JP5113247B2 - 遊技施設用汚染空気浄化システム - Google Patents

Description

本発明は、パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機が設置される遊技施設内において遊技者の喫煙により発生したタバコの煙によって汚染された空気を浄化するために設けられる遊技施設用汚染空気浄化システムに関する。

一般に、パチンコホール等の遊技施設には、パチンコ遊技機やスロットマシン等の複数の遊技機が設置されて幾つもの遊技島が形成されており、各遊技島において、遊技者はそれぞれの遊技機に向かって遊技を行っている。このような状況の下、喫煙しながら遊技を楽しむ遊技者も多いため、遊技施設内の空気環境は、タバコの煙によって悪化しがちである。

そこで、従来、遊技施設内のタバコの煙によって汚染された空気環境を改善するため、各種技術が提案されており、例えば、内部にファンを備えたエア吸引部をパチンコ台の上部に設けると共に玉箱カウンター台の幅方向に各パチンコ台同士を分断するようにエア吹出部を設け、前記エア吸引部からの吸引により該エア吸引部と前記エア吹出部との間にエアカーテンを形成してタバコの煙の流入を防止するタバコの煙遮断装置（特許文献１参照）や、上下にそれぞれ吹出口及び吸込口を備えると共に内部に送風ファンを備えた空気清浄機をゲーム機の上方に設け、下側の吸込口から吸引した空気を清浄化して上側の吹出口から吹き出す空気清浄設備（特許文献２参照）などが知られている。

また、図８に示されているように、空気浄化装置１により浄化されると共に空調機２により所望な温湿度に調整された空調空気が、パチンコ台３の前方に配置された椅子４の基台部５に設けられた吹出口６を介して床下から吹き出された後、椅子４の上方に設けられた吸込口７に吸い込まれて椅子４の周囲に空調空気の上昇流を形成する空調システム（特許文献３参照）等も知られている。
特開平１０−１６５６２５号公報 特開平１１−２２６３５９号公報 特開平８−２６１５０５号公報 しかしながら、上記した従来の技術のうち、特許文献１や特許文献２に記載の技術では、吹出口の１／５の誘引効果しかない吸込口側で空気を吸引しているため、タバコの煙の拡散の防止を十分に行うことができず、隣席の遊技者に不快感を与えるといった問題や、タバコ臭気を十分に除去することができないといった問題があった。

また、特許文献３に記載の技術では、床下にダクトを敷設しなければならず、大規模な工事を必要とするため、既存の遊技施設に設置するのが難しいといった問題や、床上の吹出口６に落下したゴミや飲食物等が再度飛散して空気が汚染されるといった問題があった。

本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、隣席の遊技者に不快感を与えることがなく、タバコ臭気を確実に除去することができ、設置工事が簡単で、長期間に渡って優れた除去性能を発揮することのできる遊技施設用汚染空気浄化システムを提供することを目的とするものである。

上記目的を達成するため、本発明に係る遊技施設用汚染空気浄化システムには、遊技機が設置される遊技施設内において喫煙者のタバコ煙の隣席への拡散を防止するため、前記遊技機の左右両側に、空気を斜め上方に向かって吹き出し可能に構成された気流制御装置が設けられており、該気流制御装置は、風量が２２ｍ^３／ｈ以上で、床上８００〜１５００ｍｍの高さに設置され、吹き出し気流の誘引効果でタバコ煙の上昇を促進させることを特徴とする。

また、前記気流制御装置によって斜め上方に向かって吹き出された前記空気は、空気浄化装置により処理された後に清浄空気として遊技施設内に循環されるか、或いは、全量が遊技施設外に排出されると共に同量の外気が空調機で処理された後に遊技施設内に供給されることによって、該遊技施設内の空気環境が改善されるように構成されている。

本発明によれば、隣席の遊技者に不快感を与えることがなく、タバコ臭気を確実に除去することができ、設置工事が容易となり、長期間に渡って優れた除去性能を発揮することができる。

本発明の第１の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システムを示す斜視図である。 本発明の第１の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システムの性能試験を行った時の煙発生位置及びタバコ臭気濃度測定位置を示す平面図である。 （ａ）〜（ｃ）はそれぞれ、本発明の第１の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システムの性能試験を行った時の気流制御装置の設置高さを示す斜視図である。 本発明の第１の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システムの性能試験を行った時の煙発生位置及びタバコ臭気濃度測定位置を示す平面図である。 本発明の第２の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システムを示す模式図である。 本発明の第２の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システムの性能試験を行った時の煙発生位置及びタバコ臭気濃度測定位置を示す平面図である。 本発明の第２の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システムの変形例を示す模式図である。 従来例を示す模式図である。

以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。

先ず、図１〜図４を参照しつつ、本発明の第１の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システムについて説明する。

図１に示されているように、本発明の第１の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システム１０は、複数（図１では２台）の遊技機１１が並設された遊技島１２の上方の天井に設置される天吊型空気浄化装置１３や壁面に沿って床上に設置される床置型空気浄化装置１４と、遊技機１１の左右両側上部において前方に突出して設けられる気流制御装置１５とを備えて構成されている。

天吊型空気浄化装置１３及び床置型空気浄化装置１４には、それぞれ遊技機１１が設置される遊技施設１９内においてタバコ１８の煙により汚染された空気を吸い込むための吸込口１６，１７と、該汚染された空気を浄化するための空気浄化部と、該空気浄化部で浄化した空気を圧送するための送風機と、該送風機により圧送された空気を遊技施設内に吹き出すための吹出口（いずれも図示省略）とが設けられている。

気流制御装置１５は、扁平な円柱形状を成し、内部にファン（図示省略）が設けられており、周囲から内部に吸い込んだ空気を斜め上方に向かって吹き出し、上昇気流を発生させて前記空気を吸込口１６に誘引させるように構成されている。

次に、上記した遊技施設用汚染空気浄化システム１０の作用について説明する。

遊技機１１の前方に座っている遊技者が喫煙する際、気流制御装置１５から斜め上方に吹出される空気による誘引効果と、タバコ１８の発熱による上昇効果とによって、タバコ１８の煙により汚染された空気は、拡散することなく上昇し、吸込口１６，１７を介して天吊型空気浄化装置１３及び床置型空気浄化装置１４の内部に吸い込まれる。なお、この時、空気は気流制御装置１５から斜め上方に吹出され、遊技者の顔に当ることがないため、遊技者がドラフトを感じることはない。

そして、このようにして天吊型空気浄化装置１３及び床置型空気浄化装置１４の内部に吸い込まれた汚染空気は、前記空気浄化部において、粉塵、及びＴＶＯＣ（総揮発性有機化合物）、ニコチン、アセトアルデヒド、アンモニア等のタバコ臭気成分が除去されて浄化された後、前記送風機により送出され、この浄化された空気は前記吹出口を介して遊技施設１９内に吹き出される。

以下、この時の遊技施設用汚染空気浄化システム１０の除去性能を評価する。

図２は本実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システム１０においてタバコ臭気濃度の除去性能を評価するために、遊技施設１９内でタバコ１８を燃焼させて煙を発生させたＡ地点（床上＋１１００）と、Ａ地点の両隣の席であってタバコ臭気濃度を測定したＢ，Ｃの２地点（床上＋１２００）の位置を示す平面図であり、図３の（ａ）〜（ｃ）はそれぞれこの時の気流制御装置１５の設置高さを示す斜視図、（ａ）の場合の設置高さは床上＋８００ｍｍ、（ｂ）の場合の設置高さは床上＋１５００ｍｍ、（ｃ）の場合の設置高さは床上＋１７００ｍｍである。そして、表１は、上記した図２及び図３の条件下において、気流制御装置１５の風量と、設置高さを変えた場合の粉塵濃度（μｇ／ｍ^３）の測定結果を示している。

この表１によれば、気流制御装置１５は、風量が２２ｍ^３／ｈ以上で、床上８００〜１５００mmの高さに設置した場合に最も除去性能が高くなることが判明した。

また、図４は本実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システム１０においてタバコ臭気濃度の除去性能を評価するために、遊技施設１９内でタバコ１８を燃焼させて煙を発生させた１〜８の地点（それぞれ、タバコ１８を喫煙する遊技者の手元の高さである床上＋７００ｍｍ、及び該遊技者の口元の高さである床上＋１１００ｍｍ）と、タバコ燃焼中の雰囲気測定地点×（床上＋１１００ｍｍの高さ）の位置を示す平面図である。そして、表２は、図４の煙発生地点１〜８の両隣の席（床上＋１２００ｍｍの高さ）における粉塵濃度（μｇ／ｍ^３）測定値の平均値を示している。

この表２によれば、気流制御装置１５をＯＮにした場合の隣席での粉塵濃度は、気流制御装置１５をＯＦＦにした場合と比べて著しく改善され、雰囲気濃度と同程度にまで低下することが判明した。このことからも気流制御装置１５によりタバコの煙の拡散を確実に防止できることが分かる。

次に、図５及び図６を参照しつつ、本発明の第２の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システムについて説明する。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、上記した第１の実施の形態の場合と同様の構成については、図５及び図６中、図１〜図４中と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。

図５に示されているように、本発明の第２の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システム２０は、遊技施設１９の外側に配置される空気浄化装置２１及び空気調和機２２と、給気ダクト２３を介して空気調和機２２と接続され、遊技島１２の上方の天井に設置される吹出口２４と、環気ダクト２５を介して空気浄化装置２１と接続され、遊技島１２の上方の天井に設置される吸込口２６と、外部から空気浄化装置２１と空気調和機２２との間に接続される外気導入ダクト２７と、環気ダクト２５から分岐して外部に開放される排気ダクト２８と、遊技機１１の左右両側上部において前方に突出して設けられる気流制御装置１５とを備えて構成されている。

次に、上記した遊技施設用汚染空気浄化システム２０の作用について説明する。

遊技機１１の前方に座っている遊技者が喫煙する際、気流制御装置１５から斜め上方に吹出される空気による誘引効果と、タバコ１８の発熱による上昇効果とによって、タバコ１８の煙により汚染された空気は、拡散することなく上昇し、吸込口２６に吸い込まれる。なお、この時、空気は気流制御装置１５から斜め上方に吹出され、遊技者の顔に当ることがないため、遊技者がドラフトを感じることはない。

そして、吸込口２６に吸い込まれた汚染空気は、環気ダクト２５を通って空気浄化装置２１に流入すると共に、一部の汚染空気は排気ダクト２８を通って外部に排出される。空気浄化装置２１に流入した汚染空気は、粉塵、及びＴＶＯＣ（総揮発性有機化合物）、ニコチン、アセトアルデヒド、アンモニア等の臭気成分を除去された後、外気ダクト２７により導入された外気と混合されて空気調和機２２に流入し、所望な温湿度に調整され、給気ダクト２３から吹出口２４を通って遊技施設１９内に吹き出される。

以下、この時の遊技施設用汚染空気浄化システム２０の除去性能を評価する。

図６は本実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システム２０においてタバコ臭気濃度の除去性能を評価するために、遊技施設１９内で２本のタバコ１８を同時に燃焼させて煙を発生させたＤ地点（床上＋１１００ｍｍ）と、Ｄ地点の両隣の席であってタバコ臭気濃度を測定したＥ，Ｆの２地点（床上＋１２００ｍｍ）と、Ｄ地点から十分に離れた廊下であってタバコ臭気濃度を測定したＧ地点（床上＋１５００）の位置をそれぞれ示す平面図である。そして、表３はＥ地点におけるタバコ臭気濃度（μｇ／ｍ^３）の測定結果を示し、表４はＦ地点におけるタバコ臭気濃度（μｇ／ｍ^３）の測定結果を示し、表５はＧ地点におけるタバコ臭気濃度（μｇ／ｍ^３）の測定結果を示している。

これらの表３，４，５によれば、気流制御装置１５と空気浄化装置２１の効果により、タバコの煙発生地点Ｄの隣席Ｅ，Ｆのタバコ臭気濃度は、タバコの煙発生地点Ｄから十分離れた廊下のＧ地点におけるタバコ臭気濃度と同程度にまで浄化できることが判明した。

また、表５によれば、本発明の気流制御装置１５と空気浄化装置２１の効果はタバコ燃焼地点から３．５ｍ離れたＧ地点においても、本発明の「なし」と「あり」との間では各臭気物質濃度の差が明らかであり、効果が大きいことが分かる。
なお、表３〜表５中のＮ．Ｄは検出限界以下であることを示している。

また、表６は、本実施の形態に係る気流制御装置１５を設置した場合と、この気流制御装置１５を設置していない従来の場合（上記した特許文献３の特開平８−２６１５０５号公報に記載の空調システムの場合）のそれぞれの場合において、粉塵とアセトアルデヒドの濃度を測定した結果を比較して示しており、この測定時のタバコ同時燃焼本数は２本であり、空気浄化装置１，２１の処理風量はいずれも１５００ｍ^３／ｈである。

この表６に示す測定結果から明らかなように、本実施の形態に係る発明の場合には、従来の場合と比較して、粉塵及びアセトアルデヒドの濃度共に著しく低い値を示しており、タバコ臭気除去効率が向上していることが分かる。

なお、上記した第２の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システム２０では、遊技施設１９の外側に空気浄化装置２１及び空気調和機２２を設けているが、これは単なる例示に過ぎず、例えば、図７に示すように、これらの空気浄化装置２１及び空気調和機２２を設ける代わりに外調機３０を設置し、外部から取り入れた外気をこの外調機３０で処理した後に吹出口２４から遊技施設１９内に吹き出すと共に吸込口２６を介して遊技施設１９内から吸い込んだ汚染空気をすべて外部に排出する、いわゆる全外気方式に本発明を適用することもできる。

このように上記した本発明の第１及び第２の実施の形態に係る遊技施設用汚染空気浄化システム１０，２０によれば、タバコ１８の煙の拡散を確実に防止し、タバコ臭気を高い除去率で除去することができるため、喫煙している遊技者の隣席の遊技者に不快感を与えることがない。

また、既存の遊技施設１９に遊技施設用汚染空気浄化システム１０，２０を設置する場合であっても、既存の壁、天井や床等を解体する必要がなく、大規模な工事を必要としないため、既存の遊技施設１９に容易に設置することができ、工事費の低減化を図ることができる。

さらに、床面のゴミや飲食物等を飛散させることがなく、効率的に空気を浄化することができる。

なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で数々の変更が可能である。

Claims (2)

1. 遊技機が設置される遊技施設内において喫煙者のタバコ煙の隣席への拡散を防止するため、前記遊技機の左右両側上部において前方に突出するように、気流制御装置が設けられており、該気流制御装置は、内部にファンが設けられ、周囲から内部に吸い込んだ空気を斜め上方に向かって吹き出すように構成されており、風量が２２ｍ^３／ｈ以上で、床上８００〜１５００ｍｍの高さに設置され、吹き出し気流の誘引効果でタバコ煙の上昇を促進させることを特徴とする遊技施設用汚染空気浄化システム。
2. 請求項１に記載の遊技施設用汚染空気浄化システムであって、
   前記気流制御装置によって斜め上方に向かって吹き出された前記空気は、空気浄化装置により処理された後に清浄空気として遊技施設内に循環されるか、或いは、全量が遊技施設外に排出されると共に同量の外気が空調機で処理された後に遊技施設内に供給されることによって、該遊技施設内の空気環境が改善されるように構成されていることを特徴とする遊技施設用汚染空気除去システム。

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