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JP5488574B2 - 空調室内機 - Google Patents

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Description

本発明は、フラップにより吹出し空気の風向を制御する空調室内機に関する。
空調室内機は、室内の壁面に取り付けられる壁掛け型、床置き型、天井吊り型及び天井埋め込み型など種々のタイプがあるが、室内や天井などの限られた空間を有効に使用するためにできるだけ小型化することが求められる。その一方で、空調室内機には、室内の所望の箇所に送風する機能が要求されるため、できるだけ大きな垂直フラップや水平フラップが吹出口に取り付けられている。例えば、特許文献1(特開平9−184650号公報)には、室内の離れた場所にまで送気するために、比較的大きな水平フラップ(上フラップ)だけでなく補助的な水平フラップ(下フラップ)までもが吹出口に取り付けられている壁掛け型空気調和機が記載されている。
特許文献1に記載されているような補助的な水平フラップを設け、外観を損なわないように運転停止時に補助的な水平フラップを格納するためには、空調室内機のケーシングは必然的に大きくなってしまう。逆にケーシングの小型化に重点をおくと、補助的な水平フラップの占有する空間を確保するために水平フラップや垂直フラップの大きさが制限されてしまって、吹き出し方向を変更する能力や所望の箇所に送風する能力が低下する。
本発明の課題は、空調室内機においてフラップによる吹出し空気の風向制御能力の向上と空調室内機の小型化とを両立させることにある。
本発明の第1観点に係る空調室内機は、吹出口が形成されているケーシングと、ケーシング内に配置され、吹出口から吹き出される空気の左右風向及び上下風向のうちの一方である第1風向を制御するための第1フラップと、ケーシングの吹出口に配置され、運転時には第1フラップの向きに関わらず第1フラップに当たらない非干渉位置において左右風向及び上下風向のうちの第1風向とは異なる第2風向を制御するための第2フラップと、運転停止時には第2フラップを非干渉位置よりも内側に格納するために第2フラップが第1フラップに当たらない第1フラップ格納位置まで第1フラップを移動し、運転開始時には第1フラップが第1フラップ格納位置から第2フラップに当たる位置に移動する前に第2フラップを非干渉位置に移動し得る制御部と、を備えるものである。
この空調室内機では、制御部により、運転停止時には、第1フラップ格納位置に第1フラップが移動させられるので、第1フラップと第2フラップとを互いに干渉するほど大きなものとすることができるにも拘らず、第2フラップが第1フラップに当たらないようにコンパクトに収納することができる。その一方、運転開始時においては、制御部により、第2フラップが先に非干渉位置に移動させられるので、第2フラップの干渉を受けずに第1フラップが左右方向の風向制御を自在に行えるようになる。
また、本発明の第1観点に係る空調室内機は、吹出口に配置され、第2風向についての制御を第2フラップによって補助され、かつ運転時に第2フラップの外側において第2風向を制御するための第3フラップをさらに備え、制御部は、運転開始時に、第2フラップが非干渉位置にある状態を維持しつつ第1フラップと第3フラップとを同時に移動し得るものである。
この空調室内機では、第2フラップが非干渉位置にある状態で第1フラップと第3フラップとを制御部が同時に移動させることにより、第1フラップと第3フラップを順次移動させなければならない場合に比べて移動時間を省くことができ、運転開始時におけるフラップ移動の迅速化が図れる。
本発明の第2観点に係る空調室内機は、吹出口が形成されているケーシングと、ケーシング内に配置され、吹出口から吹き出される空気の左右風向及び上下風向のうちの一方である第1風向を制御するための第1フラップと、ケーシングの吹出口に配置され、運転時には第1フラップの向きに関わらず第1フラップに当たらない非干渉位置において左右風向及び上下風向のうちの第1風向とは異なる第2風向を制御するための第2フラップと、運転停止時には第2フラップを非干渉位置よりも内側に格納するために第2フラップが第1フラップに当たらない第1フラップ格納位置まで第1フラップを移動し、運転開始時には第1フラップが第1フラップ格納位置から第2フラップに当たる位置に移動する前に第2フラップを非干渉位置に移動し得る制御部と、吹出口に配置され、第2風向についての制御を第2フラップによって補助され、かつ風向変更時に第2フラップの外側において第2風向を制御するための第3フラップとを備え、制御部は、風向変更時に第2フラップを非干渉位置に止めた状態で第3フラップに姿勢を変更させ得るものである。
この空調室内機では、第2フラップを閉じた状態にせずに非干渉位置で止めた状態で第3フラップの姿勢変更ができるので、第2フラップを閉じて第3フラップに姿勢を変更させる場合に比べて非干渉位置から第2フラップを閉じた位置まで移動させる時間を短縮できる。
本発明の第3観点に係る空調室内機は、吹出口が形成されているケーシングと、ケーシング内に配置され、吹出口から吹き出される空気の左右風向及び上下風向のうちの一方である第1風向を制御するための第1フラップと、ケーシングの吹出口に配置され、運転時には第1フラップの向きに関わらず第1フラップに当たらない非干渉位置において左右風向及び上下風向のうちの第1風向とは異なる第2風向を制御するための第2フラップと、運転停止時には第2フラップを非干渉位置よりも内側に格納するために第2フラップが第1フラップに当たらない第1フラップ格納位置まで第1フラップを移動し、運転開始時には第1フラップが第1フラップ格納位置から第2フラップに当たる位置に移動する前に第2フラップを非干渉位置に移動し得る制御部と、吹出口に配置され、第2風向についての制御を第2フラップによって補助され、かつ運転時に第2フラップの外側において第2風向を制御するための第3フラップとを備え、制御部は、運転時には、第2フラップを非干渉位置よりも内側には移動させずに、第2フラップと第3フラップとによる第2風向の制御を行わせ得る。
この空調室内機では、第2フラップを非干渉位置よりも内側に移動させずに第2風向の制御を行うことにより、第1風向と第2風向の制御を同時に行うことができる。
本発明の第4観点に係る空調室内機は、第2観点又は第3観点の空調室内機であって、吹出口に配置され、第2風向についての制御を第2フラップによって補助され、かつ運転時に第2フラップの外側において第2風向を制御するための第3フラップをさらに備え、制御部は、運転時には、第2フラップを非干渉位置よりも内側には移動させずに、第2フラップと第3フラップとによる第2風向の制御を行わせ得る。
この空調室内機では、第2フラップを非干渉位置よりも内側に移動させずに第2風向の制御を行うことにより、第1風向と第2風向の制御を同時に行うことができる。
本発明の第5観点に係る空調室内機は、第1観点から第4観点のいずれかの空調室内機であって、第3フラップは、運転停止時に吹出口を覆って吹出口を閉じ、第2フラップは、運転停止時にケーシング内の第1フラップと第3フラップとの間に格納され、制御部は、運転停止時に吹出口を閉じている第3フラップに当たらない第2フラップ格納位置に第2フラップを移動し得るものである。
この空調室内機では、制御部により、第2フラップが第2フラップ格納位置まで移動させられ、第3フラップで吹出口を覆うことができる。
本発明の第6観点に係る空調室内機は、第5観点に係る空調室内機であって、制御部は、運転開始時に、第2フラップが第2フラップ格納位置から非干渉位置に移動する前に、第2フラップが非干渉位置にあっても第2フラップに第3フラップが当たらない第3フラップ運転開始位置まで第3フラップを移動させ得るものである。
この空調室内機では、制御部により非干渉位置に達する前に第2フラップと第3フラップとが当たらない第3フラップ運転開始位置まで第3フラップを移動させる制御を行なわせるため、閉じた状態の第3フラップに当たる位置よりも更に外側に非干渉位置を設定することができる。
本発明の第7観点に係る空調室内機は、第6観点に係る空調室内機であって、制御部は、第3フラップが第3フラップ運転開始位置まで移動しているときに、第2フラップを閉じる側の所定角度を基準として第2フラップに原点出しを行わせ得るものである。
この空調室内機では、第3フラップの移動と並行して第2フラップの原点出しを行なうことができるので、第2フラップの原点出し完了までの時間を短縮することができる。
本発明の第8観点に係る空調室内機は、第6観点又は第7観点の空調室内機であって、第3フラップは、軸方向が吹出口に略平行に配置されている回転軸を持ち、回転軸が移動可能に構成され、制御部は、回転軸を所定位置に移動させることにより、第3フラップ運転開始位置に第3フラップを移動させ得るものである。
この空調室内機では、移動可能な回転軸という簡単な構成によって第3フラップに第3フラップ運転開始位置を持たせられる。
本発明の第9観点に係る空調室内機は、第5観点から第8観点のいずれかの空調室内機であって、制御部は、運転を停止するとき第2フラップ格納位置において第2フラップに原点出しを行わせ得るものである。
この空調室内機では、運転を停止するとき第2フラップの原点出しを行なうことにより、運転開始時に第2フラップの原点出しが行われた状態のため、非干渉位置への第2フラップの移動が素早く行え、運転開始を円滑に行える。
本発明の第10観点に係る空調室内機は、第2観点から第9観点のいずれかの空調室内機であって、第3フラップは、第2フラップが非干渉位置にあるときに、第3フラップが第2フラップに当たらずに原点出しを行える原点出し位置に移動可能に構成され、制御部は、第2フラップを非干渉位置に移動させた後に第3フラップを原点出し位置に移動させ、第3フラップに原点出しを行わせ得るものである。
この空調室内機では、原点出し位置では、第1フラップの向きに拘らず第3フラップの原点出しが行えるため、第3フラップの原点出しに拘らず第1フラップの角度を変更できる。
本発明の第11観点に係る空調室内機は、第2観点から第10観点のいずれかの空調室内機であって、制御部は、運転時に第2フラップが非干渉位置にあるときには、第2フラップには当たらない動作のみによって第2風向の制御を第3フラップが行うように第3フラップを制御し得るものである。
この空調室内機では、第2フラップを非干渉位置に移動させることによって運転中の第3フラップの動作を全て可能にできるため、第1フラップも運転中の第3フラップの動作に拘らず、風向制御を行うことができる。
本発明の第1観点に係る空調室内機では、空調室内機のコンパクト化と第1フラップ及び第2フラップによる風向制御能力の向上とを両立させることができる。また、運転開始時におけるフラップ移動の迅速化が図れるので、風向制御を始めるまでの時間を短縮することができる。
本発明の第2観点に係る空調室内機では、空調室内機のコンパクト化と第1フラップ及び第2フラップによる風向制御能力の向上とを両立させることができる。また、風向変更時におけるフラップ移動の迅速化が図れ、さらに風向制御の性能を向上させることができる。
本発明の第3観点又は第4観点に係る空調室内機では、空調室内機のコンパクト化と第1フラップ及び第2フラップによる風向制御能力の向上とを両立させることができる。また、運転時における風向制御のためのフラップ移動の迅速化が図れ、さらに風向制御の性能を向上させることができる。
本発明の第5観点に係る空調室内機では、第3フラップで吹出口を覆うタイプにおいて更なるケーシングのコンパクト化が図れる。
本発明の第6観点に係る空調室内機では、運転停止時には、第3フラップを非干渉位置よりも後に収納することができ、運転停止時における空調室内機のコンパクト化が図れる。
本発明の第7観点に係る空調室内機では、第2フラップの原点出し完了までの時間を短縮することができ、風向制御の開始までの時間を短縮することができる。
本発明の第8観点に係る空調室内機では、第3フラップに第3フラップ運転開始位置を持たせるための構成が簡単になり、コンパクトで風向制御能力の高い空調室内機を安価に提供できる。
本発明の第9観点に係る空調室内機では、非干渉位置への第2フラップの移動が素早く行え、運転開始を円滑に行えることから運転開始時間を短縮することができる。
本発明の第10観点に係る空調室内機では、第1フラップの風向制御までの時間を短縮することができる。
本発明の第11観点に係る空調室内機では、第2フラップを非干渉位置に移動させることによって第1風向及び第2風向の制御を制限なく行え、第1フラップ、第2フラップ及び第3フラップを備える構成において風向制御の能力を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る空調室内機の概観を説明するための斜視図。 図1の空調室内機の運転停止時の断面図。 空調室内機を含む空気調和装置の空調制御装置の構成を示すブロック図。 水平フラップが吹出口を開けた状態の空調室内機の下部の構成を説明するための部分斜視図。 水平フラップが吹出口を開けた状態の空調室内機の下部の構成を説明するための部分拡大斜視図。 (a)格納されている状態を説明するための垂直フラップの模式図、(b)前方に吹出し空気を誘導している状態を説明するための垂直フラップの模式図。 ラック上位置における垂直フラップと水平フラップと補助フラップの動作を説明するためのタイミングチャート。 (a)水平フラップにより吹出口が閉じられている状態を示す空調室内機の断面の模式図、(b)水平フラップがフラップ擦れ防止位置に移動した状態を示す空調室内機の断面の模式図、(c)ラック部材の全開位置を示す空調室内機の断面の模式図、(d)ラック部材の全開位置による水平フラップの姿勢を示す空調室内機の断面の模式図、(e)リンク部材の全開位置による水平フラップの姿勢を示す空調室内機の断面の模式図、(e)補助フラップの補助フラップ風向角度位置の一例を示す空調室内機の断面の模式図。 ラック上位置における垂直フラップと水平フラップと補助フラップの動作を説明するためのフローチャート。 水平フラップがラック上位置で風向制御している状態を示す空調室内機の部分断面の模式図。 水平フラップにより吹出口が閉じられている状態を示す空調室内機の部分断面の模式図。 水平フラップがフラップ擦れ防止位置に移動した状態を示す空調室内機の断面の模式図。 水平フラップがフラップ擦れ防止位置に移動した状態を示す空調室内機の断面の模式図。 ラック下位置における垂直フラップと水平フラップと補助フラップの動作を説明するためのタイミングチャート。 (a)水平フラップにより吹出口が閉じられている状態を示す空調室内機の断面の模式図、(b)水平フラップがフラップ擦れ防止位置に移動した状態を示す空調室内機の断面の模式図、(c)ラック部材の全開位置を示す空調室内機の断面の模式図、(d)ラック部材の全開位置による水平フラップの姿勢を示す空調室内機の断面の模式図、(e)補助フラップの補助フラップ風向角度位置の一例を示す空調室内機の断面の模式図。 ラック下位置における垂直フラップと水平フラップと補助フラップの動作を説明するためのフローチャート。 水平フラップがフラップ擦れ防止位置に移動した状態を示す空調室内機の断面の模式図。 水平フラップにより吹出口が閉じられている状態を示す空調室内機の断面の模式図。 ラック下位置からラック上位置への変更をともなう風向変更時の垂直フラップと水平フラップと補助フラップの動作を説明するためのタイミングチャート。 ラック下位置からラック上位置への変更をともなう風向変更時の垂直フラップと水平フラップと補助フラップの動作を説明するためのフローチャート。 ラック上位置からラック下位置への変更をともなう風向変更時の垂直フラップと水平フラップと補助フラップの動作を説明するためのタイミングチャート。 ラック上位置からラック下位置への変更をともなう風向変更時の垂直フラップと水平フラップと補助フラップの動作を説明するためのフローチャート。 運転停止時の垂直フラップと水平フラップと補助フラップの動作を説明するためのタイミングチャート。 運転停止時の垂直フラップと水平フラップと補助フラップの動作を説明するためのフローチャート。 (a)運転停止前の水平フラップの状態を示す空調室内機の部分断面の模式図、(b)ラック部材57がラック閾角度位置に移動した状態を示す空調室内機の部分断面の模式図、(c)リンク部材がフラップ擦れ防止リンク位置に回動した状態を示す空調室内機の部分断面の模式図、(d)ラック部材がフラップ擦れ防止ラック位置に移動している状態を示す空調室内機の部分断面の模式図、(e)水平フラップが閉じて運転が終了した状態を示す空調室内機の部分断面の模式図。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る空調室内機について説明する。
(1)空調室内機の構成の概要
図1は、空調室内機の運転時の外観を示す斜視図である。また、図2は、図1に係る空調室内機の運転停止時の状態を示す断面図である。空調室内機10は、壁掛式であって、室内熱交換器11、室内ファン12、本体ケーシング13、底フレーム17、フィルタ25及び室内制御部41を備えている。
本体ケーシング13は、前面グリル13a、前面パネル13b及び背面板13cからなる立体形状を持ち、その立体形状内に室内熱交換器11、室内ファン12、底フレーム17、フィルタ25、及び室内制御部41が収まっている。前面パネル13bは、前面グリル13aの前面を覆っており、その上端に設けられたヒンジによって前面グリル13aに回動自在に支持されている。この本体ケーシング13の背面板13cは、取付板(図示せず)を介して壁に装着される。背面板13cの前に底フレーム17が取り付けられており、底フレーム17には、室内熱交換器11及び室内ファン12が取り付けられている。
前面グリル13aの前上部には、吸込口22が設けられている。本体ケーシング13の下面部には、吹出口15が設けられている。吹出口15は、吹出流路18によって本体ケーシング13の内部と繋がっており、吹出流路18は吹出口15から底フレーム17に沿って形成されている。吸込口22近傍の室内空気は、室内ファン12の稼動によって吸込口22、フィルタ25及び室内熱交換器11を経て室内ファン12に吸い込まれ、室内ファン12から吹出流路18を経て吹出口15から吹き出される。
室内熱交換器11は、側面視において両端が下方に向いて屈曲する逆V字状の形状を成し、その下方に室内ファン12が位置する。室内ファン12は、クロスフローファンであり、室内から取り込んだ空気を、室内熱交換器11に当てて通過させた後、吹出口15から室内に吹き出す。室内熱交換器11は、通過する空気との間で熱交換を行う。本体ケーシング13の前面グリル13aと室内熱交換器11との間にはフィルタ25が配置されている。フィルタ25は、室内熱交換器11に向って流入してくる空気に含まれる塵埃を除去する。
吹出流路18には、図2に示すように、垂直フラップ20が配置されている。垂直フラップ20は、鉛直面に対して角度を変更できるように取り付けられている。垂直フラップ20は、後述するモータによって駆動され、正面に対して左右側面方向に向かう所定の角度範囲内で任意の角度を取ることができる。それにより、垂直フラップ20は、吹き出し空気の吹出し方向を本体ケーシング13の正面から左右の所定の角度範囲内のいずれかの方向に向けることができる。
また、吹出口15には、吹出口15から吹き出される空気を案内する水平フラップ30が水平面に対して角度を変更できるように取り付けられている。水平フラップ30は、後述するモータによって駆動され、上下方向の空気の吹出方向を変更するだけでなく、吹出口15を開閉することもできる。
さらに、吹出口15の後縁には、水平フラップ30の補助をする補助フラップ130が水平面に対して角度を変更できるように取り付けられている。補助フラップ130は、吹出口15の後縁側に回動の中心となる回転軸130aを持つ。
図3は、空調制御装置40の構成を示すブロック図である。空調制御装置40は、空調室内機10の各機器を制御するための室内制御部41と、空調室外機の各機器を制御するための室外制御部42とを備えており、室内制御部41と室外制御部42との間が信号線43で接続されて構成されている。室内制御部41は、本体ケーシング13の前方部分の電装品箱内に収まっており、CPU(中央演算処理装置)41aや記憶部41bなどで構成されており、室内ファン12の回転数制御や垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130を駆動するモータの制御などを行う。
室外制御部42は、圧縮機74、室外電動膨張弁75、四路切換弁76、室外ファン77、複数の圧力センサ78および複数の温度センサ79などに接続されている。圧縮機74、室外電動膨張弁75、四路切換弁76は、図示しない室内熱交換器と上述の室内熱交換器11などと環状に接続されて冷凍回路を構成している。空調室外機の圧力センサ78や温度センサ79や空調室内機10の温度センサ60などは、これら空調室外機や空調室内機10による空調を適切に行うため、冷凍回路の状態や空調の状態や環境状態を検知するためのセンサである。
室内制御部41には、送受信部44、水平フラップ駆動機構51、垂直フラップ駆動機構52、クロスフローファン用モータ12a、温度センサ60および表示部61などが接続されている。室内制御部41は、制御のために、ユーザーのリモートコントローラなどと送受信部44との間でデータの送受信を行っている。室内制御部41は、室内の状態やユーザーなどの設定に従って、水平フラップ駆動機構51、垂直フラップ駆動機構52およびクロスフローファン用モータ12aの制御を行い、水平フラップ30、補助フラップ130および垂直フラップ20の角度や揺動の状態、およびクロスフローファン用モータ12aの回転数を調整し、調和空気の吹出し方向や吹き出す強さなどを変更することができる。室内制御部41は、冷媒回路や各機器に設置された複数の温度センサ60などによって検知された各部の温度などの状態情報を、制御のための判断に用いている。また、室内制御部41は、表示部61を介して、空調室内機10の設定状態や環境などをユーザーなどに知らせる。
(2)詳細構成
(2−1)水平フラップ
水平フラップ30の詳細な構成について図1、図2及び図4を用いて説明する。図4は、水平フラップが吹出口15を開けた状態の空調室内機の下部の構成を説明するための部分斜視図である。水平フラップ30は、略長方形の板状部材であり、空調室内機10が運転を停止しているときは、吹出口15の開口を覆う位置(以下、全閉位置という)にある。水平フラップ30の全閉位置において外部から視認することができる第1面30aは、本体ケーシング13の下面の一部を構成する。
水平フラップ30の第1面30aの裏面である第2面30bには、第1前方連結部311、第2前方連結部312及び第3前方連結部313が設けられている。第1前方連結部311、第2前方連結部312及び第3前方連結部313は、水平フラップ30の閉位置における第2面30bの前方端側で、第2面30bの長手方向に沿ってほぼ等間隔に配置されている。これら第1前方連結部311、第2前方連結部312及び第3前方連結部313を結ぶ回転軸310を中心に水平フラップ30は回動する。また、水平フラップ30の第2面30bには、第1後方連結部321及び第2後方連結部322が設けられている。第1後方連結部321及び第2後方連結部322は、水平フラップ30の閉位置における第2面30bの後方端側で、第2面30bの長手方向中央部に配置されている。
第1前方連結部311、第2前方連結部312及び第3前方連結部313には、それぞれ、円弧状に曲がって伸びる3本の棒状のラック部材57の一端が連結される。ラック部材57は、凸状に湾曲した側面にラックアンドピニオン機構のラック57aが形成されており、後述するピニオンギア55と噛み合わせるためにラック57aを斜め上方に向けた姿勢をとる。
また、図1に示すように、第1後方連結部321及び第2後方連結部322には、それぞれ折り畳み可能なリンク部材58の一端が連結されている。リンク部材58は、折り畳み可能な構成とするため、2つの棒状部材の端部同士が回転自在に接合された構成である。リンク部材58の2つの棒状部材のうち節58cの上側を上リンク58a、下側を下リンク58bとよぶ。
図4に示されているように、本体ケーシング13の内部には、ラック駆動用モータ51aが搭載されており、ラック駆動用モータ51aの回転軸にはピニオンギア55が取り付けられている。ラック駆動用モータ51aはステッピングモータである。ピニオンギア55はラック57aと噛み合っており、ラック駆動用モータ51aがピニオンギア55を左側から見て反時計回りCCWに回転させることによって、ラック部材57が吹出口15の前方に向って移動する。このように、水平フラップ30の前部が吹出口15の前方に向って迫り出す動作を、ラック駆動用モータ51aの第1動作とよぶ。逆に、ラック駆動用モータ51aがピニオンギア55を時計回りに回転させることによって、ラック部材57が本体ケーシング13の奥側に向って後退する。これを、ラック駆動用モータ51aの第2動作とよぶ。
さらに、本体ケーシング13の内部には、リンク駆動用モータ51bが搭載されており、リンク駆動用モータ51bの回転軸には駆動ギア56が取り付けられている。リンク駆動用モータ51bはステッピングモータである。また、リンク部材58の上リンク58aの端部に被駆動ギア(図示せず)が設けられており、リンク駆動用モータ51bが駆動ギア56を介して被駆動ギアを第1方向に回転させることによって、節58cを中心に上リンク58aと下リンク58bとが成す中心角が拡大し、水平フラップ30の後部が吹出口15の前方に向って前進する。これを、リンク駆動用モータ51bの第1動作とよぶ。逆に、駆動ギア56が被駆動ギアを第1方向とは逆の第2方向に回転させることによって、節58cを中心に上リンク58aと下リンク58bとが成す中心角が縮小し、水平フラップ30の後部が吹出口15に向って後退する。これを、リンク駆動用モータ51bの第2動作とよぶ。
上述のラック駆動用モータ51aの第1動作とリンク駆動用モータ51bの第1動作とが、同時または連続して実行されることによって、水平フラップ30の前方端側と後方端側の両方が吹出口15の前方に向って迫り出す。また、ラック駆動用モータ51aの第2動作とリンク駆動用モータ51bの第2動作とが、同時または連続して実行されることによって、水平フラップ30の前方端側と後方端側の両方が吹出口15に向って後退する。これらラック駆動用モータ51aの第1動作及び第2動作並びにリンク駆動用モータ51bの第1動作及び第2動作の組み合わせによって、水平フラップ30は、さまざまの姿勢をとり得る。
(2−2)補助フラップ
図1に示されているように、吹出口15の後部に、吹出口15の長手方向に沿って2つの補助フラップ130が設けられている。これら2つの補助フラップ130は、図2に示されている回転軸130aを持ち、この回転軸130aが吹出口15の長手方向と平行に配置されている。これら回転軸130aは、図1及び図3に示されている補助フラップ駆動用モータ51cで駆動される。補助フラップ駆動用モータ51cはステッピングモータである。図2から分かるように、補助フラップ130は、その先端が最も前方に位置する状態で、吹出口15の後縁から吹出口15のほぼ半分を覆う幅を有している。
本体ケーシング13のうち吹出口15の中央部と対峙する位置に、補助フラップ130の回転軸130aの一端を支持する2つの中央支持部131が設けられている(図1参照)。また、本体ケーシング13のうち吹出口15の後部コーナーには、補助フラップ130の回転軸130aの他方の端を支持する側方支持部132が設けられている。
また、図2に示されているように、水平フラップ30が閉位置にあるとき、補助フラップ130は水平フラップ30の上方に、水平フラップ30とほぼ平行な姿勢で収納されており、外部からは見えない。以下の説明においては、補助フラップ130の収納されているこの位置を補助フラップ格納位置と呼ぶ。補助フラップ130が補助フラップ格納位置にあるとき、補助フラップ130は、水平フラップ30の第2面30bと重なるように近接し、補助フラップ130が吹出流路18を占有する空間は小さく、吹出口15周辺および吹出流路18において左右一杯に開いている垂直フラップ20と干渉しないようになっている。以下の説明において、垂直フラップ20が左右一杯に開いた状態をワイド位置とよぶ。このワイド位置が運転停止時に垂直フラップ20の格納される格納位置でもある。
(2−3)垂直フラップ
垂直フラップ20は、図1、図5及び図6に示されているように、複数の羽根片201と、複数の羽根片201を連結する連結棒203を有している。また、垂直フラップ20は、図2に示すように、吹出流路18において、閉位置における水平フラップ30の第2面30bや補助フラップ130よりも上、つまり室内ファン12に近い側に配置されている。
図5に示されているように、羽根片201には、吹出口15側に連結棒203が挿入されるスリット孔201aが形成され、室内ファン12側の端部には本体ケーシング13内部に支持される支持部201bが形成されている。また、羽根片201には、中央部から支持部201bに向って延びる2つのスリット201cが形成されている。例えば、連結棒203が吹出口15の長手方向に沿って移動したとき、羽根片201では、2つのスリット201cに挟まれた部分が支持部201bを固定端とする片持ち梁となって撓む。それゆえ、連結棒203の移動に連れて、羽根片201の先端は本体ケーシング13の側面側に向きを変えることができる。
図6(a)は、運転停止時又は運転時のワイド位置に羽根片201がある状態を示し、図6(b)は、運転時に正面に向けて空気が吹出されている羽根片201の状態を示している。複数枚の羽根片201は、連結棒203が吹出口15の長手方向に沿って水平往復移動することによって、本体ケーシング13の長手方向に対して垂直な状態を中心に左右に揺動する。この連結棒203は、垂直フラップ駆動機構52の左フラップ駆動用モータ52a及び右フラップ駆動用モータ52bによって水平往復移動する。左フラップ駆動用モータ52a及び右フラップ駆動用モータ52bはステッピングモータである。左フラップ駆動用モータ52a及び右フラップ駆動用モータ52bは、それぞれ折り畳み可能なアーム204の一端に取り付けられている。アーム204の他端は、揺動棒205の中央部に接続されている。そして、揺動棒205は、一端を支点に接続され、他端を連結棒203に接続されている。そのため、左フラップ駆動用モータ52a及び右フラップ駆動用モータ52bの回転に連れて、アーム204の他端が揺動棒205を左右に振り、揺動棒205が支点を中心にして連結棒203を水平方向に往復移動させる。
羽根片201は揺動だけでなく、揺動した後にモータが停止することによって任意の角度で止まることができる。それゆえ、羽根片201は、吹出口15からの空気の吹き出し状態を本体ケーシング13の正面側に吹き出す正面吹きの状態(図6(b)参照)や本体ケーシング13の側面側に吹き出す斜め吹きの状態(図6(a)参照)など所定の角度範囲で左右に吹出し空気を導くことができる。
また、垂直フラップ20の羽根片201は、吹き出し方向の寸法を長くとるほど、横吹き出し時の空気を狙いの方向に向けることができる。垂直フラップ20や補助フラップ130の風向制御の性能を上げるために大きく設計していることから、ワイド状態よりも正面に近い方向を向いた羽根片201が、補助フラップ格納位置の補助フラップ130と干渉する。
(3)フラップ動作
(3−1)ラック上位置における運転開始動作
次に、垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130によるラック上位置における運転開始動作について図7乃至図12を用いて説明する。図7乃至図12を用いて説明する制御は、例えば暖房時などに、吹出し空気を空調室内機10の下方に向けて吹出す場合の運転開始動作である。吹出し空気を下方に向けるために、吹出口15を開く目的でラック部材57を下げた後、上下風向の制御のためにラック部材57を比較的上に上げた状態(ラック上位置)で水平フラップ30の姿勢を室内制御部41が制御する(図10参照)。図7は、ラック上位置の運転開始時の垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130の動作を示すタイミングチャートである。図9は室内制御部41の制御を説明するためのフローチャートである。図7において、水平フラップ30を支えるラック部材57の位置はラック位置として表示され、水平フラップ30を支えるリンク部材58の位置はリンク位置として表示され、補助フラップ130の姿勢は補助フラップ位置として表示されている。また、垂直フラップ20の姿勢は、図6に示されている左フラップ20aと右フラップ20bとに分けて左フラップ位置及び右フラップ位置として図7に表示されている。
室内制御部41では、まず、図7の時刻t1の前に、ユーザーなどから運転開始の指示があったか否かの判断や自動的に運転を開始する時刻になったか否かの判断が行われる(ステップS1)。ここで、運転開始と判断されると、水平フラップ30による風向制御は、ラック上位置で行われるものであるか否かの判断が行われる(ステップS2)。このステップS2でラック上位置での風向制御が行われると判断されると、図7の時刻t1以下の動作が始まる。
時刻t1が経過した時点で、ラック部材57が全閉位置Pr1からフラップ擦れ防止ラック位置Pr2に移動する(図8(b)参照)。時刻t1が経過した時点で、ラック部材57と同時にリンク部材58も全閉位置Pl1からフラップ擦れ防止リンク位置Pl2に移動する。ラック部材57の全閉位置Pr1及びリンク部材58の全閉位置Pl1は、水平フラップ30が吹出口15を閉じているときのラック部材57及びリンク部材58の位置である(図8(a)及び図11参照)。図11に点線で示されている垂直フラップ20の位置が運転時に取り得る位置であり、点線の位置にある垂直フラップ20と補助フラップ格納位置にある補助フラップ130とは図11から分かるように互いに干渉する。
水平フラップ30が吹出口15を塞ぐ全閉状態から一旦フラップ擦れ防止位置(図12参照)に移動するのは、ラック部材57とリンク部材58とによる水平フラップ30の風向制御動作で水平フラップ30が本体ケーシング13に擦れるのを防止する目的がある。また、ラック部材57のフラップ擦れ防止ラック位置Pr2及びリンク部材58のフラップ擦れ防止リンク位置Pl2は、図12に示されているように補助フラップ130が非干渉位置にあっても補助フラップ130に水平フラップ30が当たらないフラップ擦れ防止位置(図12参照)に水平フラップ30があるときのラック部材57及びリンク部材58の位置である。
また、時刻t1が経過した時点で、補助フラップ130も全閉位置Pa4に向かって移動して原点出しが行われる。図7において、時刻t1から時刻t2の間の点線で示されている部分は、補助フラップ130が全閉位置Pa4に達してそれ以上は閉じる方向に動けない状態で、補助フラップ駆動用モータ51cによってトルクが掛けられている状態を示している。それにより、補助フラップ130が確実に全閉位置Pa4に位置する状態の確保、つまり原点出しが行われる。
時刻t2では、水平フラップ30は、フラップ擦れ防止位置に到達し、補助フラップ130は、原点出しが終了した状態にある(ステップS3)。次に、補助フラップ130が非干渉位置Pa3に移動する(ステップS4)。非干渉位置Pa3は、垂直フラップ20がどの方向を向いていても補助フラップ130と垂直フラップ20とが当たらない位置である(図8(c)、図8(d)及び図8(f)参照)。なお、時刻t2においても、垂直フラップ20は、左フラップ20aが左側全開位置(左フラップワイド位置)Pn3にあり、右フラップ20bが右側全開位置(右フラップワイド位置)Pm1にある。右側全開位置Pm1は、右フラップ20bが本体ケーシング13の右側面に最も近づく状態であり、最も右側に向かって吹出し空気を導くための位置である(図6(a)参照)。左側全開位置Pn3は、左フラップ20aが本体ケーシング13の左側面に最も近づく状態であり、最も左側に向かって吹出し空気を導くための位置である(図6(a)参照)。
時刻t3では、補助フラップ130が非干渉位置Pa3に達しているので、垂直フラップ20が移動しても補助フラップ130に干渉しないことから、垂直フラップ20の右フラップ20b及び左フラップ20aのメモリー角度位置Pm2,Pn2への移動が開始される(ステップS5)。メモリー角度位置Pm2,Pn2は、右側全開位置Pm1,Pn1と左側全開位置Pm3,Pn3の間にあってユーザーなどの設定によって変更され得る位置であり、例えば真正面を向くような場合(図6(b)参照)などがある。
また、時刻t3では、ラック部材57がフラップ擦れ防止ラック位置Pr2から全開位置Pr5に向かって移動を開始する。これは、ラック部材57の原点出しを全開位置Pr5において行うためである(ステップS5)。ラック部材57の全開位置Pr5は、水平フラップ30を開いている場合にラック部材57が最も伸びる位置である(図8(c)参照)。ラック部材57の原点出しが時刻t4の前後において行われており、時刻t4付近の点線で示されている動作は、全開位置Pr5にあるラック部材57に対してさらにラック部材57を伸ばす方向にラック駆動用モータ51aを駆動する動作である。それにより、ラック部材57が確実に全開位置Pr5に位置する状態、つまり原点出しが行われる。
時刻t4を経過してラック部材57の原点出しが終了すると、ラック部材57は、ラック上位置Pr3に移動する(ステップS6)。そして、時刻t5には、ラック部材57のラック上位置Pr3への移動が完了する。ラック上位置Pr3は、吹出し空気を下方に吹出す風向制御を行う際に主に用いられるラック部材57の位置である(図10参照)。
時刻t6では、リンク部材58の原点出しを行うために、全開位置Pl5に向けたリンク部材58の移動が開始される。全開位置Pl5は、リンク部材58が最も伸びる位置である(図8(e)参照)。時刻t7では、リンク部材58の原点出しが行われる(ステップS7)。リンク部材58の原点出しが時刻t7の前後において行われており(図13参照)、時刻t7付近の点線で示されている動作は、全開位置Pl5にあるリンク部材58に対してさらにリンク部材58を上リンク58aと下リンク58bの成す角を広げる方向にリンク駆動用モータ51bを駆動する動作である。
時刻t8においては、水平フラップ30及び補助フラップ130をユーザーなどの設定に従わせるため、ラック部材57をラック上位置Pr3に止めたままリンク部材58をリンクメモリー角度位置Pl4に移動するとともに補助フラップ130を補助フラップ風向角度位置Pa2に移動する(ステップS7)。リンクメモリー角度位置Pl4は、運転停止前に記憶されていた水平フラップ30の姿勢を実現するためのリンク部材58の位置である。補助フラップ風向角度位置Pa2は、補助フラップ130が風向制御を行っている位置の一例であり、ユーザーなどの設定によって変更され得る位置である(図8(f)参照)。そのため、リンクメモリー角度位置Pl4や補助フラップ風向角度位置Pa2は、ユーザーなどからの指示に応じて変更され得るものである。
(3−2)ラック下位置における運転開始動作
次に、垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130によるラック下位置における運転開始動作について図14乃至図18を用いて説明する。図14乃至図18を用いて説明する制御は、主に冷房時などに、吹出し空気を空調室内機10の前方に向けて吹出す場合の運転開始動作である。吹出し空気を前方に向けるために、吹出口15を開くためにラック部材57を下げた後、上下風向の制御のためにラック部材57を比較的下に下げた状態(ラック下位置)で水平フラップ30の姿勢を室内制御部41が制御する(図17参照)。図14は、ラック下位置の運転開始時の垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130の動作を示すタイミングチャートである。図16は室内制御部41の制御を説明するためのフローチャートである。
室内制御部41では、まず、図14の時刻t11の前に、図9に示されているように、ユーザーなどから運転開始の指示があったか否かの判断や自動的に運転を開始する時刻になったか否かの判断が行われる(ステップS1)。ここで、運転開始と判断されると、水平フラップ30による風向制御は、ラック上位置で行われるものであるか否かの判断が行われる(ステップS2)。このステップS2でラック上位置での風向制御が行われないと判断されると、それはすなわちラック下位置での風向制御であるため、図14の時刻t11以下の動作が始まる。
時刻t11の時点の水平フラップ30が吹出口15を閉じている全閉状態から、ラック部材57が全閉位置Pr1(図15(a))からフラップ擦れ防止ラック位置Pr2(図15(b))に移動する。時刻t11が経過した時点で、ラック部材57と同時にリンク部材58も全閉位置Pl1(図15(a))からフラップ擦れ防止リンク位置Pl2(図15(b))に移動する。また、時刻t1が経過した時点で、補助フラップ130も全閉位置Pa4に向かって移動して原点出しが行われる。
時刻t12では、水平フラップ30は、フラップ擦れ防止位置に到達し、補助フラップ130は、原点出しが終了した状態にある(ステップS10)。次に、補助フラップ130が非干渉位置Pa3に移動する(ステップS11)。なお、時刻t12においても、垂直フラップ20は、左フラップ20aが左側全開位置(左フラップワイド位置)Pn3にあり、右フラップ20bが右側全開位置(右フラップワイド位置)Pm1にある。
時刻t13では、補助フラップ130が非干渉位置Pa3に達しているので、垂直フラップ20が移動しても補助フラップ130に干渉しないことから、垂直フラップ20の右フラップ20b及び左フラップ20aのメモリー角度位置Pm2,Pn2への移動が開始される(ステップS12)。
また、時刻t13を過ぎて、ラック部材57がフラップ擦れ防止ラック位置Pr2から全開位置Pr5に向かって移動を開始する。ラック部材57の原点出しが時刻t14の前後において行われており(ステップS12)、時刻t14付近の点線で示されている動作は、全開位置Pr5にあるラック部材57に対してさらにラック部材57を伸ばす方向にラック駆動用モータ51aを駆動する動作である(図15(c)参照)。
時刻t14を経過してラック部材57の原点出しが終了すると、ラック部材57は、ラック下位置Pr4に移動する(ステップS13)。そして、時刻t15には、ラック部材57のラック下位置Pr4への移動が完了する。ラック下位置Pr4は、吹出し空気を前方に吹出す風向制御を行う際に主に用いられるラック部材57の位置である(図15(d)、図18参照)。
時刻t16では、リンク部材58の原点出しを行うために、リンク部材58を全閉側機構限界位置Pl8に向けた移動が開始される。全閉側機構限界位置Pl8は、リンク部材58が最も縮む位置であり、部材同士が当接して全閉側へは動かなくなっている位置である(図15(d)参照)。時刻t17では、リンク部材58の原点出しが行われる(ステップS14)。リンク部材58の原点出しが時刻t17の前後において行われており、時刻t17付近の点線で示されている動作は、全閉側機構限界位置Pl8にあるリンク部材58に対してさらにリンク部材58を上リンク58aと下リンク58bの成す角を小さくする方向にリンク駆動用モータ51bを駆動する動作である。
時刻t18においては、水平フラップ30及び補助フラップ130をユーザーなどの設定に従わせるため、ラック部材57をラック下位置Pr4に止めたままリンク部材58をリンクメモリー角度位置Pl6に移動するとともに補助フラップ130を補助フラップ風向角度位置Pa2に移動する(ステップS15)。リンクメモリー角度位置Pl4は、運転停止前に記憶されていた水平フラップ30の姿勢を実現するためのリンク部材58の位置である。補助フラップ風向角度位置Pa2(補助フラップのメモリー角度位置)は、補助フラップ130が風向制御を行っている位置の一例であり、運転停止前に記憶されていた補助フラップ130の姿勢を実現するための位置である(図15(e)、図17参照)。そのため、リンクメモリー角度位置Pl4や補助フラップ風向角度位置Pa2は、ユーザーなどからの指示に応じて変更され得るものである。
(3−3)風向制御動作
(3−3−1)ラック下位置からラック上位置への変更
次に、垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130によるラック下位置からラック上位置への変更を伴う風向変更の動作について図19乃至図12を用いて説明する。図19はラック上位置からラック下位置に変更する動作を示す水平フラップ30及び補助フラップ130のタイミングチャートであり、図20はその動作を説明するためのフローチャートである。図19には、垂直フラップ20の動作の記載が省略されている。これは、補助フラップ130が非干渉位置Pa3に移動するため、垂直フラップ20が水平フラップ30や補助フラップ130と干渉しないことから説明を省くものである。
室内制御部41では、例えばユーザーがリモートコントローラを用いて送受信部44に対してラック下位置からラック上位置への風向変更指示を行ったか否かを監視している(ステップS21)。ユーザーなどからラック下位置からラック上位置への風向変更指示があった場合には、室内制御部41は垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130の動作を停止させる。そして、図19に示されている時刻t21以降の動作が始まる。
時刻t21において、補助フラップ130が非干渉位置Pa3に向けて移動を開始する。また、水平フラップ30のリンク部材58も、フラップ擦れ防止リンク位置Pl2に向けて移動を開始する。補助フラップ130の非干渉位置Pa3への移動及びリンク部材58のフラップ擦れ防止リンク位置Pl2への移動が完了すると(ステップS23)、時刻t22において、ラック部材57がラック下位置Pr4からラック上位置Pr3に向けて移動を開始する。そして、時刻t23では、ラック部材57がラック上位置Pr3への移動を完了して(ステップS24)、リンク部材58が全開位置Pl5へ移動している。
時刻t24にはリンク部材58が全開位置Pl5に達してリンク部材58の原点出しが始まり、時刻t25で、リンク部材58の原点出しが終了する(ステップS25)。
リンク部材58は、原点出しが終わると、リンクメモリー角度位置Pl4に移動し、水平フラップ30を指定されている姿勢に変更する(ステップS26)。
時刻t26では、水平フラップ30の風向制御の変更が終了するので、補助フラップ130を非干渉位置Pa3から指定されている補助フラップ風向角度位置Pa2に移動する。
時刻t27には、ラック部材57が上位置Pr3に移動するとともにリンク部材58がリンクメモリー角度位置Pl4に移動して水平フラップ30の姿勢の変更が終了し、補助フラップ130の姿勢の変更が終了する。
(3−3−2)ラック上位置からラック下位置への変更
次に、垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130によるラック上位置からラック下位置への変更を伴う風向変更の動作について図21及び図22を用いて説明する。図21はラック上位置からラック下位置に変更するときの水平フラップ30及び補助フラップ130の動作を示すタイミングチャートであり、図22はその動作を説明するためのフローチャートである。図21には、垂直フラップ20の動作の記載が省略されている。これは、補助フラップ130が非干渉位置Pa3に移動するため、垂直フラップ20が水平フラップ30や補助フラップ130と干渉しないことから説明を省くものである。
室内制御部41では、例えばユーザーがリモートコントローラを用いて送受信部44に対してラック下位置からラック上位置への風向変更指示を行ったか否かを監視している(ステップS31)。ユーザーなどからラック上位置からラック下位置への風向変更指示があった場合には、室内制御部41は垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130の動作を停止させる。そして、図21に示されている時刻t31以降の動作が始まる。
時刻t31において、補助フラップ130が非干渉位置Pa3に向けて移動を開始する。また、水平フラップ30のリンク部材58も、フラップ擦れ防止リンク位置Pl2に向けて移動を開始する。補助フラップ130の非干渉位置Pa3への移動及びリンク部材58のフラップ擦れ防止リンク位置Pl2への移動が完了すると(ステップS33)、時刻t32において、ラック部材57がラック上位置Pr3からラック下位置Pr4に向けて移動を開始する。そして、時刻t33では、ラック部材57がラック下位置Pr4への移動を完了して(ステップS34)、リンク部材58が全閉側機構限界位置Pl8へ移動している。時刻t33において、ラック部材57の原点出しを行わせるようにしてもよい。その場合には、一旦、全開位置Pr5にラック部材57を移動して原点出しを行った後、ラック部材57をラック下位置Pr4に移動する。
時刻t34にはリンク部材58が全閉側機構限界位置Pl8に達してリンク部材58の原点出しが始まり、時刻t35で、リンク部材58の原点出しが終了する(ステップS35)。
リンク部材58は、原点出しが終わると、リンクメモリー角度位置Pl6に移動し、水平フラップ30を指定されている姿勢に変更する(ステップS36)。
時刻t36では、水平フラップ30の風向制御の変更が終了しており、補助フラップ130を非干渉位置Pa3から指定されている補助フラップ風向角度位置Pa2に移動する。
時刻t37には、ラック部材57のラック下位置Pr4への移動及びリンク部材58のリンクメモリー角度位置Pl4への移動が完了して水平フラップ30の姿勢の変更が終了し、補助フラップ130の姿勢の変更が終了している。
(3−4)運転停止動作
次に、垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130によるラック下位置における運転停止動作について図23乃至図25を用いて説明する。図23は、垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130の運転停止時の動作を示すタイミングチャートであり、図24は運転停止時の室内制御部41の制御を説明するためのフローチャートである。
室内制御部41では、まず、図23の時刻t41の前に、図24に示されているように、ユーザーなどから運転停止の指示があったか否かの判断や自動的に運転を停止する時刻になったか否かの判断が行われる(ステップS41)。ユーザーなどから停止指示があった場合には、室内制御部41によって垂直フラップ20及び水平フラップ30の動作が一旦停止され(ステップS42)、図23の時刻t41以下の動作が始まる。そして、時刻t41から時刻t46までは、図24にも示されているように、水平フラップ30の動作と、垂直フラップ20及び補助フラップ130の動作とが並行して独立に進む(ステップS43〜S47)。
時刻t41を経過したところ(図25(a)参照)から、ラック部材57がラック閾角度位置Pr6(図25(b))に移動する。ラック閾角度位置Pr6は、ラック上位置Pr3とフラップ擦れ防止ラック位置Pr2との間に設けられている位置である。また、時刻t41が経過した時点で、このラック部材57の移動と並行して、垂直フラップ20もワイド位置に向けて移動を開始する。垂直フラップ20のワイド位置への移動は、右フラップ20bが右側全開位置Pm1に移動し、左フラップ20aが左側全開位置Pn3に移動することによって行われる。
時刻t42では、水平フラップ30は、ラック部材57がラック閾角度位置Pr6に到達し(ステップS43)、リンク部材58が全開位置Pl5に向かって移動を始める。
時刻t43には、リンク部材58は、全開位置Pl5に到達しており、原点出しが行われる(ステップS44)。また、時刻t43に、垂直フラップ20の原点出しが行われる。そして、時刻t43においては、すでに垂直フラップ20がワイド位置への移動を完了しているので、補助フラップ130が全閉位置Pa4に向かって移動する。
時刻t44では、原点出しを終えたリンク部材58がフラップ擦れ防止リンク位置Pl2に向かって移動を始める。
時刻t45には、リンク部材58のフラップ擦れ防止リンク位置P12への移動が完了し、補助フラップ130の全閉位置Pa4への移動も完了して(ステップS47)、補助フラップ130は、全閉位置Pa4で原点出しを行っている(図25(c)参照)。
時刻t46には、ラック部材57が閾角度位置Pr6からフラップ擦れ防止ラック位置Pr2への移動を開始する(図25(d)参照)。
時刻t47では、ラック部材57がフラップ擦れ防止ラック位置Pr2への移動が完了して、水平フラップ30のフラップ擦れ防止位置への移動が完了している(ステップS45)。このとき、室内制御部41では、水平フラップ30のフラップ擦れ防止位置への移動及び補助フラップ130の全閉位置Pa4への移動が完了していることを検知して次のステップに進むことを判断する(ステップS48)。
時刻t48では、ラック部材57を全閉位置Pr1に移動するとともにリンク部材58を全閉位置Pl1に移動して水平フラップ30の全閉処理、すなわち水平フラップ30によって吹出口15を覆う処理が行われる(ステップS49)。時刻t48では、ラック部材57及びリンク部材58の増し締めが行われる(ステップS50)。この増し締めは、水平フラップ30が本体ケーシング13に当たってそれ以上閉まらない状態であっても、さらに、ラック駆動用モータ51a及びリンク駆動用モータ51bが水平フラップ30を閉じる方向に回転させるよう指示を与えて、ラック駆動用モータ51a及びリンク駆動用モータ51bのトルクによって水平フラップ30が本体ケーシング13に押し付けられる動作である。この増し締めによって、緩みなく水平フラップ30が吹出口15を塞げる。
増し締めが終わることによって運転の停止における垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130の動作が終了する。この時刻t48における増し締めが終わった状態が図25(e)に示されている状態であり、図8(a)に示されている運転開始前の状態になる。
(4)特徴
(4−1)
以上説明したように、この実施形態に係る空調室内機10では、図11に示されているように、破線で示されている正面を向いている垂直フラップ20と、補助フラップ130とを比較して分かるように、垂直フラップ20と補助フラップ130とが互いに干渉するほど大きなものとして設計されている。しかし、運転停止時には、室内制御部41(請求項1の制御部)により、ワイド位置(第1フラップ格納位置)に垂直フラップ20(第1フラップ)が移動させられる。図23の時刻t48から分かるように、右フラップ20bは、右側全開位置(右フラップワイド位置)Pm1にあり、左フラップ20aは、左側全開位置(左フラップワイド位置)Pn3にある。そのため、補助フラップ130が図11に示されているような全閉位置Pa4(第2フラップ格納位置)にあっても補助フラップ130は垂直フラップ20には当たらない。このように、補助フラップ130が垂直フラップ20に当たらないように、コンパクトに収納することができる。なお、この垂直フラップ20は、左右方向に風向(第1風向)を制御するためのものである。
その一方、運転開始時においては、図7の時刻t3や図14の時刻t13の前に、室内制御部41により、補助フラップ130が垂直フラップ20よりも先に非干渉位置Pa3に移動させられる(ステップS4,S11)。そして、補助フラップ130が非干渉位置Pa3への移動を完了した時刻t3や時刻t13の後には、補助フラップ130の干渉を受けずに垂直フラップ20が自在に左右方向の風向制御を行えるようになる。そのため、時刻t4や時刻t14では、垂直フラップ20が風向制御を行い、垂直フラップ20の右フラップ20b及び左フラップ20aのメモリー角度位置Pm2,Pn2に移動される(ステップS5,S12)。
空調室内機10のコンパクト化は、垂直フラップ20をワイド位置に移動して補助フラップ130を奥の全閉位置Pa4(第2フラップ格納位置)に移動して格納するとともに、運転開始時には、垂直フラップ20よりも先に補助フラップ130を非干渉位置Pa3に移動することによって達成される。その一方で、垂直フラップ20と補助フラップ130とが互いに干渉するほど大きなものとして設計されることによって、垂直フラップ20及び補助フラップ130による風向制御能力の向上が図られる。これらにより、空調室内機10のコンパクト化と風向制御能力の向上との両立が図られている。
(4−2)
水平フラップ30は、上下方向の風向(第2風向)の制御を補助フラップ130によって補助される。図17などの記載から分かるように、運転時において、水平フラップ30は、補助フラップ130の外側において第2風向を制御する。
例えば、図7の時刻t3から時刻t4の間や図14の時刻t13から時刻t14の間の垂直フラップ20と水平フラップ30と補助フラップ130とを見れば分かるように、室内制御部41は、運転開始時に、補助フラップ130が非干渉位置Pa3にある状態を維持しつつ、垂直フラップ20と水平フラップ30とを同時に移動している。このとき、垂直フラップ20は、右フラップ20b及び左フラップ20aが右側全開位置Pm1及び左側全開位置Pn3からメモリー角度位置Pm2,Pn2に移動し、水平フラップ30は、ラック部材57がフラップ擦れ防止ラック位置Pr2から全開位置Pr5に移動している。
補助フラップ130が非干渉位置Pa3にある状態で垂直フラップ20と水平フラップ30とを室内制御部41が同時に移動させることができ、垂直フラップ20と水平フラップ30を順次移動させなければならない場合に比べて移動時間を省くことができる。運転開始時における垂直フラップ20と水平フラップ30のフラップ移動の迅速化が図れるので、風向制御を始めるまでの時間を短縮することができる。
(4−3)
例えば、図19の時刻t22から時刻t26における水平フラップ20のラック部材57のラック下位置Pr4からラック上位置Pr3への移動やリンク部材58の原点出しからリンクメモリー角度位置pl4への移動、及び図21の時刻t32から時刻t36における水平フラップ20のラック部材57のラック上位置Pr3からラック下位置Pr4への移動やリンク部材58の原点出しからリンクメモリー角度位置pl6への移動など、室内制御部41は、風向変更時に補助フラップ130を非干渉位置Pa3に止めた状態で水平フラップ30に姿勢を変更させ得るものである。
補助フラップ130を閉じた状態にせずに非干渉位置Pa3で止めた状態で水平フラップ30の姿勢変更ができるので、補助フラップ130を閉じて水平フラップ30に姿勢を変更させる場合に比べて非干渉位置Pa3から補助フラップ130を閉じた位置(例えば全閉位置Pa4)まで移動させる時間を短縮できる。この場合、単に補助フラップ130の非干渉位置Pa3から全閉位置Pa4までの移動時間というだけでなく、補助フラップ130が垂直フラップ20と干渉する可能性があることから、補助フラップ130を全閉位置Pa4に移動するためには垂直フラップ20の移動も伴うため、かなりの時間が掛かる。このように、風向変更時における水平フラップ30のフラップ移動の迅速化が図れ、風向制御の性能を向上させることができる。
(4−4)
運転時(例えば、図7の時刻t3や図14の時刻t13以降、図23の時刻t43まで)には、室内制御部41は、補助フラップ130を非干渉位置Pa3よりも内側には移動させずに、補助フラップ130と垂直フラップ20とによる第2風向の制御を行わせている。このように、補助フラップ130を非干渉位置Pa3よりも内側に移動させずに上下風向(第2風向)の制御を行うと、非干渉位置Pa3の外側にある補助フラップ130が絶対に垂直フラップ20とは干渉しないことから、左右風向(第1風向)は補助フラップ130や水平フラップ30の姿勢にかかわらず行うことが可能になる。そのため、上下風向と左右風向の制御を同時に行うことができ、運転時における風向制御のための垂直フラップ20と水平フラップ30と補助フラップ130のフラップ移動の迅速化が図れ、風向制御の性能を向上させることができる。
(4−5)
水平フラップ30は、図11に示されているように、運転停止時に吹出口15を覆って吹出口15を閉じ、補助フラップ130は、運転停止時に本体ケーシング13内(ケーシング内)の垂直フラップ20と水平フラップ30との間に格納される。室内制御部41は、図7及び図14に示されているように、運転停止時に吹出口15を閉じている水平フラップ30に当たらない全閉位置Pa4(補助フラップ格納位置(第2フラップ格納位置))に補助フラップ130を移動する。補助フラップ130が全閉位置Pa4まで移動させられ、水平フラップ30で吹出口15を覆うことができるので、水平フラップ30で吹出口15を覆うタイプにおいて更なる本体ケーシング13のコンパクト化が図れる。
(4−6)
図7の時刻t2や図14の時刻t12において、室内制御部41は、運転開始時に、補助フラップ130が全閉位置Pa4(第2フラップ格納位置)から非干渉位置Pa3に移動する前に、補助フラップ130が非干渉位置Pa3にあっても補助フラップ130に水平フラップ30が当たらないフラップ擦れ防止位置(第3フラップ運転開始位置)まで水平フラップ30を移動させる。図12に示されているように、このフラップ擦れ防止位置は、ラック部材57がフラップ擦れ防止ラック位置Pr2にあり、リンク部材58がフラップ擦れ防止リンク位置Pl2にある状態である。室内制御部41により補助フラップ130が非干渉位置Pa3に達する前にフラップ擦れ防止位置まで水平フラップ30を移動させられるため、閉じた状態の水平フラップ30に当たる位置よりも更に外側に非干渉位置Pa3を設定することができ、運転停止時における空調室内機10のコンパクト化が図れる。
(4−7)
図7の時刻t2や図14の時刻t12に示されているように、室内制御部41は、水平フラップ30がフラップ擦れ防止位置(第3フラップ運転開始位置)まで移動しているときに(図18参照)、全閉位置Pa4の補助フラップ130の角度(閉じる側の所定角度)を基準として補助フラップ130に原点出しを行わせている。このように動作させると、水平フラップ30の移動と並行して補助フラップ130の原点出しを行なうことができるので、補助フラップ130の原点出し完了までの時間を短縮することができ、風向制御の開始までの時間を短縮することができる。
(4−8)
水平フラップ30は、軸方向が吹出口に略平行に配置されている前方連結部311,312,313を結ぶ回転軸310を持っている。回転軸310が移動可能に構成され、室内制御部41は、回転軸310をラック部材57によって所定位置に移動させることにより、フラップ擦れ防止位置(第3フラップ運転開始位置)に水平フラップ30を移動させる。ラック部材57によって移動可能な回転軸310という簡単な構成によって水平フラップ30にフラップ擦れ防止位置を持たせられるため、構成が簡単になり、コンパクトで風向制御能力の高い空調室内機を安価に提供できる。
(4−9)
室内制御部41は、図23の時刻t45において、運転を停止するとき全閉位置Pa4(第2フラップ格納位置)において補助フラップ130に原点出しを行わせている。このように、空調室内機10では、運転を停止するとき補助フラップ130の原点出しを行なうことにより、運転開始時に補助フラップ130の原点出しが行われた状態のため、非干渉位置Pa3への補助フラップ130の移動が素早く行え、運転開始を円滑に行えることから運転開始時間を短縮することができる。
(4−10)
水平フラップ30は、補助フラップ130が非干渉位置Pa3にあるときに、水平フラップ30が補助フラップ130に当たらずに原点出しを行える原点出し位置に移動可能に構成されている。図7の時刻t4ではラック部材57の原点出しが行われ、時刻t7ではリンク部材58の原点出しが行われ、この2つの動作により水平フラップ30の原点出しが行われる。また、図14の時刻t14では、ラック部材57の原点出しが行われ、時刻t17ではリンク部材58の原点出しが行われ、この2つの動作により水平フラップ30の原点出しが行われる。
このように、室内制御部41は、補助フラップ130を非干渉位置Pa3に移動させた後に水平フラップ30を原点出し位置に移動させ、水平フラップ30に原点出しを行わせる。水平フラップ30をリンク上位置で動作させるときは、図7に示されている全開位置Pr5や全開位置Pl5が原点だし位置になる。また、水平フラップ30をリンク下位置で動作させるときは、図14に示されている全開位置Pr5や全閉側機構限界位置Pl8が原点だし位置になる。水平フラップ30の原点出し位置では、図7の時刻t3から時刻t4の間において、また図14の時刻t13から時刻t14の間において、水平フラップ30の原点出しに拘らず垂直フラップ20の角度を変更でき、垂直フラップ20の風向制御までの時間を短縮することができる。
(4−11)
室内制御部41は、運転時に補助フラップ130が非干渉位置Pa3にあるときには、補助フラップ130には当たらない動作のみによって上下風向(第2風向)の制御を水平フラップ30が行うように水平フラップ30を制御する。補助フラップ130を非干渉位置Pa3に移動させることによって運転中の水平フラップ30の動作を全て可能にできるため、垂直フラップ20も運転中の水平フラップ30の動作に拘らず、風向制御を行うことができる。それにより、垂直フラップ20、補助フラップ130及び水平フラップ30を備える構成において風向制御の能力を向上させることができる。
(5)変形例
(5−1)
上記実施形態の空調室内機10では、補助フラップ130が上下方向の風向の制御を補助する場合について説明したが、垂直フラップ20と水平フラップ30とが入れ替わっており、補助フラップ130が左右方向の風向の制御を補助するように構成されていてもよい。
(5−2)
上記実施形態では、本体ケーシング13の内部にある室内制御部41によって、垂直フラップ20、水平フラップ30及び補助フラップ130が制御される場合について説明したが、これらの制御の一部あるいは全部を空調室内機10の本体ケーシング13の外部にある室外制御部42に行わせるように構成することもできる。そのような場合には、空調制御装置40や室外制御部42が請求項1に記載の制御部に相当することになる。
(5−3)
上記実施形態では、水平フラップ30や垂直フラップ20が繰り返し揺動するスイング動作についての説明を省略したが、このスイング動作においても、補助フラップ130は、非干渉位置Pa3に移動する。それにより、水平フラップ30や垂直フラップ20のスイング動作をスムーズに行わせることができる。
(5−4)
上記実施形態では、第1風向を左右風向、第2風向を上下風向として説明したが、例えば、上記実施形態の横長の空調室内機10に変えて縦長の空調室内機に本願発明を適用する場合には、第1風向を上下風向とし、第2風向を左右風向としてもよい。このように入れ替える場合には、垂直フラップ20が水平フラップとして機能し、水平フラップ30及び補助フラップ130が垂直フラップとして機能する。
10 空調室内機
13 本体ケーシング
15 吹出口
20 左右羽根
30 水平フラップ
40 制御部
130 補助フラップ
201 羽根片
特開平9−184650号公報

Claims (11)

  1. 吹出口(15)が形成されているケーシング(13)と、
    前記ケーシング内に配置され、前記吹出口から吹き出される空気の左右風向及び上下風向のうちの一方である第1風向を制御するための第1フラップ(20)と、
    前記ケーシングの前記吹出口に配置され、運転時には前記第1フラップの向きに関わらず前記第1フラップに当たらない非干渉位置(Pa3)において前記左右風向及び前記上下風向のうちの前記第1風向とは異なる第2風向を制御するための第2フラップ(130)と、
    運転停止時には前記第2フラップを前記非干渉位置よりも内側に格納するために前記第2フラップが前記第1フラップに当たらない第1フラップ格納位置(Pm1,Pn3)まで前記第1フラップを移動し、運転開始時には前記第1フラップが前記第1フラップ格納位置から前記第2フラップに当たる位置に移動する前に前記第2フラップを前記非干渉位置に移動し得る制御部(41)と、
    前記吹出口に配置され、前記第2風向についての制御を前記第2フラップによって補助され、かつ運転時に前記第2フラップの外側において前記第2風向を制御するための第3フラップ(30)と
    を備え、
    前記制御部は、運転開始時に、前記第2フラップが前記非干渉位置にある状態を維持しつつ前記第1フラップと前記第3フラップとを同時に移動し得る、空調室内機。
  2. 吹出口(15)が形成されているケーシング(13)と、
    前記ケーシング内に配置され、前記吹出口から吹き出される空気の左右風向及び上下風向のうちの一方である第1風向を制御するための第1フラップ(20)と、
    前記ケーシングの前記吹出口に配置され、運転時には前記第1フラップの向きに関わらず前記第1フラップに当たらない非干渉位置(Pa3)において前記左右風向及び前記上下風向のうちの前記第1風向とは異なる第2風向を制御するための第2フラップ(130)と、
    運転停止時には前記第2フラップを前記非干渉位置よりも内側に格納するために前記第2フラップが前記第1フラップに当たらない第1フラップ格納位置(Pm1,Pn3)まで前記第1フラップを移動し、運転開始時には前記第1フラップが前記第1フラップ格納位置から前記第2フラップに当たる位置に移動する前に前記第2フラップを前記非干渉位置に移動し得る制御部(41)と、
    前記吹出口に配置され、前記第2風向についての制御を前記第2フラップによって補助され、かつ風向変更時に前記第2フラップの外側において前記第2風向を制御するための第3フラップ(30)と、
    を備え、
    前記制御部は、風向変更時に前記第2フラップを前記非干渉位置に止めた状態で前記第3フラップに姿勢を変更させ得る、空調室内機。
  3. 吹出口(15)が形成されているケーシング(13)と、
    前記ケーシング内に配置され、前記吹出口から吹き出される空気の左右風向及び上下風向のうちの一方である第1風向を制御するための第1フラップ(20)と、
    前記ケーシングの前記吹出口に配置され、運転時には前記第1フラップの向きに関わらず前記第1フラップに当たらない非干渉位置(Pa3)において前記左右風向及び前記上下風向のうちの前記第1風向とは異なる第2風向を制御するための第2フラップ(130)と、
    運転停止時には前記第2フラップを前記非干渉位置よりも内側に格納するために前記第2フラップが前記第1フラップに当たらない第1フラップ格納位置(Pm1,Pn3)まで前記第1フラップを移動し、運転開始時には前記第1フラップが前記第1フラップ格納位置から前記第2フラップに当たる位置に移動する前に前記第2フラップを前記非干渉位置に移動し得る制御部(41)と、
    前記吹出口に配置され、前記第2風向についての制御を前記第2フラップによって補助され、かつ運転時に前記第2フラップの外側において前記第2風向を制御するための第3フラップ(30)と、
    を備え、
    前記制御部は、運転時には、前記第2フラップを前記非干渉位置よりも内側には移動させずに、前記第2フラップと前記第3フラップとによる前記第2風向の制御を行わせ得る、
    空調室内機。
  4. 前記吹出口に配置され、前記第2風向についての制御を前記第2フラップによって補助され、かつ運転時に前記第2フラップの外側において前記第2風向を制御するための第3フラップ(30)をさらに備え、
    前記制御部は、運転時には、前記第2フラップを前記非干渉位置よりも内側には移動させずに、前記第2フラップと前記第3フラップとによる前記第2風向の制御を行わせ得る、
    請求項2又は請求項3に記載の空調室内機。
  5. 前記第3フラップは、運転停止時に前記吹出口を覆って前記吹出口を閉じ、
    前記第2フラップは、運転停止時に前記ケーシング内の前記第1フラップと前記第3フラップとの間に格納され、
    前記制御部は、運転停止時に前記吹出口を閉じている前記第3フラップに当たらない第2フラップ格納位置に前記第2フラップを移動し得る、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の空調室内機。
  6. 前記制御部は、運転開始時に、前記第2フラップが前記第2フラップ格納位置から前記非干渉位置に移動する前に、前記第2フラップが前記非干渉位置にあっても前記第2フラップに前記第3フラップが当たらない第3フラップ運転開始位置まで前記第3フラップを移動させ得る、
    請求項5に記載の空調室内機。
  7. 前記制御部は、前記第3フラップが前記第3フラップ運転開始位置まで移動しているときに、前記第2フラップを閉じる側の所定角度を基準として前記第2フラップに原点出しを行わせ得る、
    請求項6に記載の空調室内機。
  8. 前記第3フラップは、軸方向が前記吹出口に略平行に配置されている回転軸を持ち、前記回転軸が移動可能に構成され、
    前記制御部は、前記回転軸を所定位置に移動させることにより、前記第3フラップ運転開始位置に前記第3フラップを移動させ得る、
    請求項6又は請求項7に記載の空調室内機。
  9. 前記制御部は、運転を停止するとき前記第2フラップ格納位置において前記第2フラップの原点出しを行う、
    請求項5から8のいずれか一項に記載の空調室内機。
  10. 前記第3フラップは、前記第2フラップが前記非干渉位置にあるときに、前記第3フラップが前記第2フラップに当たらずに原点出しを行える原点出し位置に移動可能に構成され、
    前記制御部は、前記第2フラップを前記非干渉位置に移動させた後に前記第3フラップを前記原点出し位置に移動させ、前記第3フラップに原点出しを行わせる、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の空調室内機。
  11. 前記制御部は、運転時に前記第2フラップが前記非干渉位置にあるときには、前記第2フラップには当たらない動作のみによって前記第2風向の制御を前記第3フラップが行うように前記第3フラップを制御し得る、
    請求項1から10のいずれか一項に記載の空調室内機。
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