrometry)法により測定した。SixOyNzの組成は、x=0.51、y=0.43、z=0.06であった。LF電極の周波数を0〜500Hzで変化させ、膜厚が0.8μmのSiON膜をシリコン基板の片側に形成し、1050℃の焼き締めアニールを30分間窒素雰囲気下で行った。各周波数におけるSiON膜の膜応力は、曲率半径測定法(KLA Tencor社製FLX使用)を用いて測定した。各周波数におけるSiON膜の膜応力との関係を図4に示す。図4より、周波数が300Hz付近で堆積したSiON膜は、アニール後に膜応力がほぼ0になった。
厚さが625μmであるシリコン基板にSiリッチなSiNをLPCVD法により775℃、200Torr下で堆積した。原料ガスはSiH2Cl2、NH3を使用した。SiH2Cl2の流量を300sccmとし、NH3の流量を15〜35sccmで変化させ、膜厚が0.5μmのSiリッチなSiN膜をシリコン基板の両側に堆積した。組成分析はWDS(Wavelength Dispersive Spectrometry)法により測定した。各NH3の流量におけるSiuNvの組成は、u=0.53〜0.56、v=0.44〜0.47であった。各NH3の流量におけるSiリッチなSiN膜の膜応力は、曲率半径測定法(KLA Tencor社製FLX使用)を用いて測定した(図5)。図5より、NH3の流量が25sccm付近のとき、膜応力がほぼ0になった。
厚さが625μmであるシリコン基板(ハンドル基板)にSiONをPECVD法により350℃、2.6Torr下で堆積した。原料ガスはSiH4、N2O、NH3を使用し、それぞれの流量は、500、8500、2500sccmであった。原料ガスの組成は、マスフローコントローラーを用いて行った。組成分析はWDS(Wavelength Dispersive Spectrometry)法により測定した。SixOyNzの組成は、x=0.51、y=0.43、z=0.06であった。LF=300Hzに設定し、約3μmの膜をハンドル基板の片側に形成し、1050℃の焼き締めアニールを30分間窒素雰囲気下で行った。このときの膜応力を、曲率半径測定法(KLA Tencor社製FLX使用)を用いて測定したところ、ほぼ0であった。このハンドル基板に原子間力顕微鏡(AFM)を用いてJIS B0601のRMSで0.5nmの平滑度となるように、CMP研磨を施した。予め、200nmの熱酸化膜を酸素雰囲気下、1000℃で形成した後に、注入エネルギーが55keV、注入される水素イオンドーズ量が8e16atoms/cm2という条件で水素イオン注入を施した厚さが625μmであるドナー基板(単結晶シリコン基板)を、窒素をプラズマ用ガスとして100W程度の高周波プラズマに30秒さらすことによる表面をプラズマ活性化処理後に貼り合わせ、250℃の熱処理を24時間行い、シリコン薄膜を機械剥離法により剥離して転写した。このようにして作製したSOIウェーハの反りを測定したところ、反りが観察されなかった。
厚さが625μmであるシリコン基板(ハンドル基板)にSiリッチなSiNをLPCVD法により775℃、200Torr下で堆積した。原料ガスはSiH2Cl2、NH3を使用した。SiH2Cl2の流量を300sccmとし、NH3の流量を25sccmとし、約1μmの膜をハンドル基板の両側に堆積した。組成分析はWDS(Wavelength Dispersive Spectrometry)法により測定した。SiuNvの組成は、u=0.56、v=0.44であった。このハンドル基板に原子間力顕微鏡(AFM)を用いてJIS B0601のRMSで0.5nmの平滑度となるように、CMP研磨を施した。予め、200nmの熱酸化膜を酸素雰囲気下、1000℃で形成した後に、注入エネルギーが55keV、注入される水素イオンドーズ量が8e16atoms/cm2という条件で水素イオン注入を施した厚さが625μmであるドナー基板(単結晶シリコン基板)を、窒素をプラズマ用ガスとして100W程度の高周波プラズマに30秒さらすことによる表面をプラズマ活性化処理後に貼り合わせ、250℃の熱処理を24時間行い、シリコン薄膜を機械剥離法により転写した。このようにして作製したSOIウェーハの反りを測定したところ、反りが観察されなかった。ハンドル基板の裏面のSiリッチなSiNを除去しても反り量の変化は観察されず、MEMS工程に適したSOIウェーハであることが判明した。
11 低応力膜
12 ドナー基板
13 水素イオン注入層
14 熱酸化膜
15 シリコン薄膜
16 MEMS基板
20 ハンドル基板
21 低応力膜
22 ドナー基板
23 水素イオン注入層
24 熱酸化膜
25 シリコン薄膜
26 MEMS基板
Claims (6)
- 絶対値が75MPa以下の応力を有する、化学量論組成のSi3N4よりもシリコン含有量が多く、SiuNvと表すときのN/Si組成比(v/u)が0.8〜1.3である膜厚0.1〜2.0μmのシリコン窒化膜である低応力膜を備えるシリコン基板であるハンドル基板を準備する工程と、
シリコン基板であるドナー基板の表面から水素イオンを注入して水素イオン注入層を形成する工程と、
前記ハンドル基板の前記低応力膜が形成された表面と、前記ドナー基板の水素イオンが注入された表面とを貼り合わせる工程と、
前記水素イオン注入層に機械的衝撃を加えて前記水素イオン注入層を剥離し、前記貼り合わせたハンドル基板にシリコン薄膜が転写される剥離転写工程と、
を含むSOIウェーハの製造方法であって、
前記ハンドル基板を準備する工程が、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法により、原料ガスとしてSiH2Cl2とNH3を使用し、770〜800℃で加熱し、前記NH3の流量を15〜35sccmの範囲で変化させて前記シリコン窒化膜の応力を調整し、前記シリコン基板に前記シリコン窒化膜を形成するものであるSOIウェーハの製造方法。 - 前記ハンドル基板を準備する工程が、前記LPCVD法により前記シリコン窒化膜を形成後、110〜175℃でアニール処理するものである請求項1に記載のSOIウェーハの製造方法。
- 前記水素イオン注入層を形成する工程が、前記ドナー基板の表面を予め熱により酸化させ熱酸化膜を形成し、該表面から水素イオンを注入して水素イオン注入層を形成することを含む請求項1又は請求項2に記載のSOIウェーハの製造方法。
- 前記低応力膜を備えるハンドル基板を準備する工程における、前記低応力膜が、RMSで0.5nmの平滑度となるように研磨されたものである請求項1〜3のいずれかに記載のSOIウェーハの製造方法。
- 前記貼り合わせる工程が、前記ハンドル基板と前記ドナー基板の貼り合わせる表面の両方又は一方に予めプラズマ活性化処理を施した後、貼り合わせることを含む請求項1〜4のいずれかに記載のSOIウェーハの製造方法。
- 前記剥離転写工程が、前記貼り合わせたハンドル基板を予め400℃以下で熱処理して前記水素イオン注入層に機械的衝撃を加えることを含む請求項1〜5のいずれかに記載のSOIウェーハの製造方法。
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