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JP5547123B2 - 油中水型乳化化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は油中水型乳化化粧料に関し、特にはり感に優れ、かつ保湿効果や使用感にも優れた油中水型乳化化粧料に関する。
乳化組成物は水中油型(O/W)及び油中水型(W/O)に大別されており、さらには油中水中油型(O/W/O)、水中油中水型(W/O/W)等のマルチタイプも存在する。これらは従来、化粧料分野ではスキンケア用のクリーム、乳液、ヘアケア用クリーム等に活用されている。
その中でも油相を外相、水相を内相とした油中水型乳化化粧料は、油溶性の有効成分、例えばエモリエント油、油溶性の薬剤、紫外線吸収剤等を効率的に皮膚上に展開できることから、化粧料として適した剤型であり、この点において水中油型よりも優れている。
このような油中水型乳化化粧料において、近年、肌へのはり感(肌がたるまず、つっぱらず、適度に弾力を有する使用感)の付与が求められている。
従来、はり感を付与する物質としては、高分子等が用いられている。例えば、ポリアスパラギン酸塩(特許文献1)や、ポリビニルアルコール(特許文献2)を用いることにより、はり感を有する油中水型乳化組成物が知られている。また、ステアリン酸ステアリルと、水添ポリイソブテン等の炭化水素を併用することにより、はり感を有する乳化化粧料も知られている(特許文献3)。
しかし、保湿効果や他の使用性効果を出すために配合される保湿剤や油分により、はり感が弱まってしまう場合があった。
また、水添ポリイソブテンを配合した皮膚化粧料が知られている(特許文献4)。しかし、この皮膚化粧料は、水中油型乳化化粧料であって、はり感に満足できるものではなかった。
特開2005−306797号公報 特開2010−229103号公報 特開2010−235472号公報 特開2010−6726号公報
本発明は前記従来技術の課題に鑑み行われたものであり、はり感および保湿効果に非常に優れた油中水型乳化化粧料を提供することを目的とする。
本発明者らが前述の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、水添ポリイソブテンと、それと相溶性が低い揮発性油分を配合し、油中水型乳化化粧料とすることにより、はり感および保湿効果が両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる油中水型乳化化粧料は、次の(A)〜(D)を含み、
(A)成分および(B)成分に対する(b1)成分の割合が、48〜85%であって、(b2)成分の配合量が、(A)成分の配合量の2倍以下であることを特徴とする。
(A)水添ポリイソブテン 0.5〜10質量%
(B)(b1)を含む油分
(b1)(A)と相溶性が低い揮発性油分である、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランから選択される油分
(b2)粘度が1000mPa・s未満の油分(ただし、(b1)成分を除く)
(C)乳化剤
(D)水性成分 60〜90質量%
前記油中水型乳化化粧料において、(B)成分中に(b3)高粘度油分を含むことが好適である。
本発明にかかる油中水型乳化化粧料は、水添ポリイソブテンおよび、水添ポリイソブテンと相溶性が低い揮発性油分と、乳化剤と、水性成分と、を含有する化粧料であり、はり感に優れ、保湿効果および使用性にも優れた油中水型乳化化粧料を提供することができる。
水添ポリイソブテンと追加油分(水添ポリイソブテンと相溶性が高い揮発性油分)の肌上での挙動を表す図である。 水添ポリイソブテンと追加油分(水添ポリイソブテンと相溶性が低い揮発性油分)の肌上での挙動を表す図である。 水添ポリイソブテンと追加油分(水添ポリイソブテンと相溶性が低い非揮発性油分)の肌上での挙動を表す図である。
本発明にかかる油中水型乳化化粧料は、(A)水添ポリイソブテンと、(B)(b1)水添ポリイソブテンと相溶性が低い揮発性油分と、(C)乳化剤と、(D)水性成分から構成されている。
以下、各成分について詳述する。
((A)水添ポリイソブテン)
(A)水添ポリイソブテンは、イソブテンとn−ブテンとを共重合した後に水素添加して得られる炭化水素混合物である。本発明に用いられる水添ポリイソブテンは、化粧料に一般に用いられているものを使用することができる。
(A)水添ポリイソブテンは、平均分子量1500〜5000のものが好適であり、平均分子量1500〜3000のものが特に好適である。平均分子量が低すぎると、はり感が十分でない場合がある。また、平均分子量が大きすぎると、のびが重くなる等、使用性に影響が出る場合がある。
本発明にかかる油中水型乳化化粧料の(A)水添ポリイソブテンの配合量は、化粧料全量に対して、0.5〜10質量%であることが必要である。また、0.5〜8質量%であることが好適であり、1〜5質量%であることが特に好適である。(A)成分の配合量が0.5質量%未満では、はり感および保湿効果が十分に得られない。(A)成分の配合量が10質量%を超えると、べたつきのなさややわらかさ等の使用性や、安定性に劣る。
((B)油分)
本発明の(B)油分には、(b1)成分である(A)水添ポリイソブテンと相溶性が低い揮発性油分を含むことが必要である。
ここで、水添ポリイソブテンと相溶性が低い油分とは、水添ポリイソブテンと対象の油分とを混合し、80℃に加熱して室温に戻した場合に、均一な透明層にならない油分のことである。また、揮発性油分とは、1気圧での沸点が300℃以下の油分のことである。
このような(b1)成分としては、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、パーフルオロメチルシクロペンタン、パーフルオロジメチルシクロヘキサン、メチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル等が挙げられる。
また、本発明にかかる油中水型乳化化粧料の(b1)水添ポリイソブテンと相溶性が低い揮発性油分の配合量は、化粧料全量に対して6〜20質量%であることが好適であり、10〜20質量%であることがより好適であり、13〜18質量%であることが特に好適である。(b1)成分の配合量が少なすぎると、はり感に劣る場合がある。(b1)成分の配合量が多すぎると、安定性や使用性に劣る場合がある。
本発明の油中水型乳化化粧料には、(B)油分として、上記必須成分である(b1)成分の他に、(b2)粘度が1000mPa・s未満の油分を配合することが好ましい。本発明において、粘度とは、常温(25℃)で粘度計において測定された値である(粘度計の測定条件は、BL型、12rpm、ローターNo.2)。
このような(b2)粘度が1000mPa・s未満の油分としては、例えば、シリコーン油、極性油分、非極性油分等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどの鎖状シリコーン油、および環状シリコーン油等が挙げられる。
極性油分としては、例えば、オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソデシル、コハク酸2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチルなどのエステル油等が挙げられる。
非極性油分としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソヘキサデカン等の炭化水素油等が挙げられる。
本発明の油中水型乳化化粧料に(b2)成分を配合する場合、(b2)成分の配合量が、(A)成分の配合量の2倍以下であることが好適である。(b2)成分の配合量が、(A)成分の配合量の2倍を超えると、十分なはり感が得られない場合がある。
本発明の化粧料には、さらに、(b3)高粘度油分を配合することも好ましい。
本発明において、(b3)高粘度油分とは、固形油、半固形油、(A)成分以外の粘度が1000mPa・s以上の油分から選択される油分のことである。これらの油分は、単独で配合しても、2種類以上配合しても良い。
高粘度油分を含むことにより、はり感や保湿効果により優れた油中水型乳化化粧料を得ることができる。なお、高粘度油分の配合量は、乳化化粧料の安定性に影響を及ぼさない。
(b3)高粘度油分のうち、固形油としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化ヒマシ油などの固体油脂、パラフィンワックス(直鎖炭化水素)、マイクロクリスタリンワックス(分岐飽和炭化水素)、セレシンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシャートロプスワックスなどの炭化水素類、ミツロウ、カルナバワックス、キャンデリラロウ、米ぬかロウ(ライスワックス)、ゲイロウ、ホホバ油、ヌカロウ、モンタンロウ、カポックロウ、ベイベリーロウ、セラックロウ、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、還元ラノリン、硬質ラノリン、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテルなどのロウ類、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸などの高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコールなどの高級アルコール等が挙げられる。
半固形油としては、例えば、ワセリン、ラノリン、シア脂、部分水添ヤシ油など植物脂、部分水添ホホバ油などの他、ビスジグリセリルポリアシルアジペート−2、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、マカデミアナッツ油ポリグリセリル−6−エステルズベヘネート、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット等が挙げられる。
(A)成分以外の粘度が1000mPa・s以上の油分としては、例えば、トリイソステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、水添ラノリン等が挙げられる。
また、本発明にかかる油中水型乳化化粧料において、(A)成分および(B)成分に対する(b1)成分の割合が、45〜85%であることが好ましい。(A)成分および(B)成分に対する(b1)成分の割合が45%未満の場合、十分なはり感が得られない場合がある。(A)成分に対する(b1)成分の割合が85%を超えると、安定性や使用性に劣る場合がある。
((C)乳化剤)
(C)乳化剤は、化粧料に通常使用可能なものを用いることができる。
乳化剤としては、特に、HLBが5以下のものを用いることが好ましい。HLBが5を超えるものでは親水性が高く、安定な油中水型乳化化粧料を得るのが難しい場合がある。
なお、上記HLBの値は、HLB=7+11.7・log(MW/MO)(ただし、MWは親水基部の分子量を表し、MOは親油基部の分子量を表す)で表される川上式により算出することができる。
このような乳化剤としては、例えば、有機変性粘土鉱物、シリコーン系界面活性剤、多価アルコール脂肪酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。
有機変性粘土鉱物としては、例えば、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、シリコーン鎖分岐型メチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖・シリコーン鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、アルキル基含有架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、分岐型ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル基含有架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル基分岐型ポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステル系界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
本発明にかかる油中水型乳化化粧料の(C)乳化剤の配合量は、化粧料全量に対して、0.5〜5質量%であることが好適である。また、1〜4質量%であることが特に好適である。(C)成分の配合量が少なすぎると、安定性に劣る場合がある。(C)成分の配合量が多すぎると使用性に劣る場合がある。
((D)水性成分)
(D)水性成分は、化粧料に通常使用可能なものを、乳化物の安定性を損なわない範囲で配合することができる。
このような(D)水性成分としては、例えば、保湿剤、水溶性高分子、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、薬剤等が挙げられる。
保湿剤としては、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、D−マンニット等が挙げられる。
水溶性高分子としては、アラビアゴム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、デンプン、アルゲコロイド(褐藻エキス)等の植物系高分子、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOLなど)等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト等の無機系水溶性高分子等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラミル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
金属イオン封鎖剤としては、エデト酸ナトリウム塩、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
薬剤としては、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸2−グルコシド、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール2−Lアスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム塩、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類、アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン、4−メトキシサリチル酸又はその塩、トラネキサム酸又はその誘導体等の美白剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤、イオウ、塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、γ−オリザノール等が挙げられる。
また、上記薬剤は遊離の状態で使用されるほか、造塩可能なものは酸または塩基の塩の型で、またカルボン酸基を有するものはそのエステルの形で使用することができる。
本発明にかかる油中水型乳化化粧料の(D)水性成分の配合量は、化粧料全量に対して60〜90質量%であることが必要である。また、65〜85質量%であることが好適である。(D)成分の配合量が少なすぎると、水添ポリイソブテンの分離や沈殿が起こってしまったり、化粧料の使用性に劣ってしまう。(D)成分の配合量が多すぎると、安定性が劣ってしまう。
また、本発明の油中水型乳化化粧料の外相(油相)では、連続相である(b1)成分中に、(A)水添ポリイソブテンが分散していることが好ましい。
(A)成分は、(b1)成分とは相溶性が低いけれども、上記のように内水相の配合量が多い本発明の乳化化粧料中では、(b1)成分中に(A)成分が分離することなく、安定に微分散することができる。
本発明にかかる油中水型乳化化粧料は、従来外皮に適用されている化粧料に広く応用することが可能である。例えば、美白用美容液、乳液、クリーム、パック、ファンデーション、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、洗顔料、スプレー、ムース、ヘアーリンス、シャンプー等の製品が挙げられる。
本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた試験の評価方法について説明する。
評価(1):分散安定性
調製1週間後の試料の外観を、目視により評価した。
A:油の分離は認められなかった。
B:油が分離し、沈殿が認められた。
C:1週間以内に、油が分離し、沈殿が認められた。
評価(2):はり感
専門パネル10名が顔に試料を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
:パネル10名中9名以上がはり感があると回答した。
A:パネル10名中7名以上9名未満がはり感があると回答した。
B:パネル10名中5名以上7名未満がはり感があると回答した。
C:パネル10名中5名未満がはり感があると回答した。
評価(3):安定性
25℃および40℃で1ヶ月保存した試料の硬度および外観を、調製直後と比較し安定性を評価した。
:どの保存条件でも、硬度の低下が10%以下であり、外観の変化は認められなかった。
A:どの保存条件でも、外観の変化は認められなかったが、40℃で保存したもののみ10%以上の硬度低下が認められた。
:どの保存条件でも、外観の変化は認められなかったが、10%以上の硬度低下が認められた。
B:外観において、水または油の分離が若干認められた。
C:1ヶ月以内に、外観において水または油の分離が認められた。
評価(4):べたつきのなさ
専門パネル10名が顔に試料を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
:パネル10名中9名以上がべたつきがないと回答した。
A:パネル10名中7名以上9名未満がべたつきがないと回答した。
B:パネル10名中5名以上7名未満がべたつきがないと回答した。
C:パネル10名中5名未満がべたつきがないと回答した。
評価(5):やわらかさ
専門パネル10名が顔に試料を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
:パネル10名中9名以上が肌がやわらかいと回答した。
A:パネル10名中7名以上9名未満が肌がやわらかいと回答した。
B:パネル10名中5名以上7名未満が肌がやわらかいと回答した。
C:パネル10名中5名未満が肌がやわらかいと回答した。
評価(6):保湿効果
専門パネル10名が顔に試料を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
:パネル10名中9名以上が保湿効果があると回答した。
A:パネル10名中7名以上9名未満が保湿効果があると回答した。
B:パネル10名中5名以上7名未満が保湿効果があると回答した。
C:パネル10名中5名未満が保湿効果があると回答した。
本発明者らは、肌への密着性が高い、はり感を有する高分子として、水添ポリイソブテン(脱臭ポリブテンP 200SH(日興リカ社製)、平均分子量3000)を用いて、はり感について検討を行った。水添ポリイソブテンは、常温で高粘度(融点約30℃)のため、単独では化粧料に配合しにくい。
このため、水添ポリイソブテンと、各種追加油分を配合した、下記表1に示す化粧料を製造した。そして、各試料を評価項目(1)および(2)について上記採点基準にて評価した。結果を表1に示す。
なお、以下の試験において、「相溶性(*1)」は、水添ポリイソブテンと、油分との相溶性を表す。すなわち、水添ポリイソブテンと追加油分からなる2種類の油分を混合し、80℃に加熱して室温に戻した場合に、均一な透明層になる場合に「○」、ならない場合に「×」と評価している。
通常水添ポリイソブテンと共に配合される、半固形油(水添ポリイソブテン)を溶解できる油分(イソヘキサデカン、スクワラン)を配合した油性化粧料である試験例1−1、1−2は、安定であったが、はり感が感じられなかった。
また、水添ポリイソブテンと、それと相溶性の低い油分(デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ジメチルポリシロキサン)を配合した試験例1−3〜1−5は、経時で水添ポリイソブテンが沈殿してしまい、安定性が悪かった。しかし、揮発性の油分を配合した試験例1−3および1−4の試料は、はり感に非常に優れていた。
本発明者らは、化粧料中の、はり感を奏する油分(水添ポリイソブテン)と、それと共に配合する追加油分の、肌上での挙動について検討を行った。その結果を図1〜図3に示す。
試験例1−1のように、追加油分として、水添ポリイソブテンと相溶性が高く、揮発性の油分(イソヘキサデカン)を用いた場合、図1のような挙動を示すと考えた。すなわち、イソヘキサデカンは、水添ポリイソブテンと相溶性が高いため、一部は揮発するが、一部は共存し、肌上では濃度の低い水添ポリイソブテンが塗布されていると考えられる。
試験例1−3のように、追加油分として、水添ポリイソブテンと相溶性が低く、揮発性の油分(デカメチルシクロペンタシロキサン)を用いた場合、図2のような挙動を示すと考えた。すなわち、デカメチルシクロペンタシロキサンは水添ポリイソブテンと相溶性が低いため、肌に塗布した際、揮発性油分であるデカメチルシクロペンタシロキサンはただちに分離および揮発しやすくなる。したがって、肌上には多量の水添ポリイソブテンが付着すると考えられる。
試験例1−5のように、追加油分として、水添ポリイソブテンと相溶性が低く、非揮発性の油分(ジメチルポリシロキサン)を用いた場合、図3のような挙動を示すと考えた。すなわち、ジメチルポリシロキサンは水添ポリイソブテンと相溶性が低く、また非揮発性のため、肌上に塗布した際、水添ポリイソブテンとジメチルポリシロキサンは不均一で、それぞれが集まって存在しながら肌へ付着し、むらが生じると考えられる。
表1および図1〜3より、肌上に塗布した際に、肌へ水添ポリイソブテンが多量に付着するような系において、水添ポリイソブテンが有する、肌への密着性、摩擦性が発揮され、はり感に優れた化粧料を得られると考えられる。
すなわち、試験例1−3および1−4のように、水添ポリイソブテンと、それと相溶性が低い揮発性油分を併用することにより、水添ポリイソブテンのはり効果を最大限に発揮できることが明らかとなった。
しかし、水添ポリイソブテンと、それと相溶性が低い揮発性油分を配合した場合には、上記のように安定性に満足できる化粧料が得られない。
そこで、本発明者らは、これらの油分を油中水型乳化化粧料に配合し、油相中での水添ポリイソブテンの分離を抑制する試みを行った。
すなわち、本発明者らは、水添ポリイソブテンを配合し、併用する追加油分の種類を変化させた、下記表2に示す配合組成よりなる油中水型乳化化粧料(クリーム)を、常法により製造した。そして、各試料を評価項目(2)〜(6)について上記採点基準にて評価した。結果を表2に示す。
表2によれば、水添ポリイソブテンおよび、それと相溶性が低い揮発性油分を配合した試験例2−1において、はり感が非常に優れていた。また、試験例1−4と比較すると、油中水型乳化化粧料にすることにより安定性が向上することがわかる。このことから、油中水型乳化系とすることにより、油相中の水添ポリイソブテンが、分離(沈殿)することなく、連続相である追加油分中に安定に分散していることが示唆される。
一方、水添ポリイソブテンの他に、それと相溶性の高い揮発性の油分(試験例2−2)や、それと相溶性が低い非揮発性の油分(試験例2−3、2−4)を配合した油中水型乳化化粧料は、やはり、はり感に満足できるものではなかった。
以上のことから、(A)水添ポリイソブテンおよび(B)(b1)水添ポリイソブテンと相溶性が低い揮発性の油分を、(C)乳化剤および(D)水性成分と共に油中水型乳化化粧料とすることにより、水添ポリイソブテンが有するはり感を損なわず、安定な化粧料が得られることが明らかになった。
また、本発明者らのさらなる検討の結果、試験例2−1において、デカメチルテトラシロキサンの配合量を40質量%に増やした場合、経時で水添ポリイソブテンの分離が認められ、評価項目(3)が「C」になってしまった。したがって、本発明の油中水型乳化化粧料において、(D)水性成分の配合量が60質量%以上であることが必要である。
次に、さらなる安定性や使用性の向上に有効な他の成分について検討を行った。本発明者らは、下記表3に示す配合組成よりなる油中水型乳化化粧料(クリーム)を、常法により製造した。そして、各試料を評価項目(2)〜(6)について上記採点基準にて評価した。結果を表3に示す。
(A)〜(D)成分を適宜配合した試験例2−1の試料に、スクワラン、イソヘキサデカン、メチルポリシロキサンを配合した試験例3−1〜3−3によれば、これらの油分の配合により安定性や使用性が向上することがわかる。
本発明者らのさらなる検討の結果、安定性や使用性の向上に有効なスクワラン、イソヘキサデカン、メチルポリシロキサンに代表される油分は、粘度が1000mPa・s未満の油分であることが明らかになった。
したがって、本発明にかかる油中水型乳化化粧料は、(b2)粘度が1000mPa・s未満の油分を含むことが好適である。
次に、各種油分の配合量についての検討を行った。本発明者らは、各種油分の配合量を変化させた下記表4〜表7に示す配合組成よりなる油中水型乳化化粧料(クリーム)を、常法により製造した。そして、各試料を評価項目(2)〜(6)について上記採点基準にて評価した。結果を表4〜表7に示す。
試験例4−1〜4−4によれば、スクワランの配合割合を増やすと、安定性や使用性が向上することがわかる。
また、表4によれば、(A)成分および(B)成分に対する(b1)水添ポリイソブテンと相溶性が低い揮発性油分の割合により、はり感や使用性に影響があることがわかる。
したがって、(A)成分および(B)成分に対する(b1)水添ポリイソブテンと相溶性が低い揮発性油分の割合が、45〜85%であることが好適である。
表5によれば、全油分中の(b1)水添ポリイソブテンと相溶性が低い揮発性油分の割合が45〜85%を満たす場合でも、(b2)成分の配合量が(A)成分の配合量の2倍より多い試験例5−2では、はり感にやや劣っていた。
したがって、(b2)成分の配合量は、(A)成分の配合量の2倍以下であることが好適である。
表6によれば、(A)〜(D)成分を適宜配合した試験例6−1の試料に、ワセリンを配合した試験例6−2の試料は、はり感を損なわず、保湿効果が向上した。
したがって、本発明にかかる油中水型乳化化粧料において、さらに、ワセリンに代表される(b3)高粘度油分を含むことが好適である。
表7によれば、(A)成分を適宜配合した試験例7−2〜7−4の試料は、はり感に優れ、安定性および使用性にも優れていた。
したがって、本発明にかかる油中水型乳化化粧料の(A)水添ポリイソブテンの配合量は、0.5〜10質量%であることが必要である。
次に、乳化系についての検討を行った。本発明者らは、各種乳化剤を配合した下記表8に示す配合組成よりなる油中水型乳化化粧料(クリーム)を、常法により製造した。なお、下記試験例8−5の水中油型乳化化粧料も、常法により製造された。そして、各試料を評価項目(2)〜(6)について上記採点基準にて評価した。結果を表8に示す。
表8によれば、本発明の油中水型乳化化粧料の(C)乳化剤は、さまざまな種類のものを用いることができる。
しかし、水中油型乳化化粧料とした試験例8−5の試料は、はり感に劣っていた。
したがって、本発明の乳化化粧料は、油中水型乳化系であることが必要である。
以下に、本発明の油中水型乳化化粧料の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって限定されるものではない。
処方例1 クリーム
(1)グリセリン 5 質量%
(2)塩化ナトリウム 0.5
(3)水 残余
(4)ジステアルジモニウムヘクトライト 1.7
(5)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 0.5
(6)デカメチルテトラシロキサン 10
(7)スクワラン 2
(8)エチルヘキサン酸セチル 2
(9)ワセリン 0.5
(10)水添ポリイソブテン 2.5
(b1)量/(A)+(B)量:58.8%
(製法)
(4)〜(10)を加熱混合し、油相の均一分散を行う。(1)〜(3)を加えた水相を混合する。加熱した水相を前記油相に徐々に添加し、ホモディスパーで均一分散後、乳化粒子を整え、撹拌しながら冷却し、油中水型乳化化粧料であるクリームを製造した。得られたW/O型クリームは安定性が良好ではり感に優れた使用性を有していた。
処方例2 クリーム
(1)グリセリン 5 質量%
(2)塩化ナトリウム 0.5
(3)水 残余
(4)ジステアルジモニウムヘクトライト 1.7
(5)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 0.5
(6)デカメチルテトラシロキサン 13
(7)流動パラフィン 4
(8)メチルフェニルポリシロキサン 2
(9)ビスジグリセリルポリアシルアジペート−2 1
(10)水添ポリイソブテン 4
(b1)量/(A)+(B)量:54.2%
(製法)
(4)〜(10)を加熱混合し、油相の均一分散を行う。(1)〜(3)を加えた水相を混合する。加熱した水相を前記油相に徐々に添加し、ホモディスパーで均一分散後、乳化粒子を整え、撹拌しながら冷却し、油中水型乳化化粧料であるクリームを製造した。得られたW/O型クリームは安定性が良好ではり感に優れた使用性を有していた。
1 (A)水添ポリイソブテン
2 追加油分
3 肌

Claims (2)

  1. 次の(A)〜(D)を含み、
    (A)成分および(B)成分に対する(b1)成分の割合が、48〜85%であって、(b2)成分の配合量が、(A)成分の配合量の2倍以下であることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
    (A)平均分子量1500〜3000の水添ポリイソブテン 1〜5質量%
    (B)(b1)および(b2)を含む油分
    (b1)(A)と相溶性が低い揮発性油分である、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランから選択される油分
    (b2)粘度が1000mPa・s未満の油分(ただし、(b1)成分を除く)
    (C)乳化剤
    (D)水性成分 60〜90質量%
  2. 請求項1に記載の油中水型乳化化粧料において、(B)成分中に(b3)高粘度油分を含むことを特徴とする油中水型乳化化粧料。
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