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JP5284009B2 - 電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、1以上の単セルからなる組電池を使用した電池システムに係り、特に各電池電圧を検出する高耐圧特性の電圧検出回路を備えた電池システムに関する。
近年、高電圧での充放電を可能とすべく蓄電池を有する単セルが多数直列に接続された組電池が製造されている。この組電池は、パーソナルコンピュータ等の移動体に内蔵する電源や、電気自動車、燃料電池自動車やハイブリッドカーの動力源又は補助動力源である電動モータに使用されている。
この組電池に使用する電池には高電圧及び高出力を実現するために、特に、リチウムイオン電池が用いられるが、当該電池は、キャパシタ等と比較して格段に大きなエネルギーを蓄えることができるので、電池自体及び電池の周辺回路の安全性を十分に確保する必要がある。
ここで、電池の安全性を確保するために、各セル、あるいは組電池全体の電圧を監視することで過充電及び過放電を防止する電池システムの開発が行われている。特に、リチウムイオン電池を採用する場合では、過充電や過放電が生じることにより電池間の接続線等が断線し、電池の発火や発煙までに至るケースも想定されるため、組電池内の直列に接続した各セルの電圧を検出することによりセル単位で異常電圧の抑制を図っている。
そのため、組電池を構成するセル毎の電圧を検出する電子回路が必要であり、具体的には、コンデンサ、スイッチやオペアンプ等で構成された電圧検出回路が利用され、さらに、マイクロコンピュータにより充放電を監視することも多く、この場合の電圧検出回路にはアナログ−デジタル変換器も使用される。また、複数セルの電圧を検出するにあたり多くの電気回路素子が必要となるので、回路の小型化、信頼性向上、低コスト化等の要望を加味し、このような電圧検出回路を搭載した集積回路も開発されている。
なお、従来技術として、例えば、直列接続された複数の単電池からなるモジュールを監視する電池用保護ICが提案されており(特許文献1参照)、電池の充電時において、モジュール内のいずれかの電池の端子電圧が所定値以上になった場合に、過充電状態と判定し過電圧信号を出力する過電圧検出回路と、放電時において、モジュール内のいずれかの電池の端子電圧が所定値以下になった場合に、過放電状態と判定し過放電信号を出力する過放電検出回路と、が配設されている。さらに、この電池保護ICは、過電圧信号を検出した際にオンすることにより通報可能な第1スイッチと、過放電信号を検出した際にオンすることにより通報可能な第2スイッチとを備えている。
特開2005−117780号公報
ところで、上記のような過充電及び放電を防止する電池システムによれば、各セルには端子電圧が電圧検出回路の許容電圧範囲内に収まる電池が使用され、この許容電圧範囲内でしか電圧の変動は許されない。このことから、電圧検出回路における電圧を検出する範囲は、下限は0Vから上限は電池の上限電圧を数V程度上回るものとし、例えば、リチウムイオン電池では単セル当たり2.8V〜4.5V程度の値が上限電圧であるため、この検出範囲が約3.5V〜5V程度となる。
しかしながら、例えば、このような電池をパーソナルコンピュータ等の移動体に搭載する場合において、振動などが生じることにより、当該移動体からの落下や他の部品と擦動することも想定され、電池間の接続線や電池電圧を検出するICとの検出線の断線により過電流が流れることで短絡状態が生じる可能性がある。
また、自動車等の車両に電動モータの動力源として搭載する場合には、振動が継続する走行状態で長期間に亘り使用されるので、配線の断裂や部品の擦動により、部品のズレや回路の短絡が生じる可能性がある。これにより、電圧検出回路に異常な電圧や電流が流れることで、回路部品等が発火や発煙したり、自動車の運転に際し著しく支障が生じる場合がある。
特に、セル間の接続が断線した場合には、電圧検出回路の耐圧を超える異常電圧がこの電圧検出回路に加わってしまい、検出回路の短絡が生じる他、回路部品や回路基板が発熱、発煙する。また、場合によっては発火する可能性もある。
例えば、図2のように、3個のセルを直列に接続し、各セルの電池1a〜1cの電圧を検出する電圧検出回路を有する電池保護IC2´を備えた電池システムにおいて、セル間の接続が断線した場合を説明する。
この電池保護IC2´は、高電位側の電池1cと低電位側の電池1aに接続された電源線5b、aを通じて電気供給を受けることで動作し、内蔵される電圧検出回路により、各セルの電池1a〜1cの電圧を計測線3b〜3dを通じてそれぞれ検出する。なお、電池保護IC2´は、また、電圧検出回路により各電池セルの電圧を監視することで、電池の過充電及び放電状態を検知し、その電圧情報を制御部6に送信する機能を有している。
ここで、図2の通り、計測線3bが断線した場合には、一般的に、隣接する計測線3aに接触する可能性が高く、断線した計測線3bが計測線3aに接触すると、計測線3bを通じて検出されていた電圧Vd1は0Vとなる。また、一端が電池1bと電池1c間に接続され、他端が電池保護IC2´に接続された計測線3cを通じて検出される電圧Vd2は、電池1bと電池1cの合計電圧となる。
すなわち、各セルの電池1a〜1cに同電圧の電池を使用している場合には、計測線3cを通じて電圧Vd2を検出する電圧検出回路には、各セルの電池電圧の2倍の電圧が加わることになる。例えば、高充電状態にあった電池1a〜1cの各電圧が5Vの場合に、計測線3bが断線することで上記のような事象が生じると、計測線3cを通じて検出される電圧Vd2は10Vとなる。
そのため、電池保護IC2´の各セルの電池1a〜1cの電圧を検出する電圧検出回路において、電圧計測入力に対する耐圧が各セルにかかる最大電圧の2倍以下である場合には、この電圧検出回路に過剰の電圧が加わることになり、電圧破壊を引き起こす。これにより、電池保護IC2´が破壊され、当該電池保護IC2´の発火、破裂や計測線の焼損等を引き起こし、さらには、電池システム全体も発熱し得る。また、発火等により高エネルギーを保持する電池の短絡も生じる。
なお、上述した通り、各電池1a〜1cの電圧を検出する電圧検出回路の電圧検出範囲は、電池セルの通常の電圧変動範囲に基づいて設計するものであり、この電圧検出範囲を広くすることで、電圧検出回路に加わる過電圧に対応することも可能であるが、広すぎる電圧検出範囲は、電圧の検出精度を著しく低下させてしまう。
本発明は、上記の課題を解消するために提案されたものであって、その目的は、セル間の接続が断線した場合に、電圧検出回路の耐圧を当該回路に過渡的に加わる電圧以上にすることで、安全性を確保可能な電池システムを提供することにある。
上述した目的を達成するために、本発明は、モジュール内に直列に接続された複数の電池と前記各電池の電圧を検出する電圧検出回路を備えた電池システムにおいて、前記電圧検出回路は、前記複数の電池の数と対応する複数の高耐圧用のコンデンサが設けられ、前記複数の高耐圧用のコンデンサは、前記各電池の電圧の3倍以上の耐圧を有することを特徴とする。
以上のような態様では、電池に繋がれた計測線のいずれかが断線し、断線した計測線の一端が他の計測線に接続され、電圧検出回路に両計測線を通っていた電圧、すなわち、各電池電圧の2倍の電圧が加わった場合であっても、電圧検出回路は、各電池の電圧の3倍の耐圧を有することから、電池システムの破損を防止することができる。すなわち、各セル電池電圧の2倍の過電圧が加わろうとも電圧検出回路の耐圧内であり、当該電圧検出回路を構成するディスクリート素子やICが破壊することはない。
また、電圧検出回路が高耐圧であるため、数百Vの高電圧が要求され、多数の電池が必要となるハイブリッドカーや電気自動車に搭載する場合であっても安全性を確保でき、製品の信頼性の向上にも繋がる。
さらに、高耐圧を実現するために、電圧検出回路を構成する素子自体を高耐圧用にするだけでなく、高耐圧用のコンデンサを採用することで、各電池の電圧の3倍以上の耐圧を実現している。これにより、上述したように、突如過電圧が加わろうとも電圧検出回路の耐圧内であるとして当該電圧検出回路の破損等を防止することが可能となる。
以上のような本発明によれば、電池に繋がれた計測線のいずれかが断線し、断線した計測線の一端が他の計測線に接続され、電圧検出回路に両計測線を通っていた電圧、すなわち、各電池電圧の2倍の電圧が加わった場合であっても、電圧検出回路は、各電池の電圧の3倍の耐圧を有することから、当該回路の破損を防止可能な電池システムを提供することができる。つまり、各セル電池電圧の2倍の過電圧が加わろうとも電圧検出回路の耐圧内であり、当該電圧検出回路を構成するディスクリート素子やICは破壊されることはなく、短絡電流が流れることで生じる回路部品、IC及び回路パターン等の発熱、発煙、発火を抑制することが可能となる。
また、電圧検出回路が高耐圧であるため、数百Vの高電圧が要求され、多数の電池が必要となるハイブリッドカーや電気自動車に搭載する場合であっても安全性を確保でき、製品の信頼性を向上させることができる。
[本実施形態]
次に、本実施形態に係る電池システムを図1を参照して説明する。なお、下記で示す電池の数、セルの数、セル電圧は任意であるものとし、図1のような形態に限定するものではない。また、図2に示す構成と同様のものについては説明を省略し、同じ符号を付している。
図1では、電池1a〜1cを各々有する3個のセルが直列に接続されたモジュールが配設されており、各セルの電圧が3.6Vであるリチウム電池を使用したケースを例にとる。図示しないが、実際には1以上のモジュールが直列に接続されている。
本実施形態では、後述するが、セル電池の電圧を検出する電池電圧検出部2(電圧検出回路に対応する。)の耐圧を各電池セルの電圧の検出範囲に対して3倍以上とする点に特徴を有している。
図1の通り、3個のセルが直列に接続されたモジュール内には、各セルの電圧を測定する電池電圧検出部2(電圧検出回路に対応する。)が設けられ、各セルに対応する電池1a〜1cが当該電池電圧検出部2にセル電圧の計測線3a〜3dを介して接続されている。この電池電圧検出部2は、ディスクリート素子で構成した回路とIC化した回路から構成されている。
この電池電圧検出部2には、高耐圧の当該電池電圧検出部2を構成するために一例として高耐圧コンデンサ4a〜4cが配設されている。この高耐圧コンデンサ4a〜4cにより電池電圧検出部2は、過電圧が付加されていても耐圧内となる。
特に、本実施形態では、各セルの電池電圧の3倍以上の高耐圧コンデンサ4a〜4cを使用する。図1によれば、各電池電圧は、3.6Vであるため、この高耐圧コンデンサ4a〜4cには、耐圧が10.8V以上のものを採用している。
また、電池電圧検出部2の両端には、モジュール内の電池セル1aの低電位側と電池セル1cの高電位側に各々繋がる電源線5a、5bが接続され、さらに、電源VDDと接地GNDにも接続されている。
そして、この電池電圧検出部2により検出された電池電圧が制御部6に送信され、当該制御部6でこの送られてきた電圧値によりセル間の断線を判断する。つまり、この制御部6においてセル間の断線を検知すれば、電池1a〜1cへの充放電を停止するよう制御可能である。また、制御部6では、断線状態を検知せずとも、電池電圧検出部2を通じて検出された電圧に基づいて電池1a〜1cへの充放電を制御する。
以上のような構成を有する電池システムによれば、セル電圧の計測線3a〜3dのいずれかが断線し、断線した計測線の一端が他の計測線に接続され、電池電圧検出部2に両計測線を通っていた電池電圧、すなわち、各電池セルの電圧の2倍の電圧が加わろうとも、電池電圧検出部2に各セルの電池電圧の3倍の耐圧を有する高耐圧コンデンサ4a〜4cを備えているので、当該電池システムの過電圧による破損を防止することができる。すなわち、各セルの電池電圧の2倍の過電圧が加わろうとも電池電圧検出部2の耐圧内であり、当該電池電圧検出部2内のICが破壊することはない。
また、電池電圧検出部2を高耐圧とすることにより、数百Vの高電圧が要求され、多数の電池が必要となるハイブリッドカーや電気自動車に搭載する場合であっても安全性を確保でき、製品の信頼性の向上にも繋がる。
[他の実施形態]
なお、本発明は、上記のような高耐圧のコンデンサ4a〜4cを電池電圧検出部2に配設することにより当該電池電圧検出部2の耐圧を高める実施形態に限定するものではなく、この電池電圧検出部2を構成する回路自体に高耐圧の素子を採用し、当該検出部2の耐圧を向上させる実施形態も包含する。つまり、本発明における電池電圧検出部2は、各電池電圧の3倍以上の耐圧を実現可能であれば、如何様に構成された電圧検出回路であっても構わない。
本発明の実施形態に係る構成ブロック図 従来技術を示す構成ブロック図(セル間で断線した場合)
符号の説明
1a〜1c…電池
2…電池電圧検出部
2´…電池保護IC
3a〜3c…計測線
4a〜4c…高耐圧コンデンサ
5a、b…電源線
6…制御部

Claims (2)

  1. モジュール内に直列に接続された複数の電池と前記各電池の電圧を検出する電圧検出回路を備えた電池システムにおいて、
    前記電圧検出回路は、前記複数の電池の数と対応する複数の高耐圧用のコンデンサが設けられ、
    前記複数の高耐圧用のコンデンサは、前記各電池の電圧の3倍以上の耐圧を有することを特徴とする電池システム。
  2. 複数の前記モジュールが、直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
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