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JP5253006B2 - トランジスタの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、p型窒化物半導体層の表層部にn型のソース領域とn型のドレイン領域が設けられているトランジスタと、そのトランジスタの製造方法に関する。
図10に例示するトランジスタ110が開発されており、非特許文献1に開示されている。トランジスタ110は横型の素子であり、サファイア基板102の表面にp型窒化物半導体層106が設けられている。p型窒化物半導体層106の表層部には、n型のソース領域118とn型のドレイン領域112が設けられている。ソース領域118の表面にソース電極120が設けられており、ソース領域118に電気的に接続している。ソース電極120は、ソース領域118だけでなくp型窒化物半導体層106にも接触している。ドレイン領域112の表面にドレイン電極114が設けられており、ドレイン領域112に電気的に接続している。ソース領域118とドレイン領域112の間のp型窒化物半導体層106に、ゲート絶縁膜117を介してゲート電極116が対向している。
上記したように、トランジスタ110では、ソース電極120が、ソース領域118だけでなくp型窒化物半導体層106にも接触している。ソース電極120をp型窒化物半導体層106に接触させることによって、p型窒化物半導体層106内で発生するホール(正孔)がp型窒化物半導体層106内に蓄積されることを防止する。すなわち、p型窒化物半導体層106内で発生したホールをp型窒化物半導体層106外に排出するために、ソース電極120をp型窒化物半導体層106に接触させている。ホールをp型窒化物半導体層106外に排出することができれば、トランジスタ110の破壊を防止することができる。
W . Huang, T . Khan and T . P . Chow, "Enhancement-Mode n-Channel GaN MOSFETs on P and n- GaN / Sapphire Substrates," ISPDS Technical Digests Session, 10. 1. 2006
トランジスタ110のゲート電極116に正の電圧を印加すると、n型ソース領域118とn型ドレイン領域112を隔てているp型窒化物半導体層106がn型に反転してチャネルが形成される。ソース電極120から供給される電子は、n型ソース領域118、n型に反転したチャネル、n型ドレイン領域112を移動し、ドレイン電極114に至る。p型窒化物半導体層106のp型不純物の濃度が濃いと、p型窒化物半導体層106がn型に反転しにくい。すなわち、トランジスタ110のしきい値電圧が高くなってしまう。トランジスタ110のしきい値電圧が高くなることを防止するためには、p型窒化物半導体層106のp型不純物の濃度を薄くしなくてはいけない。非特許文献1では、p型窒化物半導体層106のp型不純物の濃度の例として、4×1015cm−3という薄い濃度が例示されている。
しかしながら、p型窒化物半導体層106のp型不純物の濃度が薄いと、ソース電極120とp型窒化物半導体層106の間に良好なコンタクトが得られない。そのため、p型窒化物半導体層106内で発生したホールを、ソース電極120を介してp型窒化物半導体層106外に排出することが困難になってしまう。p型窒化物半導体層106内で発生したホールを窒化物半導体層106外に排出するためには、p型窒化物半導体層106のp型不純物の濃度を濃くしなくてはいけない。従来のトランジスタ110では、p型窒化物半導体層106のp型不純物の濃度を濃くするとしきい値電圧が高くなり、薄くするとホールがp型窒化物半導体層106内に蓄積される。
本発明は、p型窒化物半導体層の表層部にn型のソース領域とn型のドレイン領域が設けられているトランジスタにおいて、しきい値電圧を数Vに設定して(しきい値電圧を高くすることなく)、p型窒化物半導体層内におけるホールの蓄積が抑制されたトランジスタを提供することを目的とする。
本明細書で開示されるトランジスタの製造方法は、p型窒化物半導体層を結晶成長させる工程に特徴を有する。この結晶成長工程では、p型不純物の供給量を経時的に変更することによって、p型不純物の濃度が表層部よりも濃い高濃度領域を深部に形成する。基準電位に接続する基準電極は、この高濃度領域に接するように形成される。高濃度領域のp型不純物の濃度は濃いので、高濃度領域と基準電極は良好にコンタクトすることができる。このため、p型窒化物半導体層内で発生したホールは、基準電極を介してp型窒化物半導体層外にスムーズに排出される。また、ソース領域とドレイン領域は、p型窒化物半導体層の表層部に形成される。p型窒化物半導体層の表層部は、p型不純物の濃度が薄いので、しきい値電圧を数V程度と低くすることができる。
本明細書で開示される製造方法によると、しきい値電圧を数V程度と低くすることができるとともに、p型窒化物半導体層内におけるホールの蓄積が抑制されたトランジスタを簡易に製造することができる。
さらに、上記の結晶成長工程は、p型不純物の供給を停止してから所定時間経過後に終了する。なお、「p型不純物の供給を停止する」とは、「p型不純物の供給量を0に変更する」と同義である。
結晶成長工程のうち、p型不純物を供給している間は、p型不純物の濃度が濃い高濃度領域が結晶成長する。p型不純物の供給を停止した後は、高濃度領域に含まれているp型不純物が拡散しながら、高濃度領域上にp型不純物の濃度が薄い窒化物半導体が結晶成長する。すなわち、p型不純物の濃度が深部よりも薄い領域を表層部に有するp型窒化物半導体層を結晶成長させることができる。p型不純物の濃度が表層部と深部で異なるp型窒化物半導体層を結晶成長させることができる。
すなわち、本明細書では、p型窒化物半導体層の表層部にn型のソース領域とn型のドレイン領域が設けられているトランジスタの製造方法を開示する。その製造方法は、p型不純物の供給量を径時的に変更することによって、p型不純物の濃度が表層部よりも濃い高濃度領域を深部に有するp型窒化物半導体層を基板上に結晶成長させる結晶成長工程と、基準電位に接続する基準電極を高濃度領域に接するように形成する電極形成工程を備えている。
本明細書で開示される製造方法では、ソース領域とドレイン領域の形成範囲以外のp型窒化物半導体層の一部を、表面から高濃度領域に達するまでエッチングするエッチング工程をさらに備えているのが望ましい。この場合、電極形成工程では、エッチングして露出した高濃度領域の表面に基準電極を形成する。
この製造方法によると、p型窒化物半導体層の表層部に浅いトレンチを形成するだけで、高濃度領域と基準電極を接続することができる。また、この製造方法で得られるトランジスタは、基準電極、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極が基板に対して同一面側に配置される。
上記の結晶成長工程は、p型不純物の供給を停止するまで、p型不純物を一定の供給量で供給することが好ましい。p型不純物の供給量を一定とすれば、流量計を1つだけ用意すればよく、例えば高流量計と低流量計の2つを用意する必要がない。
p型窒化物半導体層の材料が窒化ガリウムであり、p型不純物がマグネシウムであることが好ましい。
マグネシウムは、窒化ガリウム内で拡散しやすい。そのため、高濃度領域上に不純物を含まない(i型の)窒化物半導体を結晶成長させると、i型であるはずの窒化物半導体が容易にp型の窒化物半導体になる。p型不純物の濃度が高濃度領域よりも薄い領域を表層部に有するp型窒化物半導体層を、確実に得ることができる。
ソース領域は、基準電極とドレイン領域の間に設けられていてもよい。
ソース領域と基準電極とドレイン領域の位置関係を上記のようにすると、p型窒化物半導体層内で発生したホールを、p型窒化物半導体層外に効率よく排出することができる。
本明細書では、上記製造方法で得られるトランジスタも提供する。そのトランジスタは、p型不純物の濃度が表層部よりも濃い高濃度領域を深部に有しているp型窒化物半導体層と、p型窒化物半導体層の表層部に設けられているn型のソース領域と、p型窒化物半導体層の表層部に設けられており、ソース領域から離反しているn型のドレイン領域と、少なくともソース領域とドレイン領域を隔てているp型窒化物半導体層に対向しているゲート電極と、高濃度領域に接するとともに基準電位に接続される基準電極を備えている。
上記のトランジスタは、p型窒化物半導体層の表層部の濃度が薄いので、ソース領域とドレイン領域を隔てているp型窒化物半導体層にチャネルが形成されやすい。すなわち、トランジスタのしきい値電圧が低い。また、高濃度領域に接している基準電極を備えているので、p型窒化物半導体層内で発生したホールを、その基準電極を介してp型窒化物半導体層外に排出することができる。トランジスタの破壊を防止することができる。
本明細書で開示されるトランジスタでは、p型窒化物半導体層に表面から高濃度領域に至るトレンチが形成されており、基準電極がそのトレンチの底面に露出する高濃度領域の表面の少なくとも一部に接していることが好ましい。
本明細書で開示されるトランジスタでは、p型窒化物半導体層のp型不純物の濃度が、高濃度半導体領域からp型窒化物半導体層の表層部に向けて連続的に低下していることが好ましい。
上記トランジスタは、p型窒化物半導体層の表層部が高濃度領域に含まれていたp型不純物の拡散を伴いながら形成されたことを反映している構造である。
本明細書で開示する技術によると、p型窒化物半導体層の表層部にn型のソース電極とn型のドレイン電極が設けられているトランジスタにおいて、しきい値電圧が低く、p型窒化物半導体層内におけるホールの蓄積が抑制されたトランジスタを得ることができる。
(第1実施形態)
図1に、横型のトランジスタ10の要部断面図を示す。トランジスタ10では、p型窒化物半導体層6の表面に、ソース電極20とドレイン電極14が設けられている。ソース電極20とドレイン電極14の間に、ゲート電極16が設けられている。後述するが、トランジスタ10では、ゲート電極16に印加する電圧を変化することにより、オン・オフを切換える。以下、トランジスタ10の形態を裏面側から詳細に説明する。
サファイアを材料とする基板2の表面に、窒化ガリウム(GaN)を材料とするp型窒化物半導体層6が設けられている。後述するように、基板2は、p型窒化物半導体層6を結晶成長する際の下地層である。したがって、基板2に用いられる材料は、サファイアに代えて、例えば炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)及びシリコン(Si)等を利用することができる。p型窒化物半導体層6は、高濃度領域4と低濃度領域5を備えている。高濃度領域4はp型窒化物半導体層6のうち深部に配置されており、低濃度領域5はp型窒化物半導体層6のうち表層部に配置されている。高濃度領域4に含まれるp型不純物の濃度は、低濃度領域5に含まれるp型不純物の濃度よりも濃い。
p型窒化物半導体層6には、表面から高濃度領域4に至るトレンチ24が形成されている。トレンチ24の底部の一部に、ニッケルと金を材料とするボディ電極(基準電極)22が設けられている。ボデイ電極22は、トレンチ24の底部の少なくとも一部に形成されていればよい。ボディ電極22は、高濃度領域4に電気的に接続している。低濃度領域(p型窒化物半導体層6の表層部)5には、n型のソース領域18とn型のドレイン領域12が設けられている。ソース領域18とドレイン領域12は離反しており、両者の間に低濃度領域5の一部が介在している。ソース領域18の表面に、チタン、アルミニウム、ニッケル及び金を材料とするソース電極20が設けられている。ソース電極20は、ソース領域18に電気的に接続している。また、ドレイン領域12の表面に、チタン、アルミニウム、ニッケル及び金を材料とするドレイン電極14が設けられている。ドレイン電極14は、ドレイン領域12に電気的に接続している。なお、図示は省略しているが、ボディ電極22とソース電極20は基準電位(接地電位)に接続されており、ドレイン電極14は電源の高電位側に接続されている。
p型窒化物半導体層6に含まれている不純物はマグネシウム(Mg)であり、高濃度領域4の不純物濃度はおよそ1×1019cm−3であり、低濃度領域5の不純物濃度は表層に向かうに従って薄くなっている。低濃度領域5の不純物濃度については後述する。ソース領域18及びドレイン領域12に含まれている不純物はシリコン(Si)であり、その不純物濃度はおよそ1×1019cm−3である。
ソース領域18とドレイン領域12の間の低濃度領域5の表面に、酸化シリコン(SiO)を材料とするゲート絶縁膜17が設けられており、そのゲート絶縁膜17上に、アルミニウムを材料とするゲート電極16が設けられている。すなわち、ゲート電極16が、ゲート絶縁膜17を介して、ソース領域18とドレイン領域12を隔てている低濃度領域5に対向している。
トランジスタ10の動作について説明する。
型のソース領域18とn型のドレイン領域12の間にp型の低濃度領域5が介在しているので、ゲート電極16に正の電圧が印加されていないときは、ソース領域18からドレイン領域12に向けて電子が移動することができない。そのため、ゲート電極16に正の電圧が印加されていないときは、トランジスタ10がオフしている。ゲート電極16に正の電圧が印加されると、ゲート電極16に対向している低濃度領域5がn型に反転し、電子のチャネルが形成される。ソース電極20から供給される電子は、ソース領域18、チャネル及びドレイン領域12を移動し、ドレイン電極14に至る。すなわちトランジスタ10は、ゲート電極16に正の電圧を印加することによりオンする。トランジスタ10は、ノーマリーオフ型のトランジスタである。
上記したように、ソース領域18とドレイン領域12はp型窒化物半導体層6の低濃度領域5内に設けられている。ソース領域18とドレイン領域12の間に電子の反転層(チャネル)が形成されやすいので、トランジスタ10のしきい値電圧を低くすることができる。また、ボディ電極22がp型窒化物半導体層6の高濃度領域4の表面に設けられている。ボディ電極22とp型窒化物半導体層6の間に良好なコンタクトが得られるので、p型窒化物半導体層6内で生じたホールをボディ電極22を介してp型窒化物半導体層6外に排出することができる。トランジスタ10の破壊を防止することができる。また、トランジスタ10を平面視したときに、ソース領域18が、ボディ電極22とドレイン領域12の間に設けられているので、p型窒化物半導体層6内で生じたホールを効率よく排出することができる。すなわち、トランジスタ10は、p型窒化物半導体層6内におけるホールの蓄積を抑制することができる。
図2〜5を参照し、トランジスタ10の製造方法を説明する。
まず図2に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、基板2上にp型窒化物半導体層6を結晶成長させる(結晶成長工程)。結晶成長工程では、高濃度領域4が形成された時にマグネシウム(不純物)の供給を停止し、マグネシウムの供給を停止した後も結晶成長を継続する。すなわち、高濃度領域4を形成した後に、連続して、高濃度領域4上にマグネシウムを含まない窒化物半導体を結晶成長させる。マグネシウムの供給を停止しても、高濃度領域4に含まれているマグネシウムが拡散するので、マグネシウムを含む窒化物半導体(低濃度領域5)が高濃度領域4上に形成される。不純物の供給を停止して所定時間経過後に結晶成長を終了すれば、高濃度領域4上に低濃度領域5が形成されているp型窒化物半導体層6を得ることができる。低濃度領域5の不純物濃度は、表層に向かうに従って連続的に低下する。そのため、低濃度領域5の厚みを調整することによって、p型窒化物半導体層6の表層の不純物濃度を調整することができる。
次に、図3に示すように、p型窒化物半導体層6の表面に開口30aを有するマスク層30を形成する。マスク層30に形成されている開口30aは、ソース領域18とドレイン領域12に対応する(図1を参照)。その後、開口30aに向けてn型不純物をイオン注入する。具体的には、シリコンをドーズ量3×1015cm−2、加速電圧30keVでイオン注入する。その後、マスク層30を除去し、p型窒化物半導体層6の表面に再度マスク層(図示省略)を形成した状態で熱処理を行う。熱処理を行うことによって、イオン注入された不純物を活性化させることができる。なお、熱処理は、アンモニア(NH)ガス中で1000℃で実施する。
次に、図4に示すように、p型窒化物半導体層6の表面に開口32aを有するマスク層32を形成し、p型窒化物半導体層6の表面から高濃度領域4に達するまでドライエッチングする(エッチング工程)。p型窒化物半導体層6をドライエッチングすることにより、トレンチ24が形成される。トレンチ24は、高濃度領域4の内部にまで達していてもよい。なお、トレンチ24を形成する工程は、ソース領域18とドレイン領域12を形成するのに先立って実施してもよい。
次に、図5に示すように、p型窒化物半導体層6の表面に絶縁膜17を形成する。その後、図示は省略するが、トレンチ24の底部に形成されている絶縁膜17の一部を除去し、高濃度領域4を露出させる。そして、露出した高濃度領域4の表面にボディ電極22を形成する。同様に、ソース領域18の表面に位置する絶縁膜17の一部を除去し、ソース領域18の表面にソース電極20を形成する。ドレイン領域12の表面に位置する絶縁膜17の一部を除去し、ドレイン電極14を形成する。その後、ソース電極20とドレイン電極14の間の絶縁膜17(ゲート絶縁膜)上にゲート電極16を形成する。ゲート電極16は、トランジスタ10を平面視したときに、少なくともソース領域18とドレイン領域12の間の低濃度領域5に対向する範囲に形成する。以上の工程により、トランジスタ10が完成する。
上記したように、低濃度領域5の厚みを調整することによって、p型窒化物半導体層6の表層の不純物濃度を調整することができる。そのため、トランジスタ10のオン抵抗を調整することができる。以下に、低濃度領域5の厚みを変化させたときのp型窒化物半導体層6内の不純物濃度と、トランジスタ10のオン抵抗について説明する。
図6、7に、p型窒化物半導体層6の表面からの深さと、p型窒化物半導体層6内に含まれる不純物(マグネシウム)の濃度の関係を示す。グラフの横軸は表面からの深さ(単位:nm)を示し、縦軸は不純物の濃度(単位:cm−3)を示している。なお、グラフの縦軸では対数目盛を使用している。また、図中の符号5と符号4はそれぞれ、低濃度領域5と高濃度領域4を示している。すなわち、図6は、低濃度領域5の厚みが400nmのときの不純物濃度のカーブを示し、図7は、低濃度領域5の厚みが200nmのときの不純物濃度のカーブを示している。
図6、7に示すように、高濃度領域4内では、p型窒化物半導体層6の表面からの位置に係わらず、不純物濃度はほぼ一定(1×1019cm−3)である。そのため、上記エッチング工程において、高濃度領域4の表面が露出した時にエッチングを停止する必要はない。高濃度領域4の内部に達するまでエッチングしてもよい。エッチング深さを高度に制御する必要がない。また、図6、7から明らかなように、低濃度領域5の厚みに係わらず、高濃度領域4からの距離が200nmまでは、高濃度領域4から距離が増すに従って不純物濃度が低下している。そのため、低濃度領域5の厚みを調整することによって、ソース領域18とドレイン領域12が形成される部分のp型窒化物半導体層6の不純物濃度を調整することができる。なお、高濃度領域4からの距離が200nmの位置における不純物濃度は、およそ1×1017cm−3である。高濃度領域4からの距離が400nmの位置における不純物濃度は、およそ1×1016cm−3である。なお、図6では、高濃度領域4からの距離が200〜400nmの位置では、不純物濃度があまり変化していない。これは、不純物濃度が1×1017cm−3以下という低濃度になると、不純物検出装置で正確に検出することが困難になることを示している。実際には、高濃度領域4からの距離が増すに従って不純物濃度が低下している。
図8、9に、ゲート電極16に印加する電圧と、ソース領域18−ドレイン領域12間に流れる電流密度の関係を示す。グラフの横軸はゲート電極16に印加する電圧(単位:V)を示し、縦軸はソース領域18−ドレイン領域12間に流れる電流密度(単位:mA/mm)を示す。図8の実線は、低濃度領域5の厚みが400nmのときの電流密度のカーブを示し、図9の実線は、低濃度領域5の厚みが200nmのときの電流密度のカーブを示している。なお、図8、9の破線は、電流密度のカーブが直線的に変化している部分を延長したものである。それぞれの破線と横軸の交点における電圧値が、ゲート電極16のしきい値電圧を示す。なお、ドレイン電極14には、1Vの電圧が印加されている。
図8、9に示すように、低濃度領域5の厚みが400nmのときのしきい値電圧(1.2V)は、低濃度領域5の厚みが200nmのときのしきい値電圧(5.2V)よりも小さい。また、図8の曲線の傾きは、図9の曲線の傾きよりも大きい。すなわち、p型窒化物半導体層6の表層の不純物濃度が薄いほど、ゲート電極16のしきい値電圧を低くすることができるとともに、トランジスタ10のオン抵抗を低くすることができることを示している。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
第1実施形態のトランジスタの縦断面図を示す。 第1実施形態のトランジスタの製造工程を示す。 第1実施形態のトランジスタの製造工程を示す。 第1実施形態のトランジスタの製造工程を示す。 第1実施形態のトランジスタの製造工程を示す。 低濃度領域の厚みが400nmのときの不純物濃度のカーブを示す。 低濃度領域の厚みが200nmのときの不純物濃度のカーブを示す。 低濃度領域の厚みが400nmのときのソース領域−ドレイン領域間の電流密度カーブを示す。 低濃度領域の厚みが200nmのときのソース領域−ドレイン領域間の電流密度カーブを示す。 従来のトランジスタの縦断面図を示す。
符号の説明
2:基板
5:高濃度領域
6:p型窒化物半導体層
10:トランジスタ
12:ソース領域
16:ゲート電極
18:ドレイン領域
22:ボディ電極(基準電極)
24:トレンチ

Claims (5)

  1. p型窒化物半導体層の表層部にn型のソース領域とn型のドレイン領域が設けられているトランジスタの製造方法であって、
    p型不純物の供給量を経時的に変更することによって、p型不純物の濃度が表層部よりも濃い高濃度領域を深部に有する前記p型窒化物半導体層を基板上に結晶成長させる結晶成長工程と、
    基準電位に接続する基準電極を前記高濃度領域に接するように形成する電極形成工程と、を備えており、
    前記結晶成長工程は、p型不純物の供給を停止してから所定時間経過後に終了することを特徴とするトランジスタの製造方法。
  2. 前記ソース領域と前記ドレイン領域の形成範囲以外の前記p型窒化物半導体層の一部を、表面から前記高濃度領域に達するまでエッチングするエッチング工程をさらに備えており、
    前記電極形成工程では、エッチングして露出した前記高濃度領域の表面に基準電極を形成することを特徴とする請求項1に記載のトランジスタの製造方法。
  3. 前記結晶成長工程は、p型不純物の供給を停止するまで、p型不純物を一定の供給量で供給することを特徴とする請求項1又は2に記載のトランジスタ。
  4. 前記p型窒化物半導体層の材料は窒化ガリウムであり、
    前記p型不純物はマグネシウムであることを特徴とする請求項に記載のトランジスタの製造方法。
  5. 前記ソース領域は、前記基準電極と前記ドレイン領域の間に設けられていることを特徴とする請求項2〜のいずれか一項に記載のトランジスタの製造方法。
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