JP5248427B2 - メタクリル系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献7には、ビニル結合に富む共役ジエン重合体成分とアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル重合体成分とからなるブロック共重合体にメタクリル酸メチルをその重合条件下で反応させることを特徴とする耐衝撃性および加工性の良好なメタクリル樹脂成形材料の製造方法が開示されている。
これら特許文献で開示されている樹脂組成物などでは、耐衝撃性の改善効果が不十分なもの、ブツ(フィッシュアイ)の発生で成形品の外観が損なわれたもの、分散ドメインの大きさ制御が困難で表面光沢が低いもの、またはヘーズが高く透明性に劣るものが得られやすく、十分に満足できるものでなかった。
〔ブロック共重合体〕
本発明に用いられるブロック共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するものである。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。これらは1種単独で重合させてもよいし、2種以上を組み合わせて共重合させてもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せが好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(a)を与える単量体または単量体の組合せがより好ましい。このような単量体としては、アクリル酸n−ブチルおよび/またはアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなどが挙げられる。これらは1種単独で重合させてもよいし、2種以上を組み合わせて共重合させてもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せが好ましく、Tgが−10℃以下の重合体ブロック(b)を与える単量体または単量体の組合せが好ましい。このような単量体として、汎用性、経済性、取り扱い性の観点から、1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
なお、側鎖ビニル結合の量は、共役ジエン化合物単位中の炭素−炭素二重結合の内の分子主鎖に側鎖として結合するビニル基の割合[mol%]で表される。例えば、1,3−ブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)である場合、1H−NMRを用いて分析し、化学シフト4.7〜5.2ppmの1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)シグナルの積分強度C0と、化学シフト5.2〜5.8ppmのビニルプロトン(=CH−)シグナルの積分強度D0をそれぞれ求め、次式によって計算して、側鎖ビニル結合量V0[%]を求めることができる。
V0=〔(C0/2)/{(C0/2)+(D0−(C0/2))/2}〕×100
該ブロック共重合体の結合様式としては、a―b型ジブロック共重合体、a―b―a型トリブロック共重合体、b―a―b型トリブロック共重合体、a―b―a―b型テトラブロック共重合体などに代表される線状ブロック共重合体;(b―a―)n、(a―b―)nなどで代表される星型(ラジアルスター型)ブロック共重合体;a―g―bで表されるグラフト型ブロック共重合体などが挙げられる。なお、nは2より大きい値である。gはグラフト結合を示す結合記号である。該ブロック共重合体は、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との間に傾斜連結部を有するものであってもよい。傾斜連結部は、重合体ブロック(a)の繰り返し単位の組成から、重合体ブロック(b)の繰り返し単位の組成に、漸次変化していく繰り返し単位組成を有する部分である。これらブロック共重合体は、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ブロック共重合体の屈折率は、重合体を構成する繰り返し単位の種類、組成比、重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量などを選択することによって調整できる。例えば、アクリル酸n−ブチルに由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(a)と1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位からなる未水添の重合体ブロック(b)からなるジブロック共重合体では、ジブロック共重合体全体の質量に対してアクリル酸n−ブチルの含量を50〜70質量%、1,3−ブタジエンの含量を50〜30質量%にすると、ポリメタクリル酸メチルの屈折率とほぼ一致し、透明なメタクリル系樹脂組成物を得ることができる。
星型ブロック共重合体は、複数の腕重合体ブロックが多官能性単量体や多官能性カップリング剤などに由来する基(カップリング残基)によって連結された共重合体を含むものである。
(重合体ブロック(b)―重合体ブロック(a)―)nX
(式中、Xはカップリング残基、nは2を超える数を表す。)で表されるものが、星型ブロック共重合体として特に好ましい。
なお、〔星型ブロック共重合体の数平均分子量〕/〔腕重合体ブロックの数平均分子量〕の比は腕数と呼ばれることがある。
AlR1R2R3
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表すか、またはR1が前記のいずれかの基を表し、R2およびR3は一緒になって置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基を表す。)で表されるものが挙げられる。
多官能性単量体は、エチレン性不飽和基を2以上有する化合物であり、具体的には、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどが挙げられる。
多官能性カップリング剤は、反応性基を3以上有する化合物であり、具体的には、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ビス(トリクロロシリル)エタン、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、テトラクロロゲルマニウムなどが挙げられる。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂は、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有する樹脂である。
メタクリル酸メチル単位以外のビニル系単量体単位としては、一分子中にアルケニル基を一個だけ有する非架橋性単量体が挙げられる。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸アルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
メタクリル酸メチル/他のビニル系単量体の質量比は、50/50〜100/0、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは90/10〜98/2である。
さらに、本発明に用いられるメタクリル系樹脂は、分子量分布(=重量平均分子量/数平均分子量)が、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.3以下のものである。分子量分布が3.0を超えるとメタクリル系樹脂組成物の耐衝撃性が低下傾向になる。 なお、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した標準ポリスチレン換算の分子量である。メタクリル系樹脂の分子量や分子量分布は、重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量などを調整することによって制御できる。
なお、粒子径は、次のようにして求めた。まず、メタクリル系樹脂組成物の成形品をアセトンに浸漬して、メタクリル系樹脂などを溶解させる。該アセトン溶液を用いて、動的光散乱法で、アセトン不溶分(ブロック共重合体を含んで成る粒子)のメジアン径を測定し、これを本発明における粒子径とした。アセトンに溶解しない該粒子は、メタクリル系樹脂組成物において、メタクリル系樹脂からなるマトリックスに対して分散ドメインを成すものであったと考えられる。
この分散ドメインは電子顕微鏡によってその存在を確認できる。分散ドメインの大きさは、染色されたメタクリル系樹脂組成物の電子顕微鏡による観察で測定される平均径として、好ましくは0.1〜3μm、より好ましくは0.15〜2.5μm、さらに好ましくは0.2〜2μmである。
アセトン不溶分のトルエン膨潤指数は以下の方法で求めた値である。
メタクリル系樹脂組成物の成形品をアセトンに浸漬して、メタクリル系樹脂などを溶解させる。遠心分離によってアセトン不溶分を分離する。アセトン不溶分は、ブロック共重合体とメタクリル系樹脂がグラフト結合してなるものであると考えられる。このアセトン不溶分を40℃で24時間真空下で乾燥させる。この乾燥物0.5gにトルエン20gを加え、25℃で24時間浸漬する。この浸漬によって乾燥物は膨潤する。膨潤したゲル分をスパチェラですくい取り、すばやく秤量する(Wg)。秤量したゲル分を80℃で24時間真空下で乾燥させて、トルエンを除去する。乾燥後の質量Wdを測定する。質量Wgと質量Wdとから、次式により計算して、トルエン膨潤指数を求める。
トルエン膨潤指数=(〔Wg−Wd〕/Wd)×100
トルエン膨潤指数は、重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合量、メタクリル系樹脂を製造するときの重合開始剤の量や種類、重合時の温度、重合転化率、分子量調節剤の量や種類を調整することによって制御できる。
しかしながら、本発明のメタクリル系樹脂組成物の製造方法としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体を、メタクリル酸メチルを50質量%以上含有する単量体混合物に溶解し、せん断下で該単量体混合物の重合を行い、重合途中において単量体混合物の重合によって得られるメタクリル系樹脂溶液相とブロック共重合体溶液相とを相反転させることを含む方法が好ましい。そこで、この製造方法について説明する。
単量体混合物に用いられるメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、前記メタクリル系樹脂の単量体単位として列挙したものと同じものを列挙できる。
使用する溶剤は、単量体混合物、単量体混合物の重合で得られるメタクリル系樹脂、およびブロック共重合体を溶解することができるものであれば特に限定されない。例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素などが望ましいものとして挙げられる。また、必要に応じて、2種類以上の溶剤を混合して使用しても良い。混合溶剤を用いる場合には、単量体混合物、メタクリル系樹脂およびブロック共重合体を溶解できる混合溶剤であれば、単量体混合物、メタクリル系樹脂およびブロック共重合体を溶解できない溶剤が混合溶剤に含まれていても良い。例えば、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ヘキサンなどの炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素などが混合溶剤に含まれていてもよい。
原料液中の溶剤の量は、単量体混合物100質量部に対して、通常、0〜100質量部、好ましくは0〜90質量部である。溶剤の量が多いほど原料液の粘度が下がり取扱い性が良好となるが、連鎖移動反応などの副反応を引き起こし、グラフト反応および架橋反応を阻害することがあり、生産性が低下傾向になる。
単量体混合物の重合は、原料液に重合開始剤を添加することによって開始される。また、必要に応じて連鎖移動剤を原料液に添加して、得られる重合体の分子量、アセトン不溶分のトルエン膨潤指数、架橋率などを調節できる。
重合開始剤は、反応ラジカルを発生するものであれば特に限定されない。重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキシルカルボニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネートなどの有機過酸化物などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、重合開始剤の添加時期や添加方法などは、所定の反応が進行するかぎり、特に限定されないが、重合開始時に仕込んだ重合開始剤で前段重合を行い、反応の途中で重合開始剤を追加添加して後段重合を行うことが好ましい。
相反転が生じた後の重合には、塊状重合法または溶液重合法が適用できるが、これら以外に懸濁重合法、注型重合法も適用できる。
また、重合転化率は95質量%以下であることが好ましい。重合転化率が95質量%を超えると、メタクリル系樹脂の分子量分布が広くなる傾向になり、耐衝撃性の低下に繋がる恐れがある。
下記の装置および測定条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析を行い、分子量既知の標準ポリスチレンで較正して求めた。
装置:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー社製TSKgel GMHXL、G4000HXLおよびG5000HXLを直列に連結
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)計
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
下記の装置および測定条件にて、ガスクロマトグラフィー(GC)による分析を行い、それに基づいて求めた。
装置:島津製作所社製ガスクロマトグラフ GC−14A
カラム:GL Sciences Inc.製 INERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
分析条件:injection温度180℃、detector温度180℃、60℃(0分間保持)→昇温速度10℃/分→200℃(10分間保持)
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を下記の装置および条件にて、射出成形し、評価用の成形品を得た。
射出成形機:日本製鋼所社製J75SAV
成形条件:H1/H2/HV/H3/MH=200/210/230/250/250℃、金型温度60℃
成形品をアセトンに浸漬して、メタクリル系樹脂などを溶解させた。該アセトン溶液を用いて、動的光散乱法で、アセトン不溶分(ブロック共重合体を含んで成る粒子)のメジアン径を測定し、これを本発明における粒子径とした。
測定装置:株式会社堀場製作所製 光散乱測定装置 LA−300
成形品をアセトンに浸漬して、メタクリル系樹脂などを溶解させた。遠心分離によってアセトン不溶分を分離した。アセトン不溶分は、ブロック共重合体とメタクリル系樹脂がグラフト結合してなるものであるとみなす。このアセトン不溶分を40℃で24時間真空下で乾燥させた。この乾燥物0.5gにトルエン20gを加え、25℃で24時間浸漬した。この浸漬によって乾燥物は膨潤した。膨潤したゲル分をスパチェラですくい取り、すばやく秤量した(Wg)。秤量したゲル分を80℃で24時間真空下で乾燥させて、トルエンを除去した。乾燥後の質量Wdを測定した。質量Wgと質量Wdとから、次式により計算して、トルエン膨潤指数を求めた。
トルエン膨潤指数=(〔Wg−Wd〕/Wd)×100
遠心分離条件
装置:日立工機株式会社製 高速遠心分離機 CR−21E
条件:0℃、20,000rpm、180分間
ISO179−1eAに準拠して、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。
ISO178に準拠して、曲げ弾性率を測定した。
射出成形で得られた厚さ3mmの成形品の表面光沢性を以下の判断基準により評価した。
[成形品の表面光沢性の判断基準]
○:表面が平滑であり、光沢がある。
×:表面に凹凸があり、すりガラス状で光沢がない。
ブロック共重合体を重クロロホルムに溶解し試験液を得、1H−NMR(日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)を用いて該試験液を分析し、化学シフト4.7〜5.2ppmの1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)シグナルの積分強度C0と、化学シフト5.2〜5.8ppmのビニルプロトン(=CH−)シグナルの積分強度D0をそれぞれ求め、次式によって、側鎖ビニル結合量V0[mol%]を計算して求めた。
V0=〔(C0/2)/{(C0/2)+(D0−(C0/2))/2}〕×100
重合体ブロック(a)として用いたポリアクリル酸n−ブチルのガラス転移温度(Tg)は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH Edition, VI/199頁, Wiley Interscience, New York, 1998」に記載の値(−49℃)を用いた。
また、重合体ブロック(b)として用いたポリ1,3−ブタジエンのガラス転移温度(Tg)は、「ANIONIC POLYMERIZATION, 434頁, MARCEL DEKKER,Inc. 1996」に記載の1,2−ビニル結合量とTgの関係より導かれる値を用いた。
「POLYMER HANDBOOK FOURTH Edition, VI/571〜582頁, Wiley Interscience, New York, 1998」の記載から、ホモポリマーの値(ポリアクリル酸n−ブチル:1.466、ポリ1,3−ブタジエン:1.515)を引用し、共重合組成割合に応じて加成則により計算して求めた。
(1)攪拌機付10リットルのオートクレーブ容器に、トルエン6.85Lおよび1,2−ジメトキシエタンを0.138mlを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液0.034Lを加え、次いで1,3−ブタジエン0.804Lを加えて、30℃で4時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量(Mn)が20,500、分子量分布(Mw/Mn)が1.02、側鎖ビニル結合量が30mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−75℃であった。
得られた反応混合物をメタノールに注ぎ入れて、星型ブロック共重合体(B−1)を析出させることによって得た。得られた星型ブロック共重合体(B−1)の収率はほぼ100%であった。表1に星型ブロック共重合体(B−1)の特性を示す。なお、表中のBAはアクリル酸n−ブチル、BDは1,3−ブタジエンを意味する。
合成例1−(1)で添加した1,2−ジメトキシエタンの量を0.234mlに変更した以外は、合成例1と同じ手法によって、星型ブロック共重合体(B−2)を得た。表1に星型ブロック共重合体(B−2)の特性を示す。なお、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))の数平均分子量(Mn)は21,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.02、側鎖ビニル結合量が40mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−65℃であった。ブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体の数平均分子量は39,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.05であり、屈折率が1.486であった。
合成例1−(1)で添加した1,2−ジメトキシエタンの量を0.373mlに変更した以外は、合成例1と同じ手法によって、星型ブロック共重合体(B−3)を得た。表1に星型ブロック共重合体(B−3)の特性を示す。なお、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))の数平均分子量(Mn)は20,500、分子量分布(Mw/Mn)が1.03、側鎖ビニル結合量が58mol%であり、1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロック(b))のガラス転移温度は−46℃であった。ブタジエン―アクリル酸n−ブチルジブロック共重合体の数平均分子量は41,000であり、その重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.05であり、屈折率が1.486であった。
攪拌機および採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル53質量部、アクリル酸メチル4.3質量部、およびトルエン35質量部を仕込み、そして星型ブロック共重合体(B−1)7.7質量部を添加し、30℃で8時間攪拌し、均一に溶解させた。次いで、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製:パーブチル0)0.025質量部、およびn−ドデシルメルカプタン0.110質量部を加え均一に溶解させて、原料液を得た。
窒素により反応器および付属装置内の酸素を追い出した。原料液を、110℃に制御された3Lの完全混合型反応器Aに平均滞留時間70分間となるように連続的に供給して重合を行った。反応器Aの出口の採取管から重合液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率が26質量%であった。
星型ブロック共重合体(B−1)を星型ブロック共重合体(B−2)に替えた以外は、実施例1と同じ手法によって、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを射出成形機にて成形し評価用成形品を得た。その評価結果を表2に示す。該樹脂ペレットは、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸メチル単位からなるメタクリル系樹脂87質量%と、アクリル酸ブチル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)とを有する星型ブロック共重合体13質量%とを含有し、該ブロック共重合体が粒子径0.8μmでメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散してなるメタクリル系樹脂組成物であった。
星型ブロック共重合体(B−1)を星型ブロック共重合体(B−3)に替えた以外は、実施例1と同じ手法によって、樹脂ペレットを得た。得られたペレットを射出成形機にて成形し評価用成形品を得た。その評価結果を表2に示す。該樹脂ペレットは、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸メチル単位からなるメタクリル系樹脂87質量%と、アクリル酸ブチル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)とを有する星型ブロック共重合体13質量%とを含有し、該ブロック共重合体が粒子径2.3μmでメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散してなるメタクリル系樹脂組成物であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部で添加した1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサンの量を0.035質量%に変更する以外は、実施例1と同じ手法によって、樹脂ペレットを得た。反応器Cの出口の採取管から重合液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率は73質量%であった。得られた樹脂ペレットを射出成形機にて成形し評価用成形品を得た。その評価結果を表2に示す。該樹脂ペレットは、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸メチル単位からなるメタクリル系樹脂84.5質量%と、アクリル酸ブチル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)とを有する星型ブロック共重合体15.5質量%とを含有し、該ブロック共重合体が粒子径0.7μmでメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散してなるメタクリル系樹脂組成物であった。
ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管部で添加した1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサンの量を0.120質量%に変更する以外は、実施例1と同じ手法によって、樹脂ペレットを得た。反応器Cの出口の採取管から重合液を少量抜き取り、ガスクロマトグラフィーによって分析した。重合転化率は93質量%であった。得られた樹脂ペレットを射出成形機にて成形し評価用成形品を得た。その評価結果を表2に示す。該樹脂ペレットは、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸メチル単位からなるメタクリル系樹脂87.4質量%と、アクリル酸ブチル単位からなる重合体ブロック(a)とブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)とを有する星型ブロック共重合体12.6質量%とを含有し、該ブロック共重合体が粒子径0.7μmでメタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散してなるメタクリル系樹脂組成物であった。
Claims (3)
- メタクリル酸メチル単位を50質量%以上有するメタクリル系樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(B)とを含有し、
該重合体ブロック(b)中の側鎖ビニル結合の量が50mol%以下であり、
該ブロック共重合体が粒子径2μm以下で該メタクリル系樹脂からなるマトリックスに分散しており、且つ
アセトン不溶分のトルエン膨潤指数が7〜20であるメタクリル系樹脂組成物。 - 前記ブロック共重合体はガラス転移温度が0℃以下である重合体ブロック(a)45〜75質量%とガラス転移温度が0℃以下である重合体ブロック(b)25〜55質量%とを有し、且つ該ブロック共重合体の屈折率が1.48〜1.50である請求項1に記載の記載のメタクリル系樹脂組成物。
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体を、メタクリル酸メチルを50質量%以上含有する単量体混合物に溶解し、せん断下で該単量体混合物の重合を行い、重合途中において単量体混合物の重合によって得られるメタクリル系樹脂溶液相とブロック共重合体溶液相とを相反転させることを含む、請求項1または2に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
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