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JP5398121B2 - 風味向上されたチョコレート類及びチョコレートの風味向上方法 - Google Patents

風味向上されたチョコレート類及びチョコレートの風味向上方法 Download PDF

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Description

本発明は、風味向上されたチョコレート類及びその風味向上方法に関する。
チョコレートはもともと飲料としてヨーロッパに広がったが、19世紀にオランダ人のヴァン・ホーテンがココア(カカオマスから脂肪分(ココアバター)を低減したもの)を作ることに成功し、余ったココアバターをカカオマスに配合して細かくひいた砂糖と混ぜることで、現在の板チョコレートの形となった。すなわち、チョコレートはカカオマスの脂肪分および添加されたココアバターの連続相に細かく粉砕されたカカオ固形分・砂糖・粉乳等が分散した構造となっている。
上記の様にもともとチョコレートの製造にはココアバターが用いられて来たが、非常に高価で貴重であったため、戦後国内では、その代替脂肪の利用が広まって来た。代替脂肪には大きく分け、1)サル脂、シア脂、パーム油などから得られるココアバターと近似した対称型のトリグリセリド構造を持つテンパリング型代用脂肪、2)大豆・パームオレイン等の液体油を水添し、分別することにより得られる高トランス酸のノンテンパリング型代用脂肪、3)パーム核油やヤシ油のようなラウリン系油脂を分別・硬化することによって得られる高ラウリン酸のノンテンパリング型代用脂肪の3種類が存在し、種々改良が加えられている(例えば非特許文献1)。しかしながら、代用脂肪に要求される特性としては、シャープな口溶け、カカオバターとの相溶性、スナップ性、耐ブルーム性、耐熱性等、物理的ないわゆる物性に基づくものであって、風味の向上という視点では何ら顧みられることはなかった。
チョコレート類の風味向上に関しては、カカオ豆の産地・品種の選定や、チョコレート中のカカオマス・カカオバター等のカカオ由来成分と代用脂肪との配合比調整、粉乳・乳脂肪等の乳成分の配合、バニリン等の香料の添加によって行われているが、特定の食用油脂を配合することによる風味の向上に関しては行われることは無かった。
木田 晴康著 「チョコレート用油脂」(月間フードケミカル2006−9、P76〜80)
風味向上された嗜好性の高いチョコレート類を提供することが本発明の課題である。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、綿実油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部及びコーン油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂とカカオ豆由来成分をそれぞれ、一定の濃度範囲でチョコレート類に配合することにより風味向上された嗜好性の高いチョコレート類が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、米油ステアリン部及び綿実油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種以上の油脂を3〜12重量%含み、且つカカオ豆由来成分を9〜75重量%含む事を特徴とするチョコレート類である。
本発明の第の発明は、米油ステアリン部及び綿実油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種以上の油脂を3〜15重量%含み、且つカカオ豆由来成分を9〜60重量%含む事を特徴とするソフトチョコレートである。
本発明により、風味向上された嗜好性の高いチョコレート類を提供することができる。
本発明にいうチョコレート類とは、規約(チョコレート業の表示に関する公正競争規約)または、法規上の規定に限定されるものではなく、ココアバターまたは植物油脂を用いたチョコレート類及び油脂加工食品をいう。そしてこの中には、チョコレート業の表示に関する公正競争規約にいうチョコレートを及び準チョコレートを含む。
チョコレート類は原材料の違いにより、乳製品を含まないダークチョコレート、乳製品を含むミルクチョコレート、カカオ由来原料としてココアバターのみを用いるホワイトチョコレートに分けられる。本発明のチョコレート類はダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートのいずれでもよいが、風味向上効果が得られやすいという点で、ダークチョコレートおよびミルクチョコレートがより好ましく、ダークチョコレートが最も好ましい。
チョコレート類は、ココアバターやテンパリング型カカオ代用脂等のテンパリング型油脂を主体としたテンパリング型チョコレートと高トランス酸型カカオ代用脂または高ラウリン酸型カカオ代用脂等のノンテンパー型油脂を主体としたノンテンパー型チョコレートに分けられるが、一般にテンパリング型チョコレートはノンテンパー型チョコレートよりもカカオ豆由来原料を多く配合することができ、本発明の向上効果が得られやすい。本発明のチョコレート類は、テンパリング型チョコレート、ノンテンパリング型チョコレートのいずれでもよいが、テンパリング型チョコレートがより好ましい。
以下に本発明の風味向上されたチョコレート類及びその風味向上方法について詳細に記述する。
まず本発明のチョコレート類について説明する。
本発明のチョコレート類は、綿実油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部またはコーン油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂を配合することを特徴とするチョコレート類である。綿実油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部またはコーン油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂を配合することにより、チョコレート類の風味を向上し、嗜好性を高めることが可能となる。他の動植物油脂を配合した場合は、チョコレート類の油性感(油っぽさ)が増すのみで、風味を向上し、嗜好性を高める効果に乏しいので好ましくない。
本発明で言うチョコレート類はその種類として板チョコ等のハードチョコレート及びチョコレートクリーム等のソフトチョコレートを含むがそれらに限定されるものではない。
ハードチョコレートはスナップ性のある固形のチョコレートのことであり、具体的には板チョコレート、エンローバーチョコレート、シェルチョコレート、ホローチョコレート、パンワークチョコレート等が挙げられる。
またソフトチョコレートは、スプレッド性のある柔らかいチョコレートのことであり、例えばパン等に塗って使用される。具体的にはチョコレートスプレッド、フィリング用チョコレート、チョコレートクリーム等が挙げられる。またWO型含水チョコレートもソフトチョコレートの範囲である。
一般にハードチョコレートはソフトチョコレートよりもカカオ豆由来原料を多く配合することができ、本発明の向上効果が得られやすい。本発明のチョコレート類は、ハードチョコレート、ソフトチョコレート、それら以外のチョコレートのいずれでもよいが、ハードチョコレートがより好ましい。
ここで従来、チョコレートに添加するカカオ代用脂として用いられている、高トランス酸のノンテンパリング型代用脂肪と風味向上を目的としてチョコレートに添加する本発明の油脂との違いについて説明しておく。高トランス酸のノンテンパリング型代用脂肪は、主に大豆油やパームオレイン等の液状油を水素添加し、分別することによって得られるのに対し、本発明に用いる油脂は綿実油、米油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部、コーン油ステアリン部の少なくとも一種類を水素添加することなく配合するという違いがある。また、高トランス酸のノンテンパリング型代用脂肪は、ココアバターの代用品として使用することが主な目的であるため、ココアバターに類似した物性(硬さ、口どけ性など)、または、ココアバターよりも優れた物性(耐熱性など)を持つが、チョコレートの風味の改質という機能は有していない。本発明に用いる油脂はチョコレートの風味を改質する目的で使用するため、高トランス酸のノンテンパリング型代用脂肪とは異なった特徴を有する。
本発明にいうソフトチョコレートは、ベーカリーなどのセンタークリームとして、絞り出すことによりトッピングとして使用することができる。チョコレートフィリングは硬さ等の物性に規定されるものではないが、チョコレートフィリングとして使用されるチョコレートは一般にソフトチョコレートが多い。通常チョコレートクリームなどのソフトチョコレートに用いられるフィリング用油脂は、液状部を多く含み、菜種油などの液状油を軽度に水素添加、場合によって分別して製造される場合が多い。これらのフィリング用油脂は一般に横型のSFC(15℃〜35℃においてSFCが20%以下)のものが多い。この従来のフィリング用油脂は、水素添加した油脂に特有の風味を有するため、素材の風味を引き立たせることが困難であった。
本発明にいうカカオ豆由来成分とは、チョコレート類中のカカオ豆由来原料すなわちカカオマス、ココアバター、ココアパウダーの総和をいう。本発明の綿実油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部またはコーン油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂をチョコレートに配合する事による風味向上効果はチョコレート類中のカカオ豆由来成分が一定の含有量以上の場合に得られる。本発明のチョコレート類中におけるカカオ豆由来成分の含有量の下限は9重量%以上が好ましく、14重量%以上が更に好ましく、19重量%以上であることが最も好ましい。チョコレート類中のカカオ豆由来成分が9重量%未満の場合は、風味向上効果が得られない。また本発明のチョコレート類中におけるカカオ豆由来成分の含有量の上限は99重量%以下が好ましく、75重量%以下が更に好ましく、53重量%以下が最も好ましい。
本発明におけるチョコレート類は、綿実油、米油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部及びコーン油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂を配合すること以外は、通常のチョコレート類と同様の方法で製造できる。例えば、テンパリング型チョコレートの場合、カカオマス、ココアバター、テンパリング型カカオ代用脂、砂糖、レシチン、香料、及び綿実油、米油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部またはコーン油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂等の原料を混合、ロール掛け、コンチングしてチョコレート生地を調製し、テンパリングしたのち、型板に流し込み、冷却固化させ、固まったチョコレートを型板から取り出し、20℃で1週間静置してチョコレートを得ることができる。また、市販のテンパリング型チョコレート生地に綿実油、米油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部またはコーン油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂を配合し、テンパリングしたのち、型に流し込み、冷却固化することでも本発明のチョコレートを得ることができる。また、例えば、チョコクリームの場合は、カカオマス、フィリング用油脂、砂糖、乳糖、レシチン、香料、及び綿実油、米油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部またはコーン油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂等の原料を混合、ロール掛け、コンチングしてチョコレート生地を調製し、容器に充填した後、冷却固化することによりチョコクリームを得ることができる。また、市販のノンテンパー型チョコレート生地に綿実油、米油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂を配合し、冷却固化することでも本発明のチョコクリームを得ることができる。
本発明のチョコレート類には、綿実油、米油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部及びコーン油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂及びカカオ豆由来成分以外に通常のチョコレート類の製造時に用いられる公知の原料を配合することが出来る。具体的には砂糖、乳糖、粉乳、乳脂、テンパリング型カカオ代用脂、フィリング用油脂、レシチン、香料、乳化剤等の原料が例示出来るが、それらに限定されるものではない。綿実油、米油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油ステアリン部、米油ステアリン部及びーン油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂及びカカオ豆由来成分以外の原料は、本発明のチョコレート類に配合してもしなくてもかまわないが、配合する場合の配合量は合計で0.1〜70重量%の範囲が好ましく、10〜65重量%がより好ましく、15〜60重量%の範囲が最も好ましい。原料別に述べると、乳糖は含まなくてもよいが、含む場合は1〜30重量%の範囲が好ましい。粉乳は含まなくてもよいが、含む場合は1〜30重量%の範囲が好ましい。テンパリング型カカオ代用脂は含まなくてもよいが、含む場合は1〜30重量%の範囲が好ましい。フィリング用油脂は含まなくてもよいが、含む場合は1〜50重量%の範囲が好ましい。乳化剤は含まなくてもよいが、含む場合は0.1〜5重量%の範囲が好ましい。
本発明におけるチョコレート類に配合する綿実油、米油、コーン油に関しては、種子または胚芽より圧搾または圧搾抽出して精製したいわゆる白絞油でも構わないが、白絞油を脱ロウ処理(ウインターリング)して得られる液体油部分(いわゆるサラダ油)や固体脂部分(本発明ではこの部分をステアリン部と呼称する)も好適に使用できる。ウインターリングとは、油脂を5℃〜8℃に冷却し30〜40時間静置したのちろ過することで、液状部分のサラダ油と固形部分のステアリン部を得る工程をいう。本発明において、特にステアリン部を使用した場合、油性感(油っぽさ)が低減でき、風味向上効果が高まるので好ましい。ステアリン部の中では特に綿実油のステアリン部が好ましい。本発明に用いる綿実油ステアリン部は、沃素価70〜95が好ましく、80〜90がより好ましい。本発明に用いる米油ステアリン部は、沃素価55〜80が好ましく、65〜75がより好ましい。本発明に用いるコーン油ステアリン部は、沃素価80〜105が好ましく、90〜100がより好ましい。
本発明にいうヨウ素価とは、油脂100gに付加するヨウ素のグラム数である。ヨウ素価が大きい油脂ほど、構成脂肪酸中の不飽和結合の数が多くなる。
<ヨウ素価の測定方法>
基準油脂分析試験法(2.3.4.1−1996)に準拠して、ウィイス法により測定した。
チョコレート類に、綿実油、米油、コーン油、ゴマ油の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂を配合するその配合量は、通常の精製処理(脱酸脱色脱臭もしくは脱色脱臭)が施された精製油を使用する場合は、1重量%以上であることが好ましく、2重量%以上であることが更に好ましく、3重量%以上であることが最も好ましい。配合量が規定量より少ない場合は風味向上効果が得られない。チョコレート類に、綿実油、米油、コーン油、ゴマ油の中から選ばれた少なくとも1種類の精製油を配合するその配合量の上限は、目的のチョコレート類に必要とされる物性を損なわない範囲で、菜種油等と比較して風味向上効果が得られる範囲であれば特に制限されないが、目安としては、ハードチョコレートの場合12重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることが最も好ましい。またソフトチョコレートの場合23重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好まく、15重量%以下であることが更に好ましく、12重量%以下であることが最も好ましい。
また、チョコレート類に、オリーブ油を配合するその配合量は、0.3重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることが更に好ましい。配合量が規定量より少ない場合はオリーブ油による風味向上効果が得られない。また、配合量の上限に関しては、目的のチョコレート類に必要とされる物性を損なわない範囲で、風味向上効果が得られる範囲であれば特に制限されないが、12重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく5パーセント以下であることが更に好ましい。配合量が過多の場合、オリーブ油の風味が前面に出すぎるので向上効果が乏しくなる。
本発明におけるチョコレート類に配合するオリーブ油に関しては、オリーブの果肉を圧搾して得た油を通常の精製処理した精製オリーブ油でも構わないが、搾ったものを遠心分離や静置して滓を取り除いたのみのバージンオリーブオイルやバージンオリーブオイルと精製オリーブ油とを混合したピュアオリーブオイルが風味向上効果の点でより好ましい。特にバージンオリーブオイルの中でも官能検査や酸度の違いから更に細分化された高級品であるエキストラバージンオリーブオイル(酸度0.8%以下)が最も好ましい。
本発明におけるチョコレート類に配合するゴマ油に関しては特に精製、非精製を問わずに用いる事が出来るが、その中でも風味ゴマの種子を焙煎せずに圧搾して得た油脂を精製処理した精製ゴマ油(太白ゴマ油)が風味向上効果の点で好ましい。
本発明におけるチョコレート類に配合する、綿実油、米油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油の中から選ばれた少なくとも1種類の油脂は、ブレンドや分別(含むウインターリング)またはエステル交換の処理を単独または複合して施されていても構わないが、硬化処理(水素添加処理)は施されていないことが好ましい。硬化(水素添加)処理された油脂は独特の風味が付与され、チョコレート類の風味向上効果を阻害するので好ましくない。本発明におけるチョコレート類中の硬化処理された油脂の配合量は、3%以下が好ましく、1%以下が最も好ましい。チョコレート類中の硬化処理された油脂の配合量が3%より多い場合は、硬化油の風味が付与され、チョコレート類の風味向上効果を阻害するので好ましくない。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
以下において、「%」とは、特別な記載がない場合、重量%を示す。
以下の実施例においては、菜種油は日清オイリオグループ株式会社製「日清キャノーラ油」、大豆油は日清オイリオグループ株式会社製「日清大豆サラダ油(S)」、綿実サラダ油は日清オイリオグループ株式会社製「日清サラダ油クリーム」、綿実油ステアリン部は日清オイリオグループ株式会社社内製(沃素価88、ウインターリング条件:5℃、33時間)、コーンサラダ油は日清オイリオグループ株式会社製「日清コーン油」、コーン油ステアリン部は日清オイリオグループ株式会社社内製(沃素価96、ウインターリング条件:5℃、35時間)、米サラダ油は日清オイリオグループ株式会社製「日清おいしい米油」、米油ステアリン部は日清オイリオグループ株式会社社内製(沃素価71、ウインターリング条件:5℃、35時間)、精製ゴマ油は「日清太白ごま油」、オリーブ油は日清オイリオグループ株式会社製「ボスコ エキストラバージン・オリーブオイル」、綿実硬化油は日清オイリオグループ株式会社社内製「綿実硬化油」(融点36℃、ヨウ素価65)を用いた。
チョコレートの製造においては、カカオマスは明治製菓製「カカオマス」、ココアバターは大東カカオ製「ココアバター」、ココアパウダーはVAN HOUTEN製「VAN HOUTEN COCOA」、砂糖は愛国産業(株)「全糖」、全粉乳はタカナシ乳業製「全粉乳」、乳糖はLEPRINO FOODS製「LACTOSE」、テンパリング型カカオ代用脂はISF製「CHOCOMATE3100」、フィリング用油脂は日清オイリオグループ製「ロイヤルショートL MF用」、レシチンは日清オイリオグループ製「レシチンDX」、香料はGivaudan製「バニラフレーバー」を用いた。
また、実施例1〜5、7、12、17〜23、30〜36は参考例である。
〔試験例1〕
表1に示す配合の油性組成物を、チョコレート製造の常法により混合、ロール掛け、コンチングして溶融状態の生地を調製し、テンパリングしたのち、型板に流し込み、冷却固化させた。固まったチョコレートを型板から取り出し、20℃で1週間静置して各試験用板チョコレートを得た。表1中の試験油脂として、実施例1は綿実サラダ油、実施例2はコーンサラダ油、実施例3は米サラダ油、実施例4は精製ゴマ油、実施例5はオリーブ油、比較例1は菜種サラダ油、比較例2は大豆サラダ油を用いた。表1中のカカオ豆由来成分とは、配合中のカカオ由来原料、すなわち、カカオマス、ココアバター、ココアパウダーの総和をあらわしている。なお、試験油脂の部分を全てココアバターとしたものを風味標準品1として調製した。
Figure 0005398121
実施例1〜5、比較例1、2から得られたチョコレートを5名の専門家パネラーで官能評価を行った。官能評価は、風味標準品1を基準として、実施例1〜5、比較例1、2をそれぞれ基準と比較して行い、各項目について強い(高い)と感じたパネラーの数を集計した。嗜好性の評価において、嗜好性が高いと判断したパネラーの数が2以上の場合、風味向上効果ありと判断した。官能評価の結果を表2に示す。
Figure 0005398121
綿実サラダ油、コーンサラダ油、米サラダ油、精製ゴマ油、オリーブ油をそれぞれ配合した実施例1〜5のチョコレートは比較例1、2に比べて嗜好性が高いと答えたパネラーが多く、従来にない風味の向上効果があった。菜種サラダ油、大豆サラダ油を用いた比較例1、2は風味の向上効果が乏しく、油性感が強かった。
〔試験例2〕
試験例1と同様の配合で、試験油脂として実施例6は綿実油ステアリン部、実施例7はコーン油ステアリン部、実施例8は米油ステアリン部を用いて、試験例1と同様に実施例と風味標準品1の板チョコレートを製造した。実施例1〜3、実施例6〜8で得られたチョコレートを試験例1と同様に風味標準品1を基準として官能評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005398121
綿実サラダ油、コーンサラダ油、米サラダ油をそれぞれ使用した実施例1〜3及び綿実油ステアリン部、コーン油ステアリン部、米油ステアリン部をそれぞれ使用した実施例6〜8は風味標準品1に比べて嗜好性が高いと答えたパネルが多かった。実施例6〜8のステアリン部を使用したものは、実施例1〜3に対応するそれぞれのサラダ油に比べて、更に油性感が少なく、更に好ましい向上効果があった。ステアリン部の中でも特に綿実油ステアリン部、米油ステアリン部の向上効果が最も優れていた。
〔試験例3〕
表4に示す配合で比較例3と風味標準品2、表5に示す配合で実施例9と風味標準品3、表6に示す配合で実施例10と風味標準品4、表7に示す配合で実施例11と風味標準品5の板チョコレートを製造した。比較例3を風味標準品2、実施例9を風味標準品3、実施例10を風味標準品4、実施例11を風味標準品5とそれぞれ比較して5名の専門家パネラーで官能評価を行い、風味嗜好性が高いと判断したパネラーの数を集計した。評価の結果を表8に示す。
Figure 0005398121
Figure 0005398121
Figure 0005398121
Figure 0005398121
Figure 0005398121
チョコレート中にカカオ豆由来成分が30%、20%、10%の配合において対応する風味標準品と比較して嗜好性が高いとしたパネラーの数が多いことから、風味の向上効果が認められた。チョコレート中のカカオ豆由来成分が5%の配合において風味標準品と比較して嗜好性が高いとしたパネラーの数が0であったことから、風味向上効果が認められなかった。チョコレート中のカカオ豆由来成分が10%、20%、30%の中では20%、30%で特に風味向上効果が高かった。
〔試験例4〕
表9に示す配合を基準として、テンパリング型カカオ代用脂の一部を綿実油ステアリン部またはオリーブ油に置き換え、板チョコレートを製造した(実施例12〜22、比較例4、5)。また置換率0%のものを風味標準品6として製造した。各置換率の板チョコレートについて風味標準品6を基準として5名の専門家パネラーで官能評価を行い、風味嗜好性が高いと判断したパネラーの数を集計した。評価の結果を表10(綿実油ステアリン部で置換)及び表11(オリーブ油で置換)に示す。なお、置換率13%以上では物性上の問題から製造が困難(板チョコ状の成型が困難)であった。
Figure 0005398121
Figure 0005398121
綿実油ステアリン部の置換率1%のチョコレートは風味標準品6と比較して嗜好性が高いとしたパネラーの数は2であったことから、嗜好性が向上した。綿実油ステアリン部の置換率3%、5%、7%、10%のチョコレートは殆どのパネラーが風味標準品6よりも嗜好性が高いと答えたことから、顕著に嗜好性が向上した。精製油である綿実油ステアリン部の場合、置換率が高いほど嗜好性は高まった。
Figure 0005398121
オリーブ油の置換率0.1%のチョコレートは、嗜好性の向上効果は認められなかった。オリーブ油の置換率0.5%、1%、3%、5%のチョコレートは殆どのパネラーが風味標準品よりも嗜好性が高いと答えたことから、顕著に嗜好性が向上した。オリーブ油の置換率7%、10%では嗜好性の向上効果が認められた。非精製油であるバージンオリーブオイルの場合、置換率が高くなり過ぎると嗜好性向上効果がやや落ちる(オリーブの風味が前面に出てややくどくなる)傾向にある。
〔試験例5〕
表12に示す配合を基本配合とし、フィリング用油脂の一部を綿実油ステアリン部またはオリーブ油に置き換え、ソフトチョコレートを製造した(実施例23〜36、比較例6〜9)。また比較対照用として同様の置換率でフィリング用油脂を菜種油に置き換えたソフトチョコレートをそれぞれの置換率での風味標準品7(ソフトチョコレートの物性を合わせるために風味標準品7は菜種油で置き換えて調製)として製造した。各置換率のソフトチョコレートについてそれぞれに対応する風味標準品7を基準として5名の専門家パネラーで官能評価を行い、風味嗜好性が高いと判断したパネラーの数を集計した。評価の結果を表13(綿実油ステアリン部で置換)及び表14(オリーブ油で置換)に示す。
Figure 0005398121
Figure 0005398121
綿実油ステアリン部の置換率が3%、5%、7%、10%、13%、15%の場合、嗜好性の向上効果が顕著に認められた。綿実油ステアリン部の配合量が1%、20%の場合、嗜好性向上効果が認められた。精製油である綿実油ステアリン部の場合、配合量が0.5%もしくは25%では嗜好性向上の効果は殆ど認められなかった。
Figure 0005398121
オリーブ油の置換率が0.1%の場合、嗜好性向上効果は殆ど認められなかった。オリーブ油の置換率が0.5%、1%、3%、5%の場合、嗜好性の向上効果が顕著に認められた。オリーブ油の置換率が7%、10%の場合、嗜好性向上効果が認められた。オリーブ油の置換率が15%の場合、嗜好性向上効果は殆ど認められなかった。非精製油であるバージンオリーブオイルの場合、置換率が0.1%では向上効果が見られず、15%では嗜好性向上効果が落ちる(くどくなる)傾向にあった。
〔試験例6〕
試験例1と同様の配合で、試験油脂として綿実油ステアリン部5%を添加した実施例6と、実施例6の綿実油ステアリン部5%に代わりに綿実硬化油5%を添加した比較例10について、試験例1と同様に板チョコレートを製造した。試験例1の風味標準品1を基準として5名の専門家パネラーで官能評価を行い、風味嗜好性が高いと判断したパネラーの数を集計した。評価の結果を表15に示す。
Figure 0005398121
比較例10は水素添加した油脂に特有の水添臭が強く、チョコレートの風味が損なわれる結果が得られた。硬化油(水素添加油)は使用しない方が好ましい。

Claims (2)

  1. 米油ステアリン部及び綿実油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種以上の油脂を3〜12重量%含み、且つカカオ豆由来成分を9〜75重量%含む事を特徴とするチョコレート類。
  2. 米油ステアリン部及び綿実油ステアリン部の中から選ばれた少なくとも1種以上の油脂を3〜15重量%含み、且つカカオ豆由来成分を9〜60重量%含む事を特徴とするソフトチョコレート。
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