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JP5180454B2 - 車両用灯具及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はリフレクタ或いは疑似リフレクタを備える車両用灯具に関し、特にリフレクタ面の意匠効果を高めた車両用灯具とその製造方法に関するものである。
自動車用のランプでは光源から出射した光を反射して所要の配光特性を得るためのリフレクタや、これらリフレクタとランプボディとの隙間を覆い隠すための疑似リフレクタ(エクステンションと称する)を樹脂成形により形成し、その表面にアルミニウム蒸着膜を成膜して鏡面を形成する技術が用いられている。これは、リフレクタを反射面として構成することに加えて、ランプの前面カバーを通して外部から観察されるエクテンションに光沢感を与え、リフレクタとの一体感を持たせるという意匠上の目的によるものである。従来のリフレクタやエクステンションでは、樹脂材料としてポリエステル,ポリプロピレン,ポリフェニレンサルファイドを用いているが、成形した樹脂の表面には凹凸が生じ易いため、表面に成膜したアルミニウム蒸着膜の表面の正反射率が低く、鏡面を得ることが難しい。そのため、従来では樹脂の表面にアンダーコートを施して表面を平滑化し、そのアンダーコートの表面にアルミニウム蒸着膜を成膜する技術が用いられている。
このようなアンダーコートを形成してその上にアルミニウム蒸着膜を成膜する技術では、アンダーコートを形成するための工数、コストが必要であり、ランプの低コスト化を図る上での障害になる。そのため、近年では成形した樹脂の表面の平滑性を高めることにより、成形した樹脂の表面に直接にアルミニウム蒸着膜を成膜する、いわゆるダイレクト蒸着によるアルミニウム蒸着膜を形成する技術が提案されている。例えば、樹脂材にポリカーボネートを用いることで表面の平滑性を高めることができるので、アンダーコートを形成しなくともアルミニウム蒸着膜の表面の平滑性を高め、光の正反射率を高めて鏡面を形成することが可能になる。また、特許文献1では、ポリプロピレンに添加するフィラーとしてのタルクや硫酸バリウムの添加量を特定することにより成形した樹脂の表面を平滑化し、成形した樹脂の表面にダイレクトアルミニウム蒸着して鏡面を得る技術が提案されている。一方、特許文献2では樹脂の成形性を改善し、表面の平坦性を高めるために、ポリエステル樹脂組成物に含有する無機粒子、特に層状化合物のサイズや粒子数を特定する技術も提案されている。
近年、自動車用ランプでは光源から出射した光を反射するためのリフレクタの有効反射面以外の領域やエクステンションの表面を正反射率の低い反射面や拡散反射面等の半光沢面にしてランプの意匠的な美観を改善し、ランプの高級感を得ることが考えられている。その一つの方策として、リフレクタやエクステンションの主体となる樹脂の非有効反射面に相当する領域の樹脂表面に微細な凹凸を形成し、この上にアルミニウム蒸着膜を成膜することでアルミニウム蒸着膜の表面に微細な凹凸面、いわゆるシボ面を意図的に形成し、このシボ面において光を乱反射あるいは拡散反射させることが考えられる。なお、ここではこのシボ面のような面を半光沢面と称している。このようにすれば、リフレクタやエクステンションの鏡面の一部領域中に所要のパターンの半光沢面が混在されることになり、リフレクタやエクステンションの光沢感を抑制して意匠性が高められ、高級感を得ることが可能になる。
このような半光沢面を実現するためには、リフレクタやエクステンションを樹脂成形する際に樹脂の表面に平滑面を形成すると同時に、表面の一部に選択的に微細な凹凸を成形する必要がある。前述したポリカーボネートは非結晶性樹脂であるため、溶融時の粘度が高く、金型に形成した微細な凹凸内に樹脂が入り込まず、表面に微細な凹凸を成形することができない。これは、特許文献1のポリプロピレンでも同じである。そのため、従来では、例えば表面に平滑性が得られる樹脂を成形した後に、表面の一部にショットピーニング加工等を施して微細凹凸面を形成し、その上で表面にアルミニウム蒸着膜を形成する工程がとられている。あるいは、その反対に表面に微細凹凸が生じてしまう樹脂の表面の一部を研磨して平滑化し、その上でアルミニウム蒸着膜を形成する工程をとることになる。これらの手法のうち、後者は平坦に研磨することは極めて難しく現実的には不可能に近いため前者の方法をとることになる。しかし、成形した樹脂の表面の一部にのみ微細凹凸面を加工する技術では、表面の一部のみを露呈させるためのマスクを写真法を利用して形成して表面に微細凹凸加工を施し、かつ当該加工が終了した後にマスクを除去する工程が必要になる等、工程が増大することになり低コストを実現することは困難である。
また、特許文献2の樹脂は特許文献1のように表面にアルミニウム蒸着膜を成膜して光沢面や半光沢面を形成する技術への適用を前提としていないため、実際に表面にダイレクト蒸着によってアルミニウム蒸着膜を成膜すると、成形及び蒸着後の樹脂とアルミニウム蒸着膜の温度低下時の収縮差によって表面に凹凸が発生し、正反射率が低下して鏡面が得られない場合がある。そのため、自動車用ランプへの適用は難しいと考えられる。また、特許文献3のように、エクステンションにローレット加工を施して光源からの光を拡散することで有効反射面以外の領域に照射された光を拡散して眩惑光を低減させる技術が提案されているが、ローレット加工された面は半光沢面ではないため前述したような意匠性を高める効果や高級感を得ることは難しい。さらに、有効反射面以外の領域の光反射率を低減するために低反射率の塗料を塗布することも考えられるが、塗布のための特別の工程が必要となりコスト高になるという問題が生じる。
本発明の目的は、リフレクタやエクステンション等の部品の表面に鏡面と半光沢面を混在させることで意匠的な高級感を得ることが可能な車両用灯具と、これを容易に製造することを可能にした製造方法を提供するものである。
本発明は樹脂部材の表面にアルミニウム蒸着膜を成膜した灯具構成部品を備える車両用灯具において、樹脂部材は結晶性樹脂に可視光波長より小さいサイズのフィラーを添加した樹脂を用いて金型成形により形成されているとともに、当該金型成形された樹脂部材の表面には平滑面と微細凹凸面が混在されており、アルミニウム蒸着膜は樹脂部材の表面にダイレクト蒸着され、平滑面が鏡面として、微細凹凸面が半光沢面としてそれぞれ形成されており、微細凹凸面は凹凸高さが5〜10μmに形成されていることを特徴とする。例えば、灯具構成部品は灯具ボディ内に内装されるリフレクタ又はエクステンションであり、少なくともリフレクタの有効反射面を鏡面で形成し、リフレクタの残りの領域又はエクステシンョンの少なくとも一部に半光沢面を備える構成とする。
本発明は樹脂部材の表面にアルミニウム蒸着膜を成膜し表面の少なくとも一部に鏡面を有し他の少なくとも一部に半光沢面を有する灯具構成部品を備える車両用灯具の製造方法であって、成形面の少なくとも一部に平滑面を有し他の少なくとも一部に微細な凹凸溝を有する金型を用意し、結晶性樹脂に可視光波長より小さいサイズのフィラーを添加した樹脂を前記金型により樹脂成形して表面の少なくとも一部が平滑面で他の少なくとも一部が微細凹凸面となる樹脂部材を形成する工程と、前記樹脂部材の表面に直接アルミニウム蒸着膜を成膜する工程を含むことを特徴とする。ここで、樹脂部材の微細凹凸面の凹凸高さを5〜10μmに形成する。
本発明の車両用灯具によれば、リフレクタやエクステンション等のような灯具構成部品の表面には、鏡面の一部に半光沢面が所要のパターンに形成され、これら鏡面と半光沢面が灯具の外部から観察されるため、灯具構成部品が単純な鏡面のみで構成されている場合に比較すると、適宜な面積に設計された半光沢面が存在することにより全体としての光沢感が抑制されることになり、非点灯時に灯具を見たときに高級感を与えることができる。
また、本発明の製造方法によれば、灯具構成部品を金型成形した後にその表面にダイレクト蒸着によりアルニウム蒸着膜を成膜するだけで、灯具構成部品の一部の表面を鏡面として形成し、他の一部の表面を半光沢面として形成することができる。そのため、従来のように成形した後に表面の一部を平滑化するための加工や、表面の一部に凹凸を形成するための加工が不要になり、低工数で低コストの灯具を製造することが可能になる。
次に、本発明の実施例1を図面を参照して説明する。図1は本発明を自動車のヘッドランプHLに適用した実施例1の一部を破断した斜視図、図2はその縦断面図である。これらの図において、矩形に近い正面形状をしたランプボディ11と、このランプボディ11の前面開口に取着された透明樹脂からなる前面レンズ12と、前記ランプボディ11の背面開口を覆うバックカバー13とでランプハウジング1を構成し、このランプハウジング1内にリフレクタ2が内装されている。リフレクタ2の背面にはバルブ取付穴21が開口され、光源としての白熱バルブ或いは放電バルブ3がバルブソケット31により取り付けられている。前記リフレクタ2は図には表れないエイミング機構によって上下、左右に傾動可能とされ、これにより前記光源3及びリフレクタ2の中心光軸位置を偏向調整できるように構成されている。また、リフレクタ2の前面開口周縁部2aと前記ランプボディ11の内面との間に生じる隙間を覆い隠すように正面から見てほぼ矩形の枠状をしたエクステンション4が配設され、リフレクタ2のエイミング動作を損なわないようにリフレクタ2とは離間した状態でランプボディ1の内部に固定支持されている。実施例1ではこれらリフレクタ2とエクステンション4が本発明における灯具構成部品となる。
前記リフレクタ2は回転放物面をした有効反射面22と、この有効反射面22の周囲から前方に伸びる上下面と左右面からなるほぼ矩形筒状をした非有効反射面23とを有している。光源3から出射した光の大部分は有効反射面22で反射され、前面レンズ12で屈折、集光されて自動車の前方に所要の配光パターンでの光照射を行う。また、光源3から出射した光の一部は非有効反射面23に投射されるが、ここで反射される光は前面レンズ12を通して出射されるが、ここでは対向車や歩行者を眩惑しないような方向に向けて反射されることになる。前記リフレクタ2は樹脂を成形した樹脂部材の表面にダイレクト蒸着によってアルミニウム蒸着膜が成膜されているが、このアルミニウム蒸着膜によって前記有効反射面22は鏡面(光沢面)として形成され、前記非有効反射面23のうち大部分は鏡面として形成されているが、図1に示したように、非有効反射面23の一部、ここでは下面にはヘッドランプHLを正面から見たときに左右方向に微小間隔の鏡面25を間においた格子状パターンの半光沢面24が形成されている。この半光沢面24はここでは縞状シボ面で構成されている。縞状シボ面とは、後述するように直線状をした複数本の微細な凹凸溝が微細な間隔で横列配置されたものである。また、前記エクステンション4は樹脂材をほぼ矩形の枠状に成形され、その表面にダイレクト蒸着によってアルミニウム蒸着膜が成膜され、鏡面として形成されたものである。ここではエクステシンション4には半光沢面は形成されていない。
前記リフレクタ2とエクステンション4は成形した樹脂部材の表面にアルミニウム蒸着膜をダイレクト蒸着して形成していることについては同様であるので、リフレクタ2の例について説明する。リフレクタ2は樹脂として結晶性樹脂と称されるポリブチレンテレフタレートを用いており、これにフィラー(添加材)として硫酸マグネシウム(MgSO2)や硅酸マグネシウム(MgSiO)を含有させたものである。この種のフィラーとして従来では400nm以上のサイズのものが用いられているが、実施例1ではフィラーは400nmより小さいサイズのものを用いている。この400nmは可視光の波長のうち、最も短い波長よりも小さい寸法として設定しており、実施例1では可視光の波長領域を400nm〜800nmとしているので400nmより小さいサイズとしている。
そして、この樹脂を成形金型によりリフレクタ2の形状の樹脂部材として成形する。このとき、図3(a)に図1のA−A線に相当する箇所の金型Kの断面図を、図3(b)にその一部の拡大断面図を示すように、金型Kの成形面はリフレクタ2の鏡面25に対応する領域は表面の最大凹凸が0.2μm以下の平滑面となるように形成しておく。また、半光沢面24に対応する領域は表面に微細な凹凸溝Kgを形成する。この微細な凹凸溝は高さ(高低差)が5μm〜10μm程度、ここでは高さが5μmで断面が矩形をした微細凹凸溝を溝幅方向に所定本数で配列したものを1つの格子とし、この格子を所要の間隔をおいて複数列だけ配列した構成としている。
この金型Kを用いて前記樹脂部材を成形することにより、図3(c)に断面を示すように、リフレクタ2の鏡面25に相当する領域は表面の最大凹凸が0.2μm以下の平滑面として成形される。また、半光沢面24に相当する領域の表面は格子状に配列された複数の微細凹凸溝24aが形成され、いわゆる縞状シボ面として形成される。しかる上でリフレクタ2の表面、すなわち反射面22と非反射面等23となる面にダイレクト蒸着によってアルミニウム蒸着膜26を成膜する。ダイレクト蒸着とは樹脂の表面にアンダーコートを施すことなく直接アルミニウムを蒸着する方法である。このアルミニウム蒸着膜26の膜厚はここではほぼ0.1μmである。
このとき、図4に模式図を示すように、成形された樹脂部材は温度が低下したときに樹脂RとフィラーFとの収縮差により表面に凹凸が生じ、この凹凸は樹脂Rに含まれるフィラーFのサイズに影響を受ける。従来では、図4(a)に示すように、樹脂Rに含有されるフィラーは10μm程度の大きいサイズであるので、表面の凹凸は1μm程度となる。実施例1では、樹脂Rに含有されるフィラーは10nm(0.01μm)より小さいサイズであるので、表面の凹凸は10nmとなる。そして、成形された樹脂Rの表面に図3(c)に示したようにダイレクト蒸着によりアルミニウム蒸着膜26を形成したときに、可視光の波長は400nm以上でありこれは樹脂材Rの表面に生じた凹凸の高さよりも長いため、このような400nmよりも小さい凹凸が生じても光は正反射することになる。すなわち、リフレクタ2の有効反射面22の領域は成形された樹脂部材の表面が凹凸10nm以下の平滑面であるので、ダイレクト蒸着したアルミニウム蒸着膜26の表面も平滑となり、鏡面25として形成される。したがって、フィラーは可視光の波長400nm以下であれば、樹脂の表面の凹凸が400nm以下となるため、400nm以下のフィラーを用いることが可能である。
一方、リフレクタ2の非有効反射面23は一部が鏡面25に形成されるが、他の一部には縞状シボ面が形成されており、この縞状シボ面はアルミニウム蒸着膜26によって半光沢面24となる。この縞状シボ面では、図3(c)に示したように、凹凸溝24aの高さが5μmであり、凹凸溝24aの表面にはアンダコートを形成していないため凹凸溝24aがアンダーコートによって埋まることはない。アルミニウム蒸着膜26の膜厚は0.1μmであるので、凹凸溝24aの高さには殆ど影響はなく、アルミニウム蒸着膜26の表面は微細な凹凸面となる。しかもこの凹凸溝24aの5μmの高さは可視光の波長に比較して極めて大きいため可視光は乱反射し、鏡面とはならずに半光沢面となる。
これにより、リフレクタ2の非有効反射面23には、細幅の鏡面25を挟んで複数本の幅広の半光沢面24が配列された格子状パターンが形成されることになり、この格子状パターンの半光沢面24とその間の鏡面25はヘッドランプHLの前面レンズ12を通して外部から観察される。なお、エクステンション4については全面が鏡面に形成されている。したがって、非点灯時にヘッドランプHLを正面側から観察すると、大部分が鏡面で一部に格子状パターンの半光沢面24を有するリフレクタ2と、全面が鏡面のエクステシンョン4とが前面レンズ12を通して観察される。これにより、リフレクタ2とエクステンション4が単純な鏡面のみで構成されている場合に比較すると、リフレクタ2の鏡面中に適宜な面積に設計された格子状パターンの半光沢面24が存在することによりリフレクタ2の全体としての光沢感が抑制され、非点灯時にヘッドランプHLを見たときの高級感を得ることができる。
このように、実施例1ではリフレクタ2を構成する樹脂部材として結晶性樹脂に可視光波長よりも小さいサイズのフィラーを含む樹脂を用い、この樹脂を成形した後にその表面にダイレクト蒸着によりアルミニウム蒸着膜を成膜するだけで、一部の表面を鏡面として形成し、他の一部の表面を半光沢面として形成することができ、意匠性に優れたリフレクタを製造し、高級感のあるランプを構成することができる。そのため、従来のように成形した後に表面の一部を平滑化するための加工や、表面の一部に凹凸を形成するための加工が不要になり、低工数で低コストのランプを製造することが可能になる。
図5は実施例2のランプを自動車のヘッドランプHL1に適用した概略部分分解斜視図である。実施例2では、いわゆるプロジェクタ型ランプをランプハウジング内に組み込んだヘッドランプHL1として構成されている。ランプボディ111と前面カバー112とでランプハウジング101が構成されており、このランプハウジング101内にハイビーム用のプロジェクタ型ランプ102とロービーム用のプロジェクタ型ランプ103が前後方向に若干ずれた状態で左右に並んで配置されている。これらのプロジェクタ型ランプの構成については既に知られているのでここでは詳細な説明は省略するが、後部に設けたリフレクタ121,131に内装した図には表れない光源から出射した光を当該リフレクタ121,131の内面で反射し、その反射光を前部に設けたレンズ122,132で集光してランプ光軸方向に出射するランプである。また、前記ランプハウジング101内の前記プロジェクタ型ランプ102,103の周囲を覆い隠すようにエクステンション104が内装されている。このエクステンション104は前記ランプボディ111の前面開口に対応した外形をしており、その中帯部には前記各プロジェクタ型ランプ102,103を収納するためのほぼ円筒状をした円形スリーブ開口141,142が開口されており、このスリーブ開口141,142の後方から前記各プロジェクタ型ランプ102,103が内挿され、それぞれのレンズ122,132がエクステンション104の前面側に露呈されるようになっている。前記エクステシンョン104の表面の大部分は鏡面143として形成されているが、前記スリーブ開口141,142の前側領域には光軸方向に伸びる複数の細幅をした半光沢面が左右方向に配列された格子状パターンをした半光沢面144が形成されている。
前記エクステンション104は実施例1のリフレクタと同様に、結晶性樹脂であるポリブチレンテレフタレートを用いており、これにフィラー(添加材)として400nmより小さいサイズの硫酸マグネシウム(MgSO2)や硅酸マグネシウム(MgSiO)を含有させている。この樹脂を図3に示した実施例1と同様に表面処理した成形金型により樹脂成形してエクステンションを形成する。このとき、成形されたエクステンションでは、前記鏡面に対応する領域は表面の最大凹凸が0.2μm以下の平滑面として形成され、前記半光沢面に対応する領域は表面に高さ(深さ)が5μmの断面が矩形をした多数の凹凸溝からなる微細な縞状凹凸が形成される。しかる上でエクステンションの表面にダイレクト蒸着によりアルミニウム蒸着膜を成膜する。このアルミニウム蒸着膜の膜厚はほぼ0.1μmである。
これにより、実施例1と同様に、エクステンション104の平滑面では鏡面143が形成され、同様にエクステンション104の縞状凹凸が形成された領域には縞状シボ面が形成され半光沢面144が形成される。特に、スリーブ開口141,142の内周面の下周領域には、細幅の鏡面を挟んだ幅広の半光沢面が格子状に形成された格子状パターンの半光沢面144が形成される。そして、前記エスクテンション104は前面カバー112を通してヘッドランプHLの正面側に露呈され、同時にエクステンション104の鏡面143と半光沢面144も露呈される。したがって、ヘッドランプHL1の非点灯時に正面側から観察したときには、前面カバー112を通して大部分が鏡面143で一部に半光沢面144を有するエクステシンョン104が観察されることになり、エクステンション104が単純な鏡面のみで構成されている場合に比較すると、適宜な面積に設計された半光沢面が存在することによりエクステンションの全体としての光沢感が抑制されることになり、非点灯時にランプを見たときの高級感を得ることができる。
実施例2においても、エクステンションを構成する樹脂として結晶性樹脂に可視光波長寄りも小さいサイズのフィラーを含む樹脂を用い、この樹脂を成形した樹脂部材の表面にダイレクト蒸着によりアルミニウム蒸着膜を成膜するだけで、一部の表面を鏡面として形成し、他の一部の表面を半光沢面として形成することができ、意匠性に優れたエクステンションを製造し、高級感のあるランプを構成することができる。したがって、従来のように成形した後に表面の一部を平滑化するための加工や、表面の一部に凹凸を形成するための加工が不要になり、低工数で低コストのランプを製造することが可能になる。
実施例1ではリフレクタの一部に半光沢面を形成し、実施例2ではエクステンションの一部に半光沢面を形成しているが、実施例1のようにリフレクタとエクステンションが配設されているランプではいずれか一方のみ、又は両方に半光沢面を形成してもよい。また、エクステンションに適用する場合には表面の全面、又は大部分を半光沢面に形成してもよい。
実施例1,2では半光沢面を構成しているシボ面を縞状シボ面として形成しているが、ドット状に凹凸を有するシボ面、あるいは不規則な形状の凹凸で構成されるシボ面として形成してもよい。
本発明は実施例1,2のヘッドランプに限られるものではなく、リフレクタやエクステンション等の樹脂成形して表面にアルミニウム蒸着膜を形成した灯具構成部品を備えたランプであって、この灯具構成部品の表面がランプの外部から観察される構成のランプであれば同様に適用することができる。
実施例1のヘッドランプの一部を破断した概略斜視図である。 実施例1のヘッドランプの縦断面図である。 金型と樹脂の表面凹凸を説明する図である。 樹脂とフィラーによる表面凹凸を説明する模式図である。 実施例2のヘッドランプの部分分解斜視図である。
符号の説明
HL,HL1 ヘッドランプ
1 ランプハウジング
2 リフレクタ
3 光源
4 エクステンション
11 ランプボディ
12 前面レンズ
24 半光沢面
25 鏡面(光沢面)
101 ランプハウジング
111 ランプボディ
112 前面カバー
102,103 プロジェクタ型ランプ
104 エクステンション
141,142 スリーブ型開口
143 鏡面(光沢面)
144 半光沢面

Claims (4)

  1. 樹脂部材の表面にアルミニウム蒸着膜を成膜した灯具構成部品を備える車両用灯具において、前記樹脂部材は結晶性樹脂に可視光波長より小さいサイズのフィラーを添加した樹脂を用いて金型成形により形成されているとともに、当該金型成形された前記樹脂部材の表面には平滑面と微細凹凸面が混在されており、前記アルミニウム蒸着膜は前記樹脂部材の表面にダイレクト蒸着され、前記平滑面が鏡面として、前記微細凹凸面が半光沢面としてそれぞれ形成されており、前記微細凹凸面は凹凸高さが5〜10μmに形成されていることを特徴とする車両用灯具。
  2. 前記灯具構成部品は灯具ボディ内に内装されるリフレクタ又はエクステンションであり、少なくとも前記リフレクタの有効反射面を鏡面で形成し、前記リフレクタの残りの領域又は前記エクステシンョンの少なくとも一部に半光沢面を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
  3. 樹脂部材の表面にアルミニウム蒸着膜を成膜し表面の少なくとも一部に鏡面を有し他の少なくとも一部に半光沢面を有する灯具構成部品を備える車両用灯具の製造方法であって、成形面の少なくとも一部に平滑面を有し他の少なくとも一部に微細な凹凸溝を有する金型を用意し、結晶性樹脂に可視光波長より小さいサイズのフィラーを添加した樹脂を前記金型により樹脂成形して表面の少なくとも一部が平滑面で他の少なくとも一部が微細凹凸面となる樹脂部材を形成する工程と、前記樹脂部材の表面に直接アルミニウム蒸着膜を成膜する工程とを含むことを特徴とする車両用灯具の製造方法。
  4. 前記樹脂部材の微細凹凸面の凹凸高さを5〜10μmに形成することを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具の製造方法。
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