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JP5491969B2 - トランスミッタ、インタフェイス装置、車載通信システム - Google Patents

トランスミッタ、インタフェイス装置、車載通信システム Download PDF

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Description

本発明は、スルーレート制御機能を備えたトランスミッタ、並びに、これを用いたインタフェイス装置及び車載通信システムに関するものである。
図6は、スルーレート制御機能を備えたトランスミッタの一従来例を示した回路図である。本従来例のトランスミッタにおいて、スイッチ制御部306は、入力信号INの立ち上がりに応じて、スイッチ301をオンとし、スイッチ302をオフとする。このようなスイッチ制御により、コンデンサ305(容量値:C)には、定電流源303からスイッチ301を介して充電電流I1(電流値:+I)が流し込まれる。その結果、コンデンサ305の一端(高電位側)から引き出される出力信号OUTの電圧値は、充電電流I1の電流値とコンデンサ305の容量値に応じた一定のスルーレートSR1(=+I/C[V/s])で上昇し始める。
また、スイッチ制御部306は、出力信号OUTの電圧値が所定の基準電圧Vrefに達したとき、スイッチ301をオフとする。このようなスイッチ制御により、出力電圧VOUTは、コンデンサ305によりほぼ基準電圧Vrefに維持される。
また、スイッチ制御部306は、入力信号INの立ち下がりに応じて、スイッチ301をオフとし、スイッチ302をオンとする。このようなスイッチ制御により、コンデンサ305からは、スイッチ302を介して定電流源304に向けた放電電流I2(電流値:−I)が引き抜かれる。その結果、出力信号OUTの電圧値は、放電電流I2の電流値とコンデンサ305の容量値に応じた一定のスルーレートSR2(=−I/C[V/s])で低下し始める。
なお、車載通信システムに関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
特開2009−202720号公報
上記従来例のトランスミッタでは、充電電流I1及び放電電流I2の電流値がいずれも固定的に設定されており、延いては、出力信号OUTの立ち上がり時/立ち下り時におけるスルーレートSR1及びSR2がいずれも固定的に設定されていた。そのため、基準電圧Vrefが常に一定であれば、出力信号OUTのライズタイム/フォールタイムは常に一定に維持されるが、基準電圧Vrefが大きく変動する場合には、図7に示すように、出力信号OUTのライズタイム/フォールタイムも大きく変動してしまい、入力信号INと出力信号OUTの間でデューティばらつきを生じるという問題があった。
本発明は、本願の発明者によって見い出された上記の問題点に鑑み、電源電圧の変動に起因する入力信号と出力信号のデューティばらつきを抑制することが可能なトランスミッタ、並びに、これを用いたインタフェイス装置及び車載通信システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るトランスミッタは、その一端から充電電圧が引き出されるコンデンサと;前記コンデンサの充電電流を生成する第1定電流源と;前記コンデンサの放電電流を生成する第2定電流源と;送信入力信号の論理レベル、及び、前記充電電圧と基準電圧との比較結果に基づいて、前記コンデンサの充放電制御を行う充放電制御部と;前記充電電圧に応じてスルーレートが設定され、出力側電源電圧に応じて信号振幅が設定される送信出力信号を生成する出力段と;前記出力側電源電圧に依存して前記基準電圧を変動させる基準電圧生成部と;前記基準電圧に依存して前記充電電流及び前記放電電流の各電流値を変動させる定電流制御部と;を有する構成(第1の構成)とされている。
上記第1の構成から成るトランスミッタにおいて、前記出力段は、前記充電電圧に応じて導通度が制御されるオープンドレイン型トランジスタを含む構成(第2の構成)にするとよい。
また、上記第2の構成から成るトランスミッタは、前記オープンドレイン型トランジスタが飽和領域で動作し得る状態になるまで前記放電電流にブースト電流を加え、前記オープンドレイン型トランジスタが飽和領域で動作し得る状態になった時点で前記ブースト電流を切るブースト部をさらに有する構成(第3の構成)にするとよい。
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成るトランスミッタにおいて、前記充放電制御部は、前記コンデンサと前記第1定電流源との間を導通/遮断する第1スイッチと;前記コンデンサと前記第2定電流源との間を導通/遮断する第2スイッチと;前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオン/オフ制御を行うスイッチ制御部と;を含む構成(第4の構成)にするとよい。
また、上記第1〜第4いずれかの構成から成るトランスミッタにおいて、前記基準電圧生成部は、前記出力側電源電圧を分圧して前記基準電圧を生成する抵抗ラダーである構成(第5の構成)にするとよい。
また、上記第1〜第5いずれかの構成から成るトランスミッタにおいて、前記定電流制御部は、前記基準電圧を電圧/電流変換して基準電流を生成する基準電流生成部と;前記基準電流を前記充電電流及び前記放電電流として複製するカレントミラー部と;を含む構成(第6の構成)にするとよい。
また、上記第2の構成から成るトランスミッタにおいて、前記出力段は、アノードが前記送信出力信号の出力端に接続され、カソードが前記オープンドレイン型トランジスタのドレインに接続されたダイオードを含む構成(第7の構成)にするとよい。
また、上記第7の構成から成るトランスミッタにおいて、前記ダイオードは、半導体基板上の一領域に形成された埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層の上部周縁上に形成されたコレクタウォールと、によって取り囲まれたフローティング領域内に形成されている構成(第8の構成)にするとよい。
また、上記第7または第8の構成から成るトランスミッタにおいて、前記出力段は、前記オープンドレイン型トランジスタのドレインと前記ダイオードのカソードとの間に接続されたDMOS電界効果トランジスタを含む構成(第9の構成)にするとよい。
また、本発明に係るインタフェイス装置は、信号送信経路に設けられた上記第1〜第9いずれかの構成から成るトランスミッタと;信号受信経路に設けられたレシーバと;を有する構成(第10の構成)にするとよい。
なお、上記第10の構成から成るインタフェイス装置において、前記レシーバは、互いのソースが共通接続されて、一方のドレインから受信出力信号が引き出される一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタと;ゲートが受信入力信号の入力端に接続され、ソースが第1トランジスタのゲートに接続された第3トランジスタと;ゲートが受信基準電圧の入力端に接続され、ソースが第2トランジスタのゲートに接続された第4トランジスタと;カソードが前記第1トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第1トランジスタのソースに接続された第1ツェナダイオードと;カソードが前記第2トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第2トランジスタのソースに接続された第2ツェナダイオードと;カソードが前記第3トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第3トランジスタのソースに接続された第3ツェナダイオードと;カソードが前記第4トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第4トランジスタのソースに接続された第4ツェナダイオードと;前記第1トランジスタと前記第2トランジスタのソース電流を生成する第1電流源と;前記第3トランジスタのソース電流を生成する第2電流源と;前記第4トランジスタのソース電流を生成する第3電流源と;を含む構成(第11の構成)にするとよい。
また、上記第11の構成から成るインタフェイス装置において、前記レシーバは、前記第1トランジスタのゲートと前記第3トランジスタのソースとの間に挿入された電流制限抵抗をさらに含む構成(第12の構成)にするとよい。
また、上記第10の構成から成るインタフェイス装置において、前記レシーバは、互いのソースが共通接続され、一方のドレインから受信出力信号が引き出される一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタと;カソードが前記第1トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第1トランジスタのソースに接続された第1ツェナダイオードと;カソードが前記第2トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第2トランジスタのソースに接続された第2ツェナダイオードと;前記第1トランジスタと前記第2トランジスタのソース電流を生成する電流源と;アノードが前記第1トランジスタのソースに接続され、カソードが前記電流源に接続された第1ダイオードと;アノードが前記第2トランジスタのソースに接続され、カソードが前記電流源に接続された第2ダイオードと;を含む構成(第13の構成)にするとよい。
また、上記第13の構成から成るインタフェイス装置において、前記第1ダイオード及び前記第2ダイオードは、ダイオード接続されたpnp型バイポーラトランジスタである構成(第14の構成)にするとよい。
また、本発明に係る車載通信システムは、ECUと;バスと;前記ECUと前記バスとの双方向通信を仲介する上記第10〜第14いずれかの構成から成るインタフェイス装置と;を有する構成(第15の構成)とされている。
本発明に係るトランスミッタ、並びに、これを用いたインタフェイス装置及び車載通信システムによれば、電源電圧の変動に起因する入力信号と出力信号のデューティばらつきを抑制することが可能となる。
車載通信システムの一構成例を示すブロック図 トランスミッタ10の概略的構成を示す回路図 トランスミッタ10(前段部分)の具体的構成を示す回路図 トランスミッタ10の動作を説明するための信号波形図 トランスミッタ10(後段部分)の一変形例を示す回路図 スルーレート制御機能を備えたトランスミッタの一従来例を示す回路図 デューティばらつきを説明するための信号波形図 オープンドレイン出力段の第1構成例を示す回路図 オープンドレイン出力段の第2構成例を示す回路図 ダイオード122の模式的構造を示す縦断面図 オープンドレイン出力段の第3構成例を示す回路図 レシーバ20の第1構成例を示す回路図 レシーバ20の第2構成例を示す回路図 レシーバ20の第3構成例を示す回路図 ダイオードをpnp型バイポーラトランジスタで形成する場合の置換図
(車載通信システムのブロック図)
図1は、車載通信システムの一構成例を示すブロック図である。本図に例示した車載通信システムは、ECU[Electronic Control Unit]1と、LIN[Local Interconnect Network]インターフェイス部2と、LINバス3と、を有する。
ECU1は、車両に搭載されている各種デバイスの制御主体となるマイクロコンピュータユニットである。特に、LINバス3に接続されるECU1は、それほど高速な応答性を必要としないデバイス(操作部、ドアミラー駆動部、パワーウィンドウ駆動部など)に組み込まれるものである。
LINインタフェイス部2は、ECU1とLINバス3との双方向通信を仲介するインタフェイス装置であり、トランスミッタ10とレシーバ20を有する。トランスミッタ10は、ECU1からLINバス3への信号送信経路上に設けられており、ECU1から入力される送信データTxDをバス信号SBとしてLINバス3に出力する。レシーバ20は、LINバス3からECU1への信号受信経路上に設けられており、LINバス3から入力されるバス信号SBを受信データRxDとしてECU1に出力する。なお、トランスミッタ10及びレシーバ20の構成及び動作については、後ほど詳細に説明を行う。
LINバス3にバス信号SBを出力するときには、ECU1からトランスミッタ10に入力されるイネーブル制御信号ENが出力許可状態を示す論理レベルとされ、トランスミッタ10の出力段が出力許可状態とされる。一方、LINバス3からバス信号SBを受信するときには、イネーブル制御信号ENが出力禁止状態を示す論理レベルとされ、トランスミッタ10の出力段が出力禁止状態(ハイインピーダンス状態)とされる。
なお、ECU1(3V系や5V系など)で取り扱われる送信データTxDや受信データRxDは、ハイレベルをECU側電源電圧V1とし、ローレベルをグランド電圧としてスイングされる小振幅信号(例えば、ハイレベルが2V以下、ローレベルが0.8V以下として規定されているLVTTL[Low Voltage Transistor Transistor Logic]信号)である。一方、バス信号SBは、オープンドレイン型トランジスタなどを用いて、ハイレベルをバス側電源電圧V2(例えば5V〜27V)とし、ローレベルをグランド電圧としてスイングされる大振幅信号である。つまり、トランスミッタ10及びレシーバ20には、いずれも、レベルシフタ機能が備えられている。また、トランスミッタ10には、スルーレート制御機能も備えられている。
LINバス3は、CAN[Controller Area Network]やFlexRayに比べて、それほど広い帯域幅や多用途性が要求されていない車載通信ネットワーク(LIN)の構築に用いられる低コストのシリアル信号伝送ラインである。LINバス3では、LINマスタと1つまたは複数のLINスレーブから成るマスタ/スレーブ方式が採用されている。なお、LINバス3を介してやり取りされるバス信号SBの転送レートは、非常に小さい(最大20kb/s)。
(トランスミッタの概略的構成)
図2は、トランスミッタ10の概略的構成を示す回路図である。本構成例のトランスミッタ10は、スイッチ101及び102と、定電流源103及び104と、コンデンサ105と、スイッチ制御部106と、基準電圧生成部107と、定電流制御部108と、アンプ109と、Nチャネル型MOS[Metal Oxide Semiconductor]電界効果トランジスタ110〜112と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ113及び114と、抵抗115及び116と、を有する。
スイッチ101は、スイッチ制御部106からの指示に基づいて、コンデンサ105と定電流源103との間を導通/遮断する。スイッチ102は、スイッチ制御部106からの指示に基づいて、コンデンサ105と定電流源104との間を導通/遮断する。
定電流源103は、コンデンサ105の充電電流I1を生成する。なお、定電流源103の一端はECU側電源電圧V1の印加端に接続されており、他端はスイッチ101に接続されている。定電流源104は、コンデンサ105の放電電流I2を生成する。なお、定電流源104の一端はスイッチ102に接続されており、他端は接地端に接続されている。コンデンサ105は、その一端(高電位端)から充電電圧Vaが引き出される。
スイッチ制御部106は、ECU側電源電圧V1の入力を受けて動作し、送信入力信号IN(図1の送信データTxDに相当)の論理レベル、及び、充電電圧Vaと基準電圧Vrefとの比較結果に基づいて、スイッチ101及び102のオン/オフ制御を行う。例えば、スイッチ101をオンとし、スイッチ102をオフとすれば、コンデンサ105に充電電流I1を流し込む状態となる。逆に、スイッチ101をオフとし、スイッチ102をオンとすれば、コンデンサ105から放電電流I2を引き込む状態となる。また、コンデンサ105に充電電圧Vaが蓄えられている状態で、スイッチ101及び102をいずれもオフとすれば、コンデンサ105の充電電圧Vaを維持する状態となる。すなわち、スイッチ101及び102と、スイッチ制御部106によって、コンデンサ105の充放電制御を行う充放電制御部が形成されている。なお、充放電制御部(101、102、及び、106)の構成及び動作については、後ほど具体的に説明する。
基準電圧生成部107は、バス側電源電圧V2に依存して基準電圧Vrefを変動させる。定電流制御部108は、ECU側電源電圧V1の入力を受けて動作し、基準電圧Vrefに依存して充電電流I1及び放電電流I2の各電流値を変動させる。なお、基準電圧生成部107、及び、定電流制御部108の構成及び動作については、後ほど具体的に説明する。
アンプ109、トランジスタ110〜114、並びに、抵抗115及び116は、トランスミッタ10の出力段を形成する回路要素である。アンプ109の非反転入力端(+)は、充電電圧Vaの印加端(コンデンサ105の高電位端)に接続されている。アンプ109の反転入力端(−)は、抵抗115の第1端に接続されている。アンプ109の出力端は、トランジスタ110のゲートに接続されている。アンプ109の上側電源端は、ECU側電源電圧V1の入力端に接続されている。アンプ109の下側電源端は、接地端に接続されている。トランジスタ110のソース及びバックゲートは、いずれも抵抗115の第1端に接続されている。抵抗115の第2端は接地端に接続されている。トランジスタ110のドレインは、トランジスタ113のドレインに接続されている。トランジスタ113及び114のソース及びバックゲートは、いずれもECU側電源電圧V1の印加端に接続されている。トランジスタ113及び114のゲートは、いずれもトランジスタ113のソースに接続されている。トランジスタ114のドレインは、トランジスタ111のドレインに接続されている。トランジスタ111及び112のソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタ111及び112のゲートはいずれもトランジスタ111のドレインに接続されている。トランジスタ112のドレインは、送信出力信号OUT(図1のバス信号SBに相当)の出力端に接続されるとともに、抵抗116を介してバス側電源電圧V2の印加端にも接続されている。
アンプ109は、抵抗115(抵抗値:R115)の第1端に印加される電圧が充電電圧Vaと一致するように、トランジスタ110のゲート信号を帰還制御する。従って、トランジスタ113に流れる電流I3は、充電電圧Vaに比例した電流値(最大値:Vref/R115)を持つことになる。トランジスタ113と114はカレントミラー(ミラー比1:1)を形成しており、電流I3はトランジスタ114に流れる電流I4として複製される。従って、電流I4についても充電電圧Vaに比例した電流値(最大値:Vref/R115)を持つことになる。また、トランジスタ111と112はカレントミラー(ミラー比1:1)を形成しており、電流I4の電流値に応じてトランジスタ112のゲート電圧が変動する。より具体的には、電流I4の電流値が大きいほど、トランジスタ112のゲート電圧が高くなり、延いては、トランジスタ112の導通度が大きくなる。すなわち、トランジスタ112は、充電電圧Vaに応じて導通度が制御されるオープンドレイン型トランジスタであると言うことができる。従って、トランジスタ112のドレインから引き出される送信出力信号OUTは、そのスルーレートが充電電圧Vaに応じて設定され、その信号振幅がバス側電源電圧V2に応じて設定されることになる。
(トランスミッタ前段部分の具体的構成)
図3は、トランスミッタ10(前段部分に設けられた充電電圧Vaの生成機能部)の具体的構成を示す回路図である。
スイッチ101としては、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP1が用いられている。スイッチ102としては、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN1が用いられている。定電流源103としては、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP2が用いられている。定電流源104としては、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN2が用いられている。
トランジスタP1のソース及びバックゲートは、トランジスタP2のドレインに接続されている。トランジスタP2のソース及びバックゲートは、ECU側電源電圧V1の印加端に接続されている。トランジスタP1及びN1のドレインは、充電電圧Vaの印加端に接続されている。トランジスタN1のソース及びバックゲートは、トランジスタN2のドレインに接続されている。トランジスタN2のソース及びバックゲートは、接地端に接続されている。
スイッチ制御部106は、コンパレータCMP1と、論理和演算器OR1と、を含んでいる。コンパレータCMP1の非反転入力端(+)は、充電電圧Vaの印加端に接続されている。コンパレータCMP1の反転入力端(−)は、基準電圧Vrefの印加端に接続されている。コンパレータCMP1の上側電源端は、ECU側電源電圧V1の印加端に接続されている。コンパレータCMP1の下側電源端は、接地端に接続されている。論理和演算器OR1の第1入力端は、コンパレータCMP1の出力端に接続されている。論理和演算器OR1の第2入力端は、送信入力信号INの入力端に接続されている。なお、送信信号INの入力端は、トランジスタN1のゲートにも接続されている。論理和演算器OR1の出力端は、トランジスタP1のゲートに接続されている。論理和演算器OR1の上側電源端は、ECU側電源電圧V1の印加端に接続されている。論理和演算器OR1の下側電源端は、接地端に接続されている。
基準電圧生成部107は、バス側電源電圧V2と接地端との間に直列接続され、その接続ノードから基準電圧Vrefが引き出される抵抗R1及びR2を含んでいる。つまり、基準電圧生成部107としては、バス側電源電圧V2を所定の分圧比α(=R2/(R1+R2)、例えばα=1/2)で分圧することにより、基準電圧Vref(=α×V2)を生成する抵抗ラダーが採用されている。このような構成であれば、極めて容易に、バス側電源電圧V2に依存(比例)して基準電圧Vrefを変動させることが可能となる。
定電流制御部108は、アンプAMP1と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN3及びN4と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP3及びP4と、抵抗R3とを含んでいる。アンプAMP1の非反転入力端(+)は、基準電圧Vrefの印加端に接続されている。アンプAMP1の反転入力端(−)は、抵抗R3の第1端に接続されている。アンプAMP1の出力端は、トランジスタN3のゲートに接続されている。アンプAMP1の上側電源端は、ECU側電源電圧V1の入力端に接続されている。アンプAMP1の下側電源端は、接地端に接続されている。トランジスタN3のソース及びバックゲートは、いずれも抵抗R3の第1端に接続されている。抵抗R3の第2端は、接地端に接続されている。トランジスタN3のドレインは、トランジスタP3のドレインに接続されている。トランジスタP3及びP4のソース及びバックゲートは、いずれもECU側電源電圧V1の印加端に接続されている。トランジスタP2〜P4のゲートは、いずれもトランジスタN3のソースに接続されている。トランジスタP4のドレインは、トランジスタN4のドレインに接続されている。トランジスタN4のソース及びバックゲートは、接地端に接続されている。トランジスタN2及びN4のゲートは、いずれもトランジスタN4のソースに接続されている。
アンプAMP1は、抵抗R3の第1端に印加される電圧が基準電圧Vrefと一致するように、トランジスタN3のゲート信号を帰還制御する。従って、トランジスタP3に流れる基準電流I0は、基準電圧Vref(延いてはバス側電源電圧V2)に比例した電流値I(=Vref/R3=(α×V2)/R3)を持つことになる。トランジスタP2とP3はカレントミラー(ミラー比1:1)を形成しており、基準電流I0はトランジスタP2に流れる充電電流I1として複製される。また、トランジスタP3とP4、及び、トランジスタN2とN4は、それぞれカレントミラー(ミラー比1:1)を形成しており、基準電流I0はトランジスタN2に流れる放電電流I2として複製される。
すなわち、定電流制御部108は、基準電圧Vrefを電圧/電流変換して基準電流I0を生成する基準電流生成部(AMP1、N3、及び、R3)と、基準電流I0を充電電流I1及び放電電流I2として複製するカレントミラー部(P3、P4、及び、N4)とを含んでいると言うことができる。
(トランスミッタの動作説明)
図4は、図2及び図3の構成から成るトランスミッタ10の動作を説明するための信号波形図であり、上から順に、送信入力信号IN、コンパレータCMP1の比較信号Scmp、トランジスタP1のゲート信号G1、トランジスタN1のゲート信号G2(送信入力信号INと同一)、充電電圧Va、及び、送信出力信号OUTが描写されている。
時刻t11以前には、送信入力信号INがハイレベルに維持されており、出力信号OUTがハイレベル(=バス側電源電圧V2)に維持されているものとする。
時刻t11において、送信入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられると、ゲート信号G1及びG2はいずれもローレベルに立ち下げられる。その結果、トランジスタP1がオンとなり、トランジスタN1がオフとなる。このようなスイッチ制御により、コンデンサ105(容量値:C)には、トランジスタP2からトランジスタP1を介して充電電流I1(電流値:+I)が流し込まれる。その結果、コンデンサ105の一端(高電位側)から引き出される充電電圧Vaは、充電電流I1の電流値とコンデンサ105の容量値に応じた一定のスルーレートSR1(=+I/C[V/s])で上昇を開始する。このとき、充電電圧Vaは基準電圧Vrefに達していないため、比較信号Scmpはローレベルに維持されたままとなる。また、出力段に流れる電流I3及びI4は、いずれも充電電圧Vaに比例した電流値を持ち、トランジスタ112の導通度は、充電電圧Vaの上昇に伴って大きくなっていくので、送信出力信号OUTは、それまでのハイレベル(=バス側電源電圧V2)から一定のスルーレートSR3で低下し始める。すなわち、送信出力信号OUTの立ち下がり時におけるスルーレートSR3は、充電電圧Vaに応じて設定されることになる。
その後、時刻t12において、充電電圧Vaが基準電圧Vrefに達したとき、比較信号Scmpがローレベルからハイレベルに立ち上がるので、論理和回路OR1から出力されるゲート信号G1は、送信入力信号INの論理レベルに依ることなく、ハイレベルに立ち上げられる。その結果、トランジスタP1がオフとなり、充電電圧Vaは、コンデンサ105によりほぼ基準電圧Vrefに維持される。なお、比較信号Scmpの論理レベルが意図せず切り替わらないように、コンパレータCMP1には、ヒステリシス特性を持たせておくことが望ましい。また、時刻t12の時点で、送信出力信号OUTはローレベル(=0V近傍)まで低下している。
その後、時刻t13において、送信入力信号INがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、ゲート信号G1及びG2はいずれもハイレベル(ゲート信号G1は時刻t13以前からハイレベル)に立ち上げられる。その結果、トランジスタP1がオフに維持され、トランジスタN1がオンとなる。このようなスイッチ制御により、コンデンサ105からは、トランジスタN1を介してトランジスタN2に放電電流I2(電流値:−I)が引き抜かれる。その結果、充電電圧Vaは、放電電流I2の電流値とコンデンサ105の容量値に応じた一定のスルーレートSR2(=−I/C[V/s])で低下し始める。このとき、比較信号Scmpはハイレベルからローレベルに立ち下げられる。また、出力段を形成するトランジスタ112の導通度は、充電電圧Vaの低下に伴って小さくなっていくので、送信出力信号OUTは、それまでのローレベル(=0V近傍)から一定のスルーレートSR4で上昇し始める。すなわち、送信出力信号OUTの立ち上がり時におけるスルーレートSR4は、充電電圧Vaに応じて設定されることになる。
その後、時刻t14において、出力段を形成するトランジスタ112の導通度がゼロとなり、送信出力信号OUTがハイレベル(=バス側電源電圧V2)に達する。また、この時点でコンデンサ105は完全に放電されており、充電電圧Vaは0Vとなっている。この状態は、時刻t11以前の状態と同一であり、時刻t15において、送信入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられると、上記と同様の動作が繰り返される。
ここで、重要となるポイントは、バス側電源電圧V2に依存して基準電圧Vrefを変動させるとともに、基準電圧Vref(延いてはバス側電源電圧V2)に依存して基準電流I0(延いては充電電流I1及び放電電流I2)を変動させることにより、充電電圧VaのスルーレートSR1及びSR2(延いては送信出力信号OUTのスルーレートSR3及びSR4)にV2依存性を持たせた点である(図4中の実線と破線を比較参照)。
このような構成とすることにより、基準電圧Vrefと基準電流I0(延いては充電電流I1及び放電電流I2)との間で互いのV2依存性が相殺される。従って、バッテリの充電状況や車載デバイスの駆動状況などに応じてバス側電源電圧V2(出力信号OUTの信号振幅)が大きく変動したとしても、充電電圧Va(延いては送信出力信号OUT)のライズタイム/フォールタイムT(=C×Vref/I=C×R3)を常に一定に維持することができるので、送信入力信号INと送信出力信号OUTとの間のデューティばらつきを低減することが可能となる。
また、上記の構成であれば、上記の演算式(T=C×Vref/I=C×R3)に基づいて、容易に所望のライズタイム/フォールタイムTを設定することが可能である。例えば、ライズタイム/フォールタイムTを長くしたければ、充電電圧VaのスルーレートSR1及びSR2を小さくすればよいので、抵抗R3の抵抗値を大きくして基準電流I0を小さくするか、或いは、コンデンサ105の容量値Cを大きくすればよい。逆に、ライズタイム/フォールタイムTを短くしたければ、充電電圧VaのスルーレートSR1及びSR2を大きくすればよいので、抵抗R3の抵抗値を小さくして基準電流I0を大きくするか、或いは、コンデンサ105の容量値Cを小さくすればよい。
また、上記のスルーレート制御機能を備えたLINインタフェイス部2であれば、車両毎に異なるバス側電源電圧V2を考慮することなく汎用的に適用することができるので、LINインタフェイス部2(または、これが組み込まれた車載デバイス)の生産性を高めて、そのコストダウンに貢献することが可能となる。
なお、上記のスルーレート制御技術は、本実施形態で例示されている車載通信システムだけでなく、送信信号のデューティ精度が重要となる全てのアプリケーションの信頼性を高める上で有用である。
(トランスミッタの変形例)
次に、トランスミッタ10の変形例について図5を参照しながら説明する。図5は、トランスミッタ10(後段部分)の一変形例を示す回路図である。
LINの標準規格では、3種類の負荷(500Ω/10nF、660Ω/6.8nF、1000Ω/1nF)を接続することが可能である。しかしながら、LINバス3に接続される負荷の特性が変化すると、トランスミッタ10で生成される送信出力信号OUTのスルーレートSR3及びSR4に意図しない変動が生じるおそれがあり、特に、負荷が重い場合には、送信出力信号OUTの立ち上がりが鈍ってしまう。
そこで、本変形例のトランスミッタ10は、出力段を形成するオープンドレイン型トランジスタ112が飽和領域で動作し得る状態になるまで放電電流I2にブースト電流Ibstを加え、オープンドレイン型トランジスタ112が飽和領域で動作し得る状態になった時点、すなわち、トランジスタ112のドレイン・ソース間電圧Vdsがトランジスタ112のゲート・ソース間電圧Vgsからトランジスタ112のオンスレッショルド電圧Vthを差し引いた値よりも大きくなった時点で、ブースト電流Ibstを切るブースト部BSTをさらに有する構成とされている。
ブースト部BSTは、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ117と、定電流源118及び119と、スイッチ120と、コンパレータ121と、を有する。トランジスタ117は、トランジスタ112と同一のオンスレッショルド電圧Vthを有するように、トランジスタ112と同一の製造プロセスで形成されたモニタ用トランジスタである。定電流源118は、トランジスタ112に僅かな電流(例えば100nA)を流す。定電流源119は、ブースト電流Ibstを生成する。スイッチ120は、ブースト電流Ibstの流れる電流経路を導通/遮断する。コンパレータ121は、トランジスタ117のソースから引き出される電圧信号Vx(=Vgs−Vth)と、トランジスタ112のドレインから引き出される電圧信号Vy(=Vds)とを比較し、その比較結果に基づいてスイッチ120のオン/オフ制御を行う。
各回路要素の接続関係について具体的に説明する。トランジスタ117のドレインは、ECU側電源電圧V1の印加端に接続されている。トランジスタ117のソース及びバックゲートは、いずれもコンパレータ121の反転入力端(−)と、定電流源118の第1端に接続されている。トランジスタ117のゲートは、トランジスタ111及び112のゲートと共に、トランジスタ111のドレインに接続されている。定電流源118の第2端は、接地端に接続されている。コンパレータ121の非反転入力端(+)は、トランジスタ112のドレイン(送信出力信号OUTの出力端)に接続されている。コンパレータ121の出力端は、スイッチ120の制御端に接続されている。コンパレータ121の上側電源端は、ECU側電源電圧V1の印加端に接続されている。コンパレータ121の下側電源端は、接地端に接続されている。スイッチ120の第1端はスイッチ102と定電流源104との接続ノードに接続されている。スイッチ120の第2端は、定電流源118の第1端に接続されている。定電流源118の第2端は、接地端に接続されている。
上記構成から成るブースト部BSTにおいて、トランジスタ117のゲートには、トランジスタ112のゲート・ソース間電圧Vgsが印加されている。また、先にも述べた通り、トランジスタ117は、トランジスタ112と同一のオンスレッショルド電圧Vthを有するように、トランジスタ112と同一の製造プロセスで形成されている。従って、トランジスタ112と共にトランジスタ117がオンされるとき、トランジスタ117のドレインから引き出される電圧信号Vxは、トランジスタ112のゲート・ソース間電圧Vgsからトランジスタ112のオンスレッショルド電圧Vthを差し引いた値となる。一方、トランジスタ112のドレインから引き出される電圧信号Vyは、トランジスタ112のドレイン・ソース間電圧Vdsに相当する。従って、コンパレータ121は、トランジスタ112のVdsと(Vgs−Vth)とを比較している形となり、延いては、トランジスタ112が飽和領域で動作し得る状態となったか否かを判定している形となる。
従って、トランジスタ112が飽和領域で動作し得る状態になるまでは、放電電流I2にブースト電流Ibstを加えたブースト放電電流I2’でコンデンサ105の放電を行い、トランジスタ112が飽和領域で動作し得る状態になった時点で、ブースト電流Ibstを切るようにコンパレータ121の出力に応じてスイッチ120のオン/オフ制御を行うことにより、LINバス3に接続される負荷が重い場合であっても、送信出力信号OUT(バス信号SB)の立ち上がりが鈍らないので、所望のスルーレートを維持することが可能となる。
(オープンドレイン出力段の耐圧向上)
図8は、オープンドレイン出力段の第1構成例を示す回路図であり、図2や図5のオープンドレイン出力段のみを改めて描写し直したものである。図8に示すように、トランジスタ112のドレイン・ソース間には、寄生ダイオードDpが付随している。そのため、送信出力信号OUTの出力端に負電位のサージが入力された場合には、接地端から寄生ダイオードDpを介する経路で大量の順方向電流が流れ、トランジスタ112が破壊する恐れがある。
図9は、オープンドレイン出力段の第2構成例を示す回路図である。上記した負電位のサージに対する耐性を高めるべく、第2構成例のオープンドレイン出力段は、アノードが送信出力信号OUTの出力端に接続され、カソードがトランジスタ112のドレインに接続されたダイオード122を含む構成とされている。このような構成とすることにより、送信出力信号OUTの出力端に負電位のサージが入力された場合であっても、接地端から寄生ダイオードDpを介する経路は、逆バイアス状態のダイオード122によって遮断されるため、寄生ダイオードDpに大量の順方向電流が流れることはなく、トランジスタ112の破壊を防止することが可能となる。
なお、半導体装置の製造プロセスとして、SOI[Silicon On Insulator]プロセスが採用されている場合には、回路素子を形成するためのエピタキシャル成膜層と半導体基板(GND)とが中間絶縁層で完全に分離されているので、上記のダイオード122を容易に形成することが可能である。しかしながら、半導体装置の製造プロセスとして、より安価で一般的なCMOSプロセスやBiCMOSプロセスを採用する場合には、半導体基板とダイオード122との間に生じる寄生素子により、ダイオード122の挿入によって本来得られるべき耐圧性能が十全に機能しなくなる。そのため、このような問題を解消するためには、ダイオード122の構造に工夫を凝らす必要がある。
図10は、ダイオード122の模式的構造を示す縦断面図である。本構造のダイオード122は、p−型の半導体基板P−sub上の一領域に形成されたn+型の埋め込み絶縁層B/L[Burried Layer]と、埋め込み絶縁層B/Lの上部周縁上に形成されたn−型のコレクタウォールC/W[Collector Wall]と、によって取り囲まれたフローティング領域内に形成されている。このような構造を採用することにより、ダイオード122を半導体基板P−subから電気的に分離することができるので、半導体基板P−subとダイオード122との間に寄生素子を生じることがなくなり、ダイオード122の挿入によって本来得られるべき耐圧性能を十全に機能させることが可能となる。
なお、図10に描写された他の符号について簡単に説明する。L/I及び1stLIはp−型の低絶縁層[Low Isolation]、Epiはn−型のエピタキシャル成膜層、Pwellはp+型のウェル領域、及び、NBodyはn+型のボディ領域を各々示している。
図11は、オープンドレイン出力段の第3構成例を示す回路図である。図9のダイオード122を挿入することにより、オープンドレイン出力段の負電位耐圧を高めることはできるが、送信出力信号OUTの出力端に正電位のサージが入力された場合には、ダイオード122が順バイアス状態となるため、トランジスタ112のドレイン・ソース間耐圧を十分高く設計しておかない限り、トランジスタ112が破壊する恐れがある。しかしながら、CMOSプロセスで形成されているオープンドレイン出力段のうち、トランジスタ112のみを高耐圧なDMOSプロセスで形成すると、カレントミラーを形成するトランジスタ111とトランジスタ112とのカップリング特性(ミラー比のばらつき特性)が悪化し、スルーレート制御が困難となってしまう。
そこで、第3構成例のオープンドレイン出力段は、CMOSプロセスで形成されたトランジスタ112のドレインとダイオード122のカソードとの間に接続されたDMOSプロセスで形成されたNチャネル型MOS電界効果トランジスタ123を含む構成とされている。すなわち、第3構成例のオープンドレイン出力段では、その正電位耐圧を高めるために、ドレイン・ソース間耐圧の高いトランジスタ123がソースフォロワとして用いられている。このような構成とすることにより、トランジスタ112をCMOSプロセスで形成したまま、オープンドレイン出力段の正電位耐性を高めることが可能となる。
なお、トランジスタ123のゲートには、トランジスタ112を常に飽和領域で動作させ得るだけのバイアス電圧BIAS(≧VgsC−VthC+VgsD)が与えられている。なお、上記パラメータのうち、VgsCはトランジスタ112のゲート・ソース間電圧、VthCはトランジスタ112のオンスレッショルド電圧、VgsDはトランジスタ123のゲート・ソース間電圧を示している。このようなバイアス電圧BIASを印加しておけば、LINバス3に接続される負荷の状態に依らず、トランジスタ112を常に飽和領域で動作させることができるので、図5で示したブースト部BSTが不要となる。
また、図9〜図11に示した構成ないし構造を全て実現する場合であっても、半導体装置の製造プロセスとしては、SOIプロセスよりも安価で一般的なBiCDMOSプロセスを採用することが可能である。従って、高価なSOIプロセスを用いることなく、正電位サージ及び負電位サージの双方に対して高耐圧なオープンドレイン出力段を実現することが可能となる。
特に、LINインタフェイス部2には、正負双方の高耐圧(例えば−27V〜40V)が要求されているので、上記のオープンドレイン出力段を採用することにより、この要求に応えることが可能となる。
ただし、上記の高耐圧化技術は、本実施形態で例示されている車載通信システムだけでなく、高サージ耐性を必要とするNチャネル型オープンドレイン出力段全般に適用することが可能であることは言うまでもない。
(レシーバの構成例)
図12は、レシーバ20の第1構成例を示す回路図である。第1構成例のレシーバ20は、Nチャネル型電界効果トランジスタ201及び202と、抵抗203及び204と、定電流源205と、レベルシフタ206と、を有する。
トランジスタ201及び202のドレインは、それぞれ抵抗203及び204を介してバス側電源電圧V2の印加端に接続されている。トランジスタ201及び202のソース及びバックゲートは、いずれも定電流源205を介して接地端に接続されている。トランジスタ201のゲートは、受信入力信号RIN(図1のバス信号SBに相当)の入力端に接続されている。トランジスタ202のゲートは、受信基準電圧VREFの入力端に接続されている。レベルシフタ206の入力端は、トランジスタ202のドレインに接続されている。レベルシフタ206の出力端は、受信出力信号ROUT(図1の受信データRxDに相当)の出力端に接続されている。
なお、レベルシフタ206は、トランジスタ202のドレインから引き出される電圧信号(ハイレベルをバス側電源電圧V2とし、ローレベルをグランド電圧としてスイングされる大振幅信号)の入力を受け、これを受信出力信号ROUT(ハイレベルをECU側電源V1とし、ローレベルをグランド電圧としてスイングされる小振幅信号)に変換する。
しかしながら、第1構成例のレシーバ20では、トランジスタ201のゲートに入力される受信入力信号RINがバス側電源電圧V2となったときに、トランジスタ201及び202のソースには、バス側電源電圧V2からトランジスタ201のゲート・ソース間電圧Vgs1を差し引いたソース電圧(V2−Vgs1)が現れる。そのため、トランジスタ202のゲート・ソース間には、上記のソース電圧(V2−Vgs1)から受信基準電圧VREFを差し引いたゲート・ソース間電圧(V2−Vgs1−REF)が印加されるため、これがトランジスタ202のゲート・ソース間耐圧を超えていると、トランジスタ202が破壊されてしまうおそれがある。
図13は、レシーバ20の第2構成例を示す回路図である。第2構成例のレシーバ20は、第1構成例の回路要素201〜206に加えて、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ207及び208と、定電流源209及び210と、ツェナダイオード211〜214と、抵抗215と、を有する。
トランジスタ207のドレインは、バス側電源電圧V2の印加端に接続されている。トランジスタ207のソースとバックゲートは、いずれも定電流源209を介して接地端に接続される一方、抵抗215を介してトランジスタ201のゲートにも接続されている。トランジスタ207のゲートは、トランジスタ201のゲートに代わる形で、受信入力信号RINの入力端に接続されている。トランジスタ208のドレインは、バス側電源電圧V2の印加端に接続されている。トランジスタ208のソースとバックゲートは、いずれも定電流源210を介して接地端に接続される一方、トランジスタ202のゲートにも接続されている。トランジスタ208のゲートは、トランジスタ202のゲートに代わる形で、受信基準電圧VREFの入力端に接続されている。
ツェナダイオード211のカソードはトランジスタ201のゲートに接続されている。ツェナダイオード211のアノードは、トランジスタ201のソースに接続されている。ツェナダイオード212のカソードは、トランジスタ202のゲートに接続されている。ツェナダイオード212のアノードは、トランジスタ202のソースに接続されている。ツェナダイオード213のカソードは、トランジスタ207のゲートに接続されている。ツェナダイオード213のアノードは、トランジスタ207のソースに接続されている。ツェナダイオード214のカソードは、トランジスタ208のゲートに接続されている。ツェナダイオード214のアノードは、トランジスタ208のソースに接続されている。
すなわち、第2構成例のレシーバ20は、互いのソースが共通接続されて、一方のドレインから受信出力信号ROUTが引き出される一対のトランジスタ201及び202と;ゲートが受信入力信号RINの入力端に接続され、ソースがトランジスタ201のゲートに接続されたトランジスタ207と;ゲートが受信基準電圧VREFの入力端に接続されて、ソースがトランジスタ202のゲートに接続されたトランジスタ208と;カソードがトランジスタ201のゲートに接続され、アノードがトランジスタ201のソースに接続されたツェナダイオード211と;カソードがトランジスタ202のゲートに接続されて、アノードがトランジスタ202のソースに接続されたツェナダイオード212と;カソードがトランジスタ207のゲートに接続されて、アノードがトランジスタ207のソースに接続されたツェナダイオード213と;カソードがトランジスタ208のゲートに接続されて、アノードがトランジスタ208のソースに接続されたツェナダイオード214と;トランジスタ201とトランジスタ202のソース電流を生成する定電流源205と;トランジスタ207のソース電流を生成する定電流源209と;トランジスタ208のソース電流を生成する定電流源210と;を含む構成とされている。
なお、ツェナダイオード211〜214のツェナ電圧は、いずれもNチャネル型MOS電界効果トランジスタ201、202、207、及び、208のゲート・ソース間耐圧を超えない値(=5V程度)に設計されている。
このように、トランジスタ対を形成するトランジスタ201及び202とは別に、ソースフォロワとして用いられるトランジスタ207及び208を用意し、受信入力信号RINと受信基準電圧VREFをそれぞれトランジスタ207及び208のゲートに入力した上で、さらに、トランジスタ201、202、207、及び、208のゲート・ソース間に、各々のクランプ素子としてツェナダイオード211〜214を接続することにより、トランジスタ201、202、207、及び208の各ゲート・ソース間電圧が各々の設計耐圧を超えないレベルでクランプされるので、トランジスタの破壊を未然に防止することが可能となり、延いては、第1構成例のレシーバ20よりもバス側電源電圧V2のダイナミックレンジを広げることが可能となる。また、トランジスタ201及び202として高耐圧、低速度の素子を用いる必要がなくなるので、LINインタフェイス部2の高速化に貢献することが可能となる。
また、第2構成例のレシーバ20は、トランジスタ201のゲートとトランジスタ207のソースとの間に挿入された電流制限抵抗をさらに含む構成とされている。このような構成とすることにより、受信入力信号RINの入力端から、降伏したツェナダイオード213及び211を経た後、順バイアス状態のツェナダイオード212及び214を介して受信基準電圧VREFの入力端に至る電流経路、若しくは、その逆に、受信基準電圧VREFの入力端から、降伏したツェナダイオード214及び212を経た後、順バイアス状態のツェナダイオード211及び213を介して受信入力信号RINの入力端に至る電流経路に流れる電流を抑制することが可能となる。
図14は、レシーバ20の第3構成例を示す回路図である。第3構成例のレシーバ20は、第1構成例の回路要素201〜206に加えて、ツェナダイオード211及び212と、ダイオード216及び217と、を有する。
ツェナダイオード211のカソードはトランジスタ201のゲートに接続されている。ツェナダイオード211及びダイオード216のアノードは、いずれもトランジスタ201のソースに接続されている。ツェナダイオード212のカソードは、トランジスタ202のゲートに接続されている。ツェナダイオード212及びダイオード217のアノードは、いずれもトランジスタ202のソースに接続されている。ダイオード216及び217のカソードは、定電流源205に共通接続されている。
すなわち、第2構成例のレシーバ20は、互いのソースが共通接続され、一方のドレインから受信出力信号ROUTが引き出される一対のトランジスタ201及び202と;カソードがトランジスタ201のゲートに接続されて、アノードがトランジスタ201のソースに接続されたツェナダイオード211と;カソードがトランジスタ202のゲートに接続されて、アノードがトランジスタ202のソースに接続されたツェナダイオード212と;トランジスタ201とトランジスタ202のソース電流を生成する定電流源205と;アノードがトランジスタ201のソースに接続され、カソードが定電流源205に接続されたダイオード216と;アノードがトランジスタ202のソースに接続され、カソードが定電流源205に接続されたダイオード217と;を含む構成とされている。
このように、トランジスタ201及び202のゲート・ソース間に、各々のクランプ素子としてツェナダイオード211及び212を接続することにより、第2構成例と同様、トランジスタ201及び202の各ゲート・ソース間電圧が各々の設計耐圧を超えないレベルでクランプされるので、トランジスタの破壊を未然に防止することが可能となる。
また、トランジスタ201及び202の各ソースと定電流源205との間に、ダイオード216及び217を挿入することにより、受信入力信号RINの入力端から降伏したツェナダイオード211と順バイアス状態のダイオード216を介して受信基準電圧VREFの入力端に至る電流経路上には、逆バイアス状態のトランジスタ217が挿入された形となり、その逆に、受信基準電圧VREFの入力端から降伏したツェナダイオード212と順バイアス状態のダイオード217を介して受信入力信号RINの入力端に至る電流経路上には、逆バイアス状態のトランジスタ216が挿入された形となるため、各々の電流経路に流れる電流を完全に遮断することが可能となる。
すなわち、第3構成例のレシーバ20であれば、第2構成例よりも少ない素子数で、これと同等以上の作用効果を享受することが可能となる。
また、第3構成例のレシーバ20において、ダイオード216及び217は、図15に示すように、ダイオード接続されたpnp型バイポーラトランジスタで形成することが望ましい。なぜなら、pnp型バイポーラトランジスタのベース・コレクタ間における順方向耐圧は非常に高い(50V程度)ので、大きな逆バイアス電圧が印加されたとしてもブレイクされることなく、これが挿入された電流経路を確実に遮断することが可能となる。
特に、LINインタフェイス部2には、正負双方の高耐圧(例えば−27V〜40V)が要求されているので、上記のレシーバ20を採用することにより、この要求に応えることが可能となる。
ただし、上記の高耐圧化技術は、本実施形態で例示されている車載通信システムだけでなく、大振幅の信号を受信する必要のあるレシーバ全般に適用することが可能であることは言うまでもない。
(その他の変形例)
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
本発明は、例えば、車載通信システムの信頼性を高めるために有用な技術である。
1 ECU
2 LINインタフェイス部
3 LINバス
4 操作部
5 ドアミラー駆動部
6 パワーウィンドウ駆動部
10 トランスミッタ
20 レシーバ
101、102 スイッチ
103、104 定電流源
105 コンデンサ
106 スイッチ制御部
107 基準電圧生成部
108 定電流制御部
109 アンプ
110〜112 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
113、114 Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ
115、116 抵抗
117 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
118、119 定電流源
120 スイッチ
121 コンパレータ
122 ダイオード
123 Nチャネル型DMOS電界効果トランジスタ
201、202 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
203、204 抵抗
205 定電流源
206 レベルシフタ
207、208 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
209、210 定電流源
211〜214 ツェナダイオード
215 抵抗
216、217 ダイオード
N1〜N4 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
P1〜P4 Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ
R1〜R4 抵抗
AMP1 アンプ
CMP1 コンパレータ
OR1 論理和演算器
BST ブースト部
Dp 寄生ダイオード

Claims (15)

  1. その一端から充電電圧が引き出されるコンデンサと;
    前記コンデンサの充電電流を生成する第1定電流源と;
    前記コンデンサの放電電流を生成する第2定電流源と;
    送信入力信号の論理レベル、及び、前記充電電圧と基準電圧との比較結果に基づいて、前記コンデンサの充放電制御を行う充放電制御部と;
    前記充電電圧に応じて論理レベルが切り替わる送信出力信号を生成する出力段と;
    前記送信出力信号の信号振幅に相当する出力側電源電圧に依存して前記基準電圧を変動させる基準電圧生成部と;
    前記基準電圧に依存して前記充電電流及び前記放電電流の各電流値を変動させる定電流制御部と;
    を有することを特徴とするトランスミッタ。
  2. 前記出力段は、前記充電電圧に応じて導通度が制御されるオープンドレイン型トランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載のトランスミッタ。
  3. 前記オープンドレイン型トランジスタが飽和領域で動作し得る状態になるまで前記放電電流にブースト電流を加え、前記オープンドレイン型トランジスタが飽和領域で動作し得る状態になった時点で前記ブースト電流を切るブースト部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のトランスミッタ。
  4. 前記充放電制御部は、
    前記コンデンサと前記第1定電流源との間を導通/遮断する第1スイッチと;
    前記コンデンサと前記第2定電流源との間を導通/遮断する第2スイッチと;
    前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオン/オフ制御を行うスイッチ制御部と;
    を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトランスミッタ。
  5. 前記基準電圧生成部は、前記出力側電源電圧を分圧して前記基準電圧を生成する抵抗ラダーであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のトランスミッタ。
  6. 前記定電流制御部は、
    前記基準電圧を電圧/電流変換して基準電流を生成する基準電流生成部と;
    前記基準電流を前記充電電流及び前記放電電流として複製するカレントミラー部と;
    を含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のトランスミッタ。
  7. 前記出力段は、アノードが前記送信出力信号の出力端に接続され、カソードが前記オープンドレイン型トランジスタのドレインに接続されたダイオードを含むことを特徴とする請求項2に記載のトランスミッタ。
  8. 前記ダイオードは、半導体基板上の一領域に形成された埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層の上部周縁上に形成されたコレクタウォールと、によって取り囲まれたフローティング領域内に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のトランスミッタ。
  9. 前記出力段は、前記オープンドレイン型トランジスタのドレインと前記ダイオードのカソードとの間に接続されたDMOS電界効果トランジスタを含むことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のトランスミッタ。
  10. 信号送信経路に設けられた請求項1〜請求項9のいずれかに記載のトランスミッタと;
    信号受信経路に設けられたレシーバと;
    を有することを特徴とするインタフェイス装置。
  11. 前記レシーバは、
    互いのソースが共通接続され、一方のドレインから受信出力信号が引き出される一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタと;
    ゲートが受信入力信号の入力端に接続され、ソースが第1トランジスタのゲートに接続された第3トランジスタと;
    ゲートが受信基準電圧の入力端に接続され、ソースが第2トランジスタのゲートに接続された第4トランジスタと;
    カソードが前記第1トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第1トランジスタのソースに接続された第1ツェナダイオードと;
    カソードが前記第2トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第2トランジスタのソースに接続された第2ツェナダイオードと;
    カソードが前記第3トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第3トランジスタのソースに接続された第3ツェナダイオードと;
    カソードが前記第4トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第4トランジスタのソースに接続された第4ツェナダイオードと;
    前記第1トランジスタと前記第2トランジスタのソース電流を生成する第1電流源と;
    前記第3トランジスタのソース電流を生成する第2電流源と;
    前記第4トランジスタのソース電流を生成する第3電流源と;
    を含むことを特徴とする請求項10に記載のインタフェイス装置。
  12. 前記レシーバは、前記第1トランジスタのゲートと前記第3トランジスタのソースとの間に挿入された電流制限抵抗をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のインタフェイス装置。
  13. 前記レシーバは、
    互いのソースが共通接続され、一方のドレインから受信出力信号が引き出される一対の第1トランジスタ及び第2トランジスタと;
    カソードが前記第1トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第1トランジスタのソースに接続された第1ツェナダイオードと;
    カソードが前記第2トランジスタのゲートに接続され、アノードが前記第2トランジスタのソースに接続された第2ツェナダイオードと;
    前記第1トランジスタと前記第2トランジスタのソース電流を生成する電流源と;
    アノードが前記第1トランジスタのソースに接続され、カソードが前記電流源に接続された第1ダイオードと;
    アノードが前記第2トランジスタのソースに接続され、カソードが前記電流源に接続された第2ダイオードと;
    を含むことを特徴とする請求項10に記載のインタフェイス装置。
  14. 前記第1ダイオード及び前記第2ダイオードは、ダイオード接続されたpnp型バイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項13に記載のインタフェイス装置。
  15. ECUと;
    バスと;
    前記ECUと前記バスとの双方向通信を仲介する請求項10〜請求項14のいずれかに記載のインタフェイス装置と;
    を有することを特徴とする車載通信システム。
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