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JP5168234B2 - 積層型コモンモードフィルタ - Google Patents

積層型コモンモードフィルタ Download PDF

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JP5168234B2 JP2009130582A JP2009130582A JP5168234B2 JP 5168234 B2 JP5168234 B2 JP 5168234B2 JP 2009130582 A JP2009130582 A JP 2009130582A JP 2009130582 A JP2009130582 A JP 2009130582A JP 5168234 B2 JP5168234 B2 JP 5168234B2
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Description

本発明は、積層タイプのコモンモードフィルタに関する。
従来の積層型コモンモードフィルタとして、例えば特許文献1に記載のコモンモードフィルタがある。この従来のコモンモードフィルタは、一対の渦巻状のコイル導体を形成した非磁性体層を一対の磁性体層で挟み込んだ素体を有しており、積層方向に延在する磁性体層がコイル導体の中心部分に貫通している。これにより、コイル導体間の磁気結合が強くなり、コモンモードノイズの除去能力の向上が図られている。
特開2007−250832号公報
渦巻状のコイル導体間の磁気結合を高めることは、コモンモードフィルタの性能を向上させる点から見て極めて重要な事項である。しかしながら、上述した従来のコモンモードフィルタでは、磁性体層がコイル導体の中心部分を貫通している結果、磁性体層の体積が大きくなる。そのため、素体の焼成の際、非磁性体層と磁性体層との間の収縮量差による応力が界面に集中し、クラックが発生しやすいという問題があった。また、従来のコモンモードフィルタでは、磁性体層を貫通させるために、非磁性体層の中央部分に形成した貫通孔に導電性ペーストを付与するので、磁性体層の体積の制御が難しいという問題もあった。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、コイル導体間の磁気結合を確保しつつ、クラックの発生を抑制できる積層型コモンモードフィルタを提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本発明に係る積層型コモンモードフィルタは、渦巻き状のコイル導体が表面に形成された一対の非磁性体層を含む複数の非磁性体層と、複数の非磁性体層を挟む一対の磁性体層とが積層された素体を備え、複数の非磁性体層のそれぞれの表面には、コイル導体の内側領域に位置する磁性体層が設けられており、複数の非磁性体層が積層されることにより、磁性体と非磁性体とが積層方向に交互に並ぶ柱状部分が、一対の磁性体層間において内側領域に形成されていることを特徴としている。
この積層型コモンモードフィルタでは、渦巻状のコイル導体の内側領域に磁性体層が設けられているので、コイル導体間の磁気結合を確保できる。また、この磁性体層を含む柱状部分では、磁性体と非磁性体とが積層方向に交互に並ぶため、磁性体層がコイル導体の内側領域を貫通している場合と比較して、内側領域における磁性体層の体積が全体として小さく抑えられる。この結果、素体の焼成の際、非磁性体層と磁性体層との間の収縮量差が抑えられ、界面でのクラックの発生を抑制できる。さらに、この積層型コモンモードフィルタでは、非磁性体層に貫通孔を設けるのではなく、非磁性体層のそれぞれの表面に磁性体層を設けている。したがって、柱状部分における磁性体層の体積の制御が容易となる。
また、複数の非磁性体層のそれぞれの表面には、内側領域に対応して窪み部が設けられており、磁性体層が窪み部に設けられることにより、磁性体層がコイル導体に対して段違いになっていることが好ましい。この場合、柱状部分において非磁性体が占める体積が小さくなるので、積層型コモンモードフィルタの高さを変えずにコイル導体間の磁気結合を更に高めることが可能となる。
また、コイル導体が形成された非磁性体層には、コイル導体の外側領域に位置する磁性体層が更に設けられていることが好ましい。こうすると、外側領域の磁性体層によってコイル導体間の磁気結合を更に高められる。
また、コイル導体の厚さが、外側領域に位置する磁性体層の厚さよりも大きくなっていることが好ましい。この場合、コイル導体の厚さを確保することで、積層型コモンモードフィルタの直流抵抗を低減できる。コイル導体が厚くなった場合でも、内側領域及び外側領域に位置する磁性体層がスペーサとしても機能するので、素体内での空隙の発生も抑制できる。
また、柱状部分における磁性体の厚さと非磁性体の厚さとが均等であることが好ましい。この場合、素体の焼成の際、磁性体と非磁性体との間の収縮量差が一層効果的に抑えられる。また、非磁性体の厚さが磁性体の厚さよりも厚い場合に比べてコイル導体間の磁気結合を十分に確保できる。
また、柱状部分における磁性体の厚さが互いに均等であり、かつ非磁性体の厚さが互いに均等であることが好ましい。この場合、素体の焼成の際、磁性体と非磁性体との間の収縮量差が一層効果的に抑えられる。また、非磁性体の厚さが磁性体の厚さよりも厚い場合に比べてコイル導体間の磁気結合を十分に確保できる。
本発明によれば、コイル導体間の磁気結合を確保しつつ、クラックの発生を抑制できる。
本発明の第1実施形態に係る積層型コモンモードフィルタを示す斜視図である。 図1に示した積層型コモンモードフィルタの素体の構成を示す分解斜視図である。 図2に示した積層型コモンモードフィルタの素体の断面図である。 本発明の第2実施形態に係る積層型コモンモードフィルタの素体の構成を示す分解斜視図である。 図4に示した積層型コモンモードフィルタの素体の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る積層型コモンモードフィルタの素体の構成を示す分解斜視図である。 図6に示した積層型コモンモードフィルタの素体の断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る積層型コモンモードフィルタの好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層型コモンモードフィルタを示す斜視図である。また、図2は、素体の構成を示す分解斜視図であり、図3は、素体の断面図である。図1に示すように、積層型コモンモードフィルタ1は、略直方体形状の素体2と、素体2の長手方向の両端部に形成された外部電極3〜6とを備えている。
外部電極3,5は、素体2の長手方向の一方の端面2aにおいて、所定の間隔をもって素体2の積層方向に延在しており、外部電極3,5の両端部は、素体2の上面2c及び底面2dに張り出した状態となっている。外部電極4,6は、素体2の長手方向の他方の端面2bにおいて、所定の間隔をもって素体2の積層方向に延在しており、外部電極4,6の両端部は、素体2の上面2c及び底面2dに張り出した状態となっている。
素体2は、図2及び図3に示すように、渦巻き状の第1コイル導体31及び第2コイル導体34が表面に形成された一対の非磁性シート22,26を含む複数の非磁性体層11と、非磁性体層11を挟む一対の磁性体層12,12とが積層された積層体である。素体2は、導体パターンを形成したグリーンシートの焼成によって形成されており、実際の積層型コモンモードフィルタ1では、非磁性体層11及び磁性体層12を構成する各層同士は、視認できない程度に一体化されている。
磁性体層12,12は、それぞれ複数(本実施形態では4枚)の磁性シート21の積層体である。焼成後の各磁性シート21の厚さは、例えば20μm〜40μm程度となっている。磁性体層12,12は、非磁性体層11を積層方向の上下から挟むように配置されており、上述した素体2の上面2c及び底面2dを構成している。
非磁性体層11は、複数層(本実施形態では6層)の非磁性シートの積層体である。より具体的には、非磁性体層11は、第1コイル導体31が形成された非磁性シート22、第1引出導体32が形成された非磁性シート23、第1余白非磁性シート24、第2引出導体33が形成された非磁性シート25、第2コイル導体34が形成された非磁性シート26、及び第2余白非磁性シート27がこの順に積層されて構成されている。各磁性体35の間に位置する焼成後の各非磁性シート22〜27の厚さは、例えば5μm〜20μm程度となっている。
焼成後の渦巻状の第1コイル導体31は、非磁性シート22の表面において、例えば5μm〜20μm程度の厚さで形成されている。第1コイル導体31の外側端部31aは、素体2の端面2bまで引き出され、外部電極4に接続されている。また、第1コイル導体31の内側端部31bは、非磁性シート22の中央側に伸びている。非磁性シート22において、第1コイル導体31の内側端部31bに対応する位置には、非磁性シート22を厚み方向に貫通するスルーホール導体(不図示)が形成されている。
焼成後の第1引出導体32は、非磁性シート23の表面において、第1コイル導体31と同様に、例えば5μm〜20μm程度の厚さで形成されている。第1引出導体32の外側端部32aは、素体2の端面2aまで引き出され、外部電極3に接続されている。また、第1引出導体32の内側端部32bは、非磁性シート22のスルーホール導体に対応する位置に伸びている。これにより、第1コイル導体31は、第1引出導体32を介して外部電極3に接続されている。
焼成後の渦巻状の第2コイル導体34は、非磁性シート26の表面において、例えば5μm〜20μm程度の厚さで形成されている。第2コイル導体34の外側端部34aは、素体2の端面2bまで引き出され、外部電極6に接続されている。また、第2コイル導体34の内側端部34bは、非磁性シート26の中央側に伸びている。非磁性シート26において、第2コイル導体34の内側端部34bに対応する位置には、非磁性シート26を厚み方向に貫通するスルーホール導体(不図示)が形成されている。
焼成後の第2引出導体33は、非磁性シート25の表面において、第2コイル導体34と同様に、例えば5μm〜20μm程度の厚さで形成されている。第2引出導体33の外側端部33aは、素体2の端面2aまで引き出され、外部電極5に接続されている。また、第2引出導体33の内側端部33bは、非磁性シート26のスルーホール導体に対応する位置まで伸びている。これにより、第2コイル導体34は、第2引出導体33を介して外部電極5に接続されている。
さらに、各非磁性シート22〜27の表面には、第1コイル導体31及び第2コイル導体34の内側領域R1に位置する磁性体層35がそれぞれ設けられている。磁性体層35は、例えば印刷によって矩形にパターン形成され、焼成後の磁性体層35の厚さは、例えば3μm〜15μm程度となっている。第1コイル導体31が形成された非磁性シート22、及び第2コイル導体34が形成された非磁性シート26においては、磁性体層35と第1コイル導体31及び第2コイル導体34との間には所定の間隔が設けられており、これらが互いに接触しないようになっている。
素体2においては、以上の非磁性シート22〜27が積層されることにより、図3に示すように、磁性体と非磁性体とが積層方向に交互に並ぶ柱状部分P1が、一対の磁性体層12,12間において第1コイル導体31及び第2コイル導体34の内側領域R1に形成されている。本実施形態では、非磁性シート22〜27の厚さと磁性体層35の厚さとが等しくなっている。したがって、柱状部分P1では、磁性体と非磁性体とが積層方向に沿って均等の厚さで交互に並ぶと共に、第1コイル導体31及び第2コイル導体34と同一段に磁性体が配置されることとなる。
続いて、上述した積層型コモンモードフィルタ1の作製方法について説明する。
まず、磁性シート21を構成する磁性グリーンシート、及び非磁性シート22〜27を構成する非磁性グリーンシートをそれぞれ用意する。非磁性グリーンシートは、例えばFeとZnOとCuOとの混合粉を原料としたスラリーを、ドクターブレード法によってフィルム上に塗布して形成する。FeとZnOとCuOとの混合粉の代わりに、誘電体材料(TiOとCuOとNiOとMnCOとの混合粉等)や、酸化物セラミック材料(Al、SiO、ZrO、フォルステライト、ステアタイト、コージライト等、またはこれらの混合粉)を用いてもよい。
また、磁性グリーンシートは、例えばフェライト(例えば、Ni−Cu−Zn系フェライト、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライト、Cu−Zn系フェライト、又は、Ni−Cu系フェライト等)粉末を原料としたスラリーを、ドクターブレード法によってフィルム上に塗布して形成する。
次に、所定の非磁性グリーンシートにおけるスルーホール導体の形成予定位置に、レーザ加工等によってスルーホールを形成する。スルーホールの形成後、非磁性グリーンシートに、第1コイル導体31、第1引出導体32、第2コイル導体34、及び第2引出導体33に対応する導体パターンを形成する。各導体パターンは、例えば銀もしくはニッケルを主成分とする導体ペーストをスクリーン印刷した後、乾燥することによって形成される。各スルーホールには、各導体パターンの形成の際に導体ペーストが充填される。
導体パターンの形成の後、各非磁性グリーンシートの中央領域、すなわち、第1コイル導体31及び第2コイル導体34の内側領域R1となる領域に、磁性体層35に対応する磁性体を印刷によってパターン形成する。磁性体としては、例えば磁性グリーンシートと同様のフェライト粉末を原料としたスラリーが用いられる。
磁性体を印刷した後、乾燥工程を経て各グリーンシートを順次積層して圧着し、チップ単位に切断する。その後、例えば800℃〜900℃の温度で所定時間の焼成を行い、素体2を得る。その後、素体2の端面2a,2bに外部電極3〜6を形成する。これにより、図1〜図3に示した積層型コモンモードフィルタ1が完成する。
外部電極3〜6は、素体2の端面2a,2bに銀、ニッケルもしくは銅を主成分とする電極ペーストを転写した後、例えば700℃程度にて焼き付けを行い、更に電気めっきを施すことによって形成される。電気めっきには、Cu/Ni/Sn、Ni/Sn、Ni/Au、Ni/Pd/Au、Ni/Pd/Ag、又は、Ni/Ag等を用いることができる。
以上説明したように、積層型コモンモードフィルタ1では、渦巻状の第1コイル導体31及び第2コイル導体34の内側領域R1に磁性体層35が設けられているので、第1コイル導体31と第2コイル導体34との間の磁気結合を確保できる。また、この磁性体層35を含む柱状部分P1では、磁性体と非磁性体とが積層方向に交互に並ぶため、磁性体層35が内側領域R1を貫通している場合と比較して、内側領域R1における磁性体層35の体積が全体として小さく抑えられる。この結果、素体2の焼成の際、非磁性体層11と磁性体層35との間の収縮量差が抑えられ、界面でのクラックの発生を抑制できる。
さらに、この積層型コモンモードフィルタ1では、非磁性体シート22〜27に貫通孔を設けるのではなく、非磁性体シート22〜27のそれぞれの表面に印刷等によって磁性体層35を設けている。したがって、製造工程が簡単になると共に、柱状部分P1における磁性体層35の体積の制御が容易となる。
また、積層型コモンモードフィルタ1では、非磁性シート22〜27の表面に形成される磁性体層35の厚さが非磁性シート22〜27の厚さと揃えられており、柱状部分P1において交互に並ぶ磁性体の厚さと非磁性体の厚さとが均等になっている。これにより、素体2の焼成の際、磁性体と非磁性体との間の収縮量差を一層効果的に抑えることができる。また、非磁性体の厚さが磁性体の厚さよりも厚い場合に比べて、第1コイル導体31と第2コイル導体34との間の磁気結合を十分に確保できる。
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る積層型コモンモードフィルタの素体の構成を示す分解斜視図である。また、図5は、素体の断面図である。
図4及び図5に示すように、第2実施形態に係る積層型コモンモードフィルタ41は、柱状部分P2における磁性体層の位置が第1実施形態における柱状部分P1と異なっており、他の部分は第1実施形態と共通している。この積層型コモンモードフィルタ41では、図4に示すように、内側領域R1に対応して非磁性シート22〜27の表面に矩形の窪み部43がそれぞれ形成されており、第1コイル導体31及び第2コイル導体34の内側領域R1の磁性体層35は、これらの窪み部43に設けられている。
窪み部43は、例えば非磁性グリーンシートをレーザトリミングすることによって焼成前に予め形成される。また、窪み部43の深さは、例えば磁性体層35の厚さの半分程度に設定されている。このような、非磁性シート22〜27が積層されることにより、図5に示すように、素体2の柱状部分P2では、磁性体と非磁性体とが積層方向に沿って均等の厚さで交互に並ぶと共に、第1コイル導体31及び第2コイル導体34とは段違いに磁性体が配置されることとなる。
このような積層型コモンモードフィルタ41においても、第1実施形態と同様に、渦巻状の第1コイル導体31及び第2コイル導体34の内側領域R1に磁性体層35が設けられているので、第1コイル導体31と第2コイル導体34との間の磁気結合を確保できる。また、磁性体層35を含む柱状部分P2では、磁性体と非磁性体とが積層方向に交互に並ぶため、磁性体層35が内側領域R1を貫通している場合と比較して、内側領域R1における磁性体層35の体積が全体として小さく抑えられる。この結果、素体2の焼成の際、非磁性体層11と磁性体層35との間の収縮量差が抑えられ、界面でのクラックの発生を抑制できる。
また、積層型コモンモードフィルタ41では、複数の非磁性シート22〜27のそれぞれの表面に、内側領域R1に対応して窪み部43が設けられており、磁性体層35が窪み部43に設けられることにより、磁性体層35が第1コイル導体31及び第2コイル導体34に対して段違いになっている。このような構成により、柱状部分P2において非磁性体が占める体積が小さくなるので、積層型コモンモードフィルタ41の高さを変えずに第1コイル導体31と第2コイル導体34との間の磁気結合を更に高めることが可能となる。
[第3実施形態]
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係る積層型コモンモードフィルタの素体の構成を示す分解斜視図である。また、図7は、素体の断面図である。
図6及び図7に示すように、第2実施形態に係る積層型コモンモードフィルタ51は、第1コイル導体31が形成されている非磁性シート22、及び第2コイル導体34が形成されている非磁性シート26の構成が第1実施形態と異なっており、他の部分は第1実施形態と共通している。
すなわち、第3実施形態では、非磁性シート22,26の表面において、第1コイル導体31及び第2コイル導体34の外側領域R2に位置する磁性体層52,53が更に設けられている。この磁性体層52,53は、例えば印刷によって第1コイル導体31及び第2コイル導体34の外側端部31a,34aに相当する部分を除く非磁性シート22,26の周縁部に形成されている。焼成後の磁性体層52,53の厚さは例えば15μm〜40μm程度となっている。
また、非磁性シート22,26では、第1コイル導体31、第2コイル導体34、及び内側領域R1の磁性体層35の厚さが例えば20μm〜50μm程度となっており、第1実施形態に比べて厚くなっている。したがって、柱状部分P3では、磁性体と非磁性体とが積層方向に沿って交互に並ぶと共に、第1コイル導体31及び第2コイル導体34と同一段に磁性体が配置される点で第1実施形態の柱状部分P1と同じであるが、第1コイル導体31及び第2コイル導体34と同一段の磁性体が他段の磁性体に比べて厚くなっている。
このような積層型コモンモードフィルタ51においても、第1実施形態と同様に、渦巻状の第1コイル導体31及び第2コイル導体34の内側領域R1に磁性体層35が設けられているので、第1コイル導体31と第2コイル導体34との間の磁気結合を確保できる。また、磁性体層35を含む柱状部分P1では、磁性体と非磁性体とが積層方向に交互に並ぶため、磁性体層35が内側領域R1を貫通している場合と比較して、内側領域R1における磁性体層35の体積が全体として小さく抑えられる。この結果、素体2の焼成の際、非磁性体層11と磁性体層35との間の収縮量差が抑えられ、界面でのクラックの発生を抑制できる。
また、積層型コモンモードフィルタ51では、第1コイル導体31及び第2コイル導体34が形成された非磁性体層22,26において、第1コイル導体31及び第2コイル導体34の外側領域R2に位置する磁性体層52,53が更に設けられている。これにより、第1コイル導体31及び第2コイル導体34の外側においても磁束が通り易くなるので、第1コイル導体31及び第2コイル導体34間の磁気結合を更に高められる。なお、外側領域R2の磁性体層52,53は、印刷等によって内側領域R1の磁性体層35と同時に形成することが製造工程上好ましい。
さらに、積層型コモンモードフィルタ51では、第1コイル導体31及び第2コイル導体34の厚さが、外側領域R2に位置する磁性体層52,53の厚さよりも大きくなっている。このように、第1コイル導体31及び第2コイル導体34の厚さを拡張することで、積層型コモンモードフィルタ51の直流抵抗を低減できる。また、第1コイル導体31及び第2コイル導体34が厚くなった場合でも、外側領域R2に位置する磁性体層52,53がスペーサとしても機能するので、素体2内での空隙の発生も抑制できる。
本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば非磁性体層11を挟む磁性体層12は、複数の磁性シート21を積層して形成する代わりに磁性体基板を用いてもよい。また、非磁性シート22〜27の内側領域R1に形成する磁性体層35は、印刷に代えて、磁性シートの積層によって形成してもよい。
1,41,51…積層型コモンモードフィルタ、2…素体、11…非磁性体層、12…磁性体層、21…磁性シート、22〜27…非磁性シート、31…第1コイル導体、34…第2コイル導体、35…磁性体層、43…窪み部、52,53…磁性体層、P1〜P3…柱状部分、R1…内側領域、R2…外側領域。

Claims (5)

  1. 渦巻き状のコイル導体が表面に形成された一対の非磁性体層を含む複数の非磁性体層と、前記複数の非磁性体層を挟む一対の磁性体層とが積層された素体を備え、
    前記複数の非磁性体層のそれぞれの表面には、前記コイル導体の内側領域に位置する磁性体層が設けられており、
    前記複数の非磁性体層が積層されることにより、磁性体と非磁性体とが積層方向に交互に並ぶ柱状部分が、前記一対の磁性体層間において前記内側領域に形成され
    前記複数の非磁性体層のそれぞれの表面には、前記内側領域に対応して窪み部が設けられており、
    前記磁性体層が前記窪み部に設けられることにより、前記磁性体層が前記コイル導体に対して段違いになっていることを特徴とする積層型コモンモードフィルタ。
  2. 前記コイル導体が形成された前記非磁性体層には、前記コイル導体の外側領域に位置する磁性体層が更に設けられていることを特徴とする請求項記載の積層型コモンモードフィルタ。
  3. 前記コイル導体の厚さが、前記外側領域に位置する磁性体層の厚さよりも大きくなっていることを特徴とする請求項記載の積層型コモンモードフィルタ。
  4. 前記柱状部分における前記磁性体の厚さと前記非磁性体の厚さとが均等であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の積層型コモンモードフィルタ。
  5. 前記柱状部分における前記磁性体の厚さが互いに均等であり、かつ前記非磁性体の厚さが互いに均等であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の積層型コモンモードフィルタ。
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