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JP5234202B2 - ロータ及びそれを用いた回転電気機械 - Google Patents

ロータ及びそれを用いた回転電気機械 Download PDF

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JP5234202B2
JP5234202B2 JP2012063266A JP2012063266A JP5234202B2 JP 5234202 B2 JP5234202 B2 JP 5234202B2 JP 2012063266 A JP2012063266 A JP 2012063266A JP 2012063266 A JP2012063266 A JP 2012063266A JP 5234202 B2 JP5234202 B2 JP 5234202B2
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Description

本発明は、磁石が装着されたロータコアを有したロータ、及びそれを用いた回転電気機械に関するものである。
磁石補助型のシンクロナスリラクタンスモータ(Synchronous Reluctance Motor,略してSynRM)や内部磁石埋込型モータ(Interior Permanent Magnet,略してIPMモータ)などの回転電気機械は、磁石が装着されたロータコアを有している。このような回転電気機械では、ロータコアの永久磁石に、何らかの原因で、大きな逆磁界がステータから作用し、上記永久磁石の磁力が低減する現象(減磁)が起こる場合がある。これに対しては、例えば磁石の厚みを増すことで対策が可能である。しかしながら、この対策はコストアップにつながるという問題がある。
また、磁束の磁路を工夫することで、減磁の対策を図った例がある(例えば特許文献1を参照)。この例では、永久磁石の表面上に磁性部材が配置されている。そして、ロータ鉄心と磁気的に結合し且つ上記磁性部材の端部と適宜の空隙をおいて、磁性材製のエンドリングが設けられている。
特開平8−51751号公報
しかしながら、特許文献1の例では、ロータ本体とエンドリングの間には空隙が設けられているので、モータ全体としてのサイズを従来通りに維持しようとすると、ロータ鉄心を配置できるスペースが小さくなる。すなわち、ロータ鉄心が小さくなり、モータとしての性能低下が懸念される。逆に、ロータ鉄心のサイズを従来通りに確保すれば、モータ全体としてのサイズが大きくなってしまい、コストアップにつながる可能性がある。
本発明は上記の問題に着目してなされたものであり、磁石が装着されたロータコアを有したロータを備えた回転電気機械において、回転電気機械としての性能低下を抑制しつつ、磁石の減磁の対策を図ることを目的としている。
上記の課題を解決するため、第1の発明は、
複数の永久磁石(220)を有したロータにおいて、
軸方向に貫通する複数の空隙(241)と多層の磁石用スロット(211)を有した第1ロータコア(240)と、
上記第1ロータコア(240)の軸方向端部に接するとともに、多層の磁石用スロット(211)が貫通して形成された第2ロータコア(250)とを備え、
所定の前記永久磁石(220)は、前記第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)とを貫くように構成され、
上記空隙(241)は、前記第1ロータコア(240)内において最外周となる永久磁石(220)に対向しつつ該永久磁石(220)よりも外周に設けられ、上記磁石用スロット(211)よりも磁気抵抗が小さいものであって、半径方向の幅(Wg1)は、上記磁石用スロット(211)の半径方向の幅(Wm1)よりも小さいことを特徴とする。
この構成では、例えば、ロータ(200)に逆磁界が作用すると、この磁束は、ある程度は、磁石用スロット(211)内の永久磁石(220)側に向かうが、その多くが第1ロータコア(240)側へと向かう。これは、空隙(241)の磁気抵抗の方が、磁石用スロット(211)の磁気抵抗よりも小さいからである。すなわち、本発明のモータでは、従来のモータと比べ、永久磁石(220)に作用する磁界強度を小さくできる。
また、第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)とは接しているので、第1ロータコア(240)にはステータ(100)(後述)からの磁界が効率的に作用する。そのため、第1ロータコア(240)によってリラクタンストルクを発生させることができる。
この構成では、空隙(241)の半径方向の幅(Wg1)の設定によって、空隙(241)の磁気抵抗が定まる。
また、第2の発明は、
第1の発明のロータにおいて、
上記第1ロータコア(240)は、上記第2ロータコア(250)よりも軸方向の大きさが小さいことを特徴とする。
この構成では、上記リラクタンストルクよりもマグネットトルクの方が支配的になる。
また、第3の発明は、
第1又は第2の発明のロータにおいて、
上記第2ロータコア(250)は、軸方向両端から上記第1ロータコア(240)に挟み込まれていることを特徴とする。
この構成では、ロータ(200)に逆磁界が作用すると、この磁束の多くがロータ(200)の軸方向両端に向かう。また、それぞれの磁石用スロット(211)は、第1ロータコア(240)によってカバーされる。
また、第4の発明は、
第1又は第2の発明のロータにおいて、
上記第1ロータコア(240)は、軸方向両端から上記第2ロータコア(250)に挟み込まれていることを特徴とする。
この構成では、ロータ(200)に逆磁界が作用すると、この磁束の多くがロータ(200)の軸方向中心部に向かう。
また、第5の発明は、
第1から第4の発明の何れかのロータ(200)と、
コイル(120)が巻回されたステータコア(110)を有したステータ(100)とを備えたことを特徴とする。
また、第6の発明は、
第5の発明の回転電気機械において、
上記空隙(241)の半径方向の幅(Wg1)は、上記ロータ(200)と上記ステータ(100)と間のエアギャップ(G)よりも大きいことを特徴とする。
この構成では、幅(Wg1)がエアギャップ(G)よりも大きいので、第1ロータコア(240)による磁束の短絡が防止される。
第1の発明によれば、永久磁石(220)に作用する逆磁界の強度を小さくでき、且つ第1ロータコア(240)によってリラクタンストルクを発生させることができる。そのため、磁石が装着されたロータコアを有したロータを備えた回転電気機械において、回転電気機械としての性能低下を抑制しつつ、減磁の対策を図ることが可能になる。
また、空隙(241)の半径方向の幅(Wg1)で磁気抵抗を設定できるので、上記磁気抵抗の設定が容易である。
また、第3の発明によれば、ロータ(200)に作用した逆磁界の多くが軸方向両端に向かうので、永久磁石(220)の両端における減磁の対策を図ることが可能になる。また、各磁石用スロット(211)が第1ロータコア(240)によってカバーされるので、永久磁石(220)の抜けを防止するカバー等を省略することが可能になる。
また、第4の発明によれば、ロータ(200)に作用した逆磁界の多くが軸方向中心部に向かうので、永久磁石(220)の軸方向中心部における減磁の対策を図ることが可能になる。また、この構成では、ロータ(200)の軸方向両端から永久磁石(220)を挿入することができる。そのため、ロータ(200)の組み立てが容易になる。
また、第6の発明によれば、上記磁束の短絡が防止されるので、回転電気機械の安定的な運転ができる。
図1は、本発明の関連技術1に係るモータの横断面図である。 図2は、関連技術1のステータの斜視図である。 図3は、関連技術1のステータコアを内周側から見た、ティース部の断面図である。 図4は、関連技術1のロータの斜視図である。 図5は、関連技術1のロータの断面図である。 図6は、第1ロータコアを軸方向から見た平面図である。 図7は、磁石用スロットと空隙の位置及び大きさの関係を説明する図である。 図8は、関連技術1のロータの組み立て状態を説明する斜視図である。 図9は、逆磁界が作用した際の磁路(逆磁界磁路)を説明する図である。 図10は、本発明の関連技術2に係るロータの断面図である。 図11は、本発明の関連技術3に係るロータの断面図である。 図12は、本発明の関連技術4に係るロータの断面図である。 図13は、本発明の関連技術5に係るロータの断面図である。 図14は、実施形態に係るロータの平面図である。 図15は、本発明の実施形態に係るロータの断面図である。 図16は、空隙の変形例1を示す平面図である。 図17は、空隙の変形例2を示す平面図である。 図18は、空隙の変形例3を示す平面図である。 図19は、空隙の変形例4を示す平面図である。 図20は、空隙の変形例5を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の関連技術1
図1は、本発明の関連技術1に係るモータ(10)の横断面図である。このモータ(10)は、例えば空気調和機の電動圧縮機(図示は省略)に用いる。
〈モータ(10)の構成〉
モータ(10)は、図1に示すように、ステータ(100)、ロータ(200)、及び駆動軸(300)を備え、上記電動圧縮機のケーシング(20)に収容されている。なお、以下の説明において、軸方向とは駆動軸(300)の軸心の方向をいい、径方向とは上記軸心と直交する方向をいう。また、外周側とは上記軸心からより遠い側をいい、内周側とは上記軸心により近い側をいう。
〈ステータ(100)〉
ステータ(100)は、図1に示すように、円筒状のステータコア(110)と、コイル(120)を備えている。
ステータコア(110)は、電磁鋼板(P)をプレス加工によって打ち抜いて積層板を作成し、複数の積層板を軸方向に積層した積層コアである。図2は、関連技術1のステータ(100)の斜視図である。ステータコア(110)は、図1,2に示すように、1つのバックヨーク部(111)、それぞれ複数(この例では9つ)のティース部(112)、及びツバ部(113)を備えている。なお、図2には、1つのティース部(112)を主に描いてある。
それぞれのティース部(112)は、図1,2に示すように、ステータコア(110)において径方向に伸びる直方体状の部分である。各ティース部(112)の間の空間が、コイル(120)が収容されるスロット(114)である。
バックヨーク部(111)は、円環状をしている。バックヨーク部(111)は、各ティース部(112)を該ティース部(112)の外周側で連結している。ステータコア(110)は、バックヨーク部(111)の外周部がケーシング(20)の内面に固定されている。
ツバ部(113)は、それぞれのティース部(112)の内周側に連なる部分である。ツバ部(113)は、ティース部(112)よりも幅(周方向の長さ)が大きく構成されている。ツバ部(113)は、内周側の面が円筒面である。その円筒面は、後述のロータコア(210)の外周面(円筒面)と所定の距離(エアギャップ(G))をもって対向している。
ティース部(112)には、いわゆる集中巻方式で、コイル(120)が巻回されている。すなわち、1つのティース部(112)ごとにコイル(120)が巻回され、巻回されたコイル(120)はスロット(114)内に収容されている。図3は、本関連技術のステータコア(110)を内周側から見た、ティース部(112)の断面図である。同図に示すように、ティース部(112)の軸方向の両端面側からインシュレータ(161)が設けられるとともに、コイル(120)とティース部(112)の間には、絶縁フィルム(160)が設けられている。この例では、絶縁フィルム(160)は、ポリエチレンテレフタレートのフィルムである。
〈ロータ(200)〉
図4は、関連技術1のロータ(200)の斜視図である。また、図5は、関連技術1のロータ(200)の断面図である。ロータ(200)は、ロータコア(210)(磁心)、複数の永久磁石(220)、及び2つの端板(230)を備え、円筒状の形態である。この例では、ロータ(200)は、6つの永久磁石(220)を備えている。なお、図4では端板(230)の図示を省略してある。
ロータコア(210)は、電磁鋼板(P)をプレス加工によって打ち抜いて積層板を作成し、複数の積層板を軸方向に積層した積層コアである。ロータコア(210)は、後に詳述するように、上記軸方向に、互いに接する奇数個(この例では3つ)のロータコアに分割されている。より詳しくは、ロータコア(210)は、ロータコア(210)の軸方向の端から奇数番目に配置された2つの第1ロータコア(240)と、偶数番目に配置された第2ロータコア(250)とに、軸方向に3分割されている(図5を参照)。図5に示すように、この例では、第1ロータコア(240)の高さ(H1)(上記軸方向の大きさ)は、第2ロータコア(250)の高さ(H2)よりも小さい。
以下では、第1及び第2ロータコア(240,250)等の構成について詳述する。なお、以下では、第1ロータコア(240)や第2ロータコア(250)を分割ロータコア(240,250)とも呼ぶ。
〈第2ロータコア(250)〉
図4等に示すように、第2ロータコア(250)には、永久磁石(220)をそれぞれ装着する、複数の磁石用スロット(211)が形成されている。それぞれの磁石用スロット(211)は、第2ロータコア(250)の軸心回りに60°ピッチで配置されている。それぞれの磁石用スロット(211)は、軸方向から見て概ねU字状の形状を有し、第2ロータコア(250)を軸方向に貫通している。詳しくは、図4に示すように、それぞれの磁石用スロット(211)は、ロータコア(210)の半径と直交する磁石挿入部と、該磁石挿入部から外周側に延びる2つのバリア部とで構成されている。磁石挿入部は、図1における平面視が長方形であり、該磁石挿入部に永久磁石(220)が挿入される。永久磁石(220)は、軸方向の高さ(Hm)が第2ロータコア(250)の軸方向の高さ(H2)よりも小さく構成されている(図5参照)。
〈第1ロータコア(240)〉
図6は、第1ロータコア(240)を軸方向から見た平面図である。図6に示すように、第1ロータコア(240)は、軸方向に貫通する6つの空隙(241)が設けられている。これらの空隙(241)は、第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)とを重ねると、磁石用スロット(211)と対向するように配置されている。なお、図6では、それぞれの空隙(241)が対応する磁石用スロット(211)を、一点鎖線で表示してある。
図7は、磁石用スロット(211)と空隙(241)の位置及び大きさの関係を説明する図である。図7において、実線が空隙(241)の形状を示し、一点鎖線が磁石用スロット(211)の形状を示している。この例では、空隙(241)は、図7における平面視が長方形である。空隙(241)における、半径と直交する方向の幅(Wg2)は、第1ロータコア(240)の外周近傍まで延びている。こうすることで、隣接する磁極との間に生ずる漏れ磁束を低減できる。
空隙(241)は、磁石用スロット(211)よりも磁気抵抗が小さく形成されている。この例では、空隙(241)は、半径方向の幅(Wg1)が磁石挿入部の半径方向の幅(Wm1)よりも小さい。これにより、半径方向においては、空隙(241)は、磁石用スロット(211)よりも磁気抵抗が小さくなる。空隙(241)の半径方向の位置は、外周側の長辺(e1)が、磁石挿入部の長辺(e2)よりも内周側にある。また、空隙(241)の半径方向の幅(Wg1)は、エアギャップ(G)以上の大きさに形成されている。これは、もし幅(Wg1)がエアギャップ(G)よりも小さいと、第1ロータコア(240)によって磁束の短絡が起こるおそれがあるからである。
〈端板(230)〉
端板(230)は、円板状の形態を有し、例えばステンレスなどの非磁性金属で形成されている。端板(230)、第1及び第2ロータコア(240,250)には、軸方向に貫通し、これらを重ねた状態で互いに重なるボルト穴(213)がそれぞれ6つ形成されている。
〈ロータ(200)の組み立て状態〉
図8は、本関連技術のロータ(200)の組み立て状態を説明する斜視図である。第2ロータコア(250)には、磁石挿入部に永久磁石(220)を装着する。この場合、それぞれの永久磁石(220)は、図5に示すように、軸方向の両端部を第2ロータコア(250)の軸方向端から内側にオフセットさせておく。なお、永久磁石(220)は、磁石挿入部内で移動しないように、例えば接着するなどして第2ロータコア(250)に固定しておく。
ロータ(200)では、第1及び第2ロータコア(240,250)は、一端から奇数番目に第1ロータコア(240)を配置し、上記一端から偶数番目に第2ロータコア(250)を配置する。この例では、図8に示すように、第2ロータコア(250)を軸方向両端から、第1ロータコア(240)で挟みこむ。これにより、ロータ(200)の端から1番目と3番目が第1ロータコア(240)、2番目が第2ロータコア(250)となる。このとき、各磁石用スロット(211)と、第1ロータコア(240)の空隙(241)とが重なるように、第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)の位置関係を合わせておく(図6,7参照)。なお、第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)を重ねることで、第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)とは互いに接するが、それぞれの永久磁石(220)の軸方向端部は、既述の通り、第2ロータコア(250)の軸方向端から内側にオフセットしているので、永久磁石(220)は第1ロータコア(240)に接触しない。
それぞれの第1ロータコア(240)の端からは、図8に示すように、端板(230)を取り付ける。端板(230)とロータコア(210)は、ボルト穴(213)に通した6つのボルト(270)(図1参照)で固定する。
なお、第1及び第2ロータコア(240,250)の中心には、軸穴(212)を形成してある。この軸穴(212)には、鉄などの金属で構成された駆動軸(300)を焼き嵌めする。駆動軸(300)は、上記電動圧縮機内の圧縮機構(図示は省略)を駆動するためのものである。
《逆磁界作用時の磁路》
図9は、逆磁界が作用した際の磁路(逆磁界磁路)を説明する図である。例えば、本関連技術のロータ(200)に逆磁界が作用し、ステータ(100)から永久磁石(220)の外周側にある磁心部(240a,250a)(図5参照)に磁束が作用したとする。この磁束は、ある程度は永久磁石(220)側の磁心部(250a)に向かうが、その多くが、図9に矢印で示すように、それぞれの第1ロータコア(240)の磁心部(240a)へと向かう。これは、第1ロータコア(240)の空隙(241)の磁気抵抗の方が、磁石用スロット(211)の磁気抵抗よりも小さいからである。すなわち、本関連技術のモータ(10)では、従来のモータと比べ、永久磁石(220)に作用する逆磁界強度が小さい。したがって、本関連技術では、逆磁界による永久磁石(220)の減磁を対策することが可能になる。
関連技術では、モータ(10)のサイズを従来と同等にしようとすれば、第1ロータコア(240)を設けた分だけ永久磁石(220)の軸方向長さ(Hm)が短くなるので、マグネットトルクの低下が考えられる。しかしながら、第1ロータコア(240)は、第2ロータコア(250)と接しているので、第1ロータコア(240)にはステータ(100)からの磁界が効率的に作用する。そのため、モータ(10)は、第1ロータコア(240)によってリラクタンストルクを発生させることができる。すなわち、本関連技術では、第1ロータコア(240)におけるリラクタンストルクによって、マグネットトルクの低下を補うことができるのである。
《本関連技術における効果》
したがって、本関連技術によれば、磁石が装着されたロータコアを有したロータを備えたモータにおいて、モータとしての性能低下を抑制しつつ、減磁の対策を図ることが可能になる。
また、それぞれの磁石用スロット(211)は、第1ロータコア(240)によってカバーされる。そのため、永久磁石(220)の抜けを防止するカバー等を省略することが可能になる。
《発明の関連技術2
図10は、本発明の関連技術2に係るロータ(200)の断面図である。本関連技術のロータ(200)は、第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)とをひとつずつ備えている。この例でも第1ロータコア(240)の高さ(H1)(上記軸方向の大きさ)は、第2ロータコア(250)の高さ(H2)よりも小さい。また、第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)とは、互いに軸方向端部で接している。
このような構成とすることで、本関連技術においても、ロータ(200)に逆磁界が作用しても、その磁束の多くが、第1ロータコア(240)側の磁心部(240a)へと向かう。そのため、本関連技術では、それぞれの永久磁石(220)の第1ロータコア(240)側では、減磁の対策を図ることが可能になる。また、第2ロータコア(250)は、第1ロータコア(240)に接していない軸方向端部側から、永久磁石(220)を磁石用スロット(211)に、容易に挿入することができる。また、第2ロータコア(250)では、第1ロータコア(240)に接する軸方向端部側に、永久磁石(220)の抜けを防止するためのカバー等が不要になる。
《発明の関連技術3
図11は、本発明の関連技術3に係るロータ(200)の断面図である。本関連技術のロータ(200)は、ひとつの第1ロータコア(240)と、2つの第2ロータコア(250)とを備え、第1ロータコア(240)をその軸方向両端から、第2ロータコア(250)によって挟み込んで形成してある。この例でも第1ロータコア(240)の高さ(H1)(上記軸方向の大きさ)は、第2ロータコア(250)の高さ(H2)よりも小さい。
このような構成とすることで、本関連技術においても、ロータ(200)に逆磁界が作用しても、その磁束の多くが、第1ロータコア(240)側の磁心部(240a)へと向かう。そのため、比較的強い逆磁界が作用しがちな、ロータ(200)の軸方向中心部付近において、永久磁石(220)の減磁の対策を図ることが可能になる。
また、この構成では、ロータ(200)の軸方向両端から永久磁石(220)を挿入することができる。そのため、ロータ(200)の組み立てが容易になる。
《発明の関連技術4
図12は、本発明の関連技術4に係るロータ(200)の断面図である。この例では、ロータ(200)は、第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)とを2つずつ備え、これらの第1及び第2ロータコア(240,250)は、交互に積層されている。この例でも第1ロータコア(240)の高さ(H1)(上記軸方向の大きさ)は、第2ロータコア(250)の高さ(H2)よりも小さい。この構成においても、ロータ(200)に逆磁界が作用した場合には、その磁束の多くが、第1ロータコア(240)側の磁心部(240a)へと向かう。そのため、本関連技術でも、モータとしての性能低下を抑制しつつ、減磁の対策を図ることが可能になる。
《発明の関連技術4
図13は、本発明の関連技術4に係るロータ(200)の断面図である。この例では、ロータ(200)は、3つの第1ロータコア(240)と、2つの第2ロータコア(250)とを備えている。第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)とは、交互に積層されている。この例でも第1ロータコア(240)の高さ(H1)(上記軸方向の大きさ)は、第2ロータコア(250)の高さ(H2)よりも小さい。この構成においても、ロータ(200)に逆磁界が作用した場合に、その磁束の多くが、第1ロータコア(240)側の磁心部(240a)へと向かう。そのため、本関連技術でも、モータとしての性能低下を抑制しつつ、減磁の対策を図ることが可能になる。
《発明の実施形態》
図14は、実施形態に係るロータ(200)の平面図である。また、図15は、本発明の実施形態に係るロータ(200)の断面図である。図15は、図14のA-A断面に相当している。図15に示すように、本実施形態のロータ(200)は、ひとつの第1ロータコア(240)と、2つの第2ロータコア(250)とを備え、第1ロータコア(240)をその軸方向両端から、第2ロータコア(250)によって挟み込んで形成してある。この例でも第1ロータコア(240)の高さ(H1)(上記軸方向の大きさ)は、第2ロータコア(250)の高さ(H2)よりも小さい。
また、本実施形態のロータ(200)では、永久磁石(220)は、各極毎に多層を構成するように設けられている。具体的には、それぞれの極に3層の永久磁石(220)が設けられている。ロータ(200)の最も外周側の永久磁石(220)は、第2ロータコア(250)内にのみ設けられている。また、ロータ(200)の外周側から2層目及び3層目の永久磁石(220)は、第1及び第2ロータコア(240,250)を貫くように設けられている。
永久磁石(220)を上記のように多層に配置するために、第2ロータコア(250)では、各極毎に多層の磁石用スロット(211)が設けられている。また、それぞれの第1ロータコア(240)では、空隙(241)は、最外周側の永久磁石(220)に対応する位置にのみ設けられている。そして、それぞれの第1ロータコア(240)は、最外周側から2層目及び3層目の永久磁石(220)に対応する位置に、空隙(241)の代わりに、第2ロータコア(250)の磁石用スロット(211)につながる磁石用スロット(211)が形成されている。
上記のように、強い逆磁界が印加される可能性があるロータ(200)の最外周側に空隙(241)を設けることで、当該空隙(241)に対応した永久磁石(220)の減磁の対策を図ることが可能になる。
なお、本実施形態のように永久磁石(220)を各極毎に多層に構成する場合においても、第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)とは、上記関連技術1、2、4、5のような配置とすることが可能である。
また、逆磁界の大きさによっては、1層目よりも内周側の層(例えば2層目)を、1層目と同様に空隙(241)を有した構成にしてもよい。
《空隙(241)の変形例》
空隙(241)の形状は、上記の例には限定されない。各実施形態には、例えば以下に例示する形態の空隙(241)も採用できる。
〈1〉図16は、空隙(241)の変形例1を示す平面図である。図16に例示の空隙(241)は、断面形状(軸方向への投影形状)が磁石用スロット(211)に沿い、且つ磁石用スロット(211)よりも幅が狭い貫通孔である。この例でも、空隙(241)の端部(241a)は、第1ロータコア(240)の外周近傍まで延びている。
〈2〉図17は、空隙(241)の変形例2を示す平面図である。図17の例では、軸方向への空隙(241)の投影形状は、磁石挿入部に重なる部分では半径方向の幅(Wg1)が磁石挿入部の半径方向の幅(Wm1)よりも小さく、バリア部先端付近では概ねバリア部に沿っている。なお、この例では、空隙(241)の外周側の長辺(e1)が、磁石挿入部の長辺(e2)と重なる位置にあるが、内周側の長辺同士が重なるように、空隙(241)と磁石用スロット(211)の位置関係を定めてもよい。
〈3〉図18は、空隙(241)の変形例3を示す平面図である。図18の例では、軸方向への空隙(241)の投影形状は、バリア部に重なる部分ではその幅(Wg3)が該バリア部の幅よりも狭く、磁石挿入部に重なる部分では該磁石挿入部の幅(Wm1)と同じ若しくは大きい。なお、図18では、幅(Wg1)の方が幅(Wm1)よりも大きい例を図示してある。
〈4〉図19は、空隙(241)の変形例4を示す平面図である。図19の例では、軸方向への空隙(241)の投影形状は、磁石挿入部に重なる部分では中央部付近が内周側に凹んでいる。そのため、空隙(241)の半径方向の幅(Wg1)は、磁石用スロット(211)の半径方向の幅(Wm1)よりも小さい。また、バリア部に重なる部分では概ね該バリア部に重なる形状をしている。
〈5〉図20は、空隙(241)の変形例5を示す平面図である。図20の例では、軸方向への空隙(241)の投影形状は、磁石挿入部両端付近の内周側ラインが外周側に向かって凹んでいる。これにより、空隙(241)は、磁石挿入部の端部付近の幅(Wg4)が、磁石用スロット(211)の中央付近の幅よりも小さくなる。なお、図20の例では、空隙(241)の内周側ラインを外周側に向かって凹ませたが、外周側のラインを内周側に向かって凹ませたり、内外両方から凹ませてもよい。
なお、何れの例も、空隙(241)の半径直交方向の端部(上記端部(241a)など)は、なるべく第1ロータコア(240)の外周近傍まで延ばすのが望ましい。これは、隣接極間の漏れ磁束の低減に有利だからである。
また、上記実施形態や変形例で説明した空隙(241)は何れも、永久磁石(220)の軸方向への投影面に重なる範囲でずらしてもよい。また、空隙(241)は、図16等に示したように、半径を対称軸とした線対称形である必要はない。上記で説明した空隙(241)の形態を組み合わせてもよい。
《その他の実施形態》
なお、ロータコア(210)の分割数、すなわち第1及び第2ロータコア(240,250)の数は例示である。
また、第1及び第2ロータコア(240,250)は、積層コア(電磁鋼板)に限定されない。例えば、第1及び第2ロータコア(240,250)は、圧粉磁性体で構成することもできる。この場合でも、第1ロータコア(240)を圧粉磁性体で構成し、第2ロータコア(250)を電磁鋼板で構成するなど、異種の磁性材料で構成したコアを組み合わせてロータ(200)を構成してもよい。
また、上記実施形態では、端板(230)を省略してもよい。磁石の抜けを防止するための端板(230)は、非磁性材または磁性材で構成されるが、非磁性材の場合は材料コストアップにつながり、磁性材の場合は磁石磁束の漏れを生じるため、端板(230)を省略することにより、コスト低減またはトルク向上の効果がある。
また、本発明は、モータの他に発電機にも適用できる。
また、本発明は、コイルをステータコアに分布巻きする回転電気機械にも適用できる。
本発明は、磁石が装着されたロータコアを有したロータ、及びそれを用いた回転電気機械として有用である。
1 モータ(回転電気機械)
100 ステータ
110 ステータコア
120 コイル
200 ロータ
210 ロータコア
211 磁石用スロット
220 磁石
240 第1ロータコア
241 空隙
250 第2ロータコア

Claims (6)

  1. 複数の永久磁石(220)を有したロータにおいて、
    軸方向に貫通する複数の空隙(241)と多層の磁石用スロット(211)を有した第1ロータコア(240)と、
    上記第1ロータコア(240)の軸方向端部に接するとともに、多層の磁石用スロット(211)が貫通して形成された第2ロータコア(250)とを備え、
    所定の前記永久磁石(220)は、前記第1ロータコア(240)と第2ロータコア(250)とを貫くように構成され、
    上記空隙(241)は、前記第1ロータコア(240)内において最外周となる永久磁石(220)に対向しつつ該永久磁石(220)よりも外周に設けられ、上記磁石用スロット(211)よりも磁気抵抗が小さいものであって、半径方向の幅(Wg1)は、上記磁石用スロット(211)の半径方向の幅(Wm1)よりも小さいことを特徴とするロータ。
  2. 請求項1のロータにおいて、
    上記第1ロータコア(240)は、上記第2ロータコア(250)よりも軸方向の大きさが小さいことを特徴とするロータ。
  3. 請求項1又は請求項2のロータにおいて、
    上記第2ロータコア(250)は、軸方向両端から上記第1ロータコア(240)に挟み込まれていることを特徴とするロータ。
  4. 請求項1又は請求項2のロータにおいて、
    上記第1ロータコア(240)は、軸方向両端から上記第2ロータコア(250)に挟み込まれていることを特徴とするロータ。
  5. 請求項1から請求項4の何れかのロータ(200)と、
    コイル(120)が巻回されたステータコア(110)を有したステータ(100)とを備えたことを特徴とする回転電気機械。
  6. 請求項5の回転電気機械において、
    上記空隙(241)の半径方向の幅(Wg1)は、上記ロータ(200)と上記ステータ(100)と間のエアギャップ(G)よりも大きいことを特徴とする回転電気機械。
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