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JP5489731B2 - 電解コンデンサ用封口体 - Google Patents

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Description

本発明は、電解液に対する耐溶剤性、耐薬品性を有し、更に耐熱性、低温特性、ガスバリア性に優れる電解コンデンサ用封口体に関する。
図2に、電解コンデンサの一般的な構造の断面図を示す。外部引出リード線4を接続したコンデンサ素子5が電解液2と共にアルミケース6内に収納され、このアルミケース6の上面開口部に上記外部引出リード線4を挿通して封口ゴム1がはめ込まれ、この封口ゴム1の抜け止めなどのためにアルミケース6の外周部から封口ゴム1を圧接するようにケース絞り加工部3を形成して組み立てられる。
電解コンデンサ用封口ゴムとしては、初期においては天然ゴムが使用されていた。しかし、天然ゴムは、耐熱性やガスバリア性に欠けるという欠点を有していた。そこで、天然ゴムより耐熱性やガスバリア性に優れるエチレンプロピレンゴム(EPDM)が使われるようになったが、更なるガスバリア性が要求されるようになった。近年はガスバリア性の良いゴムとして、ブチルゴム(IIR)の使用が主流になっている。しかし、通常の硫黄加硫によるブチルゴム(IIR)は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)に比べて耐熱性に劣り、更に硫黄がコンデンサ内のアルミニウム電極などを腐食する原因となるという問題があった。
そこで、耐熱性と腐食の問題を克服するため、部分架橋ブチルゴムをパーオキサイド架橋させたゴムからなる封口ゴムが使用されてきた。この封口ゴムは、120℃くらいまでの高温での使用には耐えられたが、車載用を始めとして、部品の小型軽量化に伴い放熱フィンが小型化されているため、更に高温の150℃くらいまでの温度での使用に耐え得る封口ゴムが必要になっている。例えば、車載用の場合は、−40℃〜150℃の広い温度範囲に適応する必要がある。また、エチレングリコールやγ−ブチルラクトンなどの電解液に対する耐液性も必要であり、これらの特性を有する封口ゴムが求められていた。
耐熱性を有するゴムとしては、シリコーンゴムやフッ素ゴムが知られている。しかし、シリコーンゴムは種々のゴムの中でガス透過性が大きく、封口ゴムには適さない。一方、フッ素ゴムはガス透過性が小さいものの、汎用品は−20℃以下の低温ではゴム弾性を失うため、シール性を維持できない可能性がある。
これらの問題を解決するために、本発明者らは、パーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムを使用することにより、電解液に対する耐溶剤性、耐薬品性を有し、耐熱性、低温特性に優れ、また、架橋に硫黄を使用しないので、アルミニウムなどの電極材料を腐食しないなどの特徴を有する電解コンデンサの封口ゴム材料を提案した。しかし、ガス透過性はブチルゴムに比べて大きく、また高温になるほど、ゴム材料のガス透過量は大きくなる性質があることから、150℃での高温使用を考慮した場合、ガスバリア性の向上が求められていた。
ガスバリア性を高める方法として、樹脂フィルムを貼り合わせたり、樹脂フィルムとの積層体なども提案されている。しかし、ゴム材料自体の耐熱性、耐溶剤性などの耐久性を考慮した上での提案はなされていない。
なお、本発明に関連する先行技術としては、下記のものが挙げられる。
特開平8−321441号公報 特開平9−106932号公報 特開平11−26324号公報 特開2004−273753号公報 特許第3448943号公報 特願2009−095421号公報 特開平8−148391号公報 特開2003−109881号公報 特開2004−128078号公報 特許第4258861号公報 特開2009−88278号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、電解液に対して良好な耐液性を有し、耐熱性が良好で、かつ−40℃〜150℃の広い温度範囲に適応可能であり、アルミニウムなどの電極材料を腐食せず、ガスバリア性に優れる電解コンデンサ用封口体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、電解コンデンサの封口体を構成する弾性ゴム材料として、パーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムを使用し、該弾性ゴムの上面、下面、あるいは両面に樹脂フィルムを貼り付けることにより、電解液に対する耐溶剤性、耐薬品性を有し、耐熱性、低温特性に優れ、また、アルミニウムなどの電極材料を腐食せず、ガスバリア性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、下記電解コンデンサ用封口体を提供する。
請求項1:
電解液としてエチレングリコール又はγ−ブチロラクトンを用いる電解コンデンサ用封口体であって、該封口体が
(A)分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に二価のパーフルオロポリエーテル構造を有するアルケニル基含有パーフルオロ化合物、
(B)補強性フィラー、及び
(C)分子中にヒドロシリル基を有する付加反応可能な架橋剤を前記(A)成分を硬化させるのに十分な量
を含有する架橋性フッ素ゴム組成物を硬化させてなるパーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムの上面及び/又は下面に樹脂フィルムを貼り付けてなることを特徴とする電解コンデンサ用封口体。
請求項2:
前記樹脂フィルムが、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びメラミン樹脂のフィルムから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ用封口体。
請求項3
上記(A)成分のアルケニル基含有パーフルオロ化合物が、下記一般式(1)
Figure 0005489731
[式中、Xは−CH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−又は−Y−NR−CO−(Yは−CH2−、−Si(CH32CH2CH2CH2−又は下記構造式(Z)
Figure 0005489731
(o,m又はp位)で示される基)
で表される基、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基、X’は−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR−Y’−(Y’は−CH2−、−CH2CH2CH2(CH32Si−又は下記構造式(Z’)
Figure 0005489731
(o,m又はp位)で示される基)
で表される基であり、Rは上記と同じである。aは独立に0又は1、Lは2〜6の整数、b及びcはそれぞれ独立に0〜200の整数である。]
で表される直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解コンデンサ用封口体。
本発明によれば、電解コンデンサの封口体として、パーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムに樹脂フィルムを貼り合わせたものを使用することにより、電解液に対する耐溶剤性、耐薬品性、150℃の耐熱性を有すると共に、−40℃の低温特性、ガスバリア性にも優れ、また、架橋に硫黄を使用しないので、アルミニウムなどの電極材料を腐食しない電解コンデンサ用封口体が得られる。
本発明の一例による電解コンデンサ用封口体を用いた電解コンデンサの構造を示す概略断面図である。 一般的な電解コンデンサ用封口体を用いた電解コンデンサの構造を示す概略断面図である。
本発明の電解コンデンサ用封口体は、後述するパーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムの上面及び/又は下面に樹脂フィルムを貼り付けてなるものである。
ここで、使用する樹脂フィルムは、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂のフィルムから選択される1種以上である。
これらの中でも、150℃以上の長期耐熱性を有するものが好ましく、単独で使用する場合はポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ、特にポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
また、これらの樹脂を2種以上組み合わせ、積層したラミネートフィルムとして使用しても良い。
また、特にガスバリア性を高めたい場合は、上記樹脂フィルムにAl箔を併用してもよい。
この場合、ラミネート方法は特に限定されず、ドライラミネート法、ウエットラミネート法、及び押出しラミネート法等の公知のラミネート方法を使用することができる。
また、フィルム全体の厚みも特に限定されないが、通常1.5〜500μm、特に10〜300μmが好ましい。フィルム全体の厚みが、1.5μmよりも薄い場合、ガスバリア性が劣ることがあり、500μmを超える場合、電解コンデンサの内容量に影響を与えたり、弾性率や熱膨張係数の違いからパーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムから剥離することがある。
パーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムに樹脂フィルムを貼り付ける際は、必要に応じて、樹脂フィルムの表面をサンドペーパー粗化、サンドブラスト処理、コロナ処理、UV処理、又はプラズマ処理等の表面処理を行い、これに接着剤又はプライマーを塗布することによりパーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムに樹脂フィルムを貼り付けることができる。
この場合、使用する接着剤又はプライマーの具体例としては、エポキシ系、シアノアクリレート系、シリコーン系、又はポリイミド系の接着剤が好ましい。また、ビニル、エポキシ、メタクリル等のシランカップリング剤や共糊系の接着剤も有効である。
パーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムへの樹脂フィルムの貼り付けは、該ゴムの上面、下面のいずれか一方、又は上面及び下面の両方のいずれかにすることができる。これらの中でも、電解コンデンサ内での樹脂フィルムの剥離はガスバリア性の点で致命的になることや電解コンデンサ用封口体作製の作業工数等を考慮すると、パーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムへの樹脂フィルムの貼り付けは、図1のように該ゴムの上面とすることが好ましい。
本発明に使用するパーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムは、主鎖がパーフルオロポリエーテル単位を有し、好ましくは架橋サイトがSi−CH=CH2であるフルオロ化合物をベースポリマーとし、好ましくは架橋システムが付加反応架橋又はパーオキサイド架橋のいずれかである架橋性フッ素ゴム組成物の硬化物であることが好ましい。特には、架橋の途中で副生成物が発生しないことを考慮すると、付加反応架橋がより好ましい。
これらの中でも、パーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムとしては、
(A)分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に二価のパーフルオロポリエーテル構造を有するアルケニル基含有パーフルオロ化合物、
(B)補強性フィラー、及び
(C)分子中にヒドロシリル基を有する付加反応可能な架橋剤を前記(A)成分を硬化させるのに十分な量
を含有する架橋性フッ素ゴム組成物を硬化させてなるものであることが好ましい。
上記(A)成分のアルケニル基含有パーフルオロ化合物としては、下記一般式(1)で表される直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物であることが好ましい。
Figure 0005489731
[式中、Xは−CH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−又は−Y−NR−CO−(Yは−CH2−、−Si(CH32CH2CH2CH2−又は下記構造式(Z)
Figure 0005489731
で示されるo,m又はp−ジメチルシリルフェニレン基)
で表される基、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基、X’は−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR−Y’−(Y’は−CH2−、−CH2CH2CH2(CH32Si−又は下記構造式(Z’)
Figure 0005489731
で示されるo,m又はp−ジメチルシリルフェニレン基)
で表される基であり、Rは上記と同じである。aは独立に0又は1、Lは2〜6の整数、b及びcはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、好ましくはb,cはそれぞれ独立に2〜180の整数であり、特に好ましくはb,cはそれぞれ独立に10〜150の整数である。]
これらの直鎖状パーフルオロ化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(B)成分の補強性フィラーとしては、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、粉砕シリカ、炭酸カルシウム、珪藻土、カーボンブラック、各種金属酸化物粉末等が挙げられ、また、これらを各種表面処理剤で処理したものであってもよい。これらの中で、機械的強度の向上の点から、特にヒュームドシリカが好ましく、更に、分散性の向上の点から、ヒュームドシリカをシラン系表面処理剤で処理したものがより好ましい。
(B)成分の補強性フィラーの添加量は、(A)成分100質量部に対して1〜200質量部が好ましい。特に、機械的特性の安定の点から5〜100質量部が好ましい。
(C)成分は、(A)成分のアルケニル基含有パーフルオロ化合物を硬化させるための架橋剤であり、分子中にケイ素原子に結合した水素原子[即ち、ヒドロシリル基(SiH基)]を有する付加反応可能な架橋剤である。
(C)成分は、1分子中にヒドロシリル基(SiH基)を少なくとも2個有する、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物であり、(A)成分との相溶性、分散性、硬化後の均一性の観点から、1分子中に1個以上のフッ素含有一価炭化水素基を有するものが好ましい。
(C)成分の添加量は、(A)成分を硬化させるのに十分な量であればよく、通常、(A)成分中のアルケニル基の合計1モルに対し、(C)成分中のヒドロシリル基(SiH基)のモル比率が0.5〜2.0、更に好ましくは0.8〜1.5となる量である。
更に、(A)成分中のアルケニル基と(C)成分中のヒドロシリル基(SiH基)との付加反応を促進する触媒が必要であり、このヒドロシリル化反応触媒は、一般に貴金属の化合物であり、高価格であることから、比較的入手し易い白金又は白金化合物等の白金族金属化合物がよく用いられる。
白金又は白金化合物等の白金族金属化合物の添加量は、所謂触媒量でよいが、白金族金属原子として(A)成分に対して0.1〜1,000ppm、好ましくは1〜500ppmである。
封口ゴムは、上記パーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴム組成物を架橋させて成形すればよい。硬化条件としては、通常100℃〜200℃で30秒〜15分間、特には100℃〜180℃で30秒〜15分間でよい。更に、硬化をより完全にするために、120℃〜200℃、30分〜4時間の条件でアフターキュアーをしても良い。
上記で説明した付加反応架橋型のパーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴム組成物は、特許第2990646号公報、特許第3413713号公報、特許第3239717号公報、特許第3077536号公報等により詳しく記載されているものであり、このような含フッ素ゴム組成物としては市販品を使用することができ、例えば、SIFEL3705A/B、SIFEL3790等に代表されるSIFELシリーズ(信越化学工業(株)製、商品名)などが挙げられる。
封口体は、上記パーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴム組成物を架橋させてパーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムとし、これと上記樹脂フィルムの接着界面に必要に応じて上記表面処理を行うと共に上記接着剤又はプライマーを塗布し、両者を貼り合わせてシート状に成形したものを所定の形状に打ち抜いて使用してもよい。あるいは、所定の形状にデザインされた金型の底面に必要に応じて上記表面処理を施した樹脂フィルムをセットし、この上に上記パーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴム組成物を流し込み、熱硬化させて成形してもよい。その際、射出成形機などを使用することも可能である。
以下、実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[調製例1]
170mm×130mm×2mm厚の金型中に、上記(A)及び(C)成分を含有すると共に、(B)成分の補強性フィラーとしてシラン系表面処理剤で表面処理を施したヒュームドシリカを含有する付加反応架橋タイプのパーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴム組成物:SIFEL3705A/B(信越化学工業(株)製、液状2液タイプ組成物)を流し込み、150℃で10分間プレスキュアーをし、200℃で4時間オーブンキュアーをしてシート状成形物を得た。また、同じ硬化条件で、JIS K 6262準拠の圧縮玉を成形した。これらを用いて、以下の確認を行った。
耐熱性試験
150℃で1,000時間静置した後の硬さ、引張強さ、切断時伸び、圧縮永久歪を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005489731
150℃で1,000時間静置した後においてもゴム物性の劣化が少なかった。また、圧縮永久歪も15%と小さかった。
溶剤膨潤性
エチレングリコール、γ−ブチルラクトンに、100℃で72時間浸漬した時の膨潤率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005489731
溶剤に対してほとんど膨潤しないことがわかった。
[実施例1]
厚さ125μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを170mm×130mmの大きさにカットし、その表面に酸素プラズマ処理を施した後、接着剤:プライマーSF−12(信越化学工業(株)製)を塗布し、120℃で10分間焼付け処理をした。このシートを170mm×130mm×1mm厚の金型の底面にセットし、フィルムの上部から調製例1で使用したSIFEL3705A/Bを流し込み、120℃で10分間プレスキュアーをし、180℃で4時間オーブンキュアーをしてシート状成形物を得た。この成形物を37mmφの円形シート状に打ち抜き、[120℃×70時間+室温(25℃)×2時間]を1サイクルとして合計4サイクル繰り返し、エチレングリコール(電解液)の透過性試験を実施した。結果を表3に示す。
エチレングリコールの透過性試験
外口径約37mmφ、内口径約29mmφの有底円筒状のガラス瓶と真中に29mmφの穴を有し上記ガラス瓶の口部外周に密着固定可能な円筒状の金属製キャップを用意した。ガラス瓶にエチレングリコールを約5g入れ、上記円形シート(樹脂部分が外側)をガラス瓶の口部分に載せたのち、上記金属製キャップで上記円形シートを挟み込み、しっかり密着固定した。初期重量を測定してから、所定の条件での耐久試験を実施し、実施後の重量との差から、エチレングリコールの透過量を算出した。
[比較例1]
1mm厚の樹脂加硫のブチルゴムシート使用し、実施例1と同様に、37mmφの円形シート状に打ち抜き、[120℃×70時間+室温(25℃)×2時間]を1サイクルとして合計4サイクル繰り返し、エチレングリコール(電解液)の透過性試験を実施した。結果を表3に示す。
Figure 0005489731
樹脂フィルムを貼り合わせた実施例1は、現行使用されているブチルゴム(比較例1)に比べて、エチレングリコールの透過量を大幅に低減できている。このことから、実施例1はガスバリア性に優れていることがわかる。
1 封口ゴム
2 電解液
3 ケース絞り加工部
4 外部引出リード線
5 コンデンサ素子
6 アルミケース
7 樹脂フィルム

Claims (3)

  1. 電解液としてエチレングリコール又はγ−ブチロラクトンを用いる電解コンデンサ用封口体であって、該封口体が
    (A)分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し、かつ主鎖中に二価のパーフルオロポリエーテル構造を有するアルケニル基含有パーフルオロ化合物、
    (B)補強性フィラー、及び
    (C)分子中にヒドロシリル基を有する付加反応可能な架橋剤を前記(A)成分を硬化させるのに十分な量
    を含有する架橋性フッ素ゴム組成物を硬化させてなるパーフルオロポリエーテル系含フッ素ゴムの上面及び/又は下面に樹脂フィルムを貼り付けてなることを特徴とする電解コンデンサ用封口体。
  2. 前記樹脂フィルムが、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びメラミン樹脂のフィルムから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ用封口体。
  3. 上記(A)成分のアルケニル基含有パーフルオロ化合物が、下記一般式(1)
    Figure 0005489731
    [式中、Xは−CH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−又は−Y−NR−CO−(Yは−CH2−、−Si(CH32CH2CH2CH2−又は下記構造式(Z)
    Figure 0005489731
    (o,m又はp位)で示される基)
    で表される基、Rは水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基、X’は−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR−Y’−(Y’は−CH2−、−CH2CH2CH2(CH32Si−又は下記構造式(Z’)
    Figure 0005489731
    (o,m又はp位)で示される基)
    で表される基であり、Rは上記と同じである。aは独立に0又は1、Lは2〜6の整数、b及びcはそれぞれ独立に0〜200の整数である。]
    で表される直鎖状パーフルオロポリエーテル化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解コンデンサ用封口体。
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