JP5311102B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
したがって、システムのオンのときに、転舵機構の絶対位置を検出する必要がある。ポテンショメータや光学式センサなどの位置検出センサを用いて絶対位置を検出する場合、構造が複雑になり、製造コストが高くなる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、構造が簡単で安価に操舵軸の絶対位置を検出することができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
例えば、第1および第2の伝達機構がボールねじ機構である場合、両ボールねじ機構のねじ軸のリード(L1,L2)が互いに異なること、並びに、第1および第2の回転角検出手段としてのレゾルバの対極数が互いに異なることの何れか一方が達成されていればよい。
図1は本発明の第1実施の形態の車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、本実施の形態では、車両用操舵装置1が、ステアリングホイール等の操舵部材2と転舵機構3との機械的な結合をなくした、いわゆるステア・バイ・ワイヤ(SBW)システムである場合に則して説明するが、本発明は、これに限らず、例えば、操舵部材と転舵輪との間に、操舵部材の操舵角に対する転舵輪の転舵角の比である伝達比を可変する差動機構などの伝達比可変機構が介在する車両用操舵装置に適用することもできる。
操舵部材2は、車体に固定されたステアリングコラム15によって、回転可能に支持されたステアリングシャフト16に同行回転可能に連結されている。このステアリングコラム15の側部には、上記の反力モータ13が連結されている。反力モータ13は、例えば減速のための伝達機構としてのウォームギヤ機構40を介してステアリングシャフト16にトルク伝達可能に連結されている。
また、ステアリングシャフト16に関連して、操舵部材2の操舵角を検出するための操舵角センサ18が設けられている。反力モータ13には、反力モータ13のロータの回転角を検出する回転角センサ19が設けられている。転舵軸5の一側のタイロッド8には、タイロッド8の軸力を検出するタイロッド軸力センサ20が設けられている。
操舵角センサ18、反力モータ17の回転角を検出する回転角センサ19、タイロッド軸力センサ20、第1および第2の転舵モータ11,12の回転角をそれぞれ検出する第1および第2のレゾルバ21,22、並びに、走行状態センサ23からの信号が、制御装置14に与えられるようになっている。
制御装置14は、演算処理部としてのCPU、制御プログラムを記憶させてあるROMおよび演算処理の過程においてワークエリアとして使用されるRAMを備える電子制御ユニット(ECU)として構成されている。制御装置14の出力は、第1および第2の転舵モータ11,12と、反力モータ13とに、図示しない各別の駆動回路を介して与えられる。
また、通常操舵時において、左操舵と右操舵で第1および第2の転舵モータ11,12を使い分け、第1および第2の転舵モータ11,12の何れか一方にフェールが発生したときに、他方の転舵モータによって左右の操舵を達成するようにしてもよい。
図2を参照して、第1および第2の転舵モータ11,12は、モータハウジング17内にそれぞれ対応する軸受24,25を介して転舵軸5と同軸上に回転可能に支持された筒状のロータ26,27と、ロータ26,27の外周に設けられた磁極28,29と、磁極28,29に対向するようにモータハウジング17の内周に固定された筒状のステータ30,31とを備えている。
各磁極28,29は、対応するロータ26,27の周方向に交互に配置された複数対のN極およびS極により構成されている。図示していないが、各ステータ30,31には、複数の励磁相からなるコイルが設けられており、各転舵モータ11,12は、対応するステータコイルへの通電に応じて、対応するロータ26,27に回転力を発生する三相ブラシレスモータとして機能する。
具体的には、第1のねじ軸36のリードをL1とし、第2のねじ軸のリードをL2とし、第1のレゾルバ21の対極数をN1とし、第2のレゾルバ22の対極数をN2としたときに、各レゾルバ21,22の電気角1回転当たりの、転舵軸5の移動量S1,S2は、制御装置14のAD変換の分解能が8ビットで256段階のデジタル値を出力するものとして、下記式(1)、(2)で表される。
S2=L2/N2/256 …(2)
例えば、第1のねじ軸36のリードL1が5.1mmであり、第2のねじ軸37のリードL2が8.3mmであり、各レゾルバ21,22の対極数N1,N2がそれぞれ4である場合、各移動量S1,S2は、それぞれ下記となる。
S2=0.008105(mm)
したがって、両移動量S1,S2の最小公倍数LCMは、下記となる。
LCM=211.65(mm)
すなわち、下記の表1に示すように、転舵軸5の絶対位置が211.65mmである場合、リードL1が5.1mmである第1のねじ軸36を有する第1のボールねじ機構6と組み合わされた第1の転舵モータ11の回転角は41.5になるとともに、リードL2が8.3mmである第2のねじ軸37を有する第2のボールねじ機構7と組み合わされた第2の転舵モータ12の回転角は25.5になる。
最小公倍数LCMの値と転舵軸5の実際の移動量の上限値Smaxとの関係を、最小公倍数LCMの値(例えば211.65mm)が上記上限値Smax(例えば150mm)よりも大きくなるように、容易に調整することができる。したがって、表1に示されるような両レゾルバ21,22の出力するデジタル値の比較に基づいて、転舵軸5の絶対位置を検出することが可能となる。そのために、制御装置14では、両レゾルバ21,22のデジタル値と転舵軸5の絶対位置との関係を予め記憶したテーブルマップを参照するようにする。つまり、第1のレゾルバ21のデジタル値と第2のレゾルバ22のデジタル値との組み合わせから、転舵軸5の絶対位置が一意に定められるようになっている。
図3の実施の形態によれば、第1および第2の反力モータ131,132に通常備えられている第1および第2のレゾルバ51,52を用いて、操舵軸としてのステアリングシャフト16の回転方向Y1の絶対位置を検出するので、別途にステアリングシャフト16の回転角に相当する絶対操舵角を検出する操舵角センサを設ける必要がなく、車両用操舵装置1の構造の簡素化と小型化を達成することができる。また、製造コストを安くすることができる。
Claims (3)
- 操舵軸をそれぞれ対応する第1および第2の伝達機構を介して駆動する第1および第2のモータと、
上記第1および第2の伝達機構並びに第1および第2のモータを収容したハウジングと、
上記第1および第2のモータの回転角をそれぞれ検出する第1および第2の回転角検出手段と、
上記第1および第2の回転角検出手段の検出結果を参照して、操舵軸の絶対位置を求める手段とを備え、
各回転角検出手段は、対応するモータの駆動力を伝達する回転部材に同行回転するように取り付けられたロータと、上記ハウジングに固定されたステータとを含み、
上記第1および第2の回転角検出手段の電気角1回転当たりの操舵軸の移動量を互いに異ならせてあり、
第1回転角検出手段の電気角1回転当たりの操舵軸の移動量と第2回転角検出手段の電気角1回転当たりの操舵軸の移動量との最小公倍数が、操舵軸の移動量の上限値よりも大きくされていることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記第1および第2の伝達機構は、第1および第2のモータとしての第1および第2の転舵モータの出力回転を、操舵軸としての転舵軸の軸方向の移動にそれぞれ変換する第1および第2のボールねじ機構を含み、
上記第1および第2のボールねじ機構は、転舵軸と同軸上で転舵軸の軸方向に離隔する第1および第2のねじ軸と、上記第1および第2のねじ軸とそれぞれ螺合し、上記第1および第2の転舵モータによってそれぞれ回転駆動される第1および第2のボールナットとを含み、
各回転角検出手段のロータが取り付けられる回転部材は、各ボールナットとそれぞれ一体回転する部材であり、
上記第1および第2の回転角検出手段の検出結果を参照して、転舵軸の軸方向の絶対位置が求められ、
第1および第2の回転角検出手段の電気角1回転当たりの転舵軸の軸方向の移動量を互いに異ならせてあり、
第1回転角検出手段の電気角1回転当たりの転舵軸の移動量と第2回転角検出手段の電気角1回転当たりの転舵軸の移動量との最小公倍数が、転舵軸の移動量の上限値よりも大きくされていることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1または2において、上記第1および第2の回転角検出手段のそれぞれはレゾルバを含み、
第1および第2の伝達機構の伝達比が互いに異なること、並びに、第1および第2の回転角検出手段としてのレゾルバの対極数が互いに異なることの少なくとも一方が達成されていることを特徴とする車両用操舵装置。
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