JP5473496B2 - グラフト共重合体及びその製造方法、熱可塑性樹脂組成物、並びに成形品 - Google Patents
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Description
例えば、ポリオルガノシロキサン系ゴムとポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムとからなる複合ゴムにビニル単量体をグラフト重合させた複合ゴムグラフト共重合体を配合する方法(特許文献1)が示されている。
また、低架橋のポリオルガノシロキサン系ゴムに対して、多官能性ビニル単量体及びその他のビニル単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体を配合する方法(特許文献2)が示されている。
また、特許文献2に記載の方法では、低架橋のポリオルガノシロキサン系ゴムを用いていること、ポリオルガノシロキサン系ゴムの含有率が低いことから、薄肉化した成形品で良好な難燃性が得られるものの、耐衝撃性、特に低温下における耐衝撃性が充分ではない。
[1]オルガノシロキサンを重合して得られるトルエン不溶分が50質量%以上のポリオルガノシロキサン系ゴム(A)(ただし、アクリル系ゴム成分を含む複合ゴムを除く。)75〜93質量%の存在下で、多官能性ビニル単量体(b1)を含むビニル単量体(B)7〜25質量%をグラフト重合するグラフト共重合体の製造方法であって、前記多官能性ビニル単量体(b1)の質量割合がグラフト共重合体100質量%に対して0.3〜10質量%であるグラフト共重合体の製造方法。
[2]前記[1]に記載の製造方法で得られるグラフト共重合体。
[3]キャピラリー式粒度分布測定器で測定される数平均粒子径が200〜1,000nmである、前記[2]に記載のグラフト共重合体。
[4]前記[2]又は[3]に記載のグラフト共重合体が、熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜20質量部配合された熱可塑性樹脂組成物。
[5]更に、ビニル単量体を重合して得られた硬質重合体とフッ素系樹脂との混合粉体からなる変性フッ素系樹脂が配合された、前記[4]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]前記[4]又は[5]に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記グラフト共重合体が配合されているため、特に低温における耐衝撃性及び流動性が優れ、また充分な難燃性を有している。
また、本発明の成形品は、前記熱可塑性樹脂組成物を成形して得られるものであるため、特に低温における耐衝撃性に優れ、充分な難燃性を有している。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)は、ビニル重合性官能基を有するポリオルガノシロキサン系ゴム(以下、「シロキサン系ゴム(A1)」という。)が好ましい。
シロキサン系ゴム(A1)は、下記成分(a1)〜(a3)を重合することにより得られる。
成分(a1):ジメチルシロキサン。
成分(a2):ビニル重合性官能基を有するシロキサン。
成分(a3):シロキサン系架橋剤。
成分(a1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(a2)としては、例えば、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン及びδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシラン;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン;p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルフェニルシラン;γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。
成分(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(a3)は、本グラフト共重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物の強度及び難燃性の点から、シロキサン系ゴム(A1)中に1〜5質量%含有されていることが好ましい。
重合に用いる酸触媒の添加方法としては、例えば、シロキサン混合物、乳化剤及び水とともに混合する方法と、シロキサン混合物が微粒子化されたオルガノシロキサンラテックスを、高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が挙げられる。
シロキサン系ゴム(A1)の製造方法としては、シロキサン系ゴム(A1)の粒子径を制御しやすい点から、シロキサン混合物、乳化剤及び水と、ミセル形成能のない酸水溶液とを混合させて重合を行なう方法が好ましい。
これら乳化剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これら酸触媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)の重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤及び水とともに混合し、微粒子化を行なった後に重合する場合、2〜15時間が好ましく、5〜10時間がより好ましい。
重合は、反応液を冷却し、更にポリオルガノシロキサンラテックスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ性物質で中和することにより停止させることができる。
トルエン不溶分は、以下の方法により測定できる。
ポリオルガノシロキサンラテックスから、2−プロパノールを用いてポリオルガノシロキサン系ゴム(A)成分を抽出し、それを室温で乾燥させた後、真空乾燥機で2−プロパノール成分を完全に除去する。得られたポリオルガノシロキサン系ゴム(A)を0.5g精秤した後、室温にてトルエン80mLに24時間浸漬し、12,000rpmにて60分間遠心分離した後、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)を再度精秤することによりトルエン不溶分の質量分率(質量%)を測定する。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)のトルエン不溶分は、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)中の成分(a3)の含有率を調節することにより制御できる。成分(a3)の含有率が高いほど、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)のトルエン不溶分の値が高くなる。
多官能性ビニル単量体(b1)は、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上有する単量体であり、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンが挙げられる。なかでも、耐衝撃性、流動性及び難燃性を発現させる効果が高いことから、アリルメタクリレートが好ましい。
これら多官能性ビニル単量体(b1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これら他のビニル単量体(b2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
不飽和カルボン酸系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が挙げられる。
マレイミド系単量体としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが挙げられる。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)の前記使用量が75質量%以上であれば、充分な難燃性が発現する。また、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)の前記使用量が93質量%以下であれば、充分な耐衝撃性が発現する。
尚、ビニル単量体(B)における多官能性ビニル単量体(b1)の含有率は、上記した、本グラフト共重合体の重合における多官能性ビニル単量体(b1)の使用量を満たす範囲で、適宜設定することができる。
有機過酸化物としては、例えば、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイト、ラウロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、シクロヘキサンノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドが挙げられる。
無機過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが挙げられる。
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
レドックス系開始剤としては、例えば、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせた開始剤が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、反応性が高いことから、有機過酸化物又は無機過酸化物が好ましい。また、レドックス系開始剤も好ましく、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせた開始剤がより好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタンが挙げられる。
グラフト重合に用いる乳化剤としては、カチオン系乳化剤、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が好ましく、スルホン酸塩乳化剤、硫酸塩乳化剤、カルボン酸塩乳化剤がより好ましい。特に、得られる本グラフト共重合体を配合する対象を、エステル結合を有する熱可塑性樹脂とする場合には、加水分解を抑制する点からスルホン酸塩乳化剤が更に好ましい。
特に、得られる本グラフト共重合体を配合する対象を、エステル結合を有する熱可塑性樹脂とする場合には、加水分解を抑制することから、カルシウム塩による塩析により回収することが好ましい。
前記数平均粒子径が200nm以上であれば、低温における耐衝撃性を充分に発現させやすい。また、前記数平均粒子径が1,000nm以下であれば、本グラフト共重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物の難燃性の低下を抑制しやすい。
前記Mwが50,000以下であれば、本グラフト共重合体の熱可塑性樹脂への分散性の低下を防止でき、難燃性を損なわずに優れた流動性を発現させることが容易になる。また、前記Mwが1,000以上であれば、本グラフト共重合体の熱可塑性樹脂への分散性を低下させずに、充分な難燃性及び耐衝撃性を発現させることが容易になる。
本グラフト共重合体を配合する熱可塑性樹脂としては、一般に知られている熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体(MS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート共重合体(ASA)、アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン(AES)等のスチレン系樹脂(St系樹脂);ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系樹脂(Ac系樹脂);ポリカーボネート系樹脂(PC系樹脂);ポリアミド系樹脂(PA系樹脂);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂(PEs系樹脂);(変性)ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE系樹脂)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM系樹脂)、ポリスルフォン系樹脂(PSO系樹脂)、ポリアリレート系樹脂(PAr系樹脂)、ポリフェニレン系樹脂(PPS系樹脂)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(PU系樹脂)等のエンジニアリングプラスチックス;スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレン等の熱可塑性エラストマー(TPE);PC/ABS等のPC系樹脂/St系樹脂アロイ、ポリ塩化ビニル(PVC)/ABS等のPVC系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/ABS等のPA系樹脂/St系樹脂アロイ、PA系樹脂/TPEアロイ、PA/PP等のPA系樹脂/ポリオレフィン系樹脂アロイ、PBT系樹脂/TPE、PC/PBT等のPC系樹脂/PEs系樹脂アロイ、ポリオレフィン系樹脂/TPE、PP/PE等のオレフィン系樹脂同士のアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PA等のPPE系樹脂アロイ、PVC/PMMA等のPVC系樹脂/Ac系樹脂アロイ等のポリマーアロイ;硬質、半硬質、軟質塩化ビニル樹脂が挙げられる。
これら熱可塑性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、グラフト共重合体のような相溶化剤を併用してもよい。
本グラフト共重合体の前記配合量が1質量部以上であれば、優れた耐衝撃性及び難燃性が発現する。また、本グラフト共重合体の前記配合量が20質量部以下であれば、熱可塑性樹脂の本来の性質が損なわれることを防止できる。
添加剤としては、例えば、顔料、染料、ガラス繊維、金属繊維、金属フレーク、炭素繊維等の補強剤、充填剤、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(ミックスド、モノ及びジニルフェニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートジアステリアルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等の光安定剤、ヒドロキシルアルキルアミン、スルホン酸塩等の帯電防止剤、エチレンビスステアリルアミド、金属石鹸等の滑剤、テトラブロムフェノールA、デカブロモフェノールオキサイド、テトラブロモビスフェノールA(TBA)エポキシオリゴマー、TBAポリカーボネートオリゴマー、三酸化アンチモン、トリフェニルホスファイト(TPP)、リン酸エステル等の難燃剤、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ビニル単量体を重合して得られた硬質重合体とフッ素系樹脂との混合粉体からなる変性フッ素系樹脂(ビニル重合体で変性されたPTFEからなるアンチドリッピング剤)が挙げられる。
ビニル単量体としては、例えば、スチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;メチルアクリレート等のアクリレート;メチルメタクリレート等のメタクリレートが挙げられる。
変性フッ素系樹脂としては、変性PTFEが好ましい。変性PTFEの市販品としては、例えば、商品名「メタブレンA3800」、「メタブレンA3750」(以上、三菱レイヨン(株)製)、商品名「TSAD001」、「CX−500」(以上、パシフィックインターケム(株)製)、商品名「Blendex449」(ケムチュラ(株)製)が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必須成分である熱可塑性樹脂及び本グラフト共重合体、並びに所望により任意成分を所定量配合し、ロール、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機等の通常の混練機で混練することにより調製することができる。これらは回分的又は連続的に運転することができ、各成分の混合順序は特に限定されない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ペレット状にすることが好ましい。
本発明の成形品の用途は特に制限はなく、例えば、建材、自動車、玩具、文房具等の雑貨、更にはOA機器、家電機器等の低温における耐衝撃性と難燃性とが必要とされる成形品に広く利用できる。
本発明の成形品の製造方法は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いる以外は公知の製造方法を用いることができる。
本実施例における各測定は、以下のようにして行なった。
[数平均粒子径(dn))の測定]
粒子を含有するラテックスを蒸留水で希釈して濃度約3%の希釈ラテックス0.1mLの試料を作製し、キャピラリー式粒度分布測定器(CHDF2000型、MATEC社製(米国))を用いて数平均粒子径を測定した。測定条件は、流速1.4mL/分、圧力約2.76MPa(約4,000psi)、温度35℃とした。また、測定には粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性はほぼ中性にした。
尚、測定前には、粒子径既知の単分散ポリスチレン(DUKE社製(米国))を標準粒子径物質とし、20〜800nmの合計12点の粒子径を測定して、検量線を作成した。数平均粒子径については、前記粒子径測定結果の数分布における解析値を数平均粒子径とした。
本実施例で得られたポリオルガノシロキサン系ゴムラテックスから、2−プロパノールを用いてポリオルガノシロキサン系ゴム成分を抽出し、室温で乾燥させた後、真空乾燥機で2−プロパノール成分を完全に除去した。
得られたポリオルガノシロキサン系ゴムを0.5g精秤した後、室温にてトルエン80mLに24時間浸漬し、12,000rpmにて60分間遠心分離し、分離したポリオルガノシロキサン系ゴムを再度精秤し、トルエン不溶分の質量分率(質量%)を測定した。
本実施例で得られたグラフト共重合体の粉体1gをアセトン50gに溶解させ、70℃で6時間還流及び抽出を行なった後、遠心分離装置(CRG SERIES、(株)日立製作所製)を用いて、4℃下にて14,000rpmで30分間遠心分離した。
次いで、溶液をデカンテーションで取り除き、沈澱物を分離して、真空乾燥機にて50℃で24時間乾燥させた後に沈澱物の質量を測定した。グラフト率(単位:質量%)は以下の式にて算出した。
グラフト率=乾燥後の沈澱物の質量/1 ×100
前記方法で得られたアセトン可溶分(デカンテーションで取り除いた部分)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて分子量の測定に供した。GPCの測定条件は下記の通りであり、標準ポリスチレンによる検量線からMwを求めた。
装置 :「HLC8220」(東ソー(株)製)
カラム :「TSKgel SuperHZM−M」(東ソー(株)製)
(内径4.6mm×長さ15cm×4本、排除限界4×106)
溶離液 :THF(テトラヒドロフラン)
溶離液流量:0.35mL/分
測定温度 :40℃
試料注入量:10μL(試料濃度0.1%)
ASTM D−256に準じて、ノッチつき1/8インチバー、1/4インチバーを用いて23℃及び−30℃でのアイゾット衝撃試験を行なうことにより、耐衝撃性を評価した。
1/16インチの燃焼棒を用い、UL94V試験により難燃性を評価した。
樹脂組成物のペレットを試料とし、JIS K7210に準拠してメルトフローレート(MFR)を測定することにより、流動性を評価した。MFRの測定条件は下記(1)及び(2)の通りである。条件(1)は、熱可塑性樹脂組成物にリン酸エステル系難燃剤を配合していないもの、条件(2)は熱可塑性樹脂組成物にリン酸エステル系難燃剤を配合したものに適用した。
条件(1):測定温度280℃、荷重5.0kgf。
条件(2):測定温度260℃、荷重2.16kgf。
下記原料混合物をホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合ラテックス(a−1)を得た。
原料混合物:
成分(a1) 「TSF404」(商品名、オクタメチルシクロテトラシロキサン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製) 96部
成分(a2) 「KBM502」(商品名、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、信越化学(株)製) 2部
成分(a3) 「AY43−101」(商品名、テトラエトキシシラン、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製) 2部
アニオン系乳化剤 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.00部
脱イオン水 150部
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A−1)ラテックスを180℃で30分間乾燥して固形分を求めた(以下、固形分の測定方法は同様の方法を用いた。)。固形分は29.8%であった。また、該ラテックスの数平均粒子径は420nmであった。
下記原料混合物をホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合ラテックス(a−2)を得た。
原料混合物:
成分(a1) 「TSF404」(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製) 96部
成分(a2) 「KBM502」(商品名、信越化学(株)製) 2部
成分(a3) 「AY43−101」(商品名、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製) 2部
アニオン系乳化剤 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.67部
酸触媒 ドデシルベンゼンスルホン酸 0.67部
脱イオン水 200部
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A−2)ラテックスの固形分は29.3%であり、数平均粒子径は140nmであった。
下記原料混合物をホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合ラテックス(a−3)を得た。
原料混合物:
成分(a1) 「TSF404」(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製) 96部
成分(a2) 「KBM502」(商品名、信越化学(株)製) 2部
成分(a3) 「AY43−101」(商品名、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製) 2部
アニオン系乳化剤 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.00部
脱イオン水 200部
該ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を85℃に加熱した状態で、前記予備混合ラテックス(a−3)300部を2時間に亘って滴下し、滴下終了後、3時間温度を85℃に保持した後に冷却した。次いで反応物を室温で6時間保持した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和してポリオルガノシロキサン系ゴム(A−3)ラテックスを得た。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A−3)ラテックスの固形分は17.7%であり、数平均粒子径は65nmであった。
成分(a1)の原料を、「TSF404」から「YF3937」(商品名、モメンディブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製)に変更した以外は、製造例1と同様にしてポリオルガノシロキサン系ゴム(A−4)ラテックスを得た。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A−4)ラテックスの固形分は29.1%であり、数平均粒子径は260nmであった。
オクタメチルシクロテトラシロキサンを98部、テトラエトキシシランを0部に変更した以外は、製造例1と同様にしてポリオルガノシロキサン系ゴム(X−1)ラテックスを得た。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(X−1)ラテックスの数平均粒子径は410nmであった。
製造例1〜5の各ポリオルガノシロキサン系ゴムの配合、並びに数平均粒子径dn及びトルエン不溶分の測定結果を表1に示す。
TSF404 :「TSF404」(商品名、オクタメチルシクロテトラシロキサン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製)
KBM502 :「KBM502」(商品名、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、信越化学(株)製)
AY43−101:「AY43−101」(商品名、テトラエトキシシラン、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)
YF3937 :「YF3937」(商品名、モメンディブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製)
(グラフト共重合体(1)粉体の製造)
下記第1原料混合物をセパラブルフラスコに投入し、フラスコ内に窒素気流を通じて窒素置換を行ない、攪拌しながら昇温させ、液温が50℃に達した時点で下記還元剤水溶液を投入して一段目の重合を開始し、アリルメタクリレート成分の重合を完結させるために液温を70℃に1時間保持した。
第1原料混合物:
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A−1)ラテックス 268.5部
(ポリマー換算で80部)
多官能性ビニル単量体(b1) アリルメタクリレート 1部
重合開始剤 キュメンハイドロパーオキサイド 0.3部
脱イオン水 200部
還元剤水溶液:
硫酸第一鉄 0.001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003部
ロンガリット 0.24部
脱イオン水 10部
第2原料混合物:
他のビニル単量体(b2) メチルメタクリレート 17部
他のビニル単量体(b2) ブチルアクリレート 2部
重合開始剤 キュメンハイドロパーオキサイド 0.20部
30mmφ二軸押出機(PCM−30、池貝製作所製)にて280℃にて下記配合成分を溶融混練することで、ペレット状に賦型して樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物を100t射出成形機(SE−100DU、住友重機製作所製)にて280℃で成形し、アイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。
配合成分:
グラフト共重合体(1)粉体 5部
熱可塑性樹脂 「ユーピロンS2000F」(商品名、ビスフェノールAタイプポリカーボネート、粘度平均分子量約22,000、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
100部
フェノール系酸化防止剤 「イルガノックス245」(商品名、チバ・ジャパン(株)製) 0.3部
リン系酸化防止剤 「アデカスタブPEP36」(商品名、(株)ADEKA製)
0.3部
滴下防止剤 メタブレンA−3800(商品名、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン、三菱レイヨン(株)製) 1部
配合組成を表2及び3に示す通りに変更した以外は実施例1と同様の方法でグラフト共重合体(2)粉体〜グラフト共重合体(6)粉体、グラフト共重合体(8)粉体〜グラフト共重合体(13)粉体を得た。また、得られたグラフト共重合体(2)粉体〜グラフト共重合体(6)粉体、グラフト共重合体(8)粉体〜グラフト共重合体(13)粉体を用い、配合組成を表2及び3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造し、アイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。
実施例3と同じグラフト共重合体(3)粉体を用い、配合組成を表3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造し、アイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。
グラフト共重合体を用いていない以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造し、アイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。
配合組成を表4に示す通りに変更した以外は実施例1と同様の方法でグラフト共重合体(14)粉体〜グラフト共重合体(16)粉体を得た。また、得られたグラフト共重合体(14)粉体〜グラフト共重合体(16)粉体を用いて、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造し、アイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。
(グラフト共重合体(17)粉体の製造)
製造例1で得られたポリオルガノシロキサン系ゴム(A−1)ラテックス234.9部(ポリマー換算で70部)をセパラブルフラスコに投入し、脱イオン水200部を添加混合した後、ブチルアクリレート9部、アリルメタクリレート1部、キュメンハイドロパーオキサイド0.3部の混合物を添加した。次いで、フラスコ内に窒素気流を通じて窒素置換を行ない、攪拌しながら昇温し液温が50℃に達した時点で実施例1と同じ還元剤水溶液を添加し、ラジカル重合を開始した。アリルメタクリレート成分の重合を完結させるため、液温を70℃で1時間保持し、ポリオルガノシロキサン系ゴムとポリブチルアクリレートとの複合ゴムのラテックスを得た。
第1原料混合物:
多官能性ビニル単量体(b1) アリルメタクリレート 5部
重合開始剤 キュメンハイドロパーオキサイド 0.3部
第2原料混合物:
他のビニル単量体(b2) メチルメタクリレート 13部
他のビニル単量体(b2) ブチルアクリレート 2部
重合開始剤 キュメンハイドロパーオキサイド 0.20部
得られたグラフト共重合体(17)粉体を用いて、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
また、該熱可塑性樹脂組成物を用いて実施例1と同様にしてアイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。
(グラフト共重合体(18)ラテックスの製造)
製造例1で得られたポリオルガノシロキサン系ゴム(A−1)ラテックス268.5部(ポリマー換算で80部)をセパラブルフラスコに投入し、脱イオン水200部を添加混合した後、フラスコ内に窒素気流を通じて窒素置換を行ない、攪拌しながら昇温して液温が50℃となった時点で実施例1と同じ還元剤水溶液を添加し、液温を70℃とした。
次いで、下記原料混合物を20分間に亘って滴下した後、温度70℃以上の状態を1.5時間保持して重合を行ない、その後に冷却してグラフト共重合体(18)ラテックスを得た。
原料混合物:
他のビニル単量体(b2) メチルメタクリレート 18部
他のビニル単量体(b2) ブチルアクリレート 2部
重合開始剤 キュメンハイドロパーオキサイド 0.20部
得られたグラフト共重合体(18)粉体を用いて、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
また、該熱可塑性樹脂組成物を用いて、アイゾット試験片及び燃焼試験片を得た。
実施例1〜6、8〜20及び比較例1〜6における配合組成及び耐衝撃性、難燃性の評価結果を表2〜4に示す。
BA :ブチルアクリレート
AMA :アリルメタクリレート
MMA :メチルメタクリリレート
PhMA :フェニルメタクリレート
AN :アクリロニトリル
St :スチレン
PC :「ユーピロンS2000F」(商品名、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
Irg245:「イルガノックス245」(商品名、チバ・ジャパン(株)製)
PEP36 :「アデカスタブPEP36」(商品名、(株)ADEKA製)
CD1 :「フルオンCD−1」(商品名、旭硝子(株)製)
A3800 :「メタブレンA−3800」(商品名、三菱レイヨン(株)製)
TPP :「TPP」(商品名、大八化学(株)製)
CR733S:「CR733S」(商品名、大八化学(株)製)
CR741 :「CR741」(商品名、大八化学(株)製)
PX200 :「PX200」(商品名、大八化学(株)製)
トルエン不溶分が低いポリオルガノシロキサン系ゴム(X−1)を使用した比較例2の樹脂組成物は、実施例3の樹脂組成物に比べて低温における耐衝撃性が劣っていた。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)の含有率が少ない比較例3の樹脂組成物は、実施例3の樹脂組成物に比べて、流動性及び低温での耐衝撃性が劣っており、またUL94V試験の総燃焼時間が長く難燃性も劣っていた。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)の含有率が多すぎる比較例4の樹脂組成物は、実施例2及び5の樹脂組成物に比べて低温における耐衝撃性が劣っていた。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(A)の代わりに、ポリオルガノシロキサン系ゴム(A−1)にブチルアクリレートを複合させた複合ゴムを用いた比較例5の樹脂組成物は、実施例3、9及び10の樹脂組成物に比べてUL94V試験の総燃焼時間が長く難燃性が著しく劣っていた。
多官能性ビニル単量体(b1)を用いずに製造したグラフト共重合体を用いた比較例6の樹脂組成物は、実施例1〜3の樹脂組成物に比べて低温での耐衝撃性が劣っており、UL94V試験の総燃焼時間が長く難燃性が著しく劣っていた。
Claims (6)
- オルガノシロキサンを重合して得られるトルエン不溶分が50質量%以上のポリオルガノシロキサン系ゴム(A)(ただし、アクリル系ゴム成分を含む複合ゴムを除く。)75〜93質量%の存在下で、多官能性ビニル単量体(b1)を含むビニル単量体(B)7〜25質量%をグラフト重合するグラフト共重合体の製造方法であって、
前記多官能性ビニル単量体(b1)の質量割合がグラフト共重合体100質量%に対して0.3〜10質量%であるグラフト共重合体の製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法で得られるグラフト共重合体。
- キャピラリー式粒度分布測定器で測定される数平均粒子径が200〜1,000nmである、請求項2に記載のグラフト共重合体。
- 請求項2又は3に記載のグラフト共重合体が、熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜20質量部配合された熱可塑性樹脂組成物。
- 更に、ビニル単量体を重合して得られた硬質重合体とフッ素系樹脂との混合粉体からなる変性フッ素系樹脂が配合された、請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項4又は5に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
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