JP5383232B2 - 固体電解質型燃料電池の発電膜及びこれを備える固体電解質型燃料電池 - Google Patents
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Description
本発明の燃料側電極は、固体電解質側の第1層が、NiOとCe1−xGdxO2またはCe1−xTmxO2(0.03≦x≦0.5)との混合物を含む層とされる。これにより、分極抵抗が低減される。また、第1層上に、Ce1−xGdxO2またはCe1−xTmxO2よりも還元雰囲気における導電率(電子伝導率)が高い酸化物とNiOとの混合物を含む第2層が形成される。これにより、燃料側電極全体の導電性を向上させることができる。上述の2層構成の燃料側電極によると、反応活性を向上させることができる。
本発明の発電膜は、分極抵抗が低減されて高い反応活性が得られるとともに、高い導電性を示す。従って、上述の発電膜を備える固体電解質型燃料電池では、発電特性が大幅に向上する。
図2は、本実施形態に係る固体電解質型燃料電池の発電膜の断面図である。図2の発電膜10において、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)からなる平板状の固体電解質1の一方の面に、ランタンストロンチウムマンガン酸化物(La(1−y)Sry)zMnO3(LSM)とYSZとのコンポジットからなる空気側電極3が形成される。固体電解質1の他方の面には、固体電解質1側から順に、第1層2a及び第2層2bが積層された燃料側電極2が形成される。
いずれの元素をドーパントとしても、YSZより導電率が向上した。GdまたはTmをドーパントとした場合に、特に高い導電率が得られた。
酸化雰囲気(空気)中の導電率は酸素イオン伝導が主体であり、還元雰囲気(水素ガス)中の導電率は電子伝導が主体である。電極特性の観点から、酸化雰囲気及び還元雰囲気の両方の導電率が高いほど、反応活性が高くなる。図3に示すように、酸化雰囲気中での導電率は、Gd量x=0.03から急激に増大した後、徐々に増加した。x=0.3以上では、ほぼ一定となった。還元雰囲気中での導電率は、x=0.05まではGd量増加に伴い増加し、x=0.05を超えると徐々に減少した。図3の結果から、酸化雰囲気及び還元雰囲気のいずれにおいても高い伝導率を得るためには、Ce1−xGdxO2で表される化合物におけるGd量は0.03≦x≦0.5、好ましくは0.03≦x≦0.1とされる。
表1に示すように、Ce0.8Gd0.2O2及びCe0.8Tm0.2O2の導電率は、それぞれ1.6S/cm、1.1S/cmである。電極材料として好適な導電率は100S/cm以上必要であることから、上述のドープセリア化合物のみでは導電率が不十分である。そこで、還元雰囲気で高い電子伝導性を有する高導電性酸化物とNiOとの混合物を含む第2層を形成することにより、燃料側電極全体の導電率を向上させる。
上記高導電性酸化物は、Niと比較すると電子導電性に劣る。そのため、第2層中の高導電性酸化物の割合が多いと、分極抵抗が大きくなり、固体電解質型燃料電池としたときの発電性能が低下する。従って、NiOと高導電性酸化物との混合比は、質量比で40:60から80:20、好ましくは、60:40から70:30の範囲内とされる。
固体電解質として、10mol%Sc2O3−1mol%CeO2安定化ジルコニア平板(直径30mm、厚さ200μm)を作製した。固体電解質の片面に、LSM(La0.8Sr0.2MnO3)/YSZ(8mol%Y2O3安定化ジルコニア)=80:20(質量比)の混合粉末と溶媒(エタノール)との混合液を、直径10mmの大きさで塗布した。その後、1300℃、4時間の条件で焼成し、空気側電極を形成したハーフセルを作製した。
第1層乾燥後、NiO:SLT(ランタンドープストロンチウムチタネート、Sr0.7La0.3TiO3)=70:30(質量比)の混合粉末と溶媒(エタノール)との混合液を、直径10mmの大きさで第1層上に塗布し、燃料側電極の第2層を形成した。なお、乾燥後の第2層膜厚が50μmとなるように、塗布量を調整した。
第2層乾燥後、固体電解質を1250℃、4時間の条件で焼成し、実施例1の発電膜を得た。
実施例1と同様の条件で、固体電解質に空気側電極、及び、燃料側電極の第1層を形成した。
第1層乾燥後、NiO:LSC(ストロンチウムドープランタンクロマイト、La0.7Sr0.3CrO3)=70:30(質量比)の混合粉末と溶媒(エタノール)との混合液を、直径10mmの大きさで第1層上に塗布し、燃料側電極の第2層を形成した。なお、乾燥後の第2層膜厚が50μmとなるように、塗布量を調整した。
第2層乾燥後、固体電解質を1250℃、4時間の条件で焼成し、実施例2の発電膜を得た。
実施例1と同様の条件で、ハーフセルを作製した。
固体電解質の空気側電極と反対側の面に、NiO:YSZ=70:30(質量比)の混合粉末と溶媒(エタノール)との混合液を、直径10mmの大きさで塗布し、燃料側電極を形成した。なお、乾燥後の燃料側電極の膜厚が80μmとなるように、塗布量を調整した。
燃料側電極乾燥後、固体電解質を1300℃、4時間の条件で焼成し、比較例の発電膜を得た。
実施例1と同様の条件で、ハーフセルを作製した。
燃料側電極用材料として、粒径0.1μmのCe1−xGdxO2(x=0〜0.5)粉末を粉末混合法により合成した。各組成のGDCについて、NiO:GDC=50:50(質量比)の混合粉末を調整した。固体電解質の空気側電極と反対側の面に、各混合粉末と溶媒(エタノール)との混合液を、直径10mmの大きさで塗布し、燃料側電極の第1層を形成した。なお、乾燥後の第1層膜厚が10μmとなるように、塗布量を調整した。
第1層乾燥後、実施例1と同様にして第2層を形成した。その後、実施例1と同様の条件で固体電解質を焼成し、各発電膜を得た。
第1層の燃料側電極材料をCe1−xTmxO2(x=0〜0.5)とした以外は、実施例3と同様にして各発電膜を得た。
実施例1と同様にして、ハーフセルを作製した。
燃料側電極用材料として、粒径0.1μmのCe0.95Gd0.05O2粉末を粉末混合法により合成した。NiOと上記組成のGDC粉末とを、質量比で10:90〜80:20の割合で混合した混合粉末を調整した。固体電解質の空気側電極と反対側の面に、各混合比の混合粉末と溶媒(エタノール)との混合液を、直径10mmの大きさで塗布し、燃料側電極の第1層を形成した。なお、乾燥後の第1層膜厚が10μmとなるように、塗布量を調整した。
第1層乾燥後、実施例1と同様にして第2層を形成した。その後、実施例1と同様の条件で固体電解質を焼成し、各発電膜を得た。
NiOとSLT(Sr0.7La0.3TiO3)とを、質量比で20:80〜80:20の割合で混合した混合粉末を調整した。各混合比の混合粉末を(幅4mm、長さ20mm、高さ3mmの直方体)に成形し、1500℃4時間の条件で焼結して、導電率測定用試料を得た。
NiOとYSZとを、質量比16.2:83.8〜63.5:36.5の割合で混合した混合粉末を調整した。各混合比の混合粉末を(幅4mm、長さ20mm、高さ3mmの直方体)に成形し、1500℃4時間の条件で焼結して、導電率測定用試料を得た。
2 燃料側電極
2a 第1層
2b 第2層
3 空気側電極
4,5 導電性接合材
6,7 インターコネクタ
10 発電膜
Claims (4)
- 固体電解質と、該固体電解質の一側に設けられた空気側電極と、他の側に設けられた燃料側電極とを有する固体電解質型燃料電池の発電膜であって、
前記燃料側電極が、前記固体電解質側から順に、
NiOと、Ce1−xLnxO2(Ln:GdまたはTm、0.03≦x≦0.5)との混合物を含む第1層と、
NiOと、還元雰囲気において前記Ce1−xLnxO2よりも高い導電性を有する高導電性酸化物との混合物を含む第2層と
を備え、
前記高導電性酸化物が、ランタンドープストロンチウムチタネート及びストロンチウムドープランタンクロマイトの少なくとも一方である固体電解質型燃料電池の発電膜。 - 前記NiOと前記Ce1−xLnxO2との混合比が、質量比で20:80から60:40の範囲内である請求項1に記載の固体電解質型燃料電池の発電膜。
- 前記NiOと前記高導電性酸化物との混合比が、質量比で40:60から80:20の範囲内である請求項1に記載の固体電解質型燃料電池の発電膜。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発電膜を備える固体電解質型燃料電池。
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