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JP5468891B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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JP5468891B2 JP2009291096A JP2009291096A JP5468891B2 JP 5468891 B2 JP5468891 B2 JP 5468891B2 JP 2009291096 A JP2009291096 A JP 2009291096A JP 2009291096 A JP2009291096 A JP 2009291096A JP 5468891 B2 JP5468891 B2 JP 5468891B2
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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、タイヤへの要求性能が高くなってきており、トレッド部の耐摩耗性やウェットスキッド性能の向上が要求されている。これらの性能を満足させる方法として、カーボンブラックを微粒子化し、耐摩耗性能を向上させる方法が知られているが、摩耗末期にはゴムの硬度が高くなり、ウェットスキッド性能が低下するという問題があった。
また、特許文献1には、シリカを配合し、転がり抵抗、耐摩耗性を悪化させることなく、ウェットスキッド性能を向上できるタイヤ用ゴム組成物が開示されているが、これらの性能をバランスよく改善する点については、未だ改善の余地がある。また、上記カーボンブラックの場合と同様に、摩耗末期にはゴムの硬度が高くなり、ウェットスキッド性能が低下するという問題があった。
特開2008−31244号公報
本発明は、前記課題を解決し、耐摩耗性及びウェットスキッド性能を両立でき、特に耐熱老化性を向上し、摩耗末期まで長期にわたりこれらの性能を維持でき、加工性、低燃費性、操縦安定性にも優れたタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分、シリカ、硫黄及び下記式(I)で表される化合物を含み、上記シリカは、CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上であるタイヤ用ゴム組成物に関する。
Figure 0005468891
(式(I)において、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R及びRは、同一若しくは異なって、チッ素原子を含む1価の有機基を表す。)
上記シリカは、アグリゲートサイズが30nm以上であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、硫黄の配合量<式(I)で表される化合物の配合量であることが好ましい。上記ゴム組成物は、硫黄及び式(I)で表される化合物の配合量が、それぞれゴム成分100質量部に対して0.1〜2質量部であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、トレッドに使用されることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、ゴム成分と、特定値以上のCTAB比表面積及びBET比表面積を有するシリカと、硫黄と上記式(I)で表される化合物とを含むタイヤ用ゴム組成物であるので、耐摩耗性及びウェットスキッド性能を両立でき、特に耐熱老化性を向上し、摩耗末期まで長期にわたりこれらの性能を維持でき、低燃費性、操縦安定性にも優れた空気入りタイヤを提供できる。また、タイヤ製造時の加工性にも優れている。
細孔分布曲線を示す図である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分と、特定値以上のCTAB比表面積及びBET比表面積を有するシリカと、硫黄と、上記式(I)で表される化合物とを含む。特定値以上のCTAB比表面積及びBET比表面積を有するシリカを配合することにより、耐摩耗性及びウェットスキッド性能を両立できる。また、硫黄と、上記式(I)で表される化合物とを配合することにより、耐熱老化性が向上し、摩耗末期まで長期にわたり、耐摩耗性及びウェットスキッド性能を維持することが可能となる。従って、特定値以上のCTAB比表面積及びBET比表面積を有するシリカと、硫黄と、上記式(I)で表される化合物とを併用したことにより、耐摩耗性及びウェットスキッド性能を高い次元で両立させることができる。
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムなどが挙げられる。これらジエン系ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、安価という理由から、BR、SBR、NRが好ましく、BRとSBRを併用することがより好ましい。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。耐摩耗性能が良好であるという理由から、BRのシス含量は95質量%以上が好ましい。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。5質量%未満であると、耐摩耗性が悪化するおそれがある。該BRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。50質量%を超えると、破壊特性が悪化するおそれがある。
SBRとしては、乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合SBR(S−SBR)が挙げられるが、スチレン及びビニルの自由度が高く、ウェットスキッド性能などの性能を充分に向上できるように設計しやすいという理由から、S−SBRが好ましい。
S−SBRとしては、SnやSiなどでカップリングされて高分子量化されたものを用いることが好ましい。S−SBRのカップリング方法は、常法に従って、例えば、S−SBRの分子鎖末端のアルカリ金属(Liなど)又はアルカリ土類金属(Mgなど)を、ハロゲン化スズ、ハロゲン化ケイ素などと反応させることによって得ることができる。また、エポキシ基でカップリングしたS−SBRも使用できる。
また、S−SBRとしては、上記ゴムの重合末端及び/又は主鎖を変性したもの(変性によりシラノール基と反応可能な官能基を導入)を用いることもできる。例えば、ゴムの重合末端のアルカリ金属(Li等)やアルカリ土類金属(Mg等)をアミド類、尿素類、ラクタム類等の種々の化合物と反応させることで末端変性したもの(例えば、末端にエポキシ基、アミノ基等を導入したもの)が得られる。
S−SBRのスチレン単位量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。また、該スチレン単位量は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
またS−SBRのビニル単位量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。該ビニル単位量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下である。
S−SBRのスチレン単位量やビニル単位量が上記範囲内であると、転がり抵抗を低減できるとともに、良好な耐摩耗性が得られる。また、優れたウェットスキッド性能を得ることもできる。
なお、スチレン単位量及びビニル単位量は、H−NMR測定により算出できる。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。40質量%未満であると、グリップ性能が悪化するおそれがある。該SBRの含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。95質量%を超えると、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
ゴム成分100質量%中のBRとSBRの合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。80質量%未満であると、耐クラック性能が劣る傾向にある。
本発明では、CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上のシリカ(以下、「微粒子シリカ」ともいう)が使用される。このような微粒子シリカをゴム中に良好に分散させることによって、優れた耐摩耗性、ウェットスキッド性能、操縦安定性が得られ、また、転がり抵抗を低くできる。
微粒子シリカのCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)比表面積は、好ましくは190m/g以上、より好ましくは195m/g以上、更に好ましくは197m/g以上である。CTAB比表面積が180m/g未満であると、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
該CTAB比表面積は、好ましくは500m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。CTAB比表面積が500m/gを超えると、加工性が悪化するおそれがある。
なお、CTAB比表面積は、ASTM D3765−92に準拠して測定される。
微粒子シリカのBET比表面積は、好ましくは190m/g以上、より好ましくは195m/g以上、更に好ましくは210m/g以上である。BET比表面積が185m/g未満であると、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
該BET比表面積は、好ましくは500m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは260m/g以下である。BET比表面積が500m/gを超えると、加工性が悪化するおそれがある。
なお、シリカのBET比表面積は、ASTM D3037−81に準じて測定される。
微粒子シリカのアグリゲートサイズは、30nm以上、好ましくは35nm以上、より好ましくは40nm以上、更に好ましくは45nm以上、特に好ましくは50nm以上、最も好ましくは55nm以上である。また、該アグリゲートサイズは、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、更に好ましくは70nm以下、特に好ましくは65nm以下である。このようなアグリゲートサイズを有することにより、良好な分散性を有しながら、優れた補強性、耐摩耗性を与えることができる。
アグリゲートサイズは、凝集体径又は最大頻度ストークス相当径とも呼ばれているものであり、複数の一次粒子が連なって構成されるシリカの凝集体を一つの粒子と見なした場合の粒子径に相当するものである。アグリゲートサイズは、例えば、BI−XDC(Brookhaven Instruments Corporation製)等のディスク遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて測定できる。
具体的には、BI−XDCを用いて以下の方法にて測定できる。
3.2gのシリカ及び40mLの脱イオン水を50mLのトールビーカーに添加し、懸濁液を含有するビーカーを氷充填晶析装置内に置く。ビーカーを超音波プローブ(1500ワットの1.9cmVIBRACELL超音波プローブ(バイオブロック社製、最大出力の60%で使用))を使用して懸濁液を8分間砕解し、サンプルを調製する。サンプル15mLをディスクに導入し、撹拌するとともに、固定モード、分析時間120分、密度2.1の条件下で測定する。
装置の記録器において、16質量%、50質量%(又は中央値)及び84質量%の通過直径の値、及びモードの値を記録する。(累積粒度曲線の導関数は、分布曲線にモードと呼ばれるその最大の横座標を与える)。
このディスク遠心沈降式粒度分析法を使用して、シリカを水中に超音波砕解によって分散させた後に、Dとして表される粒子(凝集体)の重量平均径(アグリゲートサイズ)を測定できる。分析(120分間の沈降)後に、粒度の重量分布を粒度分布測定装置によって算出する。Dとして表される粒度の重量平均径は、以下の式によって算出される。
Figure 0005468891
(式中、mは、Dのクラスにおける粒子の全質量である)
微粒子シリカの平均一次粒子径は、好ましくは25nm以下、より好ましくは22nm以下、更に好ましくは17nm以下、特に好ましくは14nm以下である。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは7nm以上である。このような小さい平均一次粒子径を有しているものの、上記のアグリゲートサイズを有するカーボンブラックのような構造により、シリカの分散性をより改善でき、補強性、耐摩耗性を更に改善できる。
なお、微粒子シリカの平均一次粒子径は、透過型又は走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
微粒子シリカのD50は、好ましくは7.0μm以下、より好ましくは5.5μm以下、更に好ましくは4.5μm以下である。7.0μmを超えると、耐摩耗性が悪化するおそれがある。該微粒子シリカのD50は、好ましくは2.0μm以上、より好ましくは2.5μm以上、更に好ましくは3.0μm以上である。2.0μm未満であると、加工性が
悪化するおそれがある。
ここで、D50は、微粒子シリカの中央直径であって粒子の50質量%がその中央直径よりも小さい。
また、微粒子シリカは、粒子径が18μmより大きいものの割合が6質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。これにより、シリカの良好な分散性が得られ、所望の性能が得られる。
なお、微粒子シリカのD50、所定の粒子径を有するシリカの割合は、以下の方法により測定される。
凝集体の凝集を予め超音波砕解されたシリカの懸濁液について、粒度測定(レーザー回折を使用)を実施することによって評価する。この方法では、シリカの砕解性(0.1〜数10ミクロンのシリカの砕解)が測定される。超音波砕解を、19mmの直径のプローブを装備したバイオブロック社製VIBRACELL音波発生器(600W)(最大出力の80%で使用)を使用して行う。粒度測定は、モールバーンマスターサイザー2000粒度分析器でのレーザー回折によって行う。
具体的には、以下の方法により測定される。
1グラムのシリカをピルボックス(高さ6cm及び直径4cm)中で秤量し、脱イオン水を添加して質量を50グラムにし、2%のシリカを含有する水性懸濁液(これは2分間の磁気撹拌によって均質化される)を調製する。次いで、超音波砕解を420秒間実施し、更に、均質化された懸濁液の全てが粒度分析器の容器に導入された後に、粒度測定を行う。
微粒子シリカの細孔容積の細孔分布幅Wは、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.3以上、最も好ましくは1.5以上である。また、該細孔分布幅Wは、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.0以下である。このようなブロードなポーラスの分布により、シリカの分散性を改善でき、所望の性能が得られる。
なお、シリカの細孔容積の細孔分布幅Wは、以下の方法により測定できる。
微粒子シリカの細孔容積は、水銀ポロシメトリーによって測定される。シリカのサンプルをオーブン中で200℃で2時間予備乾燥させ、次いでオーブンから取り出した後、5分以内に試験容器内に置き、真空にする。細孔直径(AUTOPORE III 9420
粉体工学用ポロシメーター)は、ウォッシュバーンの式によって140°の接触角及び484ダイン/cm(又はN/m)の表面張力γで算出される。
細孔分布幅Wは、細孔直径(nm)及び細孔容量(mL/g)の関数で示される図1のような細孔分布曲線によって求めることができる。即ち、細孔容量のピーク値Ys(mL/g)を与える直径Xs(nm)の値を記録し、次いで、Y=Ys/2の直線をプロットし、この直線が細孔分布曲線と交差する点a及びbを求める。そして、点a及びbの横座標(nm)をそれぞれXa及びXbとしたとき(Xa>Xb)、細孔分布幅Wは、(Xa−Xb)/Xsに相当する。
微粒子シリカの細孔分布曲線中の細孔容量のピーク値Ysを与える直径Xs(mm)は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、更に好ましくは18mm以上、特に好ましくは20mm以上であり、また、好ましくは60mm以下、より好ましくは35mm以下、更に好ましくは28mm以下、特に好ましくは25mm以下である。上記範囲内であれば、分散性と補強性に優れた微粒子シリカを得ることができる。
上記微粒子シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。5質量部未満であると、微粒子シリカを配合したことにより得られる効果が小さい傾向がある。該微粒子シリカの配合量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。150質量部を超えると、加工性が悪化するおそれがある。
本発明のゴム組成物では、上記微粒子シリカ以外のシリカを含んでもよい。この場合、シリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは45質量部以上である。また、該合計含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。下限未満の場合や上限を超える場合は、前述の微粒子シリカの配合量と同様の傾向がある。
本発明のゴム組成物では、更にシランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤を配合することにより、転がり抵抗の低減と、加工性の改良を同時に達成できる。シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系;などを挙げることができる。なかでも、加工性が良好である点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上、更に好ましくは6質量部以上である。2質量部未満では、転がり抵抗の低減効果が十分に得られない傾向にある。該含有量は、好ましくは15質量部以下が好ましく、より好ましくは12質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。15質量部を超えると、高価なシランカップリング剤を増量するのに見合った転がり抵抗の低減効果が得られないおそれがある。
本発明では、下記式(I)で表される化合物が使用される。
Figure 0005468891
(式(I)において、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R及びRは、同一若しくは異なって、チッ素原子を含む1価の有機基を表す。)
アルキレン基としては、特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状のものがあげられるが、なかでも、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
アルキレン基の炭素数は2〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。アルキレン基の炭素数が1では、熱的な安定性が悪く、S−S結合から得られるメリットが得られない傾向があり、アルキレン基の炭素数が11以上では、S架橋鎖以上の長さとなってしまい、−S−に置換して、置き換わることが困難となる傾向がある。
上記条件を満たすアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基などがあげられる。なかでも、ポリマー/ポリマー間の硫黄架橋にスムーズに置換し、熱的にも安定であるという理由から、ヘキサメチレン基が好ましい。
及びRとしては、チッ素原子を含む1価の有機基であれば特に限定されず、芳香環を少なくとも1つ含むものが好ましく、炭素原子がジチオ基に結合したN−C(=S)−で表される結合基を含むものがより好ましい。
及びRは、それぞれ同一でも、異なっていてもよいが、製造の容易さなどの理由から、同一であることが好ましい。
上記条件を満たす化合物としては、例えば、1,2−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)エタン、1,3−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン、1,4−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン、1,5−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、1,7−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン、1,8−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン、1,9−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン、1,10−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンなどがあげられる。なかでも、熱的に安定であり、分極性に優れるという理由から、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンが好ましい。
式(I)で表される化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上である。0.1質量部未満であると、式(I)で表される化合物を配合したことにより得られる効果が小さい傾向がある。式(I)で表される化合物の含有量は、好ましくは2.0質
量部以下、より好ましくは1.9質量部以下、更に好ましくは1.8質量部以下である。2.0質量部を超えると、破壊特性が悪化するおそれがある。
本発明では、硫黄が使用される。
硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などが挙げられる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上である。0.1質量部未満であると、加硫速度が遅くなり、生産性が悪化するおそれがある。硫黄の含有量は、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.9質量部以下、更に好ましくは1.8質量部以下である。2.0質量部を超えると、老化後のゴム物性変化が大きくなるおそれがある。
また、硫黄の含有量(質量)<式(I)で表される化合物の含有量(質量)を満たすことが好ましい。硫黄の含有量(質量)≧式(I)で表される化合物の含有量(質量)の場合には、式(I)で表される化合物を配合する効果が充分に得られないおそれがある。
硫黄の含有量(質量)/式(I)で表される化合物の含有量(質量)は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上である。0.05未満であると、加硫速度が遅くなる傾向がある。また、該質量比は、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下である。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、クレー等の補強用充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル、ワックス、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、N,N’−ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられる。なかでも、加硫速度をコントロールしやすいという理由からTBBS、CBS、DZなどのスルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、TBBSとDPGを併用することがより好ましい。
本発明では、老化防止剤として、ゴムの老化防止性に優れるという理由から、アミン系老化防止剤が好適に使用される。アミン系老化防止剤としては、例えば、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系などのアミン誘導体が挙げられる。ジフェニルアミン系誘導体としては、例えば、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。p−フェニレンジアミン系誘導体としては、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上である。1質量部未満であると、耐クラック性が悪化するおそれがある。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。6質量部を超えると、ブルームが表面に発生するおそれがある。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造
できる。該ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッドに好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でのトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
本発明のゴム組成物を用いた空気入りタイヤの用途は特に限定されないが、特に高性能タイヤ(高偏平タイヤ)、乗用車の高荷重車両用のタイヤ、ライトトラック用タイヤとして好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:旭化成(株)製のE15(エポキシ基でカップリングしたS−SBR、スチレン単位量:23質量%、ビニル単位量:64質量%、末端基:なし)
BR:宇部興産(株)製のBR130B(シス含量96質量%)
シリカ1:Rhodia社製のZeosil 1115MP(CTAB比表面積:105m/g、BET比表面積:115m/g、平均一次粒子径:25nm、アグリゲートサイズ:92nm、細孔分布幅W:0.63、細孔分布曲線中の細孔容量ピーク値を与える直径Xs:60.3nm)
シリカ2:Rhodia社製のZeosil HRS 1200MP(CTAB比表面積:195m/g、BET比表面積:200m/g、平均一次粒子径:15nm、アグリゲートサイズ:40nm、D50:6.5μm、18μmを超える粒子の割合:5.0質量%、細孔分布幅W:0.40、細孔分布曲線中の細孔容量ピーク値を与える直径Xs:18.8nm)
シリカ3:Rhodia社製のZeosil Premium 200MP(CTAB比表面積200m/g、BET比表面積:220m/g、平均一次粒子径10:nm、アグリゲートサイズ:65nm、D50:4.2μm、18μmを超える粒子の割合:1.0質量%、細孔分布幅W:1.57、細孔分布曲線中の細孔容量ピーク値を与える直径Xs:21.9nm)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN351
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
アロマオイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノワックス
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
KA9188:バイエル社製のVulcuren KA9188(1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニ
ジン)
実施例1〜6及び比較例1〜5
表1に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、工程1に示す材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に工程2に示す材料を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で15分間プレス加硫し、加硫ゴムシートを得た。また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材と貼り合せ、150℃で30分間加硫することにより、試験用タイヤ(195/65R15)を作製した。
(劣化条件)
上記にて作製した試験用タイヤを80℃のオーブンで168時間熱劣化(老化)させた。得られたものを劣化サンプル(熱劣化後の試験用タイヤ)とした。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴムシート、試験用タイヤ、熱劣化後の試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。
(1)ムーニー粘度
JIS K6300に準じて、130℃で所定の未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。測定結果を、比較例1を100とした指数で示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工が容易であることを示す。
(2)転がり抵抗指数
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗性に優れ、低燃費性に優れる。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)÷(各配合のtanδ)×100
(3)ウェットスキッド性能
試験用タイヤ又は熱劣化後の試験用タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。比較例1のウェットスキッド性能を100として、下記計算式により指数表示した。また、熱劣化後のウェットスキッド性能については、実施例1の熱劣化後のウェットスキッド性能を100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほどウェットスキッド性能が良好である。
ウェットスキッド性能=(比較例1の制動距離)÷(各配合の制動距離)×100
熱劣化後のウェットスキッド性能=(実施例1の制動距離)÷(各配合の制動距離)×100
(4)操縦安定性
試験用タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着してテストコースを実車走行し、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。10点を満点とし、比較例1の操縦安定性を6点としてそれぞれ相対評価を行った。数値が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。
(5)耐摩耗性能
試験用タイヤ又は熱劣化後の試験用タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着
してテストコースを実車走行し、30000km走行前後のパターン溝深さの変化を求めた。結果は、比較例1を100として指数表示した。また、熱劣化後の耐摩耗性能については、実施例1の熱劣化後の耐摩耗性能を100として指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性能が良好である。
Figure 0005468891
ゴム成分と、特定値以上のCTAB比表面積及びBET比表面積を有するシリカと、硫黄と上記式(I)で表される化合物とを含む実施例は、比較例と比べて、耐摩耗性能及びウェットスキッド性能を高度にバランスよく両立でき、特に耐熱老化性が向上し、熱劣化後であっても(摩耗末期まで長期にわたり)これらの性能の低下を抑制し、また、低燃費性、操縦安定性にも優れていることが分かった。
また、実施例の加工性(ムーニー粘度)については、シリカを配合せずカーボンブラックを配合した比較例1と同等であり、実施例と同様の微粒子シリカを配合した比較例3、4に比べて同等又は優れていることが分かった。

Claims (7)

  1. ゴム成分、シリカ、硫黄及び下記式(I)で表される化合物を含み、
    前記シリカは、CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上であるタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 0005468891
    (式(I)において、Aは炭素数2〜10のアルキレン基、R及びRは、同一若しくは異なって、チッ素原子を含む1価の有機基を表す。)
  2. シリカは、アグリゲートサイズが30nm以上である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 硫黄の配合量<式(I)で表される化合物の配合量である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 硫黄及び式(I)で表される化合物の配合量が、それぞれゴム成分100質量部に対して0.1〜2質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. スチレンブタジエンゴムを含む請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. トレッドに使用される請求項1〜のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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