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JP5177429B2 - 癌の治療 - Google Patents

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Description

本出願は、本明細書にその全体が引用文献として組み込まれている2005年7月18日付けの米国特許仮出願第60/700、446号に関連し、それに対する優先権を主張するものである。
癌は、近代社会にとって重大な脅威である。その独特の特徴に起因して、悪性の癌の成長は、近代医学に対し重大な難題をもたらすものである。それらの特徴としては、悪性組織の無調節成長を結果としてもたらす制御不可能な細胞増殖、局所的さらには遠隔の組織に侵入する能力、分化の欠如、検出可能な症状の欠如、そして最も重大なことであるが有効な療法及び予防法の欠如、が含まれる。
癌は、あらゆる年令であらゆる臓器のあらゆる組織内で発生し得る。癌の病因は明らかに定義されていないが、遺伝的感受性、染色体切断障害、ウイルス、環境的因子及び免疫学的障害が全て悪性細胞成長及び形質転換に結びつけられている。癌は、広い病状カテゴリーを包括し、世界中で何百万人もの個体がこれを患っている。癌細胞は、体のほぼ全ての臓器及び/又は組織の中で発生し得る。癌は、体の一部分の中の細胞が制御不能な形で成長又は分化し始めるときに発生する。全ての癌タイプは異常細胞の制御不能の成長で始まる。
癌には、乳房癌、肺癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、膵臓癌、子宮頸癌及び白血病を含めた多数のタイプのものが存在する。現在、利用可能な主要な治療の一部を成すのは、外科手術、放射線療法及び化学療法である。外科手術は往々にして抜本的な手法であり、重大な結果をもたらし得る。例えば、卵巣癌のための全ての治療は、不妊という結果をもたし得る。子宮頸癌及び膀胱癌のためのいくつかの治療は、不妊及び/又は性的機能不全をひき起こし得る。膵臓癌を治療するための外科的処置は、膵臓の部分又は全体的除去という結果をもたらす可能性があり、患者に対する著しいリスクを有し得る。乳癌外科手術には、必ず、乳房の一部分又は全ての除去が関与する。前立腺癌のための一部の外科的処置は、尿失禁及び性的不全のリスクを抱えている。肺癌患者のための処置は往々にして、癌性肺組織にたどりつきそれを除去するために肋骨を切り開かなくてはならないことから、多大な術後痛を伴う。さらに、気腫又は慢性気管支炎といったようなもう1つの肺疾患を肺癌と共に有する患者は、標準的に外科手術後に息切れの増大を経験する。
放射線療法は、癌細胞を殺すという利点を有するが、同時に非癌性組織にも損傷を与える。化学療法には、患者に対するさまざまな抗癌薬の投与が関与し、不利な副作用が随伴する。
毎年世界中で1000万人以上の人が癌の診断を受けており、この数は2020年までに毎年1500万の新規症例にまで増大するであろう。癌は世界中で毎年600万人の死亡つまり世界中の死亡者の12%の死因となっている。癌を治療できる方法に対するニーズがなおも存在している。これらの方法は、ヒト及びその他の哺乳動物における癌の予防及び治療において有用な医薬組成物のための基礎を提供し得る。
一連の抗腫瘍薬が同定されてきている。これらの薬物は、本明細書にその開示が引用文献として組み込まれている、「Aromatic Nitro and Nitroso Compounds and their Metabolites Useful as Anti−viral and Anti−tumor Agents」という題の1995年11月7日付けの米国特許第5、464、871号、「Aromatic Nitro and Nitroso Compounds and their Metabolites Useful as Anti−viral and Antitumor Agents」という題の1997年9月23日付けの特許第5、670、518号、「Methods of Treating Cancer with Aromatic Nitro and Nitroso Compounds and their Metabolites」という題の1999年12月21日付けの特許第6、004、978号の主題となっているニトロ及びニトロソ化合物及びその代謝産物を含む。
発明の概要
本発明は、一般に芳香族ニトロベンズアミド化合物及びその代謝産物を用いた腫瘍形成性疾患の治療方法に関する。より具体的には、本発明は、哺乳動物における腫瘍の成長を抑制しかつ阻害する上でのニトロ化合物4−ヨード−3−ニトロベンズアミド又はその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝産物、類似体又はプロドラッグの使用に関する。
該発明の1つの態様においては、1つ又は複数の付加的な薬理学的に活性な作用物質と共に式(Ia)の化合物を含む医薬組成物の投与を含んでなる、癌及び癌に関連する障害の治療方法が提供される。もう1つの態様では、式(Ia)の化合物とブチオニンスルフォキシミン(BSO)の組合せを投与する段階を含んでなる、癌及び癌に関連する障害の治療方法が提供される。式(Ia)の化合物は同様に、BSOを伴って又は伴わずに、式(II)のベンゾピロン化合物と組合せた形で投与することも可能である。
いくつかの好ましい実施形態においては、癌は、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膵臓癌、膀胱癌、眼癌、中枢神経系癌、腎臓癌、甲状腺癌および肺癌である。いくつかの好ましい実施形態においては、癌は、乳腺管癌、小葉タイプの浸潤乳癌、乳管内癌、粘液性乳癌、末梢血中の前骨髄球性白血病、卵巣腺癌、腹腔内に移動した卵巣腺癌、前立腺癌、膀胱の移行上皮癌、膵臓管内の類上皮癌、膵臓管内の腺癌、頸部上皮内の腺癌及び肺癌である。一部の好ましい実施形態においては、癌は、小葉タイプの浸潤乳癌、乳腺管内癌及び粘液性乳癌である。一部の好ましい実施形態においては、癌は、結腸癌、前立腺癌、肝臓癌、白血病、神経膠腫、及び黒色腫である。
本発明の上述の態様の一部の好ましい実施形態においては、治療は、外科手術、放射線治療、化学療法、遺伝子療法、免疫療法又はそれらの組合せをさらに含む。一部の好ましい実施形態においては、化合物の投与は静脈内投与である。一部の好ましい実施形態においては、本発明の化合物により、ポリADPリボースポリメラーゼ(PADP)分子が阻害される。一部の好ましい実施形態においては、腫瘍細胞は、本発明の化合物の投与後、対象の体内でアポトーシス、細胞周期停止及び/又は壊死を受ける。
本発明は、物質の組成物及び薬物組成物及び癌治療におけるその使用のための方法に関する。例えば、該発明の組成物は、本明細書に記述されている2つ以上の化合物の組合せ及び/又は本明細書で記述されている化合物の2つ以上の形態の組合せであり得る。該発明の医薬組成物は、対象に投与するのに適した組成物であり得る。
発明の詳細な説明
定義
「ニトロベンズアミド化合物(単複)」は、式(Ia)の化合物
Figure 0005177429
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキル及びフェニルから成る群から独立して選択され、5つのR1、R2、R3、R4及びR5置換基のうちの少なくとも2つは常に水素であり、5つの置換基のうちの少なくとも1つは常にニトロであり、ニトロに隣接して位置する少なくとも1つの置換基は常にヨードである)、及びその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝産物、類似体又はプロドラッグを意味する。R1、R2、R3、R4及びR5は同様にクロロ、フルオロ、又はブロモといったハロゲン化合物でもあり得る。
「外科手術」は、治療的、矯正的又は診断的効果を生み出すべくヒト又はその他の哺乳動物の体に対する手又は手と器具の系統的動作が関与する任意の治療手順又は診断手順を意味する。
「放射線療法」は、X線、ガンマ線及び中性子(これらに限定されない)を含む高エネルギー放射線に患者を曝露することを意味する。このタイプの療法には、外部ビーム療法、内部放射療法、インプラント放射、小線源療法及び放射線療法が含まれるが、これらに限定されない。
「化学療法」は、静脈内、経口、筋肉、腹腔内、膀胱内、皮下、経皮、口腔投与又は吸入投与又は座薬の形での投与を含めたさまざまな方法による、癌患者に対する抗新生物化学療法剤、化学抗癌剤及び/又はその他の作用物質といったような1つ又は複数の抗癌薬の投与を意味する。化学療法は、その除去のための外科的処置に先立って大型腫瘍を収縮させる目的で外科手術の前に、体内に残ったあらゆる癌細胞の成長を防止するため外科手術又は放射線療法の後に与えることができる。
「有効量」又は「薬学的有効量」という用語は、所望の生物学的、治療的及び/又は予防的成果を提供するための物質の非毒性でかつ充分な量を意味する。この成果は、疾病の兆候、症候又は原因の削減及び/又は緩和又は生物系の何らかのその他の所望の改変であり得る。例えば、治療用途のための「有効量」は、疾病の臨床的に有意な減少を提供するのに本明細書で必要とされる、本明細書で開示されているニトロベンズアミド化合物それ自体又はニトロベンズアミド化合物を含む組成物の量である。任意の個々のケースにおける該当する有効量は、日常的実験を用いて当業者が決定し得るものである。
「医薬として許容される」又は「薬理学的に許容される」は、生物学的又は非生物学的に望ましくなくない材料を意味しており、すなわち該材料は、それが含有されている組成物の構成要素のいずれかと有害な形で相互作用するか又は何らかの望ましくない生物学的効果をひき起こすことなく個体に投与され得るものである。
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語及びその文法上同等な用語は、治療上の利益及び/又は予防上の利益を達成することを含む。治療上の利益というのは、治療対象である内在する障害の根絶又は改善を意味する。例えば、癌患者においては、治療上の利益には、内在する癌の根絶又は改善が含まれる。同様に、治療上の利益は、その患者がなおも内在する障害に悩まされ得るという事実にも関わらず、患者の体内で改善が見られるような形での内在する障害に付随する生理学的症候のうちの1つ又は複数のものの根絶又は改善によって達成される。予防上の利益のためには、該発明の方法を、癌を発生するリスクのある患者、又はたとえその症状の診断がなされていない場合でもかかる症状の生理学的症候のうちの1つ又は複数のものを報告している患者に対して、該発明の方法を実施することができ、或いは又これらの患者に対し該発明の組成物を投与することができる。
ニトロベンズアミド化合物
本発明において有用な化合物は、式(Ia)
Figure 0005177429
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、水素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、ヨード、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C3−C7)シクロアルキル及びフェニルから成る群から独立して選択され、5つのR1、R2、R3、R4及びR5置換基のうちの少なくとも2つは常に水素であり、5つの置換基のうちの少なくとも1つは常にニトロであり、ニトロに隣接して位置する少なくとも1つの置換基は常にヨードである)、及びその医薬として許容される塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝産物、類似体又はプロドラッグである。R1、R2、R3、R4及びR5は同様にクロロ、フルオロ、又はブロモといったハロゲン化合物でもあり得る。
式Iaの好ましい化合物は、
Figure 0005177429
である。
本発明は、乳腺内の腺管癌を含めた乳癌、末梢血中の急性前骨髄球性白血病を含めたその他の形態の白血病、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、前立腺癌、膵臓癌及び子宮頸癌ならびに本明細書で記述されているその他の癌タイプの治療のための前述のニトロベンズアミド化合物の使用を提供する(米国特許第5,464,871号、米国特許第5,670,518号、及び米国特許第6,004,978号はその全体が本明細書に引用文献として組み込まれている)。本発明は同様に、グリーベック(メシル酸イマニチブ)耐性患者集団の治療のための上述のニトロベンズアミド化合物の使用をも提供する。グリーベックはチロシンキナーゼ阻害物質である。
一部の好ましい実施形態においては、本発明のニトロベンズアミド化合物は、乳癌、特に乳腺腺管癌、小葉タイプの浸潤乳癌、乳管内癌及び粘液性乳癌の治療のために使用される。一部の好ましい実施形態においては、本発明のニトロベンズアミド化合物は、卵巣及び子宮内膜癌の治療のために使用される。さらに一層好ましい実施形態においては、本発明のニトロベンズアミド化合物は、肺及び結腸癌の治療のために用いられる。
一部の好ましい実施形態においては、本発明のニトロベンズアミド化合物は、膀胱及び前立腺癌の治療のために用いられる。一部の好ましい実施形態においては、本発明のニトロベンズアミド化合物は、肝臓及び膵臓癌の治療のために用いられる。一部の好ましい実施形態においては、本発明のニトロベンズアミド化合物は、白血病、子宮頸癌、神経膠腫及び黒色腫の治療のために用いられる。
さらに一層好ましい実施形態においては、本発明のニトロベンズアミドは、幹細胞に由来する癌の治療のために使用される。乳癌及びその他の悪性腫瘍においては、腫瘍細胞の一部(「癌幹細胞」)は、腫瘍の広範な増殖及び転移の能力を有する。幹細胞の運命及び成長の改変が、腫瘍発生において1つの役割を果たしている可能性がある。上皮幹細胞は、生体のものと少なくとも同じ位長い寿命を有し、かくして、累積的に腫瘍の形成を結果としてもたらし得る多数の遺伝子的打撃を受ける可能性があると考えられている。皮膚及び結腸癌といったような数多くの癌は、一生を通して恒常的に細胞が補充されている組織の中で発生する。しかしながら疾病を導く決定的な突然変異は、細胞が指数的に分割している組織の形成期の間に発生している確率が高い。
現在事実上全ての組織内で同定されている幹細胞は、組織バルクを形成するものの通常は有系分裂後の挙動及び短い寿命を特徴とする分化細胞とは対象的に、生体の一生を通して自己再生及び持続性という排他的な卓越性を授かった稀な細胞のサブセットとして定義づけすることができる。1つの細胞が癌性のものとなるには複数の突然変異が必要であるという事実は、数多くの組織内で、突然変異が幹細胞中に蓄積し得るということを示唆している可能性がある。癌幹細胞は自己再生することから、これらを自己再生する正常な幹細胞からか又は幹細胞の特別な特性を獲得するより分化した細胞から誘導することができるということになる。これと一貫して、腫瘍を、「分化した」細胞及び腫瘍質量を維持し2次腫瘍の形成(転移)の原因となる確率の高い「癌幹細胞」サブセットの両方を含む1つの組織と想定することが可能である。従って、本発明のニトロベンズアミドを、幹細胞に由来する癌を標的とするために使用することができる。
本発明は、ヒトの腫瘍及び正常な一次細胞と同様、マウス、ラット及びイヌにおける4−ヨード−3−ニトロベンズアミド(BA)の非臨床薬効薬理を開示している。インビトロでBAは、乳房、結腸、前立腺、子宮頸部、肺、卵巣、黒色腫及び白血病を含めたさまざまなヒト腫瘍細胞の増殖を阻害した。インビボでBAは、いくつかの動物の発癌モデルにおいて評価された。BAの一日一回又は週二回の投与は、ヌードマウス及びSCIDマウスの両方においてヒト卵巣腺癌異種移植片モデル内の腫瘍成長を阻害し、一日一回又は週二回投与の薬物に曝露された動物の生存率にプラスの影響を与える。
3週間週2回のBA投薬とその後の一週間の洗い出し期間は、BAの有効性及び安全性の前臨床評価の結果に基づいている。
ニトロベンズアミド化合物は悪性癌細胞に対しては選択的細胞傷害性を有するが、非悪性癌細胞に対してはそれをもたないということが報告されてきた。Rice et at.Proc.Natl.Acad.Sa.USA89:7703−7707(1992)を参照のこと。1つの実施形態においては、本発明の方法の中で利用されるニトロベンズアミド化合物は、非腫瘍細胞よりも腫瘍細胞に対しより選択的な毒性を示し得る。
ニトロベンズアミド及びニトロソベンズアミド化合物の腫瘍原性は、癌細胞にBSOを同時投与した場合に増強されることが報告されている。Mendeleyev et al.,Biochemical Pharmacol.50(5):705〜714(1995)を参照のこと。ブチオニンスルフォキシミン(BSO)は、化学療法に対する細胞耐性の原因の一部であるグルタチオンの生合成における主要な酵素であるガンマ−グルタミルシスティン合成を阻害する。Chen et al.,Chem Biol Interact.Apr 24;111−112:263−75(1998)を参照のこと。該発明は同様に、BSOと組合せたニトロベンズアミド及び/又はベンゾピロン化合物の投与を含む癌治療のための方法をも提供する。
BSOに加えて、その他の阻害物質であるガンマ−グルタミルシスティンシンテターゼをニトロベンズアミド及び/又はベンゾピロン化合物と組合せて使用することができる。BSOのその他の適切な類似体には、プロプロチオニンスルフォキシミン、メチオニンスルフォキシミン、エチオニンスルフォキシミン、メチルブチオニンスルフォキシミン、α−グルタミル−α−アミノブチラート及びα−グルタミンシスティンが含まれるが、これらに制限されるわけではない。
ベンゾピロン化合物
一部の実施形態においては、ベンズアミド化合物は、式IIのベンゾピロン化合物と組み合わせて投与される。式IIのベンゾピロン化合物は、
Figure 0005177429
(式中、R1、R2、R3、及びR4は、H、ハロゲン、任意に置換されたヒドロキシ、任意に置換されたアミン、任意に置換された低級アルキル、任意に置換されたフェニル、任意に置換されたC4−C10ヘテロアリール及び任意に置換されたC3−C8シクロアルキルから成る群から選択される)、又はその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝産物又はプロドラッグである。(米国特許第5、484、951号はその全体が本明細書に引用文献として組み込まれている)。
好ましい実施形態においては、該発明は、
Figure 0005177429
という式IIのベンゾピロン化合物に関する。
ニトロベンズアミド化合物の機序
1つの作用機序に制限されることを意図しているわけではないが、本明細書で記述されている化合物は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ酵素の調節を介した抗癌特性を有すると考えられている。該薬物の作用機序は、核酵素ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP−1)のためのリガンドとして作用するその能力に関する。Mendeleyev et al.,前出、(1995)を参照のこと。PARPは核内で発現され、β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)からニコチンアミドとポリ−ADP−リボース(PAR)への変換の触媒として作用する。恒常的条件におけるPARP−1の役割は、DNA転写及び修復に制限されると思われる。しかしながら、細胞ストレスがDNA損傷をひき起こす場合、PARP−1活性は劇的に増大し、これは、ゲノム完全性にとって必要なことであると思われる。Shall et al.,Mutat Res.Jun 30;460(1):1〜15(2000)。
PARP−1の機能の1つは、バイオポリマー、ポリ(ADP−リボース)を合成することにある。ポリ(ADP−リボース)及びPARP−1の両方ともが、DNA修復の修復、アポトーシス、ゲノム安定性の維持及び発癌現象に結びつけられてきた。Masutani et al.,Genes,Chromosomes,and Cancer 38:339〜348(2003)を参照のこと。PARP−1は、DNA修復、具体的には塩基除去修復(BER)において役割を果たす。BERは、単一塩基DNA切断のための哺乳動物細胞内の防御機序である。PARP−1は、高い親和性でそのジンクフィンガードメインを通してDNAフラグメントの末端に結合し、かくしてDNA損傷センサーとして作用する。Gradwohl et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2990−2994(1990);Murcla et al.,Trends Biochem Sci 19:172−176(1994)。DNA内の切断は、切断部位に対するPARP−1による結合応答を引き起こす。PARP−1は次にその触媒活性を数百倍増大させ(Simonin et al.,J Biol Chem 278:13454−13461(1993)を参照のこと)、それ自身のポリADP−リボシル化(Desmarais et al.,Biophys Acta 1078:179−186(1991)及びBERタンパク質例えばDNA―PKcs及び分子足場タンパク質XRCC−1を変換し始める。Ruscetti et al.,J.Biol.Chem.Jun 5;273(23):14461−14467(1998)及びMasson et al.,Mol Cell Biol.Jun;18(6):3563−71(1998)を参照のこと。BERタンパク質は、DNA損傷部位に急速に補充される。E1−Kaminsy et al.,Nucleic Acid Res.31(19):5526−5533(2003);Okano et al.,Mol Cell Biol.23(11):3974−3981(2003)。PARP−1は、DNA切断部位から解離するが、DNA修復事象の付近にとどまる。
PARP分子の活動を阻害することには、これらの分子の活性を減少させることを含む。「阻害する」という用語及び「阻害性」といったその文法的活用は、PARP活性の完全な減少を必要とするように意図されてはいない。かかる減少は好ましくは、阻害性効果の不在下、例えば該発明のニトロベンズアミド化合物といったような阻害物質の不在下での分子の活性の少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%そしてより好ましくは少なくとも約95%の減少である。最も好ましくは、該用語は、活性の観察可能な又は測定可能な減少を意味する。治療のシナリオの中では、好ましくは、阻害は、治療対象の症状における治療上の及び/又は予防上の利益を生み出すのに充分なものである。「〜を阻害しない」という語句及びその文法的活用は、活性に対する効果の完全な欠如を必要としない。例えば、それは、該発明のニトロベンズアミド化合物といったような阻害物質の存在下でのPARP活性の約20%未満、約10%未満及び好ましくは約5%未満の減少が存在する状況を意味する。
ベンズアミド化合物の使用
癌のタイプ
該発明は、複数の特定の癌又は腫瘍を治療するための方法を提供する。例えば、癌のタイプには、副腎皮質細胞癌、肛門癌、再生不良性貧血、胆管癌、膀胱癌、骨肉腫、骨への転移、成人中枢神経脳腫瘍、小児中枢神経脳腫瘍、乳癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、幼年期非ホジキンリンパ腫、結腸及び直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイングファミリーの腫瘍、眼癌、胆のう癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭及び下咽頭癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、小児白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、肝癌、肺癌、肺カルチノイド腫瘍、非ホジキンリンパ腫、男性乳癌、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、口腔及び口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体癌、前立腺癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫(成人軟組織癌)、黒色腫皮膚癌、非黒色腫皮膚癌、胃癌、睾丸癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌及びワルデンストロームマクログロブリン血症が含まれる。
甲状腺の癌腫は、内分泌系の最も一般的な悪性腫瘍である。甲状腺の癌腫には、分化した腫瘍(乳頭状腫瘍又は濾胞性腫瘍)及び低分化腫瘍(髄様又は退生)が含まれる。膣の癌腫には、扁平上皮癌腫、腺癌、黒色腫及び肉腫が含まれる。睾丸癌は、精上皮腫及び非精上皮腫タイプに大きく分けられる。
胸腺腫は、胸腺の上皮性腫瘍であり、非腫瘍性リンパ球により広範に浸潤されている場合又はされていない場合がある。胸腺腫という用語は、上皮性構成要素の顕性異型を全く示さない新生物を描写するために習慣的に用いられる。もはや胸腺に特異的でない明確な細胞異型及び組織学的特長を示す胸腺上皮性腫瘍は胸腺癌腫(C型胸腺腫としても知られる)として知られている。
該発明により提供される方法は、その他の療法と組み合わせた形でのベンズアミド化合物の投与を含み得る。該発明の組成物と同時投与され得る療法の選択は、一部には、治療対象の症状によって左右されることになる。例えば、急性骨髄性白血病を治療するためには、該発明の一部の実施形態のベンズアミド化合物を放射線療法、モノクローナル療法、化学療法、骨髄移植、遺伝子療法、免疫療法又はそれらの組合せと組み合わせて使用することができる。
乳癌
1つの態様においては、該発明は、乳癌好ましくは乳腺内へ腺管組織内の腺管癌を治療する方法を提供する。
該発明が提供する方法によって治療可能な複数のタイプの乳癌が存在する。上皮内小葉癌及び非浸潤性乳管癌は、小葉及び腺管内にそれぞれ発生したものの乳房をとり囲む脂肪組織又は身体のその他の部域には広がっていない乳癌である。浸潤性(又は侵襲性)小葉及び腺管癌は、それぞれ小葉及び腺管内に発生しかつ乳房の脂肪組織及び/又は身体のその他の部分のいずれかに広がった癌である。該発明が提供する方法による治療の利益を受けると思われる乳房のその他の癌は、髄様癌、膠様癌、管状腺癌及び炎症性乳癌である。
乳癌患者が利用できる治療は、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法、内分泌療法又はそれらの組合せである。腫瘍摘出手術及び乳腺切除術が、乳癌患者が利用できると考えられる2つの外科的処置である。
化学療法は、癌細胞が増殖し、患者に侵襲し、転移し、殺すのを防ぐのに抗腫瘍薬を利用する。ドキソルビシン、シクロホスファミド、メトトレキサート、バクリタキセル、チオチパ、ミトキサントロン、ビンクリスチン又はそれらの組合せといったような細胞傷害性薬物を含め、複数の薬物を乳癌治療に利用することができる。残った乳房組織が内分泌感受性を保持している場合には、内分泌療法が有効な治療であり得る。この療法のために投与される作用物質には、タモキシフェン、酢酸メゲストロール、アミノグルテチミド、フルオキシメステロン、ロイプロリド、ゴセレリン及びプレドニゾンが含まれる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法又は内分泌療法の組合せにより、乳癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
卵巣癌
もう1つの態様では、該発明は、上皮性卵巣腫瘍を含めた卵巣癌の治療方法を提供する。好ましくは、該発明は、卵巣内の腺癌及び卵巣から腹腔内に移動した腺癌の中から選択された卵巣癌を治療する方法を提供する。外科手術、免疫療法、化学療法、ホルモン療法、放射線療法又はそれらの組合せが、卵巣癌に利用可能と考えられているいくつかの治療である。考えられるいくつかの外科的処置としては、減量手術及び片側又は両側卵巣摘出術及び/又は片側又は両側卵管切除術が含まれる。
使用可能な抗癌薬としては、シクロホスファミド、エトポシド、アルトレタミン、及びイフォスファミドが含まれる。薬物タモキシフェンでのホルモン療法を、卵巣腫瘍を縮小させる目的で使用することができる。放射線療法は、外照射療法及び/又は小線源療法であり得る。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、内分泌療法又はそれらの組合せとの組合せにより、卵巣癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
子宮癌
もう1つの態様においては、該発明は子宮癌、好ましくは子宮頸部上皮内の腺癌を治療する方法を提供する。この癌には、扁平上皮癌及び腺癌という2つの主要なタイプが存在する。前者は、全ての子宮頸癌の約80〜90%を占めており、子宮頸膣部(膣に最も近い部分)及び子宮頸部(子宮に最も近い部分)が合流する部分で発生する。後者は、子宮頸部の粘液生産腺細胞内で発生する。一部の子宮頸癌は、これらの両方の特徴を有し、腺扁平上皮癌又は混合型癌腫と呼ばれる。
子宮頸癌に利用可能な主要な治療は、外科手術、LMT、放射線療法及び化学療法である。考えられるいくつかの外科的選択肢としては、凍結外科手術、子宮摘出術、及び広範子宮全摘術がある。子宮癌患者向けの放射線療法には、外照射療法又は小線源療法が含まれる。子宮頸癌を治療するための化学療法の一部として投与されうる抗癌薬としては、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、イリノテカン、ブレオマイシン、ピンクリンスチン、ミトマイシン、イフォスファミド、フルオロウラシル、エトポシド、メトトレキサート、及びそれらの組合せが含まれる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、子宮頸癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
前立腺癌
その他の1つの態様において、該発明は、前立腺癌、好ましくは腺癌又は骨に移動した腺癌の中から選択された前立腺癌を治療するための方法を提供する。前立腺癌は、尿道の最初の部分をとり囲む男性の前立腺器官の中で発生する。前立腺は複数の細胞型を有するが、腫瘍の99%は、精液の生成を担当する腺細胞の中で発生する腺癌である。
外科手術、免疫療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法及び化学療法が、前立腺癌患者にとって利用可能ないくつかの治療である。前立腺癌を治療するための考えられる外科的処置としては、根治的恥骨後前立腺摘除術、根治的経会陰的前立腺切除術、及び腹腔鏡根治的前立腺切除術が含まれる。いくつかの放射線療法選択肢としては、3次元原体照射療法、強度変調放射線療法及び原体陽子線照射療法を含めた外照射療法がある。小線源療法(種子移植又は組織内照射療法)もまた、前立腺癌向けに利用可能な治療方法である。凍結療法は、局在化した前立腺癌細胞を治療するのに用いられるもう1つの考えられる方法である。
アレドロゲン枯渇療法又はアンドロゲン抑制療法とも呼ばれるホルモン療法を、前立腺癌の治療目的で使用することができる。アンドロゲンの90%が生産される睾丸を除去する睾丸摘出術を含むこの療法の複数の方法が利用可能である。もう1つの方法は、アンドロゲンレベルを低下させるための黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体の投与である。利用可能なLHRH類似体としては、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン及びヒストレリンが含まれる。アバレリックスといったようなLHRHアンタゴニストも同様に投与できる。
身体の中のアンドロゲン活性を遮断する抗アンドロゲン作用物質での治療は、もう1つの利用可能な療法である。かかる作用物質にはフルタミド、ビカルウタミド、及びニルタミドが含まれる。この療法は標準的には、LHRH類似体投与又は睾丸摘出と組合わされ、これは組合せ型アンドロゲン遮断(CAB)と呼ばれている。
前立腺腫瘍が前立腺の外側に広がっておりしかもホルモン治療が有効でない場合には、化学療法を利用することができる。ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポシド、ミトキサントロン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン及びプレドニゾンといったような抗癌薬が、前立腺癌の成長を緩慢にし、症候を低減させ、生活の質を改善させるために投与可能である。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、ホルモン療法又はそれらの組合せとの組合せにより、前立腺癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
膵臓癌
もう1つの態様においては、該発明は、膵臓癌、好ましくは膵管組織内の類上皮癌腫及び膵管内の腺癌の中から選択された膵臓癌を治療する方法を提供する。
膵臓癌の最も一般的なタイプは、膵管の内層内に発生する腺癌である。膵臓癌のために利用可能と考えられる治療は、外科手術、免疫療法、放射線療法及び化学療法である。考えられる外科的治療の選択肢には、膵尾部切除術又は膵全切除術及び膵頭十二指腸切除術(ウィップル処置)が含まれる。
放射線療法、特に体外の機械により放射線が腫瘍に集束させられる外照射は、膵臓癌患者にとっての1つの選択肢であり得る。もう1つの選択肢は、手術中に投与される術中電子線照射線である。
膵臓癌患者を治療するために化学療法を使用することができる。適切な抗癌薬としては、5−フルオロウラシル(5−FU)、ミトマイシン、イフォファミド、ドキソルビシン、ステプトゾシン、クロロゾトシン、及びそれらの組合せが含まれる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法又は化学療法の組合せにより、膵臓癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
膀胱癌
もう1つの態様では、該発明は膀胱癌、好ましくは膀胱中の移行細胞癌を治療する方法を提供する。膀胱癌は、尿路上皮癌(移行細胞癌)、又は膀胱の内側をおおう尿路上皮細胞内の腫瘍である。膀胱癌の残りの症例は、扁平上皮癌、腺癌及び小細胞癌である。非侵襲性であるか侵襲性であるかそして乳頭状であるか平坦であるかによって尿路上皮癌のいくつかの亜型が存在する。非侵襲性腫瘍は、膀胱の最も内側の層、尿路上皮内にあり、一方侵襲性腫瘍は尿路上皮から膀胱の主要筋壁のより深い層まで広がってしまっている。侵襲性乳頭状尿路上皮癌は、膀胱の中空中心内に分岐し、同じく膀胱壁内へと外向きに成長する細い指標の突起である。非侵襲性乳頭状尿路上皮腫瘍は、膀胱の中心に向かって成長する。非侵襲性の扁平尿路上皮腫瘍(扁平上皮内癌とも呼ばれる)は、膀胱の内側中空部分に最も近い細胞層に限定されている一方、侵襲性扁平尿路上皮癌は膀胱のより深い層、特に筋肉層に侵襲する。
膀胱癌を治療するためには、外科手術、放射線療法、免疫療法、化学療法又はそれらの組合せを適用することができる。いくつかの考えられる外科的選択肢としては、経尿道的電気切除術、嚢胞切除術又は根治的膀胱切除術がある。膀胱癌のための放射線療法には、外照射療法及び小線源療法が含まれ得る。
免疫療法は、膀胱癌患者を治療するために利用可能なもう1つの方法である。標準的には、これは、膀胱内で達成され、これは、カテーテルを通した膀胱内への直接的治療薬投与である。1つの方法は、時として結核ワクチン接種で使用される細菌をカテーテルを通して膀胱内に直接与えるBacillus Calmete−Guerin(BCG)である。体は、該細菌に対する免疫応答を高め、かくして癌細胞を攻撃し死滅させる。
免疫療法のもう1つの方法は、免疫応答を調節させる糖タンパク質であるインターフェロンの投与である。インタフェロンアルファを膀胱癌の治療のために使用することが多い。
膀胱癌を治療するために化学療法において使用可能である抗癌薬には、チテパ、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、パクリタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、イファスフミド、ジェムシタビン又はそれらの組合せが含まれる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、免疫療法、化学療法またそれらの組合せとの組合せにより、膀胱癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
急性骨髄性白血病
もう1つの態様においては、該発明は、急性骨髄性白血病(AML)、好ましくは末梢血中の急性前骨髄球性白血病を治療する方法を提供する。AMLは、骨髄中で始まるが、リンパ節、肝臓、脾臓、中枢神経系及び睾丸を含めた体のその他の部分に広がる可能性がある。それは急性であり、このことはすなわちそれが急速に発生し、数ヵ月以内に治療されない場合致命的になり得ることを意味している。AMLは、再生し蓄積し続ける通常は顆粒球又は単球である未成熟骨髄細胞により特徴づけされる。
AMLは、免疫療法、放射線療法、化学療法、骨髄又は末梢血幹細胞移植又はそれらの組合せにより治療可能である。放射線療法には、外照射療法が含まれ、副作用があり得る。AMLを治療するための化学療法において使用可能な抗癌薬としては、シタラビン、アントラサイクリン、アントラセネジオン、イダルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、チオグアニン、ビンクリスチン、プレトニゾン、エトポシド又はそれらの組合せが含まれる。
AML患者を治療するためにモノクローナル抗体療法を使用することができる。体内の白血病細胞を死滅させる手段を提供するために、患者への投与の前にこれらの抗体に対し小分子又は放射性化学薬品を付着させることができる。CD33をAML細胞上に結合させるモノクローナル抗体、ジェムツツマブ、オゾガミシンを用いて、これまでの化学療法投薬計画を寛容できないAML患者を治療することができる。
AML患者を治療するために、骨髄又は末梢血幹細胞移植を使用することが可能である。考えられるいくつかの一部の移植処置としては、同種移植又は自己移植がある。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法又は移植療法の組合せにより、白血病患者にとって有益な効果を提供することができる。
急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄異形成及び骨髄増殖症候群を含め(ただしこれらに制限されるわけではない)、該発明が提供する方法により同様に治療可能なその他のタイプの白血病も存在する。
肺癌
もう1つの態様においては、該発明は、肺癌を治療するための方法を提供する。最も一般的なタイプの肺癌は、肺癌の約80〜85%を占め、扁平上皮細胞癌、腺癌及び大細胞未分化癌腫に細分される非小細胞肺癌(NS細胞)である。小細胞肺癌は肺癌の15〜20%を占める。
肺癌のための治療の選択肢としては、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法、光線力学療法又はそれらの組合せが含まれる。肺癌治療のためのいくつかの考えられる外科的選択肢は、区域切除術又は楔状切除術、肺葉切除又は肺全摘術である。放射線療法は、外照射療法又は小線源療法であり得る。
肺癌を治療するために化学療法内に使用可能であるいくつかの抗癌薬としては、シスプラチン、カルボプラチン、バクリタキセル、ドセタキセル、ジェムシタビン、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンプラスチン、ジェフィチンブ、イフォスファミド、メトトレキサート又はそれらの組合せが含まれる。光線力学療法(PDT)を用いて肺癌患者を治療することも可能である。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、光線力学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、肺癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
皮膚癌
もう1つの態様においては、該発明は皮膚癌を治療する方法を提供する。皮膚から始まる複数のタイプの癌が存在する。最も一般的なタイプは、非黒色腫皮膚癌である基底細胞癌及び扁平上皮細胞癌である。光線性角化症は、時として扁平上皮細胞癌へと発達することのある皮膚条件である。非黒色腫皮膚癌が体のその他の部分に広がることはまれである。皮膚癌の最も稀な形態である黒色腫は、近傍の組織に侵襲し体のその他の部分に広がる確率がより高いものである。外科手術、放射線療法、化学療法及び光線力学療法を含め、非黒色腫及び黒色腫皮膚癌及び光線性角化症を患う患者のための異なるタイプの治療が利用可能である。皮膚癌治療のためのいくつかの考えられる外科的選択肢としては、モース顕微鏡手術、単純切除術、電気転換及び掻爬術、凍結外科手術、レーザー外科手術がある。放射線療法は外照射療法又は小線源療法であり得る。臨床試験においてテストされているその他のタイプの治療としては、生物療法又は免疫療法、化学免疫療法、フルオロウラシルでの局所的化学療法及び光線力学療法がある。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、光線力学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、皮膚癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
眼癌、網膜芽細胞腫
もう1つの態様では、該発明は、眼の網膜芽細胞腫を治療するための方法を提供する。網膜芽細胞腫は、網膜の悪性腫瘍である。網膜芽細胞腫はあらゆる年令で発生し得るものの、通常は5才前の低年令の小児に発生することが最も多い。腫瘍は、片眼の場合もあれば両眼の場合もある。網膜芽細胞腫は通常眼に限定されるが、近傍の組織又は体の他の部分に広がることはない。患者を治癒させ視力を失わないようにする治療の選択肢としては、摘出術(眼球を取り出す外科手術)、放射線療法、凍結療法、光凝固術、免疫療法、温熱療法及び化学療法が含まれる。放射線療法は、外照射療法又は小線源療法であり得る。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、凍結療法、光凝固術、温熱療法及び化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、眼の網膜芽細胞腫患者にとって有益な効果を提供することができる。
眼癌、眼内黒色腫
もう1つの態様においては、該発明は、眼内(眼球)黒色腫を治療する方法を提供する。稀な癌である眼内黒色腫は、ブドウ膜と呼ばれる眼の一部分の中に癌細胞が見られる疾病である。ブドウ膜は、虹彩、毛様体、及び脈絡膜を含む。眼内黒色腫は、中年の人に最も多く発生する。眼内黒色腫の治療には、外科手術、免疫療法、放射線療法及びレーザー療法が含まれる。外科手術が眼内黒色腫の最も一般的な治療である。いくつかの考えられる外科的選択肢としては、虹彩切除術、虹彩線維柱帯切除術、虹彩毛様体切除術、脈絡膜切除術、摘出術及び眼嵩内容除去術がある。放射線療法は外照射療法又は小線源療法あり得る。レーザー療法は腫瘍を破壊するための強力集中ビーム、温熱療法又は光凝固術であり得る。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、及びレーザー療法又はそれらの組合せとの組合せにより、眼内黒色腫患者にとって有益な効果を提供することができる。
子宮内膜癌
もう1つの態様においては、該発明は、子宮内膜癌を治療するための方法を提供する。子宮内膜癌は、子宮の内層である子宮内膜から始まる癌である。子宮及び子宮内膜の癌のいくつかの例としては、腺癌、腺腫細胞腫、腺扁平上皮癌、乳頭状漿液性腺癌、透明細胞腺癌、子宮肉腫、間質性肉腫、悪性混合型中胚葉性腫瘍及び平滑筋肉腫が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、遺伝子療法、光線力学療法、抗血管形成療法及び免疫療法又はそれらの組合せとの組合せにより、子宮内膜癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
肝癌
もう1つの態様では、該発明は、原発性肝癌(肝臓内で始まる癌)を治療するための方法を提供する。原発性肝癌は、成人及び小児の両方で発生し得る。原発性肝癌を患う患者のためには異なるタイプの治療が利用可能である。これらには、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法及び経皮的エタノール注入療法が含まれる。使用可能な外科手術のタイプとしては、凍結外科手術、部分肝切除、肝臓全摘出及び高周波アブレーションがある。放射線療法は、外照射療法、小線源療法、放射線増感剤及び放射性標識抗体であり得る。その他のタイプの治療としては、ハイパーサーミア療法及び免疫療法が含まれる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、経皮的エタノール注入、ハイパーサーミア療法及び免疫療法又はそれらの組合せとの組合せにより、肝癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
腎臓癌
もう1つの態様では、該発明は、腎臓癌を治療するための方法を提供する。腎臓癌(腎細胞癌又は腎臓腺癌)は、腎臓内の尿細管の内層内に悪性細胞が見られる疾病である。腎臓癌は、外科手術、放射線療法、化学療法及び免疫療法により治療可能である。腎臓癌を治療するためのいくつかの考えられる外科的選択肢としては、腎部分切除術、単純腎摘出術及び根治的腎摘出術がある。放射線療法は、外照射療法又は網膜芽細胞腫であり得る。幹細胞移植を腎臓癌の治療に用いることが可能である。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、免疫療法及び幹細胞移植、又はそれらの組合せとの組合せにより、腎臓癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
甲状腺癌
もう1つの態様においては、該発明は、甲状腺癌を治療するための方法を提供していつ。甲状腺癌は、甲状腺の組織内に癌(悪性)細胞が見出される疾病である。甲状腺癌の4つの主要なタイプは、乳頭状、濾胞状、髄様癌及び退形成癌である。甲状腺癌は、外科手術、免疫療法、放射線療法、ホルモン療法及び化学療法により治療可能である。外科手術が、甲状腺癌の最も一般的な治療法である。甲状腺癌の治療のためのいくつかの考えられる外科的選択肢としては、肺葉切除、甲状腺のほぼ全摘出術、甲状腺全摘出術、及びリンパ節摘出がある。放射線療法は外照射療法であり、そうでなければ、放射性ヨウ素を含有する液体の摂取を必要とする。ホルモン療法は、癌細胞の成長を停止させるためにホルモンを使用する。甲状腺癌を治療する上で、癌細胞を成長させ得るその他のホルモンを体が作るのを停止させるためにホルモンを使用することができる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、ホルモン療法及び化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより甲状腺癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
エイズ関連癌
エイズ関連リンパ腫
もう1つの態様では、該発明は、エイズ関連リンパ腫を治療するための方法を提供する。エイズ関連リンパ腫は、悪性細胞が、後天性免疫不全症候群(AIDS)を患う患者のリンパ系の中で悪性細胞が形成している疾患である。エイズは、体の免疫系を攻撃し弱めるヒト免疫不全ウイルス(HIV)によってひき起こされる。このとき免疫系は、体に侵襲する感染及び疾病と闘うことができない。HIV疾患を患う患者は、感染症、リンパ腫及びその他のタイプの癌を発生させるリスクを増大させている。リンパ腫は、リンパ系の白血球に影響を及ぼす癌である。リンパ腫は2つの一般的タイプすなわちホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫に分けられる。ホジキンリンパ腫も非ホジキンリンパ腫も両方共、エイズ患者の体内で発生し得るが、非ホジキンリンパ腫の方が一般的である。エイズを患う人が非ホジキンリンパ腫を有する場合、それはエイズ関連リンパ腫と呼ばれる。非ホジキンリンパ腫は無痛性(進行が遅い)か又は進行性(進行が速い)であり得る。エイズ関連リンパ腫は通常、進行性である。エイズ関連リンパ腫の3つの主要なタイプは、びまん性大細胞型、β細胞リンパ腫、β細胞免疫芽球性リンパ腫及び小型非開裂細胞性リンパ腫である。
エイズ関連リンパ腫の治療は、リンパ腫の治療とエイズに対する治療を組み合わせるものである。エイズ患者は、弱くなった免疫系を有し、治療はさらなる損傷をひき起こす可能性がある。このような理由のため、エイズ関連リンパ腫を患う患者は通常、エイズを患らわないリンパ腫患者に比べ低い用量の薬物で治療される。高活性抗レトロウイルス療法(HAART)がHIVの進行を緩慢にするために使用される。重大なものであり得る感染を予防し治療するための薬剤も同じく使用される。エイズ関連リンパ腫は、化学療法、免疫療法、放射線療法及び幹細胞移植を伴う高用量化学療法により治療することもできる。放射線療法は、外照射療法又は小線源療法であり得る。エイズ関連リンパ腫は、モノクローナル抗体療法により治療することができる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と化学療法、放射線療法及び高用量化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、エイズ関連リンパ腫患者にとって有益な効果を提供することができる。
カポジ肉腫
もう1つの態様においては、該発明は、カポジ肉腫を治療するための方法を提供する。カポジ肉腫は、口、鼻及び肛門の内側をおおう粘膜又は皮膚下の組織の中に癌細胞が見出される疾患である。古典的なカポジ肉腫は通常、ユダヤ、イタリア又は地中海の遺産を受ける老年男性に発生する。このタイプのカポジ肉腫は、ゆっくりと、時として10〜15年にわたって進行する。カポジ肉腫は免疫抑制剤を飲んでいる人に発生し得る。後天性免疫不全症候群(エイズ)を患う患者におけるカポジ肉腫は、流行性カポジ肉腫と呼ばれる。エイズを患う人におけるカポジ肉腫は通常、その他の種類のカポジ肉腫よりもさらに急速に広がり、体の数多くの部分が見られることが多い。カポジ肉腫は、外科手術、化学療法、放射線療法及び免疫療法で治療され得る。外照射療法がカポジ肉腫の一般的な治療である。カポジ肉腫を治療するためのいくつかの考えられる外科的選択肢は、局所切除、電気乾燥と掻爬術及び凍結療法である。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、化学療法、放射線療法及び免疫療法又はそれらの組合せとの組合せにより、カポジ肉腫患者にとって有益な効果を提供することができる。
ウイルス誘導型癌
もう1つの態様では、該発明は、ウイルス誘導型癌を治療するための方法を提供する。特定の悪性腫瘍の病因の中で複数のウイルスが明らかに又は高確率に原因因子となっている。これらのウイルスは通常、潜在性を確立するか又は、わずかであるが持続的感染症となりうるかのいずれかである。腫瘍形成は恐らくは、感染を受けた宿主の体内でのウイルスの高レベルでの活性化に結びつけられ、重いウイルス用量又は免疫制御の障害を反映している。主要なウイルス悪性腫瘍系としては、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、及び肝細胞癌、ヒトリンパ向性ウイルスI型(HILV−1)及び成人T細胞白血病/リンパ腫;及びヒト乳頭腫ウイルス(HPV)及び子宮頸癌が含まれる。一般に、これらの悪性腫瘍は、人生の比較的早い時期に発生し、標準的に、中年以前をピークとする。
ウイルス誘導型肝細胞癌
HBVとHCVの両方と肝細胞癌又は肝癌の間の因果関係は、実質的な疫学的証拠を通して立証されている。両方ともが、細胞死及びその後の再生をひき起こすことによって肝臓内の慢性的複製を介して作用すると思われる。肝癌患者は、異なるタイプの治療を利用することができる。これらには、外科手術、免疫療法、放射線療法、化学療法及び経皮的エタノール注入が含まれる。使用可能な外科手術タイプとしては、凍結外科手術、部分肝切除、肝臓全摘出及び高周波アブレーションがある。放射線療法は、外照射療法、小線源療法、放射線増感剤又は放射性標識抗体であり得る。その他のタイプの治療としては、温熱療法が含まれる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と外科手術、放射線療法、化学療法、経皮エタノール注入、温熱療法及び免疫療法又はそれらの組合せにより、ウイルス誘導型肝細胞癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
ウイルス誘導型成人T細胞白血病/リンパ腫
HTLV−1と成人T細胞白血病(ATL)の間の結びつきは堅固に立証されている。世界中で発見されたその他の発癌ウイルスとは異なり、HTLV−1は、地理的にかなり制限されており、日本南部、カリブ海、西及び中央アフリカ及び南太平洋諸島に主として発見されている。因果説の証拠としては、ほぼ全てのATL症例における保因者体内のウイルスゲノムのモノクローナル組込みがある。HTLV−1に結びつけられた悪性腫瘍のリスク因子は、周産期感染症、高ウイルス負荷及び男性であることにあると思われる。
成人T細胞白血病は、血液及び骨髄の癌である。成人T細胞白血病/リンパ腫のための標準的治療は、放射線療法、免疫療法及び化学療法である。放射線療法は外照射療法又は小線源療法であり得る。成人T細胞白血病/リンパ腫のその他の治療方法としては免疫療法及び幹細胞移植を伴う高用量化学療法である。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法、免疫療法及び幹細胞移植を伴う高用量化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより成人T細胞白血病患者にとって有益な効果を提供することができる。
ウイルス誘導型子宮頸癌
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)での子宮頸部の感染は、子宮頸癌の最も一般的な原因である。しかしながら、HPVに感染している全ての女性が子宮頸癌を発生することになるわけではない。子宮頚癌は通常経時的にゆっくりと発達する。癌が頸部内に現われる前に、頚部の細胞は、頚部組織内に正常でない細胞が現われ始める異形成と知られる変化を経験する。その後、癌細胞は成長し始め、頚部内にそして周囲の部域までより深く広がる。子宮頚癌のための標準的な治療は、外科手術、免疫療法、放射線療法及び化学療法である。使用可能な外科手術タイプは、円錐切除術、子宮全摘出、両側卵管卵巣摘出術、根治的子宮摘出、骨盤内容除去術、凍結外科手術、レーザー外科手術及びループ電気外科切除処置である。放射線療法は外照射療法又は小線源療法であり得る。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、成人子宮頚癌に対し有益な効果を提供することができる。
CNS癌
脳及び脊髄の腫瘍は、中枢神経系(CNS)の一次的構成要素である頭がい骨又は骨性脊柱内部に見出される組織の異常な成長である。良性腫瘍は非癌性であり、悪性腫瘍は癌性である。CNSは、剛性の骨性4半分(すなわち頭がい骨及び脊柱)の内部に収納されており、従って良性のものであれ悪性のものであれ、あらゆる異常成長が敏感な組織に対し圧力を加え機能を損なう可能性がある。脳又は脊髄内に端を発する腫瘍は、原発性腫瘍と呼ばれる。大部分の原発性腫瘍は、ニューロンをとり囲み支持する細胞の間での制御不能の成長によってひき起こされる。少数の個体において、原発性腫瘍は、特定の遺伝病(例えば神経線維腫症、結節硬化症)、又は放射線被爆又は発癌性化学物質の結果としてもたらされ得る。大部分の原発性腫瘍の原因はなおも未解明である。
脳及び脊柱腫瘍を診断するための最初の試験は、神経学的診察である。特殊な撮像技術(コンピュータ断層撮影及び磁気共鳴撮像、ポジトロン放出型断層撮影)も同じく利用される。実験室試験には、EEG及び脊椎穿刺が含まれる。組織試料が疑いのある腫瘍から採られる外科的処置が、医師による腫瘍タイプの診断を助ける。
腫瘍は、それが由来すると思われる細胞の種類に従って分類される。成人における最も一般的な原発性脳腫瘍は、血液脳関門を作り上げ中枢神経系の栄養摂取に寄与する星状膠細胞と呼ばれる脳内細胞に由来する。これらの腫瘍は、神経膠腫(星状細胞腫、未分化性星状細胞腫、又は多形性膠芽腫)と呼ばれ、全ての原発性中枢神経系腫瘍の65%を占める。腫瘍の一部分は、乏突起膠腫、上衣細胞腫、髄膜腫、リンパ腫、神経鞘腫及び髄芽細胞腫であるが、これらに制限されるわけではない。
CNSの神経上皮性腫瘍
星状細胞腫瘍例えば星状細胞腫;未分化性(悪性)星状細胞腫(例えば大脳半球性、間脳性、視覚性、脳幹性、小脳性);多形性膠芽腫;毛様細胞性星状細胞腫(例えば大脳半球性、間脳性、視覚性、脳幹性、小脳性);上衣下巨細胞性星状細胞腫;及び多形性黄色星状膠細胞腫の乏突起膠腫瘍例えば乏突起膠腫;及び未分化性(悪性)乏突起膠腫。上衣細胞腫瘍例えば上衣細胞腫;未分化性上衣細胞腫;粘液乳頭上衣細胞腫;及び上衣下腫。混合型神経膠腫例えば混合型乏突起星状細胞腫;未分化性(悪性)乏突起星状細胞腫;及びその他(例えば上衣−星状細胞腫腫)。起源が不確実である神経上皮腫瘍、例えば、極性海綿芽細胞腫;星状芽細胞腫、及び大脳神経鞘腫。脈絡叢の腫瘍、例えば脈絡叢乳頭腫;及び脈絡叢癌腫(未分化性脈絡叢乳頭腫)。ニューロン及び混合型ニューロン神経膠腫瘍、例えば神経節細胞腫;小脳の異形成神経節細胞腫(レルミット−デュクロ);神経節膠腫;未分化(悪性)神経節膠腫;線維形成性乳児神経節膠腫;中枢神経細胞腫;胚芽異形成性神経上皮腫瘍;嗅神経芽細胞腫(鼻腔神経芽細胞腫。松果体実質腫瘍例えば松果体細胞腫;松果体芽細胞腫及び混合型松果体細胞腫/松果体芽細胞腫。神経芽細胞又はグリア芽細胞要素(胎児性腫瘍)を伴う腫瘍、例えば髄様上皮腫;髄芽細胞腫といったような多能性分化を伴う原始神経外胚葉腫瘍;脳性原始神経外胚葉腫瘍;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫及び上衣芽細胞腫。
その他のCNS新生物
トルコ鞍部領域の腫瘍例えば下垂体腺腫;下垂体癌腫;及び頭蓋咽頭腫。造血性腫瘍例えば原発性悪性リンパ腫;形質細胞腫;及び顆粒球性肉腫。胚細胞腫瘍、例えば胚細胞腫;胎生期癌;卵黄嚢腫瘍(内胚葉洞腫瘍)絨毛腫;奇形腫;及び混合型胚細胞腫瘍。髄膜の腫瘍、例えば髄膜腫;異型髄膜腫及び未分化性(悪性)髄膜腫。髄膜の非髄膜上皮性腫瘍、例えば良性間葉;悪性間葉;原発生色素細胞病巣;造血新生物;及び不確実な組織発生腫瘍例えば血管芽細胞腫(毛細血管芽細胞腫)。脳神経及び脊髄神経の腫瘍、例えば神経鞘腫(神経線維腫症、神経鞘腫);神経繊維腫;悪性末梢神経鞘腫瘍(悪性神経鞘腫)、例えば類上皮、発散性間葉分化又は上皮分化、及び黒色性。局所的腫瘍から局所的拡張;例えば傍神経節腫(ケモデクトーマ);脊索腫;軟骨腫;軟骨肉腫及び癌腫。転移性腫瘍、未分類腫瘍及び嚢胞及び腫瘍様病巣、例えばラートケ裂嚢胞;類表皮;皮様;第3脳室のコロイド嚢胞;陽性嚢胞;神経膠嚢胞;顆粒球腫瘍(コリストーマ、下垂体細胞腫);視床下部ニューロン過誤腫;鼻部膠異所形成、及び形質細胞肉芽腫。
利用可能な化学療法薬としては、アルキル化剤、例えばシクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、BCNU、CCNU、デカルバジン、プロカルバジン、ブスルファン及びチオテパ;代謝拮抗物質、メトトラキサート、5−フルオロウラシル、シタラビン、ジェムシタビン(ジェムザール(登録商標))、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビン及びクラドリビン;;アントラサイクリン、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン及びミトキサントロン;抗体、例えばブレオマイシン;カンプトセシン例えばイリノテカン及びトポテカン;タキサン、例えばパクリタキセル及びドセタキセル;白金、例えばシスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンがあるが、これらに制限されるわけではない。
治療は外科手術、放射線療法、免疫療法、温熱療法、遺伝子療法、化学療法及び放射線と化学療法の組合せである。医師は同様に、CNS内部の膨れを減少させるべくステロイドを処方することもできる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、成人子宮頚癌に対し有益な効果を提供することができる。
PNS癌
末梢神経系は、脳及び脊髄から分岐した神経から成る。これらの神経は、CNSと体の部分の間の通信ネットワークを形成する。末梢神経系は、体性神経系及び自律神経系にさらに細分される。体性神経系は、皮膚及び筋肉まで届き意識活動に関与する神経から成る。自律神経系は、心臓、胃及び腸といったような内臓にCNSを連結する神経から成る。これは、無意識活動を媒介する。
聴神経腫は、第8脳神経又は内耳神経とも呼ばれる平衡神経から発生する良性線維質成長である。これらの腫瘍は非悪性である、つまり体の他の部分に広がったり転移したりすることがない。これらの腫瘍の場所は、頭がい骨内部奥深く、脳幹内の生命維持に必要な脳中心に隣接したところである。腫瘍が拡大するにつれて、これらには、生体機能と関係のある周囲構造が関与する。大部分の症例において、これらの腫瘍は何年もの期間にわたりゆっくりと成長する。
悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)というのは、神経繊維腫及び神経鞘腫といったような良性軟組織腫瘍に対する悪性の対応物である。それは、深部軟組織、通常は、神経幹の近くにおいて最も一般的である。最も一般的な部位には、坐骨神経、腕神経叢及びサルカル(sarcal)神経叢が含まれる。最も一般的な症候は、通常生検を促すことになる痛みである。これは、通常成人の三叉神経の感覚枝から生じる稀で、攻撃的かつ致死的な眼窩新生物である。悪性PNS腫瘍は神経に沿って広がり、脳を巻き込み、大部分の患者は臨床診断から5年以内に死亡する。MPNSTは、類上皮、間葉又は腺性という特徴を有する3つの主要なカテゴリーに分類され得る。MPNSTのいくつかとしては、軟骨性分化を伴う皮下悪性類上皮神経鞘腫、腺性悪性神経鞘腫、神経周囲分化を伴う悪性末梢神経鞘腫瘍、横紋筋様特長を有する皮膚類上皮悪性神経鞘腫瘍、表在性類上皮MPNST、トリトン腫瘍(横紋筋芽細胞分化を伴うMPNST)、横紋筋芽細胞分化を伴う神経鞘腫が含まれるが、これらに制限されるわけではない。稀なMPNST症例は、多発性肉腫組織タイプ、特に骨肉腫、軟骨肉腫及び血管肉腫を含む。これらは時として、軟組織の悪性間葉腫と区別できない。
その他のタイプのPNS癌には、悪性線維性細胞腫、悪性線維性組織球腫、悪性髄膜腫及び悪性混合型ミュラー腫瘍が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
治療は外科手術、放射線療法、免疫療法、化学療法及び放射線と化学療法の組合せである。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、PNS癌に対し有益な効果を提供することができる。
口腔及び口腔咽頭癌
中枢神経系(CNS)癌患者の管理はなおも手に負えない仕事である。下咽頭癌、喉頭癌、鼻咽腔癌、口腔咽頭癌などといった癌は、外科手術、免疫療法、化学療法、化学療法と放射線療法の組合せにより治療されてきた。トポイソメラーゼIIを阻害する一般に用いられる2つの腫瘍学的作用物質であるエトポシド及びアクチノマイシンDは、血液脳関門を有用な量で横断することができない。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、口腔及び口腔咽頭癌に対し有益な効果を提供することができる。
胃癌
胃癌は、胃の内層内の細胞変化の結果である。胃癌には、リンパ腫、胃間質腫瘍、及びカルチノイド腫瘍という3つの主要なタイプが存在する。リンパ腫は、胃の壁内に時として見出される免疫系組織の癌である。胃間質腫瘍は、胃壁の組織から発生する。カルチノイド腫瘍は、胃のホルモン産生細胞の腫瘍である。
胃癌の原因は、論争の的であり続けている。遺伝的環境(食事、喫煙など)の組合せが全て役割を果していると考えられる。治療に対する一般的なアプローチには、外科手術、免疫療法、化学療法、放射線療法、化学療法と放射線療法の組合せ又は生物療法が含まれる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、胃癌に対し有益な効果を提供することができる。
睾丸癌
睾丸癌は、標準的に若者の片方又は両方の睾丸の中に発生する癌である。睾丸の癌は、胚細胞として知られるある種の細胞の中に発生する。男性の体内に発生する2つの主要なタイプの胚細胞腫瘍(GCT)は、精上皮腫(60%)と非精上皮腫(40%)である。腫瘍は同様に、睾丸の支持組織及びホルモン産生組織又は間質の中で発生し得る。かかる腫瘍は、非腺間質腫瘍として知られている。主要な2つのタイプはライディヒ細胞腫瘍とセルトリ細胞腫瘍である。二次性睾丸腫瘍は、もう1つの器官内で始まり次に睾丸に広がった腫瘍である。リンパ腫は、最も一般的な二次性睾丸癌である。
治療に対する一般的なアプローチとしては、外科手術、免疫療法、化学療法、放射線療法、化学療法と放射線療法の組合せ又は生物療法が含まれる。睾丸癌を治療するためには標準的に、プラチノール(シスプラチン)、ベプシド又はVP−16(エトポシド)及びブレノキサン(硫酸ブレオマイシン)といった複数の薬物が用いられる。付加的には、Ifex(イフォサミド)、ベルバン(硫酸ビンプラスチン)及びその他を使用することができる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、胃癌に対し有益な効果を提供することができる。
胸腺癌
胸腺は、咽喉の基部から心臓の前面まで延びる胸部の上部/前面部分にある小さな器官である。胸腺は、胸腺上皮細胞とリンパ球という2つの主要なタイプの細胞を含む。胸腺上皮細胞は、胸腺腫と胸腺癌腫の起源となる。胸腺内又はリンパ節内のいずれのものであれ、リンパ球は、悪性となってホジキン病及び非ホジキンリンパ腫と呼ばれる癌へと発達し得る。胸腺は同様に、クルチツキ−細胞又は神経内分泌細胞と呼ばれる、通常あるホルモンを放出するもう1つのはるかに一般性の低いタイプの細胞をも含有する。これらの細胞は、同じタイプのホルモンを放出することが多く体内の他の場所で神経内分泌細胞から発生するその他の腫瘍と類似しているカルチノイド又はカルチノイド腫瘍と呼ばれる癌を発生させることができる。
治療に対する一般的アプローチには、外科手術、免疫療法、化学療法、放射線療法、化学療法と放射線療法の組合せ又は生物療法が含まれる。胸腺腫及び胸腺癌腫の治療において使用されてきた抗癌薬は、ドキソルビシン(アンドリアマイシン)シスプラチン、イフォスファミド、及びコルチコステロイド(プレドニゾン)である。往々にして、これらの薬物は、その有効性を高めるため、組合せた形で与えられる。胸腺癌を治療するために用いられる組合せには、シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシド及びシクロホスファミド並びにシスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド及びビンクリスチンの組合せが含まれる。
該発明により提供される方法は、ニトロベンズアミド化合物の投与又はニトロベンズアミド化合物の投与と放射線療法、化学療法又はそれらの組合せとの組合せにより、胃癌患者にとって有益な効果を提供することができる。
組合せ療法
該発明の1つの態様は、治療投薬計画の異なる組合せを用いて癌を治療するための方法を提供する。例えば、このような組合せには、1つ又は複数のさまざまな抗新生物化学療法剤、化学予防剤及び/又は副作用制限剤と併用したニトロベンズアミド化合物のうちの1つ又は複数のものの使用が含まれ得るが、これらに制限されるわけではない。
抗新生物化学療法剤
本発明において使用すべき適切な抗新生物化学療法剤としては、アルキル化剤、代謝拮抗物質、天然抗新生物剤、ホルモン抗新生物剤、血管形成阻害薬、抗体又は免疫療法剤、遺伝子療法剤、小分子酵素阻害物質、生物反応修飾物質及び抗転移薬が含まれる。
アルキル化剤
アルキル化剤は、癌細胞のDNAといったような巨大分子のアルキル化を通して作用することがわかっており、通常強い求電子剤である。この活性は、DNA合成及び細胞分裂を中断させることができる。ここで使用するのに適したアルキル試薬の例としては、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、塩酸メクロレタミン、メルファラン及びウラシルマスタードを含めたナイトロジェン・マスタード及びその類似体及び誘導体が含まれる。アルキル化剤のその他の例としては、スルホン酸アルキル(例えばブスルファン)、ニトロソウレア(例えばカルムスチン、ロムスチン及びストレプトゾシン)、トリアゼン(例えばデカルバジン及びテモゾロミド)、エチレンイミン/メチルメラミン(例えばアルトレタミン及びチオテパ)及びメチルヒドラジン誘導体(例えばプロカルバジン)が含まれる。アルキル化剤のグループに含まれるのは、カルボプラチン、シスプラチン及びオキサリプラチンを含むアルキル化様白金含有薬である。
代謝拮抗物質
代謝拮抗抗新生物剤は、天然の代謝産物と構造が似ており、核酸及びタンパク質の合成といったような癌細胞の正常な代謝プロセスに関与する。これらは、癌細胞の代謝プロセスに干渉するように、天然代謝物質とは充分異なっている。本発明において使用すべき適切な代謝拮抗抗新生物剤は、それらがもたらす代謝プロセスに応じて分類され得、葉酸、ピリミジン、プリン及びシチジンの類似体及び誘導体を含み得るが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適した葉酸作用物質グループの成員としては、メトトレキサート(アメトプテリン)、ペメトレキシド及びその類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適したピリミジン作用物質としては、シタラビン、フィオクスリジン(fioxuridine)、フルオロウラシル(5−フルオロウラシル)、カペシタビン、ジェムシタビン及びそれらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適したプリン作用物質としては、メルカプトプリン(6−メルカプトプリン)、ペントスタチン、チオグアニン、クラドリビン及びそれらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適したシチジン作用物質としては、シタラビン(シトシンアラビノシド)、アザシチジン(5−アザシチジン)及びそれらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
天然抗新生物剤
天然の抗新生物剤には、抗分裂剤、抗生物質抗新生物剤、カシポチシン類似体及び酵素が含まれる。ここで使用するのに適した抗分裂剤としては、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ヒノレルビン及びそれらの類似体及び誘導体のようなビンカ・アルカロイドが含まれるが、これらに制限されるわけではない。これらは、マダガスカルツルニチソウ植物から誘導され、通常、M相について細胞周期特異的であり、癌細胞の微小管内でチューブリンに結合する。ここで使用するのに適したその他の抗分裂剤は、エトポシド、テニポシド、及びそれらの類似体及び誘導体を含めた(ただしこれらに制限されるわけではない)ポドフィロトキシンである。これらの試薬は、細胞周期の晩期S期及びG2期を優先的に標的とする。
同じく、天然抗新生物剤の中に含まれるのは、抗生物質抗新生物剤である。抗生物質抗新生物剤は、通常癌細胞DNAとの相互作用を通して抗腫瘍特性を有する抗菌薬である。ここで使用するのに適した抗生物質抗新生物剤には、ベロマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトマイシン、ミトキサントロン、ペントスタチン、プリカマイシン及びそれらの類似体及び誘導体が含まれるがこれらに制限されるわけではない。
天然の抗新生物剤の分類には同様に、ここで使用するのに適したものでありカンポテシン、トポテカン及びイリノテカンを含むカンポテシン類似体及び誘導体も含まれる。これらの作用物質は、核酵素トポイソメラーゼIを標的とすることによって主として作用する。天然の抗新生物剤の下のもう1つのサブクラスは、酵素、L−アスパラギナーゼ及びその変異体である。L−アスパラギナーゼは、循環アスパラギンのアスパラギン酸及びアンモニアへの加水分解に触媒として作用することにより、L−アスパラギンをいくつかの癌細胞から奪うことによって作用する。
ホルモン抗新生物剤
ホルモン抗新生物剤は、前立腺組織、乳房組織、子宮内膜組織、卵巣組織、リンパ腫及び白血病と結びつけられるホルモン依存性癌細胞に対して主に作用する。かかる組織は、グルココルチコイド、プロゲスチン、エストロゲン及びアントロゲンといったような作用物質クラスに対する応答性を有しこれに依存する可能性がある。アゴニスト又はアンタゴニストである類似性及び誘導体の両方が本発明において腫瘍を治療する上で使用するのに適している。ここで使用するのに適したグルココルチコイドアゴニスト/アンタゴニストの例としては、デキサメタゾン、コルチゾール、コルチコステロン、プレドニゾン、ミフェプリストン(RU486)、それらの類似体及び誘導体がある。ここで使用するのに適したプロゲスチンアゴニスト/アンタゴニストサブクラスの作用物質としては、ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲステロール、ミフエプリストン(RU486)、それらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適したエステロゲンアゴニスト/アンタゴニストサブクラスの作用物質からの例としては、エストロゲン、タモキシフェン、トレミフェン、RU58668、SR16234、ZD164384、ZK191703、フルベストラント、それらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。エストロゲン産生を阻害するここで使用するのに適したアロマターゼ阻害物質の例としては、アンドロステンジオン、フォルメスタン、エキセメスタン、アミノグルテチミド、アナストラゾール、レトロゾール、それらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適したアレドロゲンアゴニスト/アンタゴニストサブクラスの作用物質としては、テストステロン、ジヒドロテストステロン、フルオキシメステロン、テストラクトン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロンゴナドトロピン放出性ホルモンアゴニスト/アンタゴニスト(例えばロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ブセレリン)、ジエチルスチルベストール、アバレリックス、シプロテロン、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、それらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
血管形成阻害薬
血管形成阻害薬は、腫瘍の脈管化を阻害することによって働く。血管形成阻害薬は、小分子剤、抗体剤、及びRNA機能を標的とする作用物質を含めた多様な作用物質を包含する。ここで使用するのに適した血管形成阻害薬の例としては、ラニミズマブ、ベバシツマブ、SU11248、PTK787、ZK222584、CEP−7055、アンギオザイム、ダルテパリン、タリドミド、スラミン、CC−5013、リン酸コンブレタスタチンA4、LY317615、大豆イソフラボン、AE−941、インタフェロンアルファ、PTK787/ZK222584、ZD6474、EMD121974、ZD6474、BAY543−9006、セレコキシブ、ハロフギノン臭化水素酸塩、ベバシツマブ、その類似体、変異体又は誘導体が含まれるがこれらに制限されるわけではない。
分化試薬
分化試薬は、癌細胞を誘発して分化させる機序を通して腫瘍成長を阻害する。ここで使用するのに適したこれらの作用物質のこのような1つのサブクラスには、ビタミンA類似体又はレチノイド、及びペルオキシソーム増殖剤活性化レセプターアゴニスト(PPAR)が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適したレチノイドには、ビタミンA、ビタミンAアルデヒド(レチナール)、レチノイン酸、フェンレチニド、9−シス−レチノイド酸、13−シス−レチノイド酸、全トランス−レチノイン酸、イソトレチノイン、トレチノイン、パルミチン酸レチノール、それらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適したPPARアゴニストには、トログリタゾン、シグリタゾン、テサグリタザル、それらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
RNA阻害物質
ある種のRNA阻害剤は、癌表現型と結びつけられるメッセンジャーRNA(「mRNA」)の発現又は翻訳を阻害するために利用可能である。ここで使用するのに適したかかる作用物質の例としては、低分子干渉RNA(「siRNA」)、リボザイム、及びアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適したRNA阻害剤の具体的な例としては、Gand5、Sirna−027、ホミビルセン及びアンギオザイムが含まれるが、これらに制限されるわけではない。
抗体/免疫療法剤
抗体剤は、癌細胞内で選択的に発現された標的を結合させ、標的と会合させられた細胞を死滅させるべく共役体を用いるか、又は体の免疫応答を惹起して癌細胞を破壊することができる。免疫療法剤は、ポリクローナル抗体か又はモノクローナル抗体のいずれかで構成され得る。抗体は、非ヒト動物(例えばマウス)構成要素及びヒト構成要素で構成されていてもよく、又、完全にヒト構成要素(「ヒト化抗体」)で構成されていてもよい。ここで使用するのに適したモノクローナル免疫療法剤の例としては、CD−20タンパク質を標的とするリツキシマブ、トシブツモマブ、イブリツモマブが含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適したその他の例としては、トラスツズマブ、エドレコロマブ、ベバシツマブ、セツキシマブ、癌胎児性抗原抗体、ジェムツズマブ、アレムツズマブ、マパツムマブ、パニツムマブ、EMD72000、TheraCIM hR3、2C4、HGS−TR2J及びHGS−ETR2が含まれる。
遺伝子療法剤
遺伝子療法剤は、患者の細胞の特定のセットの中に遺伝子のコピーを挿入し、癌及び非癌細胞の両方を標的とすることができる。遺伝子療法の最終目的は、改変された遺伝子を機能遺伝子で置き換えること、癌に対する患者の免疫応答を刺激すること、癌細胞を化学療法に対しより応答性の高いものにすること、「自殺」遺伝子を癌細胞内に入れること、又は血管形成を阻害することにある。遺伝子は、ウイルス、リポソーム又はその他の担体又はベクターを用いて標的細胞まで送達され得る。これらは、感染した細胞が患者の体内に戻されている状態でエクスビボで又は直接患者の体内に遺伝子−担体組成物を注入することによって行なうことができる。かかる組成物は、本発明の中で使用するのに適している。
小分子酵素阻害物質
一部の小分子治療薬は、表皮成長因子レセプター(「EGFR」)、又は血管内皮成長因子レセプター(「VEGFR」)といったようなある種の細胞レセプターの下流側シグナル形質導入シグナル又はチロシンキナーゼ酵素活性を標的とすることができる。小分子治療学によるこのようなターゲティングは、抗癌効果を結果としてもたらすことができる。ここで使用するのに適したこのような作用物質の例としては、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルフォチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、ZD6474、ソラフェニブ(BAY43−9006)、ERB−569、それらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
生物学的修飾物質
直接的抗腫瘍効果又は間接的効果のいずれかを通して、抗癌療法の中で一部のタンパク質又は小分子剤を使用することができる。ここで使用するのに適した直接作用する作用物質の例としては、レチノイド及びレチノイド誘導体といったような分化試薬が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適した間接的に作用する作用物質としては、インターフェロン、インターロイキン、造血成長因子(例えばエリスロポイエチン)及び抗体(モノクローナル及びポリクローナル)といったような免疫又はその他の系を修飾又は増強する作用物質が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
抗転移薬
癌細胞が原発腫瘍の部位から体中のその他の場所へと広がるプロセスは、癌転移と呼ばれている。ある種の作用物質は、癌細胞の蔓延を阻害するように設計された抗転移特性を有する。ここで使用するのに適したかかる作用物質の例としては、マリマスタット、ベバシツマブ、トラスツズマブ、リツキシマブ、エルロチニブ、MMI−166、GRN163L、ハンターキラーペプチド、メタロプロティナーゼ組織阻害薬(TIMP)、その類似体、誘導体及び変異体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
化学予防薬
癌の初期発生を予防するか又は再発又は転移を予防するために、いくつかの医薬品を使用することができる。ニトロベンズアミド化合物を含めた1つ又は複数のその他の抗癌剤と組み合わせた形でのかかる化学予防薬の投与は、癌の発生を治療すると同時に予防するように作用し得る。ここで使用するのに適した化学予防薬の例としては、タモキシフェン、ラロキシフェン、チボロン、ビホスホナート、イバンドロナート、エストロゲンレセプター調節因子、アロマターゼ阻害物質(レトロゾール、アナストロゾール)、黄体形成ホルモン−放出ホルモンアゴニスト、ゴセレリン、ビタミンA、レチナール、レチノイン酸、フェンレチニド、9−シス−レチノイド酸、13−シス−レチノイド酸、全−トランス−レチノイン酸、イソトレチノイン、トレチノイド、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、シクロオキシゲナーゼ阻害物質、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ、ポリフェノール、ポリフェノールE、緑茶抽出物、葉酸、グルカル酸、インターフェロン−アルファ、アネトールジチオレチオン(dithiolethione)、亜鉛、ピリドキシン、フィナステリド、ドキサゾシン、セレニウム、インドール−3−カルビナル、アルファ−ジフルオロメチルオルニチン、カロテノイド、ベータカロテン、リコペン、抗酸化剤、コエンザイムQ10、フラボノイド、ケルセチン、クルクミン、カテキン、没食子酸エピガロカテキン、N−アセチルシステイン、インドール−3−カルビノール、イノシトール6リン酸、イソフラボン、グルカン酸(glucanic acid)、ローズマリー、大豆、ノコゴリヤシ及びカルシウムが含まれるが、これらに制限されるわけではない。本発明において使用するのに適した化学予防薬の付加的な例は、癌ワクチンである。これらは、ワクチン接種プロセスによりターゲティングされる癌細胞型の全て又は一部分を用いて患者を免疫化することを通して作り出すことができる。
副作用制限剤
ニトロベンズアミド単独又はその他の抗新生物化合物と組み合わせた形での癌の治療には、抗新生物薬により生成される副作用を緩和することのできる医薬品の投与が随伴し得る。ここで使用するのに適したこのような作用物質には、制吐剤、抗粘膜炎剤、疼痛処理剤、感染制御剤、及び抗貧血/抗血小板減少症剤が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適した制吐剤の例としては、5−ヒドロキシトリプタミン3レセプターアンタゴニスト、メトクロプラミド、ステロイド、ロラゼパム、オンダステロン、カンナビノイド、それらの類似体及び誘導体が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適した抗粘膜炎剤の例としては、パリフェルミン(ケラチノサイト成長因子)、グルカゴン様ペプチド−2、テデュグルチド(teduglutide)、L−グルタミン、アミホスチン及び繊維芽細胞成長因子20が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適した疼痛処理剤の例としては、オピオイド、アヘン剤及び非ステロイド性抗炎症性化合物が含まれるがこれらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適した感染制御用に用いられる作用物質の例としては、アミノグルコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、クリンダマイシン、リンコマイシン、マクロライド、バンコマイシン、カルバペネム、マノバクタム、フルオロキノロン、スルファミド、ニトロフラントイン、それらの類似体及び誘導体といった抗菌剤が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ここで使用するのに適した化学療法に付随する貧血又は血小板減少症を治療できる作用物質の例としては、エリスロポイエチン及びトロンボポイエチンが含まれるが、これらに制限されるわけではない。
ニトロベンズアミド化合物及び本明細書で記述されているその他の化合物と組み合わせた形で使用するためのいくつかのその他の適切な療法も又利用可能である。例えば、Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 第11版、Brunton LL,Lazo JS及びParker KL,ed.McGraw−Hill,New York,2006年を参照のこと。
処方、投与経路及び有効用量
本発明のもう1つの態様は、ニトロベンズアミド化合物を含む医薬組成物のための処方及び投与経路に関する。かかる医薬組成物は、以上で詳述した方法において癌を治療するために使用可能である。
式Iaの化合物は、プロドラッグとして提供され得、かつ/又は投与後にインビボでニトロソベンズアミド形態に相互変換できるようになっていてよい。すなわち、本発明の中で使用するための処方を開発する上で、ニトロベンズアミド形態、及び/又はニトロソベンズアミド又は医薬として許容される塩のいずれでも使用することができる。さらに一部の実施形態においては、化合物を1つ又は複数のその他の化合物と組み合わせて、又は1つ又は複数のその他の形態で使用することができる。例えば、1つの処方は、各々の相対的有効性及び意図されている適応症に応じて、特別な割合でニトロベンズアミド化合物及び酸形態の両方を含み得る。2つの形態を同じ投薬量単位、例えば1つのクリーム、座薬、錠剤、カプセル又は飲料中に溶かす粉末の包みの中で合わせて処方してもよいし、そうでなければ、各々の形態を別々の単位例えば2つのクリーム、2つの座薬、2つの錠剤、2つのカプセル、錠剤とそれを溶解させるための液体、粉末とそれを溶解させるための液体の包みなどの形で処方することもできる。
ニトロベンズアミド化合物及びもう1つの活性作用物質の組合せを含む組成物の中で有効であり得る。2つの化合物及び/又は1つの化合物の2つの形態は、同じ投薬量単位内、例えば1つのクリーム、座薬、錠剤、カプセル又は飲料中に溶かす粉末の包みの中で合わせて処方してもよいし、そうでなければ、各々の形態を別々の単位例えば2つのクリーム、座薬、錠剤、2つのカプセル、錠剤とそれを溶解させるための液体、粉末とそれを溶解させるための液体の包みなどの形で処方することもできる。
「医薬として許容される塩」という用語は、本発明で使用される化合物の生物学的有効性及び特性を保持しかつ生物学的に又は非生物学的に望ましくないものではない塩を意味する。例えば医薬として許容される塩は、癌を治療する上で該発明の化合物の有益な効果を阻害することはない。
標準的な塩は、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムイオンといったような無機イオンの塩である。このような塩には、無機又は有機酸例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、P−トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸が含まれる。さらに、本発明の中で使用される化合物がカルボキシ基又はその他の酸性基を含有する場合、それを無機又は有機塩基との医薬として許容される塩へと変換することができる。適切な塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが含まれる。
経口投与のためには、当該技術分野において周知の医薬として許容される担体と活性化合物(単複)を組み合わせることにより、該化合物を容易に処方することができる。かかる担体は、該発明の化合物を、治療対象患者による経口摂取のためのチュアブル錠を含めた錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、トローチ剤、ハードキャンディ、液体、ジェル、シロップ、スラリー、粉末、懸濁液、エリキシル剤、ウエハースなどとして処方することを可能にする。かかる処方物は、固体希釈剤又は充てん剤、無菌水性媒質及びさまざまな非毒性有機溶媒を含めた医薬として許容される担体を含み得る。一般に、該発明の化合物は、所望の投薬量単位を提供するのに充分な量で、経口剤形の合計組成の重量で約0.5%、約5%、約10%、約20%、又は約30%〜約50%、約60%、約70%、約80%又は約90%の範囲の濃度レベルで含むことになる。
水性懸濁液は、懸濁剤(例えばメチルセルロース)、湿潤剤(例えば、レシチン、リソレシチン及び/又は長鎖脂肪アルコール)ならびに着色剤、防腐剤、芳香剤などといった医薬として許容される賦形剤と共にニトロベンズアミド化合物を含有し得る。
一部の実施形態においては、例えば大きな親油性部分の存在に起因して化合物を溶液の中にもち込むのに油又は非水性溶媒が必要とされるかもしれない。或いは、エマルジョン、懸濁液又はその他の調製物例えばリポソーム調製物を使用することができる。リポソーム調製物に関しては、1つの症状の治療のためにリポソームを調製するためのあらゆる既知の方法を使用することができる。例えば、本明細書に引用文献として組み込まれているBangham et al.,J.Mol.Biol,23:238−252(1965)及びSzoka et al.,Proc.Natl Acad.Sci.75−4194−4198(1978)を参照のこと。これらの組成物を特定の作用部位に導くようにリポソームにリガンドを付着させることもできる。本発明の化合物は同様に、一定の患者集団における可溶化、投与及び/又はコンプライアンスを容易にするため例えばクリームチーズ、バター、サラダドレッシング又はアイスクリームといった食品の中に組込むこともできる。
経口使用向けの医薬調製物は、任意には結果としての混合物をすりつぶし望ましい場合には助剤を添加した後で顆粒の混合物を加工して錠剤又は糖衣錠のコアを得ることで、固体賦形剤として得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含む糖などの充てん剤;着香要素、セルロース調製物、例えばトウモロコシでんぷん、小麦でんぷん、米でんぷん、じゃがいもデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)である。望まれる場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天又はアルギン酸又はアルギン酸ナトリウムといったその塩などの崩壊剤を添加することができる。化合物は同様に、持続放出調製物として処方することもできる。
糖衣錠コアに適切なコーティングを備えることができる。この目的で、任意にはアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有し得る濃縮糖溶液を使用することができる。識別のため又は活性化合物用量の異なる組合せを特徴づけするために、錠剤又は糖衣錠コーティングに対して染料又は顔料を添加することができる。
経口使用可能な医薬調製物には、ゼラチン製の押込み型カプセル、ならびにグリセロール又はソルビトールといったような可塑化剤とゼラチンで作られた密閉ソフトカプセルが含まれる。押込み型カプセルは、ラクトースといった充てん剤、でんぷんといった結合剤及び/又はタルク又はステアリン酸マグネシウムといった潤滑剤、そして任意には安定剤と混和した形で活性成分を含有することができる。ソフトカプセル中では、活性化合物は、適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコール中に溶解又は懸濁することができる。さらに、安定剤を添加することができる。経口投与のための全ての処方物は、投与に適した投薬量でなくてはならない。
注射のためには、本発明の阻害物質は、水溶液中、好ましくは生理学的に適合性のある緩衝液、例えばハンクス溶液、リンガー溶液又は生理食塩緩衝液の中で処方され得る。かかる組成物は同様に、例えば防腐剤、可溶化剤、アルブミンなどの1つ又は複数の賦形剤をも含み得る。処方方法は、例えばRemington‘s Pharmaceutical Sciences,最新版、Mack Publishing Co.,Easton Pの中で開示されているように、当該技術分野において既知である。これらの化合物は同様に、経粘膜投与、口腔投与、吸入投与、非経口投与、経皮投与及び直腸投与向けに処方することもできる。
前述の処方物に加えて、化合物をデポー製剤として処方することもできる。このような長時間作用型処方物は、移植又は経皮送達(例えば皮下又は筋内)、筋内注射又は経皮パッチの使用により投与され得る。かくして例えば適切な重合体又は疎水性材料(例えば許容される油中のエマルジョンとして)、又はイオン交換樹脂と共に、又はやや溶けにくい誘導体例えばやや溶けにくい塩として、化合物を処方することができる。
本発明中で使用するのに適した医薬組成物としては、活性成分が有効量ですなわち本明細書で記述されている癌のうちの少なくとも1つにおいて治療上及び/又は予防上の利益を達成するのに有効な量で存在している組成物が含まれる。特定の利用分野にとって有効な実際量は、治療対象の症状(単複)、対象の症状、処方及び投与経路ならびに当業者にとって既知のその他の要因により左右されることになる。ニトロベンズアミド化合物の有効量の決定は、本明細書中の開示に照らして当業者の能力範囲内に充分入り、日常的な最適化技術を用いて決定されることになる。
例1
インビトロ試験−細胞傷害性検定
48ウェル平板上に(5×104)個又は96ウェル平板上に(2×104)個異なるタイプの異なる由来の癌細胞株又は一次細胞を播種した。細胞を適切な培地内で培養した。95%のO2/5%のCO2の加湿した雰囲気中で37℃のインキュベータ内に培養を維持した。細胞を播種した後(24時間)、培地を除去し、200μMのBSOの存在下又は不在下でINO2BA又はINH2BPがさまざまな濃度で存在する培地と交換した。37℃での6日間のインキュベーションの後、細胞の生存率をCell Titer−Blue、細胞生存率検定(Promega)を用いて測定した(O‘Brien J.et al.(2000)、Investigation of the Alamar Blue(resazurin)fluorescent dye for the assessment of mammalian cell cytotoxicity。Eur.J.Biochem 267,5421−26及びGonzalez,R,J.及びTarloff,J,B.(2001)Evaluation of hepatic subcellular fractions for Alamar Blue and MTT reductase、を参照のこと)。この検定は、生体染色色素の還元による検出に基づく螢光分析/比色分析成長指標を取り入れている。細胞傷害性は成長阻害によって測定される。
細胞傷害性は同様に、生存能力ある細胞数を計数することによっても評価した。PBSで単層を洗浄し、その後0.25%のトリプシンと0.02%のEDTAの中で短時間インキュベートすることによって細胞を回収した。その後細胞を収集し、遠心分離により2回洗浄し、PBS中で再懸濁した。0.2%のトリパンブルー食塩溶液で少量の細胞懸濁液を染色し血球計中で細胞を検査することにより、細胞数及び生存率を測定した。Kerley−Hamilton et al.(2005)の「p53−dominant transcriptional response to cisplatin in testicular germ cell tumor−derived human embyronal carcinoma」及びCheol et al.(2005)の「Induction of apoptosis and inhibition of cyclooxygenase−2 expression by N−methyl−N’−nitro−N−nitrosoguanidine in human leukemia cells」を参照のこと。
異なる細胞株を用いたこの細胞増殖検定の結果を、図1〜10に示す。
例2
BrdU−ELISAで測定した細胞増殖
37℃での加湿された雰囲気中で、100μl/ウェルの最終体積で黒色96ウェルMP(組織培養グレード;透明平底)中に様々な濃度の試験物質(薬物)が存在する中で、細胞をインキュベートした。細胞を100μl/ウェル(最終濃度;10μMのBrdU)で培養した場合、10μl/ウェルのBrdU標識溶液を添加し、細胞を37℃でさらに2〜24時間再びインキュベートした(細胞を200μl/ウェル内で培養した場合には、20μl/ウェルのBrdU標識溶液を添加した)。10分間、MPを300×gで遠心分離し、カニューレを用いて吸引により標識培地を除去した。約15分間ヘヤドライヤを用いて又は代替的には1時間60℃で細胞を乾燥させた。細胞に対して200μl/ウェルのFixDenatを添加し、15〜25℃で30分間インキュベートした。振り払ったり叩いたりしてFixDenat溶液を完全に除去した。100μl/ウェルの抗−BrdU−POD希釈標準溶液を添加した。これを15〜25℃で約90分間インキュベートした。代替的には、このインキュベーション期間を、個々の必要条件に応じて30〜120分の間で変動させた。振り払いにより抗体複合体を除去し、ウェルを200〜300μl/ウェルの洗浄溶液で3回洗い流した。洗浄溶液を叩いて除去した。透明底を黒色の接着性ホイルで密封し、多流路ピペットで各ウェルに対して100μl/ウェルの基質溶液を添加した。試料の光放射を、光電子増倍管の備わったマイクロ平板照度計の中で測定した。
異なる細胞株及び薬物を用いたこの細胞増殖検定の結果を、図11に示す。
例3
Figure 0005177429
100匹の雌性NU/NU−nuBRマウス(Charles River、5〜6週令)に、0.72mgの17β−エストラジオール(ヒト)ペレットを移植し、クリップを用いて耳にタグ付け、腫瘍細胞移植の24〜48時間前に体重測定した。腫瘍細胞BT474(マウス一匹あたり2×107個の細胞)を肩甲下乳房脂肪体(0.2mlの体積)内に注入した。21日目にキャリパー測定を開始し、その後一週間に3回(月、水、金)行なった。動物を腫瘍の有無に応じて分け、その後腫瘍容積により分けた。移植から3週目に開始して週2回(月及び金)動物の体重を測定した。腫瘍サイズが150〜250mm3(L×W×H)となった時点で、薬物治療を開始した。薬物及びビヒクルの投与は経管栄養によりBID(一日2回)(BP+BSD)及び5日間IPによりSID(一日1回)(BA)であった。次のサイクルが開始するまでに2日の休止期間があった。予想外の毒性がないかぎり、動物は3サイクル(各5日間)を受けるよう計画された。初期値の15%を超える体重減少又はある種の症候の表れは、動物の安楽死の基準であった。薬物を、5mg/kgの体積でIP(腹腔内)及び経管栄養により投与した。薬物及びビヒクルをホイルで覆われたビンの中で4℃で保管した。この実験の結果を図12に示す。
例4
化合物の効果を、ヌードマウスにおける卵巣ヒト癌細胞(OVCAR)異種移植片について評価した。
雌性NU/NU37−BU−04−BACマウス(Charles River、5〜6週令)を、クリップを用いて耳にタグ付けし、腫瘍細胞移植の24〜48時間前に体重を測定した。腫瘍細胞Ovcar3(マウス1匹あたり5×106個の細胞)を雌性ヌードマウス宿主の肩甲下乳房脂肪体内に皮下移植した。腫瘍細胞移植から7日後にキャリパー測定を開始し、その後一週間に2回(月及び金)行なった。動物を腫瘍の有無に応じて分け、その後腫瘍容積により分けた。週1回動物の体重を測定した。最大直径でサイズが0.4〜0.5cmとなった時点で、薬物治療を開始した。5日間、1日2回IP(腹腔内)に、4−ヨード−3−ニトロベンズアミド(BA)(マウス1匹あたり50μlの100%のDMSO中)及びビヒクル(マウス1匹あたり50μlの100%のDMSOを)を注射した。次のサイクルが開始するまでに2日間の休止期間があった。
Figure 0005177429
実験の結果を、図13及び14に示す。
例5
本試験の目的は、乳癌(MDA MB231)ヌードマウス異種移植片内のクマリン類似体6−アミノ−5−ヨード−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(BP)の有効性を評価することにあった。
一週間に5日(月から金)、腫瘍担持雌性マウスをBPで(2つの用量レベル)で治療した。該試験を2つのタスクに分けた。すなわちタスク1は、腫瘍移植に先立ちBPで動物を前処置した効果をテストすることにあり、タスク2は、腫瘍が形成した後に治療を開始した効果をテストすることであった。タスク1については、雌性ヌードマウスを1週間BP(300又は1000mg/kgのいずれか)で治療し、その後腫瘍細胞を皮下移植し、コーンオイル:PEG400又はBPの経口投与により4〜8週間治療を続けた。タスク2では、BPを、臨床的に用いられる化学療法剤と比較した。20〜30mm3の腫瘍を有する雌性ヌードマウス(MDA MB231)を、コーンオイル:PEG400、BP又はシクロホスファミド(CTX、MDA MB231のための陽性対照)のいずれかの経口投与により一週間に5回治療した。MDA MB231腫瘍のための治療を、各動物の腫瘍が1600mm3以上に達するか又は潰瘍形成するまで続行した。タスク2における一部のMDA MB231腫瘍は1600mm3に達しなかった。退行した腫瘍の追跡調査を3カ月続行した。
MDA MB231乳腺腫瘍は、BP及びCTX(陽性対照)での治療に応答した。タスク1では、300mg/kg及び1000mg/kgでのBPが、それぞれ9匹中2匹及び10匹中2匹の動物の体内で腫瘍形成を予防するように思われた。8匹の対照動物の全てが腫瘍を形成した。タスク2では、BP(体重1kgあたり1000mg又は2000mg)での動物の治療は、5個中3個の腫瘍の退行を結果としてもたらした。
一般的方法
雌性ヌードマウスの右脇腹内に、MDA MB231ヒト乳癌細胞を皮下注射した。タスク1については、腫瘍細胞の移植に先立ち連続5日間BPを投与し、その後4〜8週間、週5日薬物投与を続行した。タスク2については、腫瘍が50〜60mm3の平均腫瘍容積に達した時点で癌細胞を注射し、マウスを8つのグループに分け、コーンオイル:PEG400(対照)、BP、又はCTX(MDA MB231の陽性対照)で治療した。治療の開始後90日間(MDA MB231について)、腫瘍容積を監視した。
実験手順
細胞株
MDA MB231は、細胞株が発生する前の3カ月以内に5−FU、ドキソルビシン、メトトレキサート、及びCTXで治療された患者の複数の浸出液に由来する1973年に立証されたヒト乳癌細胞株である。この細胞株はエストロゲンレセプター陰性であり、ホルモンアンタゴニストとしてターゲティングされていない抗癌薬をスクリーニングする上で使用されてきた。MDA MB231を、1.5gのNaHCO3/L、10%のウシ胎児血清(FBS)及び2mMのL−グルタミンを含むDulbecco改良Eagle培地(DMEM)中で成長させ、加湿された5%のCO2/空気のインキュベータ内で37℃に保った。抗生物質は培地に添加されなかった。
動物腫瘍モデル
Taconic(Germantown,NY)からスイスNCrヌード(nu/nu)雌性マウス(4〜5週令)を購入した。動物を、Bio Bubble,Inc(Fort Collins,CO)から購入したバリアクリーンルーム内の無菌フィルタが上面に備わったケージの中に、1ケージあたり3匹ずつ収容した。到着時点で、使用前の4仕事日の間、これらを隔離した。温度は、72±5°Fに維持し、相対湿度を35〜70%に維持し、12時間の明暗サイクルを用いた。マウスに、無菌で加熱滅菌可能な認証済みPurinaのゲッ歯類食を無制限に与えた。飲料水は酸性にし、加熱滅菌し、源水を再循環させ、脱イオン化し、UV処理し、5μmろ過した。
動物を隔離から解放した後、1又は5×106個のMDA MB231細胞をマウスの右脇腹に皮下注射した(0.1mlの注入量)。タスク1用のマウスは、細胞注入の前5日間、前処置を受けた。腫瘍寸法及び体重を週2回測定した。3平面内で腫瘍を測定するためにノギスを使用し、腫瘍容積(V)を以下の通りに計算した:V=π(x×y×z)/6(式中、x、y及びzは腫瘍の測定値から皮膚の厚みを差引いたものである)。実験の終りに、マウスをCO2吸入とそれに続く頸椎脱臼により屠殺した。
医薬
BPを、30mg/ml及び100mg/mlの濃度でコーンオイル:PEG400(2:1v/v)中で作製した。該薬物は、これらの濃度で懸濁液であった。陽性対照薬物を、15mg/mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)及びCTXにおいて作製した。両方の薬物を使用の前にろ過滅菌した(0.2μmのフィルタ)。
治療プロトコル
タスク1について、MDA MB231腫瘍細胞での移植を受けるマウスを5日間BP(300又は1000mg/kg)で前処置し、細胞懸濁液の皮下注射の後、最低4週間、一週間に5日(月〜金)薬物治療を続行した。
タスク2については、TW容積が予め定められたサイズ(平均腫瘍容積50〜60mm3)に達した後、マウスを、各々8匹ずつの治療グループに分けた。BPの全ての治療は、少なくとも4週間一週間に5回(月〜金)投与された。CTXは150mg/kgの用量で一回だけ、腹腔内投与した。全てのBP治療は経口投与した。投薬量は、MDA MB231細胞の移植を受けたマウスについては、1000又は2000mg/kgであった。各タスクについて、全ての治療を同じ日に開始した。
最初の治療後少なくとも9週間、週2回ずつ、腫瘍を測定した(MDA MB231)。各グループについての平均腫瘍容積を各時点について計算した。特定の時点におけるグループ間の比較を、対応のない両側検定を用いて行ない、分散分析(ANOVA)を用いて結果を分析した。タスク2については、治療の最初の日である0日目における腫瘍容積(V0)の割合として、個々の腫瘍容積(V)を表した。各グループについて、V/V0比の平均を治療後の時間の関数としてプロットした。治療に対する応答を、治療に対する腫瘍応答に応じて2つの方法で測定した。腫瘍容積倍増時間(VDT)及び容積4倍増時間(VQT)を、治療に対する応答が存在したグループ内でのログ(腫瘍容積)の関数としての時間のプロット上で線形回帰により各腫瘍について決定した。各々の治療グループについての腫瘍成長遅延を決定し、ANOVAを用いてグループ間の比較を分析した。
治療後の体重の低減から、全身毒性を評価した。追跡調査期間の終り、又はそれより早くその腫瘍容積が1600mm3に達したか又は腫瘍が潰瘍形成した時点で、マウスを屠殺した。
統計分析
InStat(Graphpad Software,San Diego,CA)を用いて、上述の通り統計分析を実施した。
腫瘍成長
腫瘍細胞注入から3週間以内にMDA MB231腫瘍は測定可能となり、より緩慢に成長し、7日目に倍加した。これらの値は、対照グループから計算された。治療の開始時点での平均腫瘍容積及び体重が、タスク1については表1に、タスク2については表2に示されている。
Figure 0005177429
Figure 0005177429
治療に対する腫瘍の応答
MDA MB231の移植を受けたマウスの前処置の結果、9匹のうち1匹のマウスに腫瘍形成の予防及び、消滅する前に10mm3のサイズまで成長した1つの小さな腫瘍の退行がもたらされた。1000mg/kgのBPでのマウスの前処置は、10匹中2匹の動物における腫瘍成長を防止し、63日目までに195mm3のサイズまで成長した1つの腫瘍は、86日目までに93mm3まで退行し、この時点で試験は終了した。1000mg/kgのBPで前処置した動物の平均生存時間は、腫瘍を形成しなかった動物が6カ月(180日)生存したと仮定した場合、対照グループ(p=0.01)においては72日であったのに対し、115日であった。
タスク2におけるMDA MB231は両方の治療に応答した。CTX(150mg/kg)及びBP(1000又は2000mg)は、腫瘍の成長を実質的に遅らせ、治療は両方の薬物で完全な退行を誘発した。1000mg/kgのBPで治療した2匹の動物は、対照と比べ腫瘍の成長速度の低下を全く示さず、一方2つの腫瘍は、完全に退行した。2000mg/kgのBP治療グループ内の動物のうち3匹全てにおいて移植された腫瘍が退行した。治療を42日目に停止し、この時点で腫瘍のうち2個が完全に退行し、1つの比較的大きい腫瘍が退行し始めた(31日目の310mm3から45日目の163mm3まで)。完全に退行した腫瘍のうちいずれも、3カ月の追跡調査期間中に再成長しなかったが、部分的に退行した腫瘍は、治療の停止後再成長し始め、実験が終結された時点で1835mm3のサイズに達した。2000mg/kgのBPでの治療を受けた動物において、生存時間の増大傾向が見られた。
実験の結果を、図15及び16に示す。
例6
非臨床毒物学
4−ヨード−3−ニトロベンズアミドBAでの腫瘍適用をサポートする非臨床毒物学プログラムは、BAが静内投与されたラットとイヌにおいて実施された急性(単回投与)、2週(多数回投与)、用量範囲及び多数回投与(4週間)毒物学試験で構成されていた。これらの試験は、ベーターヒドロキシプロピルシクロデキストリン(25%)中で処方されたBAを使用していた(Klepose)。
限定的な4週間の試験には、60mg/kg/日の用量でのBAの週2回投与を伴い、組織の全リストの包括的な臨床評価及び/又は微視的評価が含まれていた。多数回投与のイヌの試験には、心電図測定及び、心拍数、呼吸数及び体温評価を含めた身体検査が含まれていた。4週間の多数回投与のラット及びイヌの試験において、毒物動態データも収集した。さらに、イヌ及びヒトの血液及び血漿を用いたインビトロ溶血潜在性/血漿相溶性試験、及びウサギにおけるIV局所耐性試験という2つの特別な試験を実施した。このモデルにおけるBA誘発型神経行動効果に対する投与速度の影響を評価するために、ラット内で単回投与調査試験も実施した。
ラット及びイヌにおいて50mg/kgもの単回静脈内投与の後、BAは充分に耐性であった。100mg/kgの単回ボーラス静脈内投与の後、ラットにおけるけいれんそしてイヌにおける運動失調を含めた臨床的徴候に着目した。イヌの体内での100mg/kgの反復投与は、主として過剰な唾液分泌及び体重及び食物消費の減少から成る臨床的変化を引き起こした。
例7
名称:進行性固形腫瘍を有する対象におけるBAの安全性及び薬物動態を評価する、第1相の、ヒトにおける最初の非盲検用量漸増試験。
試験段階:1
適応症:進行性固形腫瘍の治療
主たる目的:標準的療法では効果がないか又は標準的療法が全く利用可能でない組織学的に確認された進行性固形腫瘍を患う成人対象における、静脈内投与後のBAの安全性を評価し、最大耐性用量(MTD)を立証し、その薬物動態プロファイルを作成すること。
2次的目的(単複):測定可能な疾患を有する(RECIST基準による)試験対象における応答を評価すること。安全性プロファイルすなわち用量規定毒性(DLT)として定義されない有意な実験室変化及び有害事象(AE)を評価すること。
探索的目的(単複):腫瘍状態の生物学的マーカーに対する治療の効果を評価すること。
試験設計:BAの安定性、MTD及びPKプロファイルを決定するように設計された第1相の、ヒトにおける最初の非盲検の逐次的用量漸増試験。BAは3週間、週2回(各週1日目と4日目)静脈内投与され、その後1回の28日サイクルあたり1週間のBA治療をしない期間が続く。サイクル1(1日目〜28日目)は、試験の安定性段階として定義され、その間MTDが判定される。試験の残りの部分は、維持段階と呼ばれる。対象は、薬物の不耐性又は疾病の進行を経験するまで、この試験に参加することができる。
安全性評価は、2003年12月付けの「Cancer Therapy Evaluation Program Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)Version 3.0」の中で提供される指針に従うものとする。測定可能な疾病についての腫瘍応答の第1の評価は、試験の8週目の間、及びその後の約8週毎に実施されることになる。疾病の進行を立証するためには、修正された固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)という基準が用いられることになる。測定不可能な疾病については、疾病の進行時間を決定するために、最も優れた医療が用いられるものとする。
主要評価項目及び二次的評価項目:主要評価項目は、DLT及びPKプロファイルを特徴づけするための安全性/耐性、すなわち、BA半減期(t1/2)、最大観測濃度(Cmax)、血漿濃度−時間曲線下の面積(AUC)、及びクリアランス(細胞)である。二次的評価項目は、PECIST基準による腫瘍応答;安全性プロファイル;有意な実験室変化及びその他のAE(DLTとして定義づけされていないもの)である。循環する腫瘍細胞(CTC)レベルの低減は、予備的なものである。
試料サイズ:本試験には、36もの対象が参加するものと予想されている。試験対象は、さまざまな用量レベルで、1、3又は6対象の逐次的コホートに割当てられることになる。MTDを定義するには、10もの用量コホートが必要とされる可能性がある。
対象適格基準
試験対象患者基準には次のものが含まれる:(a)標準的な治療では効果がないか又は標準的療法が全く利用可能でない病理的に確認された進行性固形腫瘍を有し年令18才以上、(b)2以下の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)の一般状態、及びc)(試験1日目から2週間以内にGCFのサポート無しで)1.5×109/L以上の絶対好中球数(ANC);(試験1日目から2週間以内に輸血無く)100.0×109/L以上の血小板数;及び9.0g/dL以上のヘモグロビン(赤血球産生剤可)。
除外基準には以下のものが含まれる:もう1つの治験用医療機器又は治験に登録しているかその他の治験薬を受けている対象;血液学的悪性腫瘍;外科手術、放射線及びコルチコステロイドを含めた(ただしこれらに制限されるわけではない)併用治療を必要とする症候性又は未治療の脳転移;発作性疾患の履歴;試験1日目から6カ月以内のMI、不安定狭心症;ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIより上のうっ血性心不全(CHF)、管理不良高血圧;同時又は先行する(試験1日目から7日以内)抗凝固療法;特定併用投薬治療(第4,2,3項参照);1.5×ULNを超える血清クレアチン;2.5×ULNより高い又は肝転移に二次的である場合には5.0より高い肝臓酵素(AST/ALT)の上昇、2.5×ULNより高いか又は肝転移又は骨転移に二次的である場合には5.0より高いアルカリホスファターゼ;1.5×ULKより高い総ビリルビン;試験1日目から28日以内の全身性化学療法(BCNU又はミトマイシンCについては42日の洗い出し期間);試験1日目から28日以内の放射線療法;試験1日目から1カ月以内の内在する悪性腫瘍の治療のための抗体療法、そして;BA以外のあらゆる作用物質での併用化学療法又は放射線療法は試験全体を通して許されない。
治験薬の投薬量及び投与:BAは、10mg/mLの濃度の10mLのバイアル中で提供されるものとする。MTDを決定するには、10もの対象コホートが必要とされうると推定されている。
出発用量(コホートA):コホートAでは、単一の対象が、スクリーニングにおいて測定された体重に基づき0.5mg/kgの用量レベルで週2回BAを受けることになる。この対象がグレード2以上の毒性を経験している場合には、3人の付加的な対象がこのコホート内に登録されることになる。このコホート内で投薬された付加的ないかなる対象もDLTを経験しない場合には、以下の通りに用量増加が行なわれることになる。最初の対象においていかなるDLTも発生しない場合、用量の増加が以下の通りに行なわれる。
グレード2毒性に先行する用量の増加(潜在的コホートB−J):対象がグレード2以上の毒性を経験するまで、一人の対象は当初、計画された100%の用量レベルの増加で、後続する全てのコホート内に登録されることになり、コホートAについて記述された通りのコホートの拡大が可能である。6回のBA投与の後、安全性データが再検討されることになり、いかなる対象もグレード2以上の毒性を経験しない場合、次のコホートまで増加する決定が下されることになる。このコホート内の1人の対象がグレード2以上の毒性を経験した場合には、このコホート内に3人の付加的な対象が登録されることになる。このコホート内で投薬されたこれら3人の付加的な対象のうちのいずれもDLTを経験しない場合には、さらなる用量増加が起こることになる。3人の対象のうちの1名がDLTを経験した場合には、3人の付加的な対象が同じ用量で同じコホート内に登録されることになる。これら3人の対象のうちのいずれもDLTを経験しなかった場合には、増加が起こることになる。コホート中の付加的な対象のうちの1人又は複数の人がDLTを経験した場合には、先行するより低い用量レベルがMTDとして定義されることになる。試験内で少なくとも18人の対象が確実にBAを受けるようにするのに必要とされる場合、MTDにおいて付加的な対象が生じる可能性がある。
グレード2毒性レベル後の用量増加(潜在的コホートB−J):初期グレード2毒性に関連する用量が拡大され次のレベルへの用量増加のために除かれた後、次に3人の対象は、最初全ての将来のコホート(コホートB、C、D、E、F、G、H、I又はJ)の中に登録されることになる。3人の初期対象のうちのいずれもDLTを経験しなかった場合には、次のコホートへの用量増加が進められることになる。3人の対象のうちの1人がDLTを経験した場合には、3人の付加的な対象が同じ用量で同じコホート内に登録されることになる。これらの3人の対象のうちのいずれもDLTを経験しない場合には、増加が起こることになる。コホート中の付加的な対象のうちの1つ又は複数の人がDLTを経験した場合には、先行するより低い用量レベルがMTDとして定義づけされることになる。試験内で少なくとも18人の対象がBAを確実に受けるように必要とあればMTDにおいて付加的な対象が生じる可能性がある。
対象内用量増加:BA用量レベルが上述の基準に基づいて安全かつ耐性可能であるとひとたび宣言されたならば、現在より低い用量にある全ての対象が適切な最高の安全用量(主治験責任医師により決定されるもの)まで増加させられる可能性がある。ひとたびMTDが決定されると、該試験中の全ての対象は、MTDを受けるために適切に増加させられる可能性がある。
全体的用量増加限界:グレード2毒性が観察されその用量レベルがその後除かれた時点で、コホート間の個々の用量増加はより保守的になり、グレード3毒性が見られるまで先行用量レベルから最大40%の増大に制限され、その後の増加は約25%の用量増大に制限されることになる。絶対的な用量増加は、入手可能な全てのデータを再考した後、安全性再考グループにより決定されることになる。
対照グループ;無
手順:
スクリーニング:登録前スクリーニング試験及び評価は、各々の対象から署名入りの書面による施設内治験審査委員会(IRB)が承認したインフォームドコンセントが得られた後でのみ実施されるものとする。相反する指摘のないかぎり、試験1日目から2週間以内に手順が実施されることになる。臨床的評価には、詳細な現病歴、身体検査、ECOG状態、身長、体重、生命徴候及び文書調査が含まれる。実験室試験には、血液学(示差、網状赤血球数、及び血小板);プロトロンビン時間(PT)及び部分トロンボプラスチン時間(PTT);総合的化学パネル(ナトリウム、カリウム、塩化物、CO2、クレアチニン、カルシウム、リン、マグネシウム、BUN、尿酸、アルブミン、AST、ALT、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン及びコレステロール、HDL及びLDL)、顕微鏡検査を伴う尿検査、血清腫瘍マーカー、出産適齢期の女性については血清又は尿妊娠検査が含まれる。心臓試験には、クレアチンキナーゼ(CK)及び12誘導心電図(EKG)が含まれる。臨床病期分類には、試験1日目から4週間以内のコンピュータ断層撮影(CT)、又は磁気共鳴(MRI)による測定可能な疾病のための撮像が含まれる。測定不能な疾病については臨床病期分類の文書調査が行なわれることになる。
治療:
適格な対象は、試験中に登録され、1日目に試験薬物を受けることになる。試験プロトコルに概略説明される通り、投薬前及び投薬後試験が実施される。BAの投薬は、各28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目で週2回行なわれ、2時間もの輸液期間にわたり投与される。29日目に、対象はサイクル2を開始し、それ以降の各サイクルの1、4、8、11、15及び18日目に投薬を再開することになる。対象は、薬物不耐性又は疾病の進行を経験するまで又は離脱コンセントまでこの試験に参加し得る。疾病進行の修正RECIST基準を満たした対象は、自ら臨床的利益を立証している場合には該試験を継続することができる。
測定可能な疾病の最初の予定された腫瘍応答測定は試験の第8週(試験50日目±5日)の間そしてその後は8週毎に実施されることになる。修正された固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)という基準に従った腫瘍応答は、CT又はMRI(スクリーニング中に用いられたものと同じ技術を使用しなければならない)により疾病の進行を立証するために用いられることになる。測定不能な疾病については、疾病進行時間を判定するために最良の医療行為が使用されることになる。
試験の終り:全ての対象は、最終BA用量後30日以内にプロトコル中に記述されている通りの試験手順の終りを完了させているべきである。付加的には、対象は、最後のBA用量に先立つ30日以内に行なわれていない場合、臨床撮像を介して全体的腫瘍応答を評価させることになる。
統計学的考慮事項:安全性、PK及びPD評価項目について、記述統計量が計算されることになる。進行までの時間を立証するための応答データが、一覧表の形で記述的に報告される。腫瘍進行データは、修正RECIST基準を用いて類別されることになる。
PKパラメータは、非区画化方法を用いて推定されるものとする。PKパラメータは算術平均、標準偏差、変動係数、最大値、最小値、中央値及び幾何平均により要約される。要約統計量がSPlusバージョン5.1(又はそれ以降)で計算される。
該当する場合には、データを区画化分析への非線形混合型効果モデリングアプローチ(集団アプローチ)によって分析することもできる。該当する場合、その他の分析が記述的に行なわれることになる。
MTD用量レベル(又は試験中に受けたその最高用量レベル)におけるBAの少なくとも1つのサイクル(6用量)を全ての対象が受けた後、結果が分析されることになる。これは、試験の安全性段階の完了と一致する。将来の試験の設計用の情報を提供するのに必要であれば、付加的な分析が実施されることになる。
上述の例はいかなる形であれ、本発明の範囲を制限するように意図されていない。さらに、当業者であれば、添付のクレームの精製又は範囲から逸脱することなく、数多くの変更及び修正をこれに加えることができ、かかる変更及び修正は本発明の範囲内にて考慮されている、ということがわかる。
当業者には添付クレームの精神及び範囲から逸脱することなく数多くの変更及び修正をこれに加えることができる、ということが明白になるだろう。
ブチオニンスルフォキシミン(BSO)の同時治療を伴う及び伴わないBT474乳癌細胞株に対するニトロベンズアミド化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、Ovcar3及びSkov3卵巣癌細胞株に対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、肺癌細胞株に対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、肺癌細胞株に対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、肺癌細胞株に対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 TUCCSUP膀胱癌細胞株に対するニトロベンズアミド化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、前立腺癌細胞株に対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、前立腺癌細胞株に対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、膵臓癌細胞株に対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、膵臓癌細胞株に対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、膵臓癌細胞株に対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、子宮頸癌細胞株に対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 BSOの同時治療を伴う及び伴わない、インビボ皮下乳癌モデルに対するニトロベンズアミド及びベンゾピロン化合物の効果を描写している。 ヌードマウスにおけるOVCAR3(ヒト卵巣腺癌)異種移植片モデル内の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの効果を描写している。 ヌードマウスにおけるOVCAR3(ヒト卵巣腺癌)異種移植片モデル内の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの評価中の体重に対する効果を描写している。 ヌードマウスにおけるOVCAR3(ヒト卵巣腺癌)異種移植片モデル内の4−ヨード−3−ニトロベンズアミドの評価中の体重に対する効果を描写している。 乳(MDAMB231)癌のヌードマウス異種移植片内の6−アミノ−5−ヨード−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(BP)の効果を描写している。 乳(MDAMB231)癌のヌードマウス異種移植片の6−アミノ−5−ヨード−2H−1−ベンゾビラン2−オン(BP)及び4−ヨード−3−ニトロベンズアミド(BA)の効果を描写している。

Claims (12)

  1. 以下の式
    Figure 0005177429
    で表される化合物、又はその医薬として許容される塩を含有する、卵巣癌の治療を必要とする対象の卵巣癌を治療するための医薬組成物。
  2. 前記卵巣癌が卵巣腺癌である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記卵巣癌が腹腔内に転移した卵巣腺癌である、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 前記治療が、外科手術、放射線療法、化学療法、遺伝子療法、免疫療法又はそれらの組合せを含む、請求項1、2、又は3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. 前記治療が外科手術を更に含む、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 前記治療が放射線療法を更に含む、請求項4に記載の医薬組成物。
  7. 前記治療が組合せ薬剤療法を更に含む、請求項4に記載の医薬組成物。
  8. 前記組合せ薬剤療法が、1つ以上の抗新生物化学療法剤、化学予防薬、若しくは副作用制限剤、又はこれらの組合せの投与を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 前記1つ以上の抗新生物化学療法剤が、アルキル化剤、代謝拮抗物質、天然抗新生物剤、ホルモン抗新生物剤、血管形成阻害薬、分化試薬、RNA阻害物質、抗体又は免疫療法剤、遺伝子療法剤、小分子酵素阻害物質、生物反応修飾物質及び抗転移薬からなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 前記1つ以上の抗新生物化学療法剤が、シクロホスファミド、エトポシド、アルトレトラミン及びイフォスファミドから成る群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
  11. 前記組合せ薬剤療法が、1つ以上の化学予防薬の投与を含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  12. 前記組合せ薬剤療法が、1つ以上の副作用制限剤の投与を含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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