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JP5354345B2 - 変倍光学系、この変倍光学系を備えた光学機器 - Google Patents

変倍光学系、この変倍光学系を備えた光学機器 Download PDF

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JP5354345B2 JP2009001423A JP2009001423A JP5354345B2 JP 5354345 B2 JP5354345 B2 JP 5354345B2 JP 2009001423 A JP2009001423 A JP 2009001423A JP 2009001423 A JP2009001423 A JP 2009001423A JP 5354345 B2 JP5354345 B2 JP 5354345B2
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Description

本発明は、変倍光学系、この変倍光学系を備えた光学機器に関する。
従来、写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した変倍光学系が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また近年、上記のような写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した変倍光学系に対しては、光学性能を損なう要因の一つであるゴーストやフレアに関する要求も厳しさを増しており、そのためレンズ面に施される反射防止膜にもより高い性能が要求され、要求に応えるべく多層膜設計技術や多層膜成膜技術も進歩を続けている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2006−201524号公報 特開2000−356704号公報
従来、変倍光学系に対しては、より高画質化を図るため、手ぶれ補正機構を備えることが望まれている。また、これに加えて、従来の変倍光学系では、光学面から光学性能に影響を与えるゴーストやフレアとなる反射光が発生しやすいという問題もあった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、手ぶれ補正機構を備えつつ、ゴースト、フレアをより低減させることができる高い光学性能を備えた変倍光学系、この変倍光学系を備えた光学機器を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、第1の本発明に係る変倍光学系は、物体側から順に並んだ、第1レンズ群〜第nレンズ群(n5)からなり、前記第1レンズ群は正の屈折力を有し、変倍に際し、各レンズ群間隔が変化するとともに、前記第1レンズ群と前記第nレンズ群とが固定されており、合焦に際し、前記第2レンズ群と前記第(n−1)レンズ群との間に配置された少なくとも一つのレンズ群が移動し、前記第nレンズ群の少なくとも一部が光軸と直交方向の成分を持つように移動するとともに、前記第nレンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜を設け、前記反射防止膜は、複数層から構成され、そのうちの少なくとも1層がウェットプロセスにより形成され、前記ウェットプロセスを用いて形成された層は、d線に対する屈折率をndとしたとき、次式nd≦1.30の条件を満足する
なお、第1の本発明に係る変倍光学系は、前記第(n−1)レンズ群の焦点距離をfGn-1とし、全系の焦点距離をfwとしたとき、次式0.5<|fGn-1|/fw<5.0の条件を満足することが好ましい。
第2の本発明に係る変倍光学系は、物体側より順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とからなり、変倍に際し、各レンズ群間隔が変化するとともに、前記第1レンズ群は固定されており、合焦に際し、前記第3レンズ群が移動し、前記第5レンズ群の少なくとも一部が光軸と直交方向の成分を持つように移動するとともに、前記第5レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜を設け、前記反射防止膜は、複数層から構成され、そのうちの少なくとも1層がウェットプロセスにより形成され、前記ウェットプロセスを用いて形成された層は、d線に対する屈折率をndとしたとき、次式nd≦1.30の条件を満足する
また、上記の変倍光学系において、前記反射防止膜は多層膜であり、前記多層膜の最表面層は、前記ウェットプロセスを用いて形成された層であることが好ましい。
また、上記の変倍光学系において、変倍に際し、前記第5レンズ群は固定されていることが好ましい。
また、第2の本発明に係る変倍光学系において、前記第4レンズ群の焦点距離をfGn-1とし、全系の焦点距離をfwとしたとき、次式0.5<|fGn-1|/fw<5.0の条件を満足することが好ましい。
また、上記の変倍光学系において、前記第4レンズ群は、1つのレンズ成分からなることが好ましい。
また、上記の変倍光学系において、前記第4レンズ群は、1つの負メニスカスレンズからなることが好ましい。
また、本発明に係る光学機器(本実施形態では電子スチルカメラ1)は、上記変倍光学系のいずれかを備える。
本発明によれば、手ぶれ補正機構を備えつつ、ゴースト、フレアをより低減させることができる高い光学性能を備えた変倍光学系、この変倍光学系を備えた光学機器を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る変倍光学系は、物体側から順に並んだ、第1レンズ群〜第nレンズ群(n≧5)を有して構成される。なお、本実施形態において、レンズ群は5群構成であり(n=5)、第nレンズ群Gnは第5レンズ群G5を示す。
よって、本変倍光学系ZL(ZL1)は、図1に示すように、物体側から順に第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5を、具体的には、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを有して構成される。この構成により、鏡筒全体の小型化が達成できる。
本実施形態において、変倍光学系ZLは、変倍に際して、すなわち広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、第1レンズ群G1が固定されていることが好ましい。この構成により、ズーム機構の簡略化に有利となる。
また、変倍光学系ZLは、変倍に際し、すなわち広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、第5レンズ群G5は固定されていることが好ましい。この構成により、変倍光学系ZLのズーム機構を簡略化することができる。なお、第5レンズ群G5中又は第5レンズ群G5の近傍に開口絞りSを配置し、上記のように広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、第5レンズ群G5とともに開口絞りSを固定とすることにより、Fナンバーを一定とすることができる。
もしくは、変倍光学系ZLは、変倍に際し、すなわち広角端状態から望遠端状態までレンズ位置状態が変化する際に、第1レンズ群G1と第nレンズ群Gn(本実施形態においては第5レンズ群G5)とが固定されていることが好ましい。この構成により、変倍光学系ZLの全長を一定に保つことができる。
また、変倍光学系ZLは、遠距離物体から近距離物体への合焦に際し、第2レンズ群G2と第(n−1)レンズ群Gn-1との間に配置された、少なくとも一つのレンズ群(本実施形態においては第3レンズ群G3)を移動させることが好ましい。このようなレンズ群は、他のレンズ群に比べてレンズ枚数が少なく且つ外径が小さく合焦を行うのに適している。この構成により、合焦による全長変化もなく、近距離物体撮影時にも良好な光学性能を得ることができる。
また、変倍光学系ZLは、第nレンズ群Gn(本実施形態においては第5レンズ群G5)の少なくとも一部を光軸と直交方向の成分を持つように移動させて、手振れ補正を行うことが好ましい。この構成により、手振れ補正機構の小型化・軽量化を図ることができる。なお、光軸と直交方向の成分を持つような移動とは、光軸に対して直交方向に移動する他、光軸に対して斜め方向に移動したり、光軸上の一点を回転中心として揺動したりすることも含まれる。
また、変倍光学系ZLは、第nレンズ群Gn(本実施形態においては第5レンズ群G5)における光学面のうち少なくとも1面に、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜が施されている。本変倍光学系ZLに施される反射防止膜は多層膜であり、この多層膜の最表面層はウェットプロセスを用いて形成された層であることが好ましい。この構成により、空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
なお、変倍光学系ZLでは、ウェットプロセスを用いて形成された層のd線(波長587.6nm)における屈折率をndとしたとき、次式nd≦1.30の条件を満足することが好ましい。この条件式を満足することで、空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
また、反射防止膜は、ウェットプロセスに限らず、(ドライプロセス等により)屈折率が1.30以下となる層を少なくとも1層含むようにしてもよい。このように構成しても、ウェットプロセスを用いた場合と同様の効果を得ることができる。なおこの時、屈折率が1.30以下になる層は、多層膜を構成する層のうち最表面層であることが望ましい。
また、上記のように変倍光学系ZLが第1レンズ群G1〜第nレンズ群Gnを有する場合、第(n−1)レンズ群Gn-1の焦点距離をfGn-1とし、全系の焦点距離をfwとしたとき、次式(1)を満足することが好ましい。なお、本実施形態においては、上記のようにレンズ群が5群構成であるため(n=5)、第(n−1)レンズ群Gn-1は第4レンズ群G4を示し、焦点距離fGn-1は第4レンズ群G4の焦点距離を示す。
0.5<|fGn-1|/fw<5.0 …(1)
上記条件式(1)は、本変倍光学系ZL全系の焦点距離に対する、第(n−1)レンズ群Gn-1(本実施形態では第4レンズ群G4)の焦点距離を規定するものである。この条件式(1)の上限値を上回ると、第4レンズ群G4の屈折力が弱くなり、変倍における球面収差の変動を抑えることが困難となるため好ましくない。反対に、条件式(1)の下限値を下回ると、第4レンズ群G4の屈折力が強くなり、色収差の補正が困難となる。また、製造誤差による偏心で発生する偏心コマ収差の量が多くなるため好ましくない。
なお、条件式(1)の上限値を3.5とすることが好ましい。また、下限値を1.5とすることが好ましい。この構成により、本実施形態の効果をより確実なものにすることができる。
また、変倍光学系ZLにおいて、第4レンズ群G4は、1つのレンズ成分からなることが好ましい。この構成により、製造誤差による偏心で発生する偏心コマ収差や像面のタオレを緩和することができる。
また、この場合、第4レンズG4群は、1つの負メニスカスレンズからなることが好ましい。この構成により、望遠端状態における球面収差と色収差を効果的に補正することができる。
図17及び図18に、上記の変倍光学系ZLを備えた光学機器として、電子スチルカメラ1(以後、単にカメラと記す)の構成を示す。このカメラ1は、不図示の電源ボタンを押すと撮影レンズ(変倍光学系ZL)の不図示のシャッタが開放され、変倍光学系ZLで不図示の被写体からの光が集光され、像面Iに配置された撮像素子C(例えば、CCDやCMOS等)に結像される。撮像素子Cに結像された被写体像は、カメラ1の背後に配置された液晶モニター2に表示される。撮影者は、液晶モニター2を見ながら被写体像の構図を決めた後、レリーズボタン3を押し下げ被写体像を撮像素子Cで撮影し、不図示のメモリーに記録保存する。
このカメラ1には、被写体が暗い場合に補助光を発光する補助光発光部4、変倍光学系ZLを広角端状態(W)から望遠端状態(T)にズーミングする際のワイド(W)−テレ(T)ボタン5、及び、カメラ1の種々の条件設定等に使用するファンクションボタン6等が配置されている。なお、このカメラ1は、ハーフミラー、焦点板、ペンタプリズム、接眼光学系などを備える、いわゆる一眼レフカメラとしてもよい。また、変倍光学系ZLは、一眼レフカメラに着脱可能な交換レンズに備えられるものとしてもよい。
なお、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
本実施形態においては5群構成の変倍光学系ZLを示したが、これに限定されず、6群、7群等の他の群構成にも適用可能である。具体的には、最も物体側に正の屈折力を有する少なくとも1つのレンズを追加した構成や、最も像側に正の屈折力または負の屈折力を有する少なくとも1つのレンズを追加した構成や、第2レンズ群G2と第5レンズ群G5との間に3つ以上のレンズ群を配置した構成が挙げられる。
また、本実施形態においては第3レンズ群G3を合焦に用いる場合について説明したが、この第3レンズ群G3に限らず、単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としてもよい。この場合、合焦レンズ群はオートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モーター等の)モーター駆動にも適している。特に、上記のように第3レンズ群G3を合焦レンズ群とするのが好ましいが、第4レンズ群G4で合焦してもよい。
また、本実施形態において、変倍光学系ZLは、レンズ面を非球面としても構わない。このとき、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしてもよい。
また、本実施形態において、開口絞りSは上述したように第5レンズ群G5の近傍または第5レンズ群G5中に配置されるのが好ましいが、開口絞りSとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用してもよい。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、35mmフィルムサイズ換算での焦点距離が広角端状態で60〜80mm程度であり、また、望遠端状態で180〜400mm程度であり、変倍比が2〜5程度である。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第1レンズ群G1が、少なくとも正のレンズ成分を2つと負のレンズ成分を1つ有するのが好ましい。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、負正正の順番にレンズ成分を配置するのが好ましい。また、これら正のレンズ成分が全て単レンズであるのが好ましい。また、負のレンズ成分は接合レンズであるのが好ましい。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第2レンズ群G2が、少なくとも正のレンズ成分を1つと負のレンズ成分を2つ有するのが好ましい。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、負負正の順番にレンズ成分を配置するのが好ましい。また、2番目と3番目のレンズ成分を貼り合わせるのがよい。さらに、第2レンズ群G2の最も像面側に負のレンズ成分を追加してもよい。
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第3レンズ群G3が、少なくとも正のレンズ成分を1つと負のレンズ成分を1つ有するのが好ましい。また、第3レンズ群G3は1つの接合レンズから構成してもよい。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、第5レンズ群G5は、正負正の部分レンズ群(具体的には、物体側より順に並んだ、第5a部分レンズ群G5a、第5b部分レンズ群G5b、第5c部分レンズ群G5c)を有し、第5b部分レンズ群G5bを光軸と直交方向に移動させることにより手振れ補正(防振)することができる。この構成により、変倍光学系ZLの径を小さくすることができる。なお、第5a部分レンズ群G5aは少なくとも1つの正のレンズ成分を有し、第5b部分レンズ群G5b群は少なくとも1つの接合レンズを有し、第5c部分レンズ群G5cは少なくとも負正1つずつのレンズ成分を有するのがよい。
なお、本発明を分かり易く説明するために実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
以下、各実施例について図面に基づき説明する。第1実施例〜第3実施例のいずれにおいても、変倍光学系ZL(ZL1〜ZL3)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成される。なお、第5レンズ群G5は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第5a部分レンズ群G5aと、負の屈折力を有する第5b部分レンズ群G5bと、正の屈折力を有する第5c部分レンズ群G5cとから構成される。そして、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1及び第5レンズ群G5を像面Iに対して固定させた状態で、第3レンズ群G3を光軸に沿って移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。さらに、第5レンズ群G5を構成する第5b部分レンズ群G5bを光軸と直交方向に移動させることにより、手ぶれ補正(防振)を行う。
以下に、表1〜表3を示すが、これらには第1実施例〜第3実施例における各諸元の値を掲げている。[全体諸元]において、fは全系の焦点距離を、FNOはFナンバーを、2ωは画角を、Bfはバックフォーカスを示す。また、[レンズデータ]においては、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序を、rは各レンズ面の曲率半径を、dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔を、νdはd線(波長587.6nm)に対するアッベ数を、ndはd線に対する屈折率を、Bfは最終面から像面Iまでの光軸上の距離(バックフォーカス)を示す。なお、曲率半径の「0.0000」は平面又は開口を示す。また、空気の屈折率「1.00000」の記載は省略している。また、[可変間隔データ]においては、変倍光学系ZL(ZL1〜ZL3)の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔データ及び全長を挙げ、d1は第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔を、d2は第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔を、d3は第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔を、d4は第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔を示す。なお、いずれの実施例においても、軸上空気間隔d1〜d4は変倍に際して変化している。[レンズ群焦点距離データ]において、各群の焦点距離を示す。[条件式対応値]において、上記の条件式(1)に対応する値を示す。なお、以下の実施例においては、fGn-1は第4レンズ群G4の焦点距離を、fwは変倍光学系ZL(ZL1〜ZL3)全系の焦点距離を示すものとする。
なお、表中において、焦点距離f、曲率半径r、面間隔d、その他の長さの単位は、一般に「mm」が使われている。但し、光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、単位は「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることが可能である。
以上の表の説明は、他の実施例においても同様とし、その説明を省略する。
(第1実施例)
第1実施例について、図1〜図6及び表1を用いて説明する。図1は、第1実施例に係る変倍光学系ZL1のレンズの構成を示す断面図、及び、広角端状態(W)から中間焦点距離状態(M)を経て望遠端状態(T)への焦点距離状態の変化における各レンズ群の移動の様子を示す。図1に示す、第1実施例に係る変倍光学系ZL1において、第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12との接合レンズ、両凸レンズL13、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14から構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、両凹レンズL22と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23との接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24から構成される。
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と両凸レンズL32との接合レンズ、及び、両凸レンズL33から構成される。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL41から構成される。
第5レンズ群G5において、第5a部分レンズ群G5aは、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL51と両凸レンズL52との接合レンズから構成され、第5b部分レンズ群G5bは、物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL53と両凹レンズL54との接合レンズから構成され、第5c部分レンズ群G5cは、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL55と両凸レンズL56との接合レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL57、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL58から構成される。
開口絞りSは、第5レンズ群G5の最も物体側に位置し、第5a部分レンズ群G5aに含まれる。
なお、全系の焦点距離がfで、防振係数(振れ補正での移動レンズ群の移動量に対する結像面での像移動量の比)がKのレンズで角度θの回転振れを補正するには、振れ補正用の移動レンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交方向に移動させればよい(この関係は、以降の実施例においても同様である)。第1実施例の広角端状態においては、防振係数は1.20であり、焦点距離は71.4(mm)であるので、0.40°の回転ぶれを補正するための第5b部分レンズ群G5bの移動量は0.42(mm)である。また、第1実施例の望遠端状態においては、防振係数は1.20であり、焦点距離は196.0(mm)であるので、0.30°の回転ぶれを補正するための第5b部分レンズ群G5bの移動量は0.86(mm)である。
以下の表1に、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の各諸元の値を掲げる。表1における面番号1〜35は、図1に示す面1〜35に対応している。
(表1)
[全体諸元]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f =71.40 〜 135.00 〜 196.00
FNO = 2.90 〜 2.90 〜 2.90
ω =17.118 〜 8.939 〜 6.137
Bf =58.11630
[レンズ諸元]
面番号 r d νd nd
1 207.2519 2.0000 32.35 1.850260
2 77.5141 9.5000 82.52 1.497820
3 461.0795 0.1000
4 96.8810 8.0000 82.52 1.497820
5 -2446.3946 0.1000
6 74.8396 8.0000 65.46 1.603001
7 635.5296 (d1)
8 301.7367 2.2000 42.72 1.834807
9 35.0104 9.1179
10 -83.6050 2.0000 70.41 1.487490
11 42.3925 6.0000 23.78 1.846660
12 647.2222 4.5999
13 -49.2733 2.2000 65.46 1.603001
14 -2747.7138 (d2)
15 350.7655 2.0000 28.46 1.728250
16 91.4253 6.5000 65.46 1.603001
17 -94.5881 0.1000
18 143.9361 5.5000 65.46 1.603001
19 -132.9507 (d3)
20 -84.4304 2.5000 52.31 1.754999
21 -211.8686 (d4)
22 0.0000 1.0000 (絞りS)
23 44.5401 2.0000 32.35 1.850260
24 30.5381 9.0000 65.46 1.603001
25 -8165.2768 25.0000
26 -197.5962 4.0000 32.35 1.850260
27 -34.4924 2.0000 54.66 1.729157
28 47.2773 5.0000
29 147.5802 2.0000 32.35 1.850260
30 52.0642 6.0000 82.52 1.497820
31 -60.9696 0.1000
32 37.8007 6.0000 82.52 1.497820
33 394.5473 5.0000
34 -47.6819 2.0000 44.88 1.639300
35 -113.6656 Bf
[可変間隔データ]
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 2.000 23.001 30.816
d2 29.816 15.626 2.943
d3 6.617 14.919 19.787
d4 17.113 2.000 2.000
全長 253.180 253.180 253.180
[レンズ群焦点距離データ]
レンズ群 焦点距離
第1レンズ群G1 92.25351
第2レンズ群G2 -28.02093
第3レンズ群G3 64.31275
第4レンズ群G4 -187.49944
第5レンズ群G5 111.81491
[条件式対応値]
条件式(1)|fGn-1|/fw=2.626
表1に示す諸元の表から、本実施例に係る変倍光学系ZL1では、上記条件式(1)を満たすことが分かる。
第1実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図2(a)に、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図3に、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図4(a)に、広角端状態での近距離物体合焦状態の収差図を図5(a)に、中間焦点距離状態での近距離物体合焦状態の収差図を図5(b)に、望遠端状態での近距離物体合焦状態の収差図を図5(c)にそれぞれ示す。また、第1実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.40°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のメリディオナル横収差図を図2(b)に示し、第1実施例の望遠端状態での無限遠撮影状態において0.30°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のメリディオナル横収差図を図4(b)に示す。
各収差図において、FNOはFナンバー、Yは像高、dはd線(波長587.6nm)の収差曲線、gはg線(波長435.8nm)の収差曲線をそれぞれ示す。なお、非点収差を示す収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示す。以上の収差図の説明は、他の実施例においても同様とし、その説明を省略する。
各収差図から明らかなように、第1実施例に係る変倍光学系ZL1では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することが分かる。
なお、図6に示すように、物体側からの光線BMが変倍光学系ZL1に入射すると、その光は負メニスカスレンズL58における像側のレンズ面(第1番目のゴースト発生面であり、面番号35に該当)で反射した後に、その反射光は両凸レンズL56における像側のレンズ面(第2番目のゴースト発生面であり、面番号31に該当)で再度反射して像面Iに到達し、ゴーストを発生させてしまう。なお、反射防止膜について詳細は後述するが、各実施例に係る反射防止膜は7層からなる多層構造であり、最表面層の第7層はウェットプロセスを用いて形成され、d線に対する屈折率は1.26(以下に示す、表4参照)である。
(第2実施例)
第2実施例について、図7〜図11及び表2を用いて説明する。図7は、第2実施例に係る変倍光学系ZL2のレンズの構成を示す断面図、及び、広角端状態(W)から中間焦点距離状態(M)を経て望遠端状態(T)への焦点距離状態の変化における各レンズ群の移動の様子を示す。図7に示す、第2実施例に係る変倍光学系ZL2において、第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12との接合レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14から構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、両凹レンズL22と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23との接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL24と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25との接合レンズから構成される。
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と両凸レンズL32との接合レンズ、及び、両凸レンズL33から構成される。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL41から構成される。
第5レンズ群G5において、第5a部分レンズ群G5aは、物体側から順に並んだ、両凸レンズL51と両凹レンズL52との接合レンズから構成され、第5b部分レンズ群G5bは、物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL53と両凹レンズL54との接合レンズから構成され、第5c部分レンズ群G5cは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL55と両凸レンズL56との接合レンズ、両凸レンズL57、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL58から構成される。
開口絞りSは、第5a部分レンズ群G5aと第5b部分レンズ群G5bとの間であって、第5a部分レンズ群G5aの最も像側に位置する。
なお、第2実施例の広角端状態においては、防振係数は1.00であり、焦点距離は71.4(mm)であるので、0.40°の回転ぶれを補正するための第5b部分レンズ群G5bの移動量は0.50(mm)である。また、第2実施例の望遠端状態においては、防振係数は1.00であり、焦点距離は196.0(mm)であるので、0.30°の回転ぶれを補正するための第5b部分レンズ群G5bの移動量は1.03(mm)である。
以下の表2に、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の各諸元の値を掲げる。表2における面番号1〜36は、図7に示す面1〜36に対応している。
(表2)
[全体諸元]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f =71.40 〜 135.00 〜 196.00
FNO = 2.90 〜 2.90 〜 2.90
ω =17.086 〜 8.942 〜 6.142
Bf =63.53948
[レンズ諸元]
面番号 r d νd nd
1 138.9420 2.0000 32.35 1.850260
2 74.8515 10.0000 82.52 1.497820
3 499.1083 0.1000
4 86.7613 8.0000 82.52 1.497820
5 437.0393 0.1000
6 84.2569 7.0000 82.52 1.497820
7 938.7139 (d1)
8 384.1157 2.0000 40.94 1.806100
9 35.6165 9.6847
10 -131.1744 2.0000 70.41 1.487490
11 42.3484 4.5000 23.78 1.846660
12 163.1687 5.0588
13 -53.5772 4.0000 22.76 1.808095
14 -32.5969 2.0000 42.72 1.834807
15 -234.9579 (d2)
16 510.9139 2.0000 32.35 1.850260
17 86.7071 7.0000 65.46 1.603001
18 -83.2647 0.1000
19 103.7337 6.0000 65.46 1.603001
20 -116.8560 (d3)
21 -103.1415 2.5000 42.72 1.834807
22 -342.0133 (d4)
23 58.8589 7.0000 42.72 1.834807
24 -140.2358 2.0000 23.78 1.846660
25 198.9539 3.0000
26 0.0000 20.0000 (絞りS)
27 -183.3956 4.0000 23.78 1.846660
28 -45.0249 2.0000 41.96 1.667551
29 57.8421 5.0000
30 383.3560 2.0000 50.23 1.719995
31 39.1251 7.0000 82.52 1.497820
32 -82.1158 0.1000
33 45.2987 7.0000 82.52 1.497820
34 -153.4974 7.5493
35 -47.9028 2.0000 32.35 1.850260
36 -82.5403 Bf
[可変間隔データ]
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 2.000 25.437 33.995
d2 24.330 12.566 2.000
d3 4.668 10.865 14.953
d4 21.950 4.080 2.000
全長 259.180 259.180 259.180
[レンズ群焦点距離データ]
レンズ群 焦点距離
第1レンズ群G1 98.41898
第2レンズ群G2 -26.61069
第3レンズ群G3 59.32138
第4レンズ群G4 -177.74549
第5レンズ群G5 114.05658
[条件式対応値]
条件式(1)|fGn-1|/fw=2.489
表2に示す諸元の表から、本実施例に係る変倍光学系ZL2では、上記条件式(1)を満たすことが分かる。
第2実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図8(a)に、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図9に、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図10(a)に、広角端状態での近距離物体合焦状態の収差図を図11(a)に、中間焦点距離状態での近距離物体合焦状態の収差図を図11(b)に、望遠端状態での近距離物体合焦状態の収差図を図11(c)に示す。また、第2実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.40°の回転ぶれに対する振れ補正を行った時のメリディオナル横収差図を図8(b)に示し、第2実施例の望遠端状態での無限遠撮影状態において0.30°の回転ぶれに対する振れ補正を行った時のメリディオナル横収差図を図10(b)に示す。
各収差図から明らかなように、第2実施例に係る変倍光学系ZL2では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することが分かる。
(第3実施例)
第3実施例について、図12〜図16及び表3を用いて説明する。図12は、第3実施例に係る変倍光学系ZL3のレンズの構成を示す断面図、及び、広角端状態(W)から中間焦点距離状態(M)を経て望遠端状態(T)への焦点距離状態の変化における各レンズ群の移動の様子を示す。図12に示す、第3実施例に係る変倍光学系ZL3において、第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12との接合レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14から構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、両凹レンズL22と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23との接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL24と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25との接合レンズから構成される。
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31、及び、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33との接合レンズから構成される。
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL41から構成される。
第5レンズ群G5において、第5a部分レンズ群G5aは、物体側から順に並んだ、両凸レンズL51、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL52から構成され、第5b部分レンズ群G5bは、物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL53と両凹レンズL54との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL55から構成され、第5c部分レンズ群G5cは、物体側から順に並んだ、両凸レンズL56、両凸レンズL57、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL58から構成される。
開口絞りSは、第5レンズ群G5の最も物体側に位置し、第5a部分レンズ群G5aに含まれる。
なお、第3実施例の広角端状態においては、防振係数は1.30であり、焦点距離は71.4(mm)であるので、0.40°の回転ぶれを補正するための第5b部分レンズ群G5bの移動量は0.38(mm)である。また、第3実施例の望遠端状態においては、防振係数は1.30であり、焦点距離は196.0(mm)であるので、0.30°の回転ぶれを補正するための第5b部分レンズ群G5bの移動量は0.79(mm)である。
以下の表3に、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の各諸元の値を掲げる。表3における面番号1〜38は、図12に示す面1〜38に対応している。
(表3)
[全体諸元]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f =71.40 〜 135.00 〜 196.00
FNO = 2.90 〜 2.90 〜 2.90
ω =16.965 〜 8.903 〜 6.119
Bf =60.30361
[レンズ諸元]
面番号 r d νd nd
1 150.1075 2.2000 28.69 1.795041
2 77.1608 9.5000 82.52 1.497820
3 756.3684 0.1000
4 82.5453 8.0000 82.52 1.497820
5 581.7849 0.0000
6 73.1642 8.0000 82.52 1.497820
7 427.5813 (d1)
8 214.3299 2.0000 42.72 1.834807
9 33.7853 12.1976
10 -109.2380 2.0000 82.52 1.497820
11 39.0214 6.0000 23.78 1.846660
12 220.3271 4.2950
13 -55.0435 4.0000 25.68 1.784723
14 -31.3217 2.0000 42.72 1.834807
15 -1128.7256 (d2)
16 -4413.9629 4.0000 37.95 1.723420
17 -90.7104 0.1000
18 74.5140 2.0000 22.79 1.808090
19 42.9390 9.0000 65.46 1.603001
20 -133.3513 (d3)
21 -90.0000 2.5000 23.78 1.846660
22 -222.6096 (d4)
23 0.0000 2.0000 (絞りS)
24 181.5274 4.0000 82.52 1.497820
25 -226.9093 0.1000
26 42.1406 4.0000 82.52 1.497820
27 81.5898 17.0000
28 -5404.9164 4.0000 28.46 1.728250
29 -46.9905 1.6000 53.71 1.579570
30 64.5686 3.5000
31 1040.8030 1.6000 55.52 1.696797
32 57.6196 5.0000
33 329.9937 4.5000 82.52 1.497820
34 -56.0769 1.1857
35 41.0985 6.0000 82.52 1.497820
36 -1567.9225 4.0871
37 -49.0618 2.0000 23.78 1.846660
38 -109.7403 Bf
[可変間隔データ]
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 2.089 21.088 27.934
d2 24.923 12.762 2.000
d3 5.167 11.520 15.477
d4 16.232 3.041 3.000
全長 247.180 247.180 247.180
[レンズ群焦点距離データ]
レンズ群 焦点距離
第1レンズ群G1 87.95573
第2レンズ群G2 -24.08353
第3レンズ群G3 55.39945
第4レンズ群G4 -180.00001
第5レンズ群G5 110.90545
[条件式対応値]
条件式(1)|fGn-1|/fw=2.521
表3に示す諸元の表から、本実施例に係る変倍光学系ZL3では、上記条件式(1)を満たすことが分かる。
第3実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図13(a)に、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図14に、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図15(a)に、広角端状態での近距離物体合焦状態の収差図を図16(a)に、中間焦点距離状態での近距離物体合焦状態の収差図を図16(b)に、望遠端状態での近距離物体合焦状態の収差図を図16(c)に示す。また、第3実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.40°の回転ぶれに対する振れ補正を行った時のメリディオナル横収差図を図13(b)に示し、第3実施例の望遠端状態での無限遠撮影状態において0.30°の回転ぶれに対する振れ補正を行った時のメリディオナル横収差図を図15(b)に示す。
各収差図から明らかなように、第3実施例に係る変倍光学系ZL3では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することが分かる。
ここで、第1〜第3実施例の変倍光学系ZL(ZL1〜ZL3)に用いられる反射防止膜について説明する。本実施形態に係る反射防止膜101は、図19に示すように、7層(第1層101a〜第7層101g)からなり、本変倍光学系ZLの光学部材102の光学面に形成されている。
第1層101aは真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムで形成されている。この第1層101aの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第2層101bが形成される。続いて、第2層101bの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第3層101cが形成され、第3層101cの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第4層101dが形成される。さらに、第4層101dの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第5層101eが形成され、第5層101eの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第6層101fが形成される。そして、第6層101fの上にウェットプロセスによりシリカとフッ化マグネシウムの混合物からなる第7層101gが形成される。このようにして本実施形態の反射防止膜101が形成される。
なお、第7層101gの形成には、ウェットプロセスの一種であるゾル−ゲル法を用いている。ゾル−ゲル法とは、光学部材の光学面上に光学薄膜材料であるゾルを塗布し、ゲル膜を堆積後、液体に浸漬し、この液体の温度及び圧力を臨界状態以上にしてその液体を気化・乾燥させることにより、膜を生成する製法である。但し、ウェットプロセスとして、ゾル−ゲル法に限らず、ゲル状態を経ることなしに固体膜を得る方法を用いてもよい。
以上のように、反射防止膜101は、第1層101a〜第6層101fまではドライプロセスである電子ビーム蒸着により形成され、最表面層(最上層)である第7層101gはフッ酸/酢酸マグネシウム法で調製したゾル液を用いるウェットプロセスにより形成されている。
続いて、上記構成の反射防止膜101を形成する手順を説明する。まず、予めレンズ成膜面(上述の光学部材102の光学面)に真空蒸着装置を用いて、第1層101aとなる酸化アルミニウム層、第2層101bとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第3層101cとなる酸化アルミニウム層、第4層101dとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第5層101eとなる酸化アルミニウム層、第6層101fとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層を順に形成する。そして、真空蒸着装置より光学部材102を取り出した後、フッ酸/酢酸マグネシウム法により調製したゾル液にバインダー成分を添加したものをスピンコート法により塗布して、第7層101gとなるシリカとフッ化マグネシウムの混合物からなる層を形成する。ここで、フッ酸/酢酸マグネシウム法によって調製される際の反応式を以下の次式に示す。
2HF+Mg(CH3COO)2 → MgF2+2CH3COOH
この成膜に用いたゾル液は、原料混合後、オートクレーブで140℃、24時間高温加圧熟成処理を施した後、成膜に用いられる。光学部材102は、第7層101gの成膜終了後、大気中で160℃、1時間加熱処理して完成される。より具体的には、上記のゾル−ゲル法を用いることにより、大きさが数nmから数十nmのMgF粒子ができ、さらに、それらの粒子が数個集まって二次粒子が形成され、それら二次粒子が堆積することにより第7層101gが形成される。
上記のようにして形成された反射防止膜101の光学的性能について、図20に示す分光特性を用いて説明する。なお、図20は、基準波長λを550nmとしたときに、以下の表4で示される条件で反射防止膜101を設計した場合、光線が垂直入射するときの分光特性を表している。また、表4では、酸化アルミニウムをAl23、酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物をZrO2+TiO2、シリカとフッ化マグネシウムの混合物をSiO2+MgF2と示しており、基準波長λを550nmとしたときに、基板の屈折率が1.46、1.62、1.74及び1.85の4種類であるときの各々の設計値を示している。
(表4)
物質 屈折率 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第7層 SiO2+MgF2 1.26 0.275λ 0.268λ 0.271λ 0.269λ
第6層 ZrO2+TiO2 2.12 0.045λ 0.057λ 0.054λ 0.059λ
第5層 Al2O3 1.65 0.212λ 0.171λ 0.178λ 0.162λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.077λ 0.127λ 0.13λ 0.158λ
第3層 Al2O3 1.65 0.288λ 0.122λ 0.107λ 0.08λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0 0.059λ 0.075λ 0.105λ
第1層 Al2O3 1.65 0 0.257λ 0.03λ 0.03λ
基板の屈折率 1.46 1.62 1.74 1.85
図20より、波長が420nm〜720nmの全域で、反射率が0.2%以下に抑えられていることが分かる。
なお、第1実施例の変倍光学系ZL1において、第56レンズ成分L56の屈折率は1.497820であり、第56レンズ成分L56における像側のレンズ面に基板の屈折率が1.46に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、第58レンズ成分L58の屈折率は1.639300であるため、第58レンズ成分L58の像側のレンズ面に基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
また、第2実施例の変倍光学系ZL2において、第56レンズ成分L56の屈折率は1.497820であり、第56レンズ成分L56における像側のレンズ面に基板の屈折率が1.46に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、第58レンズ成分L58の屈折率は1.850260であるため、第58レンズ成分L58の像側のレンズ面に基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
また、第3実施例の変倍光学系ZL3において、第51レンズ成分L51の屈折率は1.497820であり、第51レンズ成分L51における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.46に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、第57レンズ成分L57の屈折率は1.497820であるため、第57レンズ成分L57の物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.46に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
このように、本実施形態の反射防止膜101を、第1〜第3実施例の変倍光学系ZL(ZL1〜ZL3)にそれぞれ適用することで、ゴーストやフレアをより低減させた、高い光学性能を持つ変倍光学系、この変倍光学系を備えた光学機器、及び変倍光学系の変倍方法を提供することができる。
なお、上記の反射防止膜101は、平行平面板の光学面に設けた光学素子として利用することも可能であるし、曲面状に形成されたレンズの光学面に設けて利用することも可能である。
次に、上記反射防止膜101の変形例について説明する。この変形例の反射防止膜は5層からなり、以下の表5で示される条件で構成される。なお、第5層の形成に、前述のゾル−ゲル法を用いている。また、表5では、基準波長λを550nmとしたときに、基板の屈折率が1.52であるときの設計値を示している。
(表5)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第5層 シリカとフッ化マグネシウムの混合物 1.26 0.269λ
第4層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.043λ
第3層 酸化アルミニウム 1.65 0.217λ
第2層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.066λ
第1層 酸化アルミニウム 1.65 0.290λ
基板 BK7 1.52
図21に、変形例の反射防止膜に光が垂直入射するときの分光特性を示す。図21により、波長が420nm〜720nmの全域で、反射率が0.2%以下に抑えられていることが分かる。なお、図22に、入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性を示す。
比較のため、図23に、従来の真空蒸着法などのドライプロセスのみで成膜し、以下の表6で示される条件で構成される多層広帯域反射防止膜の垂直入射時の分光特性を示す。なお、図24に、入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性を示す。
(表6)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第7層 MgF 1.39 0.243λ
第6層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.119λ
第5層 酸化アルミニウム 1.65 0.057λ
第4層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.220λ
第3層 酸化アルミニウム 1.65 0.064λ
第2層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.057λ
第1層 酸化アルミニウム 1.65 0.193λ
基板 BK7 1.52
図21及び図22で示す変形例の分光特性を、図23及び図24で示す従来例の分光特性と比較すると、変形例に係る反射防止膜の反射率の低さが良く分かる。
以上のように、本実施形態によれば、手ぶれ補正機構を備えつつ、ゴースト、フレアをより低減させることができる高性能な変倍光学系、この変倍光学系を備えた光学機器、及び、変倍光学系の変倍方法を提供することができる。
第1実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。 第1実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.40°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。 第1実施例の中間焦点距離状態の諸収差図である。 第1実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は望遠端状態における諸収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.30°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。 第1実施例の近距離物体合焦状態の収差図であり、(a)は広角端状態での近距離物体合焦状態の収差図であり、(b)は中間焦点距離状態での近距離物体合焦状態の収差図であり、(c)は望遠端状態での近距離物体合焦状態の収差図である。 第1実施例に係る変倍光学系において、入射光線が第1番目のゴースト発生面と第2番目のゴースト発生面で反射する様子を説明する図である。 第2実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。 第2実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.40°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。 第2実施例の中間焦点距離状態の諸収差図である。 第2実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は望遠端状態における諸収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.30°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。 第2実施例の近距離物体合焦状態の収差図であり、(a)は広角端状態での近距離物体合焦状態の収差図であり、(b)は中間焦点距離状態での近距離物体合焦状態の収差図であり、(c)は望遠端状態での近距離物体合焦状態の収差図である。 第3実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。 第3実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.40°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。 第3実施例の中間焦点距離状態の諸収差図である。 第3実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は望遠端状態における諸収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.30°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のメリディオナル横収差図である。 第3実施例の近距離物体合焦状態の収差図であり、(a)は広角端状態での近距離物体合焦状態の収差図であり、(b)は中間焦点距離状態での近距離物体合焦状態の収差図であり、(c)は望遠端状態での近距離物体合焦状態の収差図である。 本発明に係る変倍光学系を搭載する電子スチルカメラを示し、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。 図17(a)のA−A′線に沿った断面図である。 本実施例に係る反射防止膜の構造を示す説明図である。 本実施例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 変形例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 変形例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 従来技術で作成した反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 従来技術で作成した反射防止膜の分光特性を示すグラフである。
ZL(ZL1〜ZL3) 変倍光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G5a 第5a部分レンズ群
G5b 第5b部分レンズ群
G5c 第5c部分レンズ群
S 開口絞り
1 電子スチルカメラ(光学機器)
101 反射防止膜
101a 第1層
101b 第2層
101c 第3層
101d 第4層
101e 第5層
101f 第6層
101g 第7層
102 光学部材

Claims (9)

  1. 物体側から順に並んだ、第1レンズ群〜第nレンズ群(n5)からなり
    前記第1レンズ群は正の屈折力を有し、
    変倍に際し、各レンズ群間隔が変化するとともに、前記第1レンズ群と前記第nレンズ群とが固定されており、
    合焦に際し、前記第2レンズ群と前記第(n−1)レンズ群との間に配置された少なくとも一つのレンズ群が移動し、
    前記第nレンズ群の少なくとも一部が光軸と直交方向の成分を持つように移動するとともに、
    前記第nレンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜を設け、
    前記反射防止膜は、複数層から構成され、そのうちの少なくとも1層がウェットプロセスにより形成され、
    前記ウェットプロセスを用いて形成された層は、d線に対する屈折率をndとしたとき、次式
    nd≦1.30
    の条件を満足することを特徴とする変倍光学系。
  2. 前記第(n−1)レンズ群の焦点距離をfGn-1とし、全系の焦点距離をfwとしたとき、次式
    0.5<|fGn-1|/fw<5.0
    の条件を満足する請求項1に記載の変倍光学系。
  3. 物体側より順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とからなり
    変倍に際し、各レンズ群間隔が変化するとともに、前記第1レンズ群は固定されており、
    合焦に際し、前記第3レンズ群が移動し、
    前記第5レンズ群の少なくとも一部が光軸と直交方向の成分を持つように移動するとともに、
    前記第5レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜を設け、
    前記反射防止膜は、複数層から構成され、そのうちの少なくとも1層がウェットプロセスにより形成され、
    前記ウェットプロセスを用いて形成された層は、d線に対する屈折率をndとしたとき、次式
    nd≦1.30
    の条件を満足することを特徴とする変倍光学系。
  4. 前記反射防止膜は多層膜であり、
    前記多層膜の最表面層は、前記ウェットプロセスを用いて形成された層であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  5. 変倍に際し、前記第5レンズ群は固定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の変倍光学系。
  6. 前記第4レンズ群の焦点距離をfGn-1とし、全系の焦点距離をfwとしたとき、次式
    0.5<|fGn-1|/fw<5.0
    の条件を満足することを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  7. 前記第4レンズ群は、1つのレンズ成分からなることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  8. 前記第4レンズ群は、1つの負メニスカスレンズからなることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の変倍光学系を備えた光学機器。
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