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JP5477896B2 - 無線通信端末 - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信端末にかかり、特に、位置を検出可能な無線通信端末に関する。
3GPP(Third Generation Partnership Project)、LTE(Long Term Evolution)などのセルラーネットワークのインタフェースに加えて、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.11の無線LAN(Local Area Network)のインタフェースなどの異なる無線方式のインタフェースを複数搭載したマルチモード無線端末がある。マルチモード無線端末は、例えば、屋外にいるときは広域をカバーするセルラーインタフェースを使用し、屋内にいるときは課金のない無線LANを使用するといったように、場所の変化に応じて適切な無線方式を自動選択することで、ユーザの利便性の向上を図っている。
また、例えば、5GHz帯を使用するIEEE802.11a方式の無線LANは、屋外での使用に法規制があり、屋外と屋内で使用可能な無線モードが異なる場合がある。つまり、場所の変化に応じて法規制に準拠した無線通信のモードに自動切り替えすることができれば、ユーザの使い勝手の向上につながる。
さらに、同じ無線通信機器を自宅とオフィスで使用するユーザが、自宅とオフィスを行き来する度に無線通信機器の設定を手動で変更するということにわずらわしさがある。このため、無線通信機器自身が自宅にいるかオフィスにいるかを判断して、ユーザによる設定を介することなく無線モードを自動選択できることが望ましい。
特開2003−283509号公報 特開2002−107443号公報 特開2005−123662号公報 特公平06−093650号公報
ここで、端末の位置を判断する手段としては、GPS(Global Positioning System)を使った方式が代表的であるが、屋内ではGPSの信号捕捉が難しいため、屋内に置かれた無線通信端末の正確な位置の特定が困難である。また、加速度センサで屋内の位置を推定することや、光センサで屋内か否かを推測することも考えられるが、これらセンサを無線通信端末に設けることは、当該無線通信端末の製造コストの増加と容積の増大を招くこととなり、小型かつ価格設定の低い無線通信端末に搭載することが困難となる。
また、特許文献1では、6方向の指向性アンテナを用い、信号の反射時間から屋根や壁の有無を判断し、無線通信端末が屋内か屋外を判定する方法を開示している。しかしながら、自宅とオフィスがそれぞれ屋内である場合、この方法では、無線通信端末が自宅にあるか、オフィスにあるかを分類できないといった問題がある。また、屋根の高さや壁の位置は建物毎に異なり、あらゆる状況が考えられるため、上述した方式では無線通信端末が屋内にいることを適切に判断できない、という問題が生じる。
また、特許文献2では、測量の手法を用いた無線通信端末の位置推定方法を開示している。この方法では、位置推定対象の無線通信端末が、複数の基地局の通信範囲内に位置している必要があり、さらに、位置推定対象の無線通信端末は、これらの複数の基地局の位置を把握している必要がある、といった問題がある。さらに、無線デバイスが計測した受信電界強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))を測量する方式であるため、周辺環境の影響を受けやすく、測定結果の信頼性が低いという問題がある。
また、特許文献3,4では、各基地局から特定の位置における受信電界値を予め記憶しておき、この記憶している受信電界値と無線通信端末で受信した受信電界値とに基づいて、無線通信端末の位置を特定する、という技術を開示している。なお、この場合にも、複数つまり少なくとも3つの基地局からの受信電界値を場所毎に予め記憶しておく必要がある。
以上より、上述した技術では、無線通信端末の位置を特定するにあたって、複数の基地局に対する受信電界強度を計測しておく必要があり、構成が大掛かりとなり、コストがかかる、という問題がある。また、基地局を利用することから、無線通信端末の位置を特定するために利用できるパラメータは受信電界値となるが、周囲環境の影響により測定結果の信頼性が低い、という問題も生じる。
このため、本発明の目的は、上述した課題である、無線通信端末の位置を特定するにあたってコストの増加と信頼性の低下を解決することができる無線通信端末を提供することにある。
かかる目的を達成するため本発明の一形態である無線通信端末は、
無線通信時における自端末の通信状況を表す通信状況データを計測する通信状況計測手段と、
各場所にて無線通信時に計測されうる端末の通信状況を表す予め設定された各基準データを、上記各場所を識別する各場所データにそれぞれ関連付けて記憶する基準データ記憶手段と、
上記通信状況計測手段にて計測した上記通信状況データと、上記基準データ記憶手段に記憶されている上記各基準データと、を比較して、当該比較結果に基づいて特定の上記基準データに関連付けられている上記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する場所特定手段と、
を備える。
また、本発明の他の形態であるプログラムは、
各場所にて無線通信時に計測されうる端末の通信状況を表す予め設定された各基準データを、上記各場所を識別する各場所データにそれぞれ関連付けて記憶する無線通信端末に、
無線通信時における自端末の通信状況を表す通信状況データを計測する通信状況計測手段と、
上記通信状況計測手段にて計測した上記通信状況データと、上記記憶されている各基準データと、を比較して、当該比較結果に基づいて特定の上記基準データに関連付けられている上記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する場所特定手段と、
を実現させるためのプログラムである。
また、本発明の他の形態である無線通信方法は、
各場所にて無線通信時に計測されうる端末の通信状況を表す予め設定された各基準データを、上記各場所を識別する各場所データにそれぞれ関連付けて記憶する無線通信端末にて、
無線通信時における自端末の通信状況を表す通信状況データを計測し、
上記計測した通信状況データと、上記記憶されている各基準データと、を比較して、当該比較結果に基づいて特定の上記基準データに関連付けられている上記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する、
という構成を採る。
本発明は、以上のように構成されることにより、簡易な構成の無線通信端末のみで自端末の位置を特定することができ、低コストにて位置特定の信頼性の向上を図ることができる。
実施形態1における無線通信端末の構成を示す機能ブロック図である。 図1に開示した無線通信端末の動作の概略を示すフローチャートである。 図1に開示した無線通信端末の動作を示すフローチャートである。 図1に開示した無線通信端末の動作を示すフローチャートである。 図1に開示した無線通信端末の動作を示すフローチャートである。 図1に開示した無線通信端末の動作を示すフローチャートである。 図1に開示した無線通信端末による場所特定処理時の様子を示す図である。 図1に開示した無線通信端末にて通信状況を計測した結果の一例を示す図である。 実施形態2における無線通信端末の構成を示す機能ブロック図である。
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図8を参照して説明する。図1は、無線通信端末の構成を示す機能ブロック図である。図2は、無線通信端末の動作の概略を示すフローチャートであり、図3乃至図6は、その動作の詳細を示すフローチャートである。図7は、場所特定処理時の様子を示す図であり、図8は、無線通信端末にて通信状況を計測した結果の一例を示す図である。
[構成]
本実施形態における無線通信端末1は、図1に示すように、電波を発信・捕捉するアンテナ3と、このアンテナを介して無線にてデータの送受信を行う通信デバイス及び通信プロトコル群からなる無線通信処理部2と、を備えている。また、無線通信端末1は、CPU(Central Processing Unit)といった演算装置(図示せず)と、フラッシュメモリなどの記憶装置(図示せず)と、を備えている。
そして、無線通信端末1は、図1に示すように、演算装置にプログラムが組み込まれることにより構築された、通信状況計測部11と、通信状況収集部12と、場所特定部13と、通信制御部14と、を備えている。また、無線通信端末1は、記憶装置内に、一時記憶部21と、テンプレート記憶部22と、端末設定データ記憶部23と、を備えている。なお、上記プログラムは、無線通信端末1内の記憶装置(図示せず)に記憶されていてもよく、無線通信端末1が読み取り可能な記憶媒体に記憶されていて当該無線通信端末1に提供されてもよい。例えば、記憶媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体であるが、これらに限定されない。
そして、上記通信状況計測部11(通信状況計測手段)は、無線通信端末1による無線通信時の通信状況を表す通信状況データを計測する。ここで、通信状況計測部11が計測する通信状況を表す通信状況データは、例えば、無線通信端末1による通信データのスループット、遅延、ジッタのQoS(Quality of Service)値のほか、アドレスやID(Identification)などのネットワーク識別子、再送回数やCRC(Cyclic Redundancy Check)エラー数などの通信可否状況を示すパラメータ、さらに信号強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))、ノイズレベル(SNR(Signal-Noise Ratio))、様々な周波数帯における周囲の電波使用状況、スペクトラムの状況などの無線物理層のパラメータを含む。また、上記パラメータを単一で通信状況データとするのではなく、これらの単位や粒度の異なるパラメータを複数組み合わせて通信状況データとしてもよい。
なお、上記通信状況計測部11は、ネットワーク識別子のように一定の値を保つパラメータが通信状況データである場合は、当該通信状況データを計測した段階で、当該計測の旨を通信状況収集部12や場所特定部13に通知する。また、通信状況計測部11は、RSSIやSNRのように、ゆらぎや特異点が多く発生するパラメータが通信状況データである場合には、一定時間の通信状況データを計測して蓄積した段階で、当該計測及び蓄積した旨を通信状況収集部12や場所特定部13に通知する。
また、通信状況収集部12(基準データ登録手段)は、上述したように通信状況計測部11にて一定期間計測された測定値である各種通信状況データを用いて、場所毎のテンプレートを作成して、テンプレート記憶部22に記憶する。例えば、通信状況収集部12は、ユーザからテンプレートの学習指示と共に場所を識別する場所データが入力されると、上述した通信状況計測部11にて一定期間、通信状況データが計測されるが、この通信状況データを一時記憶部21から読み出す。そして、この読み出した通信状況データを、上記場所データに関連付けて、当該場所にて計測される通信状況データの特徴を表すテンプレート(基準データ)として、テンプレート記憶部22(基準データ記憶手段)に記憶する。つまり、通信状況収集部12は、無線通信端末1自身にて各場所において計測された各種類の通信状況データの時系列データを、当該計測された場所を識別する場所データと共に記憶する。従って、作成されるテンプレートの構成は、場所データと、その場所にて計測されたパラメータ毎の時系列データなどの通信状況データと、により構成されることとなる。例えば、自宅で測定した通信状況データは、自宅テンプレートとして記憶され、オフィスで測定した通信状況データは、オフィステンプレートとして記憶される。
なお、通信状況収集部12は、各パラメータの通信状況データの時系列データ値をそのままテンプレートとして一時記憶部21に記憶してもよく、各パラメータの計測したデータから確率分布や標準偏差、平均値など統計値を計算して、当該計算した値をテンプレートとして記憶してもよい。さらに、MDL基準(Minimum Description Length Principle、最小記述長基準)を用いて、現象を記述する最適なモデルをパラメータ毎に決めてもよい。こうすることで、必要な記憶領域を削減でき、後述する場所特定処理での計算量も削減することができる。
また、上記通信状況収集部12は、上述したように作成したテンプレートを、別の複数の各無線通信端末に無線通信にて配布してもよい。これにより、他の無線通信端末は、各場所における各種の通信状況データから成るテンプレートを、後述する場所特定処理にて判断基準として、事前に保持することができる。
さらに、通信状況収集部12は、現在取得した通信状況データと、すでにテンプレート記憶部22に記憶されているテンプレートと、を比較して、これらの相違性の尺度を計算し、相違性があると判断した場合には、自動的に新たなテンプレートを作成し、テンプレート記憶部22に記憶する機能も有する。例えば、通信状況データが単一のパラメータであり1つの値で表わされている場合には、測定された通信状況データと既に記憶されている各テンプレート内の通信状況データとの差を、これらの相違性の尺度として算出し、全ての差が予め設定された値以上である場合には、計測された通信状況データを新たなテンプレートとして記憶する。このとき、通信状況データには、当該通信状況データが計測された場所を識別する場所データを関連付けて記憶する。つまり、この場合には、通信状況データがすでに登録されているテンプレートとは異なる特徴を有しているため、新たな場所における基準となるテンプレートとして登録する。
なお、計測された通信状況データをテンプレートとして登録すると判断する基準、つまり、相違性の尺度の計算方法や当該尺所から相違すると判断する基準は、任意であり、事前に無線通信端末1に設定されている。例えば、上記では、通信状況データが単一の値であれば、テンプレートとの値の差分を相違性の尺度とし、ベクトル量であればユークリッド距離を尺度とすることもできる。さらに、ネットワーク識別子のような番号や文字列であれば、比較し一致する数を尺度とすることもできる。
また、上記通信状況収集部12は、使用頻度の低いテンプレートを、テンプレート記憶部22から削除する機能を有する。例えば、通信状況収集部12は、後述する場所特定部13にて、一定期間、特定されていない場所の場所データと関連付けられているテンプレートを、テンプレート記憶部22から削除する。なお、一定期間とは、例えば、1か月など、任意に設定可能である。
また、上記場所特定部13(場所特定手段)は、上述したように通信状況計測部11にて一定期間計測された測定値である各種通信状況データに基づいて、当該通信状況データが計測された無線通信端末1の場所を特定する。具体的に、場所特定部13は、通信状況計測部11にて計測した通信状況データと、テンプレート記憶部22に記憶されている各テンプレートと、を比較して、それらの相違性を予め定められた算出方法にて算出する。このとき、例えば、上記相違性の尺度は、例えば、通信状況データとテンプレートとが単一の値であれば、値の差分を尺度とすることができ、ベクトル量であればユークリッド距離を尺度とすることもできる。さらに、ネットワーク識別子のような番号や文字列であれば、比較して一致する数を尺度とすることもできる。このように、通信状況データとテンプレートとの相違性の尺度は任意の計算により算出することができる。
そして、場所特定部13は、計測された通信状況データと各テンプレートとの相違性を判断し、例えば、上述したように算出したこれらの差である相違性の尺度が最も少ないなど、計測された通信状況データとの一致性が高いと判断されたテンプレートを特定する。そして、この一致性が高いと判断されたテンプレートに含まれる場所データにて表わされる「場所」を、無線通信端末1の場所として特定する。
また、通信制御部14(作動状態設定手段)は、上記場所特定部13によって特定された場所の通知を受け、この場所に応じて端末設定データ記憶部23に記憶されている設定データに基づく設定処理を、無線通信端末1自体に行う。これに応じて、上記端末設定データ記憶部23(設定データ記憶手段)は、場所毎に予め定められた無線通信端末1の作動状態を設定する設定データを記憶している。具体的に、設定データは、例えば、場所に応じた無線モードを設定したり、場所に応じて干渉が少なくなるよう無線通信のパラメータを設定するデータである。また、設定データは、使用を許可されていない場所であれば端末の使用に制限をかけセキュリティを確保する設定データであったり、屋内であればバックライトの輝度を落とすなどの場所に応じた省電力制御などを実行する設定データである。これらの情報に基づいて、通信制御部14は、上記場所特定部13にて特定された場所に応じて、無線通信端末1が適切に作動するよう各種設定を行う。
[動作]
次に、上記構成の無線通信端末1の動作を説明する。まず、図2を参照して、無線通信端末1の動作の概略を説明する。図2に示すように、無線通信端末1は、大きく分けて、測定学習動作(S10)と場所特定動作(S20)とを実行する。
測定学習動作(S10)では、無線通信端末1は、場所毎の無線通信状況の各種パラメータを一定期間測定する(ステップS11)。そして、測定値をまとめたものであるテンプレートを作成し(ステップS12)、場所毎のテンプレートをテンプレート記憶部22に記憶する(ステップS13)。これにより、場所データと、その場所において計測された通信状況データと、を関連付けたテンプレートが、場所毎、及び、通信状況のパラメータ種類毎に蓄積されることとなる。ここで、所定の場所のテンプレートを記憶するとは、当該場所のテンプレートを学習することを意味する。例えば、自宅で測定したテンプレートは自宅テンプレートとして学習し、オフィスで測定したテンプレートはオフィステンプレートとして学習する。
なお、無線通信端末1は、上記測定学習動作(S10)を実行後に、作成したテンプレートを別の無線通信端末1に無線通信にて配布することもできる。このようにすることで、他の無線通信端末は、上記測定学習動作(S10)を実行することなく、各場所における各種通信状況のテンプレートを事前に保持することができる。
また、上記テンプレートは、必ずしも無線通信端末によって上述したように各場所にて計測されたデータであることに限定されない。例えば、各場所において他の機器にて計測されたデータや論理的に算出されたデータなどを、各場所における上記テンプレートとして無線通信端末は記憶していてもよい。
また、上記測定学習動作(S10)は、ユーザ契機つまりユーザから特定の場所でテンプレートの作成指示が入力されたときに作動して、各場所におけるテンプレートを作成してもよく、また、テンプレートの削除もユーザ契機で行われてもよい。さらに、上記測定学習動作(S10)により、無線通信端末自身がこれまで学習済みのテンプレートと現在の通信状況の相違性を判断して、自動的に新たなテンプレートを作成し、学習することもできる。逆に、一定期間使用されないテンプレートを自動的に削除することもできる。
次に、場所特定動作(S20)の概略について説明する。場所特定動作(S20)では、無線通信端末1は、現在の無線通信状況を一定期間測定し(ステップS21)、記憶されているテンプレートと比較して(ステップS22)、その相違性から無線通信端末1の場所の特定を行う(ステップS23)。例えば、無線通信端末1は、通信状況を測定し、記憶済みの自宅テンプレートやオフィステンプレートとの相違性をそれぞれ求め、今現在、無線通信端末1が自宅にあるか、オフィスにあるかを特定する。
そして、無線通信端末1は、特定された場所に応じて、端末1自体の動作設定を行う(ステップS24)。例えば、使用する無線モードの変更を行ったり、干渉が少なくなるように無線通信のパラメータの変更設定を実行する。さらには、使用を許可されていない場所であれば端末の使用に制限をかけセキュリティを確保したり、屋内であればバックライトの輝度を落とすなどの場所に応じた省電力制御などを実行したりすることもできる。なお、上記場所特定動作(S20)は、無線通信端末1が起動中は、常時現在の場所の分類を行うようにもできるし、ユーザ契機で必要に応じて実行されてもよい。
以下、上述した測定学習動作(S10)、及び、場所特定動作(S20)の詳細を説明する。図3は、ユーザ契機による測定学習動作の詳細を示すフローチャートである。
ユーザ契機の場合、測定学習動作(S10)は、無線通信端末1がユーザにて入力された場所データを受け付けると開始され、テンプレートの学習もしくは削除を行う(ステップS31)。そして、ユーザにて入力された学習か削除かの指示に基づいて、テンプレートを学習する場合は(ステップS32:学習)、現在の無線通信状況の各種パラメータの値を一定期間取得する(ステップS33)。そして、取得したパラメータ毎の時系列データである通信状況データを、場所データと関連付けてテンプレートを作成し(ステップS34)、当該テンプレートをテンプレート記憶部22に格納する(ステップS35)。
なお、ステップS32で、ユーザが入力した指示がテンプレートを削除する指示である場合は(ステップS32:削除)、ユーザに入力された場所データに該当するテンプレートを削除する(ステップS36)。
ここで、無線通信状況のパラメータとは、上述したように、無線通信時による通信データのスループット、遅延、ジッタのQoS値のほか、アドレスやIDなどのネットワーク識別子、再送回数やCRCエラー数などの通信可否状況を示すパラメータ、さらに信号強度(RSSI)、ノイズレベル(SNR)、様々な周波数帯における周囲の電波使用状況、スペクトラムの状況などの無線物理層のパラメータを含む。そして、パラメータを単一で利用するのではなく、これらの単位や粒度の異なるパラメータを複数組み合わせて利用することで存在場所の分類の精度をあげることができる。
また、時系列データの値をそのままテンプレートにしてもよく、確率分布や、標準偏差、平均値など統計値を計算して、その値をテンプレートにしてもよい。また、MDL基準(Minimum Description Length Principle、最小記述長基準)を用いて、現象を記述する最適なモデルをパラメータ毎に決めてもよい。
次に、図4を参照して、自動的にテンプレートの学習・削除を行う測定学習動作(S10)を説明する。この場合には、まず、無線通信端末1が現在の無線通信状況の各種パラメータの値を一定期間取得する(ステップS41)。そして、取得したパラメータ毎の値である通信状況データと、すでに格納されているテンプレートとを比較して、これらの相違性を判断する(ステップS42)。このとき、通信状況データとテンプレートとの比較は、予め設定された算出方法によりこれらの相違性の尺度を求め、当該尺度が相違すると判断する予め設定された基準値よりも大きい場合(ステップS43:Yes)、つまり、他の登録されているテンプレートと異なる特徴を有すると判断された場合には、計測された通信状況データを場所データと関連付けられて新たな別テンプレートとしてテンプレート記憶部22に格納する(ステップS45,S46)。このとき、場所データは、ユーザに入力を促して当該ユーザから入力を受けてもよく、任意の場所を自動的に付与してもよい(ステップS44)。
そして、その後、場所特定部13にて一定期間特定されなかった場所のテンプレートを特定し(ステップS47:Yes)、当該テンプレートを自動削除する(ステップS48)。
次に、図5を参照して、ユーザ契機による場所特定動作(S20)の詳細を説明する。ユーザ契機の場合、場所特定動作(S20)では、無線通信端末1がユーザから場所特定の指示を受けると、現在の場所の無線通信状況を測定し、一時記憶部21に格納する(ステップS51)。その後、無線通信端末1は、一時記憶部21に格納した現在の場所の通信状況データと、テンプレート記憶部22に格納された複数の場所毎のテンプレートとを比較し、それらの相違性の尺度を計算する(ステップS52)。そして、求められた相違性の尺度に基づいて、現在場所の特定を行う(ステップS53)。
具体的に、無線通信端末1は、まず、測定された通信状況データと、ある場所のテンプレートとの相違性の尺度を算出した後に(ステップS52)、他の場所のテンプレートがあれば(ステップS53:No)、当該テンプレートと計測された通信状況データとの相違性の尺度も算出する(ステップS52)。そして、通信状況データと比較するテンプレートが無くなるまで、つまり、各場所の全てのテンプレートと通信状況データとの相違性の尺度を算出する。
続いて、計測した通信状況データと、全てのテンプレートとの比較が終了すると(ステップS53:Yes)、計算された各尺度のうち、最も相違性が小さい、つまり、予め設定された基準により計測された通信状況データと一致すると判断できるテンプレートを特定する。そして、この特定したテンプレートに含まれる場所データに対応する場所を、無線通信端末1の場所として特定する(ステップS54)。
その後、無線通信端末1は、特定された場所をユーザに通知するよう出力したり、当該特定された場所に応じて、端末設定データ記憶部23に記憶されている設定データに基づいて、無線通信端末1の動作設定を行う(ステップS55)。例えば、セキュリティ制限や省電力制御、データ送受信パラメータの調整を行うように無線通信端末1を制御したり、使用する無線モードの変更や、使用周波数、送信電力など無線通信のパラメータの変更設定を実行する(ステップS55)。
次に、図5を参照して、場所特定動作(S20)を常時実行する場合の詳細を説明する。まず、無線通信端末1は、上述したように、一定期間毎に無線通信状況を測定し(ステップS61)、記憶されているテンプレートと比較して(ステップS62,S63)、無線通信端末1の場所を特定し(ステップS65)、さらに、特定された場所に応じた端末の設定制御を行う(ステップS66)。そして、上記動作を、予め設定された期間が経過するまで繰り返す。これにより、常時、無線通信端末1が位置する場所に応じて、当該無線通信端末1の動作が適切に設定される。
次に、上述した相違性の尺度の計算について詳細に説明する。なお、この計算は、上記図4に開示したステップS42,S43や、図5のステップ52,S54、図6のステップS62,S64で、計測された通信状況データとテンプレートとの比較時における相違性の尺度の計算時や、相違性の有無の判断時に行われる。
例えば、相違性の尺度の計算として、計測された通信状況データやテンプレートが単一の値であれば、それらの値の差分を尺度として算出し、当該差分が予め設定された値よりも小さい場合に、相違性がない、と判断することができる。また、計測された通信状況データやテンプレートがベクトル量であれば、ユークリッド距離を尺度とすることもでき、その値と予め設定された値との比較により、相違性の有無を判断できる。さらに、計測された通信状況データやテンプレートの値がネットワーク識別子のような番号や文字列である場合には、これら番号や文字列を比較し、一致する数を尺度とすることもでき、当該一致する数が予め設定された値以上である場合には、相違性なし、と判断することができる。
ここで、図7を参照して、計測された通信状況データとテンプレートとの相違性の尺度を計算する一例を説明する。図7は、IEEE802.11方式のESSIDのような文字列のネットワーク識別子を、通信状況データ及びテンプレートのパラメータとする例である。このとき、無線通信端末1は、あるオフィスにおいて、自席テンプレートと会議室テンプレートを、図7に示すとおりにテンプレート記憶部22に記憶済みであり、現在の測定値が図7の下段に示すとおり測定されたとする。すると、現在の測定値と自席テンプレートのネットワーク識別子を比較すると、現在の測定値の中で自席テンプレートと一致しないものの数は1個、現在の測定値の中で会議室テンプレートと一致しないものの数は3個である。このような場合に、自席テンプレートの方が現在の測定値(計測された通信状況データ)と一致する数が多いので、当該自席テンプレートとの相違性が低く一致する度合いが高いため、無線通信端末1の現在の場所は自席であると特定することができる。
また、相違性の尺度の計算として、平均、標準偏差、分散などの統計値に対して、情報理論的な隔たりを表す量であるダイバージェンスを用いることで、ゆらぎや特異点が多く発生する無線通信においてもよりロバスト性の高い分類が可能となる。
例えば、以下の2つのダイバージェンスを尺度として用いることができる。
KLダイバージェンス(Kullback-Leibler divergence)は、確率分布間の隔たりを表す量であり数1式で表すことができる。
ここでP,Qは、それぞれパラメータの確率密度分布を表す関数である。
また、Jeffreyダイバージェンス(Jeffrey divergence)は、相違性の尺度が対称的となる量であり、離散分布に適応した場合、下記数2式、数3式で表すことができる。
ここで、p,qはそれぞれ、パラメータの離散確率を表す関数、あるいは、データである。
そして、上記KL(P,Q),JD(p,q)それぞれ、得られたダイバージェンス値が0に近いほど、類似していることを表す。これらの尺度の式を使って、現在計測された通信状況のパラメータと、記憶済みのテンプレートのパラメータとの相違性を計算することができる。
なお、上述した相違性の尺度は、パラメータ毎の相違性が顕著となるように、当該パラメータ毎に別々の尺度を用いるように構成することもできる。例えば、IDに対しては文字列の比較結果を尺度とし、無線品質パラメータの1つであるRSSIに対しては、KLダイバージェンスを尺度して用い、別の1つであるCRCエラーに対してはJeffreyダイバージェンスを尺度として用いるなどすることができる。
そして、上述した複数のパラメータ毎に、それぞれ計測された通信状況データとテンプレートとの相違性の尺度を求め、総じて相違性のないものの場所を、無線通信端末1の場所として特定してもよい。例えば、2つの異なるパラメータにおいて相違性なし、と判断されたテンプレートに共通する場所を、無線通信端末1の場所として特定してもよい。
なお、無線通信端末1の場所を特定する際には、上述したようにテンプレートの中で計測された通信状況データともっとも相違性が低いと判断されたテンプレートの場所に決定してもよいが、あらかじめしきい値を定めて、テンプレートとの相違性がしきい値以内であれば、その場所を特定してもよい。なお、上記相違性が低いと判断する際の基準となる相違性の尺度のしきい値は、パラメータの特性やパラメータの組み合わせに応じて、当該パラメータ毎に任意に設定することができる。また、上記相違性の尺度のしきい値は、上述したように、測定学習動作を同一条件で複数回繰り返し、もしくは無線パラメータを変更した別条件のもとで複数回繰り返し、それらの結果のばらつきから、当該ばらつきの範囲内であればその場所と特定されるしきい値を設定することで、当該しきい値を自動的に設定することもできる。
ここで、本願発明の効果を確認するため、実際の無線通信機器による検証を行った結果を説明する。ここでは、無線方式はIEEE802.11g、パケット長は200byte、物理伝送レートは54Mbpsを用い、2台の無線通信端末を対向させ、屋内と屋外でスループットを複数の条件で実測した。
図8は、その結果を示したグラフである。図8のグラフ横軸の左から、通信距離5m、送信データレート1Mbps、2Mbps、3Mbps、4Mbps、を示し、続いて、通信距離10m、送信データレート1Mbps、2Mbps、3Mbps、4Mbps、を示し、さらに、通信距離15m、送信データレート1Mbps、2Mbps、3Mbps、4Mbpsの結果を示す。そして、屋外、屋内とも、通信距離5m、4Mbpsのスループットのヒストグラムを屋外テンプレートと屋内テンプレートとしてそれぞれ一つずつ定め、他の実測値とのKLダイバージェンス値(縦軸)を求めた。
図8より、屋外(白抜き)と屋内(黒)のKLダイバージェンスの値は、各条件で顕著に異なる場合がほとんどであり、スループットのみをパラメータとした場合であっても、本願発明の相違性を用いた場所の特定方法が有効であることが確認できている。さらに、上記とほぼ同様の条件で測定を行ったスループットのみを単一パラメータとして、Jeffreyダイバージェンスを相違性の尺度として用い、屋外と屋内の場所の分類を実行し、分類が80%〜90%の精度で成功することを確認できている。以上により、本願発明で示したとおり、テンプレートのパラメータを複数組み合わせることで、より高い精度で分類が可能である。
以上のように、本発明によると、GPSなどの機器を装備することなく、また、基地局などの他の設備を利用することなく、簡易な構成の無線通信端末のみで自端末の位置を特定することができる。そして、特に、無線通信端末が実際に位置した場所で計測したデータをテンプレートとして登録するため、無線通信端末のユーザの利用環境に応じて、より高精度な場所の特定を行うことができる。
さらに、無線通信端末の場所が特定されると、当該特定された場所に適切な作動状態となるよう無線通信端末の各種設定が行われる。従って、場所に応じて自動的に無線通信端末の動作を最適化でき、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
また、複数の通信状況を表すデータを利用し、パラメータ毎に個別の相違性の尺度を求めて、それらの結果に応じて場所を特定するため、ゆらぎや特異点が多く発生する無線通信においても、無線通信端末の場所を高精度に特定することができる。
<実施形態2>
本発明の第2の実施形態を、図9を参照して説明する。図9は、無線通信端末の構成を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態では、無線通信端末の概略を説明する。
図9に示すように、本実施形態における無線通信端末100は、
無線通信時における自端末の通信状況を表す通信状況データを計測する通信状況計測手段101と、
各場所にて無線通信時に計測されうる端末の通信状況を表す予め設定された各基準データを、上記各場所を識別する各場所データにそれぞれ関連付けて記憶する基準データ記憶手段103と、
上記通信状況計測手段101にて計測した上記通信状況データと、上記基準データ記憶手段103に記憶されている上記各基準データと、を比較して、当該比較結果に基づいて特定の上記基準データに関連付けられている上記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する場所特定手段102と、
を備える。
そして、上記無線通信端末100では、
上記場所特定手段は、予め定められた算出方法にて算出した上記通信状況データと上記基準データとの差が最も少ない上記基準データが関連付けられた上記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する、
という構成を採る。
上記発明によると、まず、無線通信端末は、事前に、各場所において無線通信時に端末で計測されうる通信状況を表す基準データを、場所情報と共に記憶している。そして、無線通信端末が、所定の場所で無線通信を行う時に通信状況を表す通信状況データを計測し、この通信状況データと各場所の基準データとを比較する。比較の結果、通信状況データに対応する基準データを特定し、この基準データが関連付けられている場所を、端末の場所として特定する。これにより、GPSなどの機器を装備することなく、また、基地局などの他の設備を利用することなく、簡易な構成の無線通信端末のみで自端末の位置を特定することができる。
また、本発明の他の態様に係る無線通信端末は、
自端末が所定の場所にて上記通信状況計測手段にて計測した上記通信状況データを上記基準データとして、上記所定の場所を識別する上記場所データと関連付けて上記基準データ記憶手段に記憶する基準データ登録手段を備えた、
という構成を採る。
そして、上記無線通信端末では、
上記基準データ登録手段は、自端末が所定の場所にて上記通信状況計測手段にて計測した上記通信状況データと、上記基準データ記憶手段に記憶されている上記基準データと、を比較して、比較結果に基づいて上記計測した通信状況データを上記基準データとして、上記所定の場所を識別する上記場所データと関連付けて上記基準データ記憶手段に記憶する、
という構成を採る。
また、上記無線通信端末では、
上記基準データ登録手段は、予め定められた算出方法にて算出した、自端末が所定の場所にて上記通信状況計測手段にて計測した上記通信状況データと上記基準データ記憶手段に記憶されている上記基準データとの差が、予め設定された値よりも大きい場合に、上記計測した通信状況データを上記基準データとして上記所定の場所を識別する上記場所データと関連付けて上記基準データ記憶手段に記憶する、
という構成を採る。
また、上記無線通信端末では、
上記基準データ登録手段は、上記場所特定手段にて一定期間特定されていない場所を識別する上記場所データと関連付けられている上記基準データを、上記基準データ記憶手段から削除する、
という構成を採る。
これにより、無線通信端末が実際に位置した場所で計測したデータを利用して基準データを登録するため、当該基準データを別途生成する必要がなく、無線通信端末単体で場所特定を行うことができ、さらなる構成の簡素化を図ることができる。また、無線通信端末のユーザの利用環境に応じた基準データを登録できるため、より高精度な場所の特定を行うことができる。
また、上記無線通信端末では、
上記場所毎に予め定められた無線通信端末の作動状態を設定する設定データを記憶する設定データ記憶手段と、
上記場所特定手段にて特定された場所に対応する上記設定データに基づいて、自端末の作動状態を設定する作動状態設定手段と、
を備える。
そして、上記無線通信端末では、
上記設定データは、無線通信端末の無線通信動作を設定するデータである、
という構成を採る。
これにより、無線通信端末の場所が特定されると、当該特定された場所に適切な作動状態となるよう無線通信端末の各種設定が行われる。従って、場所に応じて自動的に無線通信端末の動作を最適化でき、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
さらに、上記無線通信端末では、
上記通信状況計測手段は、1の場所でそれぞれ異なる通信状況を表す複数の上記通信状況データをそれぞれ計測すると共に、
上記基準データ記憶手段は、1の場所でそれぞれ異なる通信状況を表す複数の上記基準データをそれぞれ記憶しており、
上記場所特定手段は、複数の通信状況の上記通信状況データと上記基準データとを通信状況ごとに比較して、当該比較結果に基づいて自端末の場所として特定する、
という構成を採る。
これにより、複数の通信状況を表すデータを利用して端末の場所を特定するため、場所特定の高精度化を図ることができる。
また、上述した無線通信端末は、当該無線通信端末にプログラムが組み込まれることで実現できる。
具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、
各場所にて無線通信時に計測されうる端末の通信状況を表す予め設定された各基準データを、上記各場所を識別する各場所データにそれぞれ関連付けて記憶する無線通信端末に、
無線通信時における自端末の通信状況を表す通信状況データを計測する通信状況計測手段と、
上記通信状況計測手段にて計測した上記通信状況データと、上記記憶されている各基準データと、を比較して、当該比較結果に基づいて特定の上記基準データに関連付けられている上記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する場所特定手段と、
を実現させるためのプログラムである。
そして、上記プログラムは、
上記無線通信端末に、さらに、
自端末が所定の場所にて上記通信状況計測手段にて計測した上記通信状況データを上記基準データとして、上記所定の場所を識別する上記場所データと関連付けて記憶する基準データ登録手段、
を実現させるためのプログラムである。
さらに、上記プログラムは、
上記無線通信端末に、さらに、
上記場所特定手段にて特定された場所に対応して予め定められた無線通信端末の作動状態を設定する設定データに基づいて、自端末の作動状態を設定する作動状態設定手段、
を実現させるためのプログラムである。
また、上述した無線通信端末が作動することにより実行される、本発明の他の形態である無線通信方法は、
各場所にて無線通信時に計測されうる端末の通信状況を表す予め設定された各基準データを、上記各場所を識別する各場所データにそれぞれ関連付けて記憶する無線通信端末にて、
無線通信時における自端末の通信状況を表す通信状況データを計測し、
上記計測した通信状況データと、上記記憶されている各基準データと、を比較して、当該比較結果に基づいて特定の上記基準データに関連付けられている上記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する、
という構成を採る。
そして、上記無線通信方法は、
自端末が所定の場所にて上記通信状況計測手段にて計測した上記通信状況データを上記基準データとして、上記所定の場所を識別する上記場所データと関連付けて記憶する、
という構成を採る。
さらに、上記無線通信方法は、
自端末の場所を特定した後に、当該特定された場所に対応して予め定められた無線通信端末の作動状態を設定する設定データに基づいて自端末の作動状態を設定する、
という構成を採る。
上述した構成を有する、プログラム、又は、無線通信方法、の発明であっても、上記無線通信端末と同様の作用を有するために、上述した本発明の目的を達成することができる。
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
本発明は、通信機能を有するノートパソコンや携帯電話機など、可搬可能な無線通信端末に利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
1 無線通信端末
2 無線通信処理部
3 アンテナ
11 通信状況計測部
12 通信状況収集部
13 場所特定部
14 通信制御部
100 無線通信端末
101 通信状況計測手段
102 場所特定手段
103 基準データ記憶手段
21 一時記憶部
22 テンプレート記憶部
23 端末設定データ記憶部

Claims (4)

  1. 無線通信時における自端末の通信状況を表す通信状況データを計測する通信状況計測手段と、
    各場所にて無線通信時に計測されうる端末の通信状況を表す予め設定された各基準データを、前記各場所を識別する各場所データにそれぞれ関連付けて記憶する基準データ記憶手段と、
    前記通信状況計測手段にて計測した前記通信状況データと、前記基準データ記憶手段に記憶されている前記各基準データと、を比較して、当該比較結果に基づいて特定の前記基準データに関連付けられている前記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する場所特定手段と、
    を備え、
    前記場所特定手段は、予め定められた算出方法にて、前記通信状況データと前記基準データとの差として、統計値に対して情報理論的な隔たりを表す量であるダイバージェンスを算出し、当該ダイバージェンスの値が最も少ない前記基準データが関連付けられた前記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する、
    無線通信端末。
  2. 請求項1に記載の無線通信端末であって、
    前記通信状況計測手段は、1の場所でそれぞれ異なる通信状況を表す複数の前記通信状況データをそれぞれ計測すると共に、
    前記基準データ記憶手段は、1の場所でそれぞれ異なる通信状況を表す複数の前記基準データをそれぞれ記憶しており、
    前記場所特定手段は、複数の通信状況の前記通信状況データと前記基準データとを通信状況ごとに予め設定されたそれぞれ異なる尺度を用いて比較すると共に、ある通信状況に対してはKLダイバージェンス(Kullback-Leibler divergence)を用い、別の通信状況に対してはJeffreyダイバージェンス(Jeffrey divergence)を用いて比較して、自端末の場所を特定する、
    無線通信端末。
  3. 各場所にて無線通信時に計測されうる端末の通信状況を表す予め設定された各基準データを、前記各場所を識別する各場所データにそれぞれ関連付けて記憶する無線通信端末に、
    無線通信時における自端末の通信状況を表す通信状況データを計測する通信状況計測手段と、
    前記通信状況計測手段にて計測した前記通信状況データと、前記記憶されている各基準データと、を比較して、当該比較結果に基づいて特定の前記基準データに関連付けられている前記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する場所特定手段と、
    を実現させると共に、
    前記場所特定手段は、予め定められた算出方法にて、前記通信状況データと前記基準データとの差として、統計値に対して情報理論的な隔たりを表す量であるダイバージェンスを算出し、当該ダイバージェンスの値が最も少ない前記基準データが関連付けられた前記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する、
    ことを実現させるためのプログラム。
  4. 各場所にて無線通信時に計測されうる端末の通信状況を表す予め設定された各基準データを、前記各場所を識別する各場所データにそれぞれ関連付けて記憶する無線通信端末にて、
    無線通信時における自端末の通信状況を表す通信状況データを計測し、
    前記計測した通信状況データと、前記記憶されている各基準データと、を比較して、当該比較結果に基づいて特定の前記基準データに関連付けられている前記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する、無線通信方法であり、
    予め定められた算出方法にて、前記通信状況データと前記基準データとの差として、統計値に対して情報理論的な隔たりを表す量であるダイバージェンスを算出し、当該ダイバージェンスの値が最も少ない前記基準データが関連付けられた前記場所データに対応する場所を、自端末の場所として特定する、
    無線通信方法。
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