JP5521817B2 - タイヤ情報を送信する送信装置およびタイヤ情報監視システム - Google Patents
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Description
具体的には、車輪状態検出装置のTPMS(Tire Pressure Monitoring System)バルブには、ケースに設けられた連通孔を開閉する連通部開閉機構が設けられている。パンク修理の際にそのパンク修理剤が連通孔を介して検出空間に侵入するのが規制される。この連通部開閉機構は、蓋体およびねじりコイルばねを含むメカ的機構により構成され、車輪に作用する遠心力により連通孔が自動的に開閉されるようになっている。
具体的には、タイヤ空気圧監視システムは、車両の各タイヤに設けられ、空気圧センサと送信機を有するセンサユニットと、該センサユニットからの電波を受信する受信機と、各タイヤの空気圧が閾値以下となった場合、警報を出す制御ECUと、を備える。このシステムにおいて、各タイヤのパンクを判定するパンク判定手段と、パンクと判定された後、パンク修理剤を使用してパンクを修理したか否かを判定するパンク修理剤使用判定手段と、を設け、前記制御ECUは、パンクしたタイヤがパンク修理剤を使用して修理したと判定されると、前記空気圧センサからのタイヤ空気圧値が正常値であっても警報を継続する。
特許文献2に記載のシステムおよびユニットは、パンク修理剤を使用してタイヤを修理した後において計測されたタイヤの空気圧の情報が正しいか否かがわからない。このため、パンク修理後において、タイヤの異常の有無を判定することはできない。
当該送信装置は、タイヤとリムで囲まれたタイヤ空洞領域に充填される気体の状態を、タイヤ情報として検出するセンサと、
検出した前記タイヤ情報を無線により送信する送信機と、
前記センサおよび前記送信機を覆う壁を備え、前記壁により前記タイヤ空洞領域から画された内部空間を備え、前記壁を貫通して前記内部空間とタイヤ空洞領域とを連通する通気孔が設けられた筐体と、を有し、
前記通気孔の周りには、可撓性を有するフィラメントが複数前記筐体の表面から立設しているブラシ状領域が形成されている。
前記ブラシ状領域の前記フィラメントの密度は、100mm2当たり30本以上である、ことが好ましい。
前記ブラシ状領域は、前記通気孔の周りに環状に形成され、前記環状のブラシ状領域の幅は10mm以上である、ことが好ましい。
また、前記ブラシ状領域は、前記通気孔の周りに環状に形成され、前記環状のブラシ状領域の内側の縁は、前記通気孔から2mm以上10mm以下離れている、ことが好ましい。
また、前記フィラメントの材質は、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、および、ナイロン66から選ばれる熱可塑性樹脂であり、前記フィラメントの立設する高さは、3mm以上10mm以下であることが好ましい。
前記システムは、送信装置と、受信装置と、監視部と、を備える。
前記送信装置は、
タイヤとリムで囲まれたタイヤ空洞領域に充填される気体の状態を、タイヤ情報として検出するセンサと、
検出した前記タイヤ情報を無線により送信する送信機と、
前記センサおよび前記送信機を覆う壁を備え、前記壁により前記タイヤ空洞領域から画された内部空間を備え、前記内部空間とタイヤ空洞領域とを連通する、前記壁を貫通する通気孔が設けられた筐体と、を有し、
前記通気孔の周りには、可撓性を有するフィラメントが複数前記筐体の表面から立設しているブラシ状領域が形成されている。
前記受信装置は、前記送信機から送信された前記タイヤ情報を受信する。
前記監視部は、前記タイヤ情報に基づいて、タイヤの異常の有無を判定し、判定結果を報知する。
図1は、タイヤ情報監視システムの実施形態であるタイヤ空気圧モニタリングシステム10の全体概要を示す図である。
タイヤ空気圧モニタリングシステム(以下、システムという)10は、車両12に搭載されている。システム10は、車両12の各車輪のタイヤ14a,14b,14c,14dの各タイヤ空洞領域に設けられた空気圧情報送信デバイス(以下、送信デバイスという)16a,16b,16c,16dと、監視装置18と、を有する。
図2は、送信デバイス16がタイヤ空洞領域内に固定される方法の一例を説明する図である。図3は、図2に示す送信デバイス16がタイヤバルブ20と一体化したデバイス全体を示す斜視図である。
送信デバイス16は、タイヤ空洞領域の側に延びるタイヤバルブ20の端部に設けられ、図2に示すように、タイヤバルブ20がリム19に機械的に固定されることにより、タイヤ空洞領域内に固定されて配置される。
図4は、図3に示すA−A線に沿った送信デバイス16の矢視断面図である。図4に示すように、送信デバイス16は、筐体22と、筐体22の内部に設けられた回路24を有する。回路24は、基板26と、基板26に設けられたセンサユニット28と、送信機30と、処理ユニット32と、電源部34と、アンテナ40(図5参照)と、を有する。筐体22には、筐体22の内部空間とタイヤ空洞領域の間を連通する、筐体2の壁を貫通する通気孔36が設けられている。筐体22の表面には、通気孔36の周りを取り囲むように、筐体22の表面から多数のフィラメント37が立設したブラシ状領域39が形成されている。ブラシ状領域39については後述する。
センサユニット28は、空気圧センサ28aとA/D変換器28bを有する。空気圧センサ28aは、筐体22内の内部空間38の空気圧を感知し、圧力信号を出力する。筐体22内の内部空間38は、筐体22に設けられた通気孔36(図4参照)を介してタイヤ空洞領域の空間と連通している。
A/D変換器28bは、空気圧センサ28aから出力された圧力信号をデジタル変換し、圧力データを出力する。
発振回路30aは、搬送波信号、例えば315MHz帯の周波数のRF信号を生成する。
変調回路30bは、中央処理部32aから送られた圧力データと送信デバイス16に固有の識別情報とを用いて、搬送波信号を変調して送信信号を生成する。変調方式は、振幅偏移変調(ASK)、周波数変調(FM)、周波数偏移変調(FSK)、位相変調(PM)、位相偏移変調(PSK)等の方式を用いることができる。
増幅回路30cは、変調回路30bで生成された送信信号を増幅する。増幅された送信信号は、アンテナ40を介して、監視装置18に無線で送信される。
電源部34は、例えば二次バッテリが用いられ、半永久的にセンサユニット28と、送信機30と、処理ユニット32と、に電力を供給する。
パンク修理剤は、一般的に、その性質上振動等を受けることにより硬化し易くなる。このため、パンク修理剤が筐体22に付着して筐体22の表面を伝って通気孔36の方向に流れる場合、パンク修理剤は、ブラシ状領域39の可撓性を有するフィラメント37を通る。このとき、フィラメント37は、タイヤの転動によって前後左右に振動するため、パンク修理剤はフィラメント37によって硬化する。このため、パンク修理剤は、通気孔36に到達しない。
また、ブラシ状領域39のフィラメント37は可撓性を有するので、筐体22の表面からフィラメント37が突出しても、リム組時リム組レバーやタイヤのビード部と干渉し、リム組みを阻止することはない。
図6および図7(a),(b)はフィラメント37およびブラシ状領域39の寸法を示す。
フィラメント37の立設する高さB(図7(a),(b)参照)は、3mm以上10mm以下であることが好ましい。高さBが3mm未満である場合、可撓性が無くなり、筐体22の上方から飛散したパンク修理剤が、フィラメント37の振動により硬化し難くなり、その結果、パンク修理剤が通気孔36に流れ込みやすくなる。一方、高さBが10mmを超える場合、パンク修理剤はフィラメント37を伝って通気孔36に近づきやすくなる、
また、ブラシ状領域39には、フィラメント37の密度が100mm2当たり30本以上であることが好ましい。ブラシ状領域39のフィラメント37が上記密度の範囲にあることにより、パンク修理剤がブラシ状領域39において滞留し、硬化し易くなり、通気孔36に到達し難くなる。
また、ブラシ状領域39は、通気孔36の周りに環状に形成され、環状のブラシ状領域39の内側の縁は、通気孔36の縁から2mm以上10mm以下離れている、ことが好ましい。すなわち、図6に示す距離Aが2mm以上10mm以下であることが好ましい。距離Aが10mmを超える場合、パンク修理剤が飛散によりブラシ状領域39の内側の領域に付着する可能性があるためである。また、距離Aが2mm未満である場合、ブラシ状領域39の内側の縁に位置するフィラメント37に付着したパンク修理剤がこのフィラメント37を伝って通気孔36に移動し易くなるためである。
撥水処理として、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、あるいは、有機シリル基またはフルオロアルキル基等をグラフトさせた変性樹脂等が表面に膜として形成される。また、撥水性を発現する微細な凹凸パターンを、通気孔36の開口部を取り巻く領域の面に形成される。さらに、通気孔36の内周面に撥水処理が施されてもよい。通気孔36の開口部を取り巻く領域の面、あるいは通気孔36の内周面に対して撥水処理を施すことにより、この領域に飛散するパンク修理剤ははじかれてパンク修理剤が付着する可能性が低くなる。このため、パンク修理剤がこの領域に付着して通気孔36を閉塞する可能性は極めて低下する。
また、送信デバイス16は、タイヤバルブ20に固定される他、タイヤ空洞領域に面したタイヤ内表面あるいは、タイヤ空洞領域に面したリム19の表面に直接固定されてもよい。
図8は、監視装置18の回路構成図である。
監視装置18は、例えば車両10の運転席の位置に配置され、運転者に空気圧の情報を報知する。監視装置18は、アンテナ52と、受信部54と、受信バッファ56と、中央処理部58と、記憶部60と、操作部62と、スイッチ64と、表示制御部66と、表示部68と、電源部70と、を有する。
受信部54は、送信デバイス16から送信された所定の周波数の送信信号を受信し、復調処理をして圧力データと識別情報のデータを取り出す。このデータは、受信バッファ56に出力する。
受信バッファ56は、受信部54から出力された圧力データと識別情報のデータを一時的に格納する。格納された圧力データと識別情報のデータは、中央処理部58からの指示にしたがって、中央処理部58に出力される。
さらに、中央処理部58は、操作部62からの情報やスイッチ64からの情報に応じて、送信デバイス16との間の通信方式等の初期設定を行う。また、操作部62からの情報により、中央処理部58においてタイヤの異常の有無の判定を行うための判定条件を設定することもできる。
記憶部60は、中央処理部58のCPUを動作するプログラムが記憶されたROMと、EEPROM等の不揮発性メモリとを有する。この記憶部60には、製造段階で、送信デバイス16との間の通信方式のテーブルが記憶されている。送信デバイス16と監視装置18は、初期段階において予め設定されている通信方式で通信する。通信方式テーブルには、送信デバイス16のそれぞれの固有の識別情報に対応して、通信プロトコル、転送ビットレート、データフォーマット等の情報が含まれている。これらの情報は、操作部62からの入力により自在に設定変更をすることができる。
表示制御部66は、中央処理部58からの判定結果に応じて、タイヤ14a〜14dの装着位置に対応させてタイヤの空気圧を表示部68に表示させるように制御する。その際、表示制御部66は、タイヤがパンク状態にあるといった判定結果も、表示部68に同時に表示させるように制御する。
電源部70は、車両10に搭載されているバッテリから供給された電力を、監視装置18の各部分に適した電圧に制御して、図示されない電源ラインを通して電力を供給する。
このように、送信デバイス16と監視装置18は構成される。
以下、本実施形態の効果を調べるために、送信デバイスにおいて、種々のブラシ状領域39を作製した。
まず、実施例1〜5および従来例を用いて、距離A(図6参照)と高さB(図7(a),(b)参照)を種々変化させた。
実施例1〜5では、いずれもフィラメント37を筐体22の表面に設け、フィラメント37の太さを0.5mm、フィラメント37の密度を100mm2当たり50本とし,ブラシ状領域39の幅Cを20mmに固定した。フィラメント37の材質としてナイロン66を用いた。
従来例は、ブラシ状領域39を設けない構成とした。
送信デバイスを評価する際、195/65R15の乗用車用タイヤを用い、タイヤの空気圧を200kPaとした。ドラム走行試験を行う前に、パンク修理剤をタイヤ空洞領域に略450ml注入し、システム10で計測される空気圧の値が、正しい空気圧に対して5%低下する、すなわち誤動作をするまでの時間を調べた。
表1に実施例1〜5および従来例の仕様と、その評価結果を示す。
次に、フィラメント37の太さ(直径)の効果について調べた。
フィラメント37の太さを種々変更した実施例6〜8を作製した。実施例6〜8におけるフィラメント37の密度、距離A、高さB、幅Cは、実施例1のフィラメント37の密度、距離A、高さB、幅Cに揃えた。フィラメント37の材質としてナイロン66を用いた。
評価には、上記評価方法と同様の方法が用いられ、システム10が誤動作するまでの時間で評価した。
下記表2に、実施例1とともに、実施例6〜8の仕様と、その評価結果を示す。
次に、フィラメント37の密度の効果について調べた。
フィラメント37の密度を種々変更した実施例9〜11を作製した。実施例9〜11におけるフィラメント37の太さ、距離A、高さB、幅Cは、実施例1のフィラメント37の太さ、距離A、高さB、幅Cに揃えた。フィラメント37の材質としてナイロン66を用いた。
評価には、上記評価方法と同様の方法が用いられ、システム10が誤動作するまでの時間で評価した。
下記表3に、実施例1とともに、実施例9〜11の仕様と、その評価結果を示す。
次に、ブラシ状領域39の幅Cの効果について調べた。
ブラシ状領域39の幅Cを種々変更した実施例12〜14を作製した。実施例12〜14におけるフィラメント37の太さ、密度、距離A、高さBは、実施例1のフィラメント37の太さ、密度、距離A、高さBに揃えた。フィラメント37の材質としてナイロン66を用いた。
評価には、上記評価方法と同様の方法が用いられ、システム10が誤動作するまでの時間で評価した。
下記表4に、実施例1とともに、実施例12〜14の仕様と、その評価結果を示す。
12 車両
14,14a,14b,14c,14d タイヤ
16,16a,16b,16c,16d 空気圧情報送信デバイス
18 監視装置
19 リム
20 タイヤバルブ
22 筐体
24 回路
26 基板
28 センサユニット
28a 空気圧センサ
28b A/D変換器
30 送信機
32 処理ユニット
34 電源部
36 通気孔
37 フィラメント
37a 径拡大部
38 内部空間
39 ブラシ状領域
40 アンテナ
42 開口部
52 アンテナ
54 受信部
56 受信バッファ
58 中央処理部
60 記憶部
62 操作部
64 スイッチ
66 表示制御部
68 表示部
70 電源部
Claims (9)
- タイヤ空洞領域に設けられ、タイヤの状態に関するタイヤ情報を送信する送信装置であって、
タイヤとリムで囲まれたタイヤ空洞領域に充填される気体の状態を、タイヤ情報として検出するセンサと、
検出した前記タイヤ情報を無線により送信する送信機と、
前記センサおよび前記送信機を覆う壁を備え、前記壁により前記タイヤ空洞領域から画された内部空間を備え、前記壁を貫通して前記内部空間とタイヤ空洞領域とを連通する通気孔が設けられた筐体と、を有し、
前記通気孔の周りには、可撓性を有するフィラメントが複数前記筐体の表面から立設しているブラシ状領域が形成されている、ことを特徴とする送信装置。 - 前記フィラメントの材質は、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、および、ナイロン66から選ばれる熱可塑性樹脂であり、前記フィラメントの直径は1mm以下である、請求項1に記載の送信装置。
- 前記ブラシ状領域の前記フィラメントの密度は、100mm2当たり30本以上である、請求項2に記載の送信装置。
- 前記ブラシ状領域は、前記通気孔の周りに環状に形成され、前記環状のブラシ状領域の幅は10mm以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の送信装置。
- 前記ブラシ状領域は、前記通気孔の周りに環状に形成され、前記環状のブラシ状領域の内側の縁は、前記通気孔から2mm以上10mm以下離れている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の送信装置。
- 前記ブラシ状領域の内側の縁と前記通気孔との間の領域は、撥水処理が施されている、請求項5に記載の送信装置。
- 前記フィラメントの材質は、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、および、ナイロン66から選ばれる熱可塑性樹脂であり、前記フィラメントの立設する高さは、3mm以上10mm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の送信装置。
- 立設する前記フィラメントの先端部には、前記フィラメントの基部および中間部に比べて直径が太くなった径拡大部が設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の送信装置。
- タイヤ状態監視システムであって、
前記システムは、送信装置と、受信装置と、監視部と、を備え、
前記送信装置は、
タイヤとリムで囲まれたタイヤ空洞領域に充填される気体の状態を、タイヤ情報として検出するセンサと、
検出した前記タイヤ情報を無線により送信する送信機と、
前記センサおよび前記送信機を覆う壁を備え、前記壁により前記タイヤ空洞領域から画された内部空間を備え、前記内部空間とタイヤ空洞領域とを連通する、前記壁を貫通する通気孔が設けられた筐体と、を有し、
前記通気孔の周りには、可撓性を有するフィラメントが複数前記筐体の表面から立設しているブラシ状領域が形成され、
前記受信装置は、前記送信機から送信された前記タイヤ情報を受信し、
前記監視部は、前記タイヤ情報に基づいて、タイヤの異常の有無を判定し、判定結果を報知する、ことを特徴とするタイヤ状態監視システム。
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