JP5556861B2 - ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
非制動中に前記押圧手段が前記ディスクロータから離間する方向に移動する離間移動が起きる状況を検出する第1の検出手段と、
前記ディスクロータが前記ブレーキパッドを押圧したことを検出する第2の検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の検出手段によって前記押圧手段の離間移動が起きる状況が検出されたとき、前記第2の検出手段による検出を開始し、
該第2の検出手段によって前記ブレーキパッドの押圧を検出する毎に、当該検出の度毎に前記電動モータを制御して前記押圧手段を一定量後退させた後、前記押圧手段の位置を保持する位置保持制御を繰り返して行ない、
前記押圧手段を後退させた後、該離間移動の要因が解除されたことを前記第1の検出手段により検出したとき、前記電動モータにより、前記押圧手段を前記ディスクロータに接近させることを特徴とする。
本発明の第1実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。本実施形態に係るブレーキ装置の概略構成を図1に示す。図1に示すように、ブレーキ装置1は、各車輪に設けられたディスクブレーキ2(1輪分のみ図示する)と、ディスクブレーキ2に管路3を介して接続されたマスタシリンダ4(第1の制動機構、メインの制動機構)と、管路3に設けられた増圧弁5及びカット弁6と、管路3の増圧弁5とカット弁6と間に接続された液圧ポンプモータ7(液圧ポンプ、第2の制動機構、サブの制動機構)と、液圧ポンプモータ7とリザーバ8との間に設けられた供給弁9と、横加速度センサ10、車輪速センサ11、ヨーレートセンサ12及び操舵角センサ13等の車両状態を検知するための各種センサ(ノックバック検出手段、検出手段)と、これらの各種センサの検出に基づいて増圧弁5、カット弁6、液圧ポンプモータ7及び供給弁9を制御するコントローラ14(制御手段)とを備えている。
コントローラ14は、通常は、増圧弁5、カット弁6、液圧ポンプモータ7及び供給弁9に制御信号(制御電流)を出力せず、増圧弁5及びカット弁6を開き、液圧ポンプモータ7を停止させ、供給弁9を閉じる。この状態では、運転者がブレーキペダル19を操作することにより、マスタシリンダ4で発生した液圧が管路3によってディスクブレーキ2のシリンダ15に供給され、ピストン16がブレーキパッド17をディスクロータ18に押圧してブレーキペダル1の操作力に応じて制動力が発生する。
コントローラ14は、制御信号を出力して、カット弁6を閉じ、供給弁9を開き、液圧ポンプモータ7を作動させ、マスタシリンダ4をディスクブレーキ2から遮断すると共に、液圧ポンプモータ7によって発生した液圧をディスクブレーキ2のシリンダ15に供給することにより、ブレーキペダル19を操作することなく、制動力を発生させることができる。そして、増圧弁5を閉じてディスクブレーキ2のシリンダ15内の液圧を保持し、また、増圧弁5を開き、液圧ポンプモータ7を停止し、カット弁6を開くことにより、ディスクブレーキ2のシリンダ内の液圧を減圧することができる。これにより、車両状態に基づいて、各車輪のディスクブレーキ2の制動力を制御することができ、アンチロック制御、トラクション制御及び車両安定化制御等が可能になる。
車両の旋回中に車体に大きな横加速度(例えば3m/s2以上)が生じたとき、車輪に作用する横力によってディスクロータ18に倒れが生じ、ブレーキパッド17すなわちピストン16が押し戻されてノックバックが発生することがある。このとき、ノックバック制御部20は、横加速度センサ10の検出に基づき、横加速度が所定の閾値を超えたとき、ノックバックが発生したと判断する。その後、横加速度が所定の閾値以下となっとき、ノックバック要因が解除されたと判断する。そして、ノックバック要因の解除が判断された後、車輪速センサ11、ヨーレートセンサ12及び操舵角センサ等の検出に基づいて車両の走行状態を判断し、走行状態がノックバックを生じない通常走行状態(直線走行等)であると判断したとき、液圧ポンプモータ7によってディスクブレーキ2のシリンダ15に液圧を供給することにより、ノックバックによって後退したピストン16を前進させてパッドクリアランスを調整する。
パッドクリアランスの調整は、次のようにして行うことができる。図2に示すように、ノックバックが生じる際に車体に作用する横加速度とピストン16の後退量(シリンダ15から排出されるブレーキ液量)との関係を予め実験等を行うことよって決定しておく。また、図3に示すように、液圧ポンプモータ7によってディスクブレーキ2のシリンダ15にブレーキ液を供給する際のピストン16の移動量と液圧ポンプモータ7の吐出量(例えば、回転数(rpm)×運転時間)との関係を液圧ポンプモータ7の特性等から予め決定しておく。そして、図2及び図3に示す関係から、パッドクリアランスが適正となるように、液圧ポンプモータ7によってディスクブレーキ2のシリンダ15にブレーキ液を供給し、ピストン16を前進させてパッドクリアランスを調整する。
ノックバック制御部20のノックバック制御について図6に示すタイムチャートを参照して説明する。ノックバック制御部20は、横加速度センサ10の検出に基づき、横加速度が所定の閾値aを超えた場合、ノックバックが発生の可能性ありと判断し、増圧弁5を閉じて、液圧センサ22によるディスクブレーキ2のシリンダ15内の液圧の監視を開始する(時刻t1)。シリンダ内の液圧が所定の液圧閾値bを超えた場合(あるいは、液圧変化の時間積分が所定の閾値を超えた場合)、ノックバックの発生を決定する(時刻t2)。そして、ノックバックの発生を決定した場合には、増圧弁5を一定時間開いてシリンダ15内の液圧をリリーフした後、増圧弁5を閉じてシリンダ15内の液圧の監視を再開し(時刻t3)、これを繰返す。
パッドクリアランスの調整は、次のようにして行うことができる。図6に示すように、ノックバックによるピストン16の後退量は、シリンダ15内の液圧が液圧閾値bを超えた後、増圧弁5が開いて、その液圧がリリーフされる度に増大するので、ノックバックの発生を決定した後、増圧弁5の開弁回数をカウントすることによって決定することができる。あるいは、図7に示すように、シリンダ15内の液圧とピストン16の後退量との関係を実験等によって予め設定しておき、シリンダ15内の液圧を液圧センサ22によって監視することによって、ピストン16の後退量を決定することができる。このようにして決定したノックバックによるピストン16の後退量に対して、上記第1実施形態のものと同様、図3に示すピストン移動量と液圧ポンプモータ7の吐出量との関係に基づき、液圧ポンプモータ7によってシリンダ15にブレーキ液を供給し、ピストン16を前進させてパッドクリアランスを調整する。
ノックバック制御部20のノックバック制御について図9に示すタイムチャートを参照して説明する。悪路走行中には、車輪がバウンドし、このとき、車輪の回転速度が急激に変化する。ノックバック制御部20は、車輪速センサ11が検出する車輪速を監視し、車輪速度の変化(車輪加速度の絶対値)が所定の閾値cを超えたとき、ノックバックが発生の可能性ありと判断し、増圧弁5を閉じて、液圧センサ22によるディスクブレーキ2のシリンダ15内の液圧の監視を開始する(時刻t1)。シリンダ内の液圧が所定の液圧閾値dを超えた場合(あるいは、液圧変化の時間積分が所定の閾値を超えた場合)、ノックバックの発生を決定する(時刻t2)。そして、ノックバックの発生を決定した場合には、増圧弁5を一定時間開いてシリンダ15内の液圧をリリーフした後、増圧弁5を閉じてシリンダ15内の液圧の監視を再開し(時刻t3)、これを繰返す。
パッドクリアランスの調整は、次のようにして行うことができる。図9に示すように、ノックバックによるピストン16の後退量は、シリンダ15内の液圧が液圧閾値dを超えた後、増圧弁5が開いて、その液圧がリリーフされる度に増大するので、ノックバックの発生を決定した後、増圧弁5の開弁回数をカウントすることによって決定することができる。あるいは、図7に示すように、シリンダ15内の液圧とピストン16の後退量との関係を実験等によって予め設定しておき、シリンダ15内の液圧を液圧センサ22によって監視することによって、ピストン16の後退量を決定することができる。このようにして決定したノックバックによるピストン16の後退量に対して、上記第1実施形態のものと同様、図3に示すピストン移動量と液圧ポンプモータ7の吐出量との関係に基づき、液圧ポンプモータ7によってシリンダ15にブレーキ液を供給し、ピストン16を前進させてパッドクリアランスを調整する。
本実施形態に係るブレーキ装置の概略構成を図11に示す。図11に示すように、ブレーキ装置23は、各車輪に設けられた電動ディスクブレーキ24(一輪のみ図示する)と、ブレーキペダル25に連結されたペダル操作量センサ26と、ペダル操作量センサ26に接続された車両側制御部27と、横加速度センサ28、車輪速センサ29、ヨーレートセンサ30及び操舵角センサ31等の車両状態を検知するための各種センサと、これらの各種センサからの検出信号及び車両側制御部27からの指令信号に基づいて、各車輪の電動ディスクブレーキ24を制御するコントローラ32(制御手段)とを備えている。これらのブレーキ装置23を構成する各要素は、車載ネットワークによって相互接続されており、必要な制御信号を授受するようになっている。
(運転者の操作による通常のブレーキ作動)
車両側制御部27は、ペダル操作量センサ26によって検出した運転者によるブレーキペダル25の操作に基づいて、ピストン40の推力(制動力)の指令値を決定する。コントローラ32は、車両制御部27によって決定されたピストン40の推力指令値に基づいて、電動モータ47に制御電流を供給してロータ48を回転させる。ロータ48の回転は、差動減速機構42によって所定の減速比で減速され、ボールランプ機構41によって直線運動に変換されてピストン40を前進させる。ピストン40の前進によって、一方のブレーキパッド35Bがディスクロータ33に押圧され、その反力によってキャリパ本体36が移動して、爪部38が他方のブレーキパッド35Aをディスクロータ33に押圧して制動力を発生させる。そして、レゾルバ50によって検出したロータ48の回転位置に基づいて電動モータ47の回転を調整して、ピストン40の推力(制動力)を指令値に制御する。ブレーキパッド35A、35Bの摩耗に対しては、パッド摩耗補償機構43の調整スクリュ49が前進してボールランプ機構41を摩耗に追従させることによって補償する。
また、コントローラ32は、横加速度センサ28、車輪速センサ29、ヨーレートセンサ30、操舵角センサ31等の各種センサを用いて、各車輪の回転速度、車両速度、車両加速度、操舵角および車両横加速度等の車両状態を検出し、これらの検出に基づいて電動モータ47の回転を制御することにより、倍力制御、アンチロック制御、トラクション制御および車両安定化制御等を実行することができる。
車両の旋回中に車体に大きな横加速度(例えば3m/s2以上)が生じたとき、車輪に作用する横力によってディスクロータ33に倒れが生じ、ブレーキパッド35A、35Bが押し戻されてノックバックが発生することがある。このとき、ノックバック制御部52は、横加速度センサ28の検出に基づき、横加速度が所定の閾値eを超えた場合、ノックバックが発生の可能性ありと判断し、レゾルバ50が検出するロータ48の回転位置信号に基づいて、ピストン40の位置を保持する位置保持制御を開始(オン)すると共に、電動モータ47の電流を監視する(時刻t1)。そして、電動モータ47の電流が所定の閾値fを超えたとき、ノックバックによってピストン40にディスクロータ33から離間する方向の力が作用したことを検知してノックバックの発生を決定し(時刻t2)、ピストン40の位置保持制御を解除(オフ)し、一定量だけピストン40を後退させて位置保持制御を再開する(時刻t3)。その後、継続してノックバックの可能性ありと判断されている場合(電動モータ47の電流>閾値f)、順次この動作を繰返してノックバックに対してピストン40を後退させる。なお、上記において、ノックバックの発生の決定は、電動モータ47の電流を閾値fと比較することによって行っているが、このほか、電動モータ47の電流の時間積分を所定の閾値と比較することによって行うようにしてもよい。
その後、横加速度が所定の閾値e以下となっとき、ノックバック要因が解除されたと判断する。そして、ノックバック要因の解除が判断された後、車輪速センサ29、ヨーレートセンサ30及び操舵角センサ31等の検出に基づいて車両の走行状態を判断し、走行状態がノックバックを生じない通常走行状態(直線走行等)であると判断した場合、電動モータ47を作動させ、ピストン40を前進させて、ブレーキパッド35A、35Bとディスクロータ33との隙間を調整する。このとき、レゾルバ50が検出するロータ48の回転位置信号に基づいて、ノックバックが生じる前の位置までピストン40を前進させることにより、パッドクリアランスを適切に調整することができる。
本実施形態のノックバック制御について図15に示すタイムチャートを参照して説明する。本実施形態に係るブレーキ装置では、コントローラ32のノックバック制御部は、横加速度センサ28の検出に基づき、横加速度が所定の閾値eを超えたとき(時刻t1)、ノックバックが発生の可能性ありと判断する。そして、その時点において、ピストン40の位置を保持するために必要な電動モータ47への通電電流及びピストン40の初期位置(ロータ48の回転位置)を記憶し、電動モータ47の通電電流による電流制御を開始すると共に、レゾルバ50が検出するロータ48の回転位置信号を監視する。ノックバックによってピストン40にディスクロータ33から離間する方向の力が作用すると、ピストン40が後退して、その後退量がロータ48の回転位置信号としてレゾルバ50によって検出される。
その後、横加速度が所定の閾値e以下となっとき、ノックバック要因が解除されたと判断する。そして、ノックバック要因の解除が判断された後、車輪速センサ29、ヨーレートセンサ30及び操舵角センサ31等の検出に基づいて車両の走行状態を判断し、走行状態がノックバックを生じない通常走行状態(直線走行等)であると判断した場合、電動モータ47を作動させ、ピストン40を前進させて、ブレーキパッド35A、35Bとディスクロータ33との隙間を調整する。このとき、レゾルバ50が検出するロータ48の回転位置信号に基づいて、ノックバックが生じる前の位置までピストン40を前進させることにより、パッドクリアランを適切に調整することができる。
Claims (4)
- 車両のディスクロータにブレーキパッドを押圧する押圧手段を作動する電動モータを備えた制動機構と、該制動機構をブレーキペダルの操作に基づいて制御し、また、前記ブレーキペダルの操作とは関係なく前記制動機構を制御可能な制御手段とを備えたブレーキ装置において、
非制動中に前記押圧手段が前記ディスクロータから離間する方向に移動する離間移動が起きる状況を検出する第1の検出手段と、
前記ディスクロータが前記ブレーキパッドを押圧したことを検出する第2の検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の検出手段によって前記押圧手段の離間移動が起きる状況が検出されたとき、前記第2の検出手段による検出を開始し、
該第2の検出手段によって前記ブレーキパッドの押圧を検出する毎に、当該検出の度毎に前記電動モータを制御して前記押圧手段を一定量後退させた後、前記押圧手段の位置を保持する位置保持制御を繰り返して行ない、
前記押圧手段を後退させた後、該離間移動の要因が解除されたことを前記第1の検出手段により検出したとき、前記電動モータにより、前記押圧手段を前記ディスクロータに接近させることを特徴とするブレーキ装置。 - 前記制御手段は、前記第1の検出手段が前記押圧手段の離間移動が起きる状況を検出したときに、前記押圧手段の離間移動が起きる前の前記押圧手段の位置を記憶し、前記離間移動の要因が解除されたことを前記第1の検出手段により検出したとき、前記電動モータにより前記押圧手段を前記記憶した位置まで戻すことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
- 前記制御手段は、前記第1の検出手段が前記押圧手段の離間移動が起きる状況を検出したときに、前記押圧手段の離間移動が起きる前の前記押圧手段の位置を記憶し、前記押圧手段の離間移動の要因が解除されたことを前記第1の検出手段により検出し、かつ、ブレーキ操作またはブレーキ制御の介入がないとき、前記制御手段は、前記電動モータにより前記押圧手段を前記記憶した位置まで戻すことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
- 前記第1の検出手段は、横加速度センサであって、該横加速度センサの検出値が閾値以下の場合、前記押圧手段の離間移動の要因が解除されたと判断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のブレーキ装置。
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