以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2に示す部品実装装置1は、半田印刷機や検査機、リフロー炉等の図示しない他の部品実装用装置と部品実装ラインを形成する部品実装用装置の一種であり、上流側の他の部品実装用装置(例えば半田印刷機や他の部品実装装置等)から送られてきた基板2を搬入して基板2の表面に設けられた電極3上に部品(電子部品)4を装着する部品実装作業を行った後、その基板2を図示しない下流側の他の部品実装用装置(例えば他の部品実装装置や検査機、リフロー炉等)に搬出する動作を連続的に実行する。
はじめに、説明の便宜上、部品実装装置1を基準とした方向を定義する。本実施の形態では、部品実装装置1における基板2の搬送方向(部品実装ラインにおける基板2の流れの方向。図1中、矢印Aの向く方向)をX軸方向、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。また、Y軸方向を部品実装装置1の前後方向、X軸方向を横(左右)方向とし、前後方向のうち、部品実装装置1に対してオペレータOP(図1)が作業を行う側(図1の紙面下方)を部品実装装置1の前方、その反対側(図1の紙面上方)を後方とする。なお、オペレータOPから部品実装装置1を見た場合、横方向左側(図1の紙面左側)が上流側、横方向右側(図1の紙面右側)が下流側となる。
図1及び図2において、本実施の形態における部品実装装置1は、基台11と、基台11上に設置され、基板2を水平面内方向(X軸方向)に搬送して位置決めする2つの基板搬送路12と、基台11の2つの基板搬送路12を挟むようにY軸方向に対向して設けられた2つのフィーダ設置領域11aのそれぞれに設置されて部品4の供給を行うパーツフィーダ(部品供給装置)としての複数のテープフィーダ13及び部品装着部としての2つの装着ヘッド14を備えている。2つの装着ヘッド14は基台11に設けられたXYロボットから成るヘッド移動ロボット15によって互いに独立して移動される。
図1及び図2において、各装着ヘッド14には撮像視野を下方に向けた基板カメラ16が設けられており(図3も参照)、基台11上の2つの基板搬送路12と各フィーダ設置領域11aとの間の2つの領域のそれぞれには、撮像視野を上方に向けた部品カメラ17が設けられている。
図3及び図4において、各基板搬送路12は、搬入コンベア12a、上流側位置決めコンベア12b、下流側位置決めコンベア12c及び搬出コンベア12dがこの順で基板2の搬送方向(X軸方向)の上流側から下流側に並んで成る。
図3及び図5(a),(b)において、各基板搬送路12が備える2つの位置決めコンベア(上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12c)は、基台11上をX軸方向に延びて設けられた一対のコンベアフレーム21、これら一対のコンベアフレーム21に支持され、基板2の両端部を下方から支持してその基板2の搬送及び位置決めを行う一対のベルトコンベア22を備えている。
図5(a),(b)において、各位置決めコンベア(上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12c)はそれぞれ、一対のコンベアフレーム21をその両外側から挟むように基台11から立設して設けられ、上端部にY軸方向内方(一対のベルトコンベア22の中間部に向かう方向)に張り出して延びる張り出し部23aを備えた一対の基板端部保持部材23と、一対のベルトコンベア22の間の下方に設けられ、一対のベルトコンベア22によって位置決めされた基板2を複数の下受けピン24aによって下方から支持する下受けユニット24と、基台11に設けられて下受けユニット24を昇降させる昇降シリンダ25とから成る基板保持機構26を備えている。
図4において、上流側位置決めコンベア12bと下流側位置決めコンベア12cは、それぞれ装着ヘッド14による基板2に対する部品4の装着作業が行われる作業エリアWAを形成しており、2つの基板搬送路12は前後左右計4つの作業エリアWAを備えたものとなっている。これら4つの作業エリアWAは、図4に示すように、前方の基板搬送路12における上流側の作業エリア(前方上流側エリアWA1)、前方の基板搬送路12における下流側の作業エリア(前方下流側エリアWA2)、後方の基板搬送路12における上流側の作業エリア(後方上流側エリアWA3)及び後方の基板搬送路12における下流側の作業エリア(後方下流側エリアWA4)から成る。
図5(a),(b)において、一対のベルトコンベア22によって基板2の両端部が支持された状態から、下受けユニット24が昇降シリンダ25によって上昇されると、下受けユニット24の複数の下受けピン24aが基板2の下面に下方から当接し、更に下受けユニット24が上昇すると、複数の下受けピン24aによって押し上げられた基板2の両端部の上面が一対の基板端部保持部材23の張り出し部23aに下方から当接する(図5(a)→図5(b))。これにより基板2は、下面の中央部が下受けピン24aによって支持され、かつ両端部が一対の基板端部保持部材23の張り出し部23aと下受けピン24aとによって挟持された保持状態となる。すなわち基板保持機構26は、上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12c上の(作業エリアWA内の)基板2を保持する機能を有する。
なお、X軸方向に搬送される基板2が上流側位置決めコンベア12b上の作業エリアWA又は下流側位置決めコンベア12c上の作業エリアWAに達したことは、上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12cのそれぞれに設けられて各作業エリアWAに到達した基板2の前縁によって検出光が遮断される光センサ等から成る基板検出センサ(図示せず)によって検出される。
図1及び図2において、ヘッド移動ロボット15は、基板搬送路12をY軸方向に跨いで延びて設けられたビーム状のY軸テーブル15a、Y軸テーブル15a上をY軸方向に移動自在に設けられたX軸方向に延びる前後2つのビーム状のX軸テーブル15b及び各X軸テーブル15b上をX軸方向に移動自在に設けられた2つのプレート状の移動ステージ15cから成り、各移動ステージ15cには前述の装着ヘッド14が取り付けられている。各装着ヘッド14には、下方に延びた複数の吸着ノズル14N(図3も参照)が昇降及び上下軸(Z軸)回り回転自在に設けられている。
図1において、各フィーダ設置領域11aに取り付けられる複数のテープフィーダ13はフィーダ設置領域11aをX軸方向に並んで設けられており、各テープフィーダ13は基台11の中央部側(基板搬送路12の側)の端部に設けられた部品供給口13pに部品4を連続的に供給する。これら複数のテープフィーダ13はオペレータOPが一対のハンドル部Hdを操作することによって床面上を走行させることができる台車Cgに保持されており、オペレータが台車Cgを基台11に結合させると、複数のテープフィーダ13が一括して基台11に装着される。なお、台車Cgに設けられた一対のハンドル部Hdは、図1及び図2では下方に折畳まれた状態となっているが、使用時には上方に展開させることができる。
各基板搬送路12を構成する搬入コンベア12a、上流側位置決めコンベア12b、下流側位置決めコンベア12c及び搬出コンベア12dによる基板2の搬送動作は、部品実装装置1が備える制御装置40(図6)の作業実行制御部40a(図6)が図示しないアクチュエータ等から成るコンベア駆動機構41(図6)の作動制御を行うことによってなされる。上流側位置決めコンベア12b又は下流側位置決めコンベア12c上に(作業エリアWA内に)位置決めされた基板2の保持及びその解除動作は、制御装置40の作業実行制御部40aがその基板2が位置決めされた上流側位置決めコンベア12b又は下流側位置決めコンベア12cの(作業エリアWAの)下方に設けられた昇降シリンダ25の作業制御を行って下受けユニット24を昇降させることによってなされる。
各テープフィーダ13による部品供給口13pへの部品4の供給動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成るテープフィーダ駆動機構42(図6)の作動制御を行うことによってなされる。なお、各テープフィーダ13は台車Cgが基台11に結合された状態で制御装置40と電気的に繋がり、制御装置40による各テープフィーダ13の作動制御が可能となる。
ヘッド移動ロボット15による各装着ヘッド14の水平面内での移動動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成るヘッド移動ロボット駆動機構43(図6)の作動制御を行い、Y軸テーブル15aに対して各X軸テーブル15bをY軸方向に移動させるとともに、各X軸テーブル15bに対して各移動ステージ15cをX軸方向に移動させることによってなされる。
各装着ヘッド14が備える各吸着ノズル14Nの装着ヘッド14に対する昇降及び上下軸回りの回転動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成るノズル駆動機構44(図6)の作動制御を行うことによってなされる。
各装着ヘッド14が備える各吸着ノズル14Nによる部品4の吸着及び離脱動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成る吸着機構45(図6)の作動制御を行って吸着ノズル14N内に真空圧を供給し、また真空圧の供給を解除することによってなされる。各装着ヘッド14は後述するように、各テープフィーダ13より部品供給口13pに供給された部品4をピックアップし、上流側位置決めコンベア12b又は下流側位置決めコンベア12c上に基板保持機構26によって保持された基板2に装着する動作を繰り返し実行する。
基板カメラ16及び部品カメラ17による撮像動作は、制御装置40の作業実行制御部40aによって制御される(図6)。基板カメラ16及び部品カメラ17の撮像動作によって得られた画像データは制御装置40の画像データ格納部40b(図6)に取り込まれ、制御装置40が備える画像認識部40c(図6)において画像認識される。
図6において、制御装置40には記憶部40d、エリア選択部40e及び判定部40fが設けられている。
記憶部40dには、2つの基板搬送路12が備える4つの作業エリアWA(前方上流側エリアWA1、前方下流側エリアWA2、後方上流側エリアWA3及び後方下流側エリアWA4)について定めた優先順位のデータが記憶されている。この優先順位は、基板2への部品4の装着作業を実行する順番を定めたものであり、本実施の形態では、一方(前方)の基板搬送路12の下流側の作業エリア(前方下流側エリアWA2)、他方(後方)の基板搬送路12の下流側の作業エリア(後方下流側エリアWA4)、一方(前方)の基板搬送路12の上流側の作業エリア(前方上流側エリアWA1)、他方(後方)の基板搬送路12の上流側の作業エリア(後方上流側エリアWA3)の順に設定されている。
エリア選択部40eは、作業実行制御部40aより指令を受けたときに、予め設定された記憶部40dに記憶された優先順位に従って4つの作業エリアWAの中からひとつの作業エリアWAを選択し、判定部40fは、作業実行制御部40aより指令を受けたときに、エリア選択部40eによって選択されたひとつの作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされているかどうかの判定を行う。そして、制御装置40の作業実行制御部40aは、判定部40fが、エリア選択部40eによって選択された作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされていると判定した場合には、その作業エリアWAに位置決めされている基板2に対する装着ヘッド14による部品装着を実行してエリア選択部40eに次の優先順位の作業エリアWAを選択させるようになっており、判定部40fが、エリア選択部40eによって選択された作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされていないと判定した場合には、その作業エリアWAを無視してエリア選択部40eに次の優先順位の作業エリアWAを選択させるようになっている。
次に、図7〜図9に示すフローチャートを用いて部品実装装置1が実行する部品実装工程の流れを説明する。部品実装工程は、(1)各基板搬送路12の搬入コンベア12aによる基板2の搬入工程(「基板搬入工程」)、(2)各基板搬送路12の2つの位置決めコンベア(上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12c)による作業エリアWA内への基板2の位置決め及び作業エリアWA内での基板保持機構26による基板2の保持工程(「基板位置決め保持工程」)(3)2つの装着ヘッド14による基板2への部品4の装着工程(「部品装着工程」)、(4)各基板搬送路12の基板保持機構26による基板2の保持解除及び2つの位置決めコンベアによる基板2の搬出コンベア12dへの送り出し工程(「基板送り出し工程」)及び(5)各基板搬送路12の搬出コンベア12dによる基板2の搬出工程(「基板搬出工程」)から成り、これら各工程の実行制御は制御装置40の作業実行制御部40aによってなされる。
上記(1)の「基板搬入工程」では、制御装置40の作業実行制御部40aは、上流側の他の部品実装用装置から制御対象としている基板搬送路12の搬入コンベア12aに基板2が送られてきた場合であって、搬入コンベア12aが空いていた(搬入コンベア12a上に基板2がなかった)ときには、コンベア駆動機構41の作動制御を行って搬入コンベア12aを駆動し、基板2を搬入コンベア12a上に搬入する。
上記(2)の「基板位置決め保持工程」では、制御装置40の作業実行制御部40aは、図7のフローチャートに示すように、先ず、制御対象としている基板搬送路12の搬入コンベア12a上に基板2があるかどうかの判定を行う(図7に示すステップST1の搬入コンベア基板有無判定工程)。そして、搬入コンベア12a上に基板2があると判定した場合には、次いで、制御対象としている基板搬送路12の上流側の作業エリアWA(前方の基板搬送路12であれば前方上流側エリアWA1、後方の基板搬送路12であれば後方上流側エリアWA3)が空いているかどうかの判定を行う(図7に示すステップST2の上流側エリア空き判定工程)。その結果、制御装置40は、上流側の作業エリアWAが空いていないと判定した場合にはステップST2を繰り返し実行し、上流側の作業エリアWAが空いていると判定した場合には、更に、制御対象としている基板搬送路12の下流側の作業エリアWA(前方の基板搬送路12であれば前方下流側エリアWA2、後方の基板搬送路12であれば後方下流側エリアWA4)が空いているかどうかの判定を行う(図7に示すステップST3の下流側エリア空き判定工程)。
制御装置40は、ステップST3で下流側の作業エリアWAが空いていないと判定した場合には、制御対象としている基板搬送路12の搬入コンベア12aと上流側位置決めコンベア12bとを連動作動させ、搬入コンベア12a上の基板2を上流側の作業エリアWAに搬入して位置決めし、上流側位置決めコンベア12bに設けられている基板保持機構26によって基板2を保持する(図7に示すステップST4の上流側エリア基板搬入保持工程)。
一方、制御装置40は、ステップST3で下流側の作業エリアWAが空いていると判定した場合には、制御対象としている基板搬送路12の搬入コンベア12a、上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12cを連動作動させ、搬入コンベア12a上の基板2を上流側の作業エリアWA経由で下流側の作業エリアWAに搬入して位置決めし、下流側位置決めコンベア12cに設けられている基板保持機構26によって基板2を保持する(図7に示すステップST5の下流側エリア基板搬入保持工程)。
制御装置40は、ステップST4の上流側エリア基板搬入保持工程又はステップST5の下流側エリア基板搬入保持工程が終了したら、ステップST1に戻って搬入コンベア基板有無判定工程を実行する。
このように、本実施の形態では、制御装置40が上記(2)の制御を行うことにより、各基板搬送路12の搬入コンベア12aに搬入された基板2は、その基板搬送路12の「上流側の作業エリアWA」に空きがあるときにはその「上流側の作業エリアWA」に搬送されて位置決めされ、更に「下流側の作業エリアWA」にも空きがあるときには、その「下流側の作業エリアWA」に搬送されて位置決めされるようになっている。
上記(3)の「部品装着工程」では、制御装置40の作業実行制御部40aは、図8のフローチャートに示すように、先ず、制御装置40のエリア選択部40eに指令を出し、記憶部40dに記憶された優先順位に従って、4つの作業エリアWAの中からひとつの作業エリアを選択させる。これにより制御装置40のエリア選択部40eは、優先順位のフラグNに初期値としての「1」を代入し、(図8に示すステップST11の初期値代入工程)、そのうえで優先順位がNの作業エリアWAを選択する(図8に示すステップST12の作業エリア選択工程)。
制御装置40は、ステップST12において、エリア選択部40eが作業エリアWAの選択を行ったら、判定部40fに指令を出して、エリア選択部40eがステップST12で選択した作業エリアWA(以下、選択エリアと称する)内に基板2があるか(保持されているか)どうかの判定を行わせる(図8に示すステップST13の作業エリア基板有無判定工程)。これにより判定部40fは選択エリア内に基板2があるかどうかの判定を行い、その結果、判定部40fが選択エリアに基板2があると判定した場合には、制御装置40の作業実行判断部40aは、次いで、判定部40fに指令を出して、選択エリア内の基板2が部品4の装着対象となっている基板2であるかどうかの判定を行わせる(図8に示すステップST14の部品装着対象判定工程)。
これにより制御装置40の判定部40fは、選択エリア内の基板2が部品4の装着対象となっている基板2であるかどうかの判定を行うが、判定部40fは、部品4の装着が既に終了している基板2や、作業途中の検査によって不良箇所が発見され、部品4の装着を行わないよう指定されている基板2などについては、部品4の装着対象でないと判定する。これらの基板2の情報は、基板2の搬送過程や部品4の装着過程等において制御装置40が取得する。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST14において判定部40fが、選択エリア内の基板2が部品4の装着対象であると判定した場合には、部品4の装着対象である基板2の上方に基板カメラ16を(装着ヘッド14を)移動させ、その基板2に設けられた基板マーク(図示せず)の撮像を行う。そして、得られた画像を画像認識部40cに画像認識させることによって、基板2の正規の作業位置からの位置ずれを算出する(図8に示すステップST15の基板位置ずれ算出工程)。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST15で基板2の位置ずれを算出したら、ヘッド移動ロボット駆動機構43の作動制御を行ってヘッド移動ロボット15を作動させ、装着ヘッド14をテープフィーダ13の上方に移動させる。そして、ノズル駆動機構44の作動制御を行って、装着ヘッド14の吸着ノズル14Nをテープフィーダ13の部品供給口13pに供給された部品4に接触させるとともに、吸着機構45の作動制御を行うことによって吸着ノズル14Nへの真空圧の供給を行い、吸着ノズル14Nにより部品4をピックアップ(吸着)する(図8に示すステップST16のピックアップ工程)。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST16において、吸着ノズル14Nにより部品4をピックアップしたら、ヘッド移動ロボット15を作動させて、ステップST16でピックアップした部品4が部品カメラ17の上方を通過するように装着ヘッド14を移動させ、部品カメラ17によって部品4の撮像を行う。そして、得られた画像を画像認識部40cによって画像認識し、部品4の異常(変形や欠損など)の有無の検査を行うとともに、部品4の吸着ノズル14Nに対する位置ずれ(吸着ずれ)を求める(図8に示すステップST17の画像認識工程)。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST17の画像認識工程が終了したら、ヘッド移動ロボット15を作動させて、吸着ノズル14Nによりピックアップした部品4が基板2の上方に移動するように装着ヘッド14を移動させる。そして、ノズル駆動機構44の作動制御を行って、ピックアップした部品4を基板2上の目標装着位置(この目標装着位置の電極3上には、部品実装装置1の上流側に配置された半田印刷機によって半田が印刷されている)に接触させるとともに、吸着機構45の作動制御を行うことによって吸着ノズル14Nへの真空圧の供給を解除し、部品4を基板2に装着する(図8に示すステップST18の装着工程)。
ここで、制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST18で部品4を基板2に装着するときは、ステップST15の基板位置ずれ算出工程の実行時に求めた基板2の位置ずれと、ステップST17の画像認識工程の実行時に求めた部品4の吸着ずれが修正されるように、基板2に対する吸着ノズル14Nの位置補正(回転補正を含む)を行う。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST18の装着工程が終了したら、装着すべき全ての部品4の基板2への装着が終了したかどうかの判定を行う(図8に示すステップST19の装着終了判定工程)。その結果、装着すべき全ての部品4の基板2への装着が終了していなかった場合にはステップST16〜ステップST18の工程を繰り返して部品4の基板2への装着を実行し、装着すべき全ての部品4の基板2への装着が全て終了していた場合には、優先順位のフラグNの現在の数に「1」を加算したうえで(図8に示すステップST20のフラグ加算工程)、得られた新たなフラグNの数が「4」であるかどうかの判定を行う(図8に示すステップST21のフラグ判定工程)。そして、制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST20で得られた新たなフラグNの数が「4」でなかった場合にはステップST12に戻って優先順位がNの作業エリアの選択を行う。
一方、制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST20で得られた新たなフラグNの数が「4」であった場合には、ステップST11に戻って優先順位のフラグNを「1」にリセットし、そのリセットした優先順位のフラグN(N=1)でステップST12の作業エリアWAの選択を行う。したがって、前回優先順位が「1」の作業エリアWA(前方下流側エリアWA2)を選択していた場合には、今回は優先順位が「2」の作業エリアWA(後方下流側エリアWA4)を選択することになり、前回優先順位が「4」の作業エリアWA(後方上流側エリアWA3)を選択していた場合には、今回は優先順位が「1」の作業エリアWA(前方下流側エリアWA2)を選択することになる。
なお、制御装置40の作業実行制御部40aは、前述のステップST13又はステップST14において、判定部40fが、エリア選択部40eがステップST12で選択した作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされていないと判定した(具体的には、ステップST13において判定部40fが、ステップST12でエリア選択部40eが選択した作業エリアWAに基板2がないと判定した場合、或いは前述のステップST14において判定部40fが、ステップST12でエリア選択部40eが選択した作業エリアWAにある基板2が部品4の装着対象となっている基板2でなかったと判定した場合)には、ステップST15〜ステップST19の工程を実行することなく(すなわち、ステップST12で選択した作業エリアWAを無視して)、ステップST20に進み、ステップST21のフラグ判定工程を実行する。
このように、本実施の形態では、制御装置40が上記(3)の制御を行うことにより、4つの作業エリアWAのそれぞれに位置決めされた各基板2は、その基板2が部品4の装着がなされるべきものである場合には、予め定めた優先順位に従って順番に部品4の装着がなされ、基板2がない、或いは基板2があってもその基板2が部品4の装着がなされるべきものでない作業エリアWAについては無視されて次の優先順位の作業エリアWAに制御の対象が移る。
上記(4)の「基板送り出し工程」では、制御装置40の作業実行制御部40aは、図9のフローチャートに示すように、先ず、制御対象としている基板搬送路12の2つの位置決めコンベア(上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12c)のいずれか一方に装着ヘッド14による部品装着が終了した基板2があるかどうかの判定を行う(図9に示すステップST31の部品装着終了基板有無判定工程)。その結果、制御装置40は、上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12cのいずれにも部品装着が終了した基板2がないと判定した場合にはステップST31を繰り返し実行し、上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12cのいずれか一方に部品装着が終了した基板2があると判定した場合には、次いで、その部品装着が終了した基板2は下流側の作業エリアWA内のものかどうかの判定を行う(図9に示すステップST32のエリア判定工程)。
制御装置40は、ステップST32で、部品装着が終了した基板2が下流側の作業エリアWA内のものであると判定した場合には、次いで、制御対象としている基板搬送路12の搬出コンベア12dが空いている(基板2がない)かどうかの判定を行う(図9に示すステップST33の搬出コンベア空き判定工程)。そして、制御装置40の作業実行制御部40aは、搬出コンベア12dが空いていないと判定した場合にはステップST33を繰り返し実行し、搬出コンベア12dが空いていると判定した場合には、下流側の作業エリアWA内の基板2の保持を解除したうえで、下流側の作業エリアWA内の基板2を搬出コンベア12dに搬出し(図9に示すステップST34の下流側エリア内基板搬出工程)、ステップST31に戻る。そして新たに、制御対象としている基板搬送路12の2つの位置決めコンベア(上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12c)のいずれか一方に部品装着が終了した基板2があるかどうかの判定を行う。
一方、制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST32で、部品装着が終了している基板2が下流側の作業エリアWA内のものでない(すなわち、部品装着が終了している基板2が上流側の作業エリアWA内のものである)と判定した場合には、下流側の作業エリアWAが空いているかどうかの判定を行う(図9に示すステップST35の下流側エリア空き判定工程)。そして、制御装置40の作業実行制御部40aは、下流側の作業エリアWAが空いていないと判定した場合にはステップST35を繰り返し実行し、下流側の作業エリアWAが空いていると判定した場合には、次いで、搬出コンベア12dが空いているかどうかの判定を行う(図9に示すステップST36の搬出コンベア空き判定工程)。
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST36で搬出コンベア12dが空いていないと判定した場合にはステップST36を繰り返し実行し、搬出コンベア12dが空いていると判定した場合には、上流側の作業エリアWA内の基板2の保持を解除したうえで、上流側の作業エリアWA内の基板2を、下流側の作業エリアWA経由で搬出コンベア12dに搬出し(図9に示すステップST37の上流側エリア内基板搬出工程)、ステップST31に戻る。そして新たに、制御対象としている基板搬送路12の2つの位置決めコンベア(上流側位置決めコンベア12b及び下流側位置決めコンベア12c)のいずれか一方に部品装着が終了した基板2があるかどうかの判定を行う。
このように、本実施の形態では、制御装置40が上記(4)の制御を行うことにより、4つの作業エリアWAのいずれかに位置決めされて部品4の装着が行われた基板2は、その基板2が位置決めされている作業エリアWAが下流側の作業エリアWAであった場合には、搬出コンベア12dが空いていることを条件に搬出コンベア12dに送り出され、基板2が位置決めされている作業エリアWAが上流側の作業エリアWAであった場合には、下流側の作業エリアWA及び搬出コンベア12dが空いていることを条件に、搬出コンベア12dに送り出されるようになっている。
上記(5)の「基板搬出工程」では、制御装置40の作業実行制御部40aは、各基板搬送路12の搬出コンベア12dにその上流側に配置された下流側位置決めコンベア12cから基板2が送られてきたとき、その搬出コンベア12dを作動させて基板2を受け取らせ、搬出コンベア12dの下流側に配置された他の部品実装用装置への基板2の搬出を要求されたときには、その下流側の部品実装用装置に基板2が搬出されるように、コンベア駆動機構41の作動制御を行って搬出コンベア12dを作動させ、基板2を下流側に配置された他の部品実装用装置に搬出する。
以上説明したように、本実施の形態における部品実装装置1は、基板2の搬送方向(X軸方向)に並ぶ上流側及び下流側の2つの作業エリアWAを有し、基板2の搬送方向と直交する方向(Y軸方向)に平行に並んで設けられた2つの基板搬送路12と、2つの基板搬送路12が有する4つの作業エリアWA(前方上流側エリアWA1、前方下流側エリアWA2、後方上流側エリアWA3及び後方下流側エリアWA4)のそれぞれに位置決めされた基板2に対して部品4の装着を行う装着ヘッド14とを備え、更に、予め設定された優先順位に従って4つの作業エリアWAの中からひとつの作業エリアWAを選択するエリア選択手段(制御装置40のエリア選択部40e)と、エリア選択手段により選択されたひとつの作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされているかどうかの判定を行う判定手段(制御装置40の判定部40f)と、判定手段により、エリア選択手段により選択された作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされていると判定された場合には、その作業エリアWAに位置決めされている基板2に対する装着ヘッド14による部品装着を実行してエリア選択手段に次の優先順位の作業エリアWAを選択させ、判定手段により、エリア選択手段により選択された作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされていないと判定された場合には、その作業エリアWAを無視してエリア選択手段に次の優先順位の作業エリアWAを選択させる部品実装制御手段(制御装置40の作業実行制御部40a)を備えたものとなっている。
また、本実施の形態における部品実装方法は、上記本実施の形態における部品実装装置1による部品実装方法であって、4つの作業エリアWAの中からひとつの作業エリアWAを選択する工程(ステップST12)と、選択した作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされているかどうかの判定を行い、選択した作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされていると判定した場合には、その作業エリアWAに位置決めされている基板2に対する装着ヘッド14による部品装着を実行し、選択した作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされていないと判定した場合には、その作業エリアWAを無視する工程(ステップST13〜ステップST19)とから成るプロセス(ステップST12〜ステップST19)を、予め設定された優先順位に従って作業エリアWAを選択しながら繰り返し実行するものとなっている。
本実施の形態における部品実装装置1(部品実装方法)では、2つの基板搬送路12がそれぞれ2つの作業エリアWAを有することによって計4つの作業エリアWAを備え、予め設定された優先順位に従って4つの作業エリアWAの中からひとつの作業エリアWAを選択し、その選択した作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされているかどうかの判定を行い、選択した作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされていないと判定した場合にはその作業エリアWAを無視して次の優先順位の作業エリアWAを選択し、選択した作業エリアWAに部品装着の対象となる基板2が位置決めされていると判定した場合には、その作業エリアWAに位置決めされている基板2に対する装着ヘッド14による部品装着を実行するようになっており、4つの作業エリアWAのいずれかにまだ部品4の装着を行っていない基板2が位置決めされているときにはそれらの基板2を対象とした部品4の装着が継続される。したがって、基板2の搬入の遅れや基板2の搬出を行うことができない状況が生じた場合であっても基板2の生産性が大きく低下することを防止することができる。
また、本実施の形態では、優先順位は、一方の基板搬送路12の下流側の作業エリアWA(前方下流側エリアWA2)、他方の基板搬送路12の下流側の作業エリアWA(後方下流側エリアWA4)、一方の基板搬送路12の上流側の作業エリアWA(前方上流側エリアWA1)、他方の基板搬送路12の上流側の作業エリアWA(後方上流側エリアWA3)の順に設定されており、搬出コンベア12dのほか、下流側の位置決めコンベア12cも空いていなければ基板2の送り出しを行うことができない上流側の2つの作業エリアWA内の基板2よりも先に、搬出コンベア12dさえ空いていれば基板2の送り出しを行うことができる下流側の2つの作業エリアWA内の基板2に対して優先して部品装着がなされるようになっているので、部品装着を終えた基板2を少しでも早く外部に搬出することができ、その分生産効率を向上させることができる。
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、2つの基板搬送路12が有する4つの作業エリアWAに位置決めされた基板2に対して部品4の装着を行う装着ヘッド14が2つ設けられていたが、この装着ヘッド14の数は特に限定されるものではない。