JP5222521B2 - 抗ヒト可溶性フィブリンモノクローナル抗体の製造方法 - Google Patents
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Description
さらに詳細には、当該エピトープは、当該フィブリノゲンAα鎖の502−521番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド中に存在する。本発明のモノクローナル抗体は、当該フィブリノゲンAα鎖の502−521番目のアミノ酸配列を有するポリペプチドを認識するものであれば特に制限されない。
使用する免疫原としては、生成したフィブリンモノマー又は可溶性フィブリンが好ましい。トロンビン作用のみを受けた(プラスミン作用を受けていない)フィブリノゲンやバトロキソビン処理したフィブリノゲンなどを用いてもよい。フィブリンモノマーは、例えばU.SCHEEFERS−BORCHEL等の方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA.82,7091−7095,1985.]に従って調製できる。具体的には、desAAフィブリンモノマーは、フィブリノゲン溶液にバトロキソビンを作用させ、生じたフィブリンクロットを尿素又は酸により可溶化することにより得られ、desAABBフィブリンモノマーは、フィブリノゲン溶液にトロンビンを作用させ、生じたフィブリンクロットを尿素又は酸により可溶化することにより得られる。また、フィブリノゲンにバトロキソビンやトロンビンを作用させる際に、非常に少量で処理することにより、クロットを生じない条件下の処理液をそのまま用いることもできる。更に、フィブリノゲンにプラスミンを作用させ、切り離されるAα鎖のC末端フラグメントを用いてもよく、Aα鎖のC末端フラグメントの一部と同一配列のポリペプチド、好ましくは前記502−521ポリペプチドを合成し、その合成ペプチドを用いてもよい。
具体的には、まず培養上清中のモノクローナル抗体を、抗マウスIgG抗体等を介して固定化し、可溶性フィブリン及びフィブリノゲンを含有する試料を反応させる。次に、酵素などで標識した抗フィブリノゲン抗体を反応させ、可溶性フィブリンのみに反応し、かつフィブリノゲンとは反応しないモノクローナル抗体を選択する。更に、プラスミン分解物であるフィブリンフラグメントX、Y又はEや安定化フィブリン分解物(XDP)とは反応しないモノクローナル抗体を選択する。このようにして、エピトープがプラスミンによって切り離されるフラグメントに存在するモノクローナル抗体を作製すればよい。
例えば、ELISA法で測定する場合には、精製した可溶性フィブリンを標準品として次のような方法で可溶性フィブリンを定量できる。即ち、本発明のモノクローナル抗体を固定化したELISAプレートに、希釈した検体試料を添加し反応させた後、酵素標識した抗フィブリノゲン ポリクローナル抗体を反応させ、発色後の吸光度の変化から試料中に存在するプラスミンの作用を受けていない可溶性フィブリンを特異的に定量できる。LTIA法で測定する場合には、精製した可溶性フィブリンを標準品として次のような方法で定量することができる。即ち、本発明のモノクローナル抗体の少なくとも1種を不溶性担体であるラテックス粒子に感作し、検体試料に接触させることにより、試料中の可溶性フィブリンを介して抗体感作ラテックス粒子同士が架橋し凝集を生じるため、この凝集度の変化から当該可溶性フィブリンを特異的に定量できる。検体試料としては、可溶性フィブリンを含有するヒト体液であれば特に制限されず、例えば血液、尿等が挙げられる。
(1)ハイブリドーマの調製
PBSに溶解したヒト精製フィブリノゲンにバトロキソビン処理を行い生成した可溶性フィブリンを免疫原とした。この免疫原を完全フロイントアジュバンド(GIBCO社製)と1対1で混和乳化し、0.1mg/0.1mL(エマルジョン)で6週齢の雌BALB/Cマウスの皮下に1週間間隔で6回投与後、最終免疫の3日後に脾臓を摘出した。摘出した脾臓から得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞SP2/O−Ag14とを6対1の割合で混合し、50%ポリエチレングリコール1540(和光純薬工業社製)存在下にて細胞融合させた。融合細胞は脾臓細胞として2.5×106/mLになるようにHAT培地に懸濁し、96穴培養プレート(CORNING社製)に0.2mLずつ分注した。これを5%CO2インキュベーター中で37℃にて培養し、おおよそ2週間後に、ハイブリドーマの生育してきたウェルの培養上清について、次に示すELISA法にしたがって、可溶性フィブリンに対する抗体の産生が有望な株を選択した。
2週間前にプリスタン0.5mLを腹腔内に注射しておいた12週齢の雌BALB/Cマウスに、上記で得られたハイブリドーマを細胞数0.5×106個の量で腹腔内に投与した。約14日後に腹水を採取し、遠心処理して上清を得た。上清を等量の吸着用緩衝液(3mol/L NaCl−1.5mol/L Glycine−NaOH、pH8.5)と混和後、濾過した。この濾液を吸着用緩衝液で平衡化したプロテインAカラム(ファルマシア社製)に通して抗体をカラムに吸着させた後、0.1mol/Lクエン酸緩衝液(pH3.0)でカラムより溶出させ、抗可溶性フィブリンモノクローナル抗体(J2−23抗体)を精製した。
J2−23抗体の免疫グロブリンクラスをELISA法(ZYMED社製)により同定したところ、IgG1、κ軽鎖であった。
J2−23抗体を、PBSで5μg/mLの濃度に調整後、96穴ELISAプレート(NUNC社製)に50μL/ウェル加え、4℃で一夜インキュベートした。プレートをPBSで3回洗浄後、ブロッキング液(1%BSAを含むPBS)を100μL/ウェル加え、1時間ブロッキングした。ブロッキング液を除去後、ブロッキング液により希釈した表1に記載の各種抗原を50μL/ウェル加え、室温で1時間インキュベートした。ブロッキング液で3回洗浄した後、ペルオキシダーゼ標識抗フィブリノゲンウサギポリクローナル抗体を加え、室温で1時間インキュベートした。再びブロッキング液で3回洗浄した後、実施例1のペルオキシダーゼ基質溶液を50μL/ウェル加えた。10分後、1.5N硫酸を50μL/ウェル加え、492nmにおける吸光度を測定した。
実施例2で評価した各種抗原を、非還元条件下でSDS−PAGE分離後、PVDF膜に転写し、3%スキムミルクを含むPBST(0.05%Tween20を含むPBS)で1時間ブロッキング後、一次抗体としてモノクローナル抗体(J2−23抗体)、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(Biosource international社製)を反応させた。PVDF膜をPBSTで洗浄後、ジアミノベンチジンを基質として加え、発色させた。その結果、desAAFbn及びdesAABBFbn以外にFbgにも反応することが確認されたが、各種FbgDPには反応は認められなかった。更に、Fbgを還元条件下で処理し同様の操作を行ったところ、Aα鎖に強い反応が認められた(図1)。
実施例3で得られた知見をもとに、Aα鎖上のエピトープ位置を以下に示す方法で解析した。精製Fbgを10mmol/Lトリス緩衝液(pH8.0)を用いて10mg/mLとなるように溶解した溶液に、プラスミン(クロモジェニックス社製)を最終濃度0.2単位/mLとなるように添加し、37℃で30分消化させた。その後、最終濃度500単位/mLとなるようにアプロチニン(三菱ウェルファーマ社製)を加え、プラスミン活性を失活させた。この消化液を還元処理した後、SDS−PAGE 15−25%で分離後、PVDFへ転写し、CBB染色及び上記実施例3と同様に本発明のモノクローナル抗体(J2−23抗体)を用いてイムノブロティングを行った。
この配列は、Fbgがプラスミン消化によってFbg−Xに変化する際に、切り離されるフラグメント中にあることから、本発明のモノクローナル抗体のエピトープは、FbgのAα鎖上にあり、かつプラスミンで消化を受け、切り離されるAα鎖のC末端領域に存在することが判明した。更に、本発明の抗体のエピトープは、このプラスミン消化フラグメントの内、Aα鎖の425番目以降に存在することが判明した。プラスミン消化Aα鎖C末端フラグメントに反応性を示す可溶性フィブリンに対する抗体は、これまで知られていない新規な抗体である。
実施例4で得られた知見をもとに、Aα鎖上のエピトープ位置を以下に示す方法で、さらに解析を進めた。
その結果、7〜8kDaに消化断片が認められ、その消化断片のN末端アミノ酸配列を調べた結果、Fbg Aα鎖の502番目をN末端とする配列(DTAST)であった。この消化断片の分子量及びAsp−Nの切断部位がアスパラギン酸のアミノ基側であることから推察して、502〜573番目のペプチドであると推測した。
(1)抗体感作ラテックスの調製
モノクローナル抗体(J2−23抗体)を20mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で0.7mg/mLとなるように希釈した抗体液と、1%ラテックス溶液(粒径0.2μm、積水化学工業社製)を等量ずつ混和し、4℃で約2時間攪拌した。更に、1%BSAを等量加え1時間攪拌した後、遠心(100,000×g、5分間)処理した。沈降したラテックスを0.5%BSAを含む5mmol/L MOPS(pH7.0)で懸濁し、抗体感作ラテックスを得た。
実施例2と同様に、酸可溶性desAAFbn又はdesAABBFbnを調製し、ヒトクエン酸血漿にそれぞれ最終濃度0〜50μg/mLとなるように添加したものを可溶性フィブリンとした。
0.4%BSA及び0.5mol/L塩化ナトリウムを含む30mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を調製し(第1試薬)、上記で調製した抗体感作ラテックス(第2試薬)を用いて、生化学自動分析装置日立7170形にて測定した。自動分析装置内の37℃の反応セルに、上記で調製した可溶性フィブリン3μL及び第1試薬100μL添加し、第1試薬添加から5分後、第2試薬100μLを添加し、5分間抗原抗体反応をさせた。そして、主波長570nm及び副波長800nmにて、ポイント18から34の間の、反応前後の吸光度変化を測定した(図4)。添加したdesAAFbn又はdesAABBFbnの濃度に対応した吸光度変化が認められたことから、本発明のモノクローナル抗体を使用することにより、血中の可溶性フィブリン量を測定できることが確認された。
Claims (3)
- 1)フィブリンモノマー、フィブリンモノマー及びフィブリンモノマー複合体からなる可溶性フィブリン、フィブリノゲンにプラスミンを作用させて切り離されるAα鎖の425番目のアミノ酸をN末端とするC末端フラグメント、並びに当該Aα鎖のC末端フラグメントの一部と同一配列のポリペプチドから選ばれる1種以上を免疫原として用い、2)プラスミンの作用を受けていない、フィブリノゲンのAα鎖の425番目のアミノ酸をN末端とするC末端フラグメントを有するフィブリンモノマー及びフィブリンモノマー複合体からなる可溶性フィブリンに特異的に反応し、フィブリノゲン、フィブリンモノマーのプラスミン分解物及び安定化フィブリンのプラスミン分解物には反応しない抗体を産生するハイブリドーマを選択することを特徴とする、フィブリノゲンのトロンビン消化によって生成する、フィブリンモノマー及びフィブリンモノマー複合体からなる可溶性フィブリンを特異的に認識するモノクローナル抗体の製造方法。
- フィブリンモノマーのプラスミン分解物が、フィブリンフラグメントX、Y、又はEである請求項1記載のモノクローナル抗体の製造方法。
- 安定化フィブリンのプラスミン分解物が、安定化フィブリン分解物(XDP)である請求項1記載のモノクローナル抗体の製造方法。
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